以下より、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
(装置構成)
図1は、本発明に係る一実施形態におけるRFコイル(coil)部により構成される磁気共鳴イメージング装置の構成を示す構成図である。本装置は、本発明の実施形態の一例である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、操作コンソール(console)部3とを有している。ここで、スキャン部2は、静磁場マグネット(magnet)部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、撮影テーブル(table)15とを有する。そして、操作コンソール部3は、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24と、制御部30と、記憶部31と、操作部32と、データ処理部33と、表示部34とを有する。
スキャン部2について説明する。
スキャン部2は、図1に示すように、被検体40における撮影スライス領域が収容される静磁場空間11を含んでいる。そして、スキャン部2は、操作コンソール部3からの制御信号に基づいて、その静磁場が形成される静磁場空間11に収容した被検体40の撮影領域にRFパルスを放射し、その撮影領域から磁気共鳴信号を取得するスキャンを実施する。
本実施形態において、スキャン部2は、プレスキャン時には、被検体40のナビゲータ領域NAにおいて発生する磁気共鳴信号をナビゲータデータとして取得するナビゲータシーケンスNSを繰り返し実施する。また本スキャン時には、被検体40のイメージング領域IAにおいて発生する磁気共鳴信号をイメージングデータとして取得するイメージングシーケンスISと、被検体40のナビゲータ領域NAにおいて発生する磁気共鳴信号をナビゲータデータとして取得するナビゲータシーケンスNSとを繰り返し実施する。
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
静磁場マグネット部12は、被検体40が収容される静磁場空間11に静磁場を形成するために設けられている。静磁場マグネット部12は、水平磁場型であって、被検体40が収容される静磁場空間11において載置される被検体40の体軸方向(z方向)に沿うように、超伝導磁石(図示なし)が静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、水平磁場型の他に、垂直磁場型であってもよく、永久磁石により構成されていてもよい。
勾配コイル部13は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号に3次元の位置情報を持たせるために、静磁場空間11に勾配磁場を形成する。勾配コイル部13は、スライス選択勾配磁場、読み取り勾配磁場、位相エンコード勾配磁場の3種類の勾配磁場を形成するために勾配コイルを3系統有する。
RFコイル部14は、例えば、被検体40を囲むように配置される。RFコイル部14は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成される静磁場空間11内において、制御部30からの制御信号に基づいて、電磁波であるRFパルスを被検体40に放射して高周波磁場を形成する。これにより、被検体40の撮影スライス領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体40の撮影スライス領域におけるプロトンのスピンが元の磁化ベクトル(vector)へ戻る際に生ずる電磁波を、磁気共鳴信号として受信する。RFコイル部14は、同一のRFコイルによりRFパルスの送受信を行ってもよい。
本実施形態において、RFコイル部14は、ナビゲータシーケンスNSとイメージングシーケンスISとにおいて、RFパルスを放射する。
撮影テーブル15は、被検体40を載置するクレードル(cradle)を有する。撮影テーブル15は、制御部30からの制御信号に基づいて、静磁場空間11の内部と外部との間でクレードルに載置された被検体40を移動する。
操作コンソール部3について説明する。
操作コンソール部3は、スキャン部2が被検体40についてスキャンを実施するように制御し、そのスキャン部2が実施したスキャンによって得られた磁気共鳴信号に基づいて、被検体40の画像を生成すると共に、その生成した画像を表示する。
操作コンソール部3を構成する各部について、順次、説明する。
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて静磁場空間11内に高周波磁場を形成するために、ゲート(gate)変調器(図示なし)とRF電力増幅器(図示なし)とRF発振器(図示なし)とを有する。RF駆動部22は、制御部30からの制御信号に基づいて、RF発振器からのRF信号を、ゲート変調器を用いて所定のタイミング(timing)および所定の包絡線の信号に変調する。そして、ゲート変調器により変調されたRF信号を、RF電力増幅器により増幅した後、RFコイル部14に出力する。
勾配駆動部23は、制御部30の制御信号に基づいて勾配コイル部13を駆動させて、静磁場空間11内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、勾配コイル部13の3系統の勾配コイルに対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
データ収集部24は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集するために、位相検波器(図示なし)とアナログ(analog)/デジタル(digital)変換器(図示なし)とを有する。データ収集部24は、RFコイル部14からの磁気共鳴信号を、RF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として、位相検波器によって位相検波し、アナログ/デジタル変換器に出力する。そして、位相検波器により位相検波されたアナログ信号である磁気共鳴信号を、アナログ/デジタル変換器によってデジタル信号に変換して出力する。
本実施形態においては、データ収集部24は、スキャン部2が実施するイメージングシーケンスによってイメージングデータとして得られた磁気共鳴信号及びナビゲータシーケンスによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を、後述の記憶部31、データ処理部33へ出力する。
制御部30は、コンピュータ(computer)と、コンピュータを用いて所定のスキャンに対応する動作を各部に実行させるプログラム(program)とを有する。そして、制御部30は、後述する操作部32に接続されており、操作部32に入力された操作信号を処理し、撮影テーブル15とRF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24との各部に、制御信号を出力し制御を行う。また、制御部30は、所望の画像を得るために、操作部32からの操作信号に基づいてデータ処理部33、表示部34を制御する。
本実施形態においては、制御部30は、RF駆動部22と勾配駆動部23とを制御して、スキャン部2にナビゲータシーケンスNS及びイメージングシーケンスISを実施させる。また、制御部30は、ナビゲータシーケンスNSを実施して得られたナビゲータデータに基づいて、スキャン部2が実施するイメージングシーケンスISの制御を実施する。
記憶部31は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムとを有する。そして、記憶部31は、データ収集部24に収集されたデータ処理前のナビゲータデータ、画像生成処理前の磁気共鳴信号であるイメージングデータ、後述するデータ処理部33でデータ処理されたナビゲータデータ、画像生成処理された画像データ等を記憶する。
操作部32は、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などの操作デバイス(device)により構成されている。操作部32は、オペレータ(operator)によって操作データ、撮像プロトコル(protocol)などが入力され、またイメージングシーケンスISを実施する領域、ナビゲータシーケンスNSを実施する領域の設定がされ、その操作データ、撮像プロトコル、設定領域に関するデータを制御部30に出力する。
データ処理部33は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリ(memory)とを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、データ処理を実施する。
ここで、図2は、本発明に係る一実施形態におけるデータ処理部33の構成を示すブロック(block)図である。
図2に示すように、データ処理部33は、強度プロファイル生成部331と、位相プロファイル生成部332と、プレスキャン用位置検出部333と、位置プロファイル生成部334と、呼吸情報取得部335と、本スキャン用位置検出部336と、ローデータ取得部337と、画像生成部338とを有する。
データ処理部33の各部について順次説明する。
強度プロファイル生成部331は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、プレスキャン時には、被検体40のナビゲータ領域NAについてのナビゲータシーケンスNSを複数回実施することによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を、ローデータとして用いることによって、その被検体40のナビゲータ領域NAについて、複数の強度プロファイルを生成する。
また、本スキャン時には、例えば、被検体40のイメージング領域IAについてのイメージングシーケンスISの実施前に実施されたナビゲータシーケンスNSによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を用いることによって、その被検体40のナビゲータ領域NAについての強度プロファイルを生成する。
すなわち、本実施形態においては、スキャン部2によるナビゲータシーケンスNSの複数回の実施において、RFコイル部14がナビゲータ領域NAへRFパルスを放射し、その撮影領域において発生する磁気共鳴信号を、RFコイル部14が受信することによってデータ収集部24に収集されたナビゲータデータを一次元フーリエ(Fourier)変換し、一次元フーリエ変換したデータの強度mと位置Xとの関係をプロットすることにより複数の強度プロファイルを生成する。
位相プロファイル生成部332は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、プレスキャン時には、被検体40のナビゲータ領域NAについてのナビゲータシーケンスNSを複数回実施することによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を用いることによって、その被検体40のナビゲータ領域NAについて、複数の位相プロファイルを生成する。
また、本スキャン時には、例えば、被検体40のイメージング領域IAについてのイメージングシーケンスISの実施前に実施されたナビゲータシーケンスNSによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を用いることによって、その被検体40のナビゲータ領域NAについての位相プロファイルを生成する。
すなわち、本実施形態においては、スキャン部2によるナビゲータシーケンスNSの複数回の実施において、RFコイル部14がナビゲータ領域NAへRFパルスを放射し、その撮影領域において発生する磁気共鳴信号を、RFコイル部14が受信することによってデータ収集部24に収集されたナビゲータデータを一次元フーリエ変換し、一次元フーリエ変換したデータの位相Pと位置Xとの関係をプロットすることにより複数の位相プロファイルを生成する。
プレスキャン用位置検出部333は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、プレスキャン時において、制御部30からの制御信号に基づいて、被検体40における体動する所定の部位の位置を検出する。
なお、本実施形態においては、被検体40における体動する所定の部位を、肺臓60と肝臓61の境界にある横隔膜62とする。
プレスキャン用位置検出部333は、まず、強度プロファイル生成部331により1次元フーリエ変換が実施されたプレスキャン時のナビゲータデータに基づいて生成された複数の強度プロファイルそれぞれにおいて、被検体40における横隔膜62の位置(第1の位置)Xmdを検出する。検出方法としては、例えば、LSQ法、相互情報量法、相関係数法、微分法、Duのエッジ検出法などが挙げられる。
次に、プレスキャン用位置検出部333は、位相プロファイル生成部332により1次元フーリエ変換が実施されたプレスキャン時のナビゲータデータに基づいて生成された複数の位相プロファイルそれぞれにおいて、先に特定された位置Xmdを含む所定範囲内を検索し、被検体40における横隔膜62の位置(第2の位置)Xpdを検出する。検出方法としては、例えば、微分法、Duのエッジ検出法などが挙げられる。
プレスキャン用位置検出部333は、このようにして検出された位置Xpdを、このナビゲータデータから最終的に検出された横隔膜62の位置Xdとする。
位置プロファイル生成部334は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、プレスキャン用位置検出部333により検出された横隔膜62の位置Xdと時間tとの関係をプロットすることにより位置プロファイルを生成する。
呼吸情報取得部335は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、被検体40の呼吸情報を取得する。
具体的には、呼吸情報取得部335は、プレスキャン用位置検出部333により検出された複数の位置、すなわち位置プロファイル生成部334により生成された位置プロファイルに基づいて、被検体40が息を吸い終わった時の横隔膜62の位置である最大吸気位置Xiを検出する。最大吸気位置Xiを検出する方法としては、例えば、位置プロファイルにおいて、プロットされた位置のうち座標が最小(座標の正負の取り方によっては最大)となる位置を、最大吸気位置Xiとして検出する方法が考えられる。
また、呼吸情報取得部335は、プレスキャン用位置検出333により検出された複数の位置、すなわち位置プロファイル生成部334により生成された位置プロファイルに基づいて、被検体40が息を吐き終わった時の横隔膜62の位置である最大呼気位置Xeを検出する。最大呼気位置Xeを検出する方法としては、例えば、位置プロファイルにおいて、位置方向を一定の幅で分割したそれぞれの領域に含まれるプロットの数が最も多い領域に対応する位置を、最大呼気位置Xeとして検出する方法が考えられる。また例えば、位置プロファイルにおいて、プロットされた位置のうち座標が最大(座標の正負の取り方によっては最小)となる位置を、最大呼気位置Xeとして検出する方法も考えられる。
呼吸情報取得部335は、さらに、プレスキャン用位置検出部333により検出された複数の位置における時間的に隣接する位置間での変化量のうち最大のものである最大変化量ΔXmaxを求める。なお、この際、プロットされた位置のうち検出した最大吸気位置Xiと最大呼気位置Xeとの間に入らない位置を含む位置間の変化量は、算出対象から外してもよい。また、プロットされた位置に最小二乗法等によりカーブフィッティング(curve fitting)を行って、そのカーブから所定の距離ΔXth以上離れた場所にプロットされた位置は誤検出されたものとみなし、その位置を含む位置間の変化量を算出対象から外したり、その位置をそのカーブ上の位置に補正したりしてもよい。
本スキャン用位置検出部336は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、本スキャン時において、制御部30からの制御信号に基づいて、被検体40における横隔膜62の位置を検出する。
具体的には、本スキャン用位置検出部336は、まず、プレスキャン用位置検出部333により検出された複数の横隔膜62の位置の変化範囲に基づいて、横隔膜62の位置を検出する際の検出範囲の上限および下限を設定する。ここでは、呼吸情報取得部335により得られた最大吸気位置Xiおよび最大呼気位置Xeを基準に、検出範囲の上限Ruを最大呼気位置Xe+δXe、検出範囲の下限RLを最大吸気位置Xi−δXiとし、例えばδXi=δXe=2mmとする。
また、本スキャン用位置検出部336は、位相プロファイル生成部332により生成された、本スキャンにおけるナビゲータシーケンスNSを実施して得られる磁気共鳴信号の位相プロファイルに基づいて、被検体40における横隔膜62の位置を検出する検出処理を、このナビゲータシーケンスごとにナビゲータシーケンスを実施した順番に従って実行する。そして、1回目の検出処理においては、プレスキャン時と同様に、本スキャンにおけるナビゲータシーケンスNSを実施して得られる磁気共鳴信号の強度プロファイルおよび位相プロファイルに基づいて横隔膜62の位置を検出する。2回目以降の検出処理においては、前回検出された位置を含むように検出範囲を設定し、この設定された検出範囲内を検索して横隔膜62の位置を検出する。
横隔膜62のように周期運動に伴って体動する部位の位置は、時間の経過と共に徐々に変化する。その単位時間当たりの変化量は、周期運動の位相によって異なるが、平常状態であれば、一定の変化量を超えることはない。したがって、周期運動の周期よりも十分短い間隔で体動する部位を検出する場合、前回検出した位置を含むように検出範囲を設定することで、ノイズ等によって誤検出される確率が低くなり、より信頼度の高い位置検出が可能となる。
ここでは、本スキャン用位置検出部336は、2回目以降の検出処理における検出範囲として、例えば、前回検出された位置を中心として、呼吸情報取得部335により得られた最大変化量ΔXmaxに所定の係数αを乗算してなる距離α・ΔXmaxを幅とする範囲を設定する。係数αは、プレスキャンにおけるナビゲータシーケンスNSの繰返し周期と本スキャンにおけるナビゲータシーケンスNSの繰返し周期との比率、余裕を持たせるためのマージン(margin)等により値を定める。マージンを取る理由の1つは、本スキャンでは、プレスキャンに比べて実行時間が長くなるので、隣接する位置間の変化量ΔXがよりばらつき、本スキャンにおける最大変化量ΔXmaxがより大きくなるからである。したがって、例えば、ナビゲータシーケンスNSの繰返し周期がプレスキャンと本スキャンとで同じ場合、好適にはα=2〜5程度となる。なお、ここでは、ナビゲータシーケンスNSの繰返し周期がプレスキャンと本スキャンとで同じであるものとし、α=2とする。ただし、ここで設定した検出範囲が、先に設定した検出範囲の上限と下限を超える場合には、これら上限と下限を優先して検出範囲を定める。
ローデータ取得部337は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、スキャン部2がイメージングシーケンスISを実施することにより得られたイメージングデータを、位置プロファイル生成部334が生成した位置プロファイルに基づいて、ローデータとして取得するデータ処理を実施する。
ここでは、ローデータ取得部337は、呼吸情報取得部335により得られた最大呼気位置Xeを含む所定の範囲を許容範囲AWとして設定する。許容範囲AWは、例えば、最大呼気位置Xeを中心として±2mmの範囲とする。そして、本スキャン用位置検出部336により検出された横隔膜62の位置が、設定された許容範囲AW内にあるか否かを判定し、許容範囲AW内にあると判定されることになったナビゲータデータが得られたナビゲータシーケンスNSと時間的に対応して実施されたイメージングシーケンスISによって得られるイメージングデータをローデータとして取得する。例えば、本スキャンにおいて、ナビゲータシーケンスNSを先に行い、続いてイメージングシーケンスISを実施してナビゲータデータとイメージングデータとを取得する場合、本スキャン用位置検出部336により検出された横隔膜62の位置Xdが許容範囲AW内にあると判定されることになったナビゲータデータが得られたナビゲータシーケンスNSに続いて行われるイメージングシーケンスISにより得られるイメージングデータをローデータとして取得する。
画像生成部338は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有する。そして、画像生成部338は、ローデータ取得部337により取得されたローデータを用いることによって、その被検体40の撮影領域についての画像を生成する。すなわち、本実施形態においては、スキャン部2によるイメージングシーケンスISの実施において、RFコイル部14が撮影領域へRFパルスを放射し、その撮影領域において発生する磁気共鳴信号を、RFコイル部14が受信することによって収集したイメージングデータを位置プロファイルに基づいてローデータ取得部337がローデータとして取得し、この取得したローデータに基づいて、被検体40のスライス画像を生成する。そして、生成されたスライス画像を表示部34に出力する。
表示部34は、ディスプレイ(display)などの表示デバイスにより構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。表示部34は、例えば、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目についての画像を表示画面に表示する。また、表示部34は、画像生成部338が生成する被検体40のスライス画像を表示する。
また、本実施形態において、表示部34は、強度プロファイル、位相プロファイルまたは位置プロファイルのそれぞれを表示させる場合がある。
(動作)
以下より、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1を用いて、被検体40を撮像する際の動作について説明する。
図3は、本発明に係る一実施形態において、被検体を撮像する際の動作を示すフロー(flow)図である。また、図4は、本発明に係る一実施形態において、被検体40をスキャンする際のシーケンスを示すシーケンス図である。図4において、横軸は時間軸tである。また、図5は、本発明に係る一実施形態において、ナビゲータ領域NA及びイメージング領域IAを示すコロナル画像を示す図である。図5におけるz方向は、後述する図9における横軸の位置Xの方向である。なお、ここでは、黒色領域は肺臓60を示す。また、灰色領域は肝臓61を示し、肺臓60と肝臓61の間に横隔膜62が位置する。また、横隔膜62にほぼ直交するz軸方向に長辺が配置された矩形領域は、ナビゲータシーケンスNSを実施するナビゲータ領域NAである。また、コロナル画像における肝臓61において、横隔膜62にほぼ平行なx軸方向に平行となるように配置された領域は、イメージングシーケンスISを実施するイメージング領域IAである。図6は、本発明に係る一実施形態におけるナビゲータシーケンスを示すパルスシーケンスを示す図である。Gsはz軸方向スライス選択傾斜磁場、Gφはy軸方向スライス選択傾斜磁場、Gfは周波数エンコーディング傾斜磁場を示し、RFは高周波パルスを示す。なお、ここでは、縦軸が強度を示し、横軸が時間を示す。図7は、本発明に係る一実施形態におけるシリンドリカルグラジエントエコー型ナビゲータシーケンスであるパルスシーケンスを示す図である。RFは高周波パルスを示す。xgradはx軸方向に印加する傾斜磁場、ygradはy軸方向に印加する傾斜磁場、zgradはz軸方向に印加する傾斜磁場を示し、RFは高周波パルスを示す。なお、ここでは、縦軸は強度を示し、横軸は時間を示す。
まず、図3に示すように、プレスキャンを実施する(ST10)。
はじめに、ナビゲータ領域NAを設定する。例えば、図5に示すように、表示部34がコロナル画像50を表示する。そして、オペレータが操作部32を操作することにより、表示されたコロナル画像50上においてナビゲータ領域NAを設定する。ここでは、図5に示すように、肺臓60と肝臓61との間に位置する横隔膜62と交差し、横隔膜62とほぼ垂直であるz軸方向に平行な長辺を有する矩形領域をナビゲータ領域NAとして設定する。
なお、ナビゲータ領域NAはイメージング領域IAと重なっていてもよい。また、ナビゲータ領域NAを設定するために表示する画像は、被検体40のコロナル断面のほか、アキシャル(axial)断面やサジタル(sagittal)断面であってもよい。
その後、スキャン部2が、図4に示すように、プレスキャンとしてナビゲータシーケンスNSを繰り返し実施する。すなわち、時点t1から所定時間D1が経過した時点t2までの間、ナビゲータシーケンスNSを実施する。そして、所定時間D2が経過した時点t3から所定時間D1が経過した時点t4までの間、再びナビゲータシーケンスNSを実施する。このようにして、ナビゲータシーケンスNSを例えば数十回程度、繰り返し実施する。
なお、ここでは、ナビゲータシーケンスNSは、次に説明するようなシーケンスである。
すなわち、設定されたナビゲータ領域NAに対して、図6に示すように、フリップアングル(flip angle)90°の高周波パルスRF1と共に第1のスライス選択傾斜磁場Gs1を印加することによって、被検体40において横隔膜62を含む第1のスライス面を選択的に90°励起する。その後、第2のスライス選択傾斜磁場Gs2を被検体40に印加することによって位相を戻した後、フリップアングル180°の高周波パルスRF2と共に第3のスライス選択傾斜磁場Gφ1とを印加することによって、横隔膜62を含む領域において第1のスライス面と交差する第2のスライス面を180°励起する。
そして、周波数エンコードするように第1と第2の周波数エンコーディング傾斜磁場Gf1,Gf2を印加し、被検体40において第1のスライス面と第2のスライス面とが交差する領域からの磁気共鳴信号Eを、スキャン部2がナビゲータデータとして取得する。
また、ナビゲータ領域NAにおいて、図7に示すように、例えば、RFパルスの放射と同時に、y方向およびz方向に極性が交互に連続的に変化するように傾斜磁場を印加し線状に被検体40のスライスを選択し、そしてx方向に読み取り傾斜磁場を印加するシリンドリカルグラジエントエコー(cylindrical gradient echo)型ナビゲータシーケンスを実施してもよい。
なお、本実施形態では、ナビゲータデータから横隔膜62の位置を検出し、その検出された位置から被検体40の呼吸位相を把握する。この場合、横隔膜62とほぼ垂直な方向(z軸方向)における横隔膜62の位置情報は必要であるが、横隔膜62とほぼ平行な方向(x軸方向)における横隔膜62の位置情報は必ずしも必要でない。そこで、ここでは、ナビゲータシーケンスNSを、x軸方向の空間情報を取得する位相エンコード傾斜磁場を印加しないシーケンスとする。
つぎに、図3に示すように、プレスキャンにより得られたナビゲータデータのデータ処理を実施する(ST20)。
ここでは、ステップST10においてナビゲータシーケンスNSを繰り返し実施するプレスキャンを行ったことにより取得された複数のナビゲータデータに対して、一次元フーリエ変換を実施する。その後、一次元フーリエ変換を実施された複数のナビゲータデータそれぞれにおける強度プロファイル及び位相プロファイルを生成し、強度プロファイル及び位相プロファイルにおいて、被検体40における横隔膜62の位置を検出し、位置プロファイルを生成し、位置プロファイルにおいて被検体40の呼吸情報を取得する。そして、取得した呼吸情報を基に本スキャンにおける各種の設定を行う。
図8は、ステップST20におけるデータ処理のフローを示す図である。
まず、ナビゲータデータの強度プロファイルを生成する(ST201)。
図9は、本発明に係る一実施形態において、ナビゲータデータを一次元フーリエ変換することにより得られる強度プロファイルと位相プロファイルとを示す図である。図9(a)は、強度をプロットした強度プロファイルを示し、図9(b)は、位相をプロットした位相プロファイルを示す。ここで、図9(a)、(b)の横軸は、位置Xを表し、位置Xは図5に示すナビゲータ領域NAにおけるz軸方向の位置である。また、図9(a)の縦軸は信号強度を示し、図9(b)は位相であり、角度をラジアン(radian)で示す。そして、強度mの値が大きい領域は図5における肝臓61の位相を示し、強度mの値が小さい領域は図5における肺臓60の位相を示す。また、位相Pの値が大きい領域は図5における肺臓60の位相を示し、位相Pの値が小さい領域は図5における肝臓61の位相を示す。以下の図においても同様である。なお、位相の値の大小は肝臓と肺臓で逆になる場合もある。
ここでは、ステップST10において取得されたナビゲータデータに対して、一次元フーリエ変換処理を実施し、図9(a)に示すように、ナビゲータデータの強度mと被検体40におけるナビゲータ領域NAの位置Xとの関係を示す強度プロファイルを強度プロファイル生成部331が生成する。
具体的には、例えば所定時間D1におけるナビゲータデータに対して、一次元フーリエ変換処理を実施し、縦軸をナビゲータデータの強度m、横軸を被検体40におけるナビゲータ領域NAの位置とし、ナビゲータ領域における肝臓61側の端部を位置X=0として、ナビゲータデータの強度mと位置Xとの関係をプロットし、強度プロファイルを強度プロファイル生成部331が生成する。強度プロファイルは、表示部34に表示させてもよいが、表示させないほうが望ましい。
つぎに、強度プロファイルにおいて、横隔膜62の位置を検出する(ST202)。
ここでは、ステップST201おいて生成された強度プロファイルにおける横隔膜62の位置Xmdをプレスキャン用位置検出部333が検出する。図9に強度プロファイルにおける横隔膜62の位置Xmdを示す。
つぎに、ナビゲータデータの位相プロファイルを生成する(ST203)。
ここでは、ステップST10において取得されたナビゲータデータに対して、一次元フーリエ変換処理を実施し、図9(b)に示すように、ナビゲータデータの位相Pと被検体40におけるナビゲータ領域NAの位置Xとの関係を示す位相プロファイルを位相プロファイル生成部332が生成する。
具体的には、例えば所定時間D1におけるナビゲータデータに対して、一次元フーリエ変換処理を実施し、縦軸をナビゲータデータの位相P、横軸を被検体40におけるナビゲータ領域NAの位置とし、ナビゲータ領域における肝臓61側の端部を位置Xp=0として、ナビゲータデータの位相Pと位置Xpとの関係をプロットし、位相プロファイルを位相プロファイル生成部332が生成する。位相プロファイルは、表示部34に表示させてもよいが、表示させないほうが望ましい。
つぎに、位相プロファイルにおいて、横隔膜62の位置を検出する(ST204)。
ここでは、ステップST203において生成された位相プロファイルにおける横隔膜62の位置Xpdをプレスキャン用位置検出部333が検出する。ここで、位相プロファイルにおいて横隔膜62の位置Xpdを検出するために検索する範囲は、図9に示すように、ステップST202において特定された強度プロファイルにおける横隔膜62の位置Xmdを基準に所定範囲R1が設定される。所定範囲R1は、例えば、強度プロファイルにおける横隔膜62の位置Xmdを中心に図9のx軸方向に±10ピクセルのラインの間とする。そして、所定範囲R1内にある位相プロファイルにおいて横隔膜62の位置Xpdを検出する。検出された位置Xpdを最終的な横隔膜62の位置Xdとして決定する。なお、このような検出方法を採用する理由は、次のような理由による。
図9(b)に示すように、位相プロファイルに、血管などの影響により横隔膜62の位置でない位置にピークが発生することがあり、このピークを位相プロファイルにおける横隔膜62の位置Xpdと誤認してしまうことがある。一方、同じ時間に取得したナビゲータデータから算出された強度プロファイル及び位相プロファイルにおけるそれぞれの横隔膜62の位置XmdとXpdは近接している。したがって、強度プロファイルにおける横隔膜62の位置Xmdに基づいて、位相プロファイルにおける横隔膜62の位置Xpdを求めることにより、この誤認を防止することができる。
つぎに、プレスキャンで取得したすべてのナビゲータデータに対して横隔膜62の位置を検出したか否かを判定する(ST205)。この判定において否定される場合には、ステップST201に戻り、処理対象を別のナビゲータデータとして横隔膜62の位置の検出を行う。
つぎに、位置プロファイルを生成する(ST206)。
図10は、ナビゲータデータを取得した時間とそのナビゲータデータから検出された横隔膜62の位置Xdとの関係を表す位置プロファイルの一例を示す図である。
ここでは、位置プロファイル生成部334が、ステップST201からステップST204までを繰り返し実施することにより検出される横隔膜62の複数の位置Xd1,Xd2,…を基に位置プロファイルを生成する。
具体的には、位置プロファイル生成部334が、図10に示すように、ナビゲータデータを取得した時間tを横軸、ナビゲーション領域NAにおける位置Xを縦軸にとり、所定時間D1においてスキャン部2により実施されたプレスキャンにより取得されたナビゲータデータに対して、上記のステップST201からステップST204を実施することにより検出された横隔膜62の位置Xd1、所定時間D3においてスキャン部2により実施されたプレスキャンにより取得されたナビゲータデータに対して、上記のステップST201からステップST204を実施することにより検出された横隔膜62の位置Xd3、所定時間Dnにおいてスキャン部2により実施されたプレスキャンにより取得されたナビゲータデータに対して、上記のステップST201からステップST204を実施することにより検出された横隔膜62の位置Xdnそれぞれをプロットしてゆき、位置プロファイルを生成する。位置プロファイルは、表示部34に表示させるのが望ましい。
つぎに、位置プロファイルにおいて被検体40の呼吸情報を取得する(ST207)。
ここでは、呼吸情報取得部335が、ステップST206において生成された位置プロファイルを基に、前述の検出方法により、図10に示すような最大吸気位置Xi、最大呼気位置Xe、および最大変化量ΔXmaxを呼吸情報として取得する。
つぎに、横隔膜62の位置の許容範囲AWを設定する(ST208)。
すなわち、ステップST207において取得された呼吸情報を基に、本スキャンにより取得されたイメージングデータをローデータ取得部336がローデータとして取得するか否かの基準となる横隔膜62の位置の許容範囲AWを設定する。
ここでは、図10に示すように、ステップST207において検出された最大呼気位置Xeを中心に±δXaの幅を許容範囲AWとする。δXaは、例えば2mmとする。
つぎに、検出範囲の上限Ruと下限RLを設定する(ST209)。
すなわち、ステップST206において取得された呼吸情報を基に、本スキャンにおいてナビゲータデータから得られた位相プロファイル上で横隔膜62の位置を検出する際の検出範囲の上限Ruと下限RLを本スキャン用位置検出部336が設定する。
ここでは、前述のごとく、図10に示すように、検出範囲の上限Ruを最大呼気位置Xe+δXe、検出範囲の下限RLを最大吸気位置Xi−δXiとし、δXi=δXe=2mmとする。
つぎに、図3に示すように、本スキャンを実施する(ST30)。なお、本スキャンは、プレスキャンを行ってから所定時間経過後に開始してもよいが、ここでは、プレスキャンを行った直後に本スキャンを開始する。
具体的には、ナビゲータシーケンスNSを実施し、イメージングシーケンスISを実施し、その間またはその後、取得したナビゲータデータから横隔膜62の位置を検出し、検出した横隔膜62の位置が許容範囲AW内であれば、このとき取得したイメージングデータをローデータとして取得するという処理を、被検体40の画像を生成するための必要なローデータをすべて取得するまでスキャンパラメータを変えながら繰り返す。
本スキャンにおけるナビゲータシーケンスNSとイメージングシーケンスISとに着目すると、被検体40の呼吸位相が所定の位相範囲内にあるときのイメージングデータを取得するために、スキャン部2が、図4に示すように、本スキャンとしてナビゲータシーケンスNSとイメージングシーケンスISとを繰り返し実施する。すなわち、ナビゲータシーケンスNSが開始される時点t11から、所定時間D11が経過した時点t12までの間において実施される。その後、所定時間D12が経過した時点t13から、所定時間D13が経過した時点t14までの間、イメージングシーケンスISが実施される。そして、所定時間が経過した時点で再びナビゲータシーケンスNSが開始される。なお、ここでは、所定時間D13は、MR撮影におけるいわゆる繰り返し時間TRに相当する。また、ナビゲータシーケンスNSやイメージングシーケンスISの繰り返し周期は、数十ミリ秒(mS)から数百ミリ秒(mS)程度である。
図11は、ステップST30における本スキャンのフローを示す図である。
まず、スキャン部2がナビゲータシーケンスNSを実施する(ST301)。ここでのナビゲータシーケンスNSは、プレスキャンにおけるナビゲータシーケンスと同様のシーケンスであるため、詳細な説明を省略する。
つぎに、スキャン部2がイメージングシーケンスISを実施する(ST302)。イメージングシーケンスISには、スピンエコー(SE)法、グラジエントエコー(GRE)法などのパルスシーケンスを用いることができる。
また、本スキャン用位置検出部336が、このイメージングシーケンスISと並行して、ST301においてナビゲータシーケンスNSを実施して得られたナビゲータデータから横隔膜62の位置を検出する。まず、本スキャン用位置検出部336が、これから行う横隔膜62の位置の検出処理が、何回目の処理にあたるかを判定する(ST303)。ここで、1回目と判定された場合には、1回目用の検出処理(ST304)を実行し、2回目以降と判定された場合には、2回目以降用の検出処理(ST305〜ST307)を実行する。
1回目用の検出処理は、前述のステップST201〜ST204における横隔膜62の位置を検出する処理と同様である。すなわち、強度プロファイル生成部331が、ナビゲータデータから強度プロファイルを生成し、本スキャン用位置検出部336が、その強度プロファイルにおいて微分法やDu法等を用いて横隔膜62の位置を第1の位置として検出する。つぎに、位相プロファイル生成部332が、ナビゲータデータから位相プロファイルを生成し、本スキャン用位置検出部336が、位相プロファイルにおいて微分法やDu法等を用いて第1の位置を含む所定範囲内を検索して横隔膜62の位置を第2の位置として検出する。そして、最終的にこの第2の位置を、1回目の検出処理において検出された横隔膜62の位置X1とする。
なお、1回目のナビゲータシーケンスNSは、イメージングシーケンスISを実施する前に実施されるため、この1回目のナビゲータシーケンスNSを実施して得られたナビゲータデータの強度プロファイルには、スライス干渉(RF干渉)によるノイズは発生しない。そのため、このナビゲータデータの強度プロファイルを用いて検出された横隔膜62の位置X1は、誤検出されたものである可能性が極めて低く、高い信頼度で検出された位置となる。
一方、2回目以降用の検出処理は、次のような処理である。
まず、位相プロファイル生成部332が、ナビゲータデータを一次元フーリエ変換することにより位相プロファイルを生成する(ST305)。なお、この位相プロファイルは、表示部34に表示させてもよいが、表示させないほうが望ましい。
図12は、ST305において得られる位相プロファイルの一例を示す図である。この図において、横軸はナビゲータ領域NAにおける位置Xであり、縦軸はナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号の位相Pである。なお、位相Pの単位は角度を表すラジアン(radian)である。
つぎに、本スキャン用位置検出部336が、この位相プロファイルにおいて、前回検出された位置を含むように横隔膜62の位置の検出範囲を設定する。具体的には、今回の検出処理をn回目の検出処理としたとき、図12に示すように、横隔膜62の位置の検出範囲R2nを、n−1回目の検出処理にて検出された位置Xn-1を中心に±最大変化量ΔXmaxに設定する(ST306)。ただし、ステップST209において設定された検出範囲の上限Ruと下限RLを優先する。
つぎに、本スキャン用位置検出部336が、ST304において生成された位相プロファイルにおいて、検出範囲R2n内を検索し、横隔膜62の位置Xnを検出する(ST307)。
イメージングシーケンスISが実施され、かつ、横隔膜62の位置が検出されたら、位置プロファイル生成部334が、位置プロファイルを生成する(ST308)。
図13は、ST308において得られる位置プロファイルの一例を示す図である。
ここでは、位置プロファイル生成部334が、横軸を時間t、縦軸をナビゲータ領域NAにおける位置Xとして、ナビゲータデータが取得された時間とそのナビゲータデータから検出された横隔膜62の位置Xnとの関係をプロットして位置プロファイルを生成または更新する。なお、この位置プロファイルは、表示部34に表示させるのが望ましい。
ちなみに、図13に例示した位置プロファイルにおいては、検出された横隔膜62の位置X1,X2,…,Xn-1までがプロットされている。n回目の検出処理における検出範囲R2n(=Xn-1±ΔXmax)は、位置プロファイル上で見ると図13に示すように、縦方向の所定の幅で表すことができる。
その後、ローデータ取得部337が、ST302においてイメージングシーケンスISを実施して得られたイメージングデータをローデータとして取得するか否かの判定を行う。すなわち、ST307にて検出された横隔膜62の位置Xnが許容範囲AW内にあるか否かを判定する(ST309)。
この判定において否定される場合には、ローデータ取得部337は、イメージングデータをローデータとしては取得せず破棄する(ST3010)。そして、ステップST301に戻り、スキャン部2はスキャンパラメータを変更せずにスキャンを続行する。
一方、この判定において肯定される場合には、ローデータ取得部337は、イメージングデータをローデータとして取得する(ST3011)。そして、さらに、被検体40の画像を生成するために必要なローデータがすべて取得されたか否かを判定する(ST3012)。この判定において肯定される場合には、スキャン部2は本スキャンを終了する。一方、この判定において否定される場合には、ステップST301に戻り、スキャン部2はスキャンパラメータを次に設定すべきパラメータに変更してスキャンを続行する。
つぎに、スライス画像を生成する(ST40)。
ここでは、ステップST3011において取得されたイメージングデータを用いて、画像生成部337が被検体40のスライス画像を生成する。例えば、画像生成部337は被検体40における肝臓61のスライス画像を生成する。そして、画像生成部337は、生成したスライス画像を表示部34に出力する。
以上のように、本実施形態によれば、本スキャンにおいて、ナビゲータシーケンスを実施して得られる情報に基づいて、被検体の体動する所定の部位を時系列的に順次検出する際に、2回目以降においてはその検出範囲を前回検出した位置を含む所定範囲内に絞っているので、上記所定の部位の位置をより正確に検出して、ナビゲータシーケンスを実施して得られる情報の解析結果をより安定させることができ、生成される画像における体動アーチファクトを抑制して画像の画質を向上させることができる。
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
本実施形態では、プレスキャンにおいて、ナビゲータデータから得られた強度プロファイルと位相プロファイルとを用いて横隔膜62の位置を検出しているが、これに限定されず、例えば、強度プロファイルのみ、あるいは位相プロファイルのみを用いて横隔膜62の位置を検出してもよい。
本実施形態では、本スキャンにおいて、ナビゲータシーケンスNSを実施した後、イメージングシーケンスISを実施し、このイメージングシーケンスの実施と並行してまたはその実施後に、ナビゲータデータに対してデータ処理をし、その結果に基づいて、ローデータ取得部336がイメージングシーケンスを実施して得られたイメージングデータをローデータとして取得すべきか否かを判断している。しかし、本スキャンにおける各シーケンスのパターンや処理の順序はこれに限定されず、例えば、ナビゲータシーケンスを実施した直後に、ナビゲータデータに対してデータ処理をし、その結果に基づいて、スキャン部2がイメージングシーケンスISを実施するか否かを制御部30が判断してもよい。これにより、被検体40について望ましいタイミングで撮像を開始することができる。また例えば、ナビゲータシーケンスを実施した直後に、ナビゲータデータに対してデータ処理をし、その結果に基づいて、イメージングシーケンスにおける被検体の励起断面すなわちスライス断面をリアルタイムで補正してもよい。これにより、被検体40について時間効率のよい撮像を行うことができる。
本実施形態では、本スキャンにおける横隔膜の位置の検出処理において、2回目以降用の検出処理では、検出範囲は、前回検出された位置を中心とし、プレスキャンから得られた最大変化量に係数を乗算してなる距離を幅として定まる範囲としているが、これに限定されず、前回検出された位置を中心とし、所定の固定値を幅として定まる範囲としてもよい。
本実施形態では、横隔膜の位置の許容範囲を、最大呼気位置を含む所定の範囲としているが、これに限定されず、例えば、最大吸気位置を含む所定の範囲としてもよい。
本実施形態では、呼吸運動に伴って体動する所定の部位を、肺臓と肝臓との間に位置する横隔膜としているが、もちろんこれに限定されず、呼吸運動に伴って体動する部位であれば、他の部位であってもよい。例えば、体表や腎臓等であってもよい。
本実施形態では、呼吸運動に伴う体動アーチファクトを抑制するよう、被検体の呼吸運動に伴って体動する部位を検出しているが、これに限定されず、例えば、心拍運動に伴う体動アーチファクトを抑制するよう、被検体の心拍運動に伴って体動する部位を検出してもよい。