JP2010070040A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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Toru Matsubara
亨 松原
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淳 田端
Masakazu Kaibuki
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Abstract

【課題】動力源と、その動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置において、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】加速操作時における第2電動機M2の出力制限に応じてダウン変速幅を制限するためのダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段106を備えるものである。このようにすれば、第2電動機M2の出力制限に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、動力源と、その動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置に係り、特に、ダウン変速時の駆動力応答性向上に関するものである。
動力源と、その動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置がよく知られている。例えば、特許文献1の車両用駆動装置の制御装置がその一例である。特許文献1には、電動機のアシストトルク発生可能量に応じて変速部の変速比を小さく変更する技術が開示されている。上記によれば、例えばアシストトルクの発生可能量が大きいとき、変速部の変速比の変化によって車両の駆動力を補う必要性が緩和されるので、所定の回転要素の高回転化が抑制され、その回転要素を回転可能に支持する軸受の耐久性低下が抑制される。
特開2005−337372号公報
ところで、特許文献1をはじめとするハイブリッド型式の車両用動力伝達装置において、例えば変速部が高速ギヤ段(第4速ギヤ段など)で走行中に、アクセルペダルが大きく踏み込まれることで、低速ギヤ段(第1速ギヤ段など)へのダウン変速出力判断が為される領域がある。ここで、高速ギヤ段と低速ギヤ段とで共通する係合要素を有さない場合、具体的には、それぞれのギヤ段を成立させるために係合される係合要素が共通しない場合、直接の高速ギヤ段から低速ギヤ段への飛び変速が困難となるため、例えば高速ギヤ段から低速ギヤ段への間の中間ギヤ段を介して順番に変速させることになる。上記のように変速を実行すると、変速時間が長くなり駆動力応答性が低下する可能性があった。また、仮に飛び変速が可能であってもギヤ比幅が大きいため、高速ギヤ段から低速ギヤ段への変速は、回転変化に時間がかかり応答性が低下する可能性があった。上記課題は未公知の課題であったため、その課題に対する解決策は何ら見出されていなかった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、動力源と、その動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置において、変速部を高速ギヤ段から低速ギヤ段へ飛び変速させる変速判断が為されたとき、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)加速操作時における前記電動機の出力制限に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための請求項2にかかる発明の要旨とするところは、(a)動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)加速操作時における動力源による駆動力に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための請求項3にかかる発明の要旨とするところは、(a)動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)運転者の加速操作量の変化に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記電動機の出力制限が実施されるとき、前記ダウン変速制限領域変更手段は、前記ダウン変速制限領域を狭くすることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機の温度が定格的に定められた出力制限温度にあるときであることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記変速部の作動油の油温が予め設定された高温領域または低温領域にあるときであることを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明の要旨とするところは、請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機に電力を供給する蓄電装置の出力電力が制限されるときであることを特徴とする。
また、請求項8にかかる発明の要旨とするところは、請求項2の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速部のダウン変速幅が制限された場合の駆動力と、ダウン変速幅が制限されない場合の駆動力との駆動力差が所定値以内の領域において、ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする。
また、請求項9にかかる発明の要旨とすることろは、請求項8の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記駆動力差が、前記電動機によって補償可能なとき、ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする。
また、請求項10にかかる発明の要旨とすることろは、請求項3の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記運転者の加速操作量の変化が所定値以上であるとき、前記ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする。
また、請求項11にかかる発明の要旨とすることろは、請求項1乃至10のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記ダウン変速幅が制限された駆動状態において、所定時間内に車速が上昇しない場合、ダウン変速制限領域が解除されることを特徴とする。
また、請求項12にかかる発明の要旨とすることろは、請求項1乃至10のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、キックダウンスイッチがオン操作された場合、前記ダウン変速制限領域が解除されることを特徴とする。
また、請求項13にかかる発明の要旨とすることろは、請求項1乃至12のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記動力源および前記電動機の動力は、差動機構によって動力が分配される電気式差動部を介して前記駆動輪に動力が伝達されることを特徴とする。
また、請求項14にかかる発明の要旨とすることろは、請求項13の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記電気式差動部は、遊星歯車装置と前記電動機を含む2つの電動機で構成される電気的な無段変速部であることを特徴とする。
また、請求項15にかかる発明の要旨とすることろは、請求項1乃至14のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速部は、機械的に変速比が設定される有段変速部であることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、加速操作時における前記電動機の出力制限に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えるものである。このようにすれば、電動機の出力制限に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、電動機の出力制限が実施されない場合、例えばダウン変速制限領域を広くすることで変速部のダウン変速幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段に変速される領域が広くなるので、駆動力応答性の低下が抑制される。ここで、ダウン変速幅が制限されると、制限されない場合と比べて車両駆動力が低下するが、電動機の出力トルクによってその駆動力差をアシストすることで、制限されない場合と同様の駆動力を得ることができる。また、電動機の出力制限が実施される場合、例えばダウン変速制限領域を狭くすることで、ダウン変速幅が制限されない領域が広くなるので、電動機の出力制限が実施された状態であっても必要な車両駆動力を得ることができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、加速操作時における動力源による駆動力に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えるものである。このようにすれば、動力源による駆動力に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、ダウン変速幅制限時の動力源による駆動力とダウン変速幅非制限時の動力源による駆動力との駆動力差が小さいとき、ダウン変速制限領域を設定することで変速部の変速比幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段に変速されるので、駆動力応答性の低下が抑制される。また、駆動力差が小さいときに変速比幅が制限されることで、制限されない場合と略同様の駆動力を得ることができる。また、ダウン変速幅制限時の動力源による駆動力とダウン変速幅非制限時の動力源による駆動力との駆動力差が大きいとき、ダウン変速制限領域を設定しないことで、ダウン変速幅が大きくなり、必要な駆動力を得ることができる。
また、請求項3にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、運転者の加速操作量の変化に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えるものである。このようにすれば、運転者の加速操作量の変化に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、例えば運転者の加速操作量の変化が大きいとき、ダウン変速制限領域を設定することで、ダウン変速幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段に変速されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。
また、請求項4にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記電動機の出力制限が実施されるとき、前記ダウン変速制限領域変更手段は、前記ダウン変速制限領域を狭くするので、電動機の出力制限による駆動力不足に対して、大きな変速比幅でダウン変速されるため、その駆動力不足をなくすことができる。
また、請求項5にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機の温度が定格的に定められた出力制限温度にあるときであるため、電動機の温度を検出することで、速やかに電動機の出力制限を判断することができる。
また、請求項6にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記変速部の作動油の油温が予め設定された高温領域または低温領域にあるときであるため、作動油の油温を検出することで、速やかに電動機の出力制限を判断することができる。
また、請求項7にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機に電力を供給する蓄電装置の出力電力が制限されるときであるため、蓄電装置の出力電力の制限を検出することで、速やかに電動機の出力制限を判断することができる。
また、請求項8にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部のダウン変速幅が制限された場合の駆動力と、ダウン変速幅が制限されない場合の駆動力との駆動力差が所定値未満の領域において、ダウン変速制限領域が設定されるため、上記領域ではダウン変速幅が制限されることによって速やかなダウン変速が可能な変速段に変速されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。
また、請求項9にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記駆動力差が、前記電動機によって補償可能なとき、ダウン変速制限領域が設定されるため、上記駆動力差を電動機によって補償することで、駆動力差に基づく駆動力不足をなくすことができる。
また、請求項10にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記運転者の加速操作量の変化が所定値以上であるとき、前記ダウン変速制限領域が設定されるため、運転者の加速要求に対する駆動力応答性の低下を効果的に抑制することができる。
また、請求項11にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記ダウン変速幅が制限された駆動状態において、所定時間内に車速が上昇しない場合、ダウン変速制限領域が解除されるため、変速部がさらにダウン変速されるに伴い加速に必要な駆動力が得られ、車両が増速されて運転者の加速要求を満たすことができる。
また、請求項12にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、キックダウンスイッチがオン操作された場合、前記ダウン変速制限領域が解除されるため、ダウン変速幅の制限が解除され、運転者の加速要求を過不足無く満たすことができる。
また、請求項13にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記動力源および前記電動機の動力は、差動機構によって動力が分配される電気式差動部を介して前記駆動輪に動力が伝達されるため、動力源および電動機の動力が適宜分配或いは合成されて、好適な車両駆動力を得ることができる。
また、請求項14にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記電気式差動部は、遊星歯車装置と前記電動機を含む2つの電動機で構成される電気的な無段変速部であるため、変速比が無段階的に変更されることで好適な車両駆動力を得ることができる。
また、請求項15にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部は、機械的に変速比が設定される有段変速部であるため、ダウン変速制限領域の変更に従って、変速比が適宜変更されて好適な車両駆動力を得ることができる。
ここで、好適には、変速比幅が制限される場合に変速される変速段は、現在の変速段から速やかに変速可能な変速段であるものとする。このようにすれば、変速比幅が制限されない場合に変速される変速段に比べて駆動力応答性が向上する。なお、速やかに変速可能な変速段とは、そのときの変速段から直接的に変速可能な変速段であり、例えば1つのクラッチツウクラッチ変速で変速可能な変速段等が対応する。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の一部を構成する変速機構10を説明する骨子図である。図1において、変速機構10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接的に連結された無段変速部としての差動部11と、その差動部11から駆動輪34(図6参照)への動力伝達経路で伝達部材18を介して直列に連結されている動力伝達部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機構10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8(動力源)と一対の駆動輪34(図6参照)との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)32(図6参照)および一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪34へ伝達する。
このように、本実施例の変速機構10においては、エンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介すことなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。
差動部11は、第1電動機M1と、入力軸14に連結されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機M2とを備えている。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の駆動源として駆動力を出力するためのモータ(電動機)機能を少なくとも備えている。なお、本実施例の差動部11が、本発明の電気式差動部に対応しており、動力分配機構16が、本発明の差動機構に対応している。
動力分配機構16は、所定のギヤ比ρ0(=0.416)を有するシングルピニオン型の差動遊星歯車装置24を主体として構成されている。この差動遊星歯車装置24は、差動サンギヤS0、差動遊星歯車P0、その差動遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動キャリヤCA0、差動遊星歯車P0を介して差動サンギヤS0と噛み合う差動リングギヤR0を回転要素として備えている。なお、差動サンギヤS0の歯数をZS0、差動リングギヤR0の歯数をZR0とすると、上記ギヤ比ρ0はZS0/ZR0である。
この動力分配機構16においては、差動キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結されて第1回転要素RE1を構成し、差動サンギヤS0は第1電動機M1に連結されて第2回転要素RE2を構成し、差動リングギヤR0は伝達部材18に連結されて第3回転要素RE3を構成している。このように構成された動力分配機構16は、差動遊星歯車装置24の3要素である差動サンギヤS0、差動キャリヤCA0、差動リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能すなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18に分配されると共に、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度NIN/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。
自動変速部20(変速部)は、エンジン8と駆動輪34との間の動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28を備え、有段式の自動変速部として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、所定のギヤ比ρ1(=0.488)を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、所定のギヤ比ρ2(=455)を有している。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2である。
自動変速部20では、第1サンギヤS1は第3クラッチC3を介して伝達部材18に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2サンギヤS2が第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。さらに第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とは一方向クラッチF1を介して非回転部材であるケース12に連結されてエンジン8と同方向の回転が許容され逆方向の回転が禁止されている。これにより、第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2は、逆回転不能な回転部材として機能する。
また、この自動変速部20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて複数のギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1の係合および一方向クラッチFにより変速比が「3.20」程度となる第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比が「1.72」程度となる第2速ギヤ速段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比が「1.00」程度となる第3速ギヤ段が成立させられ、第2クラッチC2および第1ブレーキB1の係合により変速比が「0.67」程度となる第4速ギヤ段が成立させられ、第3クラッチC3および第2ブレーキB2の係合により変速比が「2.04」程度となる後進ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。また、第1速ギヤ段のエンジンブレーキの際には、第2ブレーキB2が係合させられる。
このように、自動変速部20内の動力伝達経路は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の係合と解放との作動の組合せにより、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態との間で切り換えられる。つまり、第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段および後進ギヤ段の何れかが成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、何れのギヤ段も成立させられないことで例えばニュートラル「N」状態が成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用自動変速機においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された変速機構10において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部20とで無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部20とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の少なくとも1つの変速段Mに対して自動変速部20に入力される回転速度(以下、自動変速部20の入力回転速度)すなわち伝達部材18の回転速度(以下、伝達部材回転速度N18)が無段的に変化させられてその変速段Mにおいて無段的な変速比幅が得られる。したがって、変速機構10の総合変速比γT(=入力軸14の回転速度NIN/出力軸22の回転速度NOUT)が無段階に得られ、変速機構10において無段変速機が構成される。この変速機構10の総合変速比γTは、差動部11の変速比γ0と自動変速部20の変速比γとに基づいて形成される変速機構10全体としてのトータル変速比γTである。
例えば、図2の係合作動表に示される自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、変速機構10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、変速機構10において有段変速機と同等の状態が構成される。
図3は、差動部11と自動変速部20とから構成される変速機構10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Nを示し、X3が差動部11から自動変速部20に入力される後述する第3回転要素RE3の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。さらに、自動変速部20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応する第2サンギヤS2を、第5回転要素RE5に対応する相互に連結された第1リングギヤR1および第2キャリヤCA2を、第6回転要素RE6に対応する相互に連結された第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2を、第7回転要素RE7に対応する第1サンギヤS1をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2遊星歯車装置26、28のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ0に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第1、第2遊星歯車装置26、28毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機構10は、動力分配機構16(差動部11)において、差動遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結され、第3回転要素(差動リングギヤR0)RE3が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動サンギヤS0の回転速度と差動リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされており、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、第1電動機M1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される差動サンギヤS0の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y2との交点で示される差動キャリヤCA0の回転速度すなわちエンジン回転速度Nが上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転がエンジン回転速度Nと同じ回転とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Nと同じ回転で差動リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転が零とされると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Nよりも増速されて伝達部材18が回転させられる。
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は第3クラッチC3を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結されている。
自動変速部20では、例えば差動部11において第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転速度を略零とすると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Nよりも増速されて第3回転要素RE3に出力される。そして図3に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第4回転要素RE4の回転速度を示す縦線Y4と横線X3との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示され、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。
図4は、本実施例の変速機構10を制御するための電子制御装置100に入力される信号及びその電子制御装置100から出力される信号を例示している。この電子制御装置100は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1、第2電動機M1、M2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
電子制御装置100には、図4に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン水温TEMPを表す信号、シフトレバー52(図5参照)のシフトポジションPSHや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、ギヤ比列設定値を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動状態A/Cを表す信号、車速センサ80によって検出される出力軸22の回転速度(以下、出力軸回転速度)NOUTに対応する車速Vを表す信号、AT油温センサ82によって検出される自動変速部20の作動油温TOILを表す信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を表す信号、触媒温度を表す信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号、各車輪の車輪速を表す信号、レゾルバ等からなる回転速度センサ84によって検出される第1電動機M1の回転速度NM1(以下、第1電動機回転速度NM1という)を表す信号、レゾルバ等からなる回転速度センサ86によって検出される第2電動機M2の回転速度NM2(以下、第2電動機回転速度NM2という)を表す信号、蓄電装置56(図6参照)の充電容量(充電状態)SOCを表す信号、第1電動機M1または第2電動機M2の電動機温度センサ88によって検出される第1電動機M1または第2電動機M2の電動機温度TMOを表す信号などが、それぞれ供給される。
また、上記電子制御装置100からは、エンジン出力を制御するエンジン出力制御装置58(図6参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管60に備えられた電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTHを操作するスロットルアクチュエータ64への駆動信号や燃料噴射装置66による吸気管60或いはエンジン8の筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置68によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、電動機M1およびM2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図6参照)に含まれる電磁弁(リニアソレノイドバルブ)を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御回路70に設けられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧Pを調圧するための信号、そのライン油圧Pが調圧されるための元圧の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号、パーキングロック駆動モータを駆動するための信号等が、それぞれ出力される。
図5は複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置50の一例を示す図である。このシフト操作装置50は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えている。
そのシフトレバー52は、変速機構10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22を回転不能に固定する(すなわちロックする)ための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、変速機構10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、自動変速モードを成立させて差動部11の無段的な変速比幅と自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる変速機構10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または手動変速走行モード(手動モード)を成立させて自動変速部20における高速側の変速段を制限する所謂変速レンジを設定するための前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。また、この「M」ポジションにおいては、変速レンジを切り換えることにより減速度を設定することが可能であることから、このシフト操作装置50は減速度操作装置として機能させられる。
上記シフトレバー52の各シフトポジションPSHへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば電気制御により変速機構10の動力伝達状態を切り替える所謂シフトバイワイヤシステムによって油圧制御回路が電気的に切り換えられる。
上記「P」乃至「M」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジションおよび「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、自動変速部20内の動力伝達経路が遮断された車両を駆動不能とする動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択するための非駆動ポジションである。また、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「M」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、自動変速部20内の動力伝達経路が連結された車両を駆動可能とする動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択するための駆動ポジションでもある。
具体的には、シフトレバー52が「P」ポジションへ手動操作されることでクラッチCおよびブレーキBのいずれもが解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされると共に自動変速部20の出力軸22がロックされ、「N」ポジションへ手動操作されることでクラッチCおよびブレーキBのいずれもが解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされ、「R」、「D」、および「M」ポジションのいずれかへ手動操作されることで各ポジションに対応したいずれかのギヤ段が成立させられて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達可能状態とされる。
図6は、電子制御装置100による制御機能の一部であるエンジン起動装置の制御機能を説明する機能ブロック線図である。図6において、有段変速制御手段102は、図7に示すような車速Vとアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accとを変数として予め記憶されたアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(一点鎖線)を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行する。
このとき、有段変速制御手段102は、例えば図2に示す係合作動表に従って変速段が達成されるように、自動変速部20の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および解放させる司令(変速出力指令、油圧指令)、すなわち自動変速部20の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部20の変速を実行させる指令を出力することで、油圧式制御装置70内のリニアソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
ハイブリッド制御装置104は、エンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機M2との駆動力の配分や第1電動機M1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度Accや車速Vから車両の目標出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求量から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、第2電動機M2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力を算出し、その目標エンジン出力が得られるエンジン回転速度NとエンジントルクTとなるようにエンジン8を制御するとともに第1電動機M1の発電量を制御する。
例えば、ハイブリッド制御手段104は、その制御を動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮して実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Nと車速Vおよび自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段104は、エンジン回転速度Nとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Tとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶された図8の破線に示すようなエンジン8の最適燃費率曲線に沿ってエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力を充足するために必要なエンジン出力を発生するためのエンジントルクTとエンジン回転速度Nとなるように、変速機構10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように自動変速部20の変速段を考慮して差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γ0をその変速可能な変化範囲内で制御する。
このとき、ハイブリッド制御手段104は、第1電動機M1により発電された電気エネルギをインバータ54を通して蓄電装置54や第2電動機M2に供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は第1電動機M1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ54を通して電気エネルギが第2電動機M2へ供給され、その第2電動機M2が駆動されて第2電動機M2から伝達部材18へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機M2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。
また、ハイブリッド制御手段104は、車両の停止中または走行中に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能によって第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を制御してエンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御させられる。言い換えれば、ハイブリッド制御手段104は、エンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を任意の回転速度に回転制御することができる。
例えば、図3の共線図からもわかるようにハイブリッド制御手段104は車両走行中にエンジン回転速度Nを引き上げる場合には、車速V(駆動輪34)に拘束される第2電動機回転速度NM2を略一定に維持しつつ第1電動機回転速度NM1の引き上げを実行する。また、ハイブリッド制御手段104は、自動変速部20の変速中にエンジン回転速度Nを略一定に維持する場合には、エンジン回転速度Nを略一定に維持しつつ自動変速部20の変速に伴う第2電動機回転速度NM2の変化とは反対方向に第1電動機回転速度NM1を変化させる。
また、ハイブリッド制御手段104は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジン出力制御装置58に出力して、必要なエンジン出力を発生させるようにエンジン8の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
例えば、ハイブリッド制御手段104は、基本的には図示しない予め記憶された関係からアクセル開度Accに基づいてスロットルアクチュエータ64を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるようにスロットル制御を実行する。また、このエンジン出力制御装置58は、ハイブリッド制御手段104による指令に従って、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御するなどしてエンジントルク制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段104は、エンジン8の停止またはアイドル状態に拘わらず、差動装置11の電気的CVT機能(差動作用)によってモータ走行させることができる。例えば、ハイブリッド制御手段104は、一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTOUT域すなわち低エンジントルクT域、或いは車速Vの比較的低車速域すなわち低負荷域において、モータ走行を実行する。また、ハイブリッド制御手段104は、このモータ走行時には、停止しているエンジン8の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)によって、第1電動機回転速度NM1を負の回転速度で制御例えば空転させて、差動部11の差動作用により必要に応じてエンジン回転速度Nを零乃至略零に維持する。
また、ハイブリッド制御手段104は、エンジン走行領域であっても、上述した電気パスによる第1電動機M1からの電気エネルギおよび/または蓄電装置56からの電気エネルギを第2電動機M2へ供給し、その第2電動機M2を駆動して駆動輪34にトルクを付与することにより、エンジン8の動力を補助するための所謂トルクアシストが可能である。
また、ハイブリッド制御手段104は、蓄電装置56からインバータ54を介して供給される第1電動機M1への駆動電流を遮断して第1電動機M1を無負荷状態とする。第1電動機M1は無負荷状態とされると自由回転することすなわち空転することが許容され、差動部11はトルクの伝達が不能な状態すなわち差動部11内の動力伝達経路が遮断された状態と同等の状態であって、且つ差動部11からの出力が発生されない状態とされる。すなわち、ハイブリッド制御手段104は、第1電動機M1を無負荷状態とすることにより差動部11をその動力伝達経路が電気的に遮断される中立状態(ニュートラル状態)とする。
ところで、図7の変速線図に示すように、自動変速部20が高速ギヤ段である第4速ギヤ段で走行中に、アクセルペダルの踏み込み操作が為されることで、最低速ギヤ段である第1速ギヤ段へ変速される領域がある。具体的には、図7の斜線部が対応しており、矢印で示すようにアクセル開度Accが増加すると、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への変速判定が出力される。
ここで、第4速ギヤ段は、図2に示すように、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合されることで成立される一方、第1速ギヤ段は、第1クラッチC1および一方向クラッチF1または第2ブレーキB2が係合されることで成立される。したがって、第4速ギヤ段および第1速ギヤ段には、互いに共通する摩擦係合装置が存在せず、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への直接の飛び変速は困難となる。そこで、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への変速を実施する場合、通常、例えば第4速ギヤ段から中間変速段として機能する第2速ギヤ段へのダウン変速を実施した後、次いで、第2速ギヤ段から第1速ギヤ段への変速を順番に実施する制御が実施される。なお、第2速ギヤ段は、第4速ギヤ段と共通する摩擦係合装置すなわち第1ブレーキB1が係合されるので、第4速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速では、第2クラッチC2を解放すると共に、第1クラッチC1を係合する所謂クラッチツウクラッチ制御を実施することによる直接の飛び変速が可能となる。
上記のように変速を実施する場合、変速制御を2つに分けて実施するため、変速時間が長くなり、駆動力応答性が悪化する可能性があった。そこで、図7に矢印に示すように第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へのダウン変速判定が為されるに際して、斜線で示す領域をダウン変速制限領域と定義し、この領域では、第1速ギヤ段へのダウン変速を禁止し、例えば第1速ギヤ段よりも変速比の小さい第2速ギヤ段に変速させる。このようにすれば、第4速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速では、直接の変速が可能なことから駆動力応答性は上昇するものの、第1速ギヤ段に変速される場合に比べて得られる駆動力が低下する。
上記状態を図を用いて説明する。図9は、各ギヤ段(第1速ギヤ段〜第4速ギヤ段)に変速されたときに得られる車両駆動力の関係を示す駆動力線図である。図9によれば、例えば車速Aの状態で第1速ギヤ段(1st)へ変速されると駆動力T1が得られ、第2速ギヤ段へ変速されると駆動力T2が得られる。すなわち、第2速ギヤ段(2nd)へ変速された場合、第1速ギヤ段へ変速された場合と比べ、駆動力差ΔT(=T1−T2)だけ駆動力が低下する。なお、図9はエンジン8のみによって得られる車両駆動力を示すものとする。
これに対して、本実施例では、上記駆動力差ΔTを本発明の電動機に対応する第2電動機M2のトルクアシストによって補償する。これにより、第2速ギヤ段へ変速されても駆動力の不足分を第2電動機M2によって補償することで、第1速ギヤ段に変速された場合と同様の駆動力を得ることができ、しかも、第2速ギヤ段へ変速された場合、第1速ギヤ段へ変速された場合と比べて速やかに変速されるので、駆動力応答性の低下も抑制される。
しかしながら、例えば第2電動機M2の出力制限が実施されるなどすると、第2電動機M2によるトルクアシストが困難となり、第2速ギヤ段への変速では十分な駆動力を得られなくなる可能性があった。そこで、ダウン変速制限領域変更手段106は、第2電動機M2の出力制限等に基づいて、ダウン変速制限領域を変更する。以下、上記ダウン変速制限領域変更手段106による制御作動について説明する。
図6に戻り、Dレンジ走行判断手段108は、現在の走行レンジが前進走行レンジである「D」レンジであるか否かを判定する。「D」レンジの判定は、例えばシフト操作装置50から出力されるシフトポジション信号PSHに基づいて判定される。なお、ダウン変速制限領域変更手段106は前進走行レンジにおいて実施される制御であるため、Dレンジ走行判断手段108の判断結果に基づいて、ダウン変速制限領域変更手段106を実施するか否かが判断される。
ローギヤ変速出力判断手段110は、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への変速判定が為されるか否かを判断する。具体的には、例えば図7の矢印に示すようになアクセル開度Accの増加、或いは車速Vの低下に伴い、第4速ギヤ段の走行領域から第1速ギヤ段への走行領域へ車両の走行状態が変化した否かが判定される。なお、本実施例においては、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へのダウン変速に際して、ダウン変速制限領域が変更されるものであるため、ローギヤ変速出力判断手段110は、ダウン変速制限領域変更手段106を実施するか否かの判断手段として機能する。
そして、ダウン変速制限領域変更手段106は、アクセル操作変化量判断手段112、駆動力差判断手段114、および電動機出力制限判断手段116の各判断に基づいて、ダウン変速制限領域を変更する。アクセル操作変化量判断手段112は、運転者の加速操作量に対応するアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度Accの変化が所定値以上であるか否か、具体的には、例えばアクセル開度Accが全閉もしくは低開度状態から高開度状態に変更された否か、言い換えれば、アクセル開度Accの増加に伴い、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へのダウン変速判断が為されるか否かを判断する。また、上記判定は、図7において矢印に示す状態が対応している。なお、例えばアクセル開度Accの変化量が略一定状態で車速Vが低下する場合、具体的には、トーイング時(牽引時)、坂路走行時、コースト走行時等において、上記判定が否定される。本発明は、運転者の加速操作に伴うパワーオンダウン変速時において実施されるものである。そこで、アクセル操作変化量判断手段112が否定される場合、具体的には、速度低下に伴う第1速ギヤ段へのダウン変速の場合、ダウン変速制限領域変更手段106は、ダウン変速制限領域をなくし、第1速ギヤ段へのダウン変速を実施させる。なお、上記のような速度低下に伴うダウン変速(パワーオフダウン)の場合、駆動力応答性は比較的要求されないので、中間変速段として第2速ギヤ段への変速を伴う変速であっても構わない。
駆動力差判断手段114は、自動変速部20が図7の矢印に示すように、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へダウン変速されるに際して、第1速ギヤ段に変速されることにより得られる駆動力と、ダウン変速幅が制限された場合に対応する第1速ギヤ段よりも変速比の小さい第2速ギヤ段へ変速されることにより得られる駆動力との駆動力差ΔTが予め設定された所定値以内の領域であるか否かを判定する。
例えば、図9に示す駆動力線図において、車速VがA(km/h)であるとき、第1速ギヤ段に変速された場合に得られる車両駆動力T1と、第2速ギヤ段へ変速された場合に得られる車両駆動力T2との駆動力差ΔT(=T1−T2)が予め設定された所定値ΔT以内か否かを判定する。上記所定値ΔTは、予め実験的に設定され、例えば第2速ギヤ段へ変速された場合であっても、運転者が駆動力差ΔTによる違和感を感じないような比較的小さい駆動力差ΔTに設定される。さらに、所定値ΔTが、第2電動機M2によって補償可能となるように、第2電動機M2の出力可能トルクに応じて適宜変更されるものであっても構わない。例えば、図9に示す駆動力線図において、車速VがB(km/h)であるとき、駆動力差ΔTとなり、車速Aの駆動力差ΔTよりも小さくなる。そして、図9に示すように、駆動力差ΔTが所定値ΔT以内にあるとき、駆動力差判断手段114が肯定される。
電動機出力制限判断手段116は、第2電動機M2の出力制限が実施されるか否かを判定する。例えば第2電動機M2の温度が予め定格的に設定された出力制限温度領域にあるとき、第2電動機M2の出力制限が実施される。すなわち、電動機温度センサ88によって検出された第2電動機M2の電動機温度TMOが予め設定された高温境界温度以上、または低温境界温度以下にあるとき、第2電動機M2の出力制限が実施される。また、AT油温センサ82によって検出される自動変速部20の作動油温TOILが予め設定された高温領域または低温領域にあるとき、第2電動機M2の出力制限が実施される。また、第2電動機M2に電力を供給する蓄電装置56の出力電力(放電量)WOUTが制限されるとき、第2電動機M2の出力制限が実施される。上記より、電動機出力制限判断手段116は、電動機温度TMO、作動油温TOIL、許容される放電量WOUTを検出し、第2電動機M2の電動機温度TMOが出力制限温度領域にあるとき、自動変速部20の作動油温TOILが予め設定された高温領域または低温領域にあるとき、蓄電装置56の放電量WOUTが制限されるとき、電動機出力制限判断手段116は、第2電動機M2の出力制限が実施されるものと判断する。
ダウン変速制限領域変更手段106は、アクセル操作変化量判断手段112が肯定される場合、すなわち運転者の加速操作量の変化に対応するアクセル開度Accのの増加によって第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への変速判定が為されるとき、ダウン変速制限領域を設定する。なお、第2電動機M2の出力制限が実施されない場合、図7の斜線に示す領域をダウン変速制限領域に設定する。また、アクセルペダルが最大限に踏み込まれるに従い、キックダウンスイッチがオン操作された場合、ダウン変速制限領域が解除される。キックダウンスイッチがオン操作される場合、運転者の加速要求が強いため、駆動力応答性よりも運転者の駆動力増加要求が優先されて、第1速ギヤ段への変速が優先的に実施される。
また、ダウン変速制限領域変更手段106は、駆動力差判断手段114が肯定される場合、すなわち第1速ギヤ段に変速されることにより得られる駆動力と、ダウン変速幅が制限された場合に対応する第1速ギヤ段よりも変速比の小さい第2速ギヤ段へ変速されることにより得られる駆動力との駆動力差ΔTが予め設定された所定値ΔT以内の領域である場合、その領域をダウン変速制限領域に設定する。具体的には、ダウン変速制限領域変更手段106は、予め記憶された図9に示す駆動力線図に基づいて、ダウン変速幅が制限された場合に対応する第2速ギヤ段に変速された場合の駆動力と、ダウン変速幅が制限されない場合に対応する第1速ギヤ段に変速された場合の駆動力との駆動力差ΔTを算出し、その駆動力差ΔTが所定値ΔTの範囲内の領域をダウン変速制限領域に設定する。
図10は、図7の変速線図において、駆動力差判断手段114に基づいて、ダウン変速制限領域の可変制御が実施される領域を拡大して示した図である。なお、図10では、図7に示すアップシフト線図が省略されている。図10の斜線に示す領域では、図9の駆動力線図に基づく駆動力差ΔTが所定値ΔTDSの範囲内となっている。そして、ダウン変速制限領域変更手段106は、上記領域をダウン変速制限領域に設定する。また、所定値ΔTが道路勾配など車両の走行状態に応じて変更されるとき、ダウン変速制限領域変更手段106は、所定値ΔTに応じてダウン変速制限領域を変更する。
また、ダウン変速制限領域変更手段106は、第2電動機M2の出力制限に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行する。具体的には、ダウン変速制限領域変更手段106は、第2電動機M2の出力制限が実施されるとき、ダウン変速制限領域を狭く設定する。図11は、図7の変速線図においてダウン変速制限領域の可変制御が実施される領域を拡大して示した図である。図11に示すように、第2電動機M2の出力制限が実施されない場合(電動機出力非制限時)、車速C〜車速Dの最も広い領域において、ダウン変速制限領域が設定される。一方、第2電動機M2の出力制限が実施される場合(電動機出力制限時)、車速E〜車速Dの領域(網目領域)とダウン変速制限領域が、電動機出力非制限時と比べて狭くされる。
ダウン変速制限領域変更手段106は、第2電動機M2の出力制限量が大きくなるに従って、ダウン変速制限領域を狭く設定する。第2電動機M2の出力制限が実施される場合、第2速ギヤ段へ変速された際のアシストトルクが制限されるため、第1速ギヤ段に変速された場合に得られる駆動力を発生させることが困難となる。このように、第1速ギヤ段に変速されたときに得られる駆動力を第2速ギヤ段によって発生させられないとき、駆動力を確保するため、第1速ギヤ段へ変速させるように、ダウン変速制限領域を変更する。したがって、第2電動機M2の出力制限が実施されても、第1速ギヤ段に変速されることで、必要な駆動力を発生させることができる。言い換えれば、第2電動機M2の出力制限が実施される、すなわち第2電動機M2のアシストトルクが制限されるとき、駆動力応答性よりも駆動力確保を優先させて第1速ギヤ段に変速させる。
ここで、図9の駆動力線図に示すように、車速Vが高くなるに従って第2速ギヤ段と第1速ギヤ段との駆動力差ΔTが小さくなるので、第2電動機M2の出力制限量に応じてダウン変速制限領域が変更される。具体的には、ダウン変速制限領域変更手段106は、第2電動機M2の出力制限量を考慮に入れて、第2速ギヤ段と第1速ギヤ段との駆動量差ΔTを第2電動機M2によってアシストできるように、ダウン変速制限領域を適宜変更する。なお、第2電動機M2の出力制限量は、前記電動機温度TMO、自動変速部20の作動油温TOIL、蓄電装置56の放電量WOUT等に応じて変更されるので、上記状態等に応じてダウン変速制限領域が実質的に変更される。
車両上昇判断手段118は、ダウン変速制限領域変更手段106に基づいて第2速ギヤ段へ変速されたとき、所定時間内に車速Vが上昇したか否かを判定する。運転者の加速操作に対して所定時間内に車速Vが上昇しない場合、駆動力不足が発生しているものと判断される。このようなとき、さらに第1速ギヤ段に変速させることで、駆動力不足をなくし、車速Vを上昇させる。また、駆動力不足に対して、第2電動機M2によるトルクアシストが可能な場合、第2電動機M2によるトルクアシストによって駆動力不足を解消しても構わない。
図12は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわち運転者の加速操作によるダウン変速時において、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実施される。
先ず、Dレンジ走行判断手段108に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、走行レンジが前進走行レンジである「D」レンジで走行中であるか否かが判定される。SA1が否定されると、SA9において他の制御が実施され、本ルーチンが終了させられる。SA1が肯定されると、ローギヤ変速出力判断手段110に対応するSA2において、変速線図に基づいて、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へのダウン変速判断が為されたか否かが判断される。SA2が否定されると、SA9において他の制御が実施され、本ルーチンが終了させられる。SA2が肯定されると、アクセル操作変化量判断手段112に対応するSA3において、アクセル開度Accの変化量が所定値以上か否か、具体的には、アクセル開度Accの増加に伴う第1速ギヤ段へのダウン変速が実施される否かが判断される。SA3が否定される、例えば、アクセル開度Accが略一定状態で車速Vの減速に伴う第1速ギヤ段への変速出力が為される場合、有段変速制御手段102に対応するSA8において、第1速ギヤ段へのダウン変速が実施される。なお、具体的には、例えば第4速ギヤ段から中間変速段として第2速ギヤ段への変速を実施したのち、第1速ギヤ段への変速が実施される。また、アクセルペダルが最大限まで踏み込まれることによるキックダウンスイッチのオン操作が為された場合、例外的にSA3が否定され、SA8において第1速ギヤ段へのダウン変速が実施される。
SA3が肯定される場合、駆動力差判断手段114、電動機出力制限判断手段116、およびダウン変速制限領域変更手段106に対応するSA4において、駆動力差ΔT、並びに第2電動機M2の出力制限量に応じたダウン変速制限領域に変更される。そして、有段変速制御手段102に対応するSA5において、現在の走行状態がSA4において設定されたダウン変速制限領域にあるか否かが判定される。SA5が否定されると、第2速ギヤ段へのダウン変速では、駆動力確保が困難と判断され、SA8において第1速ギヤ段へのダウン変速が実施される。言い換えれば、第2速ギヤ段へ変速されることによる駆動力応答性の低下の抑制よりも、第1速ギヤ段に変速されることによる駆動力確保が優先して実施される。SA5が肯定されると、有段変速制御手段102に対応するSA6において、現在の走行状態がダウン変速制限領域にあることから、ダウン変速の変速幅が制限されるに伴い第2速ギヤ段への変速が実施される。なお、第4速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速は1つのクラッチツウクラッチ変速で済むため、直接的に変速されるので駆動力応答性の低下が抑制される。なお、第2速ギヤ段へ変速されるため、駆動力不足が生じる可能性があるが、そのようなときは、第2電動機M2のトルクアシストによって駆動力不足を補償する。
そして、車速上昇判断手段118に対応するSA7において、所定時間内に車両の車速Vが上昇したか否かが判定される。SA7が否定される場合、運転者の加速操作に対して駆動力不足が発生したと判定され、SA8において第1速ギヤ段へのダウン変速が実施される。また、SA7が肯定される場合、第2速ギヤ段が継続され本ルーチンが終了させられる。
上述のように、本実施例によれば、加速操作時における第2電動機M2の出力制限に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段106を備えるものである。このようにすれば、第2電動機M2の出力制限に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、第2電動機M2の出力制限が実施されない場合、例えばダウン変速制限領域を広くすることで自動変速部20のダウン変速幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段(第2速ギヤ段)に変速される領域が広くなるので、駆動力応答性の低下が抑制される。ここで、ダウン変速幅が制限されると、制限されない場合と比べて車両駆動力が低下するが、第2電動機M2の出力トルクによってその駆動力差ΔTをアシストすることで、制限されない場合と同様の駆動力を得ることができる。また、第2電動機M2の出力制限が実施される場合、ダウン変速制限領域を狭くすることで、ダウン変速幅が制限されない領域が広くなるので、第2電動機M2の出力制限が実施された状態であっても必要な車両駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、加速操作時におけるエンジン8による駆動力に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段106を備えるものである。このようにすれば、エンジン8による駆動力に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、ダウン変速幅制限時のエンジン8による駆動力とダウン変速幅非制限時のエンジン8による駆動力との駆動力差ΔTが小さいとき、ダウン変速制限領域を設定することで自動変速部20の変速比幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段(第2速ギヤ段)に変速されるので、駆動力応答性の低下が抑制される。また、駆動力差ΔTが小さいときに変速比幅が制限されることで、制限されない場合と略同様の駆動力を得ることができる。また、ダウン変速幅制限時のエンジン8による駆動力とダウン変速幅非制限時のエンジン8による駆動力との駆動力差ΔTが大きいとき、ダウン変速制限領域を設定しないことで、ダウン変速幅が大きくなり、必要な駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、運転者によるアクセル開度Accの変化に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段106を備えるものである。このようにすれば、運転者によるアクセル開度Accの変化に応じてダウン変速幅が適宜制限されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。具体的には、例えば運転者によるアクセル開度Accの変化が大きいとき、ダウン変速制限領域を設定することで、ダウン変速幅が制限され、速やかなダウン変速が可能な変速段に変速されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、第2電動機M2の出力制限が実施されるとき、ダウン変速制限領域変更手段106は、ダウン変速制限領域を狭くするので、第2電動機M2の出力制限による駆動力不足に対して、大きな変速比幅でダウン変速されるため、その駆動力不足をなくすことができる。
また、本実施例によれば、第2電動機M2の出力制限が実施されるときとは、第2電動機M2の電動機温度TMOが定格的に定められた出力制限温度にあるときであるため、第2電動機M2の電動機温度TMOを検出することで、速やかに第2電動機M2の出力制限を判断することができる。
また、本実施例によれば、第2電動機M2の出力制限が実施されるときとは、自動変速部20の作動油の油温TOILが予め設定された高温領域または低温領域にあるときであるため、作動油の油温TOILを検出することで、速やかに第2電動機M2の出力制限を判断することができる。
また、本実施例によれば、第2電動機M2の出力制限が実施されるときとは、第2電動機M2に電力を供給する蓄電装置56の出力電力が制限されるときであるため、蓄電装置56の出力電力の制限を検出することで、速やかに第2電動機M2の出力制限を判断することができる。
また、本実施例によれば、自動変速部20のダウン変速幅が制限された場合の駆動力と、ダウン変速幅が制限されない場合の駆動力との駆動力差ΔTが所定値ΔT以内の領域において、ダウン変速制限領域が設定されるため、上記領域ではダウン変速幅が制限されることによって速やかなダウン変速が可能な変速段(第2速ギヤ段)に変速されるので、駆動力応答性の低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、駆動力差ΔTが、第2電動機M2によって補償可能なとき、ダウン変速制限領域が設定されるため、上記駆動力差ΔTを第2電動機M2によって補償することで、駆動力差ΔTに基づく駆動力不足をなくすことができる。
また、本実施例によれば、運転者によるアクセル開度Accの変化が所定値以上であるとき、ダウン変速制限領域が設定されるため、運転者の加速要求に対する駆動力応答性の低下を効果的に抑制することができる。
また、本実施例によれば、ダウン変速幅が制限された駆動状態において、所定時間内に車速Vが上昇しない場合、ダウン変速制限領域が解除されるため、自動変速部20がさらにダウン変速されるに伴い加速に必要な駆動力が得られ、車両が増速されて運転者の加速要求を満たすことができる。
また、本実施例によれば、キックダウンスイッチがオン操作された場合、ダウン変速制限領域が解除されるため、ダウン変速幅の制限が解除され、運転者の加速要求を過不足無く満たすことができる。
また、本実施例によれば、エンジン8および第2電動機M2の動力は、動力分配機構16によって動力が分配される差動部11を介して駆動輪34に動力が伝達されるため、エンジン8および第2電動機M2の動力が適宜分配或いは合成されて、好適な車両駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、差動部11は、差動遊星歯車装置24と第2電動機M2を含む2つの電動機で構成される電気的な無段変速部であるため、変速比が無段階的に変更されることで好適な車両駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、自動変速部20は、機械的に変速比が設定される有段変速部であるため、ダウン変速制限領域の変更に従って、変速比が適宜変更されて好適な車両駆動力を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、車両の走行状態がダウン変速制限領域内にあると判定されると、第4速ギヤ段から第2速ギヤ段へダウン変速されたが、必ずしも第2速ギヤ段に限定されず、例えば第3速ギヤ段であっても構わない。
また、前述の実施例では、自動変速部20の構成上、第4速ギヤ段から第1速ギヤ段への直接的な変速が困難であったため、ダウン変速制限領域が設定されたが、必ずしも第4速ギヤ段から第1速ギヤ段へのダウン変速のみに限定されない。例えば、第4速ギヤ段から第2速ギヤ段への直接的な変速が困難である場合、上記変速において本発明を適用することができる。また、本発明は、第4速ギヤ段以上の多段変速機であっても適用することができる。
また、前述の実施例では、第2電動機M2は、伝達部材18に直接連結されているが、第2電動機M2の連結位置はそれに限定されず、エンジン8又は伝達部材18から駆動輪34までの間の動力伝達経路に直接的或いは変速機、遊星歯車装置、係合装置等を介して動力伝達可能に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、第1電動機M1の運転状態が制御されることにより、差動部11はその変速比γ0が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能するものであったが、たとえば差動部11の変速比γ0を連続的ではなく差動作用を利用して敢えて段階的に変化させるものであっても本発明は適用することができる。
また、前述の実施例において、差動部11は、動力分配機構16に設けられて差動作用を制限することにより少なくとも前進2段の有段変速機としても作動させられる差動制限装置を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、差動部キャリヤCA0がエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0が第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、差動部遊星歯車装置24の3要素CA0、S0、R0のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、エンジン8は入力軸14と直結されていたが、たとえばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
また、前述の実施例では、第1電動機M1および第2電動機M2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され第2電動機M2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、たとえばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、第1クラッチC1や第2クラッチC2などの油圧式摩擦係合装置は、パウダー(磁紛)クラッチ、電磁クラッチ、噛合型のドグクラッチなどの磁紛式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。たとえば電磁クラッチであるような場合には、油圧制御回路70は油路を切り換える弁装置ではなく電磁クラッチへの電気的な指令信号回路を切り換えるスイッチング装置や電磁切換装置等により構成される。
また、前述の実施例では、自動変速部20は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられてそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20が配列されていてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20とは、たとえば伝達部材18としてカウンタギヤ対、スプロケットおよびチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
また、前述の実施例の差動機構として動力分配機構16は、たとえばエンジンによって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車が第1電動機M1および伝達部材18(第2電動機M2)に作動的に連結された差動歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例ではエンジン8と差動部11とが直接連結されているが、必ずしも直接連結される必要はなく、エンジン8と差動部11との間にクラッチを介して連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、差動部11と自動変速部20とが直列接続されたような構成となっているが、特にこのような構成に限定されず、変速機構10全体として電気式差動を行う機能と、変速機構10全体として電気式差動による変速とは異なる原理で変速を行う機能と、を備えた構成であれば本発明は適用可能であり、機械的に独立している必要はない。また、これらの配設位置や配設順序も特に限定されない。要するに、自動変速部20は、エンジン8から駆動輪34への動力伝達経路の一部を構成するように設けられておればよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16は、1組の遊星歯車装置(差動部遊星歯車装置24)から構成されていたが2以上の遊星歯車装置から構成されて、非差動状態(定変速状態)では3段以上の変速機として機能するものであってもよい。また、差動部遊星歯車装置24はシングルピニオン型に限られたものではなくダブルピニオン型の遊星歯車装置であってもよい。また、このような2以上の遊星歯車装置から構成された場合においても、これらの遊星歯車装置の各回転要素にエンジン8、第1および第2電動機M1、M2、伝達部材18、構成によっては出力軸22が動力伝達可能に連結され、さらに遊星歯車装置の各回転要素に接続されたクラッチCおよびブレーキBの制御により有段変速と無段変速とが切り換えられるような構成であっても構わない。
また、前述の実施例のシフト操作装置50は、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えていたが、そのシフトレバー52に替えて、たとえば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等の複数種類のシフトポジションPSHを選択可能なスイッチ、或いは手動操作に因らず運転者の音声に反応して複数種類のシフトポジションPSHを切り換えられる装置や足の操作により複数種類のシフトポジションPSHが切り換えられる装置等であってもよい。また、シフトレバー52が「M」ポジションに操作されることにより、変速レンジが設定されるものであったが、ギヤ段が設定されることすなわち各変速レンジの最高速ギヤ段がギヤ段として設定されてもよい。この場合、自動変速部20ではギヤ段が切り換えられて変速が実行される。たとえば、シフトレバー52が「M」ポジションにおけるアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、自動変速部20では第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれかがシフトレバー52の操作に応じて設定される。
また、前述の実施例の変速機構10において第1電動機M1と第2回転要素RE2とは直結されており、第2電動機M2と第3回転要素RE3とは直結されているが、第1電動機M1が第2回転要素RE2にクラッチ等の係合要素を介して連結され、第2電動機M2が第3回転要素RE3にクラッチ等の係合要素を介して連結されていてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の一部を構成する変速機構を説明する骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組合せを説明する作動図表である。 図1の車両用動力伝達装置における各ギヤ段の相対的回転速度を説明する共線図である。 図1の車両用動力伝達装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明する機能ブロック線図である。 車両用動力伝達装置の変速制御において用いられる変速線図の一例を示す図である。 破線はエンジンの最適燃費率曲線であって燃費マップの一例である。 各ギヤ段に変速されたときに得られる車両駆動力の関係を示す駆動力線図である。 図7の変速線図においてダウン変速制限領域の可変制御が実施される領域を拡大して示した図である。 図7の変速線図においてダウン変速制限領域の可変制御が実施される領域を拡大して示した他の図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち運転者の加速操作によるダウン変速時において、駆動力を確保しつつ駆動力応答性の低下を抑制することができる制御作動を説明するフローチャートである。
符号の説明
8:エンジン(動力源)
10:変速機構(動力伝達装置)
11:差動部(電気式差動部)
16:動力分配機構(差動機構)
24:差動遊星歯車装置(遊星歯車装置)
20:自動変速部(変速部、有段変速部)
34:駆動輪
56:蓄電装置
106:ダウン変速制限領域変更手段
M2:第2電動機(電動機)

Claims (15)

  1. 動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    加速操作時における前記電動機の出力制限に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    加速操作時における前記動力源による駆動力に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 動力源と、該動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された電動機とを、備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    運転者の加速操作量の変化に応じてダウン変速制限領域の可変制御を実行するダウン変速制限領域変更手段を備えることを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記電動機の出力制限が実施されるとき、前記ダウン変速制限領域変更手段は、前記ダウン変速制限領域を狭くすることを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機の温度が定格的に定められた出力制限温度にあるときであることを特徴とする請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記変速部の作動油の油温が予め設定された高温領域または低温領域にあるときであることを特徴とする請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置。
  7. 前記電動機の出力制限が実施されるときとは、前記電動機に電力を供給する蓄電装置の出力電力が制限されるときであることを特徴とする請求項4の車両用動力伝達装置の制御装置。
  8. 前記変速部のダウン変速幅が制限された場合の駆動力と、ダウン変速幅が制限されない場合の駆動力との駆動力差が所定値以内の領域において、ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする請求項2の車両用動力伝達装置の制御装置。
  9. 前記駆動力差が、前記電動機によって補償可能なとき、ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする請求項8の車両用動力伝達装置の制御装置。
  10. 前記運転者の加速操作量の変化が所定値以上であるとき、前記ダウン変速制限領域が設定されることを特徴とする請求項3の車両用動力伝達装置の制御装置。
  11. 前記ダウン変速幅が制限された駆動状態において、所定時間内に車速が上昇しない場合、前記ダウン変速制限領域が解除されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  12. キックダウンスイッチがオン操作された場合、前記ダウン変速制限領域が解除されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  13. 前記動力源および前記電動機の動力は、差動機構によって動力が分配される電気式差動部を介して前記駆動輪に動力が伝達されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  14. 前記電気式差動部は、遊星歯車装置と前記電動機を含む2つの電動機で構成される電気的な無段変速部であることを特徴とする請求項13の車両用動力伝達装置の制御装置。
  15. 前記変速部は、機械的に変速比が設定される有段変速部であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015093491A (ja) * 2013-11-08 2015-05-18 いすゞ自動車株式会社 ハイブリッド車両及びハイブリッド車両の制御方法
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