JP2010078893A - 正帯電性トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はOPC感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーにおいて、優れた画像品質を持つと同時に、感光体上へ傷や付着物を生じさせることのないトナーを提供するものである。
【解決手段】少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子と複数の外添剤とからなる、有機感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーであって、外添剤が窒素吸着法によるBET比表面積が50〜250 m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有するシリカ微粒子(A)と、体積平均粒径D50が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7である無機微粒子(B)とからなることを特徴とする正帯電性トナーである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機感光体を用いた、電子写真法、静電記録法、静電印刷法を利用する電子写真複写機、レーザービームプリンタ、静電記録法を利用する静電記録装置における静電潜像の現像のために使用されるトナーに関する。詳しくは、コピー品質に優れ、かつ耐久性、耐刷性に優れた正帯電性トナーに関する。
一般に、電子写真法、静電記録法、静電印刷法を利用する電子写真複写機、レーザービームプリンタ、静電記録法を利用する静電記録装置に用いられる感光体は、有機光導電体を用いた有機感光体(以下OPC感光体とする)およびアモルファスシリコン感光体(以下a−Si感光体とする)などの無機感光体に大別される。
このうちOPC感光体は、有機材料ゆえの材料選択の幅広さ、感光体の製造の容易さ、安価などの長所を有している一方で、a−Si感光体と比較して耐久性が低く、一般に10万枚程度の使用でメンテナンスや交換が必要となる。逆にa−Si感光体は、OPC感光体と比較して高価である一方、極めて高い耐久性を有しており、100万枚以上の使用によっても性能の劣化が見られない。この点から両者は、用途に応じて使い分けられている。
そのうちOPC感光体を選択した場合、前述のような感光体の耐久性の点から、現像に用いられるトナーの設計が重要となる。そのトナーについても、近年は低温定着化の流れが強まっており、それに伴いトナーは、低温定着のため結着樹脂のガラス転移温度(Tg)や軟化温度を下げ、熱的に弱く設計されることが多くなっている。そこで、OPC感光体へのトナーの付着を防ぎ、かつOPC感光体を傷つけることがないようにするため、トナーの設計においては外添剤の設計がより重要となっている。
一般に、トナー母粒子に外添剤を添加することにより、トナーの流動性、研磨性、帯電性、導電性等が調整される。外添剤として用いられる材料は、無機物質から有機物質まで多岐にわたっているが、そのうち最も良く用いられるものの一つにシリカが挙げられる。シリカはトナーの流動化剤として用いられるとともに、トナーの帯電性、耐刷性、環境安定性等にも影響を及ぼすことが知られている。またシリカ単体は親水性であり、環境の影響を受けやすいことから、その表面に疎水化処理、表面処理が施されることが多い。その際、疎水化処理剤の選択によりシリカの帯電性を調節することできる。例えば、負帯電性であるシリカ微粒子に対し、アミノ基を含有するシランカップリング剤で疎水化処理することで、被処理シリカを正帯電性とすることが知られている。(特許文献1参照)
一方、トナーや遊離した外添剤粒子は感光体表面に付着し、画像汚染となる可能性がある。そのため、研磨剤が外添剤として用いられることが多い。これまでにも、OPC感光体を搭載した複写機に対する研磨剤は複数提案されているものの、OPC感光体の設計が限定的なもの(特許文献2参照)、印刷プロセスが限定的なもの(特許文献3参照)、用いられる研磨剤が限定的なもの(特許文献4、5参照)など、OPC感光体に対する有効な研磨剤はいまだ見出せていない状態である。
出願人はこれまでの検討の中で、a−Si感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーにおいて、モース硬度が14である炭化ケイ素微粉体を研磨剤として用いても、a−Si感光体に対して傷や付着の汚染を生じさせないトナーを得る技術を見出すことができた(特許文献6参照)。しかし、OPC感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーについては、これまで満足のゆくものが得られていない現状であった。
特開昭58−185405号公報 特許第3535532号公報 特許第3288901号公報 特許第2986370号公報 特許第3861297号公報 特開2004−163560号公報
本発明はOPC感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーにおいて、優れた画像品質を持つと同時に、感光体上へ傷や付着物を生じさせることのないトナーを提供するものである。特に、出願人が以前検討を行った特許文献6の技術を改良し、OPC感光体に対しても品質を向上させた正帯電性トナーを提供するものである。
本発明者は、OPC感光体を用いた画像形成装置に用いるトナーにおいて、優れた画像品質を持つと同時に、繰り返し、連続複写して用いた場合においても感光体表面に外添剤成分やトナーが付着したり、研磨剤による傷が発生することがない、すなわち耐久性や耐刷性に優れたトナーを提供するべく鋭意検討を行った結果、特定のシリカ微粒子(A)と無機微粒子(B)とを少なくとも外添剤として用いた正帯電性トナーを用いることにより、さらには特定の性質を満足する材料を用いることにより前記問題点が解決されることを見出して本発明を成したものである。
すなわち本発明とは、以下の(1)〜(5)の発明に関するものである。
(1)少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子と複数の外添剤とからなる、OPC感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーであって、外添剤が窒素吸着法によるBET比表面積が50〜250 m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有するシリカ微粒子(A)と、体積平均粒径D50が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7である無機微粒子(B)とからなることを特徴とする正帯電性トナー。
(2)シリカ微粒子(A)の含有量が、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜0.8重量部、かつ無機微粒子(B)の含有量が、トナー母粒子100重量部に対して、0.5〜2.0重量部であることを特徴とする(1)記載の正帯電性トナー。
(3)無機微粒子(B)がチタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の正帯電性トナー。
(4)シリカ微粒子(A)が少なくともヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理されていることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の正帯電性トナー。
特定のシリカ微粒子(A)と無機微粒子(B)とを少なくとも外添剤として用いた正帯電性トナーを得ることにより、OPC感光体を用いた画像形成装置において、優れた画像品質を持つと同時に、繰り返し、連続複写して用いた場合においても感光体表面へ外添剤成分が付着したり、研磨剤により傷が発生することがない、すなわち耐久性や耐刷性に優れたトナーを得ることができた。
本発明のOPC感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーにおいては、外添剤が窒素吸着法によるBET比表面積が50〜250m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有するシリカ微粒子(A)と、体積平均粒径D50が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7である無機微粒子(B)とをともに用いることによって、画像品質に優れ、かつ耐久性・耐刷性を併せ持ったトナーを得ることができる。
本発明におけるシリカ微粒子(A)は、BET比表面積が50〜250m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有していることが必要である。これによって、十分な画像濃度を維持したままかぶり(白地部の地汚れ)を低減させ、画像品質に優れたトナーを得ることができる。しかしながらシリカ微粒子(A)のみの使用では、前述のように遊離したシリカ微粒子が感光体に付着し画像欠陥となって現れる可能性があり、そこで、無機微粒子(B)が大きな役割を果たす。
本発明において無機微粒子(B)は体積平均粒径D50(メディアン径)が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7のものである。適度な体積平均粒径D50と硬度を持った無機微粒子を用いることで、OPC感光体表面への付着物を研磨、除去する。すなわち、無機微粒子(B)の更なる添加により、シリカ微粒子(A)のみではなしえなかったトナーの耐久性・耐刷性を実現することができるものである。
また画像品質と耐久性・耐刷性のバランスの点から、シリカ微粒子(A)と無機微粒子(B)との配合比は、トナーの特性に大きく寄与するものである。シリカ微粒子(A)に対して無機微粒子(B)を添加する割合は、シリカ微粒子(A)1に対して無機微粒子(B)が1〜5の範囲で用いることが好ましい。シリカ微粒子(A)1に対する無機微粒子(B)の量が1よりも少なくなると、無機微粒子(B)による研磨能力が及ばなくなり、感光体へのシリカ微粒子の付着が発生することになる。また5よりも大きくなると、逆に相対的なシリカ微粒子(A)の量が減少することになり、画像濃度の低下といった画像品質の低下が発生する。
以下シリカ微粒子(A)、無機微粒子(B)を始め、本発明の正帯電性トナーに用いることのできる材料、および製造条件等について詳述する。
本発明の正帯電性トナーに用いられるシリカ微粒子(A)は、上述の通りBET比表面積が50〜250m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有していることが必要である。ここでBET比表面積が50m2/gより小さい場合は、シリカ微粒子(A)がトナー母粒子に対して大きすぎるために、流動化剤としての機能が失われる。一方でBET比表面積が250m2/gより大きい場合は、シリカの持つ負帯電性が強くなりすぎるために、添加されたトナーの正帯電性を弱め、結果として十分な画像濃度を得ることができなくなる。
また、シリカ微粒子(A)に含まれる窒素含有量もトナーの帯電性や電気抵抗をコントロールするのに重要である。ここでシリカ微粒子(A)に含まれる窒素含有量が1000ppmよりも少ない場合は、窒素によってシリカ微粒子(A)の持つ負帯電性を十分緩和することができず、結果として添加されたトナーの正帯電性を弱め、十分な画像濃度を得ることができなくなる。また、窒素含有量が少なすぎるために添加されたトナーの電気抵抗が高くなり、その結果特に低温低湿環境において現像スリーブ上のトナー層が不均一になり、画像濃度むらが発生する。逆に窒素含有量が2000ppmよりも多い場合は、シリカ微粒子(A)の正帯電性が強まることになる。そのためシリカ微粒子(A)が添加されるトナーの正帯電性が強まり、結果として現像されるトナーの粒子数が減少し画像濃度が低下したり、正帯電性のトナー母粒子とシリカ微粒子(A)が電気的に反発し、シリカ微粒子(A)の遊離が発生しやすくなる。
シリカ微粒子(A)のBET比表面積の測定には、測定装置としてフローソーブII
2300(島津製作所社製)を利用した。また、シリカ微粒子(A)中の窒素含有量の測定には、測定装置として微量全窒素分析装置TN−110型(ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。
また、シリカ微粒子(A)の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜0.8重量部であることが好ましい。ここで0.1重量部よりも少ない場合、あるいは0.8重量部より多い場合には、十分な画像特性を得ることができない。また前述の通り、シリカ微粒子(A)の添加量は無機微粒子(B)の添加量に影響を受けることを考慮する必要がある。
シリカ微粒子(A)は、疎水化処理、表面処理を行わずそのまま用いてしまうと、特に高湿環境下においてシリカが吸湿し、かぶりの発生やトナーの機内飛散といった問題が発生したり、シリカ微粒子が感光体表面に付着し画像欠陥を引き起こしてしまう問題がある。そこでシリカ微粒子(A)には疎水化処理、表面処理を行い、疎水性を持たせる必要がある。シリカの疎水化処理、表面処理に用いることができる材料として、例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン類、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン等のオルガノクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のオルガノアミノシラン類、(以上シランカップリング剤)、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル等があるが、本発明においては、好適な電気抵抗特性を示し、かつ安定した帯電特性を持つ疎水性シリカを得ることができる点で、特にヘキサメチルジシラザンが好ましい。
シリカ微粒子(A)に窒素を含有させる製法としては、窒素を含んだシランカップリング剤を用いて、シリカ表面を疎水化処理する方法と、ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理反応において副生成物として発生し、シリカ内部に吸着するアンモニアを完全に除去せず、窒素含有量をコントロールする方法とがある。
このうち前者の製法として好ましくは以下のごとくである。未処理シリカ粒子の攪拌下に、オルガノアミノシラン類のシランカップリング剤を含むアルコール溶液を滴下しながら加えたのち、加熱乾燥させアルコールを除去することで、上記物性を有するシリカ微粒子(A)を得る。
また後者の製法では、ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理反応におけるヘキサメチルジシラザンの処理量や反応時間を、あるいは発生したアンモニアの脱離処理時間や温度を適宜調整することで、所望の窒素含有量を有するシリカ微粒子(A)を得ることができる。
本発明のシリカ微粒子(A)においてはBET比表面積および窒素含有量が重要であり、上記のいずれの製法を用いて製造しても問題はない。ただ、前者の定量的に窒素含有量をコントロールできるという長所と、後者に用いるヘキサメチルジシラザンのもつ、好適な電気抵抗値、帯電レベルを有する長所とを併せ持ったシリカ微粒子が得られるという点で、好ましいシリカ微粒子(A)の製法は両者を併せたもの、すなわち窒素を含んだシランカップリング剤とヘキサメチルジシラザンの両方を用いて、シリカ表面を疎水化処理する方法である。
本発明における無機微粒子(B)は、体積平均粒径D50が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7である必要がある。前述の通り、適度な体積平均粒径D50と硬度を持った無機微粒子(B)はOPC感光体表面の付着物に対する研磨剤として機能するが、無機微粒子(B)の体積平均粒径D50が0.2μmよりも小さい、あるいはモース硬度が5より小さいと、十分な研磨能力が得られず、感光体上の付着物を研磨・除去することができない。逆に無機微粒子(B)の体積平均粒径D50が3.5μmよりも大きい、あるいはモース硬度が7より大きいと、無機微粒子(B)の研磨能力が強すぎるために、OPC感光体上に傷をつけることになり好ましくない。研磨能力と体積平均粒径D50のバランスの点から、より好ましい無機微粒子(B)の体積平均粒径D50は0.3〜3.2μmである。
無機微粒子(B)の体積平均粒径D50の測定には、マイクロトラックFRA(マイクロトラック社製)を用いた。なお分散媒としてイソプロピルアルコールを用い、試料の超音波分散時間は3分である。
なお、好適な研磨能力をもった無機微粒子(B)を得るという点で、無機微粒子(B)の窒素吸着法によるBET比表面積は1〜10 m2 /gであることが好ましい。ここでBET比表面積が1m2 /gよりも小さいと、研磨能力が強すぎるために感光体上に傷をつける可能性があり、また10m2 /gよりも大きいと、逆に研磨剤としての能力を発揮できず、感光体上の付着物を研磨・除去することができない。また、より好ましい無機微粒子(B)のBET比表面積は1.5〜8 m2 /gである。
無機微粒子(B)に用いられる具体的な化合物として、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン複合酸化物や、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化セリウム等の無機酸化物があげられるが、中でもチタン複合酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、チタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムが画像特性を損なうことなく安定した研磨性を有する点で優れている。
また、無機微粒子(B)の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.5〜2.0重量部であることが好ましい。ここで0.5重量部よりも少ないと、十分な研磨能力が得られず、感光体上の付着物を研磨・除去しきれない。また2.0重量部より多い場合は、研磨能力が強すぎるためにOPC感光体に傷をつける危険性がある。この点から、より好ましい無機微粒子(B)の添加量は0.7〜1.5重量部である。また前述の通り、無機微粒子(B)の添加量はシリカ微粒子(A)の添加量に影響を受けることを考慮する必要がある。
本発明において好ましく用いられるチタン複合酸化物の製法として、焼結法を挙げることができる。ただ、本発明においては特定の体積平均粒径D50とモース硬度をもつ無機微粒子(B)を得ることが重要であり、無機微粒子(B)の製法は焼結法に限定されない。
例えば焼結法によるチタン酸カルシウムの製法としては、以下の通りである。二酸化チタン微粉体と炭酸カルシウム微粉体を混合し、加圧下で加熱することで、1000℃前後で炭酸カルシウム微粉体の炭酸が完全に飛びきってTiO2とCaOの拡散反応が始まり、チタン酸カルシウム粉体が得られる。得られたチタン酸カルシウム粉体を乾式粉砕、その後分級し特定の粒径と体積平均粒径D50をもったチタン酸カルシウム微粉体を得る。
上記焼結法にてチタン酸化合物を製造する場合、上記乾式粉砕工程で完全に除去できない粗大粒子によって、OPC感光体に傷を付けることを防止するため、乾式粉砕工程の後に湿式粉砕工程を有することが好ましい。湿式粉砕工程には、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌式ミル等が用いられる。中でも媒体攪拌式ミルが好ましく、マイクロビーズを充填した粉砕メディアを使用することが好ましい。
さらに湿式粉砕工程からスラリー状で取り出した後、篩い工程により粗大粒子を除去することができる。篩いの種類としては振動篩い機、超音波振動篩い機、ジャイロシフター等を用いることができる。その際に篩いに使用するメッシュの目開きは60μm以下のものを用いることが好ましい。更には30〜50μmの範囲が好ましい。メッシュの目開きが大きすぎると、粗大粒子が篩いを通過し、目開きが小さすぎると、篩いの通過に時間がかかり、生産性が悪くなる。篩い工程を通過したあと、フィルタープレス等で濾過し、50〜300℃で乾燥させ完全に水分を除去する必要がある。乾燥凝集をハンマーミルや高速ミキサー、もしくはスプレードライヤー等の解砕手段により解砕することで、特定の粒径、粒度分布のチタン酸化合物の微粉体を得ることができる。
本発明の正帯電性トナーにおいて用いられる結着樹脂としては、従来から、トナーの結着樹脂として公知のもののいずれもが使用可能である。使用することのできる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などがあげられる。
スチレン系重合体に包含されるスチレン系共重合体において、スチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチルなどの二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;等のビニル単量体があげられる。これらは、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
架橋されたスチレン系共重合体を製造する際に用いられる架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が単独でもしくは混合物として用いられる。スチレン系重合体としては、GPCにより測定される分子量分布で3×103 〜5×104 の領域に少なくともひとつのピークを有し、105 以上の領域に少なくとも他の一つのピークあるいはショルダーを有するスチレン系共重合体が定着性の点から好ましい。
なお、ビニル重合体の製造に当たっては重合開始剤が用いられる。重合開始剤としては、従来公知のものの何れをも用いることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエ−ト、ジターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどが従来好ましく用いられている。重合開始剤のビニルモノマーに対する使用割合は、0.2〜5質量%が一般的である。重合温度は、使用するモノマーおよび開始剤の種類に応じ適宜選定される。
一方、ポリエステル樹脂も本発明の正帯電性トナーに用いる結着樹脂として好ましいものである。ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェニールA、また下記一般式1で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010078893
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
酸成分としては、二価のカルボン酸として、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が好ましいものとして挙げられ、一方、架橋成分としてはたらく三価以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が好ましいものとして挙げられる。また前記多価カルボン酸に加え、安息香酸等の一価のカルボン酸を添加することも、トナーの定着性を改善する上で好ましい。
好ましいアルコール成分は、前記一般式で表されるビスフェノール誘導体であり、好ましい酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類である。
またポリエステル樹脂の架橋成分としては、前記述べた三価以上のカルボン酸、三価以上の多価アルコール類を用いることに加え、多価イソシアネート化合物を用いてウレタン架橋(イソシアネート架橋)することも好ましいものとして挙げられる。ウレタン変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂に多価イソシアネート化合物を添加し、溶融混練により、混合、反応させることによって得ることができる。多価イソシアネートを用いる架橋反応は、ポリエステル樹脂中の水酸基とイソシアネート基との付加反応によりなされ、ウレタン結合を得るものであり、大変反応性に富み、特に溶融混練の工程での短い反応時間で確実に架橋したり、分子量の増加をさせたりするのには適した化合物である。
多価イソシアネート化合物としては、2価以上のイソシアネート基を有する化合物であって、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート等を挙げることができる。
本発明において、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、その酸価は、トナーとしての酸価が40mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が40mgKOH/g以下であれば高湿下に長期間放置後の摩擦帯電性の著しい低下を防止でき好ましい。さらに30mgKOH/g以下であれば、複写枚数の増加に伴う摩擦帯電性も安定するのでより好ましい。特に、1〜20mgKOH/gの範囲にトナーの酸価が入るポリエステル樹脂の場合は、高湿度下に長期間放置後にも摩擦帯電性の低下が起こらず、キャリアと振とうすることで放置前の帯電量に完全に復帰し、しかも、帯電速度も良好であり、帯電量が複写枚数の増加に伴い徐々に増加することもないので好ましい。
なお、本発明において、酸価の測定はJIS K−0070の方法に準じて行うことができる。酸価はトナー1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数で表す。ただし、トナーが磁性体を含有する場合は、磁性体を酸で溶出させた残分をトナー1gとする。
また、本発明においては、ビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体のようなビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合されたハイブリッド樹脂も用いることができる。ビニル系樹脂としては、カルボキシル基あるいは水酸基を有するモノマーが重合単位として含まれることが好ましい。他の重合単位としては、上記ビニル系重合体において例示されたモノマーが適宜用いられる。さらにポリエステルユニットを形成する単量体成分としては、ポリエステル樹脂を製造するために用いられる上記アルコール成分、酸成分などが用いられる。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は50〜70℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、本発明においては示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した時のTg以下のベースラインの延長線と、Tg近傍の吸熱カーブの接線との交点の値を求め測定した。
本発明の正帯電性トナーにおいて用いられる着色剤としては、従来トナーに使用される、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各有機顔料、カーボンブラック、磁性体が使用可能である。
イエローの有機顔料としては、ベンズイミダゾロン化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、139、147、150、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。中でもベンズイミダゾロン化合物を用いることが好ましい。
マゼンタの有機顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、255等が好適に用いられる。中でもキナクリドン化合物を用いることが好ましい。
シアンの有機顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が好適に用いられる。中でも銅フタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラックなど各種いずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボンの方が、画像特性においてかぶりが低減される効果があり好ましいものである。
本発明の正帯電性トナーが磁性トナーである場合には、トナー母粒子中にさらに磁性粉が含有される。磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどの強磁性金属や強磁性金属の合金の粉末、γ−酸化鉄、マグネタイト、フェライトなど鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどを含む化合物が使用できる。これらの磁性微粒子は窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜20m2/g、特に2.5〜12m2/g、さらにモース硬度が5〜7の磁性粉が好ましい。また、その平均粒子径は0.1〜0.8μmであり、この磁性粉の含有量は、トナー量に対して10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%とされる。
本発明の正帯電性トナーにおいては荷電制御剤を用いることが好ましい。具体的に使用できる荷電制御剤は、良好な正帯電性を付与できるものであり、ニグロシン染料、脂肪酸金属誘導体、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩化合物、ジオルガノスズオキサイド、ジオルガノスズボレート等を単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。中でもニグロシン染料を用いることが好ましい。また荷電制御剤は結着樹脂100部に対して、0.5〜10重量部で用いられ、0.7〜8重量部が優れた帯電性の保持、および現像性能の安定化の点で好ましい。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベース、或いはニグロシンベースをマレイン酸樹脂、キシレン樹脂等で変性したものが好ましく、具体的にはオリエント化学社製N−01,N−04,N−07、ニグロシンベースEX、中央合成化学社製CCA−1,CCA−3等があげられる。
四級アンモニウム塩化合物としては、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩、トリブチルベンジルアンモニウム−2−ヒドロキシ−8−ナフタレンスルホン酸塩、トリエチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩、トリプロピルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩、トリプロピルベンジルアンモニウム−2−ヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸塩、トリヘキシルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩、テトラオクチルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸塩等があげられる。具体的にはオリエント化学社製P−51,P−53、保土谷化学社製TP−302,TP−415等があげられる。
本発明に用いる荷電制御剤においては、荷電制御剤の体積平均粒径D50が3〜10μmの範囲であることが好ましい。ここでは、荷電制御剤の体積平均粒径D50はベックマンコールター社マルチサイザー3にて測定をおこなった。この範囲を満足することで、荷電制御剤の結着樹脂中への分散が均一になされ、トナーとして安定した正帯電量を保つことが可能となる。荷電制御剤の体積平均粒径D50が10μmを超えてしまうと、結着樹脂中に荷電制御剤を均一に分散することが困難になってしまい、結果として荷電制御剤の含有量の偏りが生じてしまい、カブリ、機内飛散の原因になってしまう。また荷電制御剤の体積平均粒径D50が3μmよりも小さくなると、単位重量あたりの荷電制御剤の比表面積が増大してしまい、トナーの帯電量の過度な上昇(チャージアップ)を引き起こしてしまうこととなり、低温低湿の環境下で現像スリーブ上の波模様が生じ画像欠陥に繋がり好ましくない。
本発明の正帯電性トナーに用いる離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン類、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の群の中から選ばれた離型剤が好適に用いられる。
本発明の正帯電性トナーに用いる離型剤は結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部であることが好ましい。離型剤の含有量が5重量部よりも多くなると、離型剤の含有量が過剰になり、結着樹脂中に均一に分散させることが難しくなり、結果として離型剤が偏在し、トナーを微粉砕する際に離型剤が遊離し、遊離した離型剤による感光体や現像スリーブへのフィルミングが発生し、現像画像の劣化が発生するとともに、トナーの流動性の低下、ブロッキング等の問題が発生する。
また0.5重量部よりも少なくなると、離型剤を添加する効果が見られず、定着性能が低下してしまい、オフセットが発生しやすくなってしまう。
また離型剤の酸価が2mgKOH/gを超える場合には、離型剤中に低分子量物が混入していることが多く、この低分子量物により定着時に臭気が発生したり、トナーの貯蔵安定性を悪化させるという問題が生じるため、用いない方が好ましい。
本発明の正帯電性トナーには、前述の材料以外にも、必要に応じて滑剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等、トナーの製造にあたり使用されている公知の添加剤を外添、あるいは内添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、また導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
本発明の正帯電性トナーは、前記の材料を、乾式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボールミル等により予備混合し、しかる後この混合物を熱ロール、ニーダー、一軸または二軸のエクストルーダー等の熱混練機によって溶融混練し、得られた混練物を冷却後粉砕し、必要に応じ所望の粒径に分級する方法により製造するのが好ましい。そして分級され得られたトナー母粒子は最終的に後処理工程において、外添剤を添加し最終的にトナーとされる。しかし、本発明の正帯電性トナーの製造方法については、この混練・粉砕法に限られるものではなく、例えば結着樹脂溶液中にトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥する方法、あるいは、結着樹脂を構成すべき単量体に所定材料を混合して乳化懸濁液とした後に重合させてトナーを得る方法等の従来公知の方法のいずれの方法によってもよいことは勿論である。本発明の正帯電性トナーは、体積平均粒径D50が3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。体積平均粒径の測定はベックマンコールター社製マルチサイザー3にて行った。
後処理工程は通常ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが用いられる。後処理工程はシリカ微粒子(A)、無機微粒子(B)のトナー表面上の付着状態を制御する上で重要な工程である。後処理工程条件の違いによりこれら外添剤の付着状態は大きく変わる。良好に画像品質と耐久性・対刷性のバランスを得るためには、通常ミキサーの周速で10〜40m/sec.の条件で混合することが好ましい。40m/sec.を超える条件で混合すると初期の画像濃度が低下する問題があり、一方、10m/sec.よりも低くなると外添剤が遊離してしまい無機微粒子(B)による研磨機能がはたらかず、感光体付着物を研磨・除去できないという問題が生じてしまう。
外添剤を添加、混合した後の最終工程として、トナー中の異物除去の目的で篩い工程を経てトナーは製造される。篩いの種類としては振動篩い機、超音波振動篩い機、ジャイロシフター等を用いることができる。その際に篩いに使用するメッシュの目開きがトナーの品質に影響を与える。本発明においては篩いのメッシュの目開きが40〜300μmのものを用いることが好ましく、さらには45〜180μmの範囲が好ましい。300μmよりも目開きの大きなメッシュを使用してトナーの製造を行うと、トナー母粒子に含まれる粗粒子がトナー中に混入したり、また外添剤の凝集体がトナー中に含まれてしまい、画像特性や研磨機能に弊害を来たしてしまう。すなわちトナー粗粒子や外添剤の凝集体の存在により、ベタ画像での白抜けが発生、白地部の斑点の発生、感光体上の傷、トナー成分の付着等の問題が起きてしまう。一方、40μmよりも目開きの小さなメッシュを使用してトナーの製造を行うと、トナーのメッシュ通過時に物理的ストレスを受けてしまいトナー表面が傷められてしまい、外添剤がトナーから脱落してしまい研磨機能、研磨抑制機能のバランスが損なわれてしまう。またメッシュの種類としては平織り構造が好ましく、綾織り構造のものも使用することは可能であるが、トナー表面の劣化を考えると好ましくない。これはメッシュの構造上綾織り構造の方が平織り構造と比べて、通過時に摩擦、接触によるストレスを受けやすいためである。
本発明の正帯電性トナーが二成分系乾式現像剤として用いられる場合には、キャリアが含まれる。本発明の正帯電性トナーとともに用いられるキャリアは、従来二成分系乾式現像剤において用いられるキャリアのいずれであってもよく、例えば、鉄粉等の強磁性金属あるいは強磁性金属の合金粉、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、バリウム等の元素から構成されるフェライト粉、マグネタイト粉等が好ましいものとして挙げられる。これらキャリアは、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン重合体、シリコーン樹脂等の樹脂で被覆されたものでよい。キャリアを樹脂により被覆する方法としては、被覆用樹脂を溶剤に溶解し、これを浸漬法、スプレー法、流動床法等によりコア粒子上に塗布し、乾燥させた後必要に応じ加熱して塗膜を硬化する方法等公知の任意の方法によることができる。またキャリアのSEMによる平均粒子径は、通常15〜200μm、好ましくは20〜100μmのものを用いることができる。
[実施例]
以下実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の態様がこれらの例に限定されるものではない。なお以下については、部数は全て重量部を表す。また下記の実施例、比較例の詳細な条件、結果を以下の表1、表2に示す。
結着樹脂 スチレン・n-ブチルアクリレート共重合体(Tg 61℃ 酸価 3mg /
g) 51.5部
着色剤 磁性体 (マグネタイト:比表面積 5.7m2/g) 45部
荷電制御剤 ニグロシン染料(ニグロシンベース:D50=7μm) 2部
離型剤 ビスコール660−P(三洋化成社製 分子量3000) 1.5部
上記成分を均一に混合した後、混練、粉砕、分級して体積平均粒径D50が10.0μmの正帯電性トナー母粒子を得た。
一方、比表面積130m2/gを有する未処理シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル130」)20部を高速回転ミキサーに入れ、8000rpmにて攪拌しながら、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製「Z−6011」)0.5部を90%エタノール10部で希釈した溶液を滴下しながら加え、得られたパウダードリキッドを、窒素ガス雰囲気下で110℃1時間加熱乾燥させることでエタノールを除去した。得られた粉末を再び高速回転ミキサーに入れ攪拌しながら、ヘキサメチルジシラザン(クラリアント社製)2部をヘキサン16部で希釈した溶液を滴下し、得られたパウダードリキッドを150℃4時間加熱乾燥させることで、シリカ微粒子(A−1)を得た。得られたシリカ微粒子(A−1)のBET比表面積は110m2/g、窒素含有量は1400ppmであった。
またさらに、二酸化チタン微粉体と炭酸カルシウム微粉体を混合し、一軸プレスで成形(成形圧1t/cm2 、金型16φ)したのち、試験炉(カンタル炉)で1000℃に加熱することで、チタン酸カルシウム粉体を得る。次いで、得られたチタン酸カルシウム粉体を、高速回転式粉砕機(ホソカワミクロン(株)社製パルベライザー)を用いて乾式粉砕し、チタン酸カルシウム微粉体を得る。得られたチタン酸カルシウム微粉体を、ボールミルで湿式粉砕することで、体積平均粒径D50が2.0μmであるチタン酸カルシウム微粒子(B−1)(モース硬度6)を得た。
上記トナー母粒子100部に対して、上記シリカ微粒子(A−1)0.3部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)1.0部を添加、混合して正帯電性磁性トナーを得た。
次にこのトナーを用いて、OPC感光体を搭載したプロセススピードが150mm/secの市販のアナログ複写機において、A4の用紙にて、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で4万枚の実写試験を行った。試験の結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.41、1.40であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.6、0.4であった。
なお、画像濃度はマクベス光度計を用いて行い、画像濃度は1.35以上の濃度であればよい。また、かぶりはフォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.0%以下が良好な値である。画像濃度及びかぶりの測定は、以下の実施例及び比較例においても同様な方法で行った。
[実施例2]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、未処理シリカ粒子の比表面積を90m2/gのもの(日本アエロジル社製「アエロジル90」)に代えることで、BET比表面積70m2/g、窒素含有量1400ppmのシリカ微粒子(A−2)を得た。このシリカ微粒子(A−2)を用いること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.38、1.38であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.6、0.5であった。
[実施例3]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、未処理シリカ粒子の比表面積を200m2/gのもの(日本アエロジル社製「アエロジル200」)に代えることで、BET比表面積180m2/g、窒素含有量1400ppmのシリカ微粒子(A−3)を得た。このシリカ微粒子(A−3)0.2部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)1.0部とを添加、混合し、実施例1と同様に正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.40、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.4であった。
[実施例4]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、用いるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を0.4部に代えることで、BET比表面積110m2/g、窒素含有量1100ppmのシリカ微粒子(A−4)を得た。このシリカ微粒子を用いること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.39、1.36であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.5であった。
[実施例5]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、用いるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を0.7部に代えることで、BET比表面積110m2/g、窒素含有量1950ppmのシリカ微粒子(A−5)を得た。このシリカ微粒子を用いること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用い、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.37、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.6、0.6であった。
[実施例6]
実施例1において、トナー母粒子に添加するシリカ微粒子(A−1)量を0.2部に代えること、およびトナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が1.50μm、モース硬度が5.5であるチタン酸ストロンチウムSrTiO3(B−2)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.37、1.39であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.5、0.6であった。
[実施例7]
実施例1において、トナー母粒子に添加するシリカ微粒子(A−1)量を0.8部に代えること、およびトナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が1.50μm、モース硬度が5.5であるチタン酸ストロンチウムSrTiO3(B−2)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.40、1.38であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.5であった。
[実施例8]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が0.30μmであるチタン酸カルシウム微粒子(B−3)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.40、1.38であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.5であった。
[実施例9]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が3.00μmであるチタン酸カルシウム微粒子(B−4)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.38、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.6、0.4であった。
[実施例10]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が1.30μm、モース硬度が7である二酸化ケイ素SiO2(B−5)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.38、1.36であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.8、0.6であった。
[実施例11]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)の量を0.5部に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.39、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.4であった。
[実施例12]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)の量を1.5部に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.38、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.5、0.4であった。
[実施例13]
結着樹脂 ポリエステル樹脂(酸成分:テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリッ ト酸 アルコール成分:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビ スフェノールAエチレンオキサイド付加物 Mw 4万 Tg 58℃ 酸 価 11mgKOH/g) 86部
着色剤 カーボンブラック(pH10,比表面積:115m2/g) 8部
荷電制御剤 四級アンモニウム塩化合物 1部
トリフェニルメタン系染料 0.5部
離型剤 ビスコール660−P(三洋化成社製 分子量3000) 4.5部
上記成分を均一に混合した後、混練、粉砕、分級して体積平均粒径D50が11.5μmの正帯電性非磁性トナー母粒子を得た。この非磁性トナー母粒子100部に対し、上記シリカ微粒子(A−1)0.4部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)0.5部を添加、混合して正帯電性非磁性トナーを得た。
上記正帯電性非磁性トナー6部と、シリコーン樹脂で被膜されたフェライトキャリア(SEMによる平均粒子径60μm)94部をステンレス缶に入れ、クロスロータリーにて30分混合し、80メッシュの篩を通すことで、正帯電性現像剤を得た。
次にこの現像剤を用いて、OPC感光体を搭載したプロセススピードが225mm/secの市販のアナログ複写機において、A4の用紙にて、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で4万枚の実写試験を行った。試験の結果、感光体上へのトナーの付着は見られず、また感光体上の傷も認められなかった。さらに4万枚実写後でも画像濃度は安定しており、かぶりは少なく、機内のトナー飛散、画像汚れ等も見られなかった。なお、初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.40、1.38であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.7、0.5であった。
[比較例1]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、未処理シリカ粒子の比表面積を300m2/gのもの(日本アエロジル社製「アエロジル300」)に代えることで、BET比表面積280m2/g、窒素含有量1400ppmのシリカ微粒子(A−6)を得た。このシリカ微粒子(A−6)を用いること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着や感光体上の傷は見られなかったものの、画像濃度が低く目標の1.35に達しなかった。初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.33、1.30であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.4、0.3であった。
[比較例2]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、未処理シリカ粒子の比表面積を50m2/gのもの(日本アエロジル社製「アエロジル50」)に代えることで、BET比表面積40m2/g、窒素含有量1400ppmのシリカ微粒子(A−7)を得た。このシリカ微粒子(A−7)0.5部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)1.0部とを添加、混合し、実施例1と同様に正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着や感光体上の傷は見られなかったものの、4万枚複写時の画像濃度が低く目標の1.35に達しなかった。初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.34、1.32であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.5、0.4であった。
[比較例3]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、用いるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を0.3部に代えることで、BET比表面積110m2/g、窒素含有量800ppmのシリカ微粒子(A−8)を得た。このシリカ微粒子(A−8)0.5部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)1.0部とを添加、混合し、実施例1と同様に正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着や感光体上の傷は見られなかったものの、初期のかぶりが多く目標の1.0を超えてしまった。初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.39、1.37であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々1.2、1.0であった。
[比較例4]
実施例1中のシリカ微粒子(A−1)の製造方法において、用いるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を0.8部に代えることで、BET比表面積110m2/g、窒素含有量2280ppmのシリカ微粒子(A−9)を得た。このシリカ微粒子(A−9)0.5部と、上記チタン酸カルシウム微粒子(B−1)1.0部とを添加、混合し、実施例1と同様に正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、感光体上へのトナーの付着や感光体上の傷は見られなかったものの、画像濃度が低く目標の1.35に達しなかった。初期及び4万枚複写時の画像濃度(I.D.)は各々1.34、1.31であり、また初期及び4万枚複写時のかぶりは各々0.5、0.2であった。
[比較例5]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が0.15μmであるチタン酸カルシウム微粒子(B−6)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、7000枚を過ぎたあたりから、研磨効果が十分でない場合に起こる複写紙上の黒点(ブラックスポット)の発生が認められた。また感光体を確認したところ、トナーの付着が見られたことから実写試験を中止した。
[比較例6]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が3.70μmであるチタン酸カルシウム微粒子(B−7)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、1万枚を過ぎたあたりから複写紙上に筋の発生が認められ、感光体を確認したところ、感光体上に研磨による傷が確認されたため実写試験を中止した。
[比較例7]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が1.30μm、モース硬度が3である炭酸カルシウムCaCO3(B−8)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、6500枚を過ぎたあたりから、研磨効果が十分でない場合に起こる複写紙上の黒点(ブラックスポット)の発生が認められた。また感光体を確認したところ、トナーの付着が見られたことから実写試験を中止した。
[比較例8]
実施例1において、トナー母粒子に添加するチタン酸カルシウム微粒子(B−1)を体積平均粒径D50が1.20μm、モース硬度が9である炭化チタンTiC(B−9)に代えること以外は、実施例1と同様にして正帯電性磁性トナーを得た。このトナーを用いて、実施例1と同様に実写試験を行った結果、3000枚を過ぎたあたりから複写紙上に筋の発生が認められ、感光体を確認したところ、感光体上に研磨による傷が確認されたため実写試験を中止した。
以下表1に使用したシリカ微粒子(A)および無機微粒子(B)の一覧を、表2に画像試験結果を示す。
Figure 2010078893
Figure 2010078893
本発明の正帯電性トナーはOPC感光体を用いた画像形成装置に好ましく用いることができ、また優れた画像品質を持つと同時に耐久性や耐刷性に優れたトナーを提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子と複数の外添剤とからなる、有機感光体を用いた画像形成装置に用いる正帯電性トナーであって、外添剤が窒素吸着法によるBET比表面積が50〜250 m2 /gであり、かつ窒素を1000〜2000ppm含有するシリカ微粒子(A)と、体積平均粒径D50が0.2〜3.5μmであり、かつモース硬度が5〜7である無機微粒子(B)とからなることを特徴とする正帯電性トナー。
  2. シリカ微粒子(A)の含有量が、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜0.8重量部、かつ無機微粒子(B)の含有量が、トナー母粒子100重量部に対して、0.5〜2.0重量部であることを特徴とする請求項1記載の正帯電性トナー。
  3. 無機微粒子(B)がチタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の正帯電性トナー。
  4. シリカ微粒子(A)が少なくともヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の正帯電性トナー。
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