JP2010078639A - 波長変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】少ない工程で製造が可能であり、被波長変換光の波長の許容範囲が広くかつ簡便に利用可能である。
【解決手段】自発分極ベクトルの向きに直交する平面でカットされた平行平板単一ドメイン強誘電体結晶基板10に周期的分極反転構造が形成されており、入射される被波長変換光の波長を周期的分極反転構造に基づく擬似位相整合により変換する波長変換素子である。被波長変換光及び波長変換光が伝播する方向が、強誘電体結晶の自発分極ベクトルの方向と直交する方向であって、かつ周期的分極反転構造の非分極反転領域12と分極反転領域14との境界面sを通過することが可能な方向に、被波長変換光及び波長変換光を導波する光導波路16が形成されている。この光導波路の規格化プロトン濃度が当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化している。
【選択図】図1

Description

この発明は、擬似位相整合(QPM: Quasi-Phase matching)による波長変換を実現するための波長変換素子及びその製造方法に関する。
被波長変換光の波長を、周期的分極反転構造に基づくQPMにより変換する波長変換素子(以後、QPM波長変換素子ということもある。)は、入力光である被波長変換光の波長の許容範囲が狭いことが、利用上の制約要因のひとつである。そこで、この被波長変換光の波長の許容範囲を広げるための工夫が従来からなされてきた。
また、多くのQPM波長変換素子は、被波長変換光のうち波長変換光に移動するエネルギーの割合(以後、波長変換効率ということもある。)を大きくするために、光導波路が利用されている。
上述の被波長変換光の波長の許容範囲を広げるための工夫の一つとして以下の手法が知られている。
すなわち、この光導波路の導波方向に沿った等価屈折率(effective guide index)を漸次増大あるは減少するように形成することによって、分極反転構造の周期が幾何学的に一様に形成されていても、この光導波路を導波する被波長変換光の位相速度は光導波路の導波方向に沿って漸次減少あるいは増大するため、分極反転構造の周期が漸次増大あるは減少しているのと等価の状態となる。
このため、分極反転構造の周期は、単一ではなく、光導波路の位置によって異なる大きさとなる。すなわち、複数の分極反転構造の周期をもつ分極反転が直列に形成されていることと等価となり、光導波路の位置によって波長変換が実現される波長が異なるので、結果としてこの光導波路を伝播する被波長変換光の波長の許容範囲が広がる。
導波方向に沿った等価屈折率を漸次増大あるは減少するように光導波路を形成する方法として以下の方法が開示されている。
強誘電体結晶基板であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板の+c面に、c軸方向に沿って漸次膜厚が増大する酸化マグネシウム(MgO)からなる付加層をスパッタ法により成膜する。この付加層は、入射端面では最も薄く、導波方向に沿って膜厚が増加して出射端面では最も厚く形成されている。次に、LiNbO3基板にMgOを熱拡散させる熱処理を行い、MgOがドープされた領域を+c面近傍に有するLiNbO3基板を形成する。この工程を実施することによって、導波方向に沿って、MgO濃度が増加するとともに、光導波路の等価屈折率が漸次減少する光導波路を形成できる(特許文献1参照)。
上述の導波方向に沿った等価屈折率を漸次増大あるは減少するように光導波路を形成する方法は、複雑な工程を必要とする。すなわち、光導波路を形成するLiNbO3基板表面近傍に屈折率分布を形成するための不純物拡散工程、及び光導波路を形成するためのプロトン交換工程の少なくとも2工程を必要とする。この他、光導波路の伝播損失を小さくするため、プロトン交換工程後に熱処理工程がなされる。従って、合計3工程を必要とする。
被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを目的に、導波方向に沿った等価屈折率を漸次増大あるは減少する光導波路を具えるQPM波長変換素子の他の例として以下の素子が開示されている(特許文献2参照)。すなわち、周期的分極反転領域を通過する光導波路の上部に、この光導波路のクラッド層の役割を果たす酸化シリコン膜が形成され、この厚みが光導波路の導波方向に沿って漸次増加している構成とする。
このように構成することによって、光導波路の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させることにより、被波長変換光の波長の許容範囲の拡大を図っている。しかしながらこの構成の波長変換素子を形成するには、厚みが光導波路の導波方向に沿って漸次増加する酸化シリコン膜を形成する工程が必要となる。
上述した特許文献1及び2に開示された、被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを目的とする波長変換素子を形成するために必要とされる各工程を実施するには多くの時間を必要とする。また、不純物拡散工程あるいはプロトン交換工程後の熱処理工程では多くの電力を必要とする。これに伴い、製造コストが増大する。
また、被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを目的に、上述の手法とは異なる手法を用いた波長変換素子が開示されている(特許文献3参照)。この波長変換素子は、周期的分極反転構造の非分極反転領域と分極反転領域との境界面と導波方向とのなす角が漸次変化するように光導波路を曲げて形成する手法がとられている。
非分極反転領域と分極反転領域との境界面と導波方向とのなす角が変化することによって、光導波路を導波される被波長変換光及び波長変換光に対する分極反転構造の周期が変化する。このことによって、被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを実現している。しかしながら、この構成の波長変換素子の光導波路にあっては、光導波路の湾曲部分において、被波長変換光及び波長変換光の高次伝播モードが励起され、多モード導波路となる。このため波長変換効率が低下するという結果を招来する。
被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを目的とする波長変換素子を実現するために、周期的分極反転構造を形成する分極反転領域と非分極反転領域の繰り返し構造の少なくとも一箇所に分極反転領域あるいは非分極反転領域を重複して配置する箇所を設ける手法が開示されている(特許文献4参照)。このような構成とすることによって、周期的分極反転構造の周期から決定される被波長変換光の波長から僅かにずれた波長の被変換光を波長変換する際に発生する被波長変換光と波長変換光との位相ずれが、分極反転領域あるいは非分極反転領域が重複して配置されている箇所において修正される効果が得られる。これによって、被波長変換光の波長の許容範囲の拡大が実現されている。
また、被波長変換光及び波長変換光の消衰場(Evanescent Field)が到達する、光導波路の導波方向に沿った両側の領域に周期の異なる周期的分極反転領域を直列して作り込むことによって、これらの全ての周期から決定される被波長変換光の波長を複数用意することで被波長変換光の波長の許容範囲を拡大する手法が開示されている(特許文献5参照)。
しかしながら、上述の特許文献4あるいは5に開示された波長変換素子の製造においては、複数種類の周期的分極反転領域を形成する必要があり、製造プロセスが複雑となる。
また、被波長変換光の波長の許容範囲を広げることを目的とする波長変換素子であって、波長変換動作中に光導波路の温度分布を導波方向に沿って漸次変化するように設定する。このような条件下で動作させることによって、光導波路の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させ、被波長変換光の波長の許容範囲の拡大を図る方法が開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、上述の特許文献6に開示された手法による波長変換は、波長変換動作中に光導波路の温度分布を導波方向に沿って漸次変化するように設定する構造を波長変換素子に作りつけておく必要がある。このため素子の構造が複雑となり、かつ動作を実施する際に光導波路の温度分布を制御することが必要となる。従って、簡便に利用できる波長変換素子とはいえない。
一方、プロトン交換法によってLiNbO3基板に形成された光導波路は、入力される被波長変換光の強度が閾値を超えると光損傷が起こるという問題を有している。光損傷とは、入射光である被波長変換光の光電場に起因して誘起される電気光学効果によって光導波路の屈折率が変化し、光導波路構造が消失する現象である。
光損傷が発現する入力光強度の最小値を光損傷閾値という。光損傷閾値が大きな光導波路ほど実用上の利用価値が高い。従って、これまで光損傷閾値を高めるための工夫が研究されてきた。LiNbO3基板に形成される光導波路の光損傷閾値を高くするための手法の一つとして、光導波路を形成するLiNbO3基板としてMgOがドーピングされたLiNbO3基板を利用することが知られている。そして、LiNbO3結晶へのMgOドープ量が5モルパーセントを超えると、光損傷閾値はそれ以上高くならないことが知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
従って、上述した特許文献1に開示されている、導波方向に沿った等価屈折率を漸次増大あるは減少するように光導波路を形成する方法によって光導波路を形成するに当たり、この光導波路のMgO濃度が最小となる部分のMgOドープ量を、5モルパーセントを超えるように設定すれば、耐光損傷に優れる光導波路を形成することが可能である。しかしながら、MgOドープ量を増やすとこのLiNbO3基板に形成される光導波路の損失が増大し、また非線形光学係数の低下が起こり、波長変換効率が低下するという結果を招来する。
特開平5-346602号公報 特開平5-333391号公報 特開2002-350915号公報 特開平4-333833号公報(特許第3033855号公報) 特開平11-337990号公報 特開平5-341340号公報 西原、春名、栖原、光集積回路(改定増補版)、オーム社、171ページ、(1993年) D. A. Bryan, et al., "Increased optical damage resistance in lithium niobate", Applied Physics Letters, vol. 44, No. 9, pp. 847-849 (1984).
上述した従来の波長変換素子及び波長変換素子の製造方法は、製造工程が多くかつ複雑であるという問題を抱えている。また、波長変換素子そのものの構造が複雑で簡便に利用することが難しいという問題を抱えている。
そこで、この発明の目的は、被波長変換光の波長の許容範囲が広い波長変換素子であって、光損傷が発生しにくい光導波路を具え、かつ少ない工程で製造が可能であり、簡便に利用可能である波長変換素子及びこの波長変換素子を製造する方法を提供することにある。
この発明の発明者は、被波長変換光の波長の許容範囲が広い波長変換素子が具える、等価屈折率が導波方向に沿って漸次変化しているという特徴を有する光導波路を形成するに当たり、プロトン交換及び又はプロトン交換後の熱処理を行う際に、導波方向に沿って温度勾配を与えて実施するという手法をとるのが好適であることに思い至った。
すなわち、このような手法によれば、MgOからなる付加層を形成する工程を必要とせずに、等価屈折率が導波方向に沿って漸次変化している光導波路を具える波長変換素子を実現できる。
上述の目的を達成するため、この発明の波長変換素子は、自発分極ベクトルの向きに直交する平面でカットされた平行平板単一ドメイン強誘電体結晶基板に周期的分極反転構造が形成されており、入射される被波長変換光の波長を周期的分極反転構造に基づく擬似位相整合により変換する波長変換素子であって、以下の特徴を具えている。
被波長変換光及び波長変換光が伝播する方向が、強誘電体結晶の自発分極ベクトルの方向と直交する方向であって、かつ周期的分極反転構造の非分極反転領域と分極反転領域との境界面を通過することが可能な方向に、被波長変換光及び波長変換光を導波する光導波路が形成されている。そして、この光導波路の規格化プロトン濃度が当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化しており、この光導波路の等価屈折率が当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化している。
光導波路は、プロトン交換法によって形成されるプレーナ型の光導波路とするのが好適である。また、強誘電体結晶を、MgOがドープされたLiNbO3とするのが好適である。
この発明の波長変換素子は、以下の第1〜第3の方法で製造することが可能である。
すなわち、第1の波長変換素子の製造方法は、マスク形成工程とプロトン交換工程とを含む製造方法である。このうち、マスク形成工程は、後述の第2及び第3の波長変換素子の製造方法においても共通に含まれる工程である。
マスク形成工程は、周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶基板の周期的分極反転構造が形成されている主平面に光導波路を形成するための長方形の開口部を設けたプロトン交換マスクを形成する工程である。
プロトン交換工程は、開口部に露出した強誘電体結晶基板領域に対するプロトン交換を、この領域の温度が開口部の長手方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら行う工程である。
第2の波長変換素子の製造方法は、通常のプロトン交換工程、すなわち上述の温度勾配を与えず、開口部に露出した強誘電体結晶基板領域の温度を一定にしてプロトン交換工程を行い、この工程が終了した後に、光導波路を、この光導波路の導波方向に沿って強誘電体結晶の温度が漸次変化する温度勾配を与えるように、熱処理する熱処理工程を含む製造方法である。
第3の波長変換素子の製造方法は、第1の波長変換素子の製造方法が含むプロトン交換工程と、第2の波長変換素子の製造方法が含む熱処理工程とを両方含む製造方法である。
上述の第1〜第3の波長変換素子の製造方法において、強誘電体結晶として、MgOがドープされたLiNbO3結晶を利用することが好適である。また、プロトン交換のプロトン源として、安息香酸(Benzoic acid)を利用することが好適である。
この発明の波長変換素子によれば、被波長変換光の波長の許容範囲を広くすることを目的とする、光導波路の等価屈折率の導波方向に沿った分布を、規格化プロトン濃度を制御することによって実現している。すなわち、光導波路の規格化プロトン濃度を当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化させることにより、この光導波路の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させた構造となっている。そのため、この発明の波長変換素子を製造するに当たって、従来の方法で必要とされたMgOからなる付加層の形成を必要がない。
このためこの発明の波長変換素子は、少ない製造工程によって形成可能な波長変換素子である。また、この発明の波長変換素子は、使用時に光導波路の温度分布を導波方向に沿って漸次変化するように設定するための構造を作りつけておく必要がなく簡素な構造とすることが可能である。また、この発明の波長変換素子を使用して波長変換を実施する際に光導波路の温度分布を制御することも必要ないので、簡便に利用できる波長変換素子であるといえる。
強誘電体結晶基板としてMgOがドープされたLiNbO3結晶基板を利用することで、この基板にプロトン交換法で形成されるプレーナ型の光導波路は、MgOがドープされていることに起因して耐光損傷性に優れた光導波路となる。
また、この発明の第1の波長変換素子の製造方法によれば、光導波路を形成する工程であるプロトン交換工程が、光導波路の導波方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら実施される。温度が高いほど規格化プロトン濃度が高くなるので、このような温度勾配を与えてプロトン交換処理を施すと、光導波路の導波方向に沿って温度勾配を反映して等価屈折率が漸次高くなるように形成される。
この発明の第2の波長変換素子の製造方法によれば、プロトン交換処理によって光導波路が形成された後、引き続いてこの光導波路の導波方向に沿って強誘電体結晶の温度が漸次変化する温度勾配を与えるように熱処理する、熱処理工程が実施される。H+のLiNbO3結晶中での熱拡散は高温度であるほど促進されるので、この熱処理工程によって、H+のLiNbO3結晶基板面からの拡散深さが高温であるほど深くなる。このことによって、光導波路の等価屈折率が熱処理時の温度勾配を反映して、導波方向に沿って等価屈折率が漸次変化する光導波路を形成することが可能となる。
この発明の第3の波長変換素子の製造方法によれば、第1の波長変換素子の製造方法が含むプロトン交換工程と、第2の波長変換素子の製造方法が含む熱処理工程の両方を含んでいるので、両工程において得られる効果を相乗した効果が得られる。すなわち、第3の波長変換素子の製造方法によれば、被波長変換光の波長の許容範囲を広くすることを目的とする、光導波路の等価屈折率の変化分布を一層効果的に形成することが可能である。
以下、図1〜図9を参照して、この発明の入出射端につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。
<波長変換素子>
図1を参照して、この発明の実施形態の波長変換素子の構造を説明する。図1はこの発明の実施形態の波長変換素子の概略的斜視図である。
この発明の実施形態の波長変換素子は、自発分極ベクトル(上向き及び下向きの矢印で示してある。)の向きに直交する平面(10a及び10bで示してある。)でカットされた平行平板単一ドメイン強誘電体結晶基板10に周期的分極反転構造が形成されており、入射される被波長変換光の波長を周期的分極反転構造に基づく擬似位相整合により変換する波長変換素子である。
被波長変換光及び波長変換光が伝播する方向が、強誘電体結晶の自発分極ベクトルの方向と直交する方向であって、かつ周期的分極反転構造の非分極反転領域12と分極反転領域14との境界面sを通過することが可能な方向に、被波長変換光及び波長変換光を導波する光導波路16が形成されている。この光導波路16の規格化プロトン濃度が当該光導波路16の導波方向に沿って漸次変化しており、この光導波路10の等価屈折率が当該光導波路16の導波方向に沿って漸次変化している。
この発明の入出射端の波長変換素子は、強誘電体結晶としてLiNbO3結晶が利用されている。LiNbO3結晶は、酸化リチウム(Li2O)と酸化ニオブ(Nb2O5)を要素とし、両者が1対1の組成で構成される複酸化物結晶である。このLiNbO3結晶を構成するLi+イオンをH+イオンに置換することによって屈折率を高めることができ、光導波路を形成することが可能である。このLi+イオンをH+イオンに置換する方法が、プロトン交換法あるいはH+-Li+イオン交換法と呼ばれる方法である。単位体積当たりのH+イオンに置換されたLi+の数が多いほど屈折率は高くなる。すなわち、LiNbO3結晶において、Li+と交換されたH+のLiNbO3結晶中の濃度(規格化プロトン濃度)が高いほど屈折率は大きくなる。
ここで、規格化プロトン濃度ξとは、プロトン交換処理によってLi+と交換されたH+のLiNbO3結晶中の濃度をいう。すなわち、規格化プロトン濃度ξは、LiNbO3結晶中のH+の濃度をCH、LiNbO3結晶中のLi+の濃度をCLiとするとξ=CH/(CH+CLi)で与えられる。
図1では、光導波路16の等価屈折率が当該光導波路16の導波方向に沿って漸次変化している様子を模式的に白黒の濃淡で示してある。図1に示す光導波路16は、強誘電体結晶基板10の主平面10aにリッジ等の凸部を形成することによらず、主平面10a直下の部分のみを高屈折率領域(光導波領域)として形成されたプレーナ型の光導波路である。
図1において、光導波路16の等価屈折率が漸次変化している様子を白黒の濃淡で表しているが、濃淡の度合いが屈折率の値を定量的に表しているわけではなく、単に等価屈折率が漸次変化しているのか均一であるのかの区別をつけているに過ぎない。すなわち、以後に示す図において同様の光導波路の一部が同一の濃さであらわされていても、両者の光導波路の同一濃度で示された対応部分が同一の屈折率の値となっていることを示したものではない。
プロトン交換法によってLiNbO3基板に形成された光導波路の特徴である光損傷の発生を抑圧するために、強誘電体結晶基板10としてMgOがドープされたLiNbO3結晶基板が利用されている。
周期的分極反転構造は、非分極反転領域12と分極反転領域14とを交互に周期的に具えて構成されている。非分極反転領域12と分極反転領域14とは、波長変換素子を構成する素材である強誘電体結晶の自発分極の向きが互いに180゜をなす関係となっている。
自発分極ベクトル(上向き及び下向きの矢印で示してある。)の向きに直交する平面(10a及び10bで示してある。)でカットされた平行平板単一ドメイン強誘電体結晶基板をcカットされた基板と呼ぶ。すなわち、単一ドメイン強誘電体結晶基板は、その表面に垂直な方向に自発分極の向きが揃えられているシングルドメイン結晶基板である。自発分極ベクトルの終端側の面を+c面、自発分極ベクトルの初端側の面を-c面と呼ぶこともある。
分極反転領域14は、単一ドメイン結晶基板であるcカットされたLiNbO3基板の自発分極ベクトルの向きを反転させて形成される。したがって、周期的分極反転構造は、単一ドメイン結晶基板としての自発分極が保たれているドメイン(非分極反転領域12)と自発分極の方向が反転されたドメイン(分極反転領域14)とで構成される。すなわち、非分極反転領域12の自発分極ベクトルの向きは-c面から+c面に向かう方向であるのに対して、分極反転領域14の自発分極ベクトルの向きは+c面から-c面に向かう方向である。
周期的分極反転構造は、強誘電体結晶の+c面から-c面に貫通して形成されている。非分極反転領域12の幅はLuであり分極反転領域14の幅はLdである。周期的分極反転構造の周期Λは、Lu+Ldで与えられる。波長変換を実現する擬似位相整合条件は、この周期的分極反転構造の周期Λの関数として与えられる。
光導波路は、一般的に強誘電体結晶の自発分極ベクトルの方向と直交する方向であって、かつ周期的分極反転構造の非分極反転領域12と分極反転領域14との境界面sを通過することが可能な条件で形成されていればよい。図1に示す実施形態の波長変換素子では、被波長変換光及び波長変換光が伝播する方向が、周期的分極反転構造の非分極反転領域12と分極反転領域14との境界面sに対して直交するように、光導波路16が形成されている。
<波長変換素子の製造方法>
図2(A)〜(D)を参照して、LiNbO3結晶基板に周期的分極反転構造を形成する方法について説明する。図2(A)〜(D)は、LiNbO3基板に周期的分極反転構造を形成する方法の説明に供する図であって、それぞれ基板面に直交しかつ光の伝播方向に沿ってとった断面で示してある。なお、図中、断面を表すハッチングの一部を省略して示してある。図2(A)はcカットの単一ドメイン平行平板LiNbO3結晶基板の断面を示す図であり、図2(B)は-c面に分極反転パターンが形成されたcカットの単一ドメイン平行平板LiNbO3結晶基板の断面を示す図であり、図2(C)はパルス状の電圧を印加して分極反転構造を形成する工程の説明に供する図であり、図2(D)は周期的分極反転構造の形成工程が終了した時点でのLiNbO3基板の構造の説明に供する図である。
図2(A)に示すように、実施形態の波長変換素子の製造に利用する強誘電体結晶基板10は、cカットの単一ドメイン平行平板LiNbO3結晶基板である。自発分極ベクトルの向きを矢印で示してある。強誘電体結晶基板10の厚みは、500μmである。
図2(B)に示すように、強誘電体結晶基板10であるLiNbO3基板の-c面に、フォトリソグラフィー等の周知の技術を用いて、波長変換を実現させる擬似位相整合条件を満たす周期で間隔を隔てて複数の絶縁膜18を配置することで分極反転パターンを形成する。
周期的分極反転構造を形成する工程は、図2(C)に示すように、図2(B)に示す分極反転パターンが形成された強誘電体結晶基板10を、液体金属電極としての役割を果たす塩化リチウム水溶液24に浸す。具体的には、塩化リチウム水溶液24を容器22aと容器22bとをオーリング(O-ring)26を挟んで密閉し、この塩化リチウム水溶液24に強誘電体結晶基板10を浸す。この状態で、図2(C)に示すように強誘電体結晶基板10を挟んで、パルス電圧供給源20によって、パルス幅が数ナノ秒、ピーク電圧が4 kVのパルス電圧を印加すると、絶縁膜18が形成されていない領域の自発分極ベクトルが反転し、周期的分極反転構造が形成される。
図2(D)に分極反転構造形成工程終了後、塩化リチウム水溶液24から強誘電体結晶基板10を取り出して、分極反転パターンを除去した状態の+c面あるいは-c面に垂直な平面で切断した断面を示す。周期的分極反転構造は、強誘電体結晶の+c面から-c面に貫通して形成されている。すなわち、非分極反転領域28と分極反転領域30との境界面sは、強誘電体結晶の+c面から-c面に貫通している。
図2(A)〜(D)を参照して説明した方法は、LiNbO3基板に周期的分極反転構造を形成する方法の一例であり、これ以外の方法として周知のイオン交換法あるいは電子ビーム照射法によって形成することも可能である。
<第1の波長変換素子の製造方法>
図3(A)から(D)を参照して、この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法におけるプレーナ型の光導波路を形成する工程について説明する。なお、図3(B)及び図3(C)に示したハッチング等は、断面を表すものではなく、構成部分を強調して示すために使用している。
図3(A)は、分極反転構造形成工程終了後の強誘電体結晶基板10の+c面あるいは-c面に垂直な平面(主平面)で切断した断面を示す図であり、図3( B)は、周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶基板10の周期的分極反転構造が形成されている主平面(主平面10aあるいは10bのいずれか一方)に光導波路を形成するための断面が長方形のストライプ状の開口部42を設けたプロトン交換マスク40を形成するマスク形成工程の説明に供する図であり、図3(C)は、プロトン交換マスク40の開口部42に露出した強誘電体結晶基板領域に対するプロトン交換を、この領域の温度が開口部の長手方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら行うプロトン交換工程の説明に供する図であり、図3(D)は、プロトン交換工程の終了後、光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。
マスク形成工程は、図3(A)に示す分極反転構造形成工程終了後の強誘電体結晶基板10の主平面に、図3(B)に示すようにプロトン交換マスク40を形成する。このプロトン交換マスク40としてクローム(Cr)薄膜を使用したが、プロトン交換を阻止することが可能な材料であればCrに限定されることはない。このプロトン交換マスク40の形成方法としては、周知のエッチング法あるいはリフトオフ法等が適宜利用できる。プロトン交換マスク40の開口部42の幅はW0に設定される。開口部の幅W0は、被波長変換光及び波長変換光が基本伝播モード(0次の伝播モード)で伝播されることが可能であるように設定される。
プロトン交換工程は、図3(C)に示すように、開口部42に露出した強誘電体結晶基板領域の温度が開口部の長手方向(図中にA-A'と示す方向)に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら行う。容器36にプロトン源である安息香酸の溶融液46を満たし、この安息香酸の溶融液46にプロトン交換マスク40が形成された強誘電体結晶基板10を浸す。プロトン源である安息香酸の溶融液46の温度は、120℃〜200℃の範囲に設定するのが好適である。
第1の波長変換素子の製造方法におけるプロトン交換工程は、図中にA-A'と示す方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら行うことに特徴がある。
プロトン交換工程に引き続いて、図3(D)に示すように、プロトン交換マスク40を除去してから強誘電体結晶基板10の主平面に光導波路34(プレーナ型光導波路)が形成される。この光導波路34は図中A-A'の方向に沿って漸次等価屈折率が変化するように構成されている。
図4(A)〜(D)を参照して、強誘電体結晶基板に形成される光導波路の導波方向(図中にA-A'と示す方向)に沿った、プロトン交換処理中の温度(プロトン交換温度)分布とプロトン拡散深さの関係を説明する。なお、図4(A)中に示すハッチングは、断面を表しているものではなく、構成部分を強調するために使用している。
図4(A)は上述の図3(C)に示したプロトン交換工程の説明に供する図を再録したものである。図4(B)は、光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入射端及び出射端の位置を示している。以後の説明においては、B及びB'の何れを入射端としあるいは出射端としてもよいので、B及びB'の何れも入出射端とする。
図4(C)は、光導波路の導波方向に沿ったプロトン交換処理中の温度分布を示す図であり、横軸は光導波路の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はプロトン交換温度Teを任意スケールで目盛って示してある。プロトン交換温度Teは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。図4(D)は、光導波路の導波方向に沿ったプロトン拡散深さ分布を示す図であり、横軸は光導波路の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はプロトン拡散深さdeを任意スケールで目盛って示してある。プロトン拡散深さdeは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。
この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法においては、プロトン交換工程終了後の熱処理工程は、強誘電体結晶基板全体を均一な温度で行った。この熱処理工程を実施することによって、光損失の小さい光導波路を形成することが可能である。
プロトン交換温度Teとプロトン拡散深さdeとの関係を、以下において定量的に説明する。プロトン交換温度Teとプロトン拡散深さdeとの関係は、次式(1)で与えられることが知られている(例えば、参考文献A: D. F. Clark, et al., "Characterization of proton-exchange slab optical waveguides in z-cut LiNbO3", Journal of physics, vol. 54, No. 11, p. 6218 (1983) 参照)。
de=2×{te・De(Te)}1/2 (1)
ここで、teはプロトン交換時間、De(Te)はプロトン交換拡散係数である。プロトン交換拡散係数De(Te)は次式(2)で与えられる。
De(Te)=Deoexp{-Q/(RTe)} (2)
ここで、Deoはプロトン交換係数、Qは活性化エネルギー、Rは気体定数である。
上述の参考文献Aによれば、LiNbO3結晶に安息香酸を用いたプロトン交換処理を行う場合は、Deo=1.84×109μm2/hであり、Q=94 kJ/molである。また、気体定数Rは、R=8.3143 J/(mol・K)であることが知られている(例えば、参考文献B: 飯田、他著、物理定数表、朝倉書店刊 1969年、参照)。
上述の式(1)及び(2)から、プロトン交換温度の高い領域ではプロトン拡散深さが深くなり、プロトン交換温度が低い領域ではプロトン拡散深さを浅くすることが可能であることが分かる。
一方、プロトン交換工程終了後に行う熱処理工程を実施することによって、以下の通りの効果が得られる。すなわち、プロトン拡散深さda、熱処理温度Ta、及び熱処理時間taとの間に次式(3)で与えられる関係がある(例えば、参考文献C: M. M. Howerton, et. al., "Dependence of Refractive Index on Hydrogen Concentration in Proton Exchanged LiNbO3", IEEE Journal of Quantum Electronics, vol. 27, No. 3, p. 593 (1991)参照)。
da=2×{ta・Da(Ta)}1/2 (3)
ここで、Da(Ta)は熱拡散係数であり、次式(4)で与えられる。
Da(Ta)=Da0exp(-Ta0/Ta) (4)
ここで、Da0は熱拡散係数、Ta0は温度係数である。上述の参考文献Cによれば、Da0=2.65×1011μm2/h、Ta0=1.67×104 Kである。
上述の式(3)及び(4)から、熱処理温度Ta及び熱処理時間taが高いほどプロトン拡散深さdaが深くなることが分かる。
プロトン交換工程終了直後においては、プロトン交換温度及びプロトン交換時間にかかわらず規格化プロトン濃度ξの値は0.8程度であることが知られている(参考文献D: X. F. Cao, et al., "Characterization of Annealed Proton Exchanged LiNbO3 Waveguides for Nonlinear Frequency Conversion", Journal of Lightwave Technology, vol. 10, No. 9, p. 1302 (1992)参照)。また、参考文献Dには、規格化プロトン濃度ξと屈折率変化量Δneの関係が示されている。この規格化プロトン濃度ξと屈折率変化量Δneの関係に基づいて、LiNbO3結晶基板に形成される光導波路の、LiNbO3の屈折率との差Δnについて検討する。
図4(A)に示すプロトン交換マスクの開口部の幅W0を6μmであるとして、以下の定量的な考察を行う。光導波路のBで示す入出力端におけるプロトン交換温度Te1を180℃、光導波路のB'で示す入出力端におけるプロトン交換温度Te1を190℃とし、プロトン交換時間teを8時間とする。このとき、プロトン拡散深さdeは、de(180℃)=0.93μm、de(190℃)=1.21μmとなる。
上述のプロトン交換工程終了後、熱処理温度Ta=350℃で、熱処理時間ta=1.5時間の熱処理を行うと、この熱処理によるプロトンの拡散深さdaは1.91μmとなる。したがって、この熱処理後のプロトン拡散幅DHは、4.91μmとなる。ここで、プロトン拡散幅DHは、DH=(W0/2)+daで与えられる。従って、熱処理工程終了後の光導波路幅W(=2DH)は、光導波路の入出力端B及びB'のいずれにおいても、9 .82μmとなる。
同様に、熱処理工程終了後の光導波路のLiNbO3結晶基板の深さ方向の導波路深さd(=de+da)は、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が180℃であった入出力端Bではd1=2.84μm、プロトン交換温度が190℃であった入出力端B'ではd2=3.12μmとなる。
また、熱処理工程後の規格化プロトン濃度ξは、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が180℃であった入出力端Bでは0.302、プロトン交換温度が190℃であった入出力端B'では0.395となる。この規格化プロトン濃度ξから求まるΔneの値は、入出力端BではΔne1=0.0429、入出力端B’ではΔne2=0.0617となる。
ここで、図5(A)〜(C)を参照して、強誘電体結晶基板に形成される光導波路34の導波方向に沿った、熱処理工程終了後のLiNbO3結晶基板に形成された光導波路の、LiNbO3の屈折率との差Δnについて説明する。図5(A)〜(C)は、熱処理工程終了後のLiNbO3結晶基板に形成された光導波路の、LiNbO3の屈折率との差Δnについての説明に供する図である。
図5(A)は、熱処理工程の終了後の光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。図5(B)は、光導波路34の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入出射端の位置を示している。図5(C)は、光導波路34の導波方向に沿った熱処理工程の終了後のLiNbO3の屈折率との差Δnを示す図である。図5(C)において、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はLiNbO3の屈折率との差Δnを任意スケールで目盛って示してある。
この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法によれば、上述したように、光導波路を形成する工程であるプロトン交換工程が、光導波路の導波方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるようにこの領域を加熱しながら実施され、強誘電体結晶基板全体を均一な温度に保って熱処理工程が行われた結果、光導波路の導波方向に沿って温度勾配を反映して等価屈折率が漸次高くなるように形成されることが分かる。
図6(A)〜(D)を参照して、この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法によって形成された光導波路34の等価屈折率を評価した結果を説明する。等価屈折率は、上述の屈折率変化量Δne、光導波路幅W、及び光導波路深さdの値から、有限要素法によって等価屈折率を求めた。等価屈折率の評価に当たっては、光導波路34に入力される被波長変換光(基本波光)の波長λωを1.55μmとした。このとき発生する波長λが0.775μmの波長変換光(第2高調波)及び基本波光は、この光導波路34を基本導波モードで伝播するものと仮定した。
図6(A)〜(D)は、光導波路34の等価屈折率の説明に供する図である。図6(A)は、熱処理工程の終了後の光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。図6(B)は、光導波路34の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入出射端の位置を示している。
図6(C)は、光導波路34の導波方向に沿った基本波光の等価屈折率Nωの分布を示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸は等価屈折率Nωを任意スケールで目盛って示してある。等価屈折率Nωは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。
図6(D)は、第2高調波の等価屈折率Nの分布を示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸は第2高調波の等価屈折率Nを任意スケールで目盛って示してある。第2高調波の等価屈折率Nは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。
基本波光の等価屈折率Nωは、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が180℃であった入出力端BではNω=2.139248、N=2.188671となる。また、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が190℃であった入出力端B'ではNω=2.142173、N=2.195624となる。
擬似位相整合条件を与える位相不整合量Δphは、次式(5a)及び(5b)で与えられる(例えば、参考文献E: 石月、他、「高効率サンプリングのためのLiNbO3導波路擬似位相整合和周波発生デバイス」 電子情報通信学会論文誌C、vol. J83-C, No. 3, p. 197 (2000年) 参照)。
Δph=π{(N)−2(Nωω)−(1/Λ)} (5a)
ここで、周期的分極反転構造の周期Λは、
Λ=λω/{2(N−Nω)} (5b)
で与えられる。また、図1で示したように、Λ=Lu+Ldである。
擬似位相整合条件を与える位相不整合量Δphの値が0のとき、完全内装整合条件が満たされた状態となり、このとき波長変換効率が極大となる。
式(5b)に示すように、周期的分極反転構造の周期Λは、基本波光の波長λω、及び、基本波光に対する等価屈折率Nω及び第2高調波に対する等価屈折率Nの関数である。従って、周期的分極反転構造の周期Λは、等価屈折率Nω及び第2高調波に対する等価屈折率Nの変化に従って変化する。
基本波光の波長λωが1.55μmである場合の第2高調波発生のための擬似位相整合条件が成立する周期的分極反転構造の周期Λは、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が180℃であった入出力端BではΛ1=15.68μmとなり、また、プロトン交換工程時のプロトン交換温度が190℃であった入出力端B'ではΛ2=14.50μmとなる。両者の差Λ1−Λ2は1.2μmである。この差1.2μmは、擬似位相整合条件が成立する基本波光の波長λωに換算して100ナノメートル(nm)となる。このように光導波路34の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させることによって、基本波光の波長の許容範囲を100 nmだけ広げることが可能であることが分かる。
ここで、図7(A)〜(C)を参照して、強誘電体結晶基板に形成される光導波路34の導波方向に沿った等価屈折率が漸次変化していることに起因する周期的分極反転構造の周期Λの変化について説明する。図7(A)〜(C)は、強誘電体結晶基板に形成される光導波路34の導波方向に沿った等価屈折率が漸次変化していることに起因する周期的分極反転構造の周期Λの変化についての説明に供する図である。
図7(A)は、熱処理工程の終了後の光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。図7(B)は、光導波路34の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入出射端の位置を示している。図7(C)は、光導波路34の導波方向に沿った周期的分極反転構造の周期Λを示す図である。図7(C)において、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸は周期的分極反転構造の周期Λを任意スケールで目盛って示してある。
この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法によれば、光導波路34の入出力端BではΛ1=15.68μmとなり、入出力端B'ではΛ2=14.50μmとなるように、周期的分極反転構造の周期Λの値が漸次変化するように形成することが可能である。
周期的分極反転構造の周期Λの値が漸次変化するように形成することによって、基本波光の波長の許容範囲を広げることが可能となり、基本波光の波長変動があっても波長変換効率が低下することはない。また、この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法によれば、複数通りのレジストマスクを用意する必要がないので、製造コストを低く抑えることが可能である。また、この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法によって形成される光導波路は光損傷が発生しにくく、非線形光学係数も均一であるので、被波長変換光及び波長変換光のコヒーレント性が乱されることなく、安定して波長変換が実現される。
<第2の波長変換素子の製造方法>
この発明の実施形態の第2の波長変換素子の製造方法は、温度勾配を与えずにプロトン交換工程を行い、この工程が終了した後に、光導波路をこの光導波路の導波方向に沿って強誘電体結晶の温度が漸次変化する温度勾配を与えるように熱処理する熱処理工程を実施することに特徴がある。
従って、プロトン交換工程が終了直後においては、上述した第1の波長変換素子の製造方法におけるプロトン交換工程が終了直後と異なり、光導波路は、その等価屈折率が導波方向に沿って均一に形成されている。第2の波長変換素子の製造方法においては、プロトン交換工程に続いて実施される熱処理工程において、光導波路の導波方向に沿って等価屈折率が漸次変化するように形成される。
そこで、第2の波長変換素子の製造方法における特徴である、プロトン交換工程後に、光導波路の導波方向に沿って強誘電体結晶の温度が漸次変化する温度勾配を与えるように熱処理する熱処理工程について以下で説明する。
プロトン交換工程を、温度勾配を設けずにプロトン源である安息香酸の溶融液46の温度を190℃に保って、8時間実施する。こうして形成される光導波路のプロトン拡散深さdeは、上述した第1の波長変換素子の製造方法において説明したように1.21μmとなる。
図8(A)〜(D)を参照して、強誘電体結晶基板に形成された光導波路34の導波方向に沿った、熱処理工程中のプロトン交換温度分布とプロトン拡散深さの関係を説明する。図8(A)〜(D)は、光導波路34の導波方向に沿った、熱処理工程中の温度分布とプロトン拡散深さの関係の説明に供する図である。
図8(A)はプロトン交換工程の終了後の光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。図8(B)は、光導波路34の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入出射端の位置を示している。図8(C)は、光導波路34の導波方向に沿ったプロトン交換処理中の温度分布を示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はプロトン交換温度Taを任意スケールで目盛って示してある。プロトン交換温度Taは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。図8(D)は、光導波路34の導波方向に沿ったプロトン拡散深さ分布を示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はプロトン拡散深さdaを任意スケールで目盛って示してある。プロトン交換温度daは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。
図8(A)に示すように、プロトン交換工程が終了直後においては、光導波路34の等価屈折率が導波方向に沿って均一に形成されている。
熱処理工程は、以下の条件で実施した。入出射端Bにおける熱処理温度Ta1を350℃、入出射端B’における熱処理温度Ta2を375℃とし、熱処理時間taを1.5時間とした。プロトン交換マスク40の開口部の幅W0を6μmに設定して、温度勾配を設けずにプロトン源である安息香酸の溶融液46の温度を190℃に保ってプロトン交換を実施した。
図9(A)〜(D)を参照して、強誘電体結晶基板に形成される光導波路34の導波方向に沿った、導波路幅W及びプロトン拡散深さdの関係を説明する。図9(A)〜(D)は、光導波路34の導波方向に沿った、導波路幅W及びプロトン拡散深さdの関係の説明に供する図である。
図9(A)は熱処理工程の終了後の光導波路34の屈折率分布の説明に供する図である。図9(B)は、光導波路34の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、B及びB'はそれぞれ光導波路の入出射端の位置を示している。図9(C)は、光導波路34の導波方向に沿った導波路幅Wを示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸は導波路幅Wを任意スケールで目盛って示してある。導波路幅Wは、導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。図9(D)は、光導波路34の導波方向に沿ったプロトン拡散深さdの分布を示す図であり、横軸は光導波路34の導波方向に平行な方向の位置座標を任意スケールで示してあり、縦軸はプロトン拡散深さdを任意スケールで目盛って示してある。プロトン拡散深さdは、光導波路34の導波方向に沿って漸次変化している。
熱処理工程終了後の光導波路幅W(=2DH)及びプロトン拡散深さdを、上述した第1の波長変換素子の製造方法において説明した手法を用いて計算すると以下の通りとなる。光導波路の入出力端Bにおける光導波路幅W1は9.82μm、プロトン拡散深さd1は3.12μmとなる。この条件で光導波路の入出力端Bにおける屈折率変化量Δn1を計算すると0.0617となる。同様に、光導波路の入出力端B'における光導波路幅W2は12.41μm、プロトン拡散深さd1は4.42μmとなる。この条件で光導波路の入出力端Bにおける屈折率変化量Δn1を計算すると0.0194となる。
これら光導波路幅W、プロトン拡散深さd、及び屈折率変化量Δnから、波長が1.55μmの基本波光から波長が0.775μmの第2高調波が発生する場合を想定し、有限要素法によって基本波光に対する等価屈折率Nω及び第2高調波に対する等価屈折率Nの値を求めた。その結果、光導波路の入出力端Bにおける基本波光に対する等価屈折率Nω1の値は2.142173、第2高調波に対する等価屈折率Nの値は2.195624であり、光導波路の入出力端B'における基本波光に対する等価屈折率Nω2の値は2.138340、第2高調波に対する等価屈折率Nの値は2.182068である。
これらの等価屈折率の値から分極反転構造の周期Λを求めると、光導波路の入出力端Bにおける周期Λ1の値は14.50μm、光導波路の入出力端B'における周期Λ2の値は17.72μmとなる。両者の差Λ1−Λ2は3.22μmである。この差3.22μmは、擬似位相整合条件が成立する基本波光の波長λωに換算して320 nmとなる。このように光導波路34の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させることによって、基本波光の波長の許容範囲を320 nmだけ広げることが可能であることが分かる。
上述した第1の波長変換素子の製造方法の実施形態における、両者の周期差Λ1−Λ2の値1.2μmに比べて大きい。これは、プロトン交換工程におけるよりも熱処理工程におけるプロトン拡散係数が大きいことに加え、処理温度も高温であることに起因している。従って、上述の実施形態に示したように温度勾配を持たせて熱処理工程を実施するのが、分極反転構造の周期Λの値を大きく変化させるためには効果的である。
<第3の波長変換素子の製造方法>
この発明の実施形態の第3の波長変換素子の製造方法は、プロトン交換工程及び熱処理工程のいずれにおいても温度勾配を与えて実施することに特徴がある。そこで、プロトン交換工程における温度勾配を第1の温度勾配、熱処理工程における温度勾配を第2の温度勾配と表記して両者を区別する。
第1の温度勾配は次のように設定した。光導波路の入出力端Bにおけるプロトン交換温度Te1を190℃、光導波路の入出力端B’におけるプロトン交換温度Te2を200℃としてこの間を漸次変化するように温度変化を与える。プロトン交換時間teを8時間とした。
上述の条件でプロトン交換工程を実施すると、光導波路の入出力端Bにおけるプロトン拡散深さde1は1.21μm、光導波路の入出力端B’におけるプロトン拡散深さde2は1.57μmとなる。
次に、第2の温度勾配は次のように設定した。光導波路の入出力端Bにおける熱処理温度Ta1を375℃とし、光導波路の入出力端B’における熱処理温度Ta2を350℃とした。熱処理時間taを1.5時間とした。
上述の条件で熱処理工程を実施すると、光導波路の入出力端Bにおける導波路幅W1は12.41μm、プロトン拡散深さda1は4.42μmとなり、屈折率変化量Δne1は0.0153となる。また、光導波路の入出力端B'における導波路幅W2は9.82μm、プロトン拡散深さda2は3.48μmとなり、屈折率変化量Δne2は0.0571となる。
これら光導波路幅W、プロトン拡散深さd、及び屈折率変化量Δnから、波長が1.55μmの基本波光から波長が0.775μmの第2高調波が発生する場合を想定し、有限要素法によって基本波光に対する等価屈折率Nω及び第2高調波に対する等価屈折率Nの値を求めた。その結果、光導波路の入出力端Bにおける基本波光に対する等価屈折率Nω1の値は2.138340、第2高調波に対する等価屈折率Nの値は2.182068であり、光導波路の入出力端B'における基本波光に対する等価屈折率Nω2の値は2.146580、第2高調波に対する等価屈折率Nの値は2.2 04718である。
これらの等価屈折率の値から分極反転構造の周期Λを求めると、光導波路の入出力端Bにおける周期Λ1の値は17.72μm、光導波路の入出力端B'における周期Λ2の値は13.33μmとなる。両者の差Λ1−Λ2は4.39μmである。この差4.39μmは、擬似位相整合条件が成立する基本波光の波長λωに換算して440 nmとなる。このように光導波路の等価屈折率を導波方向に沿って漸次変化させることによって、基本波光の波長の許容範囲を440 nmだけ広げることが可能であることが分かる。
第3の波長変換素子の製造方法は、プロトン交換工程及び熱処理工程のいずれにおいても温度勾配を与えて実施するので、当然に第1及び第2の波長変換素子の製造法によるよりも、基本波光の波長の許容範囲の広い波長変換素子を製造することが可能となる。
<その他の波長変換素子の製造方法>
上述した実施形態においては、強誘電体結晶基板10として、LiNbO3結晶基板を用いたが、タンタル酸リチウム(LiTaO3)あるいはニオブ酸カリウム(KNbO3)等も適宜利用することが可能である。また、ZnOドープのLiNbO3結晶を利用することも可能であり、強誘電体結晶としては定比組成(stoichiometric mixture)の結晶であっても非定比組成(nonstoichiometric mixture)の結晶であっても利用可能である。
ここで、定比組成のLiNbO3結晶とは、酸化リチウム(Li2O)と酸化ニオブ(Nb2O5)とが厳密に1対1の割合で構成されたLiNbO3結晶を意味する。また、非定比組成のLiNbO3結晶とは、この組成比が1対1の割合からずれて構成されているLiNbO3結晶を意味する。
また、光導波路を構成する方法としてプロトン交換による例を示したが、加熱工程を組み入れることが可能である方法であれば、何れの方法によって形成してもよい。プロトン源としても、安息香酸以外、ピクリン酸(Picric acid)、グルタル酸(Glutaric acid)、等を適宜利用することもできる。光導波路の形態は、プレーナ型に限定されることはなく、リッジ型、装荷型等の形態であってもよい。
波長変換としては、上述した第2高調波発生に限定されることはなく、擬似位相整合を利用する差周波発生、和周波発生等を利用することも可能である。
この発明の実施形態の波長変換素子の概略的斜視図である。 LiNbO3結晶基板に周期的分極反転構造を形成する方法の説明に供する図である。(A)はcカットの単一ドメイン平行平板LiNbO3結晶基板の断面を示す図であり、(B)は-c面に分極反転パターンが形成されたcカットの単一ドメイン平行平板LiNbO3結晶基板の断面を示す図であり、(C)はパルス状の電圧を印加して分極反転構造を形成する工程の説明に供する図であり、(D)は周期的分極反転構造の形成工程が終了した時点でのLiNbO3基板の構造の説明に供する図である。 この発明の実施形態の第1の波長変換素子の製造方法の説明に供する図であり、(A)は分極反転構造形成工程終了後の強誘電体結晶基板主面に垂直な平面で切断した断面を示す図であり、(B)はプロトン交換マスク形成工程の説明に供する図であり、(C)はプロトン交換工程の説明に供する図であり、(D)はプロトン交換工程の終了後、形成された光導波路の屈折率分布の説明に供する図である。 光導波路4の導波方向に沿ったプロトン交換処理中の温度分布とプロトン拡散深さの関係の説明に供する図であり、(A)はプロトン交換工程の説明に供する図であり、(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(C)は光導波路の導波方向に沿ったプロトン交換処理中の温度分布を示す図であり、(D)は光導波路の導波方向に沿ったプロトン拡散深さ分布を示す図である。 屈折率差Δnについての説明に供する図であり、(A)は熱処理工程の終了後の光導波路の屈折率分布の説明に供する図であり、(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(C)は光導波路の導波方向に沿った熱処理工程の終了後の屈折率差Δnを示す図である。 光導波路の等価屈折率の説明に供する図であり、(A)は熱処理工程の終了後の光導波路の屈折率分布の説明に供する図である。(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(C)は等価屈折率Nωの分布を示す図であり、(D)は波長変換光の等価屈折率Nの分布を示す図である。 強誘電体結晶基板に形成される光導波路の導波方向に沿った等価屈折率が漸次変化していることに起因する周期的分極反転構造の周期Λの変化についての説明に供する図であり、(A)は熱処理工程の終了後の光導波路の屈折率分布の説明に供する図であり、(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(C)は光導波路の導波方向に沿った周期的分極反転構造の周期Λを示す図である。 光導波路の導波方向に沿った熱処理工程中の温度分布とプロトン拡散深さの関係の説明に供する図であり、(A)はプロトン交換工程の終了後の光導波路の屈折率分布の説明に供する図である。(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(D)は、光導波路の導波方向に沿ったプロトン拡散深さ分布を示す図である。 光導波路34の導波方向に沿った導波路幅W及びプロトン拡散深さdの関係の説明に供する図であり、(A)は熱処理工程の終了後の光導波路の屈折率分布の説明に供する図であり、(B)は光導波路の導波方向に沿って切断した強誘電体結晶基板の切断面の模式図であり、(C)は光導波路の導波方向に沿った導波路幅Wを示す図であり、(D)は光導波路の導波方向に沿ったプロトン拡散深さdの分布を示す図である。
符号の説明
10:強誘電体結晶基板
12、28:非分極反転領域
14、30:分極反転領域
16、34:光導波路(プレーナ型光導波路)
18:絶縁膜
20:パルス電圧供給源
22a、22b、36:容器
24:塩化リチウム水溶液
26:オーリング(O-ring)
40:プロトン交換マスク
42:開口部
46:安息香酸の溶融液

Claims (8)

  1. 自発分極ベクトルの向きに直交する平面でカットされた平行平板単一ドメイン強誘電体結晶基板に周期的分極反転構造が形成されており、入射される被波長変換光の波長を前記周期的分極反転構造に基づく擬似位相整合により変換する波長変換素子であって、
    前記被波長変換光及び波長変換光が伝播する方向が、前記強誘電体結晶の前記自発分極ベクトルの方向と直交する方向であって、かつ前記周期的分極反転構造の非分極反転領域と分極反転領域との境界面を通過することが可能な方向に、前記被波長変換光及び前記波長変換光を導波する光導波路が形成されており、
    該光導波路の規格化プロトン濃度が当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化しており、該光導波路の等価屈折率が当該光導波路の導波方向に沿って漸次変化している
    ことを特徴とする波長変換素子。
  2. 前記光導波路は、プロトン交換法によって形成されるプレーナ型の光導波路であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  3. 前記強誘電体結晶は、MgOがドープされたニオブ酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  4. 周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶基板の該周期的分極反転構造が形成されている主平面に光導波路を形成するための長方形の開口部を設けたプロトン交換マスクを形成するマスク形成工程と、
    前記開口部に露出した前記強誘電体結晶基板領域に対するプロトン交換を、該領域の温度が前記開口部の長手方向に沿って漸次変化する温度勾配を与えるように該領域を加熱しながら行うプロトン交換工程と
    を含むことを特徴とする波長変換素子の製造方法。
  5. 周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶基板の該周期的分極反転構造が形成されている主平面に光導波路を形成するための長方形の開口部を設けたプロトン交換マスクを形成するマスク形成工程と、
    前記開口部に露出した前記強誘電体結晶基板領域に対するプロトン交換を、該領域の温度を一定にして行うプロトン交換工程と、
    前記プロトン交換工程の終了後、前記光導波路を、該光導波路の導波方向に沿って前記強誘電体結晶の温度が漸次変化する温度勾配を与えるように熱処理する熱処理工程と、
    を含むことを特徴とする波長変換素子の製造方法。
  6. 周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶基板の該周期的分極反転構造が形成されている主平面に光導波路を形成するための長方形の開口部を設けたプロトン交換マスクを形成するマスク形成工程と、
    前記開口部に露出した前記強誘電体結晶基板領域に対するプロトン交換を、該領域の温度が前記開口部の長手方向に沿って漸次変化する第1の温度勾配を与えるように該領域を加熱しながら行うプロトン交換工程と
    前記プロトン交換工程の終了後、前記光導波路を、該光導波路の導波方向に沿って前記強誘電体結晶の温度が漸次変化する第2の温度勾配を与えるように熱処理する熱処理工程と、
    を含むことを特徴とする波長変換素子の製造方法。
  7. 前記強誘電体結晶として、MgOがドープされたニオブ酸リチウムを利用することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の波長変換素子の製造方法。
  8. 前記プロトン交換のプロトン源として、安息香酸(Benzoic acid)を利用すること特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の波長変換素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109709740A (zh) * 2019-01-17 2019-05-03 南京大学 一种用于多点聚焦倍频过程的局域准相位匹配改进方法
US10989985B2 (en) 2019-06-07 2021-04-27 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Wavelength converter

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