JP2010078590A - アルドステロンの測定法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、試料中に含まれるアルドステロンの量を液体クロマトグラフィー質量分析法(Liquid Chromatography−Mass Spectrometry:LC−MS)により測定する方法及びその測定に用いる化合物に関する。
アルドステロンは、主に副腎皮質球状層で、コレステロールから11−デオキシコルチコステロンを経て生合成されるステロイドホルモンである。その産生は、アンギオテンシンII、カリウムイオン及びACTHによって制御されている。生理作用は、ミネラルコルチコイドとして知られていて、水・電解質代謝を司り、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系という体液の恒常性の維持を介して血圧を調節している。他方、最近ではナトリウムと協調して心肥大や心繊維化を引き起こすなどの心血管系リモデリングに対する作用も示唆されている。
アルドステロンは、血圧・電解質調節に関する病態においても重要な役割を担っている。ナトリウムイオンの再吸収並びにカリウムイオンとプロトンの排泄を促すため、大量投与すると、ナトリウムの貯留と細胞外液量の増大による循環血液量の増加を促進し、その結果として血圧が上昇するためである。
アルドステロン分泌異常による疾患として、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症等を挙げることができる。原発性アルドステロン症には副腎自体にアルドステロンの過剰産生の原因が認められるが続発性アルドステロン症は、副腎以外からの刺激によって副腎でのアルドステロンの過剰分泌が引き起こされるものである。本態性高血圧の中で、原発性アルドステロン症は全体の約5〜10%、続発性アルドステロン症は全体の1〜2%の割合で確認されている。
原発性アルドステロン症の一般検査による鑑別は困難である。原発性アルドステロン症の病態は、副腎に腫瘍ができるアルドステロン産生腫瘍によるものが75%であり、その半数近くがマイクロアデノーマである。この検査は、コンピュータ断層撮影(ComputedTomography:CT)及び核磁気共鳴画像法(MagneticResonance Imaging:MRI)による副腎の画像診断で試みられるが、病変が不明瞭のため、この検査法では確定診断が困難なことが多い。他方、生化学検査では、数回繰り返した血中のアルドステロン濃度(PlasmaAldosterone Concentration:PAC)及び血漿レニン活性(Plasma Renin Activity:PRA)の比率(PAC/PRA)が20以上の場合、原発性アルドステロン症と判断をする。さらに確定診断のスクリーニングとして、フロセミド2時間立位負荷試験を行い、それから得られたPAC/PRA値が20以上である場合に原発性アルドステロン症の診断が下される。最終的な原発性アルドステロン症の確定診断は、左右副腎静脈採血法による、血中アルドステロン濃度又は血中アルドステロン濃度/血中コルチゾール濃度比(血中A/F比)により行うことが望ましく、一般的となりつつある。
この疾患は、原因を取り除けば、ほぼ治癒が可能であり、予後も良い。そのため、臨床検査において、アルドステロン濃度を正確に測定することは早期発見、早期治療に非常に有用である。
アルドステロンの測定には、通常、ラジオイムノアッセイ法(Radioimmunoassay:RIA)、酵素免疫反応法(EnzymeImmunoassay:EIA)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GasChromatography−Mass Spectrometry:GC−MS)、LC−MS等が用いられる。このうち、RIAやEIAといった免疫反応を利用した測定は、試料中に測定対象化合物と構造が類似したアルドステロン代謝物が多量に存在しているため、交差反応により定量値が大きく変動する。非特許文献1には、慢性腎不全患者の血漿をRIAによる直接法で測定すると、血漿中の夾雑物とアルドステロン抗体との交差反応の影響で、HPLCで夾雑物を除いて測定した場合と比較して、高い値が出た例が報告されている。また、抗体の特異性に加えて、キット間差による測定値の極端な乖離も報告されている。
血中アルドステロン濃度が100 pg/mL以上であると高血圧症の割合が高いことが報告されているが、血中アルドステロン濃度は、心因的要因により変動することが知られ、近年では、非侵襲的な採取が可能な唾液を利用した臨床検査法の開発が注目を集めている。唾液試料の採取は簡便であり、唾液中アルドステロン濃度に基づく高血圧の診断が可能になれば、患者の負担も軽減する。しかしながら、唾液中アルドステロン濃度は、血清中の濃度より更に微量(数〜数十pg/mL)であると報告されていることから、測定には高感度、高特異性などの条件が必要となる。
GC−MSによるアルドステロン測定もこれまでに試みられている。非特許文献2では、アルドステロンをトリメチルシリルエーテル化、メトキシ−トリメチルシリルエーテル化、アセチル−メトキシ−トリメチルシリルエーテル化及びメトキシ−ヘプタフルオロ酪酸エステル化して検出している。この文献には、18−アルデヒド体と18−ヘミアセタール体の違いによって、誘導体化反応が異なることが記載されている。また、非特許文献3には、試料中のアルドステロンの18,21位を塩酸存在下でアセタール化した後、3位をヘプタフルオロ酪酸エノールエステル化して測定する方法が記載されている。この方法の検出限界は、50pgである。また、非特許文献4には、試料中アルドステロンを3,18−ジヘプタフルオロ酪酸エステル化し、これをGC−MSで測定する方法が記載されている。
LC−MSによる測定は、非特許文献5に、試料中アルドステロンを大気圧化学イオン化法(AtmosphericPressure Chemical Ionization:APCI)の陰イオンモードを用いてアルドステロンを測定する方法が記載されている。この方法では、測定範囲が15〜500pg/mLである。非特許文献6には、エレクトロスプレーイオン化法(ElectrosprayIonization:ESI)の陰イオンモードを用いてアルドステロンを測定する方法が記載されている。この方法では、測定範囲が21.6〜1080pg/mLであり、定量下限値は10.8 pg/mLである。また、非特許文献7には、フォトスプレーイオン化法(Atmospheric Pressure Photoionization:APPI)を用いた血清中ステロイドホルモン12成分を同時分析することが記載されており、その測定系でアルドステロンを陰イオンモードで測定している。この方法では、定量下限値は10pg/mLである。これらLC−MSを用いたアルドステロン測定の報告は、アセタールの保護及び誘導体化を行うことには触れていない。
特許文献1及び特許文献2には、ステロイドホルモンの水酸基を誘導体化して、LC−MSで測定する方法が記載されているが、どちらにもアルドステロンの測定については記載されていない。
特開2003−161726号公報
特開2007−132741号公報
J.Lab.Clin.Med.114(1989)294
J.Chromatogr.Sci.7(1969)411
J.SteroidBiochem.11(1979)117
Biol.MassSpectrom.20(1991)657
Anal.Biochem.252(1997)308
J.Chromatogr.B862(2008)113
Clin.Chim.Acta372(2006)76
アルドステロンは、血圧・電解質調節に関する病態においても重要な役割を担っている。ナトリウムイオンの再吸収並びにカリウムイオンとプロトンの排泄を促すため、大量投与すると、ナトリウムの貯留と細胞外液量の増大による循環血液量の増加を促進し、その結果として血圧が上昇するためである。
アルドステロン分泌異常による疾患として、原発性アルドステロン症、続発性アルドステロン症等を挙げることができる。原発性アルドステロン症には副腎自体にアルドステロンの過剰産生の原因が認められるが続発性アルドステロン症は、副腎以外からの刺激によって副腎でのアルドステロンの過剰分泌が引き起こされるものである。本態性高血圧の中で、原発性アルドステロン症は全体の約5〜10%、続発性アルドステロン症は全体の1〜2%の割合で確認されている。
原発性アルドステロン症の一般検査による鑑別は困難である。原発性アルドステロン症の病態は、副腎に腫瘍ができるアルドステロン産生腫瘍によるものが75%であり、その半数近くがマイクロアデノーマである。この検査は、コンピュータ断層撮影(ComputedTomography:CT)及び核磁気共鳴画像法(MagneticResonance Imaging:MRI)による副腎の画像診断で試みられるが、病変が不明瞭のため、この検査法では確定診断が困難なことが多い。他方、生化学検査では、数回繰り返した血中のアルドステロン濃度(PlasmaAldosterone Concentration:PAC)及び血漿レニン活性(Plasma Renin Activity:PRA)の比率(PAC/PRA)が20以上の場合、原発性アルドステロン症と判断をする。さらに確定診断のスクリーニングとして、フロセミド2時間立位負荷試験を行い、それから得られたPAC/PRA値が20以上である場合に原発性アルドステロン症の診断が下される。最終的な原発性アルドステロン症の確定診断は、左右副腎静脈採血法による、血中アルドステロン濃度又は血中アルドステロン濃度/血中コルチゾール濃度比(血中A/F比)により行うことが望ましく、一般的となりつつある。
この疾患は、原因を取り除けば、ほぼ治癒が可能であり、予後も良い。そのため、臨床検査において、アルドステロン濃度を正確に測定することは早期発見、早期治療に非常に有用である。
アルドステロンの測定には、通常、ラジオイムノアッセイ法(Radioimmunoassay:RIA)、酵素免疫反応法(EnzymeImmunoassay:EIA)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GasChromatography−Mass Spectrometry:GC−MS)、LC−MS等が用いられる。このうち、RIAやEIAといった免疫反応を利用した測定は、試料中に測定対象化合物と構造が類似したアルドステロン代謝物が多量に存在しているため、交差反応により定量値が大きく変動する。非特許文献1には、慢性腎不全患者の血漿をRIAによる直接法で測定すると、血漿中の夾雑物とアルドステロン抗体との交差反応の影響で、HPLCで夾雑物を除いて測定した場合と比較して、高い値が出た例が報告されている。また、抗体の特異性に加えて、キット間差による測定値の極端な乖離も報告されている。
血中アルドステロン濃度が100 pg/mL以上であると高血圧症の割合が高いことが報告されているが、血中アルドステロン濃度は、心因的要因により変動することが知られ、近年では、非侵襲的な採取が可能な唾液を利用した臨床検査法の開発が注目を集めている。唾液試料の採取は簡便であり、唾液中アルドステロン濃度に基づく高血圧の診断が可能になれば、患者の負担も軽減する。しかしながら、唾液中アルドステロン濃度は、血清中の濃度より更に微量(数〜数十pg/mL)であると報告されていることから、測定には高感度、高特異性などの条件が必要となる。
GC−MSによるアルドステロン測定もこれまでに試みられている。非特許文献2では、アルドステロンをトリメチルシリルエーテル化、メトキシ−トリメチルシリルエーテル化、アセチル−メトキシ−トリメチルシリルエーテル化及びメトキシ−ヘプタフルオロ酪酸エステル化して検出している。この文献には、18−アルデヒド体と18−ヘミアセタール体の違いによって、誘導体化反応が異なることが記載されている。また、非特許文献3には、試料中のアルドステロンの18,21位を塩酸存在下でアセタール化した後、3位をヘプタフルオロ酪酸エノールエステル化して測定する方法が記載されている。この方法の検出限界は、50pgである。また、非特許文献4には、試料中アルドステロンを3,18−ジヘプタフルオロ酪酸エステル化し、これをGC−MSで測定する方法が記載されている。
LC−MSによる測定は、非特許文献5に、試料中アルドステロンを大気圧化学イオン化法(AtmosphericPressure Chemical Ionization:APCI)の陰イオンモードを用いてアルドステロンを測定する方法が記載されている。この方法では、測定範囲が15〜500pg/mLである。非特許文献6には、エレクトロスプレーイオン化法(ElectrosprayIonization:ESI)の陰イオンモードを用いてアルドステロンを測定する方法が記載されている。この方法では、測定範囲が21.6〜1080pg/mLであり、定量下限値は10.8 pg/mLである。また、非特許文献7には、フォトスプレーイオン化法(Atmospheric Pressure Photoionization:APPI)を用いた血清中ステロイドホルモン12成分を同時分析することが記載されており、その測定系でアルドステロンを陰イオンモードで測定している。この方法では、定量下限値は10pg/mLである。これらLC−MSを用いたアルドステロン測定の報告は、アセタールの保護及び誘導体化を行うことには触れていない。
特許文献1及び特許文献2には、ステロイドホルモンの水酸基を誘導体化して、LC−MSで測定する方法が記載されているが、どちらにもアルドステロンの測定については記載されていない。
本発明の目的は、試料中に含まれるアルドステロンのLC−MSによる測定法を提供することである。また、本発明の別の目的は、アルドステロンのLC−MSによる測定で有用な化合物及びその化合物を含有することを特徴とするアルドステロン測定用試薬を提供することである。
本発明者らは、これまで、ステロイドの水酸基をピリジルカルボニル化してピリジンカルボン酸エステル体とすることにより、複数のステロイドをLC−MSにより数pgのレベルで同時測定できることを見出していた(特開2007−132741号)。しかし、アルドステロンは下記式に示すように、化学平衡を形成しているので、同様の操作を行うだけではLC−MS測定においてピーク形状が悪く、満足な結果を得られていなかった。
本発明者らは、検討の結果、試料中のアルドステロンを試料操作の過程において、酸性条件下、アルコールと反応させ、アルドステロンを18−アルコキシの状態に収束させ、次いで21位水酸基をピリジンカルボン酸エステル体とすることにより、LC−MS測定において良好なピーク形状を得られることを見出した。
本発明者らは、検討の結果、試料中のアルドステロンを試料操作の過程において、酸性条件下、アルコールと反応させ、アルドステロンを18−アルコキシの状態に収束させ、次いで21位水酸基をピリジンカルボン酸エステル体とすることにより、LC−MS測定において良好なピーク形状を得られることを見出した。
本発明者らは、これらの知見を基に更に鋭意検討を重ねた結果、試料中のアルドステロンの量を数pgのレベルで測定することに成功し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、試料中に含まれるアルドステロンを酸性条件下、アルコールを反応させて18−アルコキシ化し、更にピリジンカルボン酸エステル体としてLC−MSで測定する方法を提供するものである。また、本発明は、アルドステロンのLC−MSによる測定において有用な化合物及びその化合物を含有することを特徴とする測定用試薬を提供することである。
本発明を具体的に示すと以下の通りである。
1.試料中のアルドステロンのLC−MSによる測定法であって、試料の処理において、
1)酸性条件下、試料にアルコールを反応させる工程、
2)下記式(I)
すなわち、本発明は、試料中に含まれるアルドステロンを酸性条件下、アルコールを反応させて18−アルコキシ化し、更にピリジンカルボン酸エステル体としてLC−MSで測定する方法を提供するものである。また、本発明は、アルドステロンのLC−MSによる測定において有用な化合物及びその化合物を含有することを特徴とする測定用試薬を提供することである。
本発明を具体的に示すと以下の通りである。
1.試料中のアルドステロンのLC−MSによる測定法であって、試料の処理において、
1)酸性条件下、試料にアルコールを反応させる工程、
2)下記式(I)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ(C1−4アルキル)アミノ基、ニトロ基又はシアノ基を表し、Xはヒドロキシ基又は脱離基を表す。)
で示される化合物を試料に反応させる工程、
を含むことを特徴とする、LC−MSによる測定法。
2.下記式(II)
で示される化合物を試料に反応させる工程、
を含むことを特徴とする、LC−MSによる測定法。
2.下記式(II)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ(C1−4アルキル)アミノ基、ニトロ基又はシアノ基を表し、R2はC1−4アルキル基を表す。)
で示される化合物。
3.上記2の式(II)で示される化合物を含むことを特徴とする、アルドステロンのLC−MSによる測定用試薬。
で示される化合物。
3.上記2の式(II)で示される化合物を含むことを特徴とする、アルドステロンのLC−MSによる測定用試薬。
本発明によれば、試料中のアルドステロンを10 pg/mL(定量下限値)まで測定することができる。
また、本発明の測定方法における操作は、試料を、溶媒による抽出、固相抽出、遠心分離等の簡易な精製手段に付した後、酸性条件下にてアルコールと反応を行い、更にエステル誘導体化試薬で反応を行うというもので、極めて容易に行うことができる。そして、その反応成績体である、下記式(II)で示される化合物は安定である。
また、本発明の測定方法における操作は、試料を、溶媒による抽出、固相抽出、遠心分離等の簡易な精製手段に付した後、酸性条件下にてアルコールと反応を行い、更にエステル誘導体化試薬で反応を行うというもので、極めて容易に行うことができる。そして、その反応成績体である、下記式(II)で示される化合物は安定である。
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ(C1−4アルキル)アミノ基、ニトロ基又はシアノ基を表し、R2はC1−4アルキル基を表す。)
このように、アルドステロンそれ自身は、溶液中で複数の形状で化学平衡を形成しているため、質量分析に基づく測定を行うことは困難であるが、アルドステロンの18位をアルコキシ化することによって化合物が安定し、さらにピリジンカルボン酸エステル体とすることによってLC−MSにおける測定感度が上昇するため、本発明の方法により、試料中のアルドステロンの定量的な高感度分析が可能になる。
このように、アルドステロンそれ自身は、溶液中で複数の形状で化学平衡を形成しているため、質量分析に基づく測定を行うことは困難であるが、アルドステロンの18位をアルコキシ化することによって化合物が安定し、さらにピリジンカルボン酸エステル体とすることによってLC−MSにおける測定感度が上昇するため、本発明の方法により、試料中のアルドステロンの定量的な高感度分析が可能になる。
本明細書において、「LC−MS」とは、液体クロマトグラフィーと質量分析計とを組み合わせた装置を用いて行う分析方法を表すが、その中でも、質量分離部が複数結合したタンデム型の質量分析計(LiquidChromatography−Tandem Mass Spectrometer:LC−MS/MS)を用いることが好ましい。LC−MSにおけるイオン化は、例えば、APCI、ESI、APPI等が挙げられるが、中でも、ESIを用いることが好ましい。また、質量分離法は、例えば、磁場型、四重極型、飛行時間型等が挙げられるが、本発明では、定量性が良く、ダイナミックレンジも広く直線性も良い四重極型を使用することが好ましい。さらに、定量におけるイオンの検出は、目的とするイオンのみを選択的に検出する、選択イオンモニタリング(SelectedIon Monitoring:SIM)や、1つ目の質量分離部で生成したイオン種のうち1つを前駆イオンとして選択し、2つ目の質量分離部で、その前駆イオンの分解によって生じるプロダクトイオンを検出する、選択反応モニタリング(SelectedReaction Monitoring:SRM)等が挙げられる。本発明では、選択性が増し、ノイズが減ることによってS/N(シグナル/ノイズ)比が向上するSRMによる測定が好ましい。
また、本明細書における「アルコール」とは、直鎖状又は分枝鎖状のアルコールを表し、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等を挙げることができるが、より適しているのは、エタノール及びメタノールである。
本発明の測定方法においては、使用する下記式(I)
また、本明細書における「アルコール」とは、直鎖状又は分枝鎖状のアルコールを表し、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等を挙げることができるが、より適しているのは、エタノール及びメタノールである。
本発明の測定方法においては、使用する下記式(I)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ(C1−4アルキル)アミノ基、ニトロ基又はシアノ基を表し、Xはヒドロキシ基又は脱離基を表す。)
で示される化合物において、R1が水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基又はジ(C1−4アルキル)アミノ基を表す場合が好ましく、中でも、R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表す場合が好適である。
また、本発明の測定方法において、上記式(I)で示される化合物におけるXはヒドロキシ基又は脱離基を表す。ここで、脱離基とは、水酸基と反応して該水酸基に取って代わることのできる基を意味し、本発明において特に制限はないが、例えば、ハロゲン基(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、低級アルキルカルボニルオキシ基、ジカルボン酸イミド基等を挙げることができる。本発明において、Xは、ヒドロキシ基であることが好ましい。
なお、上記低級アルキル基は、炭素数が1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等を挙げることができる。
さらに、本発明の測定方法において使用される、前記式(I)で示される化合物における−COXの置換位置は、特に制限されることはないが、より好ましくはピリジン環の2位である。
なお、前記式(I)の化合物はそのほとんどが既知であり、たとえ新規であったとしても、既知化合物から既存の方法により容易に合成することができる。
さらに、本明細書において、下記式(II)
で示される化合物において、R1が水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基又はジ(C1−4アルキル)アミノ基を表す場合が好ましく、中でも、R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表す場合が好適である。
また、本発明の測定方法において、上記式(I)で示される化合物におけるXはヒドロキシ基又は脱離基を表す。ここで、脱離基とは、水酸基と反応して該水酸基に取って代わることのできる基を意味し、本発明において特に制限はないが、例えば、ハロゲン基(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、低級アルキルカルボニルオキシ基、ジカルボン酸イミド基等を挙げることができる。本発明において、Xは、ヒドロキシ基であることが好ましい。
なお、上記低級アルキル基は、炭素数が1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等を挙げることができる。
さらに、本発明の測定方法において使用される、前記式(I)で示される化合物における−COXの置換位置は、特に制限されることはないが、より好ましくはピリジン環の2位である。
なお、前記式(I)の化合物はそのほとんどが既知であり、たとえ新規であったとしても、既知化合物から既存の方法により容易に合成することができる。
さらに、本明細書において、下記式(II)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基、C1−4アルキルアミノ基、ジ(C1−4アルキル)アミノ基、ニトロ基又はシアノ基を表し、R2はC1−4アルキル基を表す。)
で示される化合物におけるR1が水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基又はジ(C1−4アルキル)アミノ基を表す場合の化合物が好ましく、中でも、R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表す場合の化合物が好適である。また、R2はエチル基又はメチル基を表す場合の化合物が好ましい。さらに、特に制限されるものではないが、ピリジン環が2位でカルボン酸エステルを介して結合している場合の化合物が好ましい。
本明細書において、「試料」とは、生物、環境又は工業製品いずれの由来のものであってもよい。生物由来の試料としては、例えば、ヒトを含む動物の血液、唾液、涙液、尿、糞、胆汁、組織、培養細胞、細胞培養液又は臓器から得られる調製物、あるいは植物からの抽出物等を挙げることができる。また、環境由来の試料としては、例えば、土壌、汚水、廃水、河川水、海水等が挙げられる。さらに、工業製品由来の試料としては、例えば、食料品、医薬品等が挙げられる。この中、好ましくは、生物由来の試料としては、ヒトを含む動物の血液、唾液、尿、糞、胆汁、組織及び細胞培養液が挙げられ、環境由来の試料としては、汚水、排水及び河川水が挙げられ、工業由来の試料としては、医薬品が挙げられる。
本発明の測定方法について、以下に具体的に説明する。
試料の調製
試料は、必要に応じて有機溶媒による抽出を行った後、固相抽出、例えば、ウォーターズ社製Oasis HLB(登録商標)カートリッジ、バリアン社製Bond ElutC18(登録商標)カートリッジ、ジーエルサイエンス社製InertSepPharma(登録商標)カートリッジ等による分離精製等の一般的な調製方法を適宜選択して調製し、次のアルコキシ化及びピリジンカルボン酸エステル体化反応に供することができる。
アルコキシ化反応
上記で調製した試料に対し、酸性条件下でアルコールを反応させて、試料中に含まれるアルドステロンの18位をアルコキシ化する。
この反応に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、中でも塩酸が望ましい。また、アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等が使用できるが、中でもメタノール及びエタノールが好適である。本反応に使用する酸とアルコールの量は特に制限されるものではないが、アルコール中に酸の割合が5%前後になるように調製した酸とアルコールの混合溶液を、試料1mL又は0.5 gにつき0.01乃至1mLの範囲内、より好ましくは0.1乃至0.5 mLの範囲内で調製試料中に加えることが適している。反応温度は、通常、−5℃乃至80℃の範囲内とすることができるが、好ましくは10℃乃至30℃の範囲内の温度が適している。また、反応時間は、通常5乃至240分の範囲内とすることができ、好ましくは15分乃至90分の範囲内の時間が適している。
エステル誘導体化反応
上記でアルコキシ化した後、更に前記式(I)の化合物を反応させて、試料中に含まれる18位がアルコキシ化されたアルドステロンの21位をピリジンカルボン酸エステル体にする。
この反応は、一般に、上記でアルコキシ化した試料を、不活性有機溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル;ジメチルスルホキシド等の不活性有機溶媒もしくはそれと水との混合溶媒に溶解又は懸濁した状態にて、適当な塩基、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の存在下にて行うことができる。反応温度は、通常、−5℃乃至80℃の範囲内の温度とすることができ、好ましくは10℃乃至60℃の範囲内の温度が適している。また、反応時間は、通常5乃至240分の範囲内の時間とすることができ、好ましくは15分乃至90分の範囲内の時間が適している。
上記エステル誘導体化反応において、試料の量に対する前記式(I)の化合物の使用割合は、特に制限されるものではないが、一般に、試料1mLあたり前記式(I)の化合物を少なくとも0.2 mg、好ましくは1乃至5 mgの範囲内で用いることができる。
また、上記エステル誘導体化反応において使用する塩基の量は、特に制限されるものではないが、一般に、試料1mLあたり塩基を少なくとも0.1 mmol、好ましくは0.1乃至0.5 mmolの範囲内とすることができる。
なお、上記エステル誘導体化反応において、前記式(I)の化合物におけるXがヒドロキシ基を表す場合は、この式(I)の化合物を予め、例えば、1,1−カルボニルジイミダゾール、1,1−チオニルジイミダゾール等で処理して、ヒドロキシ基を活性アミド等の脱離基に変換しておくことが望ましい。また、Xがハロゲン基を表す場合、式(I)の化合物は予め、例えばイミダゾール及びDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)等で処理して、ハロゲンをイミダゾリド等の他の脱離基に変換しておくこともできる。
以上のようにエステル誘導体化反応を行った後、常法により後処理を行い、以下のようにしてLC−MSによる測定を行う。
LC−MS測定
上記反応において調製した調製物のLC−MSによる測定は、一般的なLC、例えば、ヒューレット・パッカード社製HP1100、ウォーターズ社製ACQUITY UPLC(登録商標)等のLC、さらにウォーターズ社製及び一般的なMS、例えば、マイクロマス社製QUATTROII(登録商標)、QUATTRO MICRO(登録商標)、アプライド・バイオシステムズ社製API 5000(登録商標)等のMSを用いて行うことができる。
で示される化合物におけるR1が水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、アリルC1−4アルコキシ基又はジ(C1−4アルキル)アミノ基を表す場合の化合物が好ましく、中でも、R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表す場合の化合物が好適である。また、R2はエチル基又はメチル基を表す場合の化合物が好ましい。さらに、特に制限されるものではないが、ピリジン環が2位でカルボン酸エステルを介して結合している場合の化合物が好ましい。
本明細書において、「試料」とは、生物、環境又は工業製品いずれの由来のものであってもよい。生物由来の試料としては、例えば、ヒトを含む動物の血液、唾液、涙液、尿、糞、胆汁、組織、培養細胞、細胞培養液又は臓器から得られる調製物、あるいは植物からの抽出物等を挙げることができる。また、環境由来の試料としては、例えば、土壌、汚水、廃水、河川水、海水等が挙げられる。さらに、工業製品由来の試料としては、例えば、食料品、医薬品等が挙げられる。この中、好ましくは、生物由来の試料としては、ヒトを含む動物の血液、唾液、尿、糞、胆汁、組織及び細胞培養液が挙げられ、環境由来の試料としては、汚水、排水及び河川水が挙げられ、工業由来の試料としては、医薬品が挙げられる。
本発明の測定方法について、以下に具体的に説明する。
試料の調製
試料は、必要に応じて有機溶媒による抽出を行った後、固相抽出、例えば、ウォーターズ社製Oasis HLB(登録商標)カートリッジ、バリアン社製Bond ElutC18(登録商標)カートリッジ、ジーエルサイエンス社製InertSepPharma(登録商標)カートリッジ等による分離精製等の一般的な調製方法を適宜選択して調製し、次のアルコキシ化及びピリジンカルボン酸エステル体化反応に供することができる。
アルコキシ化反応
上記で調製した試料に対し、酸性条件下でアルコールを反応させて、試料中に含まれるアルドステロンの18位をアルコキシ化する。
この反応に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、中でも塩酸が望ましい。また、アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等が使用できるが、中でもメタノール及びエタノールが好適である。本反応に使用する酸とアルコールの量は特に制限されるものではないが、アルコール中に酸の割合が5%前後になるように調製した酸とアルコールの混合溶液を、試料1mL又は0.5 gにつき0.01乃至1mLの範囲内、より好ましくは0.1乃至0.5 mLの範囲内で調製試料中に加えることが適している。反応温度は、通常、−5℃乃至80℃の範囲内とすることができるが、好ましくは10℃乃至30℃の範囲内の温度が適している。また、反応時間は、通常5乃至240分の範囲内とすることができ、好ましくは15分乃至90分の範囲内の時間が適している。
エステル誘導体化反応
上記でアルコキシ化した後、更に前記式(I)の化合物を反応させて、試料中に含まれる18位がアルコキシ化されたアルドステロンの21位をピリジンカルボン酸エステル体にする。
この反応は、一般に、上記でアルコキシ化した試料を、不活性有機溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル;ジメチルスルホキシド等の不活性有機溶媒もしくはそれと水との混合溶媒に溶解又は懸濁した状態にて、適当な塩基、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の存在下にて行うことができる。反応温度は、通常、−5℃乃至80℃の範囲内の温度とすることができ、好ましくは10℃乃至60℃の範囲内の温度が適している。また、反応時間は、通常5乃至240分の範囲内の時間とすることができ、好ましくは15分乃至90分の範囲内の時間が適している。
上記エステル誘導体化反応において、試料の量に対する前記式(I)の化合物の使用割合は、特に制限されるものではないが、一般に、試料1mLあたり前記式(I)の化合物を少なくとも0.2 mg、好ましくは1乃至5 mgの範囲内で用いることができる。
また、上記エステル誘導体化反応において使用する塩基の量は、特に制限されるものではないが、一般に、試料1mLあたり塩基を少なくとも0.1 mmol、好ましくは0.1乃至0.5 mmolの範囲内とすることができる。
なお、上記エステル誘導体化反応において、前記式(I)の化合物におけるXがヒドロキシ基を表す場合は、この式(I)の化合物を予め、例えば、1,1−カルボニルジイミダゾール、1,1−チオニルジイミダゾール等で処理して、ヒドロキシ基を活性アミド等の脱離基に変換しておくことが望ましい。また、Xがハロゲン基を表す場合、式(I)の化合物は予め、例えばイミダゾール及びDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)等で処理して、ハロゲンをイミダゾリド等の他の脱離基に変換しておくこともできる。
以上のようにエステル誘導体化反応を行った後、常法により後処理を行い、以下のようにしてLC−MSによる測定を行う。
LC−MS測定
上記反応において調製した調製物のLC−MSによる測定は、一般的なLC、例えば、ヒューレット・パッカード社製HP1100、ウォーターズ社製ACQUITY UPLC(登録商標)等のLC、さらにウォーターズ社製及び一般的なMS、例えば、マイクロマス社製QUATTROII(登録商標)、QUATTRO MICRO(登録商標)、アプライド・バイオシステムズ社製API 5000(登録商標)等のMSを用いて行うことができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アルドステロン−18−アルコキシ−21−ピコリニルエステルの合成
アルドステロン10 μgをエタノール:塩酸(5:1、v/v)0.25mLに溶解し、20分間室温で放置した。これに、精製水1 mLを加え、あらかじめメタノール1 mL及び精製水1mLでコンディショニングしたOasis HLBカートリッジに負荷し、精製水3 mL、5%重曹水2 mL、精製水3mL、アセトニトリル:精製水(20:80、v/v)1 mLの順に固相カートリッジを洗浄した後、アセトニトリル:精製水(80:20、v/v)1 mLで溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固した。その残渣にピコリン酸30 mg、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物50 mg及び4−ジメチルアミノピリジン25mgのテトラヒドロフラン1 mL溶液を50 μL加え、室温で30分静置した。反応後、5%重曹水1 mLを加え、あらかじめメタノール1mL、精製水1 mLでコンディショニングしたOasisHLBカートリッジに負荷した。そのカートリッジを精製水3 mL、5% 塩酸溶液1 mL、精製水3 mLで順次洗浄し、アセトニトリル:精製水(80:20、v/v)で目的化合物を溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固し、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルを得た。
また、アルドステロン10 μgをメタノール:塩酸(7:1、v/v)0.25mLに溶解し、20分間室温で放置したものを以下、上記と同様にして処理を行い、アルドステロン−18−メトキシ−21−ピコリニルエステルを得た。
得られたアルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステル及びアルドステロン−18−メトキシ−21−ピコリニルエステルのHigh−resolution−MS(HR−MS)、NMRデータを下記表1及び表2に示す。
アルドステロン10 μgをエタノール:塩酸(5:1、v/v)0.25mLに溶解し、20分間室温で放置した。これに、精製水1 mLを加え、あらかじめメタノール1 mL及び精製水1mLでコンディショニングしたOasis HLBカートリッジに負荷し、精製水3 mL、5%重曹水2 mL、精製水3mL、アセトニトリル:精製水(20:80、v/v)1 mLの順に固相カートリッジを洗浄した後、アセトニトリル:精製水(80:20、v/v)1 mLで溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固した。その残渣にピコリン酸30 mg、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物50 mg及び4−ジメチルアミノピリジン25mgのテトラヒドロフラン1 mL溶液を50 μL加え、室温で30分静置した。反応後、5%重曹水1 mLを加え、あらかじめメタノール1mL、精製水1 mLでコンディショニングしたOasisHLBカートリッジに負荷した。そのカートリッジを精製水3 mL、5% 塩酸溶液1 mL、精製水3 mLで順次洗浄し、アセトニトリル:精製水(80:20、v/v)で目的化合物を溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固し、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルを得た。
また、アルドステロン10 μgをメタノール:塩酸(7:1、v/v)0.25mLに溶解し、20分間室温で放置したものを以下、上記と同様にして処理を行い、アルドステロン−18−メトキシ−21−ピコリニルエステルを得た。
得られたアルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステル及びアルドステロン−18−メトキシ−21−ピコリニルエステルのHigh−resolution−MS(HR−MS)、NMRデータを下記表1及び表2に示す。
LC−MS/MSでの検出感度の比較
アルドステロンとアルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルについて、LC−MS/MSでの検出感度を比較した。
化合物それぞれ20 pgを含有するアセトニトリル溶液20μLを調製し、これらをLC−MS/MSで測定した。そして、得られたクロマトグラムより、S/N比を算出した。その結果を下記表3に示す。
アルドステロンとアルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルについて、LC−MS/MSでの検出感度を比較した。
化合物それぞれ20 pgを含有するアセトニトリル溶液20μLを調製し、これらをLC−MS/MSで測定した。そして、得られたクロマトグラムより、S/N比を算出した。その結果を下記表3に示す。
上記測定結果より、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルは、非誘導体であるアルドステロンそれ自身で測定するよりもS/N比が大きく、より高感度で測定できることが確認された。
アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステル測定の再現性
以下に述べる方法で、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステル測定の日内再現性を確認した。また、日を変えて同様の試験を3回行い、日差再現性の確認をした。
3−1)検量線の作成
アルドステロンの濃度を求める際に、次のようにして検量線を作成した。すなわち、アルドステロンのそれぞれ0、1、5、20、100、500及び1000pg/50 μLのエタノール溶液に、内標準物質としてアルドステロン−2H7エタノール溶液を100pg/50 μL添加した。そこへ酢酸エチルを3mL加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
下記3−3)から3−4)に従い処理をしてLC−MS/MS測定により含有量を求めた。どの検量線においてもアルドステロン1〜1000pg/tube(10〜10000 pg/mL)の範囲において、測定対象物ピーク面積値/内標準物質ピーク面積値比と濃度との関係が、相関係数0.99以上と良好な直線性を示した。
3−2)試料の調製
活性炭処理した血清1 mLにアルドステロンの標準品を下記表6及び7に示した濃度及び内標準としてアルドステロン−2H7を100pg/50 μLを添加した。そこへ酢酸エチルを3mL加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
3−3)エトキシ化
残留物にエタノール:塩酸(5:1、v/v)を0.25 mL加え、よく振り混ぜた後、室温で30分間放置した。反応後、5%重曹水1 mL、酢酸エチル3mLを加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
3−4)ピリジンカルボン酸エステル誘導体化
上記で得られた残留物にピコリン酸50 mg、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物50mg、4−ジメチルアミノピリジン20 mgのテトラヒドロフラン1 mL溶液を50μL、トリエチルアミンを10 μL加え、混合し、50℃で15分放置した。反応後、5% 塩酸1mLを加え、あらかじめメタノール6 mL、精製水3 mLでコンディショニングした、InertSepPharmaに負荷した。そのカートリッジを精製水1 mL、5% 重曹水1 mL、アセトニトリル:精製水(30:70)2.5 mLで順次洗浄後、アセトニトリル:精製水(80:20)1.5mLで目的物を溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固した。その残渣をアセトニトリル:精製水(40:60)0.1mLで溶解し、そのうち0.02 mLを下記表4及び5に示した条件でLC−MS/MS測定に供した。
その結果を下記表6及び7に示す。
以下に述べる方法で、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステル測定の日内再現性を確認した。また、日を変えて同様の試験を3回行い、日差再現性の確認をした。
3−1)検量線の作成
アルドステロンの濃度を求める際に、次のようにして検量線を作成した。すなわち、アルドステロンのそれぞれ0、1、5、20、100、500及び1000pg/50 μLのエタノール溶液に、内標準物質としてアルドステロン−2H7エタノール溶液を100pg/50 μL添加した。そこへ酢酸エチルを3mL加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
下記3−3)から3−4)に従い処理をしてLC−MS/MS測定により含有量を求めた。どの検量線においてもアルドステロン1〜1000pg/tube(10〜10000 pg/mL)の範囲において、測定対象物ピーク面積値/内標準物質ピーク面積値比と濃度との関係が、相関係数0.99以上と良好な直線性を示した。
3−2)試料の調製
活性炭処理した血清1 mLにアルドステロンの標準品を下記表6及び7に示した濃度及び内標準としてアルドステロン−2H7を100pg/50 μLを添加した。そこへ酢酸エチルを3mL加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
3−3)エトキシ化
残留物にエタノール:塩酸(5:1、v/v)を0.25 mL加え、よく振り混ぜた後、室温で30分間放置した。反応後、5%重曹水1 mL、酢酸エチル3mLを加え、10分間振とうした後、酢酸エチルを凍結分離し、減圧下で留去した。
3−4)ピリジンカルボン酸エステル誘導体化
上記で得られた残留物にピコリン酸50 mg、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物50mg、4−ジメチルアミノピリジン20 mgのテトラヒドロフラン1 mL溶液を50μL、トリエチルアミンを10 μL加え、混合し、50℃で15分放置した。反応後、5% 塩酸1mLを加え、あらかじめメタノール6 mL、精製水3 mLでコンディショニングした、InertSepPharmaに負荷した。そのカートリッジを精製水1 mL、5% 重曹水1 mL、アセトニトリル:精製水(30:70)2.5 mLで順次洗浄後、アセトニトリル:精製水(80:20)1.5mLで目的物を溶出し、その溶出液を減圧下で濃縮・乾固した。その残渣をアセトニトリル:精製水(40:60)0.1mLで溶解し、そのうち0.02 mLを下記表4及び5に示した条件でLC−MS/MS測定に供した。
その結果を下記表6及び7に示す。
上記の結果より、アルドステロン−18−エトキシ−21−ピコリニルエステルは1〜1000 pg/tube(10〜10000 pg/mL)まで再現性良く測定できることが確認された。
実施例4:健常人血清中のアルドステロン測定
4−1):試料の調製
健常者14例より血清0.2 mLを採取し、これに内標準物質としてアルドステロン−2H7を100pg/50 μL添加し、酢酸エチル3mLを加えて振とうした後、酢酸エチル層を凍結分離し、減圧下で溶媒を留去した。
その後、上記実施例3の3−3)及び3−4)記載の方法でエトキシ化及びピリジンカルボン酸エステル誘導体化を行った。なお、検量線は上記実施例3−1)と同様の方法で作成した。
4−2):LC−MS/MS測定
上記4−1)で得たアセトニトリル溶液0.1 mLのうち、その0.02mLを上記表3及び4で示した条件に則りLC−MS/MS測定し、血清中のアルドステロン濃度を求めた。その結果を下記表8に示す。
4−1):試料の調製
健常者14例より血清0.2 mLを採取し、これに内標準物質としてアルドステロン−2H7を100pg/50 μL添加し、酢酸エチル3mLを加えて振とうした後、酢酸エチル層を凍結分離し、減圧下で溶媒を留去した。
その後、上記実施例3の3−3)及び3−4)記載の方法でエトキシ化及びピリジンカルボン酸エステル誘導体化を行った。なお、検量線は上記実施例3−1)と同様の方法で作成した。
4−2):LC−MS/MS測定
上記4−1)で得たアセトニトリル溶液0.1 mLのうち、その0.02mLを上記表3及び4で示した条件に則りLC−MS/MS測定し、血清中のアルドステロン濃度を求めた。その結果を下記表8に示す。
本発明の方法によれば、試料中のアルドステロンの有無を検出したり、アルドステロンの量を測定したりすることができる。
本発明は、例えば、医学、薬学、生化学、公衆衛生などの分野で利用できる。
本発明は、例えば、医学、薬学、生化学、公衆衛生などの分野で利用できる。
Claims (9)
- R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表す、請求項1に記載のLC−MSによる測定法。
- COXの置換位置がピリジン環の2位である、請求項1又は2に記載のLC−MSによる測定法。
- アルコールがエタノール又はメタノールである、請求項1〜3のいずれかに記載のLC−MSによる測定法。
- 試料が、血液、唾液、尿、糞、胆汁、組織及び細胞培養液からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のLC−MSによる測定法。
- R1が水素原子又はC1−4アルキル基を表し、R2がエチル基又はメチル基を表す、請求項6に記載の化合物。
- ピリジン環が2位でカルボン酸エステルを介して結合している、請求項6又は7に記載の化合物。
- 請求項6の式(II)で示される化合物を含むことを特徴とする、アルドステロンのLC−MS測定用試薬。
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