JP2010082564A - 微小気泡を利用した多層塗工膜の製造方法 - Google Patents

微小気泡を利用した多層塗工膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1液型塗工方法によって、光学用や建材用等として有用な、例えば表面に帯電防止膜や防汚膜等の機能膜が設けられた多層塗工膜を、密着性良く、且つ効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】1液型塗工液を基材に塗布した後、相分離させることによる多層塗工膜の製造方法であって、1液型塗工液を基材に塗布する前に、浮上性及び吸着性の微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させ、吸着性成分と非吸着性成分の相分離を行なうことを特徴とする多層塗工膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は多層塗工膜の製造方法及び反射防止膜に関する。さらに詳しくは、1液型塗工方法にて微小気泡を利用して相分離を行なうことによる多層塗工膜の製造方法に関する。
従来、多層塗工膜の形成方法としては、複数の塗工液を用いて、塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗工方式が広く知られている。
また、スピノーダル分解により層分離構造を形成し、表面に凹凸を設けてなる防眩性フィルムが知られている。例えば少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、層分離構造を形成し、前記樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成する防眩性フィルムの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、スピノーダル分解による相分離を利用した技術として、(A)活性エネルギー線硬化型重合性化合物、(B)熱可塑性樹脂、(C)前記(A)成分と(B)成分に対する良溶媒及び(D)前記(B)成分に対する貧溶媒を含み、かつ前記(A)成分と(B)成分の含有比率が、重量基準で100:0.3〜100:50であり、(C)成分と(D)成分の含有比率が、重量基準で99:1〜30:70であることを特徴とする防眩性ハードコート層形成用材料、及び基材フィルム上に、上記材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−126495号公報 特開2006−137835号公報
しかしながら、上述のタンデム塗工方式は、複数の塗工液を別々に準備しなければならない上、複数回の塗布、乾燥処理が必要であり、操作が煩雑で生産性に劣るという問題や、得られる多層塗工膜の密着性に乏しく、界面への水分等の侵入により、耐久性が低下するという問題がある。
また、特許文献1及び2に記載のスピノーダル分解による相分離技術は、表面に不規則な凹凸を形成させる技術であって多層積層塗工膜を形成させる技術には応用し難い。
ところで、ディスプレイ分野において用いられる各種の光学部材、例えば反射防止フィルム、防眩フィルム、ハードコートフィルム等は、基材上に多層の機能膜を設けることが要求されるが、多液型塗工方法では、最終塗工時に膜に欠損が生じる等によりそれまでの工程が無駄になる場合があり、製造負荷が大きかった。そこで、簡易な手段である1液型塗工方法によって基材上に多層膜を設ける技術が、製造コスト等の点から切望されている。
本発明は、このような状況下になされたものであり、簡易な手段である1液型塗工方法によって、光学用や建材用等として有用な、例えば表面に帯電防止膜や防汚膜等の機能膜が設けられた多層塗工膜を、密着性良く、且つ効率的に製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微小気泡を用い、相分離を促進させることで、基材に1液のみを塗工するだけで、基材上に多層塗工膜を効率的に形成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]1液型塗工液を基材に塗布した後、相分離させることによる多層塗工膜の製造方法であって、1液型塗工液を基材に塗布する前に、微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させ、吸着性成分と非吸着性成分の相分離を行なうことを特徴とする多層塗工膜の製造方法、
[2]微小気泡の平均直径が100nm〜100μmである、上記[1]に記載の多層塗工膜の製造方法、
[3]微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させる操作を、1液型塗工液を基材に塗布する30〜180秒前に行なう、上記[1]又は[2]に記載の多層塗工膜の製造方法、
[4]吸着性が静電気力によるものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の多層塗工膜の製造方法、
[5]1液型塗工液が有機溶剤系塗工液である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の多層塗工膜の製造方法。
に関するものである。
本発明によれば、1液型塗工方法によって、光学用や建材用等として有用な、例えば表面に帯電防止膜や防汚膜等の機能膜が設けられた多層塗工膜を、密着性良く、且つ効率的に製造する方法を提供することができる。
本発明では、1液型塗工液を基材に塗布した後、相分離させることによる多層塗工膜の製造方法であって、1液型塗工液を基材に塗布する前に、微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させることにより、吸着性成分と非吸着性成分の相分離を行なう。
[基材]
1液型塗工液を塗付する基材に特に制限はなく、多層塗工膜を有する部材の用途によって適宜選択することができる。特に本発明の多層塗工膜を光学用部材に用いる場合、光学用フィルムの基材として、公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの基材は、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好ましい。
これらの基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、15〜250μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。また、この基材は、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から、好ましく用いられる。
[1液型塗工液]
本発明では、微小気泡をバブリング又は発生させる対象となる1液型塗工液を、吸着性成分と非吸着性成分とを溶剤の存在下に好ましくは10〜40℃で混合することにより調製する。
なお、本発明における1液型塗工液とは、全ての成分を混合して1つにした塗工液であり、塗工液を基材へ塗付する際に、1つの供給口から供給して塗付することができる。
(吸着性成分)
吸着性成分としては、本発明で使用する微小気泡に吸着可能な成分であれば特に制限は無いが、正に帯電している又は帯電処理された材料を好適に用いることができる。具体的には、等電点調整された、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、キチン等のアミノ基含有高分子材料や正帯電トナー材料等が挙げられる。吸着性成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。微小気泡への吸着力が異なる2種を利用することにより、3以上の相分離が可能となり、3層以上の塗工膜を得ることができる。
また、吸着性成分表面の正電荷量が小さい場合、予めアミノ基修飾等の化学的手法や水の噴流又は水滴流を衝突させる等の物理的手法により荷電させ、吸着性能を付与させることが好ましい。
上記吸着性成分は、必要に応じてバインダー樹脂と混合して使用してもよい。該バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性等の耐久性の観点からは、アクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂はアミノエチル化等の変性が施されていることが好ましい。
該バインダー樹脂は、微小気泡に対して直接強く吸着するものでなくてもよく、酸化チタン微粒子等の微小気泡吸着成分との親和性が高く、間接的に吸着するものであれば用いることができる。
(非吸着性成分)
非吸着性成分は、本発明で使用する微小気泡に吸着しない成分であって、正に帯電していない中性の材料である。非吸着性成分としては、一般的な熱可塑性樹脂及び/又は活性エネルギー線硬化型化合物等を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、後述の溶剤に溶解し、且つ被膜形成性を有する樹脂であればよく、例えばポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは数万〜数百万であり、より好ましくは3万〜50万である。
また、活性エネルギー線硬化型化合物は、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する化合物である。この活性エネルギー線硬化型化合物としては、以下の活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はモノマーを用いることができる。
活性エネルギー線硬化型オリゴマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系のオリゴマー等が挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量(例えば5000未満)のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ポリオールアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記オリゴマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定した標準ポリスチレン換算の値で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜70,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲で選定される。
このオリゴマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、活性エネルギー線硬化型モノマーとしては、例えばジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオールエステル、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコールアジペートエステル、ジ(メタ)アクリル酸ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、ジ(メタ)アクリル酸カプロラクトン変性ジシクロペンテニル、ジ(メタ)アクリル酸エチレンオキシド変性リン酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸アリル化シクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸イソシアヌレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンエステル、トリ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトールエステル[ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート]、トリ(メタ)アクリル酸プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸プロピオンオキシド変性トリメチロールプロパンエステル、イソシアヌル酸トリス(アクリロキシエチル)、ペンタ(メタ)アクリル酸プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールエステル、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトールエステル、ヘキサ(メタ)アクリル酸カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。これらのモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非吸着性成分として、活性エネルギー線硬化型化合物と共に、光重合開始剤を用いることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この光重合開始剤の使用量は、用いる活性エネルギー線硬化型化合物の種類に応じて適宜選定すればよいが、通常、活性エネルギー線硬化型化合物に対して0.001〜0.5倍質量の範囲で使用する。
非吸着性成分としては、上記以外に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
吸着性成分(前記バインダーは含まない。)と非吸着性成分の混合割合は、質量比で、好ましくは吸着性成分/非吸着性成分=0.5〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜5である。
(溶剤)
吸着性成分と非吸着性成分とを混合する際に使用する溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤の使用量は、効率的に微小気泡へ吸着させる観点から、塗工液の固形分濃度が、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは25〜50質量%になる量とする。
1液型塗工液には、さらに各種添加剤を含有させてもよい。該添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
こうして得られる1液型塗工液の濃度及び粘度としては、コーティング可能な濃度及び粘度であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。
本発明では、こうして得られた1液型塗工液に微小気泡をバブリング又は発生させた後、1液型塗工液を基材に塗付する。
[微小気泡]
本発明では、相分離を促進させる材料として微小気泡を用いる。微小気泡の平均直径は100nm〜100μmが好ましく、200nm〜80μmがより好ましく、500nm〜70μmが特に好ましい。微小気泡の平均直径が上記範囲であると、浮上性が高く、且つ吸着性材料との吸着力が高く好ましい。
微小気泡としては、窒素ガスの微小気泡、炭酸ガスの微小気泡、及び空気の微小気泡等の公知の微小気泡を用いることができる。これらの中でも、安価であり、安定性及び安全性が高いという観点からは、空気の微小気泡が好ましい。
微小気泡の製造方法としては、加圧減圧法や気液せん断法等が提案されているが、特に制限はない。なお、例えばマイクロバブル発生システム(松下電工株式会社製)、マイクロバブル発生装置(株式会社ウィンコーポレーション製)、マイクロ・ナノバブル発生装置「OM4−MDG−045」(株式会社オーラテック製)等の公知の微小気泡製造装置を用いることが簡便であり好ましい。
また、上記のサイズの微小気泡は、別途帯電処理を施さなくても、すでに高い帯電性(静電気力)を有しており、一般的にはマイナスに強く帯電しており、プラスに帯電しているものに対して吸着性を示す。
微小気泡は、相分離させる工程のみに使用するため、1液型塗工液にバブリング又は発生させるのは、塗工直前で構わないが、好ましくは塗工の30〜180秒前、より好ましくは塗工の60〜120秒前にバブリング又は発生させ、塗工液内へ微小気泡を混入させておく。微小気泡のバブリング方法や発生方法に特に制限は無いが、前述の公知の微小気泡製造装置等を用いて、1液型塗工液の底へバブリングする方法や、「セルマイク(登録商標)」(三協化成株式会社製)等の気泡発生剤を1液型塗工液へ混入させる方法等を利用することができる。
また、混入した微小気泡は、乾燥工程中に全て大気中へ放出されるため、膜中には残留せず、諸物性に影響を与えることがないという特長がある。
[多層塗工膜の形成]
1液型塗工液に微小気泡をバブリング又は発生させた後は、加熱・乾燥することにより微小気泡を除去し、次いで、必要に応じて熱又は活性エネルギー線照射による硬化処理を行い、多層塗工膜を得る。
(加熱・乾燥)
加熱・乾燥温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜90℃である。加熱・乾燥時間に特に制限は無いが、通常1〜5分間程度である。こうして、微細気泡を大気中へ放出させる。
(硬化処理)
次いで、非吸着性材料に活性エネルギー線硬化型化合物を用いている場合には、前記塗工膜に活性エネルギー線を照射して、該塗工膜をさらに硬化させる。
活性エネルギー線の光量は50〜200mJ/cm2が好ましい。活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線等が挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ等で得られる。一方、電子線は、電子線加速器等によって得られる。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成された多層塗工膜の厚さは、通常、0.1〜10μm程度、好ましくは1〜5μmであり、吸着性成分を含有する層と非吸着性成分を含有する層とが分離している。
この層分離構造は、例えばスラブ型光導波路分光法を利用した界面紫外可視分光測定装置を用いて確認することができる。また、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡によっても確認することができる。
本発明の、微小気泡を利用して1液型塗工液を相分離させるという簡便な手段によって、光学用や建材用等として有用な、例えば表面に帯電防止層や防汚層等の機能層が設けられた多層塗工膜を密着性良く、且つ効率的に製造することができる。
本発明はまた、基板上に前記の方法で得られた多層塗工膜を有する光学用部材を提供することができる。
上記光学用部材としては、例えばディスプレイ分野において用いられる帯電防止機能や防汚機能等が付与された、反射防止フィルム、防眩フィルム、ハードコートフィルム等の保護フィルム等を挙げることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各例で得られた塗工膜の層分離構造および密着性を、以下に示す方法に従って調査・測定した。
(層分離構造の有無)
層分離構造の分析は、スラブ型光導波路分光法を利用した界面紫外可視分光測定装置「SIS−50型」(システムインスツルメンツ株式会社製)を用いた。石英製光導波路基板(システムインスツルメンツ株式会社製)に、塗工面側、並びに裏面側をそれぞれ完全に密着させ、エバネッセント波吸収特性を調査した。塗工面側と裏面(基材側)のエバネッセント波吸収特性に大きな差が得られれば、効果的に層分離構造が形成されたと判断される。評価基準は以下のとおりである。
○;エバネッセント波吸収特性に大きな差が見られ、多層塗工膜が得られている。
×;エバネッセント波吸収特性に差が見られず、多層塗工膜が得られていない。
(密着性)
各実施例及び比較例で得られた多層塗工膜の塗工面を、1ミリ間隔の縦横10区分の碁盤目状にカッターで切り、粘着性テープ(ニチバン株式会社製「セロテープ(登録商標)No.405(商品名)」、幅24mm)を貼った後に剥がし、枡目の剥がれの程度で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;試験を5回行っても100個の碁盤目の剥がれが全くない。
×;試験を5回行い、5回とも100個の碁盤目が全て剥離する。
<製造例1>(相分離用の1液型塗工液の調製)
表面正帯電ルチル型酸化チタン「MT−500HDM」(テイカ株式会社製;等電位点5)10g、バインダー樹脂「NK−350」(株式会社日本触媒製、アミノエチル化アクリル樹脂)8g、トルエン40gを混合し、ペイントシェイカーにて5分間振とう攪拌し、酸化チタンとバインダー樹脂を親和させて酸化チタン分散液を得た。続いて、得られた分散液中に、光硬化性成分として、トルエン(関東化学株式会社製)20gにジペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製)3gを溶解させた溶液、及び光重合開始剤「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.5gを室温で混合し、1液型塗工液1とした。
<製造例2>
製造例1において、表面正帯電ルチル型酸化チタン「MT−500HDM」(テイカ株式会社製;等電位点5)10gを、帯電量(等電位点)の異なる表面正帯電ルチル型酸化チタン「MT−500HDM」(テイカ株式会社製;等電点6)5g及びアナターゼ型酸化チタン「AMT−600」(テイカ株式会社製)5gの2成分に代えたこと以外は、製造例1と同様にして、1液型塗工液2を作製した。
<製造例3>(タンデム塗工方式用の塗工液の調製)
表面正帯電ルチル型酸化チタン「MT−500HDM」(テイカ株式会社製)10g、バインダー樹脂「NK−350」(株式会社日本触媒製、アミノエチル化アクリル樹脂)8g、トルエン40gを混合し、ペイントシェイカーにて5分間振とう攪拌し、酸化チタンとバインダー樹脂を親和させて得られる酸化チタン分散液をタンデム塗工方式テスト用塗工液3とした。
これとは別に、光硬化性成分として、トルエン(関東化学株式会社製)20gにジペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製)3gを溶解させた溶液、及び光重合開始剤「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.5gを室温で混合し、タンデム塗工方式テスト用塗工液4とした。
<実施例1>
製造例1で得られた1液型塗工液1に対し、松下電工株式会社製マイクロバブル発生システム(ハンドスプレタイプ)より発生させた微小空気泡(平均直径約70μm)を10秒間バブリングした60秒後に、バブリング処理が施された1液型塗工液1をマイヤーバーにてトリアセチルセルロース「フジタック(登録商標)」(富士フィルム株式会社製、基材)にコーティングした。
そのまま室温で1分間静置した後、70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、さらに、露光量100mJ/m2にて紫外線を照射して硬化させることにより、基材上に塗工膜1を得た。層分離構造及び密着性の評価結果を表1に示す。
<実施例2>
製造例2で得られた1液型塗工液2に対し、松下電工株式会社製マイクロバブル発生システム(ハンドスプレタイプ)より発生させた微小空気泡(平均直径約70μm)を10秒間バブリングした60秒後、微小空気泡のバブリング処理を施した1液型塗工液1をマイヤーバーにてトリアセチルセルロース「フジタック(登録商標)」(富士フィルム株式会社製、基材)にコーティングした。
そのまま室温で1分間静置した後、70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、さらに、露光量100mJ/m2にて紫外線を照射して硬化させることにより、基材上に塗工膜2を得た。層分離構造及び密着性の評価結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、乾燥前に微小空気泡を1液型塗工液1中に全く混入しなかったこと以外は実施例1と同様に実験を行い、基材上に塗工膜3を得た。層分離構造及び密着性の評価結果を表1に示す。
<比較例2>タンデム塗工方式
製造例3で得たタンデム塗工方式テスト用塗工液4を、トリアセチルセルロース「フジタック(登録商標)」(富士フィルム株式会社製)にマイヤーバーにてコーティングした。室温でそのまま1分間静置した後、70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、さらに、露光量100mJ/m2にて紫外線を照射して硬化させることにより、基材上に塗工膜を得た。さらに、製造例3で得たタンデム塗工方式テスト用塗工液3を、上記塗工膜上にマイヤーバーにてコーティングし、室温にて1分間静置後、70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、積層構造の塗工膜4を得た。層分離構造及び密着性の評価結果を表1に示す。
Figure 2010082564
表1より、微小気泡を用いた1液型塗工液を利用することにより、通常では分離困難な成分を相分離させることができ、タンデム塗工方式では得られない高密着性の積層構造体を得られることが分かる。
本発明の多層塗工膜の製造方法は、光学用や建材用等として有用な、例えば表面に帯電防止膜や防汚膜等の機能膜が設けられた多層塗工膜を、密着性良く、且つ効率的に製造する方法として利用可能である。また、該製造方法により得られる多層塗工膜は、光学用部材や建材用部材として利用可能である。

Claims (5)

  1. 1液型塗工液を基材に塗布した後、相分離させることによる多層塗工膜の製造方法であって、1液型塗工液を基材に塗布する前に、微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させ、吸着性成分と非吸着性成分の相分離を行なうことを特徴とする多層塗工膜の製造方法。
  2. 微小気泡の平均直径が100nm〜100μmである、請求項1に記載の多層塗工膜の製造方法。
  3. 微小気泡を塗工液中にバブリング又は発生させる操作を、1液型塗工液を基材に塗布する30〜180秒前に行なう、請求項1又は2に記載の多層塗工膜の製造方法。
  4. 吸着性が静電気力によるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の多層塗工膜の製造方法。
  5. 1液型塗工液が有機溶剤系塗工液である、請求項1〜4のいずれかに記載の多層塗工膜の製造方法。
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