JP2010070868A - パッドを有するサポータ及びパッドを有するサポータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 関節等を保護するためのパッドを有するサポータであって、布地の伸縮性を損なわずに、雨天での運動の際には、外部からパッドへの水滴の浸入を抑制するサポータ及びサポータの製造方法を提供する。
【解決手段】 間接等を保護するためのパッド6と、パッド6を覆う布地4,5と、布地4の表側の面4aに、パッド6の立体形状に合わせて複数分割され接着剤層7を介して貼り合わされた合成樹脂製のシート材20からなり、布地4の表側の面4aからパッド6への水の浸入を抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】 間接等を保護するためのパッド6と、パッド6を覆う布地4,5と、布地4の表側の面4aに、パッド6の立体形状に合わせて複数分割され接着剤層7を介して貼り合わされた合成樹脂製のシート材20からなり、布地4の表側の面4aからパッド6への水の浸入を抑制する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、関節等を保護するためのパッドを有するサポータに関するもので、特に外部にシート材を接着させたサポータ及びその製造方法に関する。
一般に、スポーツや運動をする場合、関節や腱、軟骨等を保護するためのパッドを有するサポータが使用される。例えば、スノーボードでは膝関節を保護するサポータや当該サポータ機能を備えたウエアが着用され、自転車では股関節とその周辺部を保護するサポータ機能を備えたウエアが着用されている。また、野球では胸郭を保護するサポータも知られている。そこで本明細書では、関節や腱、軟骨等を保護するためのパッドを有するサポータ部材に限らず、上記のパッドを有するサポータ機能を有するウエアを含んで、サポータと表現している。
間接等を保護するためのパッドは、衝撃を吸収する緩衝材であり、ポリウレタン等の合成樹脂のスポンジからなる。サポータ生地は、厚手の合成繊維の織物(布地)からなり、通常、パッドは、布地の裏側に配される。これは、布地がパッドを覆うことで、パッドが直接外部と衝突することによる損傷を軽減しつつ、布地自体の伸縮性を損なわせないためである。特に、関節等の曲げ伸ばしする部位の布地には、伸縮性が求められており、サポータ生地の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維が織り込まれたり、パイル加工が施されたり、多層構造とされる。
ところで、例えばスノーボードや自転車、野球等のスポーツは、主に屋外で行われるが、雨天での運動の際は、外部からの水滴の浸入により、サポータ生地(ウエア)を介して、パッドが吸湿(吸水)し易い。合成樹脂のスポンジからなるパッドが一旦吸湿(吸水)すると、水分を保持するため、乾き難く、着心地が悪くなる。そこで、パッドを覆う布地の表側に、撥水コーティングを施すか、シート状の樹脂を貼り合わせて、パッドを覆う布地の表側からの吸湿(吸水)を抑制する方法が考えられる。しかしながら、撥水コーティングは信頼性に乏しく、容易に剥がれてしまう。また、パッドを覆う布地の表側の凸面に1枚のシートをベタで貼り合わせると、布地の伸縮性がなくなってしまい、関節等の曲げ伸ばしができなくなる。
従来、関節等を保護するためのパッドを有するサポータとしては、特許文献1、2のサポータが文献公知となっている。特許文献1記載のサポータは、伸縮性のある内側筒状布体と外側筒状布体からなる二重の筒状布体の間に三つ折り状態に畳んだ非通気性シートを挿入して、非通気性シートの周縁部を、内側筒状布体の屈曲部の周囲に、伸縮性のない糸で縫い付けてなる手足の屈曲部を保護する布体の構造(請求項1を参照)というものであり、手足の屈曲部の屈曲外側部の乾燥を防止するために、二重の筒状布体の間に三つ折り状態に畳んだ非通気性シートを挿入している。特許文献2記載のサポータは、身体の一部に巻き付けるコルセット本体と、コルセット本体の内側に突出するように該コルセット本体の内部に配置されたクッション材とを備え、前記コルセット本体を身体の一部に巻いたときに前記クッション材が身体の所定部位に当たるように該クッション材の配置位置を設定するようにしたコルセットにおいて、前記コルセット本体の内側面におけるクッション材に対応する部位には、所定形状に切断した弾性を有する弾性シート層と接着剤層とからなるシート本体を、当該シート本体の接着剤層により熱融着させるようにしたコルセット(請求項5を参照)というものであり、見栄えをよくするために、熱転写シートをコルセット本体の外側に熱融着している。
特許第3145311号公報
特開2005−125541号公報
しかしながら、特許文献1記載のサポータは、手足の屈曲部の屈曲外側部の乾燥を防止するために、二重の筒状布体の間に三つ折り状態に畳んだ非通気性シートを挿入することで、乾き難い構成としたものであるから、雨天での運動の際は、非通気性シートが水分を保持することで、着心地が悪くなる。また、特許文献2記載のサポータは、見栄えをよくするために、熱転写シートをコルセット本体(サポータに相当)の外側に熱融着しているものであって、クッション材(パッドに相当)がコルセット本体の内側に突出するように配されている必要がある。つまり、スポーツや運動をする場合のように布地に挿入したパッドの立体形状が外側に突出する構成では、熱転写シートをサポータの外側の凸面に熱融着しようとしても、パッドの立体形状から熱転写シートが剥がれてしまい密着させることが困難である。
そこで、本発明の目的は、関節等を保護するためのパッドを有するサポータであって、布地の伸縮性を損なわずに、サポータの外側の凸面に合わせてシート材を密着させることで、剥がれ難く、外部からパッドへの水滴の浸入を抑制する等の効果が得られるサポータ及びサポータの製造方法を提供することにある。
本発明のパッドを有するサポータは、間接等を保護するためのパッドと、パッドを覆う布地と、布地の表側の凸面に、パッドの立体形状に合わせて複数に分割配置され熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して貼り合わされた合成樹脂製のシート材からなることを特徴とする。本発明によれば、パッドの立体形状に合わせて複数に分割配置された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面に貼り合わせることで、布地の表側の凸面を覆い、シート材を密着させる。そして、1枚のシートをベタで貼り合わせたものと異なり、シート材を複数に分割配置しているので、関節等の曲げ伸ばしにシート材が追従する。
本発明は、前記パッドが複数の布地の間に縫い込まれていることを特徴とする。本発明によれば、パッドと布地とを固着(接着)させることなく、パッドの位置決めができるため、布地の伸縮性を十分に発揮できる。
本発明は、前記複数分割されたシート材のうち、隣接したシート材同士が糸で縫合されていることを特徴とする。本発明は、前記縫合糸が熱融着糸であることが好ましい。本発明によれば、シート材の分割により関節等の曲げ伸ばしが容易となるが、隣接したシート材同士が糸で縫合されていることで、関節等を曲げ伸ばしする際に、複数分割されたシート材同士が離散して隙間が大きくなったり、くっついて重なり合ったりすることがなく、隣接した状態を維持する。前記縫合糸としては、非熱融着糸(例えばレーヨン)や熱融着糸(例えばナイロン)がある。前記縫合糸が、非熱融着糸(例えばレーヨン)であることで、複数分割されたシート材を耐熱補強することができる。また、前記縫合糸が熱融着糸(例えばナイロン)であることで、加熱により溶けた縫合糸同士がくっつくことで縫合糸がほつれ難くなり、スポーツや運動に長時間耐えられる信頼性の高いサポータとなる。
本発明は、前記シート材がポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はアクリルからなることを特徴とする。本発明によれば、前記シート材が有する摩擦係数が小さい滑り易さにより、膝や肘が床等と接触しても、膝や肘を痛めてしまう事態を抑制することができる。また、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材は、いずれも熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーとも呼ばれ、曲り易いが伸びたり縮んだりし難い材質であるため、このポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材により文字図形等の表示が施された表示部材を保護することにより、関節等の曲りに応じてサポータが曲る際にはサポータの曲る機能を損なわせないために上記シート材も追従して曲るが、皮膚の伸び縮みに応じてサポータが伸びたり縮んだりする際には上記シート材は伸びたり縮んだりし難いために、表示部材の文字等の表示が伸び縮みせずに見易いものとなる。
本発明のパッドを有するサポータの製造方法は、パッドを布地で覆って布地の表側の面に立体形状を形成し、パッドの立体形状に合わせて複数分割された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面に貼り合わせることを特徴とする。本発明によれば、パッドの立体形状に合わせて複数に分割された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面の形状に合わせて貼り合わせることで、パッドを覆う布地のパッドに対応するエリアに合成樹脂製のシート材を効果的に密着させることができる。また、熱可塑性接着剤からなる接着剤層を加熱・加圧するとき、加熱により溶けた熱可塑性接着剤を加圧によりはみ出させることで、複数に分割された合成樹脂製のシート材の隣接したシート材同士の隙間を埋めることができる。
本発明は、前記パッドを複数の布地の間に縫い込むことを特徴とする。本発明によれば、パッドと布地とを固着(接着)させることなく、パッドの位置決めができるため、布地の伸縮性を十分に発揮できる。
本発明は、前記シート材がポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はアクリルからなり、前記接着剤層の融点が、シート材の融点及び布地の融点よりも低い温度として構成され、加熱・加圧により一体化させることを特徴とする。また本発明は、前記シート材を同一温度で複数回、加熱・加圧することが好ましい。本発明によれば、接着剤層の融点が、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度として構成して、加熱・加圧により一体化させることにより、例えば透明なシート材に、文字図形等の表示を施した表示部材を介在させたい場合に、文字等の表示が滲まず、サポータ生地等を溶かすことなく、仕上がりの良いサポータとなる。前記シート材を同一温度で複数回(例えば2回)、加熱・加圧することで、パッドの立体形状に対応する布地の表側の凸面周縁部でのシート材と布地との密着性がより一層高められる。また、文字図形等の表示部材をシート材に介在させることでシート材が部分的に膨れたとしても、表示部材を複数に分割配置してそれらを覆うことで、シート材と布地との密着性を維持しつつ、表示部材に亀裂が入ることや表示部材がちぎれることを防止する。
本発明は、前記複数分割された合成樹脂製のシート材のうち、隣接したシート材同士を糸で縫合してから布地の表側の面に貼り合わせることを特徴とする。本発明によれば、合成樹脂製のシート材の接着剤層を加熱・加圧するとき、加熱により溶けた熱可塑性接着剤が加圧によりはみ出す際に、複数分割されたシート材同士が離散して隙間が大きくなることがなく、隣接した状態を維持する。上記隣接したシート材同士を縫合する糸は、シート材のみを縫合することが好ましい。上記隣接したシート材同士を縫合する糸が、熱可塑性接着剤の層を含めずにシート材のみを縫合することで、加熱により熱可塑性接着剤が溶けた状態でも隣接したシート材同士を縫合する糸が緩むことがない。
本発明によれば、パッドの立体形状に合わせて複数に分割配置された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面に貼り合わせることで、布地の表側の凸面を覆い、シート材を密着させる。そして、1枚のシートをベタで貼り合わせたものと異なり、シート材を複数に分割配置しているので、関節等の曲げ伸ばしにシート材が追従する。前記パッドが複数の布地の間に縫い込まれていることで、パッドと布地とを固着(接着)させることなく、パッドの位置決めができるため、布地の伸縮性を十分に発揮できる。シート材の分割により関節等の曲げ伸ばしが容易となるが、隣接したシート材同士が糸で縫合されていることで、関節等を曲げ伸ばしする際に、複数分割されたシート材同士が離散して隙間が大きくなったり、くっついて重なり合ったりすることがなく、隣接した状態を維持する。前記縫合糸としては、非熱融着糸(例えばレーヨン)や熱融着糸(例えばナイロン)がある。前記縫合糸が、非熱融着糸(例えばレーヨン)であることで、複数分割されたシート材を耐熱補強することができる。また、前記縫合糸が熱融着糸(例えばナイロン)であることで、加熱により溶けた縫合糸同士がくっつくことで縫合糸がほつれ難くなり、スポーツや運動に長時間耐えられる信頼性の高いサポータとなる。前記シート材がポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はアクリルからなることで、前記シート材が有する摩擦係数が小さい滑り易さにより、膝や肘が床等と接触しても、膝や肘を痛めてしまう事態を抑制することができる。
本発明によれば、パッドの立体形状に合わせて複数に分割された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面の形状に合わせて貼り合わせることで、パッドを覆う布地のパッドに対応するエリアに合成樹脂製のシート材を効果的に密着させることができる。また、熱可塑性接着剤からなる接着剤層を加熱・加圧するとき、加熱により溶けた熱可塑性接着剤を加圧によりはみ出させることで、複数に分割された合成樹脂製のシート材の隣接したシート材同士の隙間を埋めることができる。そして、前記パッドを複数の布地の間に縫い込むことで、パッドと布地とを固着(接着)させることなく、パッドの位置決めができるため、布地の伸縮性を十分に発揮できる。本発明によれば、接着剤層の融点が、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度として構成して、加熱・加圧により一体化させることにより、例えば透明なシート材に、文字図形等の表示を施した表示部材を介在させたい場合に、文字等の表示が滲まず、サポータ生地等を溶かすことなく、仕上がりの良いサポータとなる。前記シート材を同一温度で複数回(例えば2回)、加熱・加圧することで、パッドの立体形状に対応する布地の表側の凸面周縁部でのシート材と布地との密着性がより一層高められる。また、文字図形等の表示部材をシート材に介在させることでシート材が部分的に膨れたとしても、表示部材を複数に分割配置してそれらを覆うことで、シート材と布地との密着性を維持しつつ、表示部材に亀裂が入ることや表示部材がちぎれることを防止する。前記複数分割された合成樹脂製のシート材のうち、隣接したシート材同士を糸で縫合してから布地の表側の面に貼り合わせることで、合成樹脂製のシート材の接着剤層を加熱・加圧するとき、加熱により溶けた熱可塑性接着剤が加圧によりはみ出す際に、複数分割されたシート材同士が離散して隙間が大きくなることがなく、隣接した状態を維持する。上記隣接したシート材同士を縫合する糸が、熱可塑性接着剤の層を含めずにシート材のみを縫合することで、加熱により熱可塑性接着剤が溶けた状態でも隣接したシート材同士を縫合する糸が緩むことがない。
したがって、これら本発明により、布地の伸縮性を損なわずに、サポータの外側の凸面に合わせてシート材を密着させることで、剥がれ難く、外部からパッドへの水滴の浸入を抑制する等の効果が得られる関節等を保護するためのパッドを有するサポータが実現する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を引用しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ1を示す斜視図である。本実施例は、膝の関節を保護するサポータZ1であり、円筒状に形成された布地の中央(膝蓋骨が当接する位置)に、パッドが配されている。図2(a)は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ1のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図2(b)は、そのA−A線断面図である。本実施の形態は、合成繊維の織物4と合成繊維の織物5の間に、間接等を保護するためのパッド6を配して、パッド6の周囲を非熱融着糸(例えばレーヨン)13で縫い合わせて、パッド6を布地4と5の間に縫い込ませている(図2(b))。パッド6は、正面側から見ると楕円形を2つ繋いだ瓢箪のような形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。パッド6は、衝撃を吸収する緩衝材であり、ポリウレタン等の合成樹脂のスポンジ(フォーム)である。サポータ生地4、5の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維が織り込まれたり、パイル加工が施されたり、多層構造とされる。本実施例では、外側に配される織物4はレーヨンである。これは、手触りがよく、シート材20との接着性が良いためであり、また、内側に配される織物5はポリエステルのフリースとなっている。これは、着心地がよく、保温性に優れているためである。
図1は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ1を示す斜視図である。本実施例は、膝の関節を保護するサポータZ1であり、円筒状に形成された布地の中央(膝蓋骨が当接する位置)に、パッドが配されている。図2(a)は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ1のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図2(b)は、そのA−A線断面図である。本実施の形態は、合成繊維の織物4と合成繊維の織物5の間に、間接等を保護するためのパッド6を配して、パッド6の周囲を非熱融着糸(例えばレーヨン)13で縫い合わせて、パッド6を布地4と5の間に縫い込ませている(図2(b))。パッド6は、正面側から見ると楕円形を2つ繋いだ瓢箪のような形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。パッド6は、衝撃を吸収する緩衝材であり、ポリウレタン等の合成樹脂のスポンジ(フォーム)である。サポータ生地4、5の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維が織り込まれたり、パイル加工が施されたり、多層構造とされる。本実施例では、外側に配される織物4はレーヨンである。これは、手触りがよく、シート材20との接着性が良いためであり、また、内側に配される織物5はポリエステルのフリースとなっている。これは、着心地がよく、保温性に優れているためである。
本実施形態では、布地4の表側の面4aには、パッド6の立体形状に合わせて複数分割され(本実施例では3分割)、接着剤層7を介して、合成樹脂製のシート材20(21、22、23)が貼り合わされている。シート材20は、ポリ塩化ビニル(又はポリウレタン、又はアクリル)からなる。これは、シート材20が有する摩擦係数が小さい滑り易さにより、膝や肘が床等と接触しても、膝や肘を痛めてしまう事態を抑制するためである。また、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材は、いずれも熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーとも呼ばれ、曲り易いが伸びたり縮んだりし難い材質であるため、関節等の曲りに応じてサポータが曲る際にはサポータの曲る機能を損なわせない。接着剤層7は、熱可塑性接着剤からなり、ホットメルト接着剤をシート状に成形したものである。ホットメルト接着剤は、溶剤成分(溶媒)を含まないことから、表示部材3を溶かすことがなく、シート状に成形されていることから、作業性がよい。ホットメルト接着剤のベースポリマーは、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリウレタン等がある。そして、3分割されたシート材21、22、23のうち、隣接したシート材同士(21と22、22と23)が熱融着糸(例えばナイロン)3で縫合されている(図2)。
図3は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ1の製造手順を示す断面図である。本実施形態のパッドを有するサポータZ1の製造方法は、図3(a)に示すように、パッド6を布地4と5の間に縫い込ませた状態のものを、パッド6の立体形状に対応した凸形状のアイロン台K2に載置して、パッド6の立体形状に合わせて3分割されて隣接したシート材同士(21と22、22と23)が熱融着糸(例えばナイロン)3で縫合された合成樹脂製のシート材20(21、22、23)の接着剤層7を、パッド6の立体形状に対応した布地4の表側の面4aに貼り合わせる。そして、パッド6の立体形状に対応した凹形状の加圧プレスK1をシート材20の表側の面20aに重ね合わせて、加熱しながら加圧する(図3(b))。加圧プレスK1にはヒーターが内蔵され、加熱時間は、数十秒から数分程度である。
例えば、凹形状の加圧プレスK1をシート材20に重ね合わせて、110℃の温度で加熱しながら加圧すると、接着剤層7が溶けて織物4に馴染むとともに、シート材20が柔らかくなってパッド6の立体形状に対応した形状に変形する。そして、引き続き120℃の温度で加熱しながら加圧すると、熱融着糸3が溶けてシート材20に馴染む。そして、凹形状の加圧プレスK1をシート材20から離して、自然冷却又は送風等により冷却すると、熱癒着糸3がシート材20に固着し、シート材20の裏面20bと布地4の表側の面4aとが固着した接着剤層7によって接着され、シート材付きサポータZ1となる(図3(c))。なお、布地5の伸縮性が維持されることで、パッド6の凹側と布地5との間には、若干のスペースL1が形成される場合がある。
(第2の実施形態)
図4(a)は、スノーボードにおける膝の関節を保護するパッドを有するサポータ機能を備えたウエアのサポータ機能部Z2のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図4(b)は、そのA−A線断面図である。本実施の形態では、合成繊維の織物が3層構造になっており、合成繊維の織物4と合成繊維の織物51の間に、間接等を保護するためのパッド6を配して、パッド6の周囲を非熱融着糸(例えばレーヨン)13で縫い合わせて、パッド6を布地4と51との間に縫い込ませている(図4(b))。パッド6は、正面側から見ると楕円形を2つ繋いだ瓢箪のような形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。本実施例では、パッド6の中央に所定形状の穴6hが形成されている。パッド6は、衝撃を吸収する緩衝材であり、ポリウレタン等の合成樹脂のスポンジ(フォーム)である。サポータ生地4、5(51,52)の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維が織り込まれたり、パイル加工が施されたり、多層構造とされる。本実施例では、外側に配される織物4はレーヨンであり、内側に配される織物51はナイロンであり、さらに内側に配される織物52はポリエステルのフリースとなっている。
図4(a)は、スノーボードにおける膝の関節を保護するパッドを有するサポータ機能を備えたウエアのサポータ機能部Z2のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図4(b)は、そのA−A線断面図である。本実施の形態では、合成繊維の織物が3層構造になっており、合成繊維の織物4と合成繊維の織物51の間に、間接等を保護するためのパッド6を配して、パッド6の周囲を非熱融着糸(例えばレーヨン)13で縫い合わせて、パッド6を布地4と51との間に縫い込ませている(図4(b))。パッド6は、正面側から見ると楕円形を2つ繋いだ瓢箪のような形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。本実施例では、パッド6の中央に所定形状の穴6hが形成されている。パッド6は、衝撃を吸収する緩衝材であり、ポリウレタン等の合成樹脂のスポンジ(フォーム)である。サポータ生地4、5(51,52)の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維が織り込まれたり、パイル加工が施されたり、多層構造とされる。本実施例では、外側に配される織物4はレーヨンであり、内側に配される織物51はナイロンであり、さらに内側に配される織物52はポリエステルのフリースとなっている。
本実施形態では、布地4の表側の面4aには、パッド6の立体形状に合わせて複数分割され(本実施例では3分割)、接着剤層7を介して、合成樹脂製のシート材20(21、22、23)が貼り合わされている。シート材20は、ポリ塩化ビニル(又はポリウレタン、又はアクリル)からなる。接着剤層7は、熱可塑性接着剤からなり、ホットメルト接着剤をシート状に成形したものである。そして、3分割されたシート材21、22、23のうち、隣接したシート材同士(21と22、22と23)には、僅かな隙間20wが出来ており、隙間20wが接着剤7で埋まっている(図4)。
また本実施形態では、透明又は半透明のシート材20の裏側かつ内側に複数の表示部材8が印刷され、表示部材8の周辺や裏側に接着剤層7が形成されている。表示部材8は、文字、記号や図柄等によって外部からの見栄えを良くしたり、広告するためのものであり、表示部材8の周辺や裏側に接着剤層7が形成されることで、シート材20と布地4とを接着するために必要な接着強度が確保される。表示部材8は、不滅インクや熱硬化前の液体状の樹脂や、溶剤揮発前の液体状の樹脂を樹脂シート材20に印刷したものであり、適宜、着色したり、ラメや蛍光塗料を混ぜたりする。
図5は、本発明を適用したパッドを有するサポータZ2の製造手順を示す断面図である。接着前のシート材20の表側の面20aには、剥離紙9が付いている(図5(a))。これは、3分割されたシート材同士(21と22、22と23)を隣接した状態で接着させるためである。剥離紙9はコーティング紙である。本実施形態のパッドを有するサポータZ2の製造方法は、図5(a)に示すように、パッド6を布地4と51の間に縫い込ませた状態のものを、平らな形状のアイロン台K2に載置する。3分割されて隣接したシート材20(21,22,23)の接着剤層7を、パッド6の立体形状に対応した布地4の表側の面4aに貼り合わせる。そして、パッド6の立体形状に対応した凹形状の加圧プレスK1を剥離紙9に重ね合わせて、加熱しながら加圧する(図5(b))。熱可塑性接着剤からなる接着剤層7の融点は、シート材20と表示部材8の融点及び合成繊維の織物4の融点よりも低い温度として構成されている。すなわち、接着剤層7の融点は80〜110℃であり、シート材20の融点は140〜160℃であり、表示部材8の融点は素材により異なるが140〜400℃であり、合成繊維の織物4の融点は素材や素材の割合により異なるが120〜300℃である。したがって、上記接着剤層7の融点はシート材20の融点よりも低く、かつ、上記接着剤層7の融点は表示部材8の融点よりも低く、かつ、上記接着剤層7の融点は合成繊維の織物4の融点よりも低い。加圧力は、シート材20の素材やサイズにより異なるが20MPa〜200MPa程度である。
例えば、凹形状の加圧プレスK1を剥離紙9に重ね合わせて、110℃の温度で加熱しながら加圧すると、接着剤層7が溶けて織物4に馴染むとともに、シート材20が柔らかくなってパッド6の立体形状に対応した形状に変形し、隣接したシート材同士(21と22、22と23)には、僅かな隙間20wが出来る。そして、溶けた接着剤7が隙間20wに入り込んで、隙間20wが接着剤7で埋まる。加熱時間は、数十秒から数分程度である。そして、凹形状の加圧プレスK1を剥離紙9から離して、接着剤層7の温度が70℃以下程度になり、接着剤7が固化したところで、剥離紙9をシート材20から剥離し、再度、凹形状の加圧プレスK1をシート材20に重ね合わせて、先ほどと同一の温度で加熱しながら加圧する(図5(c))。シート材20を同一温度で複数回(例えば2回)、加熱・加圧することで、パッド6の立体形状に対応する布地4の周縁部でのシート材20と布地4との密着性がより一層高められる。そして、凹形状の加圧プレスK1をシート材20から離して、自然冷却又は送風等により冷却すると、シート材20の裏面20bと布地4の表側の面4aとが固着した接着剤層7によって接着され、文字や図柄等の表示部材8が滲まず、サポータ生地4等を溶かすことなく、仕上がりの良いパッドを有するサポータZ2となる(図5(d))。
(第3の実施形態)
図6(a)は、胸郭を保護するパッドを有するサポータZ3のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図6(b)は、そのA−A線断面図である。本実施例では、パッド6は、正面側から見ると楕円形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。本実施形態では、合成樹脂製のシート材20(24、25、26、27)が、扇形のシート材24から時計回りで順に一部重なり合って、接着剤層7を介して、布地4の表側の面4aに接着されている(図6)。複数分割されたシート材20のうち隣り合ったシート材同士(24と25、25と26、26と27、27と24)の一部が重なり合っているため、布地4を引っ張ってもシート材同士が離れることがない。
図6(a)は、胸郭を保護するパッドを有するサポータZ3のパッドとその周辺部分を示す正面図であり、図6(b)は、そのA−A線断面図である。本実施例では、パッド6は、正面側から見ると楕円形状であり、側面側からみると中央部分が隆起した立体形状となっている。本実施形態では、合成樹脂製のシート材20(24、25、26、27)が、扇形のシート材24から時計回りで順に一部重なり合って、接着剤層7を介して、布地4の表側の面4aに接着されている(図6)。複数分割されたシート材20のうち隣り合ったシート材同士(24と25、25と26、26と27、27と24)の一部が重なり合っているため、布地4を引っ張ってもシート材同士が離れることがない。
上述した本発明の実施の形態では、接着剤層7は、ホットメルト接着剤をシート状に成形したものであるとしたが、ホットメルトアプリケータにより該接着剤をシート材20の裏側の面20bに塗布して接着剤層7としてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
Z1,Z2,Z3 パッドを有するサポータ、
20 シート材、
3 糸(非融着糸)、
4,5,51,52 布地(合成繊維の織物)、
6 パッド、
7 接着剤層、熱可塑性接着剤、
8 表示部材、
K1,K2 加熱・加圧手段
20 シート材、
3 糸(非融着糸)、
4,5,51,52 布地(合成繊維の織物)、
6 パッド、
7 接着剤層、熱可塑性接着剤、
8 表示部材、
K1,K2 加熱・加圧手段
Claims (9)
- 間接等を保護するためのパッドと、パッドを覆う布地と、布地の表側の凸面に、パッドの立体形状に合わせて複数に分割配置され熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して貼り合わされた合成樹脂製のシート材からなることを特徴とするパッドを有するサポータ。
- 前記パッドが複数の布地の間に縫い込まれていることを特徴とする請求項1記載のパッドを有するサポータ。
- 前記複数分割されたシート材のうち、隣接したシート材同士が糸で縫合されていることを特徴とする請求項1記載のパッドを有するサポータ。
- 前記縫合糸が熱融着糸であることを特徴とする請求項3記載のパッドを有するサポータ。
- 前記シート材がポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はアクリルからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のパッドを有するサポータ。
- パッドを布地で覆って布地の表側の面に立体形状を形成し、パッドの立体形状に合わせて複数分割された合成樹脂製のシート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して布地の表側の凸面に貼り合わせることを特徴とするパッドを有するサポータの製造方法。
- 前記パッドを複数の布地の間に縫い込むことを特徴とする請求項6記載のパッドを有するサポータの製造方法。
- 前記シート材がポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はアクリルからなり、前記接着剤層の融点が、シート材の融点及び布地の融点よりも低い温度として構成され、加熱・加圧により一体化させることを特徴とする請求項6記載のパッドを有するサポータの製造方法。
- 前記複数分割された合成樹脂製のシート材のうち、隣接したシート材同士を糸で縫合してから布地の表側の面に貼り合わせることを特徴とする請求項8記載のパッドを有するサポータの製造方法。
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JP2008236791A JP2010070868A (ja) | 2008-09-16 | 2008-09-16 | パッドを有するサポータ及びパッドを有するサポータの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014132454A1 (ja) | 2013-02-26 | 2014-09-04 | 有限会社ナイセム | 縫合部を有する医療用具の製造に用いる縫合糸、その使用法及び該縫合糸を使用して縫着した医療用具 |
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2008
- 2008-09-16 JP JP2008236791A patent/JP2010070868A/ja active Pending
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WO2014132454A1 (ja) | 2013-02-26 | 2014-09-04 | 有限会社ナイセム | 縫合部を有する医療用具の製造に用いる縫合糸、その使用法及び該縫合糸を使用して縫着した医療用具 |
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