JP2010073418A - 電解質膜 - Google Patents

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昌宜 高見
Masahiro Ueda
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Abstract

【課題】本発明は、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、電池特性が向上した電解質膜を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質が、上記電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体に含浸されてなることを特徴とする電解質膜を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、プロトン伝導率が向上した電解質膜に関する。
固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池と称する場合がある。)の最小発電単位である単位セルは、一般に固体電解質膜の両側に触媒電極層(アノード側触媒電極層およびカソード側触媒電極層)が接合されている膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を有し、この膜電極複合体の両側にはガス拡散層が配されている。さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが配されており、ガス拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを通流させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きをしている。
このような燃料電池では、アノード側触媒電極層から電解質膜、電解質膜からカソード側触媒電極層へのプロトンの移動に際して水が必要となる。したがって、一般的には燃料ガスを加湿して、燃料電池セル内に水を供給する方法が多く採用されている。しかしながら、例えば、自動車搭載用途などに燃料電池を使用する場合には、燃料ガスを加湿する装置は、重量物であり、燃費の低下、車載スペースの低下、コストの上昇などを招く。
また、燃料電池セルの温度としては、反応効率の観点から40〜80℃程度が望ましいため、通常はセルに冷却水を導入して、電池反応に伴う温度上昇を抑制している。しかしながら、冷却するには冷却ファン・ラジエータなどの重量物である装置が必要となり、これも、燃費低下、車載スペースの低下、コストの上昇を招く。
そこで、上述したような「加湿」や「冷却」を行う必要がない状態、すなわち、できるだけ高温、低加湿の状態でも高い発電特性を示すことが望ましい。特に自動車用の場合、室温付近から高温(80〜100℃)域の幅広い温度領域において高い発電特性を示す必要がある。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、多孔質基材と、多孔質基材の空隙及び/又は細孔中に充填し、固定化しかつ保持した樹脂組成物とを含み、樹脂組成物が、電解質ポリマーを、電解質ポリマーと架橋反応する官能基を有する化合物で架橋したポリマーを含む、高分子電解質膜、特に、上記樹脂組成物として、化合物で架橋した電解質ポリマー及び電解質ポリマーの膨潤を抑制するポリマーをブレンドしたブレンドポリマーを用いた高分子電解質膜が開示されている。これは、プロトン輸送能を有するスルホン酸基等のイオン交換基を含有した電解質ポリマー及び、上記電解質ポリマーと架橋反応する官能基を有する化合物を含む高分子電解質化合物が、補強材である多孔質基材の空隙又は細孔に充填、固定化、保持されることにより、高いプロトン伝導性を維持することが可能となり、高温、低加湿の状態で高い発電特性が得られるものである。また、上記電解質ポリマーの膨潤を抑制するポリマーにより、電解質ポリマーの水又はアルコールによる膨潤を良好に抑制することができるものである。
しかしながら、上記高分子電解質膜においては、上述したような、2種類以上の互いに非相溶のポリマーをブレンドしたブレンドポリマーを用いているため、プロトン輸送能を有するスルホン酸基等のイオン交換基を含有した電解質ポリマーの割合が減少し、高分子電解質膜中のイオン交換基の密度が低下してしまう。このため、イオン交換容量が低下してしまうという問題があった。また、電解質ポリマーと多孔質基材との間等において剥離、隙間の生成等が起こったりする等して、ガスバリア性が低下し、電池特性が低下してしまうという問題もあった。
特開2008−117750号公報 特開2004−349034号公報 特開2004−158270号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、電池特性が向上した電解質膜を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明においては、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質が、上記電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体に含浸されてなることを特徴とする電解質膜を提供する。
本発明によれば、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤、およびスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いるため、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成して、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を形成することができる。さらに、これにより、電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となり、イオン交換容量を向上させることが出来る。また、上記多孔質体の骨格構造を上記電解質の主鎖骨格構造と同一のものとすることにより、上記電解質と上記多孔質体との親和性を高めることが可能となり、電解質と多孔質体との密着性を向上させることができる。このため、ガスバリア性が低下することなく、良好な電池特性を有する電解質膜を得ることができる。
上記発明においては、上記官能基がエポキシ基であることが好ましい。スルホン酸基と反応しやすいからである。
上記発明においては、上記架橋剤が芳香族系ユニットを有することが好ましい。架橋剤の化学的安定性を高めて、架橋剤の官能基を除いた主鎖部分の分解を抑制することが可能となるからである。
上記発明においては、上記架橋剤がビスフェノールAジグリシジルエーテルであることが好ましい。より確実に、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、電池特性が向上した電解質膜を得ることができるからである。
上記発明においては、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーがビニルスルホン酸であることが好ましい。効果的に上記電解質中のスルホン酸基密度を向上させることができるからである。
上記発明においては、上記多孔質体がビニル系骨格構造を有することが好ましい。効果的に、上記電解質と上記多孔質体との親和性を高め、より高い電池特性を維持することができるからである。
また、本発明においては、スルホン酸基含有モノマーのみからなるモノマーを含むモノマー溶液中に、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体を浸漬させ、重合反応を抑制した状態で、上記多孔質体中に上記モノマー溶液を含浸させるモノマー溶液含浸工程と、上記モノマーを重合させて、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得る重合工程と、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤を含む架橋剤溶液を、架橋反応を抑制した状態で、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させる架橋剤溶液含浸工程と、上記架橋剤を架橋させて電解質膜を得る架橋工程とを有することを特徴とする電解質膜の製造方法を提供する。
本発明によれば、重合反応を抑制した状態で、上記モノマー溶液を上記多孔質体中に効果的に含浸させることが可能となり、このような上記モノマー溶液が多孔質体中に効果的に含浸された状態で、上記モノマーを重合することができる。さらに、架橋反応を抑制した状態で、上記架橋剤溶液を上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に効果的に含浸させることが可能となり、このような上記架橋剤溶液がスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に効果的に含浸された状態で、上記架橋剤を架橋することができる。
本発明においては、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、電池特性が向上した電解質膜を得ることができるという効果を奏する。
本発明の電解質膜、および電解質膜の製造方法について、以下詳細に説明する。
A.電解質膜
まず、本発明の電解質膜について、以下詳細に説明する。
本発明の電解質膜は、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質が、上記電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体に含浸されてなることを特徴とするものである。
従来、電解質の原料として2種類以上のモノマーを用いて、例えば、化合物で架橋した電解質ポリマー及び電解質ポリマーの膨潤を抑制するポリマーをブレンドしたブレンドポリマーのような2種類以上の互いに非相溶のポリマーがブレンドされたブレンドポリマーからなる電解質を形成したような場合には、プロトン輸送能を有するスルホン酸基等を含有した電解質ポリマーの割合が減少し、電解質中のプロトン輸送能を有するスルホン酸基等の密度が低下してしまう。このため、スルホン酸基等のイオン交換基の割合が減少し、イオン交換容量が低下してしまう。
本発明においては、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤、およびスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いて、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成して、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を形成することができる。これにより、2種類以上のポリマーからなるブレンドポリマーを用いることによるスルホン酸基密度の低下は起こらず、電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となる。従って、イオン交換基密度が向上し、例えば、上記電解質を熱水試験等した後において、イオン交換容量(乾燥イオン交換膜の重量1g当たりのイオン交換基量(meq/g))を高くすることができる。また、その他モノマーを用いる必要がなく、上記電解質膜を安価なものとすることができる。
また、上記電解質の主鎖骨格構造と、上記多孔質体の骨格構造とが同一のものであるため、上記電解質と上記多孔質体との親和性を高めることができる。このため、上記電解質と上記多孔質体との密着性を優れたものとすることが可能となり、上記電解質と上記多孔質体との間の剥離等を抑制することができる。従って、ガスバリア性が低下することなく、さらには、プロトン伝導率が向上した電解質膜を得ることができるのである。
このような本発明の電解質膜においては、少なくとも、上記電解質、および上記多孔質体を有するものであれば特に限定されるものではない。
以下、本発明の電解質膜について、構成ごとに詳細に説明する。
1.電解質
まず、本発明に用いられる電解質について説明する。本発明における電解質は、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなるものである。
本発明においては、上述したように、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤、およびスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いるため、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成することが可能となり、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を形成することができる。さらに、これにより、上記電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となり、イオン交換容量を高くすることができる。
以下、上記架橋剤、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー、および上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーと上記架橋剤とを重合して得られる電解質ポリマーについて、それぞれ、詳細に説明する。
(1)架橋剤
まず、本発明における架橋剤について説明する。本発明における架橋剤は、スルホン酸基(−SOH)と反応性がある官能基を有する架橋剤である。本発明においては、このようなスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤を用いることにより、後述するスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いて、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成して、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を形成することができる。さらに、これにより、上述したように、上記電解質膜のイオン交換容量を高くすることができるのである。
上記架橋剤としては、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤であれば特に限定されるものではない。通常は、上記架橋剤の両端に、それぞれ一つずつ官能基を有する2官能架橋剤であり、架橋剤中にさらに官能基を有するような多官能架橋剤であっても良い。
上記架橋剤中の上記官能基としては、スルホン酸基と反応性があるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基、水酸基、アミノ基、塩素基、臭素基、ヨウ素基等を挙げることができる。中でも、エポキシ基であることが好ましい。スルホン酸基と反応しやすく、効果的に、後述するスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー中のスルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成することができるからである。
このようなエポキシ基としては、例えば、下記構造式(1)に示されるような3員環のエーテルであるオキサシクロプロパン(オキシラン)を構造式中に持つ置換基、シクロヘキセンオキサイド、オキセタン等を挙げることができる。中でも、下記構造式(1)で表される置換基であることが好ましい。より確実にスルホン酸基と反応して、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成することができるからである。
Figure 2010073418
また、本発明においては、上記架橋剤が芳香族系ユニットを有することが好ましい。架橋剤の化学的安定性を高めて、架橋剤の官能基を除いた主鎖部分の分解を抑制することが可能となるからである。このような芳香族系ユニットとしては、例えば、ビスフェノールAユニット、ハイドロキノンユニット、カテコールユニット、ビフェニルユニット、ジヒドキシナフタレンユニット等を挙げることができる。中でもビスフェノールAユニットであることが好ましい。より確実に、架橋剤の化学的安定性を高めて、架橋剤の官能基を除いた主鎖部分の分解を抑制することが可能となるからである。
また、上記架橋剤の上記官能基を除いた部分の分子量としては、例えば、100〜5000の範囲内、中でも、100〜1000の範囲内、特に、100〜250の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、上記架橋剤の官能基を除いた部分の余分な動きを抑制して架橋効果を高めることができる。さらに、少ない添加量で架橋点を多く形成することができるからである。
上記架橋剤としては、より具体的には例えば、下記構造式(2)で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテル、ハイドロキノンのジグリシジルエーテル、カテコールのジグリシジルエーテル、ジヒドキシナフタレンのジグリシジルエーテル等を挙げることができる。中でも、下記構造式(2)で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテルであることが好ましい。より確実に、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、電池特性が向上した上記電解質膜を得ることができるからである。
Figure 2010073418
また、本発明における、上記架橋剤の、後述するスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーに対する割合としては、所望の上記電解質を得ることができれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー中のスルホン酸基と、上記架橋剤中の官能基とのモル比(スルホン酸基:官能基)が、1:0.005〜1:2の範囲内、中でも、1:0.01〜1:1の範囲内、特に、1:0.02〜1:0.3の範囲内であることが好ましい。上記架橋剤中の官能基が上記範囲より多いと、電解質中のスルホン酸基が過剰に架橋点を形成して、架橋点を形成していないスルホン酸基量が減少し、イオン交換容量が低下するおそれがあるからである。一方、上記架橋剤中の官能基が上記範囲より少ないと、電解質中に充分な架橋構造が形成されず、所望の上記電解質膜を得ることができないおそれがあるからである。
(2)スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー
次に、本発明におけるスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー(以下、単にモノマーと称する場合がある。)について説明する。本発明における上記モノマーは、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるものである。本発明においては、このようなモノマーを用いることにより、2種類以上のポリマーからなるブレンドポリマーを用いることによるスルホン酸基密度の低下は起こらず、電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となる。これにより、イオン交換基密度が向上し、イオン交換容量を高くすることができる。
本発明に用いられる上記スルホン酸基含有ビニルモノマーは、スルホン酸基(−SOH)を有するビニルモノマーであれば特に限定されるものではないが、分子量が小さい方が好ましい。スルホン酸基含有ビニルモノマー中のスルホン酸基の重量分率を高くすることが可能となり、上記電解質のイオン交換容量を向上させることができるからである。なお、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーは、通常、親水性のものである。
このようなスルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、下記構造式(3)で表されるビニルスルホン酸、アクリルアミドn−ブチルスルホン酸、スチレンスルホン酸等を挙げることができる。中でも、ビニルスルホン酸であることが好ましい。効果的に上記電解質のイオン交換容量を向上させることができるからである。
Figure 2010073418
なお、本発明における上記スルホン酸基含有ビニルモノマーは、1種類のみ用いても良く、複数種類用いても良い。
(3)電解質ポリマー
本発明における上記電解質ポリマーは、上述したような、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、ビニルスルホン酸およびビスフェノールAジグリシジルエーテルが重合してなる、下記一般式(1)で表される電解質ポリマー等を挙げることができる。
Figure 2010073418
2.多孔質体
次に、本発明に用いられる多孔質体について説明する。本発明における多孔質体は、上記電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有しており、上記電解質を含浸するものである。
本発明においては、上記多孔質体の骨格構造と上記電解質の主鎖骨格構造とが同一のものであるため、上記電解質と上記多孔質体との親和性が高められ、上記電解質と上記多孔質体との密着性を優れたものとすることが可能となり、上記電解質と上記多孔質体との間の剥離等を抑制することができるのである。これにより、ガスバリア性が低下してしまう等の不具合を防止することができる。
本発明における上記多孔質体としては、上記電解質を含浸することが可能であり、上記多孔質体の骨格構造が上述した電解質の主鎖骨格構造と同一のものであれば良く、特に限定されるものではない。例えば、ビニル系骨格構造を有するもの、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素を含有するもの、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレン・無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニル酢酸部分鹸化物、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。中でも、ビニル系骨格構造を有することが好ましい。効果的に、上記電解質と上記多孔質体との親和性を高めることができるからである。
上記ビニル系骨格構造を有する材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリル酸共重合体等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンであることが好ましい。
3.その他
本発明により得られる電解質膜の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記電解質膜と、上記電解質の両側に配設される電極(アノード及びカソード)とを備える膜電極複合体、上記膜電極複合体の両側にガス拡散層が配され、さらにその外側にガス流路を備えたセパレータが配された燃料電池等として、用いることができる。中でも、自動車用の膜電極複合体、燃料電池等に用いられる電解質膜として、用いることが好ましい。
上記膜電極複合体、上記燃料電池に用いられる上記電極、上記ガス拡散層、上記セパレータ等については、通常用いられるものと同様のものを用いることができ、ここでの説明は省略する。
上記電解質膜の製造方法としては、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、プロトン伝導率が向上した電解質膜を得ることができる製造方法であれば特に限定されるものではない。例えば、後述する、「B.電解質膜の製造方法」に記載される方法等を挙げることができる。
B.電解質膜の製造方法
次に、本発明の電解質膜の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の電解質膜の製造方法は、スルホン酸基含有モノマーのみからなるモノマーを含むモノマー溶液中に、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体を浸漬させ、重合反応を抑制した状態で、上記多孔質体中に上記モノマー溶液を含浸させて、モノマー溶液含浸多孔質体を得るモノマー溶液含浸工程と、上記モノマーを重合させて、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得る重合工程と、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤を含む架橋剤溶液を、架橋反応を抑制した状態で、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させて、架橋剤溶液含浸多孔質体を得る架橋剤溶液含浸工程と、上記架橋剤を架橋させて電解質膜を得る架橋工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、重合反応を抑制した状態で上記モノマー溶液中に上記多孔質体を浸漬することにより、上記モノマー溶液を上記多孔質体中に効果的に含浸させることが可能となる。これにより、上記モノマー溶液が多孔質体中に効果的に含浸された状態で上記モノマーを重合させた、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得ることができる。
さらに、架橋反応を抑制した状態で上記架橋剤溶液を上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体に浸透させる等することにより、上記架橋剤溶液を上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に効果的に含浸させることが可能となる。これにより、上記架橋剤溶液がスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に効果的に含浸された状態で上記架橋剤を架橋させた、電解質を得ることができる。
このため、上記電解質と上記多孔質体との密着性を優れたものとすることが可能となり、上記電解質と上記多孔質体との間の剥離等を抑制することができる。さらに、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤、およびスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いて、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成することが可能となり、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を得ることができる。また、これにより、電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となり、イオン交換容量を高くすることができる。また、その他モノマーを用いる必要がなく、上記電解質膜を容易に形成することが可能となり、安価なものとすることができる。
このような本発明の電解質膜の製造方法においては、少なくとも上記モノマー溶液含浸工程、上記重合工程、上記架橋剤溶液含浸工程、および上記架橋工程を有するものであれば特に限定されるものではなく、上述したモノマー溶液除去工程等の他の工程を有していても良い。
以下、本発明の電解質膜の製造方法における各工程について、詳細に説明する。
1.モノマー溶液含浸工程
本発明におけるモノマー溶液含浸工程について説明する。本発明におけるモノマー溶液含浸工程とは、スルホン酸基含有モノマーのみからなるモノマーを含むモノマー溶液中に、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体を浸漬させ、重合反応を抑制した状態で、上記多孔質体中に上記モノマー溶液を含浸させて、上記モノマー溶液が上記多孔質体中に充分含浸されたモノマー溶液含浸多孔質体を得る工程である。
本工程に用いられる、上記モノマー溶液は、少なくともスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを含むものである。上記モノマーについては、上述した「A.電解質膜 1.電解質」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
なお、上記モノマー溶液は、通常、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー以外には、その他モノマーを有するものではない。
また、上記モノマー溶液は、所定の溶媒を用いても良く、上記溶媒中に、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー等を添加して形成することができる。上記溶媒としては、上記スルホン酸基含有ビニルモノマー等を溶解することが可能であり、所望の上記モノマー溶液を得ることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、およびこれらの混合物等を挙げることができる。なお、本発明においては、上記モノマー溶液を、上記溶媒を用いずに、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー、および後述する重合開始剤を混合することにより調製しても良い。
また、上記モノマー溶液中には、通常、後述する重合工程において重合を開始するために用いられる重合開始剤が、含有されている。上記重合開始剤としては、上記溶媒の種類等によって変化するものであり、溶媒の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等を挙げることができる。
本工程に用いられる上記多孔質体は、上記モノマー溶液を重合してなる電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有し、上記モノマー溶液を含浸するものである。上記多孔質体の詳細については、上述した「A.電解質膜 2.多孔質体」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記多孔質体中に上記モノマー溶液を含浸させる方法としては、上記モノマー溶液中に、上記多孔質体を浸漬させ、重合反応を抑制した状態で、上記多孔質体中に上記モノマー溶液を含浸させる方法であれば、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、容器中に、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマー、およびラジカル重合開始剤を、所定の量添加し、混合するなどしてモノマー溶液を調製する。次に、常温等の重合反応を抑制した状態で、モノマー溶液に、上記多孔質体を浸す。その後、上記容器に蓋をし、アスピレーター等で減圧し、多孔質体の細孔にモノマー溶液を誘導する脱気処理を所定の時間行って含浸させる方法等を挙げることができる。
また、上記重合反応を抑制する方法としては、重合反応を抑制することができる方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記モノマー溶液を、重合が始まらない常温とする方法等を挙げることができる。また、モノマー溶液の入った容器ごと氷冷する方法、低温の不活性ガス(例えば低温の窒素ガスや低温のアルゴンガス)を直接、上記多孔質体に吹き付けて冷却する方法等を用いても良い。
上記重合反応を抑制する条件、例えば、モノマー溶液の温度等については、重合反応を抑制することができる条件であれば、特に限定されるものではなく、予備実験等を行うことにより、適宜設定することができる。
2.重合工程
本発明における重合工程について説明する。本発明における重合工程とは、上記モノマー溶液含浸工程で得られた上記モノマー溶液含浸多孔質体を用いて、重合を行い、上記モノマーが重合してなるスルホン酸基含有ポリマーゲル体が上記多孔質体内に形成されたスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得る工程である。
本工程に用いられる上記モノマー溶液含浸多孔質体は、上述した「B.電解質膜の製造方法 1.モノマー溶液含浸工程」により得られたものが用いられる。
本工程において、上記モノマー溶液含浸多孔質体を用いて重合を行う際の、重合方法としては、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
例えば、上記モノマー溶液含浸工程で得られたモノマー溶液含浸多孔質体表面に付着したモノマー溶液を除去し、ナスフラスコ等の容器内に設置する。次に、容器に蓋を装着し、容器内を真空ポンプ等で減圧し、窒素で常圧に戻すことにより、容器内の窒素置換を行う。さらに、上記容器ごと、乾燥機等を用いて、所定の温度で所定の時間加熱する方法等を挙げることができる。
上記重合の条件、例えば、ガス置換を行う際の、ガス雰囲気、重合する際の温度、時間等については、所望の上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得ることができる条件であれば、特に限定されるものではなく、予備実験等を行うことにより、適宜設定することができる。
3.架橋剤溶液含浸工程
次に、本発明における架橋剤溶液含浸工程について説明する。本発明における架橋剤溶液含浸工程とは、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤を含む架橋剤溶液を、架橋反応を抑制した状態で、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させて、上記架橋剤溶液が上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に充分含浸された架橋剤溶液含浸多孔質体を得る工程である。
本工程に用いられる、上記架橋剤溶液は、少なくとも上記架橋剤を含むものである。上記架橋剤については、上述した「A.電解質膜 1.電解質」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記架橋剤溶液は、通常、所定の溶媒を用いて、上記溶媒中に、上記架橋剤を添加して形成される。上記溶媒としては、上記架橋剤を溶解することが可能であり、所望の上記架橋剤溶液を得ることができるものであれば、特に限定されるものではない。上記架橋剤溶液に用いられる溶媒の具体例については、上述した「B.電解質膜の製造方法 1.モノマー溶液含浸工程」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体は、上述した「B.電解質膜の製造方法 2.重合工程」により得られたものが用いられる。
本工程において、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に上記架橋剤溶液を含浸させる方法としては、上記架橋剤溶液を、架橋反応を抑制した状態で、上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させることができる方法であれば、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、所定の量の架橋剤を含むDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を調製する。これを上記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体の表面に塗布し、常温等の架橋反応を抑制した状態で、所定の時間静置して、架橋剤溶液をスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させる方法等を挙げることができる。
また、上記架橋反応を抑制する方法、および条件については、上述した「B.電解質膜の製造方法 1.モノマー溶液含浸工程」に記載した重合反応を抑制する方法、および条件と同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
4.架橋工程
本発明における架橋工程について説明する。本発明における架橋工程とは、上記架橋剤溶液含浸工程で得られた上記架橋剤溶液含浸多孔質体を用いて、上記架橋剤を架橋させて、電解質膜を得る工程である。
本工程に用いられる上記架橋剤溶液含浸多孔質体は、上述した「B.電解質膜の製造方法 3.架橋剤溶液含浸工程」により得られたものが用いられる。
本工程において、上記架橋剤溶液含浸多孔質体を用いて架橋を行う際の、架橋方法としては、イオン交換容量が向上し、さらに電解質と多孔質体との密着性に優れ、プロトン伝導率が向上した上記電解質膜を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
例えば、上記架橋剤溶液含浸工程で得られた架橋剤溶液含浸多孔質体を乾燥機中に設置し、所定の温度で所定の時間加熱する方法等を挙げることができる。
上記架橋を行う条件、例えば、架橋する際の温度、時間等については、所望の上記電解質膜を得ることができる条件であれば、特に限定されるものではなく、予備実験等を行うことにより、適宜設定することができる。
5.その他工程
本発明の電解質膜の製造方法は、少なくとも上記モノマー溶液含浸工程、上記重合工程、上記架橋剤溶液含浸工程および上記架橋工程を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記工程の他に、上述したようなモノマー溶液除去工程等その他工程を有していても良い。
以下、モノマー溶液除去工程等その他工程の各工程について説明する。
(1)モノマー溶液除去工程
本発明における上記モノマー溶液除去工程とは、上記モノマー溶液含浸多孔質体表面の不必要な残存モノマー溶液を、ブレード等を用いて除去する工程であり、通常、上記モノマー溶液含浸工程の後、上記重合工程の前に行う。本工程を経ることにより、より良好な上記電解質膜を得ることができる。
6.その他
本発明により得られる電解質膜については、上述した「A.電解質膜」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(モノマー溶液含浸多孔質体形成)
セパラブルフラスコに、ビニルスルホン酸(旭化成ケミカル社製)2.55g(98重量部)、水溶性ラジカル重合開始剤V−104(和光純薬社製)0.0521g(2重量部)を、添加、混合して、モノマー溶液を調製した。
次に、モノマー溶液中に、ポリエチレン製の多孔質膜(ソルポア 16PO5A)を浸漬した。この後、セパラブルフラスコの蓋を装着し、フラスコ内をアスピレータで減圧し、多孔質膜の細孔にモノマー溶液を誘導して、充分に含浸させる脱気処理を行い、モノマー溶液含浸多孔質体を得た。脱気処理は約3分間行い、アスピレータを停止し、フラスコ内に空気を送り込み常圧に戻した。
(スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体形成)
モノマー溶液含浸多孔質体を、セパラブルフラスコの蓋を開けて、セパラブルフラスコから取り出し、鋭利な刃を使ってモノマー溶液含浸多孔質体表面に付着した余分なモノマー溶液を擦り取った。次に、これを100mLナスフラスコ内に吊るした。ナスフラスコ内を真空ポンプで減圧し、その後、窒素で常圧に戻すことで、ナスフラスコ内の窒素置換を行った。
次に、窒素置換して密閉したナスフラスコごと約90℃の乾燥機に設置し、約24時間加熱を続けることで、モノマー溶液含浸多孔質体内のモノマーの重合反応を行い、上記モノマーが重合してなるスルホン酸基含有ポリマーゲル体が上記多孔質体内に形成されたスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得た。
反応後、ナスフラスコごと室温まで放冷し、その後、蓋を開けてナスフラスコ内に吊るされたスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を取り出した。
(架橋剤溶液含浸多孔質体形成)
スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸されたビニルスルホン酸の重量の5重量%のビスフェノールAジグリシジルエーテル(架橋剤)(ビニルスルホン酸モノマー中のスルホン酸基:ビスフェノールAジグリシジルエーテル中の官能基(モル比)=1:0.0237)を含むDMF(ジメチルホルムアミド)溶液(溶液中のビスフェノールAジグリシジルエーテルの濃度は、約30重量%に調節した。)をスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体表面に塗布し、室温で5分間静置して、DMF溶液をスルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体内部に浸透させて含浸させ、架橋剤溶液含浸多孔質体を形成した。
(電解質膜形成)
架橋剤溶液含浸多孔質体を90℃で約24時間加熱を続けることで、架橋剤溶液含浸多孔質体内の架橋剤の架橋反応を行い、電解質膜を得た。
(電解質膜洗浄)
得られた電解質膜を、先ず、大量のメタノール中に、次に、大量の純水中に浸漬し、それぞれ、10分間ずつ超音波洗浄を行った。なお、pH試験紙で調べた洗浄水は中性であった。
[実施例2]
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(架橋剤)の添加量を、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸されたビニルスルホン酸の重量の10重量%(ビニルスルホン酸モノマー中のスルホン酸基:ビスフェノールAジグリシジルエーテル中の官能基(モル比)=1:0.0474)としたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を形成した。
[実施例3]
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(架橋剤)の添加量を、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸されたビニルスルホン酸の重量の20重量%(ビニルスルホン酸モノマー中のスルホン酸基:ビスフェノールAジグリシジルエーテル中の官能基(モル比)=1:0.0948)としたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を形成した。
[実施例4]
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(架橋剤)の添加量を、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸されたビニルスルホン酸の重量の60重量%(ビニルスルホン酸モノマー中のスルホン酸基:ビスフェノールAジグリシジルエーテル中の官能基(モル比)=1:0.284)とし、DMF溶液の代わりに、メタノール溶液を用い、架橋する際の加熱温度を60℃としたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を形成した。
[比較例]
架橋剤溶液含浸多孔質体形成を行わずに、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に架橋剤溶液を含侵させなかったこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を形成した。
[評価]
(イオン交換容量測定)
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、および比較例の電解質膜の熱水試験前のイオン交換容量を測定した。イオン交換容量測定は、滴定装置にて測定した。具体的には、飽和NaCl水溶液にて24時間に亘ってイオン交換し、その後0.02N−NaOH水溶液にて、フェノールフタレインを指示薬として滴定した。次に、電解質膜を0.1N−HCl水溶液へ2時間に亘って浸漬し、超純水でリンスし、この後60℃の環境下で1時間に亘って真空乾燥を実施した。その後、質量測定の結果より、電解質膜のイオン交換容量(IEC)を算出した。
また、同様のイオン交換容量測定方法で、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、および比較例の電解質膜の熱水試験後のイオン交換容量を測定した。熱水試験は、電解質膜を100℃の純水中で60分間攪拌して行った。
(プロトン伝導率測定)
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、および比較例の電解質膜を用いて、プロトン伝導率を測定した。具体的には、周波数10kHzで交流インピーダンス測定を行うことにより、プロトン伝導率の測定を行った。なお、インピーダンス測定は、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、および比較例で得られた電解質膜を、水中、80℃において放置し、平衡状態となった後に行った。
実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4で得られた電解質膜において、熱水試験後においてもイオン交換容量(IEC)1.67meq/gが確認された。また、プロトン伝導度0.13S/cmが確認された。比較例と比較して、実施例において得られたイオン交換容量およびプロトン伝導度は、良好な値であった。
以上の結果から、実施例においては、スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤、およびスルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーを用いるため、スルホン酸基を架橋点として架橋構造を形成することが可能となり、化学的に安定な単純な骨格構造を持つ電解質を形成することができる。これにより、電解質膜中のスルホン酸基密度を向上させることが可能となり、イオン交換容量を高くすることができた。また、上記多孔質体の骨格構造を上記電解質の主鎖骨格構造と同一のものとすることにより、上記電解質と上記多孔質体との親和性を高めることが可能となり、電解質と多孔質体との密着性を向上させることができるため、ガスバリア性が低下することなく、良好な電池特性を有する電解質膜を得ることができた。

Claims (7)

  1. スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質が、前記電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体に含浸されてなることを特徴とする電解質膜。
  2. 前記官能基がエポキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の電解質膜。
  3. 前記架橋剤が芳香族系ユニットを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解質膜。
  4. 前記架橋剤がビスフェノールAジグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項3に記載の電解質膜。
  5. 前記スルホン酸基含有ビニルモノマーがビニルスルホン酸であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電解質膜。
  6. 前記多孔質体がビニル系骨格構造を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の電解質膜。
  7. スルホン酸基含有モノマーのみからなるモノマーを含むモノマー溶液中に、スルホン酸基含有ビニルモノマーのみからなるモノマーとスルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤とが重合してなる電解質の主鎖骨格構造と同一の骨格構造を有する多孔質体を浸漬させ、重合反応を抑制した状態で、前記多孔質体中に前記モノマー溶液を含浸させて、モノマー溶液含浸多孔質体を得るモノマー溶液含浸工程と、
    前記モノマーを重合させて、スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体を得る重合工程と、
    スルホン酸基と反応性がある官能基を有する架橋剤を含む架橋剤溶液を、架橋反応を抑制した状態で、前記スルホン酸基含有ポリマーゲル体含浸多孔質体中に含浸させて、架橋剤溶液含浸多孔質体を得る架橋剤溶液含浸工程と、
    前記架橋剤を架橋させて電解質膜を得る架橋工程と
    を有することを特徴とする電解質膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014208714A1 (ja) * 2013-06-28 2014-12-31 東洋紡株式会社 ポリアリーレンスルホン酸類とその前駆体、及びそれらの製造方法、複合電解質膜とその製造方法

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