JP2011183990A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電気式差動部と変速部とを備えた車両用動力伝達装置において、電気式差動部の回転要素が許容回転速度に到達することを防止しつつ、所望する減速力(駆動力)を得ることができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】運転者のマニュアル操作に応じて設定された仮想ギヤ段に変速されると、差動部11の所定の回転要素の回転速度が予め設定されている許容回転速度Ncrを超える場合には、自動変速部20を変速させてその許容回転速度Ncrを超えないように制御されるので、仮想ギヤ段に変速された際に、差動部11の所定の回転要素の回転速度が許容回転速度Ncrを超えることなく、仮想ギヤ段の変速が可能となる。すなわち、差動部11の所定の回転要素が許容回転速度Ncrを超えることなく、運転者の所望する減速力或いは駆動力を得ることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、電動機によって回転要素の差動状態が制御可能な電気式差動部と、その電気式差動部から駆動輪への動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備えたハイブリッド形式の車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、運転者のマニュアル操作によって運転者の所望する減速力或いは駆動力を発生させる制御に関するものである。
差動機構の回転要素に動力伝達可能に連結された電動機の運転状態が制御されることにより入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の差動状態が制御される電気式差動部と、該電気式差動部から駆動輪への動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備えたハイブリッド車両用動力伝達装置がよく知られている。例えば特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置がその一例である。特許文献1では、変速部の変速が制限されている運転領域であっても、運転者によるマニュアルシフト指令があった場合には、変速部の変速が可能となるように、電気式差動部を制御する技術が開示されている。
特開2009−40103号公報
ところで、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置をはじめとする電気式差動部と変速部とを備えた構成において、運転者が所望する減速力或いは駆動力を発生させるため、運転者がシフトレバーをマニュアル操作(手動操作)によって駆動力を操作可能なシーケンシャルポジション(「S」ポジション)に切り替えた場合には、電気式差動部において仮想的なギヤ段(仮想ギヤ段)が設定され、運転者のマニュアル操作に応じた仮想ギヤ段に変速することで、減速力或いは駆動力を発生させている。上記仮想ギヤ段は、予め電気式差動部において複数段設定されており、各仮想ギヤ段に応じたエンジンの動作点が設定されている。そして、運転者による所定の減速力或いは駆動力を発生させるマニュアル操作があった場合には、仮想ギヤ段の変速が実行されることで、エンジンの動作点が切り替えられることにより運転者の所望する減速力或いは駆動力が発生する。例えば、アクセルペダルを踏み込まない状態で、仮想ギヤ段が変速されてエンジンの動作点(回転速度)が現在の動作点よりも高回転の動作点に切り替えられると、エンジンのフリクショントルクが増加することで、減速力が増大する。また、エンジンの回転速度が高回転で制御されることで、アクセル踏み込み時の駆動力が増大する。
ここで、上記のように、仮想ギヤ段に基づいて電気式差動部が変速される(エンジンの動作点が切り替えられる)とき、電気式差動部の所定の回転要素が予め設定されている許容回転速度(上限値)を越える場合には、装置の耐久性低下を防止するため、その仮想ギヤ段への変速は制限(禁止)されていた。このような場合、エンジンを目標とする動作点に制御できないため、運転者の所望する減速力或いは駆動力を得ることができなかった。なお、特許文献1をはじめとする電気式差動部と変速部とを備えた構成の車両用動力伝達装置において、電気式差動部の回転速度の制限によって、運転者の所望する減速力或いは駆動力が得られないという課題は、従来では検討されていなかったため、未公知の課題となっていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電気式差動部と変速部とを備えたハイブリッド形式の車両用動力伝達装置の制御装置において、電気式差動部の所定の回転要素が許容回転速度を越えることを防止しつつ、運転者が所望する減速力或いは駆動力を得ることができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、差動機構の回転要素に動力伝達可能に連結された電動機の運転状態が制御されることによりそのエンジンに連結された入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の差動状態が制御される電気式差動部と、その電気式差動部から駆動輪への動力伝達経路の一部を構成する変速部と、運転者のマニュアル操作により前記エンジンの回転速度を変化させることで減速力或いは駆動力を操作する駆動力操作手段とを、備えたハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)前記電気式差動部において、運転者によるマニュアル操作に応じた仮想ギヤ段を設定する仮想ギヤ段設定手段と、(c)設定された前記仮想ギヤ段に変速されると、前記電気式差動部の所定の回転要素の回転速度が予めその回転要素に設定されている許容回転速度に到達すると判断される場合には、その仮想ギヤ段変速後に該所定の回転要素の回転速度を該許容回転速度に到達させないように前記変速部を変速する高回転防止変速手段とを、含むことを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置において、(a)前記仮想ギヤ段設定手段によって設定された仮想ギヤ段に基づいて、その仮想ギヤ段変速後の前記電気式差動部の回転要素の回転速度を予め算出し、算出された回転要素の回転速度が予めその回転要素に設定されている前記許容回転速度に到達するか否かを判断する変速許容判断手段と、(b)その仮想ギヤ段変速後において、所定のその回転要素の回転速度が前記許容回転速度に到達する場合には、該仮想ギヤ段変速後にその所定の回転要素をその許容回転速度に到達させない前記変速部のギヤ段を設定する最適ギヤ段設定手段とを、備えることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記仮想ギヤ段は予め複数段設定されており、その仮想ギヤ段に応じて前記エンジンの回転速度が変更され、運転者のマニュアル操作に基づく減速或いは駆動要求が高くなるに従って、エンジンの回転速度が高くなる仮想ギヤ段に変速されることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記差動機構は、シングルピニオン型の遊星歯車装置から構成され、その遊星歯車装置のサンギヤが前記電動機に連結され、キャリヤが前記エンジンに連結され、リングギヤが前記変速部の入力軸に連結されることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速部は、有段式の自動変速部で構成されることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、運転者のマニュアル操作に応じて設定された仮想ギヤ段に変速されると、前記電気式差動部の所定の回転要素の回転速度が予め設定されている許容回転速度に到達する場合には、前記変速部を変速させてその許容回転速度に到達させないように制御されるので、仮想ギヤ段に変速された際に、電気式差動部の所定の回転要素の回転速度が許容回転速度に到達することなく、仮想ギヤ段の変速が可能となる。したがって、電気式差動部の所定の回転要素が許容回転速度に到達することなく、運転者の所望する減速力或いは駆動力を得ることができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、仮想ギヤ段変速後の前記電気式差動部の所定の回転要素の回転速度が許容回転速度に到達するか否かが予め判断され、その所定の回転要素の回転速度が許容回転速度に到達する場合には、仮想ギヤ段変速後においてその所定の回転要素を許容回転速度に到達させない変速部のギヤ段が設定されるので、変速部が設定されたギヤ段に変速されることで、所定の回転要素の回転速度が許容回転速度に到達することなく、電気式差動部を設定された仮想ギヤ段に変速させることができる。
また、請求項3にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、仮想ギヤ段に応じて前記エンジンの回転速度が変更され、運転者の減速要求が高くなるに従って、エンジンの回転速度が高くなる仮想ギヤ段に変速されるため、運転者のマニュアル操作に基づく減速要求が高くなると、エンジンの回転速度が高回転となるに従い、エンジンのフリクショントルクが大きくなって減速力したがって、運転者のマニュアル操作に応じたフリクショントルクを発生させて、運転者の要求する減速力を得ることができる。また、運転者の駆動要求が高くなるに従って、エンジンの回転速度が高くなる仮想ギヤ段に変速されてエンジンの回転速度が高回転となるため、アクセルペダル踏み込み時に運転者のマニュアル操作に応じた駆動力を得ることができる。
また、請求項4にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、電動機によって遊星歯車装置のサンギヤの回転速度を制御することで、エンジンの回転速度を制御することができるため、電動機によって電気式差動部を所定の仮想ギヤ段へ変速させることができる。
また、請求項5にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部は、有段式の自動変速部で構成されるため、自動変速部の変速によって、電気式差動部の出力軸の回転速度を変更することができる。したがって、電気式差動部が所定の仮想ギヤ段へ変速された際に、所定の回転要素の回転速度を許容回転速度に到達させないように、差動機構の出力軸の回転速度を自動変速部の変速によって調整することができる。
本発明の制御装置が適用される車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置に備えられた自動変速部の変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1の車両用動力伝達装置における各ギヤ段の相対回転速度を説明する共線図である。 図1の車両用動力伝達装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 出力軸回転速度とエンジン回転速度とからなる2次元マップに基づいて設定される各仮想ギヤ段の動作点を示す図である。 図4の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1の車両用動力伝達装置において、車速と出力トルクとをパラメータとする同じ二次元座標に構成された、自動変速部の変速判断の基となる予め記憶された変速線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるためのエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線を有する予め記憶された駆動力源切換線図の一例とを示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。 図1のエンジンの最適燃費率曲線を表す図である。 仮想ギヤ3速から仮想ギヤ2速に変速する際の動力分配機構および変速部の回転要素の回転状態を示す共線図であり、図3の共線図に対応するものである。 電子制御装置の制御作動の要部であって、特に運転者のシフトレバー操作に応じた減速力或いは駆動力を発生させる際、動力分配機構の各回転要素がその回転要素に応じて設定されている上限を超えることなく、運転者の要求する減速力或いは駆動力を得ることができる制御作動を説明するためのフローチャートである。
ここで、好適には、電気式差動部が仮想ギヤ段に変速された際の回転要素の回転速度は、仮想ギヤ段に変速された際に設定される差動機構の入力軸に連結されているエンジンの回転速度、変速部の出力軸の回転速度および変速部ギヤ比に基づいて算出される差動機構の出力軸の回転速度、差動機構を構成する遊星歯車装置のギヤ比等に基づいて、算出される。このようにすれば、電気式差動部の各回転要素の回転速度を算出することができ、その算出された各回転要素の回転速度と、各回転要素に応じて設定されている許容回転速度とを比較することで、所定の回転要素が仮想ギヤ段へ変速された際に許容回転速度を超えるか否かを判断することができる。
また、好適には、許容回転速度は、例えば回転要素に連結される電動機の定格的に設定される最高回転速度や、機械要素の耐久性実験に基づいて、回転要素に応じて各々設定される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両用動力伝達装置の一部を構成する変速機構10(車両用動力伝達装置)を説明する骨子図である。図1において、変速機構10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接的に連結された無段変速部としての差動部11(電気式差動部)と、その差動部11から駆動輪34(図7参照)への動力伝達経路で伝達部材18(本発明の差動機構の出力軸に対応)を介して直列に連結されている変速部としての自動変速部20(変速部)と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機構10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8と一対の駆動輪34(図7参照)との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)32(図7参照)および一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪34へ伝達する。
このように、本実施例の変速機構10においては、エンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介すことなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。
差動部11は、エンジン8と駆動輪34との間の動力伝達経路に連結されており、動力分配機構16の入力軸14および伝達部材18(出力軸)の差動状態を制御するための差動用電動機として機能する第1電動機MG1と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機MG1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、出力軸として機能する伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機MG2とを、備えている。本実施例の第1電動機MG1および第2電動機MG2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機MG1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機MG2は走行用の駆動力源として駆動力を出力する走行用電動機として機能するためモータ(電動機)機能を少なくとも備える。
差動機構として機能する動力分配機構16は、所定のギヤ比ρ0(=0.416)を有するシングルピニオン型の差動遊星歯車装置24を主体として構成されている。この差動遊星歯車装置24は、差動サンギヤS0、差動遊星歯車P0、その差動遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動キャリヤCA0、差動遊星歯車P0を介して差動サンギヤS0と噛み合う差動リングギヤR0を回転要素として備えている。なお、差動サンギヤS0の歯数をZS0、差動リングギヤR0の歯数をZR0とすると、上記ギヤ比ρ0はZS0/ZR0である。
この動力分配機構16においては、差動キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結されて第1回転要素RE1を構成し、差動サンギヤS0は第1電動機MG1に連結されて第2回転要素RE2を構成し、差動リングギヤR0は伝達部材18に連結されて第3回転要素RE3を構成している。このように構成された動力分配機構16は、差動遊星歯車装置24の3要素である差動サンギヤS0、差動キャリヤCA0、差動リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能すなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機MG1と伝達部材18に分配されると共に、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機MG1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機MG2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度Nin/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。
自動変速部20(変速部)は、エンジン8と駆動輪34との間の動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28を備え、有段式の自動変速部として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、所定のギヤ比ρ1(=0.488)を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、所定のギヤ比ρ2(=0.455)を有している。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2である。
自動変速部20では、第1サンギヤS1は第3クラッチC3を介して伝達部材18に連結されると共に、第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結されている。また、第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に連結されると共に、第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結されている。また、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2とが一体的に連結されて出力軸22に連結されている。また、第2サンギヤS2が第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。さらに第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一方向クラッチF1を介して非回転部材であるケース12に連結されてエンジン8と同方向の回転が許容される一方、逆方向の回転が禁止されている。これにより、第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2は、逆回転不能な回転部材として機能する。
自動変速部20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて複数のギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度Nout)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1の係合および一方向クラッチFにより変速比が「3.20」程度となる第1速ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比が「1.72」程度となる第2速ギヤ速段が成立させられる。また、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比が「1.00」程度となる第3速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第1ブレーキB1の係合により変速比が「0.67」程度となる第4速ギヤ段が成立させられる。また、第3クラッチC3および第2ブレーキB2の係合により変速比が「2.04」程度となる後進ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。また、第1速ギヤ段のエンジンブレーキの際には、第2ブレーキB2が係合させられる。
このように、自動変速部20内の動力伝達経路は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の係合と解放との作動の組合せにより、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態との間で切り換えられる。つまり、第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段および後進ギヤ段の何れかが成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、何れのギヤ段も成立させられないことで例えばニュートラル「N」状態が成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用自動変速機においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された変速機構10において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部20とで無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部20とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の少なくとも1つの変速段Mに対して自動変速部20に入力される回転速度(以下、自動変速部20の入力回転速度)すなわち伝達部材18の回転速度(以下、伝達部材回転速度N18)が無段的に変化させられてその変速段Mにおいて無段的な変速比幅が得られる。したがって、変速機構10の総合変速比γT(=入力軸14の回転速度Nin/出力軸22の回転速度Nout)が無段階に得られ、変速機構10において無段変速機が構成される。この変速機構10の総合変速比γTは、差動部11の変速比γ0と自動変速部20の変速比γとに基づいて形成される変速機構10全体としてのトータル変速比γTである。
例えば、図2の係合作動表に示される自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、変速機構10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、変速機構10において有段変速機と同等の状態が構成される。
図3は、差動部11と自動変速部20とから構成される変速機構10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Neを示し、X3が差動部11から自動変速部20に入力される後述する第3回転要素RE3の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。さらに、自動変速部20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応する第2サンギヤS2を、第5回転要素RE5に対応する相互に連結された第1リングギヤR1および第2キャリヤCA2を、第6回転要素RE6に対応する相互に連結された第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2を、第7回転要素RE7に対応する第1サンギヤS1をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2遊星歯車装置26、28のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ0に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第1、第2遊星歯車装置26、28毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機構10は、動力分配機構16(差動部11)において、差動遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機MG1に連結され、第3回転要素(差動リングギヤR0)RE3が伝達部材18および第2電動機MG2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動サンギヤS0の回転速度と差動リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされており、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、第1電動機MG1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される差動サンギヤS0の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y2との交点で示される差動キャリヤCA0の回転速度すなわちエンジン回転速度Neが上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転がエンジン回転速度Neと同じ回転とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Neと同じ回転で差動リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転が零とされると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Neよりも増速されて伝達部材18が回転させられる。
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は第3クラッチC3を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結される。
自動変速部20では、例えば差動部11において第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転速度を略零とすると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Neよりも増速されて第3回転要素RE3に出力される。そして図3に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第4回転要素RE4の回転速度を示す縦線Y4と横線X3との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示され、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。
図4は、本実施例の変速機構10を制御するための制御装置である電子制御装置80に入力される信号及びその電子制御装置80から出力される信号を例示している。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1電動機MG1および第2電動機MG2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
電子制御装置80には、図4に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン8の冷却流体の温度であるエンジン水温TEMPwを表す信号、シフトレバー52(図5参照)のシフトポジションPshや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号、ギヤ比列設定値を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動を表す信号、車速センサ46(図1参照)により検出される出力軸22の回転速度Noutに対応する車速V及び車両の進行方向を表す信号、自動変速部20の作動油温Toilを表す信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を表す信号、触媒温度を表す信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号、各車輪の車輪速を表す信号、レゾルバなどの回転速度センサ42により検出される第1電動機MG1の回転速度Nm1(以下、「第1電動機回転速度Nm1」と表す)及びその回転方向を表す信号、レゾルバなどの回転速度センサ44(図1参照)により検出される第2電動機MG2の回転速度Nm2(以下、「第2電動機回転速度Nm2」と表す)及びその回転方向を表す信号、各電動機MG1,MG2との間でインバータ54を介して充放電を行う蓄電装置56(図7参照)の充電残量(充電状態)SOCを表す信号などが、それぞれ供給される。
また、上記電子制御装置80からは、エンジン8の出力Pe(単位は例えば「kW」。以下、「エンジン出力Pe」と表す。)を制御するエンジン出力制御装置58(図7参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管60に備えられた電子スロットル弁62のスロットル弁開度θthを操作するスロットルアクチュエータ64への駆動信号や燃料噴射装置66による吸気管60或いはエンジン8の筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置68によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、電動機MG1、MG2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図7参照)に含まれる電磁弁(リニアソレノイドバルブ)を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御回路70に設けられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧PLを調圧するための信号、そのライン油圧PLが調圧されるための元圧の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
図5は複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置50の一例を示す図である。このシフト操作装置50は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えている。
そのシフトレバー52は、動力伝達装置10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、動力伝達装置10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、自動変速モードを成立させて差動部11の無段的な変速比幅と自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる動力伝達装置10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または、エンジンブレーキ或いは加速力(駆動力)が必要な場合において、シフトレバー操作に応じたエンジンブレーキ力(アクセルペダル開放時)或いは加速力(アクセルペダル踏み込み時)を発生させる駆動力操作ポジション「S(シーケンシャル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記シフトレバー52の各シフトポジションPSHへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば油圧制御回路70が電気的に切り換えられる。
上記「P」乃至「S」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジションおよび「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1乃至第3クラッチC3のいずれもが解放されるような自動変速部20内の動力伝達経路が遮断された車両を駆動不能とする第1クラッチC1乃至第3クラッチC3による動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択するための非駆動ポジションである。また、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「S」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1乃至第3クラッチC3の少なくとも1つが係合されるような自動変速部20内の動力伝達経路が連結された車両を駆動可能とする第1クラッチC1乃至第3クラッチC3による動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択するための駆動ポジションでもある。
また、シフトレバー52が「S」ポジションに操作されると、運転者のシフトレバー操作に応じたエンジンブレーキ力(アクセルペダル開放時)或いは加速力(アクセルペダル踏み込み時)を得ることができるSモード(シーケンシャルモード)に切り替えられる。Sモードに切り替えられると、差動部11において予め記憶されている複数段(例えば8段階)の仮想ギヤ段が設定され、図5の「S」ポジションから、シフトレバー52を「+」側(仮想ギヤ段アップ)または「−」側(仮想ギヤ段ダウン)に操作することにより、仮想ギヤ段が切り替えられる。例えば、シフトレバー52が「−」側に一回操作される度に、仮想ギヤ段が1段ダウンされ、「−」側に複数回操作されると、その操作回数に応じた仮想ギヤ段にダウンされる。なお、シフトレバー52が「S」ポジションにある場合、シフトレバー52を「+」側または「−」側に操作した状態で手を離しても、図示しないスプリング等によってシフトレバー52が「S」ポジションに自動的に復帰するように構成されている。
ここで、予め設定されてる仮想ギヤ段とは、差動部11において仮想的に設定されているギヤ段であり、仮想ギヤ段に応じてエンジン8の動作点(回転速度)が予め設定されている。具体的には、仮想ギヤ段の段数が高くなるに従って、エンジン8の動作点(回転速度)は、小さくなるように設定されている。図6に出力軸回転速度Noutとエンジン回転速度Neとからなる2次元マップに基づいて設定される、各仮想ギヤ段(S1〜S8)に対応するエンジン動作点(エンジン回転速度Ne)の関係を示す。図6より、出力軸回転速度Noutが検出されると、その回転速度に応じた各仮想ギヤ段(S1〜S8)のエンジン回転速度Neが決定される。例えば、図6に示すように、出力軸回転速度NoutがNout1である場合、各仮想ギヤ段(S1〜S8)に対応するエンジン回転速度Neは、太実線で示す各仮想ギヤ段を規定する仮想ギヤ段曲線と出力軸回転速度Nout1との交点のエンジン回転速度Ne1〜Ne8となる。これより、運転者のシフトレバー操作によって仮想ギヤ段の変速指令が出力されると、第1電動機MG1および第2電動機MG2によって変速が開始され、エンジン回転速度Neが仮想ギヤ段に対応するエンジン回転速度Neに制御される。なお、本実施例においては、仮想ギヤ段の数が8段に設定されているが、仮想ギヤ段の数は適宜変更される。また、図6の仮想ギヤ段のエンジン動作点を決定するマップは、例えばアクセル開度Acc等に応じて適宜変更されても構わない。
図7は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7において、有段変速制御手段82は、図8に示すような車速Vと自動変速部20の出力トルクTOUTとを変数として予め記憶されたアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(一点鎖線)を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよび自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行する。なお、アクセル開度Accと自動変速部20の要求出力トルクTOUT(図8の縦軸)とはアクセル開度Accが大きくなるほどそれに応じて上記要求出力トルクTOUTも大きくなる対応関係にあることから、図8の変速線図の縦軸はアクセル開度Accであっても差し支えない。
このとき、有段変速制御手段82は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、自動変速部20の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部20の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路70へ出力する。油圧制御回路70は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部20の変速が実行されるように、油圧制御回路70内のリニアソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
ハイブリッド制御手段84は、エンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機MG2との駆動力の配分や第1電動機MG1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機MG2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力(要求エンジン出力)Perを算出し、その目標エンジン出力Perが得られるエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとなるようにエンジン8を制御するとともに第1電動機MG1の発電量を制御する。
例えば、ハイブリッド制御手段84は、その制御を動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮して実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Neと車速Vおよび自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段84は、エンジン回転速度Neとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Teとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められた図9の破線に示すようなエンジン8の動作曲線の一種である最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)を予め記憶しており、その最適燃費率曲線にエンジン8の動作点(以下、「エンジン動作点」と表す)が沿わされつつエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力(トータル目標出力、要求駆動力)を充足するために必要なエンジン出力Peを発生するためのエンジントルクTeとエンジン回転速度Neとなるように、動力伝達装置10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように自動変速部20の変速段を考慮して差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内で制御する。ここで、上記エンジン動作点とは、エンジン回転速度Ne及びエンジントルクTeなどで例示されるエンジン8の動作状態を示す状態量を座標軸とした二次元座標においてエンジン8の動作状態を示す動作点である。
このとき、ハイブリッド制御手段84は、第1電動機MG1により発電された電気エネルギをインバータ54を通して蓄電装置56や第2電動機MG2へ供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は第1電動機MG1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ54を通してその電気エネルギが第2電動機MG2へ供給され、その第2電動機MG2が駆動されて第2電動機MG2から伝達部材18へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。
また、ハイブリッド制御手段84は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能によって第1電動機回転速度Nm1および/または第2電動機回転速度Nm2を制御してエンジン回転速度Neを略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御する。言い換えれば、ハイブリッド制御手段84は、エンジン回転速度Neを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機回転速度Nm1および/または第2電動機回転速度Nm2を任意の回転速度に回転制御することができる。
例えば、図3の共線図からもわかるようにハイブリッド制御手段84は車両走行中にエンジン回転速度Neを引き上げる場合には、車速V(駆動輪34)に拘束される第2電動機回転速度Nm2を略一定に維持しつつ第1電動機回転速度Nm1の引き上げを実行する。また、ハイブリッド制御手段84は自動変速部20の変速中にエンジン回転速度Neを略一定に維持する場合には、エンジン回転速度Neを略一定に維持しつつ自動変速部20の変速に伴う第2電動機回転速度Nm2の変化とは反対方向に第1電動機回転速度Nm1を変化させる。
また、ハイブリッド制御手段84は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジン出力制御装置58に出力して、必要なエンジン出力Peを発生するようにエンジン8の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
例えば、ハイブリッド制御手段84は、基本的には図示しない予め記憶された関係からアクセル開度Accに基づいてスロットルアクチュエータ64を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θthを増加させるようにスロットル制御を実行する。また、このエンジン出力制御装置58は、ハイブリッド制御手段84による指令に従って、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御するなどしてエンジントルク制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段84は、エンジン8の停止又はアイドル状態に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)によって、第2電動機MG2を走行用の駆動力源とするモータ走行をさせることができる。例えば、ハイブリッド制御手段84は、一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTout域すなわち低エンジントルクTe域、或いは車速Vの比較的低車速域すなわち低負荷域において、モータ走行を実行する。また、ハイブリッド制御手段84は、このモータ走行時には、停止しているエンジン8の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、第1電動機回転速度Nm1を負の回転速度で制御して例えば第1電動機MG1を無負荷状態とすることにより空転させて、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)により必要に応じてエンジン回転速度Neを零乃至略零に維持する。
また、ハイブリッド制御手段84は、エンジン8を走行用の駆動力源とするエンジン走行を行うエンジン走行領域であっても、上述した電気パスによる第1電動機MG1からの電気エネルギおよび/または蓄電装置56からの電気エネルギを第2電動機MG2へ供給し、その第2電動機MG2を駆動して駆動輪34にトルクを付与することにより、エンジン8の動力を補助するための所謂トルクアシストが可能である。よって、本実施例のエンジン走行にはエンジン8を走行用の駆動力源とする場合と、エンジン8及び第2電動機MG2の両方を走行用の駆動力源とする場合とがある。そして、本実施例のモータ走行とはエンジン8を停止して第2電動機MG2を走行用の駆動力源とする走行である。
また、ハイブリッド制御手段84は、アクセルオフの惰性走行時(コースト走行時)やフットブレーキによる制動時などには、燃費を向上させるために車両の運動エネルギすなわち駆動輪34からエンジン8側へ伝達される逆駆動力により第2電動機MG2を回転駆動させて発電機として作動させ、その電気エネルギすなわち第2電動機発電電流をインバータ54を介して蓄電装置56へ充電する回生制御手段としての機能を有する。この回生制御は、蓄電装置56の充電残量SOCやブレーキペダル操作量に応じた制動力を得るための油圧ブレーキによる制動力の制動力配分等に基づいて決定された回生量となるように制御される。
駆動力操作手段86は、運転者によるマニュアル操作に基づいて、エンジン回転速度Neを変化させることで、減速力(アクセルペダル開放時)或いは駆動力(アクセルペダル踏み込み時)を操作する。具体的には、アクセルペダル開放時において、シフトレバー52が「S」ポジションにある状態で、シフトレバー52が「+」側または「−」側に操作されると、駆動力操作手段86は、上記運転者によるシフトレバー操作に応じて、差動部11において予め設定されている仮想ギヤ段を切替え、エンジン回転速度Neを変更してエンジンフリクショントルクを増減させることにより、減速力を操作する。なお、エンジンフリクショントルクとは、例えばエンジン回転時のエンジンのピストンとシリンダの間で発生する摩擦による回転抵抗等に基づいて生じる、車両を停止させる方向に作用するトルクである。したがって、エンジン回転速度Neが高くなるにしたがって、回転抵抗が増加してエンジンフリクショントルクが増加する。また、アクセルペダル踏み込み時では、駆動力操作手段86は、上記運転者によるシフトレバー操作に応じて、差動部11において予め設定されている仮想ギヤ段を切替え、エンジン回転速度Neを変更することで、差動部11の変速比γ0を変更して、アクセルペダル踏み込み時の駆動力を操作する。
駆動力操作手段86は、仮想ギヤ段設定手段88およびシフトレバー操作判断手段90によって判断される運転者の要求減速力或いは要求駆動力に基づいて、エンジン回転速度Neを制御して減速力或いは駆動力の大きさを制御する。仮想ギヤ段設定手段88は、図6に示すように、出力軸回転速度Noutとエンジン回転速度Neとで構成される2次元マップにおいて、シフトレバー52が「S」ポジションにある状態から、運転者がシフトレバー52を「+」側または「−」側に移動させた際に切り替えられる仮想ギヤ段の動作点を予め記憶している。仮想ギヤ段設定手段88は、運転者のマニュアル操作によってシフトレバー52が「S」ポジションに移動されると、車速センサ46によって車速Vに対応する出力軸回転速度Noutを検出し、その出力軸回転速度Noutに応じた仮想ギヤ段(S1〜S8)を設定する。例えば、図6において、出力軸回転速度NoutがNout1であった場合、仮想ギヤ段設定手段88は、その回転速度Nout1より垂直に伸ばした直線と、各仮想ギヤ段を規定する各加速ギヤ段(S1〜S8)の曲線との交点のエンジン回転速度(Ne1〜Ne8)を各仮想ギヤ段に対応する動作点に設定する。図6に示すように、仮想ギヤ段が小さくなるに従って、エンジン回転速度Neは大きくなるように設定されている。なお、図6の仮想ギヤ段のエンジン8の動作点を決定するマップは、例えばアクセル開度Acc等に応じて変更されるものであってもよい。
シフトレバー操作判断手段90は、シフトレバー52のポジションを検出し、現在のシフトポジションがいずれにあるかを判断する。また、シフトレバー52が「S」ポジションにある場合には、シフトレバー52の運転者による「+」側または「−」側への操作回数を検出する。このシフトレバー52の操作回数が仮想ギヤ段の変速数に対応しており、シフトレバー52が「+」に一回操作されると、仮想ギヤ段が一段アップし、「−」方向に一回操作されると、仮想ギヤ段が一段ダウンする。したがって、シフトレバー52の「+」側または「−」側への操作回数に応じて仮想ギヤ段がその操作回数だけアップまたはダウンされる。なお、シフトレバー52のポジションは、シフトレバー52の近傍に設けられている図示しないシフトポジションセンサのシフトポジション信号に基づいて判断される。そして、仮想ギヤ段設定手段88は、シフトレバー操作判断手段90によって検出されるシフトレバー52のマニュアル操作回数に応じた仮想ギヤ段数を設定する。
駆動力操作手段86は、シフトレバー操作判断手段90によって操作されたシフトレバー52の操作回数および、その操作回数に基づいて設定される仮想ギヤ段を判断し、該当する仮想ギヤ段に対応するエンジン動作点(エンジン回転速度Ne)を仮想ギヤ段設定手段88に基づいて決定し、その仮想ギヤ段に変速する指令をハイブリッド制御手段84に出力する。そして、ハイブリッド制御手段84は、エンジン8が仮想ギヤ段に対応する動作点(エンジン回転速度Ne)で作動するように、第1電動機MG1および第2電動機MG2によって制御する。
上記減速力(アクセルペダル開放時)は、シフトレバー52を「−」側に操作して仮想ギヤ段をダウンすることにより、エンジン回転速度Neを上昇させることで増加させることができる。例えば、シフトレバー52を「S」ポジションから「−」側に一回操作すると、現在設定されている仮想ギヤ段に対して一段ダウンされ、エンジン回転速度Neが現在の回転速度よりも高くなる。これより、エンジンフリクショントルクが増加するため、減速力が増加する。また、運転者の減速要求が高くなると、運転者によってシフトレバー52が「−」側へ操作される回数が増加し、仮想ギヤ段がさらにダウン側に変速される。このとき、エンジン回転速度Neがさらに高回転で制御されるので、エンジンフリクショントルクがさらに増加して減速力が大きくなる。一方、シフトレバー52を「+」側に操作すると、仮想ギヤ段がアップして、エンジン回転速度Neが低下するので、減速力が減少する。また、上記駆動力(アクセルペダル踏み込み時)は、シフトレバー52を「−」側に操作して仮想ギヤ段をダウンすることにより、エンジン回転速度Neを上昇させることで増加させることができる。エンジン回転速度が上昇すると、差動部11の変速比γ0が大きくなるため、アクセルペダル踏み込み時の駆動力が増加する。一方、シフトレバー52を「+」側に操作すると、仮想ギヤ段がアップして、エンジン回転速度Neが低下するので、駆動力が減少する。
ここで、差動部11が運転者によるシフトレバー操作に応じた仮想ギヤ段に変速されると、動力分配機構16(差動機構)の所定の回転要素が高回転化され、動力分配機構16の各回転要素に応じて予め設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達し、さらには越えてしまう問題がある。特に、仮想ギヤ段が小さくなるに従って、設定されるエンジン回転速度Neが高くなるため、動力分配機構16の回転要素が高回転化され、上記許容回転速度Ncrを超え易くなる。このような場合、従来では、仮想ギヤ段を変速した際に、動力分配機構16の回転要素のいずれかが、その回転要素に設定されている許容回転速度Ncrに到達すると判断されると、その仮想ギヤ段への変速が制限されていた。このように、仮想ギヤ段への変速が制限されると、動力分配機構16の所定の回転要素が許容回転速度Ncrに到達することが防止されるが、その背反として、エンジン回転速度Neを仮想ギヤ段に対応する目標回転速度に制御することができず、運転者の所望する減速力或いは駆動力が得られない問題があった。
図10に示す共線図を用いて、上記問題についてさらに具体的に説明する。図10の左側に示す共線図は、例えば仮想ギヤ3速(S3)から仮想ギヤ2速(S2)に変速する際の差動部11(動力分配機構16)の各回転要素の回転状態を示している。図10に示すように、実線で示す仮想ギヤ3速から破線で示す仮想ギヤ2速に変速されると、エンジン回転速度Neが上昇するに従って、動力分配機構16の差動作用によって差動サンギヤS0およびそれに連結されている第1電動機MG1の回転速度が上昇する。このとき、第1電動機回転速度Nm1が、破線で示す第1電動機MG1の予め定格的に設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)を越えてしまう。なお、このとき差動リングギヤR0の回転速度は、駆動輪側の回転速度(出力軸回転速度Nout)によって拘束されるので、自動変速部20が変速されない限り変化しない。
なお、第1電動機MG1の許容回転速度Ncr(最高回転速度)に限られず、仮想ギヤ段の変速に従って、例えば差動リングギヤR0に連結されている第2電動機回転速度Nm2が、第2電動機MG2の定格的に設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達する状態(越える状態を含む)、或いは、差動キャリヤCA0に回転可能に保持されているピニオンギヤが、予め耐久実験等によって設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達する状態(越える状態を含む)が生じる問題がある。なお、上記各回転要素に予め設定される許容回転速度Ncrは、実際にはそれぞれ異なる値となるが、本実施例においては特に符号を区別せず、許容回転速度Ncrとした。
これに対して、高回転化防止変速手段92は、仮想ギヤ段を変速した際に、動力分配機構16の所定の回転要素の回転速度が予め設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達する(許容回転速度Ncrを越える場合も含む)と判断すると、差動部11が設定された仮想ギヤ段に変速されても、その所定の回転要素の回転速度を許容回転速度に到達させないように自動変速部20を変速する。
ここで、運転者のシフトレバー操作に基づいて設定される仮想ギヤ段に変速された際に動力分配機構16の回転要素のいずれかが予め設定されている許容回転速度Ncrに到達する(越える場合を含む)か否かは、仮想ギヤ段変速許容判断手段94(本発明の変速許容判断手段に対応する。以下、変速許容判断手段94と記載)によって判断される。変速許容判断手段94は、設定された仮想ギヤ段に変速された場合の動力分配機構16の各回転要素の回転速度を予め算出し、回転要素のいずれかが、その回転要素に応じて予め設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達する(越える場合を含む)か否かを判断(予測)する。
変速許容判断手段94は、差動キャリヤCA0の回転速度を変速後の仮想ギヤ段に基づいて設定されるエンジン回転速度Neに設定し、差動リングギヤR0の回転速度を、そのときの出力軸回転速度Noutおよび自動変速部20のギヤ比の積から算出する。そして、差動サンギヤS0の回転速度を、上記より算出された差動キャリヤCA0、差動リングギヤR0の回転速度、および差動遊星歯車装置24のギヤ比から算出する。また、ピニオンギヤの回転速度を、算出された各回転要素の回転速度から、公知であるピニオンギヤの式に基づいて算出する。そして、差動サンギヤS0、差動リングギヤR0、およびピニオンギヤ等の回転速度が、各々に設定されている許容回転速度Ncr(最高回転速度)に到達する(或いは越える)か否かを判断する。なお、各回転要素毎に設定される許容回転速度Ncrは、例えば差動サンギヤS0に連結されている第1電動機MG1の定格的に設定されている最高回転速度、差動リングギヤR0に連結されている第2電動機MG2の定格的に設定されている最高回転速度、ピニオンギヤの実験等に基づいて設定される最高回転速度等に基づいてそれぞれ設定される。
そして、動力分配機構16のいずれかの回転要素がその回転要素に予め設定されている許容回転速度Ncrに到達すると判断されると、最適ギヤ段設定手段96が実行される。最適ギヤ段設定手段96は、設定された仮想ギヤ段に変速された際に、各回転要素を許容回転速度Ncrに到達させない自動変速部20のギヤ段を設定する。
最適ギヤ段設定手段96は、例えば現在の自動変速部20のギヤ段以外のギヤ段に変速された場合の入力軸として機能する伝達部材18の回転速度N18すなわち差動リングギヤR0の回転速度を算出し、算出された差動リングギヤR0の回転速度および設定された仮想ギヤ段に対応するエンジン回転速度Ne(差動キャリヤCA0の回転速度)、差動遊星歯車装置24のギヤ比に基づいて、各回転要素(差動サンギヤS0、ピニオンギヤ等)の回転速度を算出する。なお、伝達部材18の回転速度は、例えばそのときに検出されている出力軸回転速度Noutと、自動変速部20の各ギヤ段に対応するギヤ比ρとの積に基づいて算出される。
そして、最適ギヤ段設定手段96は、自動変速部20の各ギヤ段を基準として算出された各回転要素の回転速度が、予め回転要素に各々設定されている許容回転速度Ncrに到達するか否かを判断し、上記許容回転速度Ncrにいずれも到達しない自動変速部20のギヤ段を、仮想ギヤ段変速時において変速すべき最適ギヤ段として設定する。なお、各回転要素がいずれも各々に設定されている許容回転速度Ncrに到達しないギヤ段が複数ある場合、いずれのギヤ段が設定されても構わないが、変速性等の問題から、現在の自動変速部20のギヤ段に最も近いギヤ段が選択されるのが好ましい。
最適ギヤ段設定手段96は、自動変速部20の全てのギヤ段に対応する各回転要素の回転速度を算出して、許容回転速度Ncrと比較する必要はなく、現在のギヤ段に隣接するギヤ段から順番に、そのギヤ段に基づく動力分配機構16の各回転要素の回転速度を算出すると共に、算出された各回転要素が許容回転速度Ncrに到達するか否かを判断し、いずれの回転要素についても許容回転速度Ncrに到達しない場合には、そのギヤ段を変速すべき最適ギヤ段に設定することもできる。
高回転防止変速手段92は、駆動力操作手段86の開始時点と略同時に、自動変速部20が最適ギヤ段設定手段96によって設定されたギヤ段に変速されるように、有段変速制御手段82に変速指令を出力する。例えば図10の共線図に示すように、差動部11において仮想ギヤ3速(S3)から仮想ギヤ2速(S2)へ変速される場合、自動変速機20が第3速ギヤ段(S3)の状態では、破線に示すように、差動サンギヤS0(第1電動機MG1)の回転速度が許容回転速度Ncrを越えてしまう。これに対して、自動変速部20が第2速ギヤ段に変速されると、差動リングギヤR0(第2電動機MG2)の回転速度が上昇することから、一点鎖線で示すように、仮想ギヤ2速(S2)に変速されても差動サンギヤS0(第1電動機MG1)の回転速度が第1電動機MG1に基づいて設定されている許容回転速度Ncrを越えることが回避される。すなわち、自動変速部20が第2速ギヤ段へ変速されることで、動力分配機構16の各回転要素がいずれも許容回転速度Ncrに到達することなく、仮想ギヤ2段(S2)へ変速させることが可能となる。
図11は、電子制御装置80の制御作動の要部、すなわち運転者のシフトレバー操作に応じた減速力(アクセルペダル開放時)或いは駆動力(アクセルペダル踏み込み時)を発生させる際、動力分配機構16の各回転要素がその回転要素に応じて設定されている許容回転速度Ncrに到達することなく、運転者の要求する減速力或いは駆動力を得ることができる制御作動を説明するためのフローチャートであって、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、シフトレバー操作判断手段90に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、シフトレバー52のポジションが「D」ポジションにあるか否かが判断される。SA1が肯定される、すなわちシフトレバー52が「D」ポジションにある場合、自動変速部20において自動変速制御が優先して実施されるため、本ルーチンは終了させられる。SA1が否定される場合、シフトレバー操作判断手段90に対応するSA2において、車両の状態がシーケンシャルモードにあるか否か、すなわちシフトレバー52が「S」ポジションにある状態か否かが判断される。SA2が否定される場合、本ルーチンは終了させられる。一方、SA2が肯定される場合、さらに、シフトレバー操作判断手段90に対応するSA3において、運転者のシフトレバー操作による仮想ギヤ段切替要求が発生したか否かが判断される。具体的には、運転者によるシフトレバー52の「+」側または「−」側への操作が少なくとも1回実行されることにより、仮想ギヤ段をその操作に応じて設定された仮想ギヤ段に切替える指令が出力されたか否かが判断される。SA3が否定される場合、本ルーチンは終了させられる。
SA3が肯定される場合、変速許容判断手段94に対応するSA4において、現在の自動変速部20のギヤ段の状態で、SA3で設定された仮想ギヤ段に変速されると、動力分配機構16の各回転要素のいずれかが、各回転要素に各々設定されている許容回転速度Ncr(上限値)に到達する、或いは越えるか否かが判断される。SA4が否定される場合、駆動力操作手段86に対応するSA6において、差動部11の設定された仮想ギヤ段への変速が実行される。SA6においては、出力軸回転速度Noutが一定であり、且つ、自動変速部20のギヤ段も維持されるので、差動リングギヤR0の回転速度も変化しない。したがって、第1電動機MG1によってエンジン回転速度Neを仮想ギヤ段に対応する回転速度に制御することで、その仮想ギヤ段に相当する減速力(アクセルペダル開放時)或いは駆動力(アクセルペダル踏み込み時)が発生する。
一方、SA4が肯定される場合、駆動力操作手段86、最適ギヤ段設定手段96、および高回転防止変速手段92に対応するSA5において、仮想ギヤ段へ変速された際に、動力分配機構16の各回転要素がいずれも各々に設定されている許容回転速度Ncrに到達しない自動変速部20のギヤ段が設定され、差動部11の仮想ギヤ段への変速と自動変速部20の設定されたギヤ段への変速が同時或いは略同時に実行される。自動変速部20においては、自動変速部20の変速が進行するに従って、自動変速部20の入力軸としても機能する伝達部材18の回転速度N18が変化し、伝達部材18に連結されている差動リングギヤR0も同様に回転速度が変化する。また、差動部11においては、自動変速部20の変速後の差動リングギヤR0および仮想ギヤ段に基づいて設定されるエンジン回転速度Ne(差動キャリヤ)に基づいて、差動サンギヤS0の回転速度が算出され、第1電動機MG1の回転速度制御により、差動サンギヤS0が算出された回転速度に制御される。これより、差動部11(動力分配機構16)の回転要素が許容回転速度Ncrに到達することなく、差動部11が仮想ギヤ段に変速されて、運転者の所望する減速力(アクセルペダル開放時)或いは駆動力(アクセルペダル踏み込み時)を得ることが可能となる。なお、自動変速部20においては、自動変速部20の出力軸回転速度Noutと設定されたギヤ段のギヤ比に基づいて変速後の伝達部材18の回転速度N18すなわち差動リングギヤR0の回転速度が算出されることから、第2電動機MG2によって予めその算出された回転速度に制御することもできる。
上述のように、本実施例によれば、運転者のマニュアル操作に応じて設定された仮想ギヤ段(S1〜S8)に変速されると、差動部11の所定の回転要素の回転速度が予め設定されている許容回転速度Ncrに到達する場合には、自動変速部20を変速させてその許容回転速度Ncrに到達させないように制御されるので、仮想ギヤ段に変速された際に、差動部11の所定の回転要素の回転速度が許容回転速度Ncrに到達することなく、仮想ギヤ段の変速が可能となる。すなわち、差動部11の所定の回転要素が許容回転速度Ncrに到達することなく、運転者の所望する減速力或いは駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、仮想ギヤ段変速後の差動部11の所定の回転要素の回転速度が許容回転速度Ncrに到達するか否かが予め判断され、その所定の回転要素の回転速度が許容回転速度Ncrに到達する場合には、仮想ギヤ段変速後においてその所定の回転要素を許容回転速度Ncrに到達させない自動変速部20のギヤ段が設定されるので、自動変速部20が設定されたギヤ段に変速されることで、所定の回転要素の回転速度が許容回転速度Ncrに到達することなく、差動部11を設定された仮想ギヤ段に変速させることができる。
また、本実施例によれば、仮想ギヤ段に応じてエンジン回転速度Neが変更され、運転者のマニュアル操作に基づく減速要求が高くなるに従って、エンジン回転速度Neが高くなる仮想ギヤ段に変速されるため、運転者のマニュアル操作に基づく減速要求が高くなると、エンジン回転速度Nえが高回転となるに従い、エンジン8のフリクショントルクが大きくなって減速力が大きくなる。したがって、運転者のマニュアル操作に応じたフリクショントルクを発生させて、運転者の要求する減速力を得ることができる。また、運転者の駆動要求が高くなるに従って、エンジン回転速度Neが高くなる仮想ギヤ段に変速されてエンジン回転速度Neが高回転となるため、アクセルペダル踏み込み時に運転者のマニュアル操作に応じた駆動力を得ることができる。
また、本実施例によれば、第1電動機MG1によって差動遊星歯車装置24の差動サンギヤS0の回転速度を制御することで、エンジン回転速度Neを制御することができるため、第1電動機MG1によって差動部11を所定の仮想ギヤ段へ変速させることができる。
また、本実施例によれば、自動変速部20は、有段式の自動変速部で構成されるため、自動変速部20の変速によって、差動部11(動力分配機構16)の出力軸としても機能する伝達部材18の回転速度を変更することができる。したがって、差動部11が所定の仮想ギヤ段へ変速された際に、所定の回転要素の回転速度を許容回転速度Ncrに到達させないように、動力分配機構16の出力軸の回転速度を自動変速部20の変速によって調整することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、自動変速部20が前進4段の変速機で構成されているが、本発明は、自動変速部20の連結構成および変速段数は特に限定されるものではなく、自由に変更することができる。また、必ずしも有段式の変速部に限定されず、例えばベルト式無段変速機などの無段変速部が連結された構成であっても構わない。すなわち、変速部の変速によって差動部11の出力軸の回転速度を変更することができる構成であれば、本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、差動部11の仮想ギヤ段数が8段に設定されているが、仮想ギヤ段の数は特に限定されるものではなく、自由に変更することができる。
また、前述の実施例では、仮想ギヤ段に対応するエンジン8の動作点が、出力軸回転速度Noutとエンジン回転速度Neから構成される2次元マップに描かれる各仮想ギヤ段の曲線に基づいて設定されたが、仮想ギヤ段の設定方法が必ずしも上記に限定されるものではなく、例えば車速Vに基づいて設定されるなど適宜変更することができる。
また、前述の実施例では、差動部11が仮想ギヤ3速から仮想ギヤ2速に切替える際、自動変速部20を第3ギヤ段から第2速ギヤ段に変速する態様を一例として示したが、上記は一態様であって、走行状態や変速部のギヤ段数等に応じて適宜変更されるものである。例えば、差動部11が仮想ギヤ4速から仮想ギヤ2速に切替えるなど、仮想ギヤ段を2段以上に切替える態様であっても、自動変速部20をそれに応じたギヤ段に変速することで、本発明の効果を得ることができる。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、差動部キャリヤCA0がエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0が第1電動機MG1に連結され、差動部リングギヤR0が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機MG1、伝達部材18は、差動部遊星歯車装置24の3要素CA0、S0、R0のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、エンジン8は入力軸14と直結されていたが、たとえばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
また、前述の実施例では、第1電動機MG1および第2電動機MG2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機MG1は差動部サンギヤS0に連結され第2電動機MG2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、たとえばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機MG1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機MG2は伝達部材18に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、第1クラッチC1や第2クラッチC2などの油圧式摩擦係合装置は、パウダー(磁紛)クラッチ、電磁クラッチ、噛合型のドグクラッチなどの磁紛式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。たとえば電磁クラッチであるような場合には、油圧制御回路70は油路を切り換える弁装置ではなく電磁クラッチへの電気的な指令信号回路を切り換えるスイッチング装置や電磁切換装置等により構成される。
また、前述の実施例では、自動変速部20は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられてそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20が配列されていてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20とは、たとえば伝達部材18としてカウンタギヤ対、スプロケットおよびチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
8:エンジン
10:変速機構(車両用動力伝達装置)
11:差動部(電気式差動部)
14:入力軸
16:動力分配機構(差動機構)
18:伝達部材(出力軸)
20:自動変速部(変速部)
34:駆動輪
86:駆動力操作手段
88:仮想ギヤ段設定手段
92:高回転防止変速手段
94:仮想ギヤ段変速許容判断手段(変速許容判断手段)
96:最適ギヤ段設定手段

Claims (5)

  1. エンジンと、差動機構の回転要素に動力伝達可能に連結された電動機の運転状態が制御されることにより該エンジンに連結された入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の差動状態が制御される電気式差動部と、該電気式差動部から駆動輪への動力伝達経路の一部を構成する変速部と、運転者のマニュアル操作により前記エンジンの回転速度を変化させることで減速力或いは駆動力を操作する駆動力操作手段とを、備えた車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    前記電気式差動部において、運転者によるマニュアル操作に応じた仮想ギヤ段を設定する仮想ギヤ段設定手段と、
    設定された前記仮想ギヤ段に変速されると、前記電気式差動部の所定の回転要素の回転速度が予め該回転要素に設定されている許容回転速度に到達すると判断される場合には、該仮想ギヤ段変速後に該所定の回転要素の回転速度を該許容回転速度に到達させないように前記変速部を変速する高回転防止変速手段とを、
    含むことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記仮想ギヤ段設定手段によって設定された仮想ギヤ段に基づいて、該仮想ギヤ段変速後の前記電気式差動部の回転要素の回転速度を予め算出し、算出された回転要素の回転速度が予め該回転要素に設定されている前記許容回転速度に到達するか否かを判断する変速許容判断手段と、
    該仮想ギヤ段変速後において、所定の該回転要素の回転速度が前記許容回転速度に到達する場合には、該仮想ギヤ段変速後に該所定の回転要素を該許容回転速度に到達させない前記変速部のギヤ段を設定する最適ギヤ段設定手段とを、
    備えることを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記仮想ギヤ段は予め複数段設定されており、該仮想ギヤ段に応じて前記エンジンの回転速度が変更され、運転者のマニュアル操作に基づく減速或いは駆動要求が高くなるに従って、エンジンの回転速度が高くなる該仮想ギヤ段に変速されることを特徴とする請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記差動機構は、シングルピニオン型の遊星歯車装置から構成され、該遊星歯車装置のサンギヤが前記電動機に連結され、キャリヤが前記エンジンに連結され、リングギヤが前記変速部の入力軸に連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記変速部は、有段式の自動変速部で構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1の車両用動力伝達装置の制御装置。
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