次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明を弾球遊技機の一例であるパチンコ機に適用した構成を説明する。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るパチンコ機(遊技機)10の前面部には、主として、外枠12と、内枠(枠体)14と、前面枠16と、上皿部(賞球皿)18と、下皿部20と、施錠装置22と、発射ハンドル24と、が設けられている。
外枠12は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。内枠14は、全体がプラスチック製で、外枠12に対して開閉可能に軸支されている。また、内枠14の右端中央からやや下方には、施錠装置22が設けられている。
前面枠16は、本発明の前面扉の一具体例を示すもので、パチンコ機10の前面部全体の約2/3のサイズを占め、内枠14の左端に開閉可能となるように軸支されている。また、前面枠16は、全体がプラスチック製であり、遊技盤26(図3参照)を前方から視認するべく、遊技盤26に形成された遊技領域28(図3参照)の形状に対応して略円形に形成された開口部30を有している。また、前面枠16の裏面には、ガラス板32がガラス枠(図示省略)によって取り付けられている。そして、遊技者を基準とすれば、遊技盤26に形成された遊技領域28はガラス板32の後方に位置するようになっている。
また、前面枠16の下方側には、上皿部18が設けられている。この上皿部18には、演出ボタン40と、球貸操作部155と、がそれぞれ設けられている。
また、球貸操作部155には、球貸しを要求するための球貸スイッチ156と、カード挿入口157に挿入されたプリペイドカードの返却を要求するための返却スイッチ158と、がそれぞれ設けられている。
また、上皿部18の下方側には、下皿部20が設けられている。また、下皿部20の右下方側には、遊技球を発射させるための発射ハンドル24が設けられている。この発射ハンドル24には、発射レバー44と、発射停止ボタン46がそれぞれ設けられている。
また、下皿部20の左右下方側には、所定の効果音を出力するための各サブスピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、内枠14は、外枠12の左端に開閉可能となるように軸支されている。このため、前面扉16は、内枠14及び外枠12に対して開閉可能に取り付けられた構成になり、内枠14は、外枠12に対して開閉可能に取り付けられた構成になる。また、内枠14の内側面には、遊技盤26を取り付けるための開口部(図示省略)が形成されている。これにより、遊技盤26が開口部に取り付けられた状態で、遊技者は、遊技盤26の遊技領域28を前面枠16の開口部30を通して視認することができる。
図2及び図4に示すように、内枠14の背面(裏面)側上部には、遊技球が貯留する賞球タンク200が設けられている。この賞球タンク200は、パチンコホールなどの島設備に設けられた遊技球管理装置(図示省略)と接続されており、必要に応じて、遊技球管理装置から賞球タンク200に向かって遊技球が供給される。この賞球タンク200の内部には、所定数の遊技球が貯留されている。
賞球タンク200の底部には、賞球タンク200の内部の遊技球を後述の球抜弁(切換弁、切換部材)212に導くための誘導路202の一方の端部が接続されている。誘導路202の他方の端部には、遊技球を払出通路204又は球抜通路206のいずれかに振り分ける遊技球振分部208が設けられている。遊技球振分部208は、全体として湾曲状に形成され、上下方向(重力方向(鉛直方向))に延びる空間部である。遊技球振分部208には、遊技球を後述の払出装置161に導くための払出通路204が接続されている。なお、この払出装置161は、主制御基板102及び払出制御基板104からの制御信号に基づいて、所定数の遊技球を上皿部18(あるいは、パチンコ機の構成によって下皿部20)に排出する。
また、遊技球振分部208の一部には、遊技球を払出装置161に導くことなく外部に排出させる球抜通路206が接続されている。球抜通路206は、球抜弁212が入口を閉鎖していない状態で、誘導路202から自由落下した遊技球が遊技球振分部208を通ってそのまま進入する通路である。
ここで、遊技球振分部208、払出通路204及び球抜通路206は、内枠14の背面(裏面)側に取り付けられたケーシング203の内部に区画形成されている。このため、ケーシング203で遮断されるため、外部から遊技球振分部208、払出通路204及び球抜通路206に対して直接接触することはできない(不正行為防止)。
図4及び図5に示すように、ケーシング203には、遊技球を払出通路204又は球抜通路206に振り分けるための振分装置(切換部材)210が設けられている。振分装置210は、遊技球振分部208の近傍に設けられている。振分装置210は、球抜弁212と、スライド部材(操作部材、切換部材)214と、で構成されている。
図6及び図7に示すように、球抜弁212は、回動軸216と、回動軸216に接続されている傾斜片218と、回動軸216に接続され傾斜片218と所定の角度だけ開いた係合片220と、傾斜片218と係合片220との間に跨るようにして形成された重心偏心部222と、で構成されている。
回動軸212は、ケーシング203の側壁に、自身の軸回りに回動可能となるように設けられている。
傾斜片218は、全体として平板状に形成されており、球抜弁212が第1回動停止位置(図6、図11及び図12に示す状態、以下同様)にあるときに、誘導路202から落下して遊技球振分部208を通過した遊技球を衝突させて払出通路204に導くためのものである。傾斜片218は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、球抜通路206の入口を閉鎖するように作用する。
ここで、傾斜片218は、球抜弁212が第1回動停止位置及び第2回動停止位置(図7、図14及び図15に示す状態、以下同様)にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。換言すれば、傾斜片218は、球抜弁212が第1回動停止位置及び第2回動停止位置にあるときに、ケーシング203の外部(例えば、右側)に突出するような構成をしていない。このように、傾斜片218は、常に、ケーシング203の内部に位置している。この結果、傾斜片218に対して、パチンコ機の島側からぶらさがっているコネクタ等の部品が干渉することがなく、傾斜片218の損傷を未然に防止できる。
係合片220は、全体として平板状に形成されており、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、スライド部材214の上方端と係合して、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態を維持するものである。係合片220は、平板状に形成された係合片本体220Aと、係合片本体220Aの先端部に形成され、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときにスライド部材214の上方端と係合する爪部220Bと、係合片本体220Aの先端部から下側に向かって大きく突出するように形成されスライド部材214と係合している状態でスライド部材214の上方端面と当接する位置決め部220Cと、を有している。球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、スライド部材214の内側面が爪部220Bと面接触するとともに、スライド部材214の上方端面が位置決め部220Cの下側端面221と面接触している。特に、スライド部材214の内側面が爪部220Bと面接触することにより、球抜弁212は、重心偏心部222による重心偏心作用を受けて、第1回動停止位置から第2回動停止位置側に向かって回動することが阻止される。また、スライド部材214の上方端面が位置決め部220Cの下側端面221と面接触することにより、後述のばね部材(付勢部材)226(図12参照)の弾性力により押圧された状態のスライド部材214が上方停止位置で位置決めされる。このように、球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態では、球抜弁212は、係合片220の爪部220B及び位置決め部220Cにおいてスライド部材214と強固に係合した状態になっている。
ここで、係合片220は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。換言すれば、係合片220は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の外部(例えば、右側)に突出するような構成をしていない。このように、係合片220は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。この結果、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、係合片220に対して、パチンコ機の島側からぶらさがっているコネクタ等の部品が干渉することがなく、係合片220の損傷を未然に防止できる。
重心偏心部222は、傾斜片218と係合片220との間に跨るようにして形成された錘部であり、球抜弁212全体の重心の位置を偏心させるように機能する。すなわち、球抜弁に重心偏心部が設けられておらず、球抜弁が、回動軸と、傾斜片と、係合片と、だけで構成されている球抜弁212全体の重心の位置では、球抜弁は、第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動しようとしない。一方、本実施形態のように、球抜弁212に重心偏心部222が設けられており、球抜弁212が、回動軸216と、傾斜片218と、係合片220と、重心偏心部222と、で構成されている球抜弁212全体の重心の位置が偏心する(位置ずれしている)。このため、球抜弁212は、自重の作用(重心偏心部222による重心偏心作用)により、第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって自然に回動しようとする。このように、重心偏心部222は、球抜弁212に第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって自然に回動させるために、球抜弁212全体の重心の位置を偏心させる機能を有する。
ここで、重心偏心部222は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。換言すれば、重心偏心部222は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の外部(例えば、右側)に突出するような構成をしていない。このように、重心偏心部222は、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。この結果、球抜弁212が第1回動停止位置にあるときに、重心偏心部222に対して、パチンコ機の島側からぶらさがっているコネクタ等の部品が干渉することがなく、重心偏心部222の損傷を未然に防止できる。
また、重心偏心部222は、スライド部材214が係合する溝部(係合部)222Aが形成されている。すなわち、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態では、重心偏心部222の溝部222Aとスライド部材214の上方端が係合している。ここで、スライド部材214には、ばね部材226(図12参照)により弾性力が付与されているため、スライド部材214の端面が溝部222Aを下側から上側に向かって所定の圧力で押圧する。これにより、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態では、球抜弁212は、重心偏心部222の溝部222Aにおいてスライド部材214と強固に係合した状態になっている。
また、重心偏心部222は、下側に湾曲した湾曲片222Bを備えている。湾曲片222Bは、球抜弁212が第2回動停止位置に位置しているときに、スライド部材214の上端面と接触可能な部位である。重心偏心部222に湾曲片222Bを設けることにより、球抜弁212が第2回動停止位置に位置しているときに、球抜弁212の係合片220を遊技球振分部208の内側に押し込むと、湾曲片222Bがスライド部材214の上端面を下側に押圧してスライド部材214を下側に押し下げる。そして、湾曲片222Bがスライド部材214の上端面を滑るようにして、球抜弁212が第2回動停止位置側から第1回動停止位置側に向かって回動することが可能になる。このように、球抜弁212が第2回動停止位置に位置しているときに、スライド部材214を下側に押し下げることなく、球抜弁212の係合片220を遊技球振分部208の内側に押し込むだけで、球抜弁212を第1回動停止位置に移動させることができる。
スライド部材214は、ホール関係者あるいは管理者による押圧操作に伴い、上下方向(重力方向(鉛直方向))に直線移動(直線運動)可能に設けられている。ケーシング部203の側壁の一部であって球抜通路206の入口近傍には、スライド部材214を出没自在に収納するための収納部屋224が形成されている。この収納部屋224には、スライド部材214が上下方向(重力方向(鉛直方向))に移動可能となるように収納されている。また、収納部屋224には、上方側に向かってスライド部材214に圧力を作用させるためのばね部材226(図12参照)が設けられている。このため、スライド部材214は、常に、上方側に向かってばね部材226(図12参照)の弾性力により押圧された状態となっており、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、スライド部材214が上方停止位置で球抜弁212の係合片220(より具体的には、位置決め部220Cの下側端面221)を上方側に押圧した力学状態が成立している。また、スライド部材214を上方停止位置から下方に移動させる場合には、ばね部材226(図12参照)を圧縮変形(縮み変形)させ、ばね部材226の弾性力に対抗するようにして押圧することにより実現される。
また、スライド部材214の表面には、押圧操作し易いように突出部214Aが形成されている。このため、ホール関係者や管理者は、突出部214Aを押圧するようにして、スライド部材214を下方向に押し下げることにより、スライド部材214の下方向への移動が容易かつ円滑になる。
ここで、スライド部材214は、収納部屋224に収納されており、上下方向に沿って直線移動する構成であるため、球抜弁212が第1回動停止位置及び第2回動停止位置にあるときに、ケーシング203の内部に位置している。換言すれば、スライド部材214は、球抜弁212が第1回動停止位置及び第2回動停止位置にあるときに、ケーシング203の外部(例えば、右側)に大きく突出するような構成をしていない。また、スライド部材214は、上下方向に沿って直線移動する構成であるため、スライド部材214の直線移動時にケーシング203の外部に突出することがない。このように、スライド部材214は、常に、ケーシング203の内部に位置している。この結果、スライド部材214に対して、パチンコ機の島側からぶらさがっているコネクタ等の部品が干渉することがなく、スライド部材214の損傷を未然に防止できる。また、スライド部材214の上下方向の移動距離を短くしても、球抜弁212を回動させることができる。この結果、スライド部材214と外部の部品との衝突を原因としたスライド部材214の破損を防止できるとともに、球抜弁212を確実に回動させることができる。
スライド部材214が下方向に最大限に移動すると、下方停止位置で停止する。スライド部材214が下方停止位置で停止した状態では、スライド部材214と球抜弁212の爪部220B及び位置決め部220Cとの係合状態が解消される。これにより、球抜弁212は、重心偏心部222による重力の作用を受けて、回動軸216の軸回りを第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動することが可能になる。
球抜弁212が重心偏心部222による重力の作用を受けて回動軸216の軸回りを第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動すると、最終的に、球抜弁212は、第2回動停止位置に到達する。球抜弁212が第2回動停止位置に到達した状態では、球抜弁212の傾斜片218が球抜通路206の入口を開放する。これにより、誘導路202を転がってきた遊技球は、重力の作用を受けて、誘導路202から鉛直下方に自由落下する。このため、球抜通路206の入口が開放されている状態では、遊技球は、遊技球振分部208から払出通路204に進入することなく、遊技球振分部208から球抜通路206に進入することになる。
球抜弁212が第2回動停止位置に到達した状態で、スライド部材214に対する押圧力を解除すると、スライド部材214は、ばね部材226(図12参照)の弾性力により上方側に移動する。そして、スライド部材214は、球抜弁212の重心偏心部222に形成された溝部222Aにおいて球抜弁212の重心偏心部222と係合する。このとき、スライド部材214から重心偏心部222の溝部222Aに対して下側から上側に向かって所定の圧力が作用するため、スライド部材214と球抜弁212の重心偏心部222との係合状態が強固になる。
なお、本実施形態では、スライド部材214が上下方向(重力方向)に沿って直線移動する構成を例示したが、この構成に限られるものではなく、例えば、スライド部材214が左右方向に沿って直線移動してもよい。すなわち、スライド部材214は、一方の停止位置において第1回動停止位置にある球抜弁212の係合片220の爪部220Bと係合して球抜弁212を第1回動停止位置で位置決めし、他方の停止位置において第2回動停止位置にある球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aと係合して球抜弁212を第2回動停止位置で位置決めできるように構成されていれば、スライド部材214の移動方向は限定されない。
さらに、図1に示すように、パチンコ機10の正面左側には、球貸装置154が設けられている。本実施形態では、球貸装置154として、CRユニットが適用されている。この球貸装置154には、プリペイドカードを挿入するカード挿入口157が形成されている。なお、球貸装置154として、現金ユニットを設けた構成でもよい。この現金ユニットには、カード挿入口157に替えて、現金を入れるための現金投入口(図示省略)が形成されている。
例えば、球貸装置154のカード挿入口157にプリペイドカードを挿入すると、プリペイドカードの記憶情報が球貸装置154内部のカードリードライタにより読み取られる。プリペイドカードの残り度数が「0」である場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。一方、プリペイドカードの残り度数が「0」でない場合には、球貸スイッチ156を押圧操作すると、カードリードライタによりプリペイドカードの残り度数が減算されてプリペイドカードの記憶情報が書き換えられると共に、その減算された度数(貸出金額)に対応する個数が引かれて、遊技球(貸球)が払出装置161から上皿部18に案内される。このとき、例えば、プリペイドカードの残り度数が減算されて「0」となった場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。
なお、球貸装置154として現金ユニットを用いる構成では、球貸装置の現金投入口に現金を投入すると、現金が球貸装置内部のキャッシュカウンタによりカウントされる。投入金額が所定の額に到達した後、球貸スイッチを押圧操作すると、キャッシュカウンタにより投入金額が減額されていくとともに、その減額された金額(貸出金額)に対応する個数が引かれて、遊技球(貸球)が払出装置161から上皿部18に案内される。
次に、遊技盤26の表面構造について説明する。
図2及び図3に示すように、遊技盤26は、内枠14に保持されるとともに、裏機構盤によりその背面側が覆われている。遊技盤26には、遊技盤26の表面に設けられた外レール50と内レール52とにより略円形状の遊技領域28が形成されている。遊技領域28の内部には、主として、始動口56Bと、センター役物64と、ワープ入球口58と、多数の障害釘60等と、がそれぞれ配設されている。
センター役物64は、遊技領域28の略中央部に配置されており、主として、演出図柄表示装置(図柄表示装置)62と、ランプ類66と、を備えている。
演出図柄表示装置62は、主制御基板102(図8参照)やサブ制御基板106(図8参照)からの制御信号に基づいて表示制御されており、略長方形状の表示面(表示領域)62Aを有している。この表示面62A上には、特別図柄の演出図柄が表示される。具体的には、演出図柄表示装置62の表示面62A上には、1又は複数の演出図柄を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する演出図柄表示領域が形成されている。すなわち、左演出図柄を表示する左演出図柄表示領域、中央演出図柄を表示する中央演出図柄表示領域、及び右演出図柄を表示する右演出図柄表示領域が、略横一列となる配置方向に沿って並んで形成されている(それぞれ図示省略)。各演出図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する方向(上下方向)に図柄変動方向が設定されており、その方向に複数の演出図柄が順次表示されていく。
演出図柄表示装置62は、遊技球が始動口56Bに入球することにより、その表示面の表示領域に表示される各演出図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、演出図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示(確定表示)すると、変動入賞装置80に配設された大入賞装置84の大入賞口86が開放される。本実施形態のパチンコ機10では始動口56Bに遊技球が入球すると、各演出図柄がそれぞれ変動され、演出図柄が3桁同一図柄で揃うことにより、「大当り」という特定価値を付与するものである。
ここで、本実施形態のパチンコ機10では、例えば、大当りとして2種類のものが予め設定されている。具体的には、「7、7、7」などの同一の奇数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する確変大当りがある。また、「8、8、8」などの同一の偶数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する通常大当りがある。
確変大当り及び通常大当りは、比較的多くのラウンド数(例えば、15ラウンド)を有し、大入賞口86の開放時間が約26秒間である大当りである。このため、賞球数が比較的多くなる。なお、各大当りでは、大入賞口86に所定数(例えば、10個)の遊技球が入球するか、あるいは所定数(例えば、10個)の遊技球が入球しなくても所定時間(例えば、26秒間)が経過したときに大入賞口86が閉じられて1ラウンドが終了する。
また、確率変動状態は、大当り(確変大当り及び通常大当りの2種類の大当りを意味する)に移行する確率が予め定められた高確率となる状態である。また、開放時間延長状態は、始動口56Bの開放時間が通常よりも延長される状態である。例えば、通常の開放時間は、約0.1秒間であるのに対して、開放時間延長状態では、約4秒間に延長される。なお、始動口56Bは、普通図柄の抽選に当選することにより開放するもので、普通電動役物として機能する。
また、確変大当りの後は、大当りに移行する確率が、通常遊技状態と比べ予め定められた高確率となる、特別図柄の確率変動状態になる。そして、次回大当りが発生するまでの間か、あるいは規定回数(例えば、10000回)の特別図柄の変動表示が行われるまでの間、特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する。また、通常大当りの後は、大当りに移行する確率が通常遊技状態と同一の予め定められた低確率状態となるとともに、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する時短遊技状態となる。
センター役物64は、演出図柄表示装置62の前面周辺部に突設して装着されている。センター役物64は、可動する一対の翼片部64Aを有している。この翼片部64Aの可動によりワープ入球口58の開口面積が変化する。
また、図3に示すように、遊技領域28の左下方側には、主制御基板102からの制御信号に基づいて識別図柄(特別図柄の識別図柄及び普通図柄の識別図柄を意味する)を表示制御する7セグ表示基板(図柄表示装置)68が配置されている。この7セグ表示基板68は、特別図柄の識別図柄を表示する7セグメント表示器70と、4個の普通図柄保留表示LED72と、4個の特別図柄保留表示LED74と、普通図柄の識別図柄を表示する2個の普通図柄表示LED76と、を有している。
ここで、確変大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた識別図柄(例えば、奇数の数字からなる確変大当り図柄)が停止表示される。また、通常大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた別の識別図柄(例えば、偶数の数字からなる通常大当り図柄)が停止表示される。
また、演出図柄表示装置62の左側には、普通図柄作動ゲート78が配置されている。この普通図柄作動ゲート78の内部には、ゲートスイッチ124(図8参照)が配設されている。これにより、遊技球が普通図柄作動ゲート78を通過すると、ゲートスイッチ124が作動して、7セグ表示基板68の普通図柄表示LED76が変動表示される。
各普通図柄保留表示LED72及び各特別図柄保留表示LED74は、4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器70の左右両側に近接して配置されている。これは、普通図柄作動ゲート78を通過した遊技球の数を4個まで普通図柄の保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。また、始動口56Bに入球した遊技球の数も4個まで特別図柄の保留とし、入球ごとに順次点灯しシフト表示するものである。7セグメント表示器70の変動表示が開始する度に、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED74は消灯される。また、普通図柄も普通図柄表示LED76の変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED72が消灯される。そして、7セグメント表示器70に予め定められた大当り図柄が停止表示されると大当りが発生し、大入賞口86が開放状態となる。また、2個の普通図柄表示LED76が予め定められた表示態様(当り図柄)で停止表示されると、普通図柄当りが発生し、始動口56Bが開放状態となる。なお、7セグメント表示器70にて表示される特別図柄の識別図柄と、演出図柄表示装置62にて表示される特別図柄の演出図柄とは、同一の遊技結果(抽選結果)を示すものである。
始動口56Bは、演出図柄表示装置62の下方に離れて配置されているものであり、いわゆるチューリップ式で一対の翼片部材56Aが開閉するように形成されている。その内部には、遊技球の通過を検知する始動口スイッチ120(図8参照)と、翼片部材56Aを作動させるための始動口ソレノイド130(図8参照)と、がそれぞれ備えられている。この一対の翼片部材56Aが左右に開くと始動口56Bの開放面積が大きくなって遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部材56Aが閉じその離間距離が小さくなると始動口56Bの開放面積が小さくなって遊技球の入球の可能性が小さくなる通常状態となる。
変動入賞装置80は、始動口56Bの下方に配置されており、基板82と、大入賞装置84と、を備えている。ここで、大入賞装置84は、略中央に配置されており、帯状に開口された大入賞口86と、この大入賞口86を開放又は閉鎖する開閉板88と、この開閉板88を開閉するための大入賞口ソレノイド132(図8参照)と、入賞球を検知するカウントスイッチ126(図8参照)と、を備えている。
また、センター役物64の左側下方部には、風車63が配置されている。さらに、遊技領域の左側下方部及び右側下方部には、一対のサイドランプ90がそれぞれ配置されている。
また、遊技盤26の下方にはアウト口92が設けられており、このアウト口92の下部にはバック球防止部材94が設けられている。このバック球防止部材94は、遊技領域28に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。また、内レール52の先端部には、ファール球防止部材96が取り付けられている。
次に、パチンコ機10を構成する電子制御装置について説明する。
図8乃至図10に示すように、電子制御装置は、主制御基板102と、払出制御基板104と、サブ制御基板106と、発射制御基板108と、を備えている。
主制御基板102は、CPU102Aと、ROM102Bと、を備えている。主制御基板102のCPU102Aは、ROM102Bに記憶されたデータに基づいて、始動口ソレノイド130、大入賞口ソレノイド132、図柄表示装置134及びサブ制御基板106をそれぞれ制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、遊技全体を司り主として当否判定などの遊技状態を判断するものである。
特に、CPU102Aは、始動口56Bへの遊技球の入球を契機として、大当り抽選処理(特別遊技抽選処理)を実行し、任意の乱数(特別図柄当否判定乱数)を用いて当否を判定する機能を備えている。また、特別図柄の当否判定の実行に伴って、CPU102Aは、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(変動時間)を決定する機能も備えている。
この識別図柄の変動パターンは、演出図柄表示装置62に表示される各演出図柄の演出パターン(遊技演出)に対応するもので、CPU102Aが行う「識別図柄の変動パターンの決定」は、「演出図柄の演出パターン(遊技演出)の決定」に相当する。そして、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(演出図柄の演出パターン)が決定されると、7セグメント表示器70で特別図柄(識別図柄)の変動表示が開始されるとともに、演出図柄表示装置62で演出図柄の変動表示が開始され、決定された変動パターンにより特定される変動時間が経過すると、特別図柄および演出図柄が停止表示され、その停止表示された演出図柄の図柄組み合わせ態様により、特別図柄の当否判定結果(大当り抽選結果)が遊技者に報知される。なお、演出図柄表示装置62は、遊技盤26の表面(盤面)略中央に、遊技者の視野に入り易い状態で配置される。一方、7セグメント表示器70は、遊技盤26の表面(盤面)の端部(本実施形態では盤面左側端部)に、遊技者の視野に入り難い状態で配置される。このことから、遊技者は演出図柄表示装置62の表示内容に注目して遊技を行うのが一般的である。
そして、CPU102Aは、上述した演出図柄の変動表示及び停止表示の制御を行うサブ制御基板106、及び遊技盤面に設けられた各種入賞口に遊技球が入球することで発生する賞球の払い出し制御を行う払出制御基板104を直接的に制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116を、サブ制御基板106を介して間接的に制御する。
主制御基板102のROM102Bには、CPU102Aにより実行される遊技全体の制御を実現するためのプログラムが記憶されている。
また、主制御基板102は、電源基板109と接続されている。パチンコ機10の作動を開始(電源オン)するとき、電源基板109から主制御基板102及び各制御基板104、106、108に対して電圧が印加される。また、パチンコ機10の作動を停止(電源オフ)するときは、電源基板109から主制御基板102及び各制御基板104、106、108に対する電圧の印加が解除される。
また、主制御基板102は、中継端子板118を介して、始動口スイッチ120と、大入賞口スイッチ122と、ゲートスイッチ124と、カウントスイッチ126と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、主制御基板102は、中継端子板128を介して、始動口ソレノイド130と、大入賞口ソレノイド132と、図柄表示装置134と、にそれぞれ電気的に接続されている。なお、7セグ表示基板68は、図柄表示装置134の一実施形態である。
払出制御基板104は、中継端子板136を介して、ガラス枠スイッチ138と、外部タンクスイッチ140と、タンクスイッチ142と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板144を介して、エラーLED146に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、下皿満タンスイッチ148に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板150を介して、球貸表示基板152と、球貸装置(CRユニット)154と、にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、球貸表示基板152には、球貸スイッチ156と、返却スイッチ158と、がそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板160を介して、払出モータ162を備えた払出装置161と払出スイッチ164とにそれぞれ電気的に接続されている。さらに、払出制御基板104は、主制御基板102と発射制御基板108とにそれぞれ電気的に接続されている。
払出モータ162は、主制御基板102及び払出制御基板104から遊技球の払出に関する制御信号を受けて駆動する。払出モータ162が駆動すると、払出通路204を移動してきた遊技球が上皿部18に供給される。なお、上皿部18に供給される遊技球の個数は、主制御基板102及び払出制御基板104から遊技球の払出に関する制御信号により特定されており、この特定された個数の遊技球が排出されるように払出モータ162が駆動する。上皿部18に供給された遊技球は、下皿部20に移動していき、最終的には、遊技盤26上の遊技領域28に打ち出される。
なお、払出モータ162の駆動は、電源基板109が電源オン(電源ON)の状態で可能になるが、電源基板109が電源オフ(電源OFF)の状態でも、図示しないバックアップ電源部により、主制御基板102、払出制御基板104及び払出モータ162を作動できるようにしてもよい。
サブ制御基板106は、演出表示基板110と、アンプ基板112と、装飾駆動基板114と、演出ボタン基板116と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、サブ制御基板106は、主制御基板102からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。また、サブ制御基板106は、CPU106Aと、ROM106Bと、を備えている。
サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102からの制御信号を受けて演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116などの各基板を制御する。また、ROM106Bには、各基板の制御に必要なデータが記憶されている。
図9に示すように、演出表示基板110には、演出表示装置166(62)と、演出表示ROM168と、がそれぞれ電気的に接続されている。この演出表示ROM168には、演出図柄表示装置62に変動表示及び停止表示される演出図柄のデータ(画像データ)が記憶されている。なお、演出図柄表示装置62は、演出表示装置166の一実施形態である。
また、アンプ基板112には、所定の効果音を出力する各種スピーカ170(48)が電気的に接続されている。なお、サブスピーカ48は、各種スピーカ170の一実施形態である。
また、装飾駆動基板114には、各種LED・ランプ172(66)が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からの制御信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。また、演出ボタン基板116には、操作スイッチ174(40)が電気的に接続されている。なお、ランプ類66は、各種LED・ランプ172の一実施形態である。また、演出ボタン40は、操作スイッチ174の一実施形態である。
図10に示すように、発射制御基板108には、発射駆動基板178を介して、発射モータ180と、発射停止スイッチ182と、角度センサ183と、タッチスイッチ184と、がそれぞれ電気的に接続されている。角度センサ183により発射ハンドル24の回動角度(回動量)が検知された結果が発射駆動基板178を介して発射制御基板108に対して出力され、発射制御基板108は、この検知結果に基づいて発射モータ180の駆動制御を発射駆動基板178を介して実行する。この結果、遊技球の発射強度を調節することが可能になる。また、発射停止スイッチ182がオン操作されると、発射制御基板108に対して遊技球発射停止に関する発射停止信号が出力され、発射制御基板108は発射停止信号を受けて発射モータ180の駆動を停止する。また、発射停止スイッチ182がオフ操作されると、発射制御基板108に対して遊技球を発射させる発射信号が出力され、発射制御基板108は発射信号を受けて発射モータ180を駆動する。これにより、遊技球の発射又は発射停止が制御されている。このようにして、上皿部18に払い出された遊技球は、下皿部20を経由した後、順次、遊技領域28に打ち出されていく。さらに、発射制御基板108には、球送りソレノイド186が電気的に接続されている。
次に、第1実施形態に係る機のパチンコ機10の作用及び効果について説明する。
図11及び図12に示すように、パチンコ機10がパチンコホールの島設備に設置された状態では、球抜弁212が第1回動停止位置で位置決めされている。球抜弁212が第1回動停止位置で位置決めされた状態では、球抜弁212の傾斜片218が球抜通路206の入口を閉鎖している。このため、賞球タンク200から誘導路202を移動してきた遊技球は、誘導路202から自由落下するが、球抜弁212の傾斜片218により遮られて球抜通路206の内部には進入せず、払出通路204に導かれる。すなわち、誘導路202から自由落下した遊技球は、傾斜片218に衝突して、そのまま払出通路204に進入する。
払出通路204に進入した遊技球は、払出通路204を移動していき、やがて払出装置161に到達する。そして、主制御基板102及び払出制御基板104からの遊技球の払出しに関する制御信号に基づいて払出モータ162が駆動され、遊技球は、上皿部18に供給される。上皿部18に供給された遊技球は、下皿部20に移動していき、やがて遊技領域28に打ち出される。
ここで、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、球抜弁212の係合片220とスライド部材214とが係合している状態になっているため、球抜弁212は、重心偏心部222による重力の作用を受けた場合でも、第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動軸216の軸回りに回動しない。すなわち、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、スライド部材214がばね部材226の弾性力により常に上方向に押し上げられた状態になっているため、スライド部材214の上方端面が球抜弁212の係合片220の位置決め部220Cの下側端面221を上側に向かって押圧する。なお、この状態では、スライド部材214は、上方停止位置に位置している。
また同時に、スライド部材214の内側面が球抜弁212の係合片220の爪部220Bと面接触する。すなわち、球抜弁212は、重心偏心部222による自重の影響により、第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動軸216の軸回りを回動しようとして、球抜弁212の係合片220の爪部220Bがスライド部材214の内側面を横方向(裏面側から見て右方向、あるいは水平方向)に向かって押圧するが、スライド部材214が壁となって球抜弁212の回動が阻止される。
このように、スライド部材214は、球抜弁212の係合片220の位置決め部220Cの下側端面221に対して上方向の押圧力を作用させると同時に、球抜弁212の係合片220の爪部220Bから横方向の押圧力に受けた状態になる。これにより、スライド部材214と球抜弁212とは、相互に異なる方向の圧力を作用させる関係になり、一方が他方によって位置決めされる力学状態になる。この結果、球抜弁212は、重心偏心部222による自重の影響を受けるものの、第1回動停止位置において位置決めされて停止した状態が維持される。
さらに、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、傾斜片218、重心偏心部222及び係合片220がケーシング203の内部に位置しており、ケーシング203の外部に突出することがないため、傾斜片218、重心偏心部222及び係合片220に対して、パチンコ機の島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することがない。この結果、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、パチンコ機の島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することによる傾斜片218、重心偏心部222及び係合片220の損傷を防止できる。また同様にして、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、スライド部材214がケーシング203の内部に位置しており、ケーシング203の外部に突出することがないため、スライド部材214に対して、パチンコ機の島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することがない。この結果、球抜弁212が第1回動停止位置にある状態では、島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することによるスライド部材214の損傷を防止できる。
一方、パチンコ機10をパチンコホールの島設備から取り出す場合、あるいはメンテナンス作業を行う場合など、パチンコ機10の内部から遊技球を排出させる必要性が生じることもある。
この場合には、図13に示すように、ホール関係者あるいは管理者などがスライド部材214を上方停止位置から下方向に向かって押圧する。スライド部材214を下方向に向かって押圧する押圧力がばね部材226の弾性力よりも大きな場合には、スライド部材214は、ばね部材226の弾性力に対抗する形で下方向に向かって移動する。
スライド部材214が上方停止位置から下方向に向かって移動していくと、スライド部材214と球抜弁212との係合状態が解消される。すなわち、スライド部材214の上端部が係合片220の爪部220B上を滑るようにして移動していくため、スライド部材214の内側面と球抜弁212の係合片220の爪部220Bとが非接触になり、両者の係合が解除される。
スライド部材214と球抜弁212との係合状態が解消されると、球抜弁212は、重心偏心部222が錘部として機能することによる自重の影響を受けて、第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって遊技盤26の裏面側から見て反時計方向に回動軸216の軸回りを回動する。そして、球抜弁212は、最終的に、第2回動停止位置に到達する。
図14及び図15に示すように、球抜弁212が第2回動停止位置に到達した状態では、球抜弁212の傾斜片218が球抜通路206の入口を開放する。これにより、賞球タンク200から誘導路202を移動してきた遊技球は、誘導路202から自由落下して、球抜通路206の内部に進入する。なお、球抜通路206の入口が開放している状態では、誘導路202から自由落下した遊技球は、遊技球振分部208を通過ずるが、払出通路204に進入することはなく、そのまま鉛直下方の球抜通路206に進入することになる。球抜通路206に進入した遊技球は、払出装置161を経由することなく、パチンコ機10の外部に排出される。これにより、パチンコ機10を電気的に作動させることなく、パチンコ機10の内部の遊技球を全て外部に排出させることができる。
ここで、球抜弁212が第2回動停止位置に到達した状態でスライド部材214に対して作用させていた下方向の押圧力を解除すると、スライド部材214は、ばね部材226の弾性力により押し上げられる。これにより、スライド部材214は、上方向に移動する。スライド部材214が上方向に移動していくと、やがて、スライド部材214の上方端が球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aに係合する。このとき、スライド部材214にはばね部材226から常に上方向に向かって所定の弾性力が付与されているため、スライド部材214の上端部は、常に、球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aを下方向から上方向に向かって押圧した状態になる。この結果、スライド部材214と球抜弁212との係合状態が強固により、球抜弁212の第2回動停止位置での位置決めが約束される。
さらに、球抜弁212が第2回動停止位置にある状態では、スライド部材214がケーシング203の内部に位置しており、ケーシング203の外部に突出することがないため、スライド部材214に対して、パチンコ機の島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することがない。この結果、球抜弁212が第2回動停止位置にある状態では、島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することによるスライド部材214の損傷を防止できる。また、スライド部材214が収納部屋224の内部を上下方向に移動する時においても、スライド部材214がケーシング203の内部に位置しており、ケーシング203の外部に突出することがないため、スライド部材214に対して、パチンコ機の島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することがない。この結果、スライド部材214が収納部屋224の内部を上下方向に移動する時においても、島設備側の部品(例えば、コネクタなど)が接触することによるスライド部材214の損傷を未然に防止できる。
次に、パチンコ機10を使用する場合には、球抜弁212を第2回動停止位置から第1回動停止位置に向かって回動軸216の軸回りに回動させ、第1回動停止位置で停止させる必要がある。この場合には、スライド部材214の上方端と球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aとの係合状態を解消させる必要があるため、スライド部材214を下方向に押圧操作する。これにより、スライド部材214は、ばね部材226の弾性力に対抗する形で下方向に移動していき、スライド部材214の上方端と球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aとの係合状態が解消される。そして、球抜弁214を遊技球振分部208の内側に押し込む。これにより、球抜212は、第2回動停止位置から第1回動停止位置に向かって遊技盤26の裏面側からみて時計方向に回動軸216の軸回りを回動する。やがて、球抜弁212は、第1回動停止位置に到達し、その後、スライド部材214に対して下方向の押圧操作を解除する。この結果、スライド部材214がばね部材226の弾性力に押されて上方向に移動し、上述した通り、スライド部材214と球抜弁212の係合片220との係合状態が再度成立する。
特に、重心偏心部222には湾曲片222Bが設けられているため、球抜弁212が第2回動停止位置に位置しているときに、球抜弁212の係合片220を遊技球振分部208の内側に押し込むと、湾曲片222Bがスライド部材214の上端面を下側に押圧してスライド部材214を下側に押し下げる。そして、湾曲片222Bがスライド部材214の上端面を滑るようにして、球抜弁212が第2回動停止位置側から第1回動停止位置側に向かって回動する。このように、球抜弁212が第2回動停止位置に位置しているときに、スライド部材214を下側に押し下げることなく、球抜弁212の係合片220を遊技球振分部208の内側に押し込むだけで、球抜弁212を第1回動停止位置に移動させることができる。特に、重心偏心部222に湾曲片222Bを設けることにより、湾曲片222Bとスライド部材214の上端面との摩擦力が低下するため、球抜弁212の回動動作を容易にすることができる。
以上のように、第1実施形態のパチンコ機10によれば、スライド部材214の直線移動操作だけで、球抜弁212の各回動停止位置を容易に切替えることができるため、特に、遊技球を球抜通路206に導く球抜作業が容易かつ円滑になり、その作業効率も高めることができる。
特に、払出通路204と球抜通路206の切換作業がスライド部材214を上下操作するだけで実現できるため、従来技術のパチンコ機のようにピンが不要になるとともに、球抜弁212の切換操作を格段に容易なものにすることができる。また、パチンコ機10の左右方向(水平方向)に球抜弁212を引き出して突出させることがないため、パチンコ機10の左右方向に大きなスペースが無くても、スライド部材214を操作することができる。
また、球抜弁212には重心偏心部222が設けられているため、球抜弁212を重心偏心部222の錘部としての作用を利用することにより、球抜弁212が第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かって回動軸の軸回りを自動的に回動する。このように、スライド部材214を上方停止位置から下方に直線移動させるだけで、球抜弁212を自動的(自然)に回動軸回りに回動させることができるため、球抜弁212の第1回動停止位置から第2回動停止位置に向かう回動操作を容易に実行できる。
さらに、球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態では、スライド部材214と球抜弁212の係合片220の位置決め部220C(爪部220B)との間に所定の圧力を作用させて強固に係合している。また、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態では、スライド部材214と球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aとの間に所定の圧力を作用させて強固に係合している。これらのように、球抜弁212が第1回動停止位置及び第2回動停止位置に位置している状態では、それぞれ強固に位置決めされた状態になっているため、パチンコ機10の姿勢や向きが変化した場合(あるいは不安定な場合)でも、球抜弁212がそれぞれの回動停止位置からずれ動くことがない。この結果、遊技球の払出通路204又は球抜通路206への振分作業(払出作業及び球抜作業)を確実に実行することができ、また、それらの作業効率を高いレベルで安定させることができる。
特に、球抜弁212による払出通路204と球抜通路206の切替えを、手動によるスライド部材214の直線方向の移動だけで実現しているため、例えば、パチンコ機10の電源基板109をオフ(電源OFF)にした状態でも、払出通路204と球抜通路206の切替えが可能になる。このため、パチンコ機10の電源を落として、パチンコホールの島設備から取り外すなどの場合に、パチンコ機10の球抜作業を実行することができ、利便性を高めることができる。また、球抜弁212による払出通路204と球抜通路206の切替えを、手動によるスライド部材214の直線方向の移動だけで実現しているため、電気的な部品が不要になり、コスト高を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態のパチンコ機について説明する。
なお、本発明の第1実施形態のパチンコ機の構成と同じ構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
図16乃至図19に示すように、球抜弁212の係合片220の位置決め部220Cには、払出確認スイッチ111の端子111Aが取り付けられている。また、球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aには、球抜確認スイッチ113の端子113Aが取り付けられている。さらに、スライド部材214の上方端には、払出確認スイッチ111又は球抜確認スイッチ113の各端子111A、113Aと接続する接続端子214Bが取り付けられている。
図18に示すように、球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態で、かつスライド部材214の上方端と球抜弁212の係合片220とが係合している状態では、スライド部材214の上方端にある接続端子214Bと球抜弁212の係合片220の位置決め部220Cにある払出確認スイッチ111の端子111Aとが電気的に接続された状態になる。また、図19に示すように、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態で、かつスライド部材214の上方端と球抜弁212の重心偏心部222と係合している状態では、スライド部材214の上方端の接続端子214Bと球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aにある球抜確認スイッチ113の端子113Aとが電気的に接続された状態になる。
図17に示すように、払出確認スイッチ111及び球抜確認スイッチ113Aは、主制御基板102に対して電気的に接続されており、スライド部材214の上方端の接続端子214Bと球抜弁212の払出確認スイッチ111の端子111Aとが電気的に接続された状態になると、払出確認スイッチ111が通電状態(電源オン(電源ON))になる。この状態では、払出確認スイッチ111から主制御基板102に対して遊技球の払出可能状態を示す制御信号が出力される。
また、スライド部材214の上方端の接続端子214Bと球抜弁212の球抜確認スイッチ113の端子113Aとが電気的に接続された状態になると、球抜確認スイッチ113が通電状態(電源オン(電源ON))になる。この状態では、球抜確認スイッチ113から主制御基板102に対して遊技球の球抜状態を示す制御信号が出力される。
払出確認スイッチ111又は球抜確認スイッチ113から主制御基板102に対して接続状態の制御信号が出力された場合には、パチンコホール側のコンピュータ115(図17参照)に対して確認信号が出力される。すなわち、払出確認スイッチ111から主制御基板102に対して払出状態の制御信号が出力された場合には、パチンコホール側のコンピュータ115に対して払出確認信号が出力される。また、球抜確認スイッチ113から主制御基板102に対して球抜状態の制御信号が出力された場合には、パチンコホール側のコンピュータ115に対して球抜確認信号が出力される。これにより、現在、払出確認スイッチ111又は球抜確認スイッチ113が作動しているのか否か、換言すれば、球抜弁212が第1回動停止位置又は第2回動停止位置のいずれに位置しているのかをホール側のコンピュータ115で特定することができる。
この結果、主制御基板102からの遊技進行に関する制御信号が出力されているのにもかかわらず、球抜確認スイッチ113から主制御基板102に対して球抜状態の制御信号が出力された場合には、エラーとなり、これをホール関係者や管理者に報知することができる。特に、パチンコ遊技の最中にもかかわらず、球抜弁212を操作して遊技球の排出を行う不正行為が生じた場合には、早急に、不正行為が行われているパチンコ機を特定することができ、早期の対応が可能になる。
次に、本発明の第3実施形態のパチンコ機について説明する。
なお、本発明の第1実施形態のパチンコ機の構成と同じ構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
図20及び図21に示すように、スライド部材214は、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属で構成されている。また、球抜弁212の係合片220の位置決め部220C(あるいは爪部220B)には、磁石230が取り付けられている。さらに、球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aには、磁石232が取り付けられている。
球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態で、かつスライド部材214の上方端と球抜弁212の係合片220とが係合している状態では、球抜弁212の係合片220の位置決め部220C(あるいは爪部220B)に取り付けられている磁石230とスライド部材214とが磁力により強固に引き合っている。また、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態で、かつスライド部材214の上方端と球抜弁212の重心偏心部222とが係合している状態では、球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aに取り付けられている磁石232とスライド部材214とが磁力により強固に引き合っている。
なお、球抜弁212の係合片220と重心偏心部222を金属で構成し、スライド部材214に磁石を取り付ける構成でもよい。
第3実施形態のパチンコ機によれば、図20に示すように、球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態では、スライド部材214の上方端と球抜弁212の係合片220とが相互に異なる方向に向かう圧力を作用させて強固に係合しているが、さらに磁石230の磁力による引付力が付加される。これにより、球抜弁212が第1回動停止位置に位置している状態を安定させることができる。この結果、パチンコ機10の姿勢が変わったり、球抜弁212を強引に回動操作させようとする不正行為を受けた場合でも、球抜弁212の回動を阻止することができる。
また、図21に示すように、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態では、スライド部材214の上方端と球抜弁212の重心偏心部222の溝部222Aとが相互に圧力を作用させて強固に係合しているが、さらに磁石232の磁力による引付力が付加される。これにより、球抜弁212が第2回動停止位置に位置している状態を安定させることができる。この結果、パチンコ機10の姿勢が変わったり、球抜弁212を強引に回動操作させようとする不正行為を受けた場合でも、球抜弁212の回動を阻止することができる。