JP2010074057A - 太陽電池裏面シートおよびそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】太陽電池モジュール15は、受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セル12と、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材11を介し裏面シート10を備える太陽電池モジュールであって、裏面シート10は受光面側から順に構造層24、光反射材21と基材30からなる。前記構造層24は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造26を形成しており、前記光反射材21は前記レリーフ構造26上に配され、構造層24と基材30の間を充填している。
【選択図】図1
Description
これらの光電変換部の上には、空気や不純物から光電変換部を保護する封止基材として一般に透明な強化ガラス等のガラス基板が設けられている。
なお、本明細書においては、このような光電変換部を含む少なくとも1つの太陽電池セルを封止材料を用いて封止してパッケージ化したものを太陽電池モジュールという。
また、その他のタイプの太陽電池においても絶縁性やバリア性を得るために、太陽電池モジュールにセルが配置されない余白部分を作る必要があり、この余白部分に注ぐ光の多くは発電には用いられないが、面積辺りの発電効率を向上させるためには、この余白領域に注ぐ光も有効に活用する手段が望まれている。多くが裏面に配すシートを反射材としたり、表面に凹凸をつけたりしているが、凹凸構造の訛り、裏面シート輸送の際に埃や塵を巻き込み易いなどのハンドリング性が課題として残る。
本願発明においては、光利用効率の向上を目的として、外光があらゆる方向から入射した場合でも効率よく太陽電池の光電変換部に光を入射することができ、良好な凹凸構造再現性およびハンドリング性を実現し、設計通りの形状を製造することができる太陽電池裏面シート、その製造方法および太陽電池モジュールの提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは構造層、光反射材と基材からなり、前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、前記光反射材は前記レリーフ構造上に配され、もう一方の前記光反射材の面に前記基材を配することを特徴とする。
言い換えると、裏面シートにレリーフ構造を設けることにより、裏面シートにより再帰反射する光は散乱性をもち、太陽電池セルの受光面に到達する確率が上がることにより効率も向上させることができる。また、レリーフ構造面を光反射材で埋めることで、レリーフ構造上に薄く光反射層を設ける方法では訛ってしまう形状を保持し、レリーフ構造面が裏面シートの内部に位置することにより、裏面シート両面には構造がない状態となり、塵埃の構造への巻き込みが低減し、ハンドリング性に優れる。
請求項2に記載の発明は、受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは構造層、光反射材、中間層、基材からなり、前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、前記光反射材は前記レリーフ構造上に配され、前記中間層を介して前記基材と接着していることを特徴とする。
中間層を設けることで、基材、光反射材および構造層では不足する性能を補うことができる。たとえば、耐久性、クッション性などを高めるためにシリコーン系樹脂を用いたり、裏面シートに太陽光の熱による反りの発生を抑えるために基材30の反り方向とは逆に反る樹脂材料を用いたりする。特に屋外使用の太陽電池の場合、日照時の太陽電池の熱上昇は著しく、樹脂材料から作製した裏面シートに反りが発生し、太陽電池の思わぬ故障を招く恐れもある。そのほか、高い発電効率を維持するために重要な高バリア性を有するために金属層を用いることもある。また、光反射材がアルミ膜のように薄い場合、光反射材と基材を一体化できるよう中間層として接着材を用いることができる。
請求項3に記載の発明は、受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは構造層、光反射材からなり、前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、前記光反射材は前記レリーフ構造上に配することを特徴とする。
部材数を減らすことによるコストダウン効果がある。
請求項4に記載の発明は、前記レリーフ構造は、V字溝、多角錐形状あるいはこれらの逆型のいずれかであることを特徴とする。
上述のようなプリズム形状は反射率が良好である。たとえば、高アスペクト比の非球面レンズでは、散乱性はあるが構造による光の吸収が起こり、再帰反射率の低下を招く可能性がある。
請求項5に記載の発明は、前記構造層は、前記レリーフ構造を有する面と逆の面にも凹凸構造を具備することを特徴とする。
構造層のレリーフ構造を有する面と逆側は、太陽電池セル封止のため設けている充填材との界面となる。この充填材は現在、EVA(エチレン・ビニル・ アセチレート)が広く使用されている。充填材との密着性を考慮し、レリーフ構造面の逆面にも凹凸構造をつけることにより接着面の表面積が大きくなるため密着性が向上する。
請求項6の発明は、前記構造層は、少なくとも1種類の拡散フィラー混入材料を含むことを特徴とする。
拡散フィラーを含む材料を使用することにより、光の反射角度はレリーフ構造により調整し、この反射光の散乱性を拡散フィラーにより調整することができ、適した散乱反射性を実現することができる。
請求項7に記載の発明は、上記太陽電池裏面シートを用いることを特徴とする太陽電池モジュールである。
図1に示すのは本発明の太陽電池モジュール一様態に係る概略図である。光線14は、太陽光や、室内灯などの人工照明の光を指す。前面板13は外光14を入射するものであり、一般的で光線透過率が高い透明な材料が用いられ、具体的には強化ガラス、PEN(ポリエチレンナフタレート)などの樹脂シートが使用されている。
前面板13の厚みは強化ガラスであれば約5mm、樹脂シートであれば数十〜数百μmである。
太陽電池セル12は、複数個を電極で接続し、モジュールを形成する。
レリーフ構造は、構造層24の片面の一部、もしくは全面に配される。一部分にのみレリーフ構造を有することにより、レリーフ構造版作製及び構造層形成時のタクトタイムを短縮することができる。太陽電池モジュール15とは、図1によると前面板13、充填材11、太陽電池セル12、裏面シート10の全ての部材を総合したものを指す。
構造層24はレリーフ構造を有し、光反射材21は構造層24のレリーフ構造の隙間を埋めるように充填されるものであり、基材30と構造層24とを接着させている。基材30は封止機能を付与したり、耐久性を高めたりする機能を持つものである。
太陽電池セルの受光面を通り抜けた光(光線14)は、まずレリーフ構造面と光反射材21の界面で反射される。反射された光線14は、レリーフ構造によって裏面シート10への入射角度とは異なる方向へ射出され、この多くが前面板もしくは前面板に付与されている透明電極層により再度太陽電池セル受光面側へ反射される。裏面シート10上で反射した光の中には、太陽電池セルの裏面に当たったり、前面板付近で再反射されず外部へ射出したりする成分も発生するが、裏面シートにレリーフ構造を設けることにより調光機能があるので、太陽電池セル受光面へ光を導く確率が高くなり、ひいては変換効率向上へとつながる。また、該裏面シート10はレリーフ構造が内側に位置する構成となるため、構造にゴミなどが巻き込まれることはなく、ハンドリング性も向上する。
構造層24は単層である必要は無く、成形樹脂22および成形基材23からなる複層構成であってもよい。たとえば成形基材23上に紫外線硬化性の成形樹脂22を注入し、レリーフ構造が刻印された成形版とラミネート後、紫外線照射し、成型版から離型させ、構造層を得ることが可能である。レリーフ構造の形状によっては、構造の高さが大きく、熱圧方式などによる単層での成形が難しい場合が起こりうるので、成形樹脂22と成形基材23を用い、ラミネート後紫外線硬化する方法の方が成形性、作業効率、コスト性が良い場合がある。
拡散フィラー100は、光を散乱させる効果を持ち、調光効果を高めるには図6に示すような拡散フィラー100を構造層に含む構成とすると良い。調光効果とは、裏面シートに入射した光を反射する際の、反射角度、散乱性、分光特性などの諸光学特性を調整することができる効果を指す。拡散フィラー100を有することで、裏面シートでの光反射角度はレリーフ構造により調整し、反射光の散乱性は拡散フィラー100により調整することで、太陽電池モジュールの内部に光を閉じ込める確率を向上させることができる。光を太陽電池モジュール内に閉じ込めるには少なくとも前面板と大気の境界でモジュール側へ全反射させなければならない。材質の屈折率から決まる臨界角を基準に、全反射するかが決まるので裏面シート上での反射角度は重要である。さらに発電効率向上には、発電部でいかに光を吸収できるかがポイントであり、各種太陽電池により効果的な配光が異なる。拡散フィラーを入れることにより拡散性は増加し、拡散フィラーがない構成よりも拡がった反射光となる。たとえば薄膜系の太陽電池は平行光よりも散乱光での発電効率が良いので、前記の臨界角も考慮しながら拡散度を大きくする方がよい。拡散フィラー100は酸化チタン、シリコン微粒子、ガラスビーズなどが例として挙げられる。
また、V溝型やピラミッド型はマイクロレンズなどの球面、非球面の形状と比べ、作製しやすい利点がある。
すなわち、ノズル82から成形樹脂22を成型版80のレリーフ構造が生成されている面へと適量注入し液溜まりを設ける。成形樹脂22の上には成形基材23をロールで送っており、ラミネートロール81で加圧しながら圧延し、続いて紫外線を照射し成形樹脂22を硬化させ、成型版から剥離し構造層24を生成する。もしくは、成形基材23にレリーフ構造が刻設された成型版を押し付け、加熱・加圧により成形基材23に付形し、成型版から剥離する方法もある。これらは成型版を用いた付形方法の一例であり、その他の方法でレリーフ構造を作製することもできる。
すなわち、ノズル92から光反射材21もしくは光反射材溶液を構造層24のレリーフ構造が生成されている面へと適量注入し液溜まりを設ける。光反射材21上には基材30をロールで送っており、ラミネートロール91で加圧しながら圧延し、レリーフ構造の隙間にも光反射材21を充填させ、続いて紫外線を照射し光反射材21を硬化する。この他にも、コーターバーを用いて光反射材をレリーフ構造上に充填させる方法もあり、この方法では基材30が不要であるため、図4に示すような構成を実現することができる。これらは構造層作製方法の一例であり、その他の方法で構造層を作製することもできる。
次に本発明の実施例について説明する。 実施例1では、本発明の図2に示す構成と従来の裏面シートの性能を比較した。性能評価には、特定光源を設け、設計通りに裏面シートの反射光が配光するかを比較するため、前面板表面で全反射した(外部へ透過しない)光を、Trace Proを用いシミュレーションし、測定した。特定光源として正午の太陽光を想定し、入射角度は約0度の平行光を測定光源として採用した。太陽電池モジュールに使用される充填材11および前面板13にはそれぞれEVA,ガラスが主に使用され、これらの屈折率はだいたい1.5である。すくなくとも前面板13と大気の境界で、裏面シートで散乱、反射された光が全反射されれば光をモジュール内で多重反射でき、受光面aへ入射する光量も増加する。ただ裏面シートで散乱、反射させただけでは、前面板13から大気中へと透過してしまう光が増え、裏面シートによる発電効率向上効果は薄くなってしまう。いかに正確に散乱、反射できるかが重要である。
本発明の実施内容は、構造層24はPETフィルムを成形基材として、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を用いて作製した。作製したレリーフ構造26はV溝形状のピッチ300μmである。光反射材21としてアルミペーストを塗工し、レリーフ構造上に光反射層を作製し、基材30は粘着材付きのPETフィルムを用い、光反射層と接着する。充填材11(EVA)及び前面板13(ガラス板)の屈折率はだいたい1.5である。受光面aへの光線入射率を高めるには、裏面シートで散乱反射させた光が前面板と大気との界面で全反射するように設計するとよい。前面板13の屈折率を1.5と仮定すると、前面板と大気との界面での臨界角は約41.810度となる。裏面シートの成形基材起因の散乱が±2度程度あるとすると、反射光の強度ピーク成分の前面板への入射角度が約43.810°であれば、裏面シートの反射光の内、再度反射される成分が多くなる。つまり、レリーフ構造26の形状は、頂角が約136.189°以下のV溝形状であるとよい。これを考慮し、実施したレリーフ構造26は頂角136°としてモデリングを行った。
また、比較する従来の裏面シートとして、上記と同様の方法で作製したレリーフ構造上にアルミペーストを塗工し光反射層を形成、光反射層と充填材の界面で光を反射させる構成のモデルを作成した。
これらのサンプルを用いて測定した結果を図10中の“従来のバックシート1”および“頂角136°1”に示した。従来よりも全反射しモジュール内部に光を閉じ込める効果が高くなったことが分かる。これにより、光の利用効率が向上し、発電効率を増加させることができる。
実施例2では、上記実施例1の構成を変化させ、光反射材21として酸化チタンが混入している白インキを用い、同様のシミュレーションを行った。比較対照となる従来の裏面シートの構成は、構造層のレリーフ構造上に酸化チタンが混入している白インキを塗工し、白インキ塗布表面を光反射面として比較を行った。測定結果は図10の“従来のバックシート2”および“頂角136°2”に示した。従来よりも全反射しモジュール内部に光を閉じ込める効果が高くなったことが分かる。これにより、光の利用効率が向上し、発電効率を増加させることができる。実施例1よりも従来比の大きくなっているのは、酸化チタンから成る白インキがアルミ膜よりも散乱性が強く、塗工面に凹凸ができやすいため、差が大きくなったことが考えられる。
14……光線、15……太陽電池モジュール、21……光反射材、22……成形樹脂、
23……成形基材、24……構造層、25……微細フィラー、30……基材、
a……受光面、40……中間層、26……レリーフ構造、80……成型版、
81……ラミネートロール、82……ノズル、91……ラミネートロール、
92……ノズル、100……拡散フィラー、L……レリーフ構造側面の平行線、
θ……レリーフ構造の頂角、A……
Claims (7)
- 受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは前記受光面側から順に構造層と、光反射材と、基材と、からなり、
前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、
前記光反射材は前記レリーフ構造上に配され、もう一方の前記光反射材の面に前記基材を配することを特徴とする太陽電池裏面シート。 - 受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは前記受光面側から順に構造層、光反射材、中間層、基材からなり、
前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、
前記光反射材は前記レリーフ構造上に配され、前記中間層を介して前記基材と接着していることを特徴とする太陽電池裏面シート。 - 受光面を有し該受光面に受光した光を電気に変換して出力する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面とは逆側に充填材を介し裏面シートを備える太陽電池モジュールであって、前記裏面シートは前記受光面側から順に構造層、光反射材からなり、
前記構造層は片面の一部もしくは全面にレリーフ構造を具備し、
前記光反射材は前記レリーフ構造上に配することを特徴とする太陽電池裏面シート。 - 前記レリーフ構造は、V字溝、多角錐形状あるいはこれらの逆型のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の太陽電池裏面シート。
- 前記構造層は、前記レリーフ構造を有する面と逆の面にも凹凸構造を具備することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の太陽電池裏面シート。
- 前記構造層は、少なくとも1種類の拡散フィラー混入材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項5に記載の太陽電池裏面シート。
- 請求項1から請求項6に記載の太陽電池裏面シートを用いることを特徴とした太陽電池モジュール。
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