JP2010071298A - 無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無端巻き掛け伝動式無段変速機の急変速要求時における変速応答を、急変速要求に応え得るよう改善した変速制御装置を提案する。
【解決手段】S103でアクセル開度APOおよびアクセル開速度ΔAPOがそれぞれ設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOs以上であると判定する急変速(ダウンシフト)要求時に、S105で前進クラッチを解放し、S106およびS107でVベルトのプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリのプーリ推力発生圧Ppriを、スリップモード域の目標圧tPpriまで低下させ、これにより、S108で入出力プーリ間回転数比(Npri/Nsec)が運転状態対応の目標回転数比tRTOになったと判定するまで上記の変速を行わせる。よって、Vベルトが両プーリシーブ面に対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し、S108で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
【選択図】図4
【解決手段】S103でアクセル開度APOおよびアクセル開速度ΔAPOがそれぞれ設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOs以上であると判定する急変速(ダウンシフト)要求時に、S105で前進クラッチを解放し、S106およびS107でVベルトのプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリのプーリ推力発生圧Ppriを、スリップモード域の目標圧tPpriまで低下させ、これにより、S108で入出力プーリ間回転数比(Npri/Nsec)が運転状態対応の目標回転数比tRTOになったと判定するまで上記の変速を行わせる。よって、Vベルトが両プーリシーブ面に対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し、S108で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、Vベルト式無段変速機に代表される無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速応答を改善した変速制御装置に関するものである。
無端巻き掛け伝動式無段変速機は、原動機からの回転を入力されるプライマリプーリと、出力側のセカンダリプーリとを、両者のプーリ溝が略同じ軸直角面内に位置するよう整列させて配置し、これらプーリのプーリ溝にVベルトなどの無端巻き掛け伝動部材を掛け渡して構成する。
そして、これら各プーリのプーリ溝を画成する対向シーブ面を個々のプーリ推力により相互に接近する方向へ附勢し、これにより各プーリの対向シーブ面間に無端巻き掛け伝動部材を挟圧して摩擦接触させることで、
無端巻き掛け伝動式無段変速機は、無端巻き掛け伝動部材を介しプライマリプーリおよびセカンダリプーリ間で動力伝達を行うことができる。
無端巻き掛け伝動式無段変速機は、無端巻き掛け伝動部材を介しプライマリプーリおよびセカンダリプーリ間で動力伝達を行うことができる。
かかる無端巻き掛け伝動式無段変速機は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間におけるプーリ推力の相関関係に応じ無段変速を行うことができ、
従って変速制御に際しては、プーリ推力の相関関係を制御することにより当該変速制御を遂行する。
従って変速制御に際しては、プーリ推力の相関関係を制御することにより当該変速制御を遂行する。
また、かかる無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速速度制御技術としては従来、例えば特許文献1に記載のごとく、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのプーリ推力を加減することで、無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速速度を制御する技術が提案されている。
ここで、無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速動作を考察する。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間におけるプーリ推力の相関関係の制御によってもたらされる両プーリ溝幅の変化、および伝動中における両プーリの回転により、無端巻き掛け伝動部材が両プーリに巻き込まれるとき、前回の巻き込み時よりも僅かにプーリ径方向へ移動した位置でプーリに巻き込まれ、かかる無端巻き掛け伝動部材の巻き込み時プーリ径方向移動の繰り返しにより、無端巻き掛け伝動部材が両プーリに対する巻き掛け円弧径を連続的に変化されることで、無端巻き掛け伝動式無段変速機は無段変速を行うことができる。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間におけるプーリ推力の相関関係の制御によってもたらされる両プーリ溝幅の変化、および伝動中における両プーリの回転により、無端巻き掛け伝動部材が両プーリに巻き込まれるとき、前回の巻き込み時よりも僅かにプーリ径方向へ移動した位置でプーリに巻き込まれ、かかる無端巻き掛け伝動部材の巻き込み時プーリ径方向移動の繰り返しにより、無端巻き掛け伝動部材が両プーリに対する巻き掛け円弧径を連続的に変化されることで、無端巻き掛け伝動式無段変速機は無段変速を行うことができる。
更に詳述すると、上記両プーリ溝幅の変化及び両プーリの回転により、各プーリの対向シーブ面と接触する無端巻き掛け伝動部材の構成エレメントのうち、先行してプーリに巻き込まれた先行エレメントに対し、次いで同じプーリに巻き込まれる後続エレメントが、プーリ径方向へ僅かに移動した位置でプーリに巻き込まれ、
その後に同じプーリに巻き込まれる更に後続のエレメントが、上記の後続エレメントよりも更にプーリ径方向へ僅かに移動した位置でプーリに巻き込まれ、
かかる順次エレメントの僅かずつのプーリ径方向移動によって、両プーリに対する無端巻き掛け伝動部材の巻き掛け円弧径が徐々に変化して無段変速を生起させることができる。
その後に同じプーリに巻き込まれる更に後続のエレメントが、上記の後続エレメントよりも更にプーリ径方向へ僅かに移動した位置でプーリに巻き込まれ、
かかる順次エレメントの僅かずつのプーリ径方向移動によって、両プーリに対する無端巻き掛け伝動部材の巻き掛け円弧径が徐々に変化して無段変速を生起させることができる。
特許文献1に記載された従来の変速速度制御技術は、上記のような原理にもとづく無段変速において、変速時に両プーリのプーリ推力間における差を大きくすることで、上述した無端巻き掛け伝動部材構成エレメントの巻き込み時プーリ径方向移動を大きくし、これにより変速速度を速くする技術である。
特開昭61−105348号公報
しかし、かかる従来の変速速度制御技術では、変速速度を或る程度速くすることができても、無端巻き掛け伝動部材構成エレメントの巻き込み時プーリ径方向移動を大きくすることに限界があり、
特に、アクセルペダルの急で大きな踏み込みによる急加速時や、ブレーキペダルの急な踏み込みによる急減速時に要求される急変速に対して、変速速度不足による変速応答不足が懸念される。
特に、アクセルペダルの急で大きな踏み込みによる急加速時や、ブレーキペダルの急な踏み込みによる急減速時に要求される急変速に対して、変速速度不足による変速応答不足が懸念される。
本発明は、従来のように変速応答を無端巻き掛け伝動部材構成エレメントの巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに頼る限り上記変速応答に関する懸念を払拭し得ないとの観点から、
また、無端巻き掛け伝動式無段変速機にあっては、プライマリプーリプーリと原動機との間に前後進切り替え機構が存在し、当該機構内のクラッチによりプライマリプーリプーリを原動機から適宜切り離すことができ、この切り離し状態では、プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして当該変速を促進させ得るとの観点から、
この着想を具体化して上記変速応答に関する懸念を払拭し得るようにした、無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置を提案することを目的とする。
また、無端巻き掛け伝動式無段変速機にあっては、プライマリプーリプーリと原動機との間に前後進切り替え機構が存在し、当該機構内のクラッチによりプライマリプーリプーリを原動機から適宜切り離すことができ、この切り離し状態では、プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして当該変速を促進させ得るとの観点から、
この着想を具体化して上記変速応答に関する懸念を払拭し得るようにした、無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明による無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず、本発明が要旨構成の基礎前提とする無端巻き掛け伝動式無段変速機を説明するに、これは、
クラッチを介して原動機からの回転を入力されるプライマリプーリと、出力側のセカンダリプーリとの間に、無端巻き掛け伝動部材を掛け渡すと共に、これら各プーリの対向シーブ面を個々のプーリ推力により相互に接近する方向へ附勢して各プーリの対向シーブ面間に無端巻き掛け伝動部材を挟圧することにより、前記両プーリ間での動力伝達が可能であり、且つ、前記両プーリ推力の相関関係に応じ無段変速が可能なものである。
先ず、本発明が要旨構成の基礎前提とする無端巻き掛け伝動式無段変速機を説明するに、これは、
クラッチを介して原動機からの回転を入力されるプライマリプーリと、出力側のセカンダリプーリとの間に、無端巻き掛け伝動部材を掛け渡すと共に、これら各プーリの対向シーブ面を個々のプーリ推力により相互に接近する方向へ附勢して各プーリの対向シーブ面間に無端巻き掛け伝動部材を挟圧することにより、前記両プーリ間での動力伝達が可能であり、且つ、前記両プーリ推力の相関関係に応じ無段変速が可能なものである。
本発明の変速制御装置は、かかる無端巻き掛け伝動式無段変速機において、
前記変速時に、前記クラッチを解放すると共に、前記無端巻き掛け伝動部材が前記シーブ面に対しプーリ径方向へスリップしながら前記変速を生起させるよう、前記プーリ推力の少なくとも一方を制御する変速応答改善手段を設けたことを特徴とするものである。
前記変速時に、前記クラッチを解放すると共に、前記無端巻き掛け伝動部材が前記シーブ面に対しプーリ径方向へスリップしながら前記変速を生起させるよう、前記プーリ推力の少なくとも一方を制御する変速応答改善手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明による無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置によれば、
変速時は、原動機およびプライマリプーリ間のクラッチを解放すると共に、無端巻き掛け伝動部材が両プーリのシーブ面に対し変速方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を生起させるよう両プーリ推力の少なくとも一方を制御するため、
両プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速を促進させることとなる。
変速時は、原動機およびプライマリプーリ間のクラッチを解放すると共に、無端巻き掛け伝動部材が両プーリのシーブ面に対し変速方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を生起させるよう両プーリ推力の少なくとも一方を制御するため、
両プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速を促進させることとなる。
前記した従来のように変速応答を無端巻き掛け伝動部材の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに頼ると、無端巻き掛け伝動部材の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに限界があることから、急変速要求時において十分な変速応答を確保し得ないという懸念があるが、
本発明においては、両プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速を促進させることから、従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を確保し得て、上記の懸念を払拭することができる。
本発明においては、両プーリのシーブ面と接触している無端巻き掛け伝動部材部分が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速を促進させることから、従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を確保し得て、上記の懸念を払拭することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる変速制御装置を具えた無端巻き掛け伝動式無段変速機搭載車のパワートレーンを、その制御系と共に示す。
1は、原動機としてのエンジン、2は無端巻き掛け伝動式無段変速機であり、本実施例においては、この無端巻き掛け伝動式無段変速機2をVベルト式無段変速機として構成する。
図1は、本発明の一実施例になる変速制御装置を具えた無端巻き掛け伝動式無段変速機搭載車のパワートレーンを、その制御系と共に示す。
1は、原動機としてのエンジン、2は無端巻き掛け伝動式無段変速機であり、本実施例においては、この無端巻き掛け伝動式無段変速機2をVベルト式無段変速機として構成する。
Vベルト式無段変速機2は、エンジン1からの回転を選択変速比に応じ変速して出力するもので、入力側のプライマリプーリ3と、出力側のセカンダリプーリ4と、これらプーリ3,4のプーリV溝間に掛け渡したVベルト5(無端巻き掛け伝動部材)とで構成する。
プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4は、両者のプーリ溝が略同じ軸直角面内に位置するよう整列させて、相互に平行に配置する。
プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4は、両者のプーリ溝が略同じ軸直角面内に位置するよう整列させて、相互に平行に配置する。
入力側のプライマリプーリ3は、前後進切り替え機構(図では、前進クラッチF/Cのみを示し、後退ブレーキは本発明と関係ないため省略した)およびトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合する。
出力側のセカンダリプーリ4は、ディファレンシャルギヤ装置を含むファイナルギヤ組6を介して駆動車輪7に結合する。
出力側のセカンダリプーリ4は、ディファレンシャルギヤ装置を含むファイナルギヤ組6を介して駆動車輪7に結合する。
かくしてVベルト式無段変速機2は、エンジン1からトルクコンバータT/Cおよび前進クラッチF/Cを経てプライマリプーリ3に達した回転を、Vベルト5を経てセカンダリプーリ4に伝達し、その後この回転をファイナルギヤ組6を経て駆動輪7に向かわせ、車両を走行させることができる。
車両の減速や停車に際しては、ブレーキ8の作動により当該車両の減速や停車を行うことができる。
車両の減速や停車に際しては、ブレーキ8の作動により当該車両の減速や停車を行うことができる。
Vベルト式無段変速機2を変速可能にするため、プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4はそれぞれ、プーリV溝を画成するシーブ面のうち、一方のシーブ面3a,4aを他方のシーブ面3b,4bと共に回転するが、軸線方向へ変位可能な可動シーブ面とする。
これら可動シーブ面3a,4a をそれぞれ、プライマリプーリ圧により発生させたプーリ推力Fpおよびセカンダリプーリ圧により発生させたプーリ推力Fsにより、軸線方向位置固定の固定シーブ面3b,4bに向け附勢する。
これら可動シーブ面3a,4a をそれぞれ、プライマリプーリ圧により発生させたプーリ推力Fpおよびセカンダリプーリ圧により発生させたプーリ推力Fsにより、軸線方向位置固定の固定シーブ面3b,4bに向け附勢する。
かかる附勢によりVベルト5は、プライマリプーリ3の対向シーブ面3a,3b間、および、セカンダリプーリ4の対向シーブ面4a,4b間に挟圧され、両プーリ3,4(対向シーブ面3a,3bおよび4a,4b間)との摩擦接触により、前記プーリ3,4間での動力伝達を可能ならしめる。
かかる伝動中、セカンダリプーリ4には、変速機入力トルクに応じた変速制御元圧であるライン圧をセカンダリプーリ圧として供給し、セカンダリプーリ推力Fsを図2に例示するごとく変速機入力トルク対応値となす。
かかる伝動中、セカンダリプーリ4には、変速機入力トルクに応じた変速制御元圧であるライン圧をセカンダリプーリ圧として供給し、セカンダリプーリ推力Fsを図2に例示するごとく変速機入力トルク対応値となす。
一方で、プライマリプーリ3には、上記のライン圧を元圧として変速制御弁が作り出した変速制御圧をプライマリプーリ圧Ppriとして供給し、プライマリプーリ推力Fpを図2に例示するごとくに制御する。
このとき、セカンダリプーリ推力Fsに対するプライマリプーリ推力Fpのプーリ間差推力ΔF(=Fs−Fp)により、可動シーブ面3a,4aの軸線方向位置を変更して、両プーリ3,4に対するVベルト5の巻掛け円弧径、つまり、プーリ間伝動比(変速比)を制御することができる。
このとき、セカンダリプーリ推力Fsに対するプライマリプーリ推力Fpのプーリ間差推力ΔF(=Fs−Fp)により、可動シーブ面3a,4aの軸線方向位置を変更して、両プーリ3,4に対するVベルト5の巻掛け円弧径、つまり、プーリ間伝動比(変速比)を制御することができる。
つまりVベルト式無段変速機2は、変速制御圧(プライマリプーリ圧Ppri )を上昇させてプライマリプーリ推力Fpを大きくすることで、変速比を最低速変速比から連続的に高速側変速比に向けて無段階に変化(アップシフト)させることができ、
変速制御圧(プライマリプーリ圧Ppri)を低下させてプライマリプーリ推力Fpを小さくすることで、変速比を逆に連続的に最低速変速比へ向けて無段階に変化(ダウンシフト)させることができる。
変速制御圧(プライマリプーリ圧Ppri)を低下させてプライマリプーリ推力Fpを小さくすることで、変速比を逆に連続的に最低速変速比へ向けて無段階に変化(ダウンシフト)させることができる。
ここで、セカンダリプーリ推力Fsに対するプライマリプーリ推力Fpのプーリ間差推力ΔF(=Fs−Fp)と、変速速度dXp/dtとの関係を以下に考察する。
上記のプーリ間差推力ΔF(=Fs−Fp)は、セカンダリプーリ推力Fsが変速機入力トルク対応の一定値であることから、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)に置き換えることができ、
プーリ間差推力ΔFと変速速度dXp/dtとの関係は、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)と変速速度dXp/dtとの関係として、図3に例示するごとくに実験などにより予め求めておくことができる。
上記のプーリ間差推力ΔF(=Fs−Fp)は、セカンダリプーリ推力Fsが変速機入力トルク対応の一定値であることから、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)に置き換えることができ、
プーリ間差推力ΔFと変速速度dXp/dtとの関係は、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)と変速速度dXp/dtとの関係として、図3に例示するごとくに実験などにより予め求めておくことができる。
ところで変速速度dXp/dtは、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)に対し概ね図3に示すような関係をもって変化し、プライマリプーリ推力Fp(∝プライマリプーリ圧Ppri)が低下するほど、つまりプーリ間差推力ΔFが大きくなるほど変速速度dXp/dtが速くなる。
そして、プライマリプーリ推力Fp(プーリ間差推力ΔF)に対する変速速度dXp/dtの変化割合は、Vベルト5がプーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上でプーリ径方向へのスリップを生ずることなく前記の変速を行う(クリープモードとなる)比較的大きなプライマリプーリ推力Fp(比較的小さなプーリ間差推力ΔF)の領域で比較的緩やかなものとなり、変速速度dXp/dtのプーリ回転依存性が高くなる。
ところで、Vベルト5がプーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップしながら前記の変速を行う(スリップモードとなる)比較的小さなプライマリプーリ推力Fp(比較的小さなプーリ間差推力ΔF)の領域で、プライマリプーリ推力Fp(プーリ間差推力ΔF)に対する変速速度dXp/dtの変化割合は比較的急なものとなり、変速速度dXp/dtのプーリ回転依存性が低くなる。
つまりプライマリプーリ推力Fp(プーリ間差推力ΔF)に対する変速速度dXp/dtの変化割合は、
上記した両領域間の境界における変速特性点(実験などにより予め定めておく)を境にして、プライマリプーリ推力Fpを変速特性点対応値以上にした(プーリ間差推力ΔFを変速特性点対応値以下にした)クリープモード領域におけるよりも、
プライマリプーリ推力Fpを変速特性点対応値未満にした(プーリ間差推力ΔFを変速特性点対応値より大きくした)スリップモード領域において急な変化割合を呈する。
上記した両領域間の境界における変速特性点(実験などにより予め定めておく)を境にして、プライマリプーリ推力Fpを変速特性点対応値以上にした(プーリ間差推力ΔFを変速特性点対応値以下にした)クリープモード領域におけるよりも、
プライマリプーリ推力Fpを変速特性点対応値未満にした(プーリ間差推力ΔFを変速特性点対応値より大きくした)スリップモード領域において急な変化割合を呈する。
前記の変速制御や、本発明が狙いとする変速応答改善(変速速度向上)制御を実現するために、Vベルト式無段変速機2用の変速機コントローラ11、および、エンジン1用のエンジンコントローラ12を設ける
そして、これらコントローラ11,12には、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ13からの信号と、
アクセル開度APO(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ14からの信号と、
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbを検出するブレーキストロークセンサ15からの信号と、
プライマリプーリ3の回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ16からの信号と、
セカンダリプーリ4の回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ17からの信号と、
車速VSPを検出する車速センサ18からの信号とを入力する。
そして、これらコントローラ11,12には、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ13からの信号と、
アクセル開度APO(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ14からの信号と、
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbを検出するブレーキストロークセンサ15からの信号と、
プライマリプーリ3の回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ16からの信号と、
セカンダリプーリ4の回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ17からの信号と、
車速VSPを検出する車速センサ18からの信号とを入力する。
変速機コントローラ11およびエンジンコントローラ12はそれぞれ、これら入力情報をもとに図4に示す急加速時変速制御プログラムまたは図5に示す急減速時変速制御プログラムを実行して、
前記した変速制御や、本発明が狙いとする変速応答改善(変速速度向上)制御を実現する。
前記した変速制御や、本発明が狙いとする変速応答改善(変速速度向上)制御を実現する。
先ず図4の急加速時変速制御を説明するに、変速機コントローラ11は、ステップS101での車両の通常走行中、ステップS102において、アクセル開度APOが変化したか否かをチェックし、
アクセル開度APOが変化しない間は、図4の急加速時変速制御が不要であるから、制御を元に戻して、アクセル開度APOが変化するまで待機する。
アクセル開度APOが変化しない間は、図4の急加速時変速制御が不要であるから、制御を元に戻して、アクセル開度APOが変化するまで待機する。
ステップS102でアクセル開度APOが変化したと判定したときは、
ステップS103において、このアクセル開度変化が急変速を必要とするようなものであるか否かをチェックするため、
アクセル開度APOおよびアクセル開速度ΔAPOをそれぞれ、急変速(ダウンシフト)を要求する急加速の判定用に予め定めておいた設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOsと対比し、APO≧APOs且つΔAPO≧ΔAPOsであるか否かを、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするアクセル開操作があったか否かをチェックする。
ステップS103において、このアクセル開度変化が急変速を必要とするようなものであるか否かをチェックするため、
アクセル開度APOおよびアクセル開速度ΔAPOをそれぞれ、急変速(ダウンシフト)を要求する急加速の判定用に予め定めておいた設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOsと対比し、APO≧APOs且つΔAPO≧ΔAPOsであるか否かを、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするアクセル開操作があったか否かをチェックする。
ステップS103でAPO<APOsおよび/またはΔAPO<ΔAPOsであると判定するときは、つまり、ステップS102で検知したアクセル開度変化が、急変速(ダウンシフト)を必要とするアクセル開度変化でない場合は、
制御をステップS104に進め、このステップS104において、ステップS102で検知したアクセル開度変化に対応する通常の変速を行うと共に、ステップS219で通常走行に復帰する。
制御をステップS104に進め、このステップS104において、ステップS102で検知したアクセル開度変化に対応する通常の変速を行うと共に、ステップS219で通常走行に復帰する。
ステップS103でAPO≧APOs且つΔAPO≧ΔAPOsであると判定するとき、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするアクセル開操作があったと判定するとき、
変速機コントローラ11はステップS105を含むループに制御を進めて、以下のごとく本発明に係わる変速制御を遂行することにより、本発明が狙いとする変速応答の改善(変速速度の向上)を実現する。
変速機コントローラ11はステップS105を含むループに制御を進めて、以下のごとく本発明に係わる変速制御を遂行することにより、本発明が狙いとする変速応答の改善(変速速度の向上)を実現する。
変速機コントローラ11は、先ずステップS105において前進クラッチF/Cを解放し、ステップS106において、上記の急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを低下させてプーリ間差推力ΔFを大きくするためにプライマリプーリ圧Ppriを低下させる。
次のステップS107においては、上記のごとくに低下させるプライマリプーリ圧Ppriが目標圧tPpriまで低下したか否かをチェックする。
次のステップS107においては、上記のごとくに低下させるプライマリプーリ圧Ppriが目標圧tPpriまで低下したか否かをチェックする。
ここで目標プライマリプーリ圧tPpriは、プライマリプーリ推力Fp(プーリ間差推力ΔF)に対する変速速度dXp/dtの変化割合が急になる図3のスリップモード域、つまり同図に示す変速特性点のプライマリプーリ圧Pprioよりも低い油圧値に定める。
ステップS107でプライマリプーリ圧Ppriが未だ目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下していないと判定する間は、制御をステップS106に戻してプライマリプーリ圧Ppriを低下させ続ける。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下したとき、ステップS107は制御をステップS108に進め、ここで、プライマリプーリ回転数Npriとセカンダリプーリ回転数Nsecとの比(プーリ回転数比)が、現在の車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下したとき、ステップS107は制御をステップS108に進め、ここで、プライマリプーリ回転数Npriとセカンダリプーリ回転数Nsecとの比(プーリ回転数比)が、現在の車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
ステップS108で、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が未だ目標回転数比tRTOになっていないと判定する間は、制御を元に戻すことによって、
ステップS106およびステップS107で上記のごとく目標プライマリプーリ圧tPpriに低下させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS106およびステップS107で上記のごとく目標プライマリプーリ圧tPpriに低下させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS108でプーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOになった(変速終了)と判定するとき、制御をステップS108からステップS109に進め、このステップS109において、前記低下状態のプライマリプーリ圧Ppriを今度は逆に増圧させる。
次のステップS110においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、通常変速においてプーリ回転数比(Npri/Nsec)を目標回転数比tRTOに保つのに必要な目標圧sPpriまで上昇したか否かをチェックする。
次のステップS110においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、通常変速においてプーリ回転数比(Npri/Nsec)を目標回転数比tRTOに保つのに必要な目標圧sPpriまで上昇したか否かをチェックする。
ステップS110でプライマリプーリ圧Ppriが未だ目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇していないと判定する間は、制御をステップS109に戻してプライマリプーリ圧Ppriを増圧させ続ける。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇したとき、ステップS110は制御をステップS111に進め、ここで、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が、車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇したとき、ステップS110は制御をステップS111に進め、ここで、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が、車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
ステップS111で、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が未だ目標回転数比tRTOになっていないと判定する間は、制御を元に戻すことによって、
ステップS109およびステップS110で上記のごとく目標プライマリプーリ圧sPpriに上昇させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS109およびステップS110で上記のごとく目標プライマリプーリ圧sPpriに上昇させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS111でプーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOになったと判定するとき、制御をステップS111からステップS112に進め、このステップS112において、上記の変速応答改善(変速速度向上)制御により決まるプライマリプーリ回転数Npriに対しエンジン回転数Neが略一致しているか否かをチェックする。
この際、エンジン回転数Neをプライマリプーリ回転数Npriに一致させる回転同期は、エンジンコントローラ12がステップS113〜ステップS115においてエンジン1を以下のごとく回転制御することにより実現する。
この際、エンジン回転数Neをプライマリプーリ回転数Npriに一致させる回転同期は、エンジンコントローラ12がステップS113〜ステップS115においてエンジン1を以下のごとく回転制御することにより実現する。
ステップS113〜ステップS115でのエンジンコントローラ12によるエンジン回転制御は、前記した変速応答改善(変速速度向上)制御と同時並行的に行う。
ステップS113においては、セカンダリプーリ回転数Nsecと、前記したプーリ回転数比(Npri/Nsec)とから、プライマリプーリ回転数Npriにエンジン回転数Neを一致させるのに必要な同期目標エンジン回転数tNeを演算する。
次のステップS114においては、エンジン回転数Neがこの同期目標エンジン回転数tNeに一致するようエンジン1を回転数制御し、
このエンジン回転数制御によりエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したか否かをステップS115でチェックする。
ステップS113においては、セカンダリプーリ回転数Nsecと、前記したプーリ回転数比(Npri/Nsec)とから、プライマリプーリ回転数Npriにエンジン回転数Neを一致させるのに必要な同期目標エンジン回転数tNeを演算する。
次のステップS114においては、エンジン回転数Neがこの同期目標エンジン回転数tNeに一致するようエンジン1を回転数制御し、
このエンジン回転数制御によりエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したか否かをステップS115でチェックする。
ステップS115でエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したと判定するに至るまでは、制御をステップS114に戻し、ここで、エンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに一致させるエンジン回転数制御を継続させ、
これによりエンジンコントローラ12は、最終的にエンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに略一致させる。
ただし、上記のように制御されるエンジン回転数Neは、アイドル回転数を下回らないようにすること勿論である。
これによりエンジンコントローラ12は、最終的にエンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに略一致させる。
ただし、上記のように制御されるエンジン回転数Neは、アイドル回転数を下回らないようにすること勿論である。
かかるエンジン側回転同期制御により、エンジン回転数Neが略プライマリプーリ回転数Npriに略一致すると、この一致をステップS112が判定したことを受けて変速機コントローラ11は、制御をステップS112からステップS116に進め、このステップS116において前進クラッチF/Cを締結し、
次のステップS117において、通常走行に復帰することができる。
次のステップS117において、通常走行に復帰することができる。
なお、前進クラッチF/Cの上記締結に際し、エンジン回転数Neが略プライマリプーリ回転数Npriに略一致したときに当該クラッチ締結を行うことから、前進クラッチF/Cの前後回転差が略零のときに当該クラッチの締結が行われることとなり、前進クラッチF/Cの締結ショックが発生するのを回避することができる。
上記した本実施例による急加速時変速制御によれば、急変速(ダウンシフト)を要求される急加速時に(ステップS103)、エンジン1およびプライマリプーリ3間のクラッチF/Cを解放させ(ステップS105)、この状態で、上記の急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを、図3のスリップモード域まで低下させるべくプライマリプーリ圧Ppriを目標圧tPpriまで低下させるため(ステップS106およびステップS107)、
Vベルト5が両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bに対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し得ることとなり、ステップS108で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
従って、ステップS105〜ステップS107は、本発明における変速応答改善手段に相当する。
Vベルト5が両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bに対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し得ることとなり、ステップS108で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
従って、ステップS105〜ステップS107は、本発明における変速応答改善手段に相当する。
更に詳述するに、従来のように変速応答をVベルト5の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに頼るのでは、Vベルト5の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに限界があることから、急変速要求時において十分な変速応答を確保し得ないが、
本実施例においては上記のごとく、両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bと接触しているVベルト5が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速促進を実現することから、
従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を実現し得て、上記の懸念を払拭することができる。
本実施例においては上記のごとく、両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bと接触しているVベルト5が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速促進を実現することから、
従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を実現し得て、上記の懸念を払拭することができる。
また、上記の変速応答改善制御中に前進クラッチF/Cを解放しておくことで、この間プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4にエンジントルクが作用しないこととなり、
上記のごとくVベルト5を、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップさせるといえども、Vベルト5の耐久性や、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bの耐久性に悪影響が及ぶ懸念はほとんどない。
上記のごとくVベルト5を、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップさせるといえども、Vベルト5の耐久性や、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bの耐久性に悪影響が及ぶ懸念はほとんどない。
なお本実施例では、上記の作用効果を達成するのに、急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを低下させることとしたが、
この代わりに、或いはこれと同時に、急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が大きくなるセカンダリプーリ4の推力Fsを増大させることによっても同様な作用効果を達成することができる。
しかし、急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを低下させるのが、余分なエネルギー消費無しに変速応答を改善できる意味合いにおいて好ましいのは言うまでもない。
この代わりに、或いはこれと同時に、急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が大きくなるセカンダリプーリ4の推力Fsを増大させることによっても同様な作用効果を達成することができる。
しかし、急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを低下させるのが、余分なエネルギー消費無しに変速応答を改善できる意味合いにおいて好ましいのは言うまでもない。
しかし何れにしても、プーリ間差推力ΔFを前記のごとく図3のスリップモード域まで大きくすることは必須ではなく、プーリ間差推力ΔFが変速前の差推力より大きくなるよう、プライマリプーリ推力Fp、またはセカンダリプーリ推力Fs、或いはこれら双方を制御しても、上記した実施例の作用効果を或る程度は達成することができる。
なお、ステップS103で急変速を必要とするアクセル操作か否かの判定に用いる急加速判定用の設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOsはそれぞれ、
Vベルト式無段変速機2の設計上の変速速度(Vベルトがプーリ径方向へのスリップしない状態での最大変速速度)よりも急速な変速が要求されるアクセル開度APOの急変状態をもって、急変速を必要とするアクセル操作があったと判定するような設定値とするのがよく、
この場合、本実施例による変速応答改善制御が、本当に必要な場合にのみ実行されて、それ以外で本実施例による変速応答改善制御が行われる無駄をなくすことができる。
Vベルト式無段変速機2の設計上の変速速度(Vベルトがプーリ径方向へのスリップしない状態での最大変速速度)よりも急速な変速が要求されるアクセル開度APOの急変状態をもって、急変速を必要とするアクセル操作があったと判定するような設定値とするのがよく、
この場合、本実施例による変速応答改善制御が、本当に必要な場合にのみ実行されて、それ以外で本実施例による変速応答改善制御が行われる無駄をなくすことができる。
また本実施例のように、アクセル操作をモニタし、アクセル開度APOおよびアクセル開速度ΔAPOがともに、急変速(ダウンシフト)要求加速判定用の設定開度APOsおよび設定開速度ΔAPOs以上であるとき(ステップS103)、前記した変速応答改善制御(ステップS105〜ステップS107)を実行する場合、
変速比変化量が大きな例えば第4速から第2速への飛び越しダウンシフトが必要な急加速で要求されるような変速速度さえ、これを十分満足させる変速応答となし得て、大いに有用である。
変速比変化量が大きな例えば第4速から第2速への飛び越しダウンシフトが必要な急加速で要求されるような変速速度さえ、これを十分満足させる変速応答となし得て、大いに有用である。
次に図5の急減速時変速制御を説明するに、変速機コントローラ11は、ステップS201での車両の通常走行中、ステップS202において、ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生したか否かをチェックし、
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生しない間は、図5の急減速時変速制御が不要であるから、制御を元に戻して、ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生するまで待機する。
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生しない間は、図5の急減速時変速制御が不要であるから、制御を元に戻して、ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生するまで待機する。
ステップS202でブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが発生したと判定したときは、
ステップS203において、このブレーキペダル踏み込みストロークが急変速を必要とするようなものであるか否かをチェックするため、
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbおよびブレーキペダル踏み込みストローク速度ΔSbをそれぞれ、急変速(ダウンシフト)を要求する急減速の判定用に予め定めておいた設定ストローク量Sboおよび設定ストローク速度ΔSboと対比し、Sb≧Sbo且つΔSb≧ΔSboであるか否かを、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするブレーキペダル踏み込み操作があったか否かをチェックする。
ステップS203において、このブレーキペダル踏み込みストロークが急変速を必要とするようなものであるか否かをチェックするため、
ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbおよびブレーキペダル踏み込みストローク速度ΔSbをそれぞれ、急変速(ダウンシフト)を要求する急減速の判定用に予め定めておいた設定ストローク量Sboおよび設定ストローク速度ΔSboと対比し、Sb≧Sbo且つΔSb≧ΔSboであるか否かを、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするブレーキペダル踏み込み操作があったか否かをチェックする。
ステップS203でSb<Sboおよび/またはΔSb<ΔSboであると判定するときは、つまり、ステップS202で検知したブレーキペダル踏み込み操作が、急変速(ダウンシフト)を必要とするブレーキペダル踏み込み操作でない場合は、
制御をステップS204に進め、このステップS204において、ステップS202で検知したブレーキペダル踏み込み操作に対応する通常の変速を行うと共に、ステップS219で通常走行に復帰する。
制御をステップS204に進め、このステップS204において、ステップS202で検知したブレーキペダル踏み込み操作に対応する通常の変速を行うと共に、ステップS219で通常走行に復帰する。
ステップS203でSb≧Sbo且つΔSb≧ΔSboであると判定するとき、つまり、急変速(ダウンシフト)を必要とするブレーキペダル踏み込み操作があったと判定するとき、
変速機コントローラ11はステップS205を含むループに制御を進めて、以下のごとく本発明に係わる変速制御を遂行することにより、本発明が狙いとする変速応答の改善(変速速度の向上)を実現する。
変速機コントローラ11はステップS205を含むループに制御を進めて、以下のごとく本発明に係わる変速制御を遂行することにより、本発明が狙いとする変速応答の改善(変速速度の向上)を実現する。
変速機コントローラ11は、先ずステップS205において前進クラッチF/Cを解放し、ステップS206において、上記の急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを低下させてプーリ間差推力ΔFを大きくするためにプライマリプーリ圧Ppriを低下させる。
次のステップS207においては、上記のごとくに低下させるプライマリプーリ圧Ppriが目標圧tPpriまで低下したか否かをチェックする。
次のステップS207においては、上記のごとくに低下させるプライマリプーリ圧Ppriが目標圧tPpriまで低下したか否かをチェックする。
ここで目標プライマリプーリ圧tPpriは、プライマリプーリ推力Fp(プーリ間差推力ΔF)に対する変速速度dXp/dtの変化割合が急になる図3のスリップモード域、つまり同図に示す変速特性点のプライマリプーリ圧Pprioよりも低い油圧値に定める。
ステップS207でプライマリプーリ圧Ppriが未だ目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下していないと判定する間は、制御をステップS206に戻してプライマリプーリ圧Ppriを低下させ続ける。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下したとき、ステップS207は制御をステップS208に進め、ここで車速VSPが零か否かにより、停車したか、未だ走行中であるかを判定する。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧tPpriまで低下したとき、ステップS207は制御をステップS208に進め、ここで車速VSPが零か否かにより、停車したか、未だ走行中であるかを判定する。
ステップS208で未だ走行中であると判定する間、ステップS209において、ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが零であるか否かにより、前記のブレーキ操作が終了したか否かを判定し、再加速と判定すべきか否かをチェックする。
ステップS209でSb≠0(ブレーキ操作継続中)と判定する間は、制御をステップS208に戻して、VSP=0の停車か否かをチェックし続ける。
ステップS209でSb≠0(ブレーキ操作継続中)と判定する間は、制御をステップS208に戻して、VSP=0の停車か否かをチェックし続ける。
ステップS208で停車と判定する前にステップS209でブレーキ操作終了(再加速)と判定するときは、
ステップS210において、プライマリプーリ回転数Npriとセカンダリプーリ回転数Nsecとの比(プーリ回転数比)が、当該再加速判定時の車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
ステップS210において、プライマリプーリ回転数Npriとセカンダリプーリ回転数Nsecとの比(プーリ回転数比)が、当該再加速判定時の車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
ステップS210で、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が未だ再加速時車両運転状態対応の目標回転数比tRTOになっていないと判定する間は、制御を元に戻すことによって、
ステップS206およびステップS207で上記のごとく目標プライマリプーリ圧tPpriに低下させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS206およびステップS207で上記のごとく目標プライマリプーリ圧tPpriに低下させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS210でプーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOになった(再加速時車両運転状態対応変速比への変速が終了した)と判定するとき、制御をステップS210からステップS211に進め、このステップS211において、前記低下状態のプライマリプーリ圧Ppriを今度は逆に増圧させる。
次のステップS212においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、通常変速においてプーリ回転数比(Npri/Nsec)を目標回転数比tRTOに保つのに必要な目標圧sPpriまで上昇したか否かをチェックする。
次のステップS212においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、通常変速においてプーリ回転数比(Npri/Nsec)を目標回転数比tRTOに保つのに必要な目標圧sPpriまで上昇したか否かをチェックする。
ステップS212でプライマリプーリ圧Ppriが未だ目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇していないと判定する間は、制御をステップS211に戻してプライマリプーリ圧Ppriを増圧させ続ける。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇したとき、ステップS212は制御をステップS213に進め、ここで、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が、再加速時車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
プライマリプーリ圧Ppriが目標プライマリプーリ圧sPpriまで上昇したとき、ステップS212は制御をステップS213に進め、ここで、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が、再加速時車両運転状態に応じて決まる目標回転数比tRTOになったか否かをチェックする。
ステップS213で、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が未だ目標回転数比tRTOになっていないと判定する間は、制御を元に戻すことによって、
ステップS211およびステップS212で上記のごとく目標プライマリプーリ圧sPpriに上昇させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS211およびステップS212で上記のごとく目標プライマリプーリ圧sPpriに上昇させたプライマリプーリ圧Ppriにより、プーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOにされるようになるまで待機する。
ステップS213でプーリ回転数比(Npri/Nsec)が目標回転数比tRTOになったと判定するとき、制御をステップS213からステップS214に進め、このステップS214において、上記の変速応答改善(変速速度向上)制御により決まるプライマリプーリ回転数Npriに対しエンジン回転数Neが略一致しているか否かをチェックする。
この際、エンジン回転数Neをプライマリプーリ回転数Npriに一致させる回転同期は、エンジンコントローラ12がステップS215〜ステップS217においてエンジン1を以下のごとく回転制御することにより実現する。
この際、エンジン回転数Neをプライマリプーリ回転数Npriに一致させる回転同期は、エンジンコントローラ12がステップS215〜ステップS217においてエンジン1を以下のごとく回転制御することにより実現する。
ステップS215〜ステップS217でのエンジンコントローラ12によるエンジン回転制御は、前記した変速応答改善(変速速度向上)制御と同時並行的に行う。
ステップS215においては、セカンダリプーリ回転数Nsecと、前記したプーリ回転数比(Npri/Nsec)とから、プライマリプーリ回転数Npriにエンジン回転数Neを一致させるのに必要な同期目標エンジン回転数tNeを演算する。
次のステップS216においては、エンジン回転数Neがこの同期目標エンジン回転数tNeに一致するようエンジン1を回転数制御し、
このエンジン回転数制御によりエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したか否かをステップS217でチェックする。
ステップS215においては、セカンダリプーリ回転数Nsecと、前記したプーリ回転数比(Npri/Nsec)とから、プライマリプーリ回転数Npriにエンジン回転数Neを一致させるのに必要な同期目標エンジン回転数tNeを演算する。
次のステップS216においては、エンジン回転数Neがこの同期目標エンジン回転数tNeに一致するようエンジン1を回転数制御し、
このエンジン回転数制御によりエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したか否かをステップS217でチェックする。
ステップS217でエンジン回転数Neが同期目標エンジン回転数tNeに略一致したと判定するに至るまでは、制御をステップS216に戻し、ここで、エンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに一致させるエンジン回転数制御を継続させ、
これによりエンジンコントローラ12は、最終的にエンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに略一致させる。
ただし、上記のように制御されるエンジン回転数Neは、アイドル回転数を下回らないようにすること勿論である。
これによりエンジンコントローラ12は、最終的にエンジン回転数Neを同期目標エンジン回転数tNeに略一致させる。
ただし、上記のように制御されるエンジン回転数Neは、アイドル回転数を下回らないようにすること勿論である。
かかるエンジン側回転同期制御により、エンジン回転数Neが略プライマリプーリ回転数Npriに略一致すると、この一致をステップS214が判定したことを受けて変速機コントローラ11は、制御をステップS214からステップS218に進め、このステップS218において前進クラッチF/Cを締結し、
次のステップS219において、通常走行に復帰することができる。
次のステップS219において、通常走行に復帰することができる。
なお、前進クラッチF/Cの上記締結に際し、エンジン回転数Neが略プライマリプーリ回転数Npriに略一致したときに当該クラッチ締結を行うことから、前進クラッチF/Cの前後回転差が略零のときに当該クラッチの締結が行われることとなり、前進クラッチF/Cの締結ショックが発生するのを回避することができる。
変速機コントローラ11は、ステップS208で減速運転によりそのまま停車した(Sb=0)と判定するときは、ステップS220においてエンジンコントローラ12に、エンジン1をアイドル運転させるエンジントルクダウン指令を発する。
次いで変速機コントローラ11は、ステップS221において、ステップS206およびステップS207で低下されたプライマリプーリ圧Ppriを逆に増圧させる。
次のステップS222においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、プーリ回転数比(Npri/Nsec)を発進用変速比にするのに必要な発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇したか否かをチェックする。
次いで変速機コントローラ11は、ステップS221において、ステップS206およびステップS207で低下されたプライマリプーリ圧Ppriを逆に増圧させる。
次のステップS222においては、上記のごとくに増圧させるプライマリプーリ圧Ppriが、プーリ回転数比(Npri/Nsec)を発進用変速比にするのに必要な発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇したか否かをチェックする。
ステップS222でプライマリプーリ圧Ppriが未だ発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇していないと判定する間は、制御をステップS221に戻してプライマリプーリ圧Ppriを増圧させ続ける。
プライマリプーリ圧Ppriが発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇したとき、ステップS222は制御をステップS223に進め、ここで、前進クラッチF/Cを締結して、図5の制御プログラムから抜ける。
プライマリプーリ圧Ppriが発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇したとき、ステップS222は制御をステップS223に進め、ここで、前進クラッチF/Cを締結して、図5の制御プログラムから抜ける。
上記した本実施例による急減速時変速制御によれば、急変速(ダウンシフト)を要求される急減速時に(ステップS203)、エンジン1およびプライマリプーリ3間のクラッチF/Cを解放させ(ステップS205)、この状態で、上記の急変速(ダウンシフト)時にVベルト5のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなるプライマリプーリ3の推力Fpを、図3のスリップモード域まで低下させるべくプライマリプーリ圧Ppriを目標圧tPpriまで低下させるため(ステップS206およびステップS207)、
Vベルト5が両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bに対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し得ることとなり、ステップS210で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
従って、ステップS205〜ステップS207は、本発明における変速応答改善手段の主要部に相当する。
Vベルト5が両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bに対し変速(ダウンシフト)方向対応のプーリ径方向へスリップしながら上記の変速を促進し得ることとなり、ステップS210で変速終了と判定するまでの時間を短縮して、変速応答を改善することができる。
従って、ステップS205〜ステップS207は、本発明における変速応答改善手段の主要部に相当する。
更に詳述するに、従来のようにVベルト5の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに頼るのでは、Vベルト5の巻き込み時プーリ径方向移動の大きさに限界があることから、急変速要求時において十分な変速応答を確保し得ないが、
本実施例においては上記のごとく、両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bと接触しているVベルト5が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速促進を実現することから、
従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を実現し得て、上記の懸念を払拭することができる。
本実施例においては上記のごとく、両プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bと接触しているVベルト5が、シーブ面上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップして上記の変速促進を実現することから、
従来のような制約無しに、急変速要求時においても十分要求に応え得る変速応答を実現し得て、上記の懸念を払拭することができる。
また、上記の変速応答改善制御中に前進クラッチF/Cを解放しておくことで、この間プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4にエンジントルクが作用しないこととなり、
上記のごとくVベルト5を、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップさせるといえども、Vベルト5の耐久性や、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bの耐久性に悪影響が及ぶ懸念はほとんどない。
上記のごとくVベルト5を、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4b上で変速方向に対応したプーリ径方向へスリップさせるといえども、Vベルト5の耐久性や、プーリシーブ面3a,3bおよび4a,4bの耐久性に悪影響が及ぶ懸念はほとんどない。
なお、ステップS203で急変速を必要とするブレーキ操作か否かの判定に用いる急減速判定用の設定ブレーキストロークSboおよび設定ブレーキストローク速度ΔSboはそれぞれ、
Vベルト式無段変速機2の設計上の変速速度よりも急速な変速が要求されるブレーキペダルの急踏み状態をもって、急変速を必要とするブレーキ操作があったと判定するような設定値とするのがよく、
この場合、本実施例による変速応答改善制御が、本当に必要な場合にのみ実行されて、それ以外で本実施例による変速応答改善制御が行われる無駄をなくすことができる。
Vベルト式無段変速機2の設計上の変速速度よりも急速な変速が要求されるブレーキペダルの急踏み状態をもって、急変速を必要とするブレーキ操作があったと判定するような設定値とするのがよく、
この場合、本実施例による変速応答改善制御が、本当に必要な場合にのみ実行されて、それ以外で本実施例による変速応答改善制御が行われる無駄をなくすことができる。
また本実施例のように、ブレーキ操作をモニタし、ブレーキペダル踏み込みストロークSbおよびブレーキペダル踏み込みストローク速度ΔSbがともに、急変速(ダウンシフト)要求減速判定用の設定ストロークSboおよび設定ストローク速度ΔSbo以上であるとき(ステップS203)、前記した変速応答改善制御(ステップS205〜ステップS207)を実行する場合、
変速比変化量が大きな例えば第3速から第1速への飛び越しダウンシフトが必要な急減速で要求されるような変速速度さえ、これを十分満足させる変速応答となし得て、大いに有用である。
変速比変化量が大きな例えば第3速から第1速への飛び越しダウンシフトが必要な急減速で要求されるような変速速度さえ、これを十分満足させる変速応答となし得て、大いに有用である。
更に本実施例の急減速時変速応答改善制御によれば、当該制御中そのまま停車に至った場合は(ステップS208)、
プライマリプーリ圧Ppriを発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇させ(ステップS221およびステップS222)、その後に前進クラッチF/Cを締結させるため(ステップS223)、
急減速時変速応答改善制御中そのまま停車した場合においても、次の発進に際して、通常と同じ発進変速比選択状態からの発進となり、急減速時変速応答改善制御が発進性能を低下させる懸念をなくすことができる。
従って、ステップS208、ステップS200〜ステップS223も、本発明における変速応答改善手段を構成する。
プライマリプーリ圧Ppriを発進変速比選択用目標圧stPpriまで上昇させ(ステップS221およびステップS222)、その後に前進クラッチF/Cを締結させるため(ステップS223)、
急減速時変速応答改善制御中そのまま停車した場合においても、次の発進に際して、通常と同じ発進変速比選択状態からの発進となり、急減速時変速応答改善制御が発進性能を低下させる懸念をなくすことができる。
従って、ステップS208、ステップS200〜ステップS223も、本発明における変速応答改善手段を構成する。
また本実施例の急減速時変速応答改善制御によれば、当該制御中、停車しないまま再加速することとなった場合は(ステップS209)、
プライマリプーリ圧Ppriを、再加速時車両運転状態対応の変速比が選択されるような目標圧sPpriまで上昇させ(ステップS211およびステップS212)、その後に前進クラッチF/Cを締結させるため(ステップS218)、
急減速時変速応答改善制御中、停車しないまま再加速した場合においても、この再加速に際して、通常と同じ再加速時車両運転状態対応の変速比からの発進となり、急減速時変速応答改善制御が再加速性能を低下させる懸念をなくすことができる。
従って、ステップS209、ステップS211〜ステップS212およびステップS218も、本発明における変速応答改善手段を構成する。
プライマリプーリ圧Ppriを、再加速時車両運転状態対応の変速比が選択されるような目標圧sPpriまで上昇させ(ステップS211およびステップS212)、その後に前進クラッチF/Cを締結させるため(ステップS218)、
急減速時変速応答改善制御中、停車しないまま再加速した場合においても、この再加速に際して、通常と同じ再加速時車両運転状態対応の変速比からの発進となり、急減速時変速応答改善制御が再加速性能を低下させる懸念をなくすことができる。
従って、ステップS209、ステップS211〜ステップS212およびステップS218も、本発明における変速応答改善手段を構成する。
なお本実施例のように、上記の再加速要求を判定するに際し、ブレーキペダル踏み込みストローク量Sbが零となるブレーキ操作解除時をもって再加速要求があると判定する場合(ステップS209)、
アクセルペダルが踏み込まれた時をもって再加速要求があると判定するものに較べ、再加速要求判定を速やかに行うことができ、上記の作用効果を遅滞なく確実に達成することができる。
アクセルペダルが踏み込まれた時をもって再加速要求があると判定するものに較べ、再加速要求判定を速やかに行うことができ、上記の作用効果を遅滞なく確実に達成することができる。
なお上記した何れの実施例においても、急変速がダウンシフトである場合について説明したが、アップシフトである場合も同様の考え方により同様に適用して、所期の変速応答改善効果を達成し得るのは言うまでもない。
また上記した何れの実施例においても、無端巻き掛け伝動部材がVベルト5であるVベルト式無段変速機2を変速応答改善制御の制御対象とした場合について説明を展開したが、無端巻き掛け伝動部材がチェーンなどVベルト5以外の部材である無段変速機を変速応答改善制御の制御対象とした場合も、本発明の前記した着想は同様の考え方により適用可能であることも言うまでもない。
1 エンジン(原動機)
2 Vベルト式無段変速機(無端巻き掛け伝動式無段変速機)
3 プライマリプーリ
3a,3b プーリシーブ面
4 セカンダリプーリ
4a,4b プーリシーブ面
5 Vベルト
6 ファイナルギヤ組
7 駆動輪
8 ブレーキ
11 変速機コントローラ
12 エンジンコントローラ
13 エンジン回転センサ
14 アクセル開度センサ
15 ブレーキペダル踏み込みストロークセンサ
16 プライマリプーリ回転センサ
17 セカンダリプーリ回転センサ
18 車速センサ
2 Vベルト式無段変速機(無端巻き掛け伝動式無段変速機)
3 プライマリプーリ
3a,3b プーリシーブ面
4 セカンダリプーリ
4a,4b プーリシーブ面
5 Vベルト
6 ファイナルギヤ組
7 駆動輪
8 ブレーキ
11 変速機コントローラ
12 エンジンコントローラ
13 エンジン回転センサ
14 アクセル開度センサ
15 ブレーキペダル踏み込みストロークセンサ
16 プライマリプーリ回転センサ
17 セカンダリプーリ回転センサ
18 車速センサ
Claims (11)
- クラッチを介して原動機からの回転を入力されるプライマリプーリと、出力側のセカンダリプーリとの間に、無端巻き掛け伝動部材を掛け渡すと共に、これら各プーリの対向シーブ面を個々のプーリ推力により相互に接近する方向へ附勢して各プーリの対向シーブ面間に無端巻き掛け伝動部材を挟圧することにより、前記両プーリ間での動力伝達が可能で、前記両プーリ推力の相関関係に応じ無段変速が可能な無端巻き掛け伝動式無段変速機において、
前記変速時に、前記クラッチを解放すると共に、前記無端巻き掛け伝動部材が前記シーブ面に対しプーリ径方向へスリップしながら前記変速を生起させるよう、前記プーリ推力の少なくとも一方を制御する変速応答改善手段を設けたことを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記両プーリ推力間における差推力が変速前の差推力よりも大きくなるよう前記プーリ推力の少なくとも一方を制御するものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項2に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記両プーリ推力間における差推力を、この差推力に対する変速速度の変化割合が相対的に急になり始める変速特性点の差推力よりも大きな差推力とすべく前記プーリ推力の少なくとも一方を制御するものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリのうち、前記変速時に無端巻き掛け伝動部材のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなる方のプーリに係わる前記プーリ推力を低下させるものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリのうち、前記変速時に無端巻き掛け伝動部材のプーリ巻き掛け円弧径が大きくなる方のプーリに係わる前記プーリ推力を増大させるものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、無端巻き掛け伝動式無段変速機の設計上の変速速度よりも急速な変速が要求される車両運転状態の急変時に前記クラッチの解放および前記プーリ推力の制御を行うものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項6に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記設計上の変速速度よりも急速な変速が要求される車両運転状態の急変を、アクセル操作から検知するものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項6または7に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、前記設計上の変速速度よりも急速な変速が要求される車両運転状態の急変を、ブレーキ操作から検知するものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、無端巻き掛け伝動式無段変速機の出力回転が零になる停車時に、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリのプーリ推力をそれぞれ、発進変速比選択用のプーリ推力にすると共に、前記クラッチを締結させるものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、無端巻き掛け伝動式無段変速機の出力回転が零になる前に再加速要求があるとき、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリのプーリ推力をそれぞれ、再加速要求時の車両走行状態から求めた目標変速比を実現するためのプーリ推力にすると共に、前記クラッチを締結させるものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。 - 請求項10に記載の変速制御装置において、
前記変速応答改善手段は、ブレーキ操作が解除された時をもって再加速要求があると判定するものであることを特徴とする無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008235993A JP2010071298A (ja) | 2008-09-16 | 2008-09-16 | 無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置 |
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JP2008235993A Pending JP2010071298A (ja) | 2008-09-16 | 2008-09-16 | 無端巻き掛け伝動式無段変速機の変速制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101539403B1 (ko) * | 2014-08-14 | 2015-07-29 | 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 | Cvt 변속기의 제어 장치 및 방법 |
WO2020230804A1 (ja) * | 2019-05-14 | 2020-11-19 | ジヤトコ株式会社 | 車両の制御装置及び車両の制御方法 |
-
2008
- 2008-09-16 JP JP2008235993A patent/JP2010071298A/ja active Pending
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JPWO2020230804A1 (ja) * | 2019-05-14 | 2021-12-02 | ジヤトコ株式会社 | 車両の制御装置及び車両の制御方法 |
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