JP2010075783A - 揮発性有機化合物の回収方法及び回収装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の揮発性有機化合物の回収方法は、複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液が入れられた容器を、誘導加熱によって加熱処理することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
従来、揮発性有機化合物を用いた樹脂溶液や稀釈液の、工業生産に使用された後の残物は、廃棄物として焼却処理されてきた。しかし、このような揮発性有機化合物を含む廃棄物は、廃棄物の減容化や資源の有効利用等の観点から、焼却処理以外の処理方法で処理することが求められている。
そこで、複数の揮発性有機化合物を含む廃棄物を、揮発性有機化合物それぞれの沸点の差を利用して、蒸留によって分離し、回収する方法が検討されている。
また、加熱対象が水分ではあるが、マイクロ波を用いた誘電加熱により、選択的に水分を蒸発させて、水分と他の成分を分離する方法がある(特許文献1参照)。
更に、水蒸気を用いた間接加熱処理を行う場合は、揮発性有機化合物を含む廃棄物の加熱に時間がかかる上に、温度制御が困難であるという問題があった。
また、マイクロ波を用いた場合、陶器製などのマイクロ波にてスパーク等の発生しない容器を用いる必要性がある上に、マイクロ波の外部への漏洩を防ぎ、且つ効率よくマイクロ波照射を行うための処理室を準備する必要があり、装置自体がかなり高価なものとなってしまうという問題がある。
[1]複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液が入れられた容器を、誘導加熱によって加熱処理する揮発性有機化合物の回収方法。
[2]前記誘導加熱時の周波数が1〜100kHzである[1]に記載の揮発性有機化合物の回収方法。
[4]更に冷却手段を有する[3]に記載の揮発性有機化合物回収装置。
[5]前記容器が、金属及び/又は磁性体材料を含む材料より製造された容器である[3]又は[4]記載の揮発性有機化合物回収装置。
[6]前記容器が、鉄を主成分とする合金より製造された容器である[3]〜[5]のいずれかに記載の揮発性有機化合物回収装置。
[7]前記誘導加熱手段が高周波発生器と誘導コイルを有しており、前記誘導コイルが前記容器の側面と底面に設置されている[3]〜[6]のいずれかに記載の揮発性有機化合物回収装置。
[8]前記誘導コイルを構成する素線の断面形状が中空二重構造となっており、外層が絶縁物からなり、内層が導体とされ、中空部分が冷却媒体の通路とされていることを特徴とする[7]に記載の揮発性有機化合物回収装置。
本発明の揮発性有機化合物の回収装置を用いれば、揮発性有機化合物を含む廃棄物([1]に記載の揮発性有機化合物溶液)から、容易かつ安全に揮発性有機化合物を回収することができる。また、本発明の回収装置を用いて回収された揮発性有機化合物は、溶剤や稀釈剤また、燃料として再度利用することができる。
本発明の揮発性有機化合物回収装置の一実施形態の模式図を図1に示す。図1で示されるように、本発明の揮発性有機化合物回収装置10は、複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液21を入れるための誘導加熱が可能な容器11と、誘導加熱手段12a及び誘導加熱手段12bを有する。
容器11としては、誘導加熱が可能な鋼材を用いて製造された、容量200L、耐熱温度900℃の円筒状のドラム缶が用いられる。
尚、容器11の材料は誘導加熱が可能なものであればよく、金属及び/又は磁性体材料を含む材料が挙げられる。
具体的には、アルミニウム、錫、鉛、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデン、チタン、マグネシウム、マンガン、クロム、銀、鉄、白金やこれらの合金である鋼、ステンレス、ニクロム等を挙げることができる。また、カーボンも誘導加熱により加熱は可能である。
特に、鉄、ニッケルを含むものは、誘導加熱時に優れた渦電流およびヒステリシス損失による発熱性を有し加熱効率の点から好ましい。
中でも、作業性や経済性の観点からは、鉄を主成分とする合金が用いられると好ましく、具体的には鋼材がよい。尚、ここで鉄を主成分とするとは、合金全量中鉄を50〜100質量%含有することをいう。
尚、容器11として、長方体、立方体等の多角形の柱状体であるものも用いられる。
円筒状の具体的な容器としては、鋼材を用いて製造されたドラム缶等が挙げられる。
ドラム缶は、樹脂や揮発性有機化合物の輸送や保管に使用されている。また、樹脂や揮発性有機化合物に添加剤を添加し、加工用溶液とする際にも、一般的にドラム缶の中で配合や混合を行った後、加工用バスに流し込み加工用溶液として用いられる。
従って、誘導加熱を行う際の容器として、ドラム缶を用いれば、事業所等にて樹脂加工などを行った後のドラム缶中に残っている揮発性有機化合物溶液を、他の容器に移し替える必要がなく、移し替える時に発生する揮発性有機化合物樹脂のロスや時間のロスを削減することができる。また、加工用バス中に残った加工用溶液は、もとのドラム缶に戻して誘導加熱をすることができるので、特別に容器を準備する必要もなく、装置が安価となり好ましい。
また、容器11の容量は特に限定されないが、容量が20〜200Lである一般的なドラム缶が用いられると、装置が安価となり好ましい。
尚、断熱材15は設置されても設置されなくてもよい。更に断熱材15が設置される場合は、断熱材は容器11の側面だけではなく、底面に設置されてもよい。
断熱材としては、ケイ酸カルシウム発泡体、鉱物系のもの及びガラスウール等を用いることができる。
温度計16a〜温度計16cとしては、温度を測れるものであれば何でもよく、一般的な温度計や温度センサーの他、温度計16cの様なピン形状の温度センサーを用いることができる。
尚、温度計の設置箇所は容器の側面、底面、及び内部の3箇所に限定されず、揮発性有機化合物を回収するための温度制御ができる場所に設置されるとよい。また、容器の側面及び底面の温度を測定する際の温度計の設置箇所は、容器の内面と外面のいずれであってもよい。
また、容器11の開口部は蓋17で閉じられ、この蓋17にはこれを貫通する配管が取り付けられている。
本発明の揮発性有機化合物回収装置における誘導加熱手段とは、電磁誘導を利用した加熱手段である。
図1に示されるように、誘導加熱手段12a及び誘導加熱手段12bは、電磁誘導を起こすための高周波発生器(電源)13a及び高周波発生器(電源)13bと、誘導コイル14a及び誘導コイル14bから構成されている。
誘導コイルの材料としては、導体が用いられる。導体として具体的に、アルミニウム、錫、鉛、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデン、チタン、マグネシウム、マンガン、クロム、銀、鉄、白金及びこれらの合金等が挙げられる。中でも、銅が用いられると、比較的安価で、電気抵抗が低く、コイル自体の発熱が少ないため好ましい。
感電防止の観点から付与される絶縁物としては、セラミックス、樹脂、ゴム等が挙げられる。
また、中空部分51は水等の冷媒の通路とする。これは、誘導コイルが、誘導加熱時の容器11からの放熱や誘導コイルに電流を流した際の電気抵抗等によって、温度上昇することを防ぐためである。
図1で示すように、容器11の底面の下に誘導コイル14bが設置されると、容器11の底面を加熱できる。更に、円筒状に巻いた誘導コイル14aの中に容器11が配置されることにより、容器11の側面に誘導コイル14aが設置された状態となり、容器11の側面の加熱が可能となる。
このように、誘導コイル14a及び誘導コイル14bが設置されると、揮発性有機化合物溶液の粘度が高くても、揮発性有機化合物溶液の対流を促し、また、揮発性有機化合物溶液に含まれる樹脂などの不揮発性成分が容器へ焦げ付くことを抑制できる。
尚、誘導コイルの設置位置は、容器11の側面及び底面に限られず、いずれか一方でもよい。
尚、誘導コイル(誘導コイルの容器の外面に最も近いところ)から容器(誘導コイルに最も近い容器の外面)までの距離は、1〜30cmが好ましく、3〜15cmがより好ましい。
距離が1cm未満の場合、作業性、安全性の観点より好ましくなく、30cmを超える場合、容器を十分加熱することが困難となり、エネルギー効率が低下するおそれがある。
また、このような誘導加熱手段を用いた場合、高周波発生器(電源)の出力の調節により、容器内の温度制御が可能であり、温度制御が容易である。
図1で示される揮発性有機化合物回収装置10には、揮発した揮発性有機化合物を冷却し、液体に戻すための冷却手段18が設けられている。
冷却手段18としては、空冷式のものや水を用いた水冷式、また、水以外の冷媒を用いた熱交換器などの冷却装置や、外気温による自然冷却装置等が挙げられる。
特に、複数の揮発性有機化合物を個別に回収する場合、図2に示される揮発性有機化合物回収装置30のように、冷却手段18に設置された分岐のある配管32を経由した先に、冷却された揮発性有機化合物を回収するための回収容器33〜回収容器35が設置されているとよい。尚、冷却装置18と回収容器33〜回収容器35との間には、誘導加熱時の容器外面の温度により、開閉の切替が調節されるバルブ36〜バルブ38が設置される。
尚、バルブ36〜バルブ38の開閉を切替るための温度の測定箇所は容器11の外面温度に限定されず、容器内の温度や、容器内の揮発性有機化合物溶液の温度であってもよく、冷却された揮発性有機化合物を回収容器33〜回収容器35に分けることができる温度が測定できる箇所であればよい。
また、本発明の揮発性有機化合物回収装置10には、容器11内の揮発性有機化合物溶液21より、揮発性有機化合物が回収された後の残留物に対し炭化処理を行うための、過熱水蒸気供給手段が設置されているとよい。過熱水蒸気供給手段は過熱水蒸気を容器内に供給するためのものであり穴の開いたパイプ(配管)やノズルなどが用いられる。
過熱水蒸気供給手段は、容器の蓋や側面、底面などに取り付ければよく、また過熱水蒸気を容器内、特に残留物に効果的に吹き付けられるように設置されることが好ましい。容器の再利用や取り扱いの観点からは、容器の蓋17に過熱水蒸気を容器内に供給するための多数の孔を有するパイプが過熱水蒸気供給手段として設置されるとよい。
尚、過熱水蒸気供給手段は揮発性有機化合物を回収した後に揮発性有機化合物回収装置10に設置されてもよい。具体的には、過熱水蒸気を容器内に供給するための多数の孔を有するパイプが過熱水蒸気供給手段として設置されている蓋が、揮発性有機化合物回収時に使用した蓋17とは別に準備されていることが好ましい。そして、揮発性有機化合物が回収された後、容器11にその過熱水蒸気供給手段が設置された蓋が取り付けられることで、揮発性有機化合物回収装置10に過熱水蒸気供給手段が設置されるとよい。
また、残留物中に引火性、発火性及び爆発性を有する揮発性有機化合物が含まれていなければ、炭化処理を行うための手段として、ガスバーナーや電気ヒーターが設置されてもよい。
次に、揮発性有機化合物の回収方法について説明する。
本発明の揮発性有機化合物の回収方法は、複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液が入れられた容器を、誘導加熱によって加熱処理する揮発性有機化合物の回収方法であり、図1で示されるような揮発性有機化合物回収装置を用いて行われることが好ましい。
以下、本発明の揮発性有機化合物の回収方法について、本発明の揮発性有機化合物回収装置の一実施形態の模式図である図1を用いて説明するが、本発明の回収方法はこれに限定されるものではない。
揮発性有機化合物としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル(以下、「MPG」とする。)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(以下、「MEK」とする。)、ベンゼン、トルエン(以下「TOL」とする。)、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」とする。)等、一般的に揮発性有機化合物(VOC)として分類されるものが挙げられる。また、ミネラルスピリットなどであってもよい。
揮発性有機化合物を2種以上含有する場合、沸点の離れた揮発性有機化合物が混合されているもののほうが、回収される揮発性有機化合物を、各揮発性有機化合物毎に分離しやすいため好ましい。
上述の揮発性有機化合物の1種或いは2種以上と樹脂との混合物としては、ウレタン樹脂とDMFの混合物、ウレタン樹脂とMEKとTOLの混合物、ウレタン樹脂とMEKとTOLとDMFの混合物、また、撥水剤に用いられているようなフッ素変成アクリル樹脂とアセトンとミネラルスピリット等を含有する混合物などを挙げることができる。但し、これらの組み合わせに何ら限定されるものではない。
揮発性有機化合物溶液21の粘度(20℃)が100000mPa・sを超えると、誘導加熱によって加熱処理を行う際、容器11内の揮発性有機化合物溶液21の対流が悪くなり、容器の側面に焦げ付きが発生するおそれがある。
また、加熱処理前の粘度(20℃)が100000mPa・sを超えているものであっても、加熱処理により、流動性が出てくるものであれば、本発明における揮発性有機化合物溶液21として用いることができる。
揮発性有機化合物回収装置10を用いた揮発性有機化合物の回収方法では、上述のような揮発性有機化合物溶液21が入れられた容器11を、誘導加熱手段12a及び誘導加熱手段12bによって誘導加熱する。
具体的には、高周波発生器(電源)13a及び高周波発生器(電源)13bより一定の周波数の電流が流され、誘導コイル14a及び誘導コイル14bに電磁場を発生させる。容器11はこの電磁場内に設置されているため、容器11に誘導電流が生じて容器11のみが加熱される。これが誘導加熱である。そして、この加熱した容器11によって、容器11内の揮発性有機化合物溶液21が加熱処理される。尚、高周波発生器(電源)13a及び高周波発生器(電源)13bより流されている電流を切ると、電磁場が消失し、容器11の加熱が止まる。容器11の温度は誘導加熱による加熱時間や誘導加熱時の電力によって調節され、揮発性有機化合物溶液21の加熱温度を調節することが可能となる。尚、容器11の温度は、容器11に取り付けられた温度計16a〜温度計16cによって測定する。このように温度計16a〜温度計16cで温度を確認しながら、容器11の温度を調節できるため、揮発性有機化合物溶液21内の揮発性有機化合物それぞれの沸点に応じた加熱温度とすることができ、揮発性有機化合物溶液内の揮発性有機化合物を個々に回収することが可能となる。
また、誘導加熱時による加熱処理時間は、揮発性有機化合物溶液の量などにもよるが100kg程度の揮発性有機化合物溶液の場合、30〜720分間程度であることが好ましい。
なお、温度の測定箇所は容器側面の外面温度に限定されるものではなく、容器内の温度や、容器内の揮発性有機化合物溶液の温度であってもよく、目的とする揮発性有機化合物の回収の管理ができる箇所の温度であれば特に限定されるものではない。
特に、容器11内の揮発性有機化合物溶液21に樹脂が含まれ、揮発性有機化合物溶液の粘度が高い場合には、このように加熱処理面積を増やすことにより、揮発性有機化合物溶液の対流が促進され、単位面積当たりの加熱量を減らすことができるため、容器への樹脂の焦げ付きを防ぐことができる。
また、誘導加熱手段12a及び誘導加熱手段12bによる側面と底面の加熱処理温度は、同じ温度であっても、異なる温度であってもよいが、容器への樹脂の焦げ付き抑制の観点からは、容器の側面の温度を、底面の温度に比べ低くして、容器の側面と底面を誘導加熱により加熱することがより好ましい。
尚、容器内の揮発性有機化合物溶液が対流しない場合、揮発性有機化合物回収中に樹脂の焦げ付き現象が発生して回収される揮発性有機化合物が褐色に着色することがあり、好ましくない。
誘導加熱手段12a及び誘導加熱手段12bによる誘導加熱で加熱処理され、気化した揮発性有機化合物は、冷却手段18を用いて冷却凝縮され、冷却手段18に設置された配管を通じて、回収容器に回収される。尚、冷却温度は、目的の揮発性有機化合物を液化できる温度以下であれば特に限定されない。
このとき、図2に示されるように、冷却手段18に設置された分岐を有する配管32に、容器11の加熱温度によって開閉の切替が可能なバルブ36〜バルブ38が取り付けられていると、揮発性有機化合物の沸点に応じて揮発性有機化合物を回収容器33〜回収容器35に別々に回収することができる。
また、回収された揮発性有機化合物を再度、誘導加熱により加熱処理すると、より純度の高い揮発性有機化合物が回収される。回収された揮発性有機化合物を再度加熱処理する場合、一回目の回収容器として誘導加熱可能な容器を用いれば、容器の入れ替えを行わずに誘導加熱による加熱処理が可能となり好ましい。
また、廃棄物の減容化の観点からは、揮発性有機化合物溶液から揮発性有機化合物を回収した後の残留物に対し更に加熱処理を行うとよい。
また更に、容器中の揮発性有機化合物を回収した後の残留物に対し炭化処理を行うと、残留物を燃料や吸着剤、消臭剤として再利用することが可能となり、資源の有効活用ができるためより好ましい。
このような加熱処理及び炭化処理には、誘導加熱や過熱水蒸気による加熱を用いることができる。中でも、熱量も多く、また、還元雰囲気をつくることができ、残留物を炭化し吸着性能、消臭性能等有する炭を容易に得られることから、過熱水蒸気による炭化処理を行うことがより好ましい。炭化処理に用いられる過熱水蒸気としては、120℃〜1500℃のものが好ましく、炭化された残留物の吸着性、消臭性の観点から、過熱水蒸気の温度は700℃以上のものがより好ましい。
尚、残留物中に引火性、発火性及び爆発性の揮発性有機化合物が残存しない状態であれば炭化処理の際に、ガスバーナー、電気ヒーターなどをもちいてもよい。
また、残留物への消臭性能等の付与の観点からは、過熱水蒸気による加熱処理温度が700℃以上(容器内温度、好ましくは還元雰囲気)であることがより好ましい。
尚、炭化の安定性の観点より、特に好ましくは、残留物へ過熱水蒸気を直接接触させる処理に加え、容器を誘導加熱等により加熱処理することが好ましい。具体的には、誘導加熱により容器を加熱しながら、過熱水蒸気と残留物を直接接触させ、炭化処理をおこなうことが、安全性、作業性の観点からより好ましい。
また、残留物を過熱水蒸気にて炭化する前に、誘導加熱等による加熱処理により、残留物中の揮発性有機化合物を十分揮発、除去させておくと、炭化の際のエネルギー効率の観点より好ましい。
尚、揮発性有機化合物回収装置及び回収方法によって回収された揮発性有機化合物は、溶剤、稀釈剤、ボイラー等の燃料等として有効に活用することができ、揮発性有機化合物の環境への排出を抑制し、廃棄物の量を減少させることができる。
また、揮発性有機化合物回収後の容器に残留した残留物を、該容器中で引続き炭化することにより廃棄物を減少(減容)することができ、さらに、炭化により得られた残留物(炭)は、燃料や吸着剤、消臭剤などの他の用途にも使用でき、環境面においても好ましい。
図2に示す本発明の揮発性有機化合物回収装置の一例の模式図を用いて、以下の実施例を説明する。
本発明の実施例で用いた図2の揮発性有機化合物回収装置30では、揮発性有機化合物溶液を入れる容器11として、鋼板を用いて製造された200L用ドラム缶(耐熱温度900℃)を用いた。なお、容器11の側面は、断熱材15にて覆った。
なお、渦巻状の誘導コイル14bは容器11の下に設置した。更に、誘導コイル14aの中(コイルが形成する円筒形状の内側)に容器11を設置し、容器11の側面の周囲に誘導加熱用の誘導コイル14aが設置されている状態とした。ここで、誘導コイル14aの巻数は13とした。また、誘導コイル14a及び誘導コイル14bと容器11との距離は7cmとした。
尚、これら誘導コイル14a及び誘導コイル14bとしては、図3で示される、素線の断面形状が中空二重構造で、銅からなる内層52を絶縁性樹脂製チューブよりなる外層53で被覆した誘導コイル50を用いた。また、誘導コイルの中空部分51には、誘導加熱による加熱時にコイルの温度が上昇しないように水を通した。
また、冷却手段18と回収容器33〜回収容器35との間には、容器側面(外面)の温度により、開閉の制御がされるバルブ36〜バルブ38を取り付けた。ここで、バルブ36〜バルブ38としては電磁弁を用いた。尚、MEK用のバルブ36が開く温度を(容器側面(外面)の温度):室温(20℃)〜120℃とし、TOL用の電磁弁37が開く温度(容器側面(外面)の温度):121〜140℃とし、DMF用の電磁弁38が開く温度(容器側面(外面)の温度):141〜160℃とした。
また、図示しなかったが脱臭装置40と冷却手段18の間に容器から発生した気体を吸引するための吸引手段を設置した。
揮発性有機化合物溶液としては、以下の成分の混合物を用いた。
(揮発性有機化合物溶液)
粘度2000mPa・s(20℃)、合成皮革製造時に発生した廃樹脂、150kg。
ウレタン樹脂 29質量部
白色顔料 6質量部
MEK 45質量部
TOL 10質量部
DMF 60質量部
揮発性有機化合物溶液に含まれる揮発性有機化合物は、MEK、TOL、DMFであるため、まず、MEKを回収するために、誘導加熱によって容器11を加熱し、容器側面温度(外面)を室温(20℃)から120℃まで120分かけて昇温させた。
引続きTOLを回収するために、誘導加熱によって容器11を加熱し、容器側面温度(外面)を140℃まで60分かけて昇温させた。
さらに、DMFを回収するために、誘導加熱によって容器11を加熱し、容器側面温度(外面)を160℃まで60分かけて昇温させた。
なお、容器11の底面の温度は回収時より常に300℃(外面)とした。
回収された上記の揮発性有機化合物は、合成皮革製造用のウレタン樹脂溶液の溶剤として使用することが可能であった。
容器11内に過熱水蒸気(800℃)を注入し、誘導加熱による加熱と過熱水蒸気による加熱を同時に行うことで、揮発性有機化合物溶液の残留物25kgの炭化処理を800℃(容器内温度)にて3時間おこなった。
得られた炭化物は5kgとなり、廃棄物の減容化がなされていた。また、得られた炭化物にて以下の消臭試験にて消臭性能を確認したところ消臭性能が確認された。
消臭試験は、つぎの手順にて行った。
まず、500mlの三角フラスコ内に、得られた炭化物を1.0g添加した。次に、その三角フラスコ中にMEKを2μl注入し、三角フラスコにフィルムにて蓋をして密封し、軽く振った。この三角フラスコを25℃で16時間静置した後、三角フラスコ内の空気を1mlサンプリングし、ガクロマトグラフを用いてMEKの濃度を測定し、炭化物をいれた場合のMEKの濃度(X)とした。
また、三角フラスコに炭化物を添加しなかった以外は、同様にして、三角フラスコ内のMEKの濃度を測定し、炭化物をいれない場合のMEKの濃度(Y)とした。
炭化物をいれた場合のMEKの濃度(X)は11ppmであり、炭化物を入れない場合のMEKの濃度(Y)は876ppmであった。従って、下記一般式(1)より求められる、炭化物のMEKの消臭率は99%であり、消臭性が確認された。
(MEKの濃度(Y)−MEKの濃度(X))/MEKの濃度(Y)×100=炭化物のMEKの消臭率・・・(1)
従って、本発明の揮発性有機化合物の回収方法及び回収装置によれば、従来廃棄物として廃棄されてきた揮発性有機化合物溶液より、有用な揮発性有機化合物を入手することができ資源の有効利用ができるといえる。また、揮発性有機化合物を大気や水系などの外部環境に放出することを抑制し環境に対する負荷も軽減することができる。
さらに、炭化処理まで行えば、揮発性有機化合物溶液に含まれていた固形分も一層有効活用することができる。
11:容器
12a、12b:誘導加熱手段
13a、13b:高周波発生器
誘導コイル:14a、14b、50
外層:53、内層:52、中空部分:51
Claims (8)
- 複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液が入れられた容器を、誘導加熱によって加熱処理する揮発性有機化合物の回収方法。
- 前記誘導加熱時の周波数が1〜100kHzである請求項1に記載の揮発性有機化合物の回収方法。
- 複数の揮発性有機化合物の混合物、揮発性有機化合物と樹脂との混合物、及び複数の揮発性有機化合物と樹脂との混合物のいずれかである揮発性有機化合物溶液を入れるための誘導加熱が可能な容器と、誘導加熱手段を有する揮発性有機化合物回収装置。
- 更に冷却手段を有する請求項3に記載の揮発性有機化合物回収装置。
- 前記容器が、金属及び/又は磁性体材料を含む材料より製造された容器である請求項3又は4に記載の揮発性有機化合物回収装置。
- 前記容器が、鉄を主成分とする合金より製造された容器である請求項3〜5のいずれかに記載の揮発性有機化合物回収装置。
- 前記誘導加熱手段が高周波発生器と誘導コイルを有しており、
前記誘導コイルが前記容器の側面と底面に設置されている請求項3〜6のいずれかに記載の揮発性有機化合物回収装置。 - 前記誘導コイルを構成する素線の断面形状が中空二重構造となっており、外層が絶縁物からなり、内層が導体とされ、中空部分が冷却媒体の通路とされていることを特徴とする請求項7に記載の揮発性有機化合物回収装置。
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