JP2010080108A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池の発電反応に伴って燃料極側で生じるガス成分の除去性を高めつつ、空気極への空気の流入量を維持する。
【解決手段】燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)12を備える起電部と、起電部を空気極10側から保持するように取り付けられ、空気極10に空気を導入する開口部23aを有するカバープレート23と、燃料収容部および燃料供給機構とを具備する。MEA12は少なくとも電解質膜11を貫通するように設けられたガス抜き孔17を有する。カバープレート23は少なくともガス抜き孔17に対応する位置に配置され、開口部23a等と連通する金属多孔質体27を有する。
【選択図】図5
【解決手段】燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)12を備える起電部と、起電部を空気極10側から保持するように取り付けられ、空気極10に空気を導入する開口部23aを有するカバープレート23と、燃料収容部および燃料供給機構とを具備する。MEA12は少なくとも電解質膜11を貫通するように設けられたガス抜き孔17を有する。カバープレート23は少なくともガス抜き孔17に対応する位置に配置され、開口部23a等と連通する金属多孔質体27を有する。
【選択図】図5
Description
本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関する。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源や充電器として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式が知られている。
パッシブ型DMFCにおいては、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を、燃料収容部上に配置した構造が適用されている。また、DMFCの起電部と燃料収容部とを流路を介して接続することも検討されている。燃料収容部から直接もしくは流路を介して導入されたメタノール燃料等を電池内部で気化させて燃料極に供給する場合、MEAの燃料極側ではガス化した燃料を閉じ込めつつ、電池反応に基づいて生じる炭酸ガスや水蒸気等のガス成分を系外に放出する必要がある。
パッシブ型DMFCでは、燃料極側の容器側面にガス抜き機構(内圧逃がし機構)を設け、ガス成分を系外に放出することが提案されている(特許文献1,2参照)。DMFCの容器側面にガス抜き機構を設けた場合、発生したガス成分が周辺部から抜けていくことになるため、MEAの中央付近で生成したガス成分の除去性が低下するおそれがある。さらに、MEAの周辺部は中央付近に比べて温度が低いため、水蒸気が凝結してガス抜き機構が閉塞するおそれがある。
これに対して、燃料極側で生じた炭酸ガスや水蒸気等のガス成分を、DMFCに設けたガス抜き孔を介して空気極側から放出することが検討されている。ガス成分は空気極上に配置された保湿層やカバープレートに設けられた空気導入用の開口部を介して系外に放出される。このようなガス抜き機構によれば、MEAの各部から生じたガス成分を効率よく系外に放出することができる。ただし、ガス抜き孔の形成位置によっては、空気極への空気の流入を阻害するおそれがある。これは燃料電池の出力特性を低下させる要因となる。
特開2006−108028号公報
特開2006−318712号公報
本発明の目的は、発電反応に伴って燃料極側で生じるガス成分の除去性を高めつつ、空気極への空気の流入量を維持することを可能にした燃料電池を提供することにある。
本発明の態様に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備え、前記膜電極接合体は少なくとも前記電解質膜を貫通するように設けられたガス抜き孔を有する起電部と、前記起電部を前記空気極側から保持するように取り付けられ、前記空気極に空気を導入する開口部を有するカバープレートと、液体燃料を収容する燃料収容部と、前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、前記カバープレートは少なくとも前記ガス抜き孔に対応する位置に配置され、前記開口部または前記カバープレートの外側空間と連通する金属多孔質体を有することを特徴としている。
本発明の態様に係る燃料電池においては、発電反応に基づいて燃料極側に発生するガス成分を膜電極接合体に設けたガス抜き孔から効率よく系外に放出することができる。その上で、カバープレートに取り付けた金属多孔質体によって、ガス成分の系外への放出と空気極への空気の流入とを両立させることができる。従って、発電反応の効率や安定性を向上させた燃料電池を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。図1に示す燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)を備える起電部2と、起電部2に燃料を供給する燃料供給機構3と、液体燃料を収容する燃料収容部4とから主として構成されている。
起電部2は、アノード触媒層5とアノードガス拡散層6とを有するアノード(燃料極)7と、カソード触媒層8とカソードガス拡散層9とを有するカソード(空気極/酸化剤極)10と、アノード触媒層5とカソード触媒層8とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜11とから構成される膜電極接合体(MEA)12を有している。
アノード触媒層5やカソード触媒層8に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層5にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層8にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料等の導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
アノード触媒層5に積層されるアノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層5の集電機能を有するものである。カソード触媒層8に積層されるカソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層8の集電機能を有するものである。アノードガス拡散層6やカソードガス拡散層9は、例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性を有する多孔質基材で構成されている。
電解質膜11を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜11はこれらに限られるものではない。
上記したMEA12をアノード集電体13とカソード集電体14とで挟み込むことによって、起電部2が構成される。アノードガス拡散層6はアノード集電体13と積層され、カソードガス拡散層9はカソード集電体14と積層されている。集電体13、14は燃料や空気を流通させる貫通孔を有している。集電体13、14にはAuやNi等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)や箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)のような導電性金属材料にAu等の良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。起電部2はOリング等のシール部材15でシールされており、MEA12からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
起電部2は図2や図3に示すように、電解質膜11を介して配置されたアノード(燃料極)7とカソード(空気極)10とで構成される単セル16を複数有している。これら複数の単セル16、16…は電解質膜11の平面内に分離して配置され、かつ集電体13、14により電気的に接続されている。複数の単セル16、16…は直列に接続されている。そして、MEA12は後に詳述するように、少なくとも電解質膜11を貫通するように設けられたガス抜き孔17を有している。
ガス抜き孔17は発電反応に伴ってアノード7側に生じたガス成分をカソード10側に逃がすものである。ガス抜き孔17の孔径は50μm以上2mm以下の範囲とすることが好ましい。ガス抜き孔17の孔径が50μm以下であると、水蒸気の凝集による閉塞等が生じやすくなり、ガス抜き効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、ガス抜き孔17の孔径が2mm以上の場合には、空気極10側に直接透過する燃料の量が多くなり、局部的な加熱状態が生じやすくなるため、出力の安定性等が低下するおそれがある。
ガス抜き孔17はMEA12の各単セル16、16…間に相当する部分、具体的には電解質膜11のみが存在する部分に設けられていることが好ましい。例えば、ガス抜き孔17は各単セル16、16…間に相当する電解質膜11の部分に設けられている。ガス抜き孔17は燃料電池1内の任意の位置に任意の数で設けることができるため、MEA12の面内から均一にガス成分を除去することが可能となる。さらに、ガス抜き孔17を燃料電池1内の温度が高い中央付近に存在させることで、水蒸気の凝結による閉塞を抑制することができる。これらによって、MEA12全体で効率的にかつ継続的に発電反応を生起させることが可能となる。
MEA12の温度分布等によっては、図4に示すようにガス抜き孔17を単セル16の周囲に相当する電解質膜11の部分に形成してもよい。このような場合においても、ガス抜き孔17の位置や数を調整することによって、アノード7側で生じたガス成分を速やかに除去することができる。図3に示すガス抜き孔17と図4に示すガス抜き孔17とは組合せて適用することができる。また場合によっては、単セル16の部分に相当するMEA12を貫通するようにガス抜き孔17を設けることも可能である。
起電部2は例えば燃料拡散室18を形成する容器19上に配置されている。容器19は上部が開口された箱状の形状を有している。このような容器19の開口部側にMEA12のアノード7が位置するように起電部2が配置されている。容器19内には燃料拡散材20が配置されている。燃料拡散材20は板状の多孔質材料等で形成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる樹脂製多孔質板が用いられる。燃料拡散室18と燃料拡散材20とは、アノード7の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部21を構成するものである。
そして、燃料拡散材20が配置された容器19上に起電部2と保湿層22とを積層し、その上から金属製(例えばステンレス製)のカバープレート23を被せるように取り付けて全体を保持することによって、燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成されている。保湿層22はカソード触媒層8で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層8への空気の均一拡散を促進するものである。保湿層22は保湿性を有する多孔質部材からなり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる樹脂製多孔質板が用いられる。
カバープレート23は起電部2をカソード(空気極)10側から保持するものであり、空気導入用の開口部23aを有している。カバープレート23の開口部23aは複数の単セル16、16…の部分に対応するように設けられている。カバープレート23の開口部23a以外の部分は、カバープレート23の強度を維持することが可能なような構造(開口部23aを有しない板状構造)となっている。
燃料拡散材20は容器19に設けられた燃料注入部24と接している。燃料注入部24は配管のような液体燃料の流路25を介して燃料収容部4と接続されている。燃料収容部4にはMEA12に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料はこれに限られるものではない。液体燃料はエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。
流路25にはポンプ26が介在されている。ポンプ26は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部21からMEA12に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。燃料電池1は燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。液体燃料の供給にポンプ26を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。燃料電池1はセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ26の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。
燃料電池1においては、ポンプ26を用いて燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料が間欠的に送液される。ポンプ26で送液された液体燃料は燃料拡散材20内を速やかに面方向に展開し、燃料拡散室18を介してMEA12のアノード(燃料極)7の全面に対して均一に供給される。すなわち、複数の単セル16、16…の各アノード(燃料極)7の平面方向に対して均一に燃料が供給され、これにより発電反応が生起される。燃料供給用(送液用)のポンプ26の運転動作は、燃料電池1の出力、温度情報、電力供給先である電子機器の運転情報等に基づいて制御することが好ましい。
燃料供給部21から放出された燃料は、MEA12のアノード(燃料極)7に供給される。MEA12内において、燃料はアノードガス拡散層6を拡散してアノード触媒層5に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層5で下記の式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層8で生成した水や電解質膜11中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体13を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体14を経由してカソード(空気極)10に導かれる。式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
この実施形態の燃料電池1において、発電反応で燃料極7側に発生したガス成分はMEA12に設けられたガス抜き孔17を介して空気極10側に逃がされ、さらには系外に放出される。ここで、ガス抜き孔17は単セル16間に相当する電解質膜11の部分に設けられているため、ガス抜き孔17の上部には板状のカバープレート(開口部23aを有しない板状部分)23が存在する。ガス抜き孔17を単セル16の周囲に相当する電解質膜11の部分に形成する場合も同様である。このような状態ではガス成分が保湿層22を介して系外に放出されるため、空気極10への空気の流入を阻害するおそれがある。
そこで、この実施形態の燃料電池1においては、図5や図6に示すように、カバープレート23のガス抜き孔17に対応する位置に金属多孔質体27を配置している。保湿層22にもガス抜き孔17の配置位置に対応させて貫通孔22aが設けられている。カバープレート23はガス抜き孔17に対応する薄肉部23bを有している。薄肉部23bはカバープレート23の一部(少なくともガス抜き孔17の配置位置に対応する部分)を起電部2と対向する面側から薄肉化したものである。
金属多孔質体27はカバープレート23の薄肉部23bに対して起電部2側から積層されている。金属多孔質体27はカバープレート23の内側に配置されており、カバープレート23の強度に影響を及ぼすことはない。すなわち、カバープレート23の強度はそれ自体で維持されている。金属多孔質体27はカバープレート23の開口部23aと連通している。燃料極7側で発生したガス成分は金属多孔質体27を介して系外に放出される。従って、空気極10への空気の流入量を増加させることが可能となる。
燃料電池1の発電反応に伴って生じた熱は、金属多孔質体27およびカバープレート23を介して系外に放熱される。燃料極7側で発生したガス成分が金属多孔質体27を介して系外に放出される際に、発電反応に伴って生じた熱も同時に系外に放熱される。この際、カバープレート23の厚さ方向における熱伝導面積は金属多孔質体27で増大されているため、発電反応に伴って生じた熱の系外への放熱性を高めることができる。これらによって、燃料電池1の出力特性等を向上させることが可能となる。
さらに図6に示すように、金属多孔質体27の間に空隙部23cを設けることによって、燃料電池1の放熱性をより一層高めることができる。金属多孔質体27の間に空隙部23cを設けた場合、ガス成分と同時に放出される熱の系外への熱伝導効率を高めることができる。従って、発電反応に伴って生じた熱の系外への放熱性をより一層向上させることが可能となる。加えて、放熱性の向上に伴ってガス成分の系外への放出性も高まるため、空気極10への空気の流入量もより増加する。
図5や図6では金属多孔質体27をカバープレート23の薄肉部23bと積層して配置した状態を示したが、金属多孔質体27の配置構造はこれに限られるものではない。金属多孔質体27はカバープレート23に設けた貫通孔内に配置してもよい。この場合、金属多孔質体27はカバープレート23の外側空間と直接連通される。このような金属多孔質体27によっても、ガス成分の系外への放出性と熱の系外への放熱性を高めることができる。ただし、金属多孔質体27は強度が劣ることから、カバープレート23の強度を考慮した場合、貫通孔内への金属多孔質体27の配置は局所的であることが好ましい。
金属多孔質体27には焼結金属や発泡金属等の種々の多孔質体を適用することができる。金属多孔質体27を構成する金属材料は特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、あるいはそれらの合金等が用いられる。金属多孔質体27は発泡金属を骨格とし、その表面を各種金属材料で被覆(例えば電気メッキによる)した複合材等で構成してもよい。強度や線膨張係数等を考慮すると、金属多孔質体27はカバープレート23と同種の金属材料で構成することが好ましい。例えば、カバープレート23がステンレス製であれば、ステンレスの多孔質体を用いることが好ましい。
金属多孔質体27は50〜600μmの範囲の平均孔径と50〜95%の範囲の気孔率とを有することが好ましい。金属多孔質体27の平均孔径が50μm未満であったり、また気孔率が50%未満であると、ガス成分の系外への放出性を十分に高めることができないおそれがある。この場合、空気極10への空気の流入量も十分に増加させることができない。金属多孔質体27の平均孔径が600μmを超えたり、また気孔率が90%を超えると強度が低下したり、また逆に熱伝導性や伝熱面積が減少して放熱性が低下するおそれがある。金属多孔質体27の平均孔径は水置換法により測定した値を示す。金属多孔質体27の気孔率は電子顕微鏡により断面観察して測定するものとする。
さらに、金属多孔質体27の気孔率および平均孔径の少なくとも一方は、多孔質部材からなる保湿層22の気孔率および平均孔径より大きいことが好ましい。これによって、燃料極7側で発生したガス成分の系外への放出性、すなわち金属多孔質体27およびカバープレート23の開口部23aを介したガス成分の系外への放出性をより高めることができる。金属多孔質体27の気孔率が保湿層22の気孔率より小さいと、ガス成分の保湿層22への流入量が増加して、空気極10への空気の流入を阻害するおそれがある。また、ガス成分の系外への放出性を向上させる上で、保湿層22はガス抜き孔17の配置位置に対応する貫通孔22aを有することが好ましい。
金属多孔質体27はガス抜き孔17の形成位置に対応させて局所的に配置してもよいが、例えば図7および図8に示すように単セル16の長手方向に沿った長尺形状を有していてもよい。金属多孔質体27は少なくともガス抜き孔17に対応する位置に配置されていればよい。図7は図5に示す金属多孔質体27を長尺化した状態とその配置を示す図である。図8は図6に示す金属多孔質体27を長尺化した状態とその配置を示す図である。これらの図に示すように、ガス抜き孔17の形成位置に対応し、かつ単セル16の長手方向に沿った長尺形状を有する金属多孔質体27によれば、単セル16の間に相当する部分を全てガス成分の通路として機能させることができる。
長尺形状を有する金属多孔質体27は、図5に示したようにカバープレート23の薄肉部23bと積層させて配置することが好ましい。すなわち、金属多孔質体27をカバープレート23の内側に配置することが好ましい。これによって、金属多孔質体27の配置に伴うカバープレート23の強度低下を抑制することができる。図6に示したように、金属多孔質体27の間に空隙部23bを形成する場合には、空隙部23bが生じるような2本の長尺な金属多孔質体27をカバープレート23の内側に配置する。
この実施形態の燃料電池1においては、カバープレート23の少なくともガス抜き孔17に対応する位置に、カバープレート23の開口部23aまたはカバープレート23の外側空間と連通する金属多孔質体27を配置している。これによって、空気極10への空気の流入を阻害することなく、燃料極7側で発生したガス成分の系外への放出性を高めることができる。すなわち、空気極10への空気の流入性とガス成分の系外への放出性とを同時に高めることが可能となる。さらに、発電反応に伴って生じた熱の系外への放熱性も増大する。これらによって、燃料電池1の出力特性等を向上させることが可能となる。
上述した実施形態では燃料を面方向に分散させつつ供給する燃料供給部21として、燃料拡散室18内に配置した燃料拡散材20を適用しているが、燃料供給部21の構成はこれに限られるものではない。燃料供給部21は例えば図9および図10に示すように、燃料注入口31と複数の燃料排出口32とを細管33のような燃料通路で接続した燃料分配板34で構成することも可能である。
図9および図10に示す燃料供給部21は、液体燃料が流入する少なくとも1個の燃料注入口31と、液体燃料もしくはその気化成分を排出する複数個の燃料排出口32とを有する燃料分配板34を備えている。燃料分配板34の内部には、液体燃料の通路として機能する細管33が形成されている。細管33の一端(始端部)には燃料注入口31が設けられている。細管33は途中で複数に分岐しており、これら分岐した細管33の各終端部に燃料排出口32がそれぞれ設けられている。
さらに、上述した実施形態は本発明をセミパッシブ型の燃料電池に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。金属多孔質体27を備えるカバープレート23は純パッシブ型の燃料電池に対しても適用可能である。本発明はパッシブ型やセミパッシブ型等の燃料電池に適用することができる。これらの場合に空気極10への空気の流入量を維持しつつ、ガス成分の系外への放出性を高めることができる。
次に、本発明の燃料電池の具体例およびその評価結果について述べる。
(実施例1)
図5および図7に示した燃料電池を以下のようにして作製した。カーボンペーパー上にPt−Ru系触媒層を塗布して燃料極を形成した。次いで、カーボンペーパー上にPtブラック触媒層を塗布して空気極を形成した。これらを1組とする単セルを4組形成し、各単セルの触媒層が電解質膜と接するようにして、パーフルオロスルホン酸からなる電解質膜を挟持した。これらをホットプレスしてMEAを作製した。2組の単セル間に相当する部分(2箇所)に開口径が1mmの貫通孔(ガス抜き孔)をそれぞれ3個形成した。
図5および図7に示した燃料電池を以下のようにして作製した。カーボンペーパー上にPt−Ru系触媒層を塗布して燃料極を形成した。次いで、カーボンペーパー上にPtブラック触媒層を塗布して空気極を形成した。これらを1組とする単セルを4組形成し、各単セルの触媒層が電解質膜と接するようにして、パーフルオロスルホン酸からなる電解質膜を挟持した。これらをホットプレスしてMEAを作製した。2組の単セル間に相当する部分(2箇所)に開口径が1mmの貫通孔(ガス抜き孔)をそれぞれ3個形成した。
上記したMEAを集電体で挟み込んで起電部を形成し、この起電部と保湿層(平均孔径が20μm、気孔率が26%のポリエチレン製多孔質板)との積層体を燃料拡散材が収容された容器上に配置した。その上からステンレス製のカバープレートで保持して発電ユニットを作製した。カバープレートは平均孔径が300μm、気孔率が80%の長尺形状のステンレス製多孔質体を有する。このようなステンレス製多孔質体をガス抜き孔の形成領域(2組の単セル間に相当する2箇所)にそれぞれ配置した。金属多孔質体はカバープレートの薄肉部と積層して配置した。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込まれる空気を使用した。
(実施例2)
金属多孔質体の間に図6および図8に示した空隙部を設ける以外は、実施例1と同様にして発電ユニットを作製した。すなわち、空隙部が形成されるように2本のステンレス製多孔質体(平均孔径300μm、気孔率80%)をカバープレートの薄肉部に積層した。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込まれる空気を使用した。
金属多孔質体の間に図6および図8に示した空隙部を設ける以外は、実施例1と同様にして発電ユニットを作製した。すなわち、空隙部が形成されるように2本のステンレス製多孔質体(平均孔径300μm、気孔率80%)をカバープレートの薄肉部に積層した。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込まれる空気を使用した。
(比較例1)
カバープレートに金属多孔質体を積層しない以外は、実施例1と同様にして発電ユニットを作製した。金属多孔質体はフィン状突起に対応する平面形状を有する以外は実施例1と同一構成を有する。すなわち、カバープレートとして開口部のみを有するステンレス製プレートを用いた。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込まれる空気を使用した。
カバープレートに金属多孔質体を積層しない以外は、実施例1と同様にして発電ユニットを作製した。金属多孔質体はフィン状突起に対応する平面形状を有する以外は実施例1と同一構成を有する。すなわち、カバープレートとして開口部のみを有するステンレス製プレートを用いた。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込まれる空気を使用した。
実施例1〜2および比較例1による各燃料電池の発電動作時における酸素濃度、放熱量、出力をそれぞれ測定した。測定結果はそれぞれ比較例1を100とした場合の相対値である。これらの測定結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1および実施例2の燃料電池はいずれも酸素吸入性や放熱性に優れ、その結果として出力特性が向上していることが分かる。なお、金属多孔質体を貫通孔内に配置したカバープレートを用いて作製した発電ユニットについて、同様に特性を調べたところ、実施例1、2に比べると酸素吸入性や放熱性が若干劣っていたものの、金属多孔質体を有しない比較例1と比べて出力特性が向上することが確認された。金属多孔質体を局所的に配置した場合にも同様な特性を有することが確認された。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。また、燃料電池の具体的な構成や燃料の供給状態等も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組合せたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除する等、種々の変形が可能である。
1…燃料電池、2…起電部、3…燃料供給機構、4…燃料収容部、5…アノード触媒層、6…アノードガス拡散層、7…アノード(燃料極)、8…カソード触媒層、9…カソードガス拡散層、10…カソード(空気極)、11…電解質膜、12…MEA、13…アノード集電体、14…カソード集電体、17…ガス抜き孔、18…燃料拡散室、19…容器、20…燃料拡散材、21…燃料供給部、22…保湿層、23…カバープレート、22a,23a…開口部、23b…薄肉部、23c…空隙部、27…金属多孔質体。
Claims (6)
- 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備え、前記膜電極接合体は少なくとも前記電解質膜を貫通するように設けられたガス抜き孔を有する起電部と、
前記起電部を前記空気極側から保持するように取り付けられ、前記空気極に空気を導入する開口部を有するカバープレートと、
液体燃料を収容する燃料収容部と、
前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、
前記カバープレートは、少なくとも前記ガス抜き孔に対応する位置に配置され、前記開口部または前記カバープレートの外側空間と連通する金属多孔質体を有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、
前記起電部は前記電解質膜を介して配置された前記燃料極と前記空気極とで構成される単セルを複数有し、前記ガス抜き孔は前記単セル間に相当する前記電解質膜の部分、および前記単セルの周囲に相当する前記電解質膜の部分の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1または請求項2記載の燃料電池において、
前記カバープレートは、前記起電部と対向する面側から薄肉化され、前記金属多孔質体の配置位置に対応する薄肉部を有し、前記金属多孔質体は前記薄肉部に積層されていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項2または請求項3記載の燃料電池において、
前記金属多孔質体は前記単セルの長手方向に沿った長尺形状を有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の燃料電池において、
前記金属多孔質体は50〜600μmの範囲の平均孔径および50〜95%の範囲の気孔率を有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池において、
さらに、前記起電部と前記カバープレートとの間に配置され、多孔質部材からなる保湿層を具備し、前記金属多孔質体の気孔率および平均孔径の少なくとも一方は前記保湿層の気孔率および平均孔径より大きいことを特徴とする燃料電池。
Priority Applications (1)
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JP2008244251A JP2010080108A (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 燃料電池 |
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JP2008244251A Withdrawn JP2010080108A (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 燃料電池 |
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- 2008-09-24 JP JP2008244251A patent/JP2010080108A/ja not_active Withdrawn
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