JP2010073331A - 飛行時間型質量分析装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】飛行時間型質量分析計において、イオンの価数に依存して系統的な質量誤差が生じることを解決する。
【解決手段】(1)試料をイオン化するイオン源、(2)前記イオン源で生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出するする飛行時間型質量分析手段、(3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する価数判定手段、(4)標準試料を前記飛行時間型質量分析手段により分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する当該飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る質量校正条件式作成手段、(5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する質量校正手段、を備えた。
【選択図】図4

Description

本発明は、微量化合物の定量分析、定性一斉分析、および試料イオンの構造解析分野に用いられる飛行時間型質量分析装置および方法に関する。
[飛行時間型質量分析計(TOFMS)]
TOFMSは、一定量のエネルギーを与えてイオンを加速・飛行させ、検出器に到達するまでに要する時間からイオンの質量電荷比を求める質量分析装置である。TOFMSでは、イオンを一定のパルス電圧Vaで加速する。このとき、イオンの速度vは、エネルギー保存則から、
mv2/2 = qeVa ………(1)
v = √(2qeV/m) ………(2)
と表わされる(ただしm:イオンの質量、q:イオンの電荷、e:素電荷)。
一定距離Lの後に置いた検出器には、飛行時間Tで到達する。
T = L/v = L√(m/2qeV) ………(3)
式(3)により、飛行時間Tがイオンの質量mによって異なることを利用して、質量を分離する装置がTOFMSである。図1に直線型TOFMSの一例を示す。また、イオン源と検出器の間に反射場を置くことにより、エネルギー収束性の向上と飛行距離の延長を可能にする反射型TOFMSも広く利用されている。図2に反射型TOFMSの一例を示す。
反射型TOFMSは、未知物質のm/z値を、組成式から計算で求められるm/z値と数ppm程度の誤差で測定することができることから、未知物質の組成推定に利用されることで知られる。
[らせん軌道TOFMS]
TOFMSの質量分解能は、総飛行時間をT、ピーク幅をΔTとすると、
質量分解能 = T/2ΔT ………(4)
で定義される。すなわち、ピーク幅ΔTを一定にして、総飛行時間Tを延ばすことができれば、質量分解能を向上させられる。しかし、従来の直線型、反射型のTOFMSでは、総飛行時間Tを延ばすこと、すなわち総飛行距離を延ばすことは装置の大型化に直結する。装置の大型化を避け、かつ高質量分解能を実現するために開発された装置が、多重周回型TOFMS(非特許文献1)である。この装置は、円筒電場にマツダプレートを組み合わせたトロイダル電場を4個用い、8の字型の周回軌道を多重周回させることにより、総飛行時間Tを延ばすことができる。この装置では、初期位置、初期角度、初期運動エネルギーによる検出面での空間的な広がりと時間的な広がりを1次の項まで収束させることに成功している。
しかし、閉軌道を多重周回するTOFMSには、「追い越し」の問題が存在する。これは閉軌道を多重周回するため、軽いイオン(速度大きい)が重いイオン(速度小さい)を追い越してしまうことにより起こる。このため、検出面に軽いイオンから順に到着するというTOFMSの基本概念が通用しなくなる。
この問題を解決するために考案されたのが、らせん軌道型TOFMSである。らせん軌道型TOFMSは、多重周回型における閉軌道の始点と終点を閉軌道面に対して垂直方向にずらすことを特徴としている。これを実現するためには、イオンをはじめから斜めに入射する方法(特許文献1)や、デフレクタを用いて閉軌道の始点と終点を垂直方向にずらす方法(特許文献2)、積層トロイダル電場を用いる方法(特許文献3)がある。
また、同様のコンセプトとして、追い越しの起こる多重反射型TOFMSの軌道をジグザグ型にしたTOFMSも考案されている(特許文献4)。このようなTOFMSでは、より精度の高い組成推定が可能である。
[TOFMSの質量軸校正と質量軸補正]
TOFMSの質量軸校正の際には、通常5〜10種類の標準物質のマススペクトルを測定する。マススペクトルをピーク判定し、各標準物質由来のm/z値に飛行時間を割り当てる(図3参照)。
m/z値と飛行時間Tの関係は、式(3)に示されるように、飛行時間Tはm/z値の平方根に比例する。しかしながら、精度の高い組成推定を行なう場合、電気系の微小な変動による影響が無視できないため、より高次を含めた関係で質量軸を校正する。例えば、次のような多項式(式(5)は3次式)などが考えられる。
√(m/z) = a+bT+cT2+dT3 ………(5)
ここで、Tは飛行時間、a、b、c、dは変換係数である。図3のような割り当てに対し、式(5)のような高次の多項式でフィッティングすることで、変換係数a、b、c、dを決定することができる(以下、変換係数を用いた多項式を質量校正式と呼ぶ)。未知物質の測定時には、観測した飛行時間を式(5)に代入し、m/z値を算出する。
現実の系では、機械系、電気系の経時変動により質量誤差が生じる。その誤差を補正するために、標準物質を未知物質と混合する、あるいは、標準物質と未知物質を非常に短い期間で切り替えて測定をすることがある。これを先の質量校正に対し、質量補正と呼ぶ。
そのような場合には、標準物質は未知物質のマススペクトルを阻害しないように1〜2種類程度であることが多い。そのため、全ての変換係数を変更することはできないものの、例えば、1つの標準物質であれば式(5)中のb、2つの標準物質であれば式(5)中のa、bなどを変更し、経時変動誤差を近似的に補正することは非常に有効である。
例えば、1つの内部標準を未知試料に混合し、そのm/z値を(m/z)refとする。観測された飛行時間と現在の質量校正式で求まる観測m/z値をTobs、(m/z)obsとすると、(m/z)obsが(m/z)refに一致するように変換係数bをbに変換する場合には、
√(m/z)obs = a+bTobs+cTobs 2+dTobs 3 ………(6)
√(m/z)ref = a+bobs+cTobs 2+dTobs 3 ………(7)
の2つの関係式から、
= 〔{√(m/z)ref−√(m/z)obs}/Tobs〕+b ………(8)
となる。
特開2000−243345号公報。
特開2003−86129号公報。
特開2006−12782号公報。
特表2007−526596号公報。
Y. Satomi et al., Rapid Communications in Mass Spectrometry, vol. 19, pp. 540-546 (2005).
ところで、引用文献5によれば、飛行時間型質量分析計においてイオンの価数により系統的な誤差が生じることが報告されている。TOFMSの質量精度が高くなるほど、この系統誤差は無視できないものとなる。
本発明は、上述した点に鑑み、飛行時間型質量分析計において、イオンの価数に依存して系統的な質量誤差が生じることを解決するものである。
この目的を達成するため、本発明にかかる型飛行時間型質量分析装置は、
(1)試料をイオン化するイオン源、
(2)前記イオン源で生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出するする飛行時間型質量分析手段、
(3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する価数判定手段、
(4)標準試料を前記飛行時間型質量分析手段により分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する当該飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る質量校正条件式作成手段、
(5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する質量校正手段、
を備えたことを特徴としている。
また、前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、1度に複数種の価数のイオンが生成するように調整された標準物質を用いてマススペクトルを測定し、1回のマススペクトル測定により作成されることを特徴としている。
また、前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、それぞれの価数が出現しやすい標準物質を短い時間で切り替えながら質量分析装置に導入してマススペクトルを測定し、複数回のマススペクトル測定により作成されることを特徴としている。
また、前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、すべてが高次の多項式で表現されていることを特徴としている。
また、前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、選ばれた所定の価数を持つイオンの質量校正条件式のみが高次の多項式で表現され、それ以外の価数を持つイオンの質量校正条件式は、前記所定の価数を持つイオンの質量校正条件式に対するオフセット式で表現されていることを特徴としている。
また、更に、前記質量分離手段の機械系および電気系の経時変動により生じる質量誤差を補正する質量補正手段を備えたことを特徴としている。
また、前記質量補正手段は、高次の多項式からなる質量校正条件式の変換係数の少なくとも一部を前記機械系および電気系の経時変動に合わせて修正し、経時変動誤差を近似的に補正する手段であることを特徴としている。
また、前記変換係数の修正は、選ばれた所定の価数を持つ標準物質イオンに対し、前記機械系および電気系の経時変動によって起きる飛行時間のずれに基づいて行なわれ、前記標準物質イオンと異なる価数を持つイオンの質量校正条件式における変換係数の修正は、前記機械系および電気系の経時変動によって前記標準物質イオンの場合に起きるのと同じ量の飛行時間のずれが前記標準物質イオンとは異なる価数を持つイオンに対しても起きると仮想して、近似的に行なわれることを特徴としている。
また、本発明にかかる型飛行時間型質量分析方法は、
(1)試料をイオン化する工程、
(2)生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出する工程、
(3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する工程、
(4)標準試料を前記質量分離して検出する工程で分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る工程、
(5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する工程、
を備えたことを特徴としている。
また、更に、前記質量分離手段の機械系および電気系の経時変動により生じる質量誤差を補正する質量補正工程を備えたことを特徴としている。
本発明の飛行時間型質量分析装置によれば、
(1)試料をイオン化するイオン源、
(2)前記イオン源で生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出するする飛行時間型質量分析手段、
(3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する価数判定手段、
(4)標準試料を前記飛行時間型質量分析手段により分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する当該飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る質量校正条件式作成手段、
(5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する質量校正手段、
を備えたので、
イオンの価数に依存して系統的な質量誤差が生じることを解決することができる。
本発明の飛行時間型質量分析方法によれば、
(1)試料をイオン化する工程、
(2)生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出する工程、
(3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する工程、
(4)標準試料を前記質量分離して検出する工程で分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る工程、
(5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する工程、
を備えたので、
イオンの価数に依存して系統的な質量誤差が生じることを解決することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[実施例1]
ここでは1、2、3価のイオンを測定する場合を想定し、質量校正式には3次の多項式を用いる。もちろん価数や質量校正の次数はこれに制限されることはない。
まず、1、2、3価のイオンが観測できる標準物質のマススペクトルを測定する。各マススペクトルについて、ピーク判定(価数判定を含む)し、標準物質由来のm/z値に観測された飛行時間を割り当てる。1、2、3価それぞれでm/z値の平方根とTの関係を3次式でフィッティングし、質量校正条件式を決定する(図4の式(1)〜(3))。
尚、イオンの価数判定は、通常、異なる個数の安定同位体元素を含むイオンピークを利用して行なっている。すなわち、安定同位体元素の天然存在比は決まっているので、その比の値からマスピークの強度比を分析し、明らかに含まれる安定同位体の個数のみが異なっているイオンのピークを最初に選び出す。
そして、1価イオンの場合、安定同位体の個数が1個異なれば、m/z値が約1マスユニットだけ異なるのに対し、2価イオンの場合、安定同位体の個数が1個異なれば、m/z値が約1/2マスユニットだけ異なり、3価イオンの場合、安定同位体の個数が1個異なれば、m/z値が約1/3マスユニットだけ異なり、n価イオンの場合、安定同位体の個数が1個異なれば、m/z値が約1/nマスユニットだけ異なることが言える。
そこで、この違いを利用して、安定同位体の個数の違いに由来するマスピークの間隔が1マスユニットの場合は1価イオン、0.5マスユニットの場合は2価イオン、0.33マスユニットの場合は3価イオンとして、イオンの価数を判定している。
さて、上述した質量校正条件式を決定する工程では、1度に複数種の価数のイオンが生成するように調整された標準物質を用いてマススペクトルを測定し、1回のマススペクトル測定により作成してもよいし、それぞれの価数が出現しやすい標準物質を短い時間で切り替えながら質量分析装置に導入してマススペクトルを測定し、複数回のマススペクトル測定により作成しても良い。
1、2、3価のそれぞれの質量校正条件式が決まれば、未知試料のマススペクトルを測定する。測定したマススペクトルをまず任意の質量校正条件式(例えば、1価のイオンの質量校正条件式)を適用し、ピーク判定(価数判定を含む)を行ない、2、3価と判定された場合には、対応する質量校正条件式を適用し直して、観測m/z値を算出する。
次に、各価数について質量校正条件式を持つ場合の質量補正について述べる。1、2、3価の全ての価数を観測できるような内部標準物質の作成や、未知試料測定と1、2、3価の内部標準物質を切り替えての測定が可能であれば、各価数ごとに従来技術と同様に質量補正を行なえば良い。
しかしながら、そのようなことは困難である場合が多い。つまり、現実的には、特定の価数(以下、1価を想定)のイオンが観測される内部標準物質1、2種類程度で全ての価数のイオンの質量補正を可能とする必要がある。
例えば、未知試料中にm/z値が(m/z)refの1価イオンが観測される内部標準物質を1種類混ぜる。そして、マススペクトルをピーク判定した後、(m/z)refに相当するピークを決定する。そのピークの観測された飛行時間をT1,obs、観測されたm/z値を(m/z)1,obsとする。未知イオンが1価イオンの場合は、従来技術と同様に質量補正を行なえば良い。
しかしながら、このままでは、2、3価イオンは補正されないため、質量軸がずれることになる。それを解決する方法を、以下に2価のイオンの質量補正を例にとって説明する。
1価と2価の質量校正条件は異なるため、同一のm/z値を持つイオンの観測が予想される飛行時間は、それぞれの価数で異なる。そこで1、2価のイオンの質量校正条件から(m/z)refを持つイオンの観測が予想されるT1,ref、T2,refを計算しておく。
経時的な変化により、T1,refがT1,obsにΔT1(=T1,obs−T1,ref)だけ変化した場合、おおよそT2,refもΔT1だけずれるとして、仮想的にT2,obs=T2,ref+ΔT1とする。この仮想的なT2,obsから仮想的な(m/z)2,obsが求まる。ここで、2価イオンであれば、式(8)に基づいて、(m/z)ref、T2,obs、(m/z)2,obsの各値から質量校正式の変換係数b2をb2 に変更することにより、近似的な質量補正ができる。同様にすれば、3価イオンも近似的な質量補正が可能である。
[実施例2]
実施例1では、各価数のイオンに対する質量校正条件式を価数ごとに記憶して用いているが、TOFMSのイオン価数に対する系統誤差は、横軸にm/z値、縦軸にppm単位で誤差をとると、低次式(定数あるいは1次式)で記述できる。そのため、イオン価数ごとの質量校正条件式を記憶しなくても、基準となるイオン価数を設定し、その価数のみ質量校正条件(高次式の変換係数)を決め、それ以外の価数は基準価数からのオフセット式を記録しておくことで、質量校正が可能である。基準価数は、通常、質量校正用、および質量補正用の標準物質が観測されるイオン価数である。
ここでは1、2、3価のイオンを測定する場合を想定し、質量校正式には3次の多項式を用いる。また、オフセット式には1次式を用いる。もちろん価数や質量校正の次数やオフセット式の次数はこれに制限されることはない。
基準となるイオン価数を例えば1価に決定し、1価のイオンが観測できる標準物質のマススペクトルを測定する。次に標準物質由来のマススペクトルをピーク判定(価数判定を含む)し、標準物質由来のm/z値に観測された飛行時間を割り当て、基準価数の質量校正条件を決定する(図5の式(1))。
次に、基準価数以外のイオンが観測されるマススペクトルを測定し、基準価数の質量校正条件を適用する。基準価数以外の価数のイオンについて、系統誤差を求め、1次式でフィッティングし、オフセット式を求める(図5の式(2)、(3))。
以上の工程では、1回のマススペクトル測定で複数種のイオン価数の質量校正条件式を作成できるように調製された標準試料を用いてマススペクトルを測定し、基準価数の質量校正条件式、および基準価数以外のイオン価数のオフセット式を算出しても良いし、比較的短い時間でそれぞれの価数が出現しやすい標準物質を切り替えてマススペクトルを測定し、基準価数の質量校正条件式、および基準価数以外のイオン価数のオフセット式を算出しても良い。
1価イオン用の質量校正条件式、2価および3価イオン用のオフセット式が決まれば、未知試料のマススペクトルを測定する。測定したマススペクトルを1価イオン用の質量校正条件式を適用してピーク判定(価数判定を含む)を行ない、2価および3価イオンと判定された場合には、対応する2価および3価イオン用のオフセット式を適用してm/zの観測値を算出する。
以後、系統的な誤差の変動が少なければ、日常的な質量校正や測定中の質量補正にはオフセット式を変更せずに使用し、基準価数の質量校正条件式のみを再計算すれば良い。
飛行時間型質量分析装置の測定に広く利用できる。
従来の飛行時間型質量分析装置の一例を示す図である。 従来の飛行時間型質量分析装置の別の例を示す図である。 従来の質量校正条件式の求め方の一例を示す図である。 本発明にかかる質量校正条件式の求め方の一実施例を示す図である。 本発明にかかる質量校正条件式の求め方の別の実施例を示す図である。

Claims (10)

  1. (1)試料をイオン化するイオン源、
    (2)前記イオン源で生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出するする飛行時間型質量分析手段、
    (3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する価数判定手段、
    (4)標準試料を前記飛行時間型質量分析手段により分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する当該飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る質量校正条件式作成手段、
    (5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する質量校正手段、
    を備えた飛行時間型質量分析装置。
  2. 前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、1度に複数種の価数のイオンが生成するように調整された標準物質を用いてマススペクトルを測定し、1回のマススペクトル測定により作成されることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  3. 前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、それぞれの価数が出現しやすい標準物質を短い時間で切り替えながら質量分析装置に導入してマススペクトルを測定し、複数回のマススペクトル測定により作成されることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  4. 前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、すべてが高次の多項式で表現されていることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  5. 前記イオンの価数ごとに作られた質量校正条件式は、選ばれた所定の価数を持つイオンの質量校正条件式のみが高次の多項式で表現され、それ以外の価数を持つイオンの質量校正条件式は、前記所定の価数を持つイオンの質量校正条件式に対するオフセット式で表現されていることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  6. 更に、前記質量分離手段の機械系および電気系の経時変動により生じる質量誤差を補正する質量補正手段を備えた請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  7. 前記質量補正手段は、高次の多項式からなる質量校正条件式の変換係数の少なくとも一部を前記機械系および電気系の経時変動に合わせて修正し、経時変動誤差を近似的に補正する手段であることを特徴とする請求項6記載の飛行時間型質量分析装置。
  8. 前記変換係数の修正は、選ばれた所定の価数を持つ標準物質イオンに対し、前記機械系および電気系の経時変動によって起きる飛行時間のずれに基づいて行なわれ、前記標準物質イオンと異なる価数を持つイオンの質量校正条件式における変換係数の修正は、前記機械系および電気系の経時変動によって前記標準物質イオンの場合に起きるのと同じ量の飛行時間のずれが前記標準物質イオンとは異なる価数を持つイオンに対しても起きると仮想して、近似的に行なわれることを特徴とする請求項7記載の飛行時間型質量分析装置。
  9. (1)試料をイオン化する工程、
    (2)生成した試料イオンを飛行時間の違いにより質量分離して検出する工程、
    (3)検出された試料イオンの信号ごとにイオンの価数を判定する工程、
    (4)標準試料を前記質量分離して検出する工程で分析した価数の異なる標準物質イオンに基づいて、イオンの価数に起因する飛行時間型質量分析手段の系統誤差をイオンの価数ごとに校正するための質量校正条件式を作る工程、
    (5)価数判定された試料イオンを対応する価数の質量校正条件式に基づいて質量校正する工程、
    を備えた飛行時間型質量分析方法。
  10. 更に、前記質量分離手段の機械系および電気系の経時変動により生じる質量誤差を補正する質量補正工程を備えた請求項9記載の飛行時間型質量分析方法。
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