JP2010073604A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】PDPのガス放電により発生された紫外線の発光への寄与度を高め、もって輝度の高いPDPを提供することを目的とする。
【解決手段】基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、放電空間122を形成するようにこの前面板と対向配置され、かつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極107を形成するとともに前記放電空間122を区画する隔壁109を設けた背面板140とを有し、隔壁109と隔壁109との間の凹部には、放電空間122側から順に、可視発光層110、紫外発光反射層111、が形成され、前記紫外発光反射層111は、波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて、波長が180nm〜400nmの紫外線を発光する材料によって構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【選択図】図4
【解決手段】基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、放電空間122を形成するようにこの前面板と対向配置され、かつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極107を形成するとともに前記放電空間122を区画する隔壁109を設けた背面板140とを有し、隔壁109と隔壁109との間の凹部には、放電空間122側から順に、可視発光層110、紫外発光反射層111、が形成され、前記紫外発光反射層111は、波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて、波長が180nm〜400nmの紫外線を発光する材料によって構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【選択図】図4
Description
本発明は、テレビなどの画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネルに関し、特に、紫外線により励起されて発光する可視発光層を有する構成に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、50インチクラスから100インチを越えるクラスのフルスペックのハイビジョンテレビや大型公衆表示装置などの製品化が進んでいる。
PDPは前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極と金属バス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、排気および放電ガス封入(導入ともいう)用の細孔を設けたガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極(データ電極ともいう)と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて、赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体粒子からなる可視発光層とで構成されている。
前面板と背面板とは、その電極形成面側を対向させてその周囲を封着材によって封着し、隔壁で仕切られた放電空間にNe−Xeの混合ガスが放電ガスとして400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電ガスを放電させ、その放電によって発生した120nm〜180nmの波長の紫外線が赤色、緑色および青色の各色可視発光層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
PDPは、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤色、緑色、青色の各色を発光する可視発光層を備えている。各色の可視発光層は各色の蛍光体粒子が積層されて構成され、赤色蛍光体粒子としては(Y,Gd)BO3:Eu3+やY2O3:Eu3+やYPVO4:Eu3+、緑色蛍光体粒子としてはZn2SiO4:Mn2+や(Y,Gd)BO3:Tb3+や(Y,Gd)Al3(BO3)4:Tb3+、青色蛍光体粒子としてはBaMgAl10O17:Eu2+やCaMgSi2O6:Eu2+やSr3MgSi2O8:Eu2+が知られている。
近年では、PDPの輝度向上を目的とした検討が行なわれている。
例えば、特許文献1は、可視発光層の下層側に反射性を備えたガラスビーズを配置することで、背面側に放出された蛍光体粒子からの光を前面側に反射させ、PDPの発光輝度を増大させる技術を開示している。
特開2002−334659号公報
しかしながら、特許文献1が開示する構成では、蛍光体から背面側に放出された光を前面側に反射することはできるが、PDPのガス放電により発生された波長が120nm〜180nmの紫外線は反射層により吸収されてしまうため、紫外線が発光に寄与する効率が悪いものとなっていた。
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであり、PDPのガス放電により発生された紫外線の発光への寄与度を高め、もって輝度の高いPDPを提供することを目的とする。
上記目的を実現するために本発明のPDPは、基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、放電空間を形成するようにこの前面板と対向配置され、かつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、隔壁と隔壁との間の凹部には、放電空間側から順に、可視発光層、紫外発光反射層、が形成され、前記紫外発光反射層は、波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて、波長が180nm〜400nmの紫外線を発光する材料によって構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、PDPのガス放電により発生された紫外線の発光への寄与度を高めることができ、もって輝度の高いPDPを提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1による発光デバイスの概略構成を示す断面図である。
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1による発光デバイスの概略構成を示す断面図である。
発光デバイス10は、基板11と紫外発光反射層12と可視発光層13とで構成されている。紫外発光反射層12は、基板11と可視発光層13との間に形成されている。具体的には、基板11上に紫外発光反射層12が形成され、紫外発光反射層12上に可視発光層13が形成されている。
基板11は、その上に形成される各層を支持する。基板11は、その上に形成される各層を支持できる材料、形状とする。具体的には、ガラス基板や石英基板、セラミック基板等を用いることができる。
紫外発光反射層12は、基板11上に形成されている。紫外発光反射層12は、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する無機酸化物粒子(以下、紫外発光無機酸化物粒子20ともいう)が積層して形成されているとともに、可視発光層13が発した可視光を反射する。紫外発光無機酸化物粒子20については後述する。紫外発光反射層12は、例えば、スクリーン印刷法やインクジェット法等により形成される。紫外発光反射層12の膜厚は、1μm以上20μm以下とするのが好ましい。また、紫外発光反射層12の膜厚が20μmより大きいと反射率が飽和するため、反射層の役割としてはこれより厚い必要はない。
紫外発光反射層12を形成する紫外発光無機酸化物粒子20の形状は特に限定されるものではない。
紫外発光無機酸化物粒子20は、BaSi2O5:Pb、(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb、(Ba,Mg,Zn)3Si2O7:Pb、SrB4O7F:Eu、YPO4:Eu、YPO4:Ce、LaPO4:Ce、Y2O3:Gd、YBO3:Gd、YAl3(BO3)4:Gdの中から選ばれる少なくとも一つを含む無機酸化物粒子で形成される。これらは、紫外発光無機酸化物粒子の一例である。また、これらは、可視光を反射する材料の一例である。
可視発光層13は、紫外発光反射層12上に形成されている。可視発光層13は、波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて可視光を発する。また、紫外発光反射層から発光する180nm〜400nmの紫外線により励起されて可視光を発する。可視発光層13の材料は、具体的には、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで発光し、かつ、180nm〜400nmの波長の紫外線を照射することで発光する蛍光体材料を用いることができる。
赤色蛍光体粒子としては(Y,Gd)BO3:Eu3+やY2O3:Eu3+やYPVO4:Eu、緑色蛍光体粒子としてはZn2SiO4:Mn2+や(Y,Gd)BO3:Tb3+や(Y,Gd)Al3(BO3)4:Tb3+、青色蛍光体粒子としてはBaMgAl10O17:Eu2+やCaMgSi2O6:Eu2+やSr3MgSi2O8:Eu2+が知られている。
上述の本発明の一実施の形態による発光デバイスは、紫外発光反射層に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する紫外発光無機酸化物粒子20を用いた点に特徴を有している。以下、その特徴部分についてさらに詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1における可視発光層13よりも上側に向かう方向を前面方向と称し、その反対方向を背面方向と称する。
可視発光層13から放出される光の一部は、背面方向に放出される。上述の実施形態では、紫外発光反射層12に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する紫外発光無機酸化物粒子20を用いている。そのため、従来の反射層では、可視発光層13を通過した120nm〜180nmの波長の光が、反射層で吸収されてしまっていたのに対し、本発明の一実施の形態による発光デバイスにおいては、可視発光層13を通過した120nm〜180nmの波長の光に対して、紫外発光反射層12で180nm〜400nmの紫外線を発光する。可視発光層13では、前面方向から放出される120nm〜180nmの紫外線により、赤色、緑色、青色の各色に発光するとともに、紫外発光反射層12で発光した180nm〜400nmの紫外線により、赤色、緑色、青色の各色に発光する。したがって、可視発光層13は、従来の反射層を用いた場合より、紫外線の利用度が高まることで発光への寄与度が高まり、もって、多くの可視発光を発することができ、輝度の高い発光デバイスを提供することが可能となる。
なお、上述した本発明の一実施の形態による発光デバイスは、プラズマディスプレイパネルに適用することができる。
(実施例)
(発光デバイスの実施例)
発光デバイスの実施例として、紫外発光無機酸化物粒子20からなる紫外発光反射層12と、従来の紫外発光をしない粒子からなる反射層に膜厚5μmの可視発光層を形成し、発光デバイスの輝度の比較を行なった。
(発光デバイスの実施例)
発光デバイスの実施例として、紫外発光無機酸化物粒子20からなる紫外発光反射層12と、従来の紫外発光をしない粒子からなる反射層に膜厚5μmの可視発光層を形成し、発光デバイスの輝度の比較を行なった。
以下に実施例1〜10及び比較例1〜3を示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1は、ガラス基板上に、スクリーン印刷を用いて塗布し紫外発光反射層12を形成したものである。紫外発光反射層12は、紫外発光無機酸化物粒子20により形成されている。紫外発光無機酸化物粒子20の材料としては、BaSi2O5:Pbを用いた。紫外発光反射層12の膜厚は、スクリーン印刷を用いて重ね塗りすることで制御した。なお、本実施例に用いたスクリーン印刷は、1回の塗布で膜厚5μmの反射層を形成することができるので、塗布回数により反射層の膜厚を任意に設定することができ、膜厚5μmの紫外発光反射層12を形成した。
可視発光層13は、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで発光し、かつ、180nm〜400nmの波長の紫外線を照射することで発光する蛍光体粒子により形成したものである。可視発光層13の材料としては、青色蛍光体BaMgAl10O17:Eu2+を用いた。可視発光層13の膜厚は、スクリーン印刷を用いて重ね塗りすることで制御した。なお、本実施例に用いたスクリーン印刷は、1回の塗布で膜厚5μmの可視発光層を形成することができるので、塗布回数により発光層の膜厚を任意に設定することができ、膜厚5μmの可視発光層13を形成した。
次に、実施例2として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例3として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、(Ba,Mg,Zn)3Si2O7:Pb、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例4として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、SrB4O7F:Eu、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例5として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、YPO4:Eu、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例6として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、YPO4:Ce、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例7として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、LaPO4:Ce、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例8として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、Y2O3:Gd、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例9として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、YBO3:Gd、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、実施例10として、紫外発光無機酸化物粒子20の材料として、YAl3(BO3)4:Gd、膜厚が5μmの紫外発光反射層12を作製した。紫外発光無機酸化物粒子20の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、比較例1は、ガラス基板上にスクリーン印刷によって、紫外発光をしない材料を用いて反射層を形成したものである。反射層は、可視光反射率の高い酸化物粒子により形成されている。紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子の材料としては、Al2O3を用いた。反射層の膜厚は、スクリーン印刷を用いて重ね塗りすることで制御した。なお、本実施例に用いたスクリーン印刷は、1回の塗布で膜厚5μmの反射層を形成することができるので、塗布回数により反射層の膜厚を任意に設定することができ、膜厚5μmの反射層を形成した。
可視発光層は、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで発光する蛍光体粒子により形成したものである。可視発光層の材料としては、青色蛍光体BaMgAl10O17:Eu2+を用いた。可視発光層の膜厚は、スクリーン印刷を用いて重ね塗りすることで制御した。なお、本実施例に用いたスクリーン印刷は、1回の塗布で膜厚5μmの可視発光層を形成することができるので、塗布回数により発光層の膜厚を任意に設定することができ、膜厚5μmの可視発光層を形成した。反射層の材料以外は、実施例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、比較例2として、紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子の材料として、ZnO、膜厚が5μmの反射層を作製した。紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子の材料以外は、比較例1と同様の材料及び製法を用いた。
次に、比較例3として、紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子の材料として、TiO2、膜厚が5μmの反射層を作製した。紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子の材料以外は、比較例1と同様の材料及び製法を用いた。
表1は、実施例1〜10の輝度と比較例1〜3の輝度をまとめたものである。反射層の材料、膜厚、発光層の材料、膜厚、発光デバイスの輝度を記している。ここで、発光デバイスの輝度は、比較例1の輝度を基準値「100」とした。すなわち、実施例1〜10及び比較例2〜3の輝度は、比較例1に対する相対的な値となっている。
このように、反射層に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する無機酸化物粒子を用いた発光デバイスでは、反射層に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することでは紫外発光をせず、可視光反射率の高い酸化物粒子を用いた発光デバイスよりも高い輝度を得ることができることがわかった。
(実施の形態2)
以下、本発明の一実施の形態である実施の形態2によるPDPについて図面を用いて説明する。なお実施の形態2によるPDPは、実施の形態1による発光デバイスをPDPに適用したものである。
<PDPの構成>
図2は、本発明の実施の形態2によるPDP100の概略構成を示す部分断面斜視図である。図3は、本発明の実施の形態2によるPDP100の電極配列を模式的に示す平面図である。
以下、本発明の一実施の形態である実施の形態2によるPDPについて図面を用いて説明する。なお実施の形態2によるPDPは、実施の形態1による発光デバイスをPDPに適用したものである。
<PDPの構成>
図2は、本発明の実施の形態2によるPDP100の概略構成を示す部分断面斜視図である。図3は、本発明の実施の形態2によるPDP100の電極配列を模式的に示す平面図である。
PDP100は、前面パネル130と背面パネル140とで構成されている。
<前面パネルの説明>
前面パネル130は、前面ガラス基板101と維持電極103と走査電極104と誘電体ガラス層105とMgO保護層106を備えている。
<前面パネルの説明>
前面パネル130は、前面ガラス基板101と維持電極103と走査電極104と誘電体ガラス層105とMgO保護層106を備えている。
ここで、「前面」とは、PDP100により作成される画像を視聴者が視認する視聴者側の面を意味し、「背面」とは、「前面」の反対側の面を意味する。
前面ガラス基板101は、可視光を透過する透明基板である。前面ガラス基板101は、ガラス材料からなり、例えば硼硅酸ナトリウム系ガラスなどが用いられる。前面ガラス基板101は、フロート法などを用いて製造される。
維持電極103及び走査電極104は、それぞれN本が互いに平行に対をなして配置されている。第1実施形態では、それぞれN本の維持電極103と走査電極104が、維持電極103−走査電極104−維持電極103−走査電極104−・・・となるよう交互に配置されている。
維持電極103及び走査電極104は、放電空間122に、放電に必要な電力を供給する。維持電極103及び走査電極104は、可視発光層110から放出される光を妨げないように、透明電極で形成されてもよい。また、維持電極103と走査電極104は、電気抵抗の低減を目的としてバス電極(図示せず)を備えても良い。バス電極の材料は、電気抵抗が小さい金属が好ましい。
誘電体ガラス層105は、維持電極103と走査電極104を覆って形成されている。誘電体ガラス層105は、コンデンサとして働き、放電で生じた電荷を蓄積するメモリー機能を有している。誘電体ガラス層105は、高電圧が印加されても絶縁破壊しないよう耐圧性に優れているものが好ましい。また、放電による発光を妨げないように可視域において高い透過性を備えているものが好ましい。誘電体ガラス層105に用いる材料としては、低融点ガラス粉末を、有機溶剤や樹脂に混ぜたものを用いることができる。
MgO保護層106は、前面パネル130における背面パネル140と対向する面の最表面に、誘電体ガラス層105を覆うように形成される。MgO保護層106は、耐衝撃性、電子放出特性、メモリー機能を備える。MgO保護層106は、耐衝撃性を備えることにより、放電による衝撃から誘電体ガラス層105を保護することができる。また、MgO保護層106は、電子放出特性を備えることにより、二次電子が放出されるため放電を維持しやすくなる。また、MgO保護層106は、メモリー機能を備えることで、電荷を蓄積することができる。MgO保護層106は、主にスパッタリングや電子ビーム蒸着法で、薄膜に形成される。
<背面パネルの説明>
背面パネル140は、背面ガラス基板102とアドレス電極107と下地誘電体ガラス層108と隔壁109と赤色、緑色、青色の各色の可視発光層110R、110G、110Bと紫外発光反射層111を備えている。
<背面パネルの説明>
背面パネル140は、背面ガラス基板102とアドレス電極107と下地誘電体ガラス層108と隔壁109と赤色、緑色、青色の各色の可視発光層110R、110G、110Bと紫外発光反射層111を備えている。
背面ガラス基板102は、前面ガラス基板101と所定の間隔を空けて、前面ガラス基板101と対向して配置されている。前面ガラス基板101と背面ガラス基板102との空間を、隔壁109により仕切ることで、複数の放電空間122は形成される。背面ガラス基板102は、前面ガラス基板101と同様にガラス材料を用いて製造されるが、必ずしも透光性は必要ではない。
アドレス電極107は、維持電極103と走査電極104との間の維持放電をさらに容易にするためのアドレス放電を起こすためのものである。具体的には、維持放電が起こるための電圧を低める機能を有している。アドレス放電は、走査電極104とアドレス電極107との間に起こる放電である。
アドレス電極107は、背面ガラス基板102の前面側に形成されている。アドレス電極107は、M本が平行に配置されている。前面ガラス基板101と背面ガラス基板102を張り合わせる際、アドレス電極107は、維持電極103及び走査電極104と直交するように配置される。このように配置することで、維持電極103と走査電極104とアドレス電極107は3電極構造の電極マトリックス構造となる。
アドレス電極107に用いる材料としては、電気抵抗が低い金属材料が好ましく、特に銀が好ましい。
下地誘電体ガラス層108は、アドレス電極107を覆うように形成されている。下地誘電体ガラス層108は、アドレス電極107の電流制御、絶縁破壊からの保護という機能を備えている。下地誘電体ガラス層108には、前面パネル130における誘電体ガラス層105と同様の材料を用いることができる。
隔壁109は、下地誘電体ガラス層108の前面側に形成されている。隔壁109は、前面パネル130と背面パネル140との間の空間を仕切ることで、複数の放電空間122を形成する。放電空間122には、Ne−Xeなどの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
隔壁109は、サンドブラスト法、印刷法、フォトエッチング法などにより形成することができる。また、隔壁109には、低融点ガラスや骨材などを含んだ材料を用いることができる。
隔壁109は、PDP100の前面側から見たとき、格子状となるよう形成されている。しかし、隔壁109の形状は、複数の放電空間122を形成できる形状であればよく、格子状に限定されるものではない。例えば、ストライプ状や、規則的に蛇行したミアンダ状であってもよい。また、放電空間122の形状も方形に限定されるものではない。例えば、三角形や五角形などの多角形や、円形や楕円形であってもよい。つまり、背面パネル140の前面側に複数の凹部が設けられるものであればよい。
そして、隔壁と隔壁との間の凹部には、放電空間122側から順に、可視発光層110、紫外発光反射層111、が形成されている。
可視発光層110は、色の3原色である赤色、緑色、青色のそれぞれの色を発光する赤色発光層110R、緑色発光層110G、青色発光層110Bにより構成され、それぞれは、赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子、青色蛍光体粒子を所定の厚さに形成することで構成されている。蛍光体粒子は、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで可視光を発光し、かつ、180nm〜400nmの波長の紫外線を照射することで可視光を発光する機能を有していればよく、一般的に知られる蛍光体材料を用いることができる。
例えば、赤色発光層110Rには、(Y,Gd)BO3:Eu3+やY2O3:Eu3+やYPVO4:Eu3+等を用いることができる。また、緑色発光層110Gには、Zn2SiO4:Mn2+や(Y,Gd)BO3:Tb3+や(Y,Gd)Al3(BO3)4:Tb3+等を用いることができる。また、青色発光層110Bには、BaMgAl10O17:Eu2+やCaMgSi2O6:Eu2+やSr3MgSi2O8:Eu2+等を用いることができる。これら可視発光層110の材料は、波長が120nm〜180nmの紫外線により、かつ、紫外発光反射層111から発光する180nm〜400nmの紫外線により励起されて可視光を発する材料の一例であり、1または複数種を含んでいてもよい。
図4は、本発明の一実施の形態である実施の形態2によるPDPにおける背面パネル140の概略構成を示す部分断面図である。以下、図4を用いて、紫外発光反射層111の説明をする。なお、紫外発光反射層111を形成する紫外発光無機酸化物粒子20は、実施の形態1で説明したものと同じなので、ここでは説明を省略する。
前述したように、放電空間122側から順に、可視発光層110、紫外発光反射層111、が形成されており、すなわち、紫外発光反射層111は、背面パネル140の前面側に形成された凹部の内面と、可視発光層110との間に形成された構成である。具体的には、紫外発光反射層111は、下地誘電体ガラス層108の前面側の面上と隔壁109の側面に形成されている。
紫外発光反射層111は、紫外発光無機酸化物粒子20により形成されている。放電によって発生した120nm〜180nmの紫外線は、可視発光層110で吸収され、蛍光体粒子を励起し、蛍光体粒子から赤色、緑色、青色の各色の可視光が放出される。この光は、全てが前面方向へ放出されるわけではなく、一部の光は、背面方向へ放出される。ここで、「前面方向」は、可視発光層110から放電空間122へ向かう方向のことを意味する。また、「背面方向」は、可視発光層110から隔壁109及び下地誘電体ガラス層108へ向かう方向を意味する。別の表現を用いると、「背面方向」は、可視発光層110から背面パネル140に形成された凹部へ向かう方向、と表現することもできる。
紫外発光反射層111は、可視発光層110から可視発光層110の背面方向へ放出された光を、前面方向へ反射する。
ここで、以上述べた、本発明の実施の形態2によるPDPにおいては、紫外発光反射層111に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する無機酸化物粒子20を用いた点が従来のPDPとは異なる。
すなわち、上述した実施の形態2では、紫外発光反射層111に120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する紫外発光無機酸化物粒子20を用いている。そのため、従来の反射層では、可視発光層110を通過した120nm〜180nmの波長の光が、反射層で吸収されてしまっていたのに対して、第2実施形態では、可視発光層110を通過した120nm〜180nmの波長の光に対して、紫外発光反射層111で180nm〜400nmの紫外線を発光する。可視発光層110では、前面方向から放電ガスにより放出される120nm〜180nmの紫外線により、赤色、緑色、青色の各色に発光するとともに、紫外発光反射層111で発光した180nm〜400nmの紫外線により、赤色、緑色、青色の各色に発光する。したがって、可視発光層110は、従来の反射層を用いた場合よりも、紫外線の利用度が高まることで発光への寄与度が高まり、もって、多くの可視発光を発することができ、輝度の高いPDPを提供することが可能となる。
なお、紫外発光反射層111の膜厚は、1μm以上20μm以下とするのが好ましい。紫外発光反射層111の膜厚が1μmより小さいと、光を充分に反射させることができない。また、紫外発光反射層111の膜厚が20μmより大きいと放電空間122が狭くなってしまうので、放電特性が悪くなってしまう。
また、可視発光層110の膜厚は、1μm以上10μm以下にするのが好ましい。可視発光層110の膜厚が1μmより小さいと、可視発光を十分に得ることができない。また、可視発光層110の膜厚が10μmより大きいと放電ガスにより放出される120nm〜180nmの紫外線が、紫外発光反射層に到達できなくなり、輝度を十分に得られなくなってしまう。
次に、上述した本発明の実施の形態2によるPDP100の製造方法の一例について、図2と図3を参照しながら説明する。
まず、前面パネル130の製造方法について説明する。前面ガラス基板101上に、各N本の維持電極103と走査電極104をストライプ状に形成する。その後、維持電極103と走査電極104を誘電体ガラス層105でコートする。さらに誘電体ガラス層105上にMgO保護層106を形成する。
維持電極103と走査電極104は、銀を主成分とする電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによって形成される。誘電体ガラス層105は、酸化ビスマス系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、焼成して形成する。酸化ビスマス系のガラス材料を含むペーストは、例えば、30重量%の酸化ビスマス(Bi2O3)と28重量%の酸化亜鉛(ZnO)と23重量%の酸化硼素(B2O3)と2.4重量%の酸化硅素(SiO2)と2.6重量%の酸化アルミニウムを含む。さらに、10重量%の酸化カルシウム(CaO)と4重量%の酸化タングステン(WO3)と有機バインダ(α−ターピネオールに10%のエチルセルロースを溶解したもの)とを混合して、このペーストを形成する。ここで、有機バインダとは、樹脂を有機溶媒に溶解したものであり、樹脂としてエチルセルロース以外にアクリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども使用することができる。さらに、こうした有機バインダに分散剤(例えば、グリセルトリオレエート)を混入させてもよい。
誘電体ガラス層105は、所定の厚み(約40μm)となるように塗布厚みを調整し形成される。MgO保護層106は、酸化マグネシウム(MgO)から成るものであり、例えばスパッタリング法やイオンプレーティング法によって所定の厚み(約0.5μm)となるように形成される。
次に、背面パネル140の製造方法を説明する。背面ガラス基板102上に、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷し、焼成することによってM本のアドレス電極107をストライプ状に形成する。アドレス電極107の上に酸化ビスマス系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、焼成して下地誘電体ガラス層108を形成する。同じく酸化ビスマス系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した後に焼成することで、隔壁109は形成される。放電空間122は、この隔壁109によって区画され形成される。隔壁109の間隔寸法は、42インチ〜50インチのフルHDテレビやHDテレビに合わせて130μm〜240μm程度に規定されている。
隣接する2本の隔壁109の間の溝に、紫外発光反射層111を形成する。紫外発光反射層111は、たとえばスクリーン印刷法やインクジェット法などの塗布方式により形成される。
紫外発光反射層111は、120nm〜180nmの波長の紫外線を照射することで180nm〜400nmの紫外線を発光する無機酸化物粒子を含む材料により形成される。無機酸化物粒子の材質は、BaSi2O5:Pb、(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb、(Ba,Mg,Zn)3Si2O7:Pb、SrB4O7F:Eu、YPO4:Eu、YPO4:Ce、LaPO4:Ce、Y2O3:Gd、YBO3:Gd、YAl3(BO3)4:Gdの中からから選ばれる少なくとも一つを含む。これらは、紫外発光無機酸化物粒子の一例である。
次に、紫外発光反射層111の表面に、それぞれ赤色発光層110R、緑色発光層110G、青色発光層110Bを形成する。これら各色の可視発光層は、たとえばスクリーン印刷法やインクジェット法などの塗布方式により形成される。赤色発光層110Rは、例えば(Y、Gd)BO3:Eu3+やY2O3:Eu3+やYPVO4:Eu3+の赤色蛍光体材料からなる。緑色発光層110Gは、例えばZn2SiO4:Mn2+や(Y,Gd)BO3:Tb3+や(Y,Gd)Al3(BO3)4:Tb3+の緑色蛍光体材料からなる。青色発光層110Bは、例えばBaMgAl10O17:Eu2+やCaMgSi2O6:Eu2+やSr3MgSi2O8:Eu2+の青色蛍光体材料からなる。
このようにして作製された前面パネル130と背面パネル140を、前面パネル130の走査電極104と背面パネル140のアドレス電極107とが立体交差するように対向して重ね合わせる。封着用ガラスを前面パネル130と背面パネル140の周縁部に塗布し、450℃程度で10分〜20分間焼成する。図3に示すように、封着用ガラスは、気密シール層121となり、前面パネル130と背面パネル140とを封着する。そして、一旦放電空間122内を高真空に排気したのち、放電ガス(例えば、ヘリウム−キセノン系、ネオン−キセノン系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDP100が完成する。
図5は、本発明の一実施の形態である実施の形態2によるPDP100を用いたPDP装置200の概略構成を示すブロック図である。PDP100は駆動装置150と接続されることでPDP装置200を構成している。PDP100には表示ドライバ回路153、表示スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路155が接続されている。コントローラ152はこれらの電圧印加を制御する。点灯させる放電空間122に対応する走査電極104とアドレス電極107へ所定電圧を印加することでアドレス放電を行う。コントローラ152はこの電圧印加を制御する。その後、維持電極103と走査電極104との間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。この維持放電によって、アドレス放電が行われた放電セルにおいて120nm〜180nmの波長の紫外線が発生する。この紫外線で励起された可視発光層が発光することで放電セルが点灯する。各色セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像が表示される。
上述したように本発明は、反射層を、紫外線を吸収し、吸収した紫外線よりも長波長の紫外線を発する無機酸化物粒子で形成することで、輝度が高いPDPを実現することができる。
以上のように本発明は、大画面、高精細のPDPを提供する上で有用な発明である。
10 発光デバイス
11 基板
12 紫外発光反射層
13 可視発光層
20 紫外発光無機酸化物粒子
100 PDP
101 前面ガラス基板
102 背面ガラス基板
103 維持電極
104 走査電極
105 誘電体ガラス層
106 MgO保護層
107 アドレス電極
108 下地誘電体ガラス層
109 隔壁
110 可視発光層
110R 赤色発光層
110G 緑色発光層
110B 青色発光層
111 紫外発光反射層
121 気密シール層
122 放電空間
130 前面パネル
140 背面パネル
150 駆動装置
152 コントローラ
153 表示ドライバ回路
154 表示スキャンドライバ回路
155 アドレスドライバ回路
200 PDP装置
11 基板
12 紫外発光反射層
13 可視発光層
20 紫外発光無機酸化物粒子
100 PDP
101 前面ガラス基板
102 背面ガラス基板
103 維持電極
104 走査電極
105 誘電体ガラス層
106 MgO保護層
107 アドレス電極
108 下地誘電体ガラス層
109 隔壁
110 可視発光層
110R 赤色発光層
110G 緑色発光層
110B 青色発光層
111 紫外発光反射層
121 気密シール層
122 放電空間
130 前面パネル
140 背面パネル
150 駆動装置
152 コントローラ
153 表示ドライバ回路
154 表示スキャンドライバ回路
155 アドレスドライバ回路
200 PDP装置
Claims (5)
- 基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、放電空間を形成するようにこの前面板と対向配置され、かつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、
隔壁と隔壁との間の凹部には、放電空間側から順に、可視発光層、紫外発光反射層、が形成され、
前記紫外発光反射層は、波長が120nm〜180nmの紫外線により励起されて、波長が180nm〜400nmの紫外線を発光する材料によって構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記紫外発光反射層を構成する材料は、無機酸化物粒子であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記無機酸化物粒子は、BaSi2O5:Pb、(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb、(Ba,Mg,Zn)3Si2O7:Pb、SrB4O7F:Eu、YPO4:Eu、YPO4:Ce、LaPO4:Ce、Y2O3:Gd、YBO3:Gd、YAl3(BO3)4:Gdから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記紫外発光反射層は、膜厚が1μm〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記可視発光層は、膜厚が1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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JP2008242143A JP2010073604A (ja) | 2008-09-22 | 2008-09-22 | プラズマディスプレイパネル |
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