JP2010067532A - 四重極型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スキャン測定やSIM測定において四重極質量フィルタへの印加電圧をステップ状に変化させる際に必要なセトリング時間をできるだけ短くし、時間分解能の向上又はSN比や感度の向上を図る。
【解決手段】SIM測定を実行する際に最適セトリング時間算出部101は、測定対象の質量とその直前の測定対象の質量との差ΔMとその測定対象質量とに応じてセトリング時間の長さを決定する。測定対象の質量が同じでも質量差ΔMが小さいほどセトリング時間を短くし、質量差ΔMが同じでも測定対象の質量が大きいほどセトリング時間を短くする。これにより、測定対象質量のイオンを検出するのに十分な電圧安定化時間を確保しながら、SIM測定の繰り返しサイクルを短縮する又は測定にあてる時間を長くすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオンを質量(厳密にはm/z値)に応じて分離する質量分析器として四重極質量フィルタを用いた四重極型質量分析装置に関する。
四重極型質量分析装置では、四重極質量フィルタを構成する4本のロッド電極に高周波電圧と直流電圧とを重畳した電圧が印加され、その電圧に応じた質量を有するイオンのみが選択的に四重極質量フィルタを通り抜けてイオン検出器に到達する。近年、四重極型質量分析装置とガスクロマトグラフや液体クロマトグラフとを組み合わせたガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)は、様々な分野で広く利用されている。
上記四重極型質量分析装置の測定モードとして、スキャン測定と、SIM(選択イオンモニタリング)測定と、がよく知られている。スキャン測定は、四重極質量フィルタの各ロッド電極へ印加する電圧を走査することによりイオン検出器に到達するイオンの質量を所定質量範囲に亘って走査する、という制御・処理を繰り返すものであり、特に、質量が未知である物質が含まれる試料の定性分析に威力を発揮する。一方、SIM測定は、予めユーザが設定した複数の質量に順番に切り替えながらその質量を持つイオンの質量分析を繰り返し行うものであり、特に、質量が既知である物質の定量分析に威力を発揮する。
図6は、スキャン測定の際の分析対象イオンの質量変化を示す概略図である。この図に示すようにイオンを通過させるために、四重極質量フィルタのロッド電極への印加電圧を最小質量M1に対応した電圧から徐々に増加させてゆく。そして、最大質量M2に対応した電圧に到達したならば、電圧を最小質量M1に対応した電圧に速やかに戻し、再び同様の電圧走査を実行する。このように電圧を急激に変化させるとオーバーシュート(アンダーシュート)やリンギングが発生することが避けられないため、電圧変化の後に電圧が適度に安定するまでの待ち時間(セトリング時間)を設け、そのセトリング時間の経過後に電圧走査を開始して実質的なイオンの検出動作、つまり測定動作を実行するようにしている。
SIM測定の場合でも、或る質量から別の質量に質量を変化させる際には、上記のような電圧のオーバーシュート(アンダーシュート)やリンギングの発生が避けられないため、やはり電圧変化の直後にセトリング時間を設け、そのセトリング時間の経過後にその印加電圧に対する実質的なイオンの検出動作を行う必要がある。例えば特許文献1には、SIM測定においてセトリング時間を設けることが不可避であることが記載されている。
スキャン測定とSIM測定のいずれにおいても、上記セトリング時間の期間中には、GCやLCからイオン源に導入された試料成分に対する質量分析は実施されないことになる。したがって、例えばスキャン測定においては、セトリング時間が長いほど質量走査の時間間隔が開いてしまい、つまりは質量走査の周期が長くなり、時間分解能が低下することになる。SIM測定においても、セトリング時間が長いほど、同一質量に対する測定の時間間隔が開いてしまい、時間分解能が低下することになる。また、時間分解能を上げるには、繰り返し周期を短くすればよいが、そうすると、1つの質量当たりのイオン検出時間が短くなり、感度やSN比の低下を招くことになる。
特開2000−195464号公報 特開平4−289652号公報
特許文献2に記載の質量分析装置では、分析対象の質量をステップ状に変化させるために印加電圧を同じくステップ状に変化させる際に、そのステップ間電圧差に応じてイオン検出を実行するまでの待ち時間(セトリング時間)を変えるような制御が行われている。これによれば、最大のセトリング時間を想定してセトリング時間を一定にする場合に比べれば、全体的にセトリング時間を短縮し測定時間を長くすることができる。しかしながら、時間分解能や感度・SN比などを一層向上させるためには、上記従来の制御よりもさらにセトリング時間を短縮する必要があった。
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、スキャン測定やSIM測定などを行う際に、実質的に質量分析に寄与しないセトリング時間を可能な限り短縮することにより、繰り返し周期を短縮して時間分解能を向上させたり実質的なイオン検出時間を長くしてSN比や感度を向上させることができる四重極型質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、特定の質量を持つイオンを選択的に通過させる四重極質量フィルタと、該四重極質量フィルタを通過したイオンを検出する検出器と、を具備し、前記四重極質量フィルタを通過するイオンの質量を所定の質量範囲に亘り繰り返し走査するスキャン測定、予め設定された複数の質量に順次切り替えるサイクルを繰り返すSIM(選択イオンモニタリング)測定若しくはMRM(多重リアクションモニタリング)測定、又はその両方を交互に実行する測定を行う四重極型質量分析装置において、
a)前記四重極質量フィルタを構成する各電極に所定の電圧を印加する四重極駆動手段と、
b)スキャン測定、SIM測定若しくはMRM測定、又はその交互測定に際し、質量の離散的な変化に対応して前記四重極質量フィルタを構成する各電極への印加電圧を変更するべく前記四重極駆動手段を制御するとき、その離散的な変化の前後の質量差と、変化後の質量と、に基づいて、その変化の時点から実質的なイオン検出を開始するまでの待ち時間の長さを変更する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る四重極型質量分析装置は、MS/MS分析が可能な三連四重極型質量分析装置を含み、その場合にMRM測定が可能である。
本発明に係る四重極型質量分析装置において、スキャン測定が行われる場合には、走査開始質量と走査終了質量とがパラメータとして与えられる。そこで、走査開始質量と走査終了質量との質量差が、1回の質量走査が終了してから次の質量走査が開始される際の質量の離散的な変化前後の質量差として求まる。また、SIM測定やMRM測定が行われる場合には、1乃至複数の質量がパラメータとして与えられる。そこで、或る1つの質量と、その質量に対する分析の終了後に実施される次の分析の質量との差が、質量の離散的な変化前後の質量差として求まる。さらにまた、いずれの場合も、質量変化後の質量はパラメータから得られる。
制御手段は、上記のように得られる質量差と質量とに基づいて、待ち時間(セトリング時間)の長さを決める。具体的には、制御手段は、離散的な質量変化の前後の質量差が小さいほど待ち時間を短くする。即ち、質量変化前後の質量差が小さければ、四重極質量フィルタを構成する電極へ印加する電圧の差も小さい。したがって、電圧が急に変化した直後のオーバーシュート(アンダーシュート)やリンギングが相対的に小さく、電圧が安定するまでの時間が短くて済む。
一方、制御手段は、離散的な質量変化後の質量が大きいほど待ち時間を短くする。即ち、質量変化後の質量が大きければ、分析対象のイオンはオーバーシュート(アンダーシュート)やリンギングによる電場の乱れの影響を相対的に受けにくく、四重極質量フィルタを構成する電極へ印加する電圧も相対的に大きいのでオーバーシュート(アンダーシュート)やリンギングが相対的に小さい。そのため、電圧が急に変化した直後にその電圧が安定するまでの時間が短くて済む。
本発明に係る四重極型質量分析装置によれば、質量がステップ状に変化する際に、その変化の幅や変化後の質量に応じて、四重極質量フィルタへの印加電圧が十分に安定するまでの待ち時間をそれぞれ最短又はそれに近い状態に設定することができる。換言すれば、それぞれの待ち時間を短くしても、四重極質量フィルタへの印加電圧が十分に安定した状態でイオンの検出を実行することができる。
したがって、本発明に係る四重極型質量分析装置によれば、スキャン測定やSIM測定、MRM測定において、四重極質量フィルタへの印加電圧を離散的に変化させる際に、必要な時間以上の無用な待ち時間を従来よりもさらに短縮することができる。それにより、例えばスキャン測定において走査速度が同じであっても、質量走査の繰り返し周期を短くすることができ、質量分析データが得られない、いわゆる不感時間を短くして、時間分解能を向上させることができる。またSIM測定やMRM測定において各質量当たりの測定時間が同じであっても、複数の質量の繰り返し周期を短くすることができ、不感時間を短くして、時間分解能を向上させることができる。一方、繰り返し周期を短くしない場合においては、1周期の中で実質的にイオンの検出にあてられる期間が長くなるので、その分、感度やSN比の向上を図ることができる。
以下、本発明の一実施例である四重極型質量分析装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施例による四重極型質量分析装置の要部の構成図である。
本実施例の四重極型質量分析装置において、図示しない真空室の内部には、イオン源1、イオン輸送光学系2、四重極質量フィルタ3、及びイオン検出器4が配設されている。四重極質量フィルタ3は、イオン光軸Cを中心とする所定半径の円筒に内接するように配置された4本のロッド電極3a、3b、3c、3dを備える。この4本のロッド電極3a、3b、3c、3dのうち、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極、つまりロッド電極3aと3c、ロッド電極3bと3dがそれぞれ接続されている。この4本のロッド電極3a、3b、3c、3dに電圧を印加する手段としての四重極駆動手段が、イオン選択用電圧発生部13、バイアス電圧発生部18、バイアス加算部19、20である。イオン選択用電圧発生部13は、直流(DC)電圧発生部16、高周波(RF)電圧発生部15、高周波/直流(RF/DC)加算部17を含む。
図示しないが、この四重極型質量分析装置の前段にはGCが接続され、GCのカラムで成分分離された気体状の試料がイオン源1に導入される。但し、四重極型質量分析装置の前段にLCを接続することもでき、その場合には、イオン源1としてエレクトロスプレイイオン源などの大気圧イオン源を用い、このイオン源1を略大気圧雰囲気とし、四重極質量フィルタ3やイオン検出器4を高真空雰囲気中に配置するために多段差動排気系の構成とすればよい。
イオン光学系電圧発生部21は、四重極質量フィルタ3の前段のイオン輸送光学系2に直流電圧Vdc1を印加する。制御部10は、イオン光学系電圧発生部21、イオン選択用電圧発生部13、バイアス電圧発生部18などの動作を制御するものである。また、制御部10にはオペレータが操作する入力部11も接続されている。なお、制御部10や図示しないデータ処理部は、CPU、メモリなどを含んで構成されるコンピュータを中心にその機能が実現される。
イオン選択用電圧発生部13にあって、直流電圧発生部16は、制御部10による制御の下に、互いに極性の異なる±Uなる直流電圧を発生する。高周波電圧発生部15は、同様に制御部10の制御の下に、互いに位相が180°異なる±V・cosωtなる高周波電圧を発生する。高周波/直流加算部17は直流電圧±Uと高周波電圧±V・cosωtとを加算し、U+V・cosωt、及び、−(U+V・cosωt)なる2系統の電圧を発生する。これが、四重極質量フィルタ3を通過するイオンの質量(厳密にはm/z値)を左右するイオン選択用電圧である。
バイアス電圧発生部18は、四重極質量フィルタ3の長軸方向の空間に効率良くイオンが導入されるような直流電場を四重極質量フィルタ3の手前に形成するために、イオン輸送光学系2に印加される直流電圧Vdc1との間の電圧差が適切になるように各ロッド電極3a〜3dに印加すべき共通の直流バイアス電圧Vdc2を生成する。バイアス加算部19はイオン選択用電圧U+V・cosωtと直流バイアス電圧Vdc2とを加算してVdc2+U+V・cosωtなる電圧をロッド電極3a、3cに印加し、バイアス加算部20はイオン選択用電圧−(U+V・cosωt)と直流バイアス電圧Vdc2とを加算し、Vdc2−(U+V・cosωt)なる電圧をロッド電極3b、3dに印加する。なお、直流バイアス電圧Vdc1、Vdc2は、標準試料などを用いて行われる自動チューニングにより、最適な値が設定されるようにすることができる。
次に、本実施例の四重極型質量分析装置において、SIM測定を実行する場合の特徴的な制御動作を図2、図3及び図5を参照して説明する。
最適セトリング時間算出部101には、予め図3に示すようなセトリング時間設定テーブルが格納されている。このテーブルは、質量差ΔMと変更後質量とを入力としたときに最適セトリング時間が導出されるものである。同一の変更後質量の場合には、質量差ΔMが小さくなるに従いセトリング時間が短くなる。一方、同一の質量差ΔMの場合には、変更後質量が大きくなるに従いセトリング時間が短くなる。この例では、質量差ΔMが0−99の範囲で変更後質量が100−1090の範囲であるときに、セトリング時間は最短の1[ms]である。反対に、質量差ΔMが300以上の範囲で変更後質量が2−49の範囲であるときに、セトリング時間は最長の5[ms]である。
同一の変更後質量の場合、質量差ΔMが小さいほどロッド電極3a〜3dへの印加電圧U、Vの変化も小さいから、アンダーシュート(オーバーシュート)やリンギングもそれだけ小さく、短い時間で静定する。これが、同一変更後質量において質量差ΔMが小さくなるに従いセトリング時間を短くしている理由である。一方、同一の質量差ΔMの場合、変更後質量が大きいほどロッド電極への印加電圧U、Vも高い。そのため、或る電圧からその印加電圧に急に電圧が変化した際に生じるアンダーシュート(オーバーシュート)やリンギングが同程度であったとしても、相対的にその影響は小さくなる。また、イオンの質量が大きいと、それだけ電圧の変動の影響を受けにくいという、イオンの感受性の差もある。そのために、同一質量差ΔMである場合に、変更後質量が大きくなるに従いセトリング時間を短くすることができる。
図5は、同一質量差(500)において変化させる質量が相違する場合の、質量変化後のイオンの検出強度の実測結果を示す図である。図5中に下向き矢印で示す時点が、四重極質量フィルタへの印加電圧が安定して電場が安定した時点であると考えられる。この実測結果からも、変化後質量が大きいほうがセトリング時間が短くて済むことが確認できる。
SIM測定を実施する際には、その実施に先立ってユーザは入力部11から分析条件として、測定対象の1乃至複数の質量(m/z値)と、その質量を繰り返し測定する1サイクルであるインターバル時間Taとを設定する。すると制御部10において、最適セトリング時間算出部101が、指定された質量毎にその直前に測定する質量との質量差ΔMを計算し、その質量差ΔMと測定しようとする質量とを、上記セトリング時間設定テーブルに照らして対応するセトリング時間を求める。
一例として、測定質量がM11、M12、M13、M14、M15の5つであるものとし、図2に示すように、質量の小さい順に測定を実行するものとする。この場合、質量M12と質量差ΔM=M12−M11とから質量M12の測定実行前のセトリング時間TS12、質量M13と質量差ΔM=M13−M12とから質量M13の測定実行前のセトリング時間TS13、質量M14と質量差ΔM=M14−M13とから質量M14の測定実行前のセトリング時間TS14、質量M15と質量差ΔM=M15−M14とから質量M15の測定実行前のセトリング時間TS15を決定する。質量M11の測定実行前のセトリング時間は、その質量M11と質量差ΔM=M15−M11とから決定する。これにより、質量差ΔMが大きいほど長いセトリング時間が設定され、質量が小さいほど長いセトリング時間が設定される。
電圧制御パターン決定部102は、インターバル時間Taと上記のセトリング時間TS11、TS12、TS13、TS14、TS15と測定対象の質量の数n(この場合には5)から、各質量に対する測定時間Tdw’を次の式により計算する。
Tdw’[ms]={Ta−(TS11+TS12+TS13+TS14+TS15)}/n
そして、このTdw’の整数値を測定時間Tdwに定め、整数化によって生じた剰余をインターバル間待ち時間Tadjとする。これにより、図2に示したようなSIM測定を繰り返すための制御のタイムチャートが決まる。また、測定対象の質量に応じて、印加電圧U、Vが一義的に決まるから、SIM測定のための電圧制御パターンが決定する。
測定の実行の開始が指示されると制御部10は、決定した電圧制御パターンに従ってイオン選択用電圧発生部13を制御し、四重極質量フィルタ3の各ロッド電極3a〜3dに印加する電圧(具体的には直流電圧U及び高周波電圧の振幅V)を適宜に変化させる。その結果、図2に示したように、質量の切替えの前後の質量差が大きい場合には小さい場合に比べてセトリング時間は相対的に短く、質量の切替え後の質量が大きい場合には小さい場合に比べてセトリング時間は相対的に短くなる。この場合には、インターバル時間Taは固定であるから、セトリング時間が短くなるとその分だけ測定時間Tdwが長くなる。つまり、1つの質量あたりのイオン検出時間が長くなるので、感度やSN比が向上する。
これに対し、インターバル時間Taが固定されておらず、例えば測定時間Tdwが分析条件としてユーザにより設定される場合には、セトリング時間が短くなるとその分だけインターバル時間Taが短くなる。これは1秒間中のインターバル時間Taの繰り返し回数が増加する、或いは、1つの質量(例えばM11)の測定の時間間隔が短くなることを意味するから、時間分解能が向上する。それによって、GCからこの質量分析装置に導入される試料ガス中の目的成分の出現時間が短い、つまりクロマトグラム上のピークがシャープである場合にも、該目的成分のピークを取り逃がすことなく正確な分析が可能となる。
次に、本実施例の四重極型質量分析装置において、スキャン測定を実行する場合の特徴的な制御動作を図4を参照して説明する。
スキャン測定を実施する際には、その実施に先立ってユーザは入力部11から分析条件として、走査開始質量M1及び走査終了質量M2と質量走査時間Tbとを設定する。すると制御部10において最適セトリング時間算出部101が、走査開始質量M1と走査終了質量M2との質量差ΔMを計算し、その質量差ΔMと走査開始質量M1とを上記セトリング時間設定テーブルに照らして対応するセトリング時間を求める。図4(a)、(b)に示すように、同じ走査開始質量M1であっても、質量差ΔMが小さいほど短いセトリング時間が設定される。また、図4(b)、(c)に示すように、同じ質量差ΔM2であっても、走査開始質量が大きいほど短いセトリング時間が設定される。
電圧制御パターン決定部102は、上記のセトリング時間t1(又はt2、t3)と質量走査時間Tbとを加算してインターバル時間を計算する。これにより、図4に示したようなスキャン測定を繰り返すための制御のタイムチャートが決まる。また、質量走査範囲の各質量に応じて、印加電圧U、Vが一義的に決まるから、スキャン測定のための電圧制御パターンが決定する。
測定の実行の開始が指示されると制御部10は、決定した電圧制御パターンに従ってイオン選択用電圧発生部13を制御し、四重極質量フィルタ3の各ロッド電極3a〜3dに印加する電圧(具体的には直流電圧U及び高周波電圧の振幅V)を適宜に変化させる。その結果、質量走査範囲が狭く、走査開始質量が大きいほど、セトリング時間が短くなるから、その分だけインターバル時間も短くなり、時間分解能が向上する。それにより、GCからこの質量分析装置に導入される試料ガス中の目的成分の出現時間が短い、つまりクロマトグラム上のピークがシャープである場合にも、該目的成分のピークを取り逃がすことなく正確な分析が可能となる。
一方、インターバル時間Tbや1秒中の質量走査の繰り返し回数が固定されている場合には、セトリング時間が短くなるとその分だけ質量走査時間が長くなり、同一質量に対するイオン検出時間が長くなる。それにより、感度やSN比の向上が図れる。
なお、上記説明ではSIM測定及びスキャン測定を実行する場合について述べたが、MS/MS分析でMRM測定を繰り返し実行する場合でも、上述したように、質量差ΔM及び測定しようとする質量に応じてセトリング時間の長さを変更することが有効であることは当然である。
またスキャン測定における質量走査の方向やSIM測定において1つのインターバル期間中の質量の高低の順序は特に限定されない。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例である四重極型質量分析装置の要部の構成図。 SIM測定の際の質量変化とセトリング時間との関係を示す模式図。 セトリング時間設定テーブルの一例を示す図。 スキャン測定の際の質量変化とセトリング時間との関係を示す模式図。 同一質量差で変化後の質量が相違する場合の安定時間の相違の比較結果を示す図。 スキャン測定における質量変化の状態を概略的に示す図。
符号の説明
1…イオン源
2…イオン輸送光学系
3…四重極質量フィルタ
3a〜3d…ロッド電極
4…イオン検出器
10…制御部
101…最適セトリング時間算出部
102…電圧制御パターン決定部
11…入力部
13…イオン選択用電圧発生部
15…高周波電圧発生部
16…直流電圧発生部
17…高周波/直流加算部
18…バイアス電圧発生部
19、20…バイアス加算部
21…イオン光学系電圧発生部

Claims (3)

  1. 特定の質量を持つイオンを選択的に通過させる四重極質量フィルタと、該四重極質量フィルタを通過したイオンを検出する検出器と、を具備し、前記四重極質量フィルタを通過するイオンの質量を所定の質量範囲に亘り繰り返し走査するスキャン測定、予め設定された複数の質量に順次切り替えるサイクルを繰り返すSIM測定若しくはMRM測定、又はその両方を交互に実行する測定を行う四重極型質量分析装置において、
    a)前記四重極質量フィルタを構成する各電極に所定の電圧を印加する四重極駆動手段と、
    b)スキャン測定、SIM測定若しくはMRM測定、又はその交互測定に際し、質量の離散的な変化に対応して前記四重極質量フィルタを構成する各電極への印加電圧を変更するべく前記四重極駆動手段を制御するとき、その離散的な変化の前後の質量差と、変化後の質量と、に基づいて、その変化の時点から実質的なイオン検出を開始するまでの待ち時間の長さを変更する制御手段と、
    を備えることを特徴とする四重極型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
    前記制御手段は、離散的な質量変化の前後の質量差が小さいほど前記待ち時間を短くすることを特徴とする四重極型質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の四重極型質量分析装置であって、
    前記制御手段は、離散的な質量変化後の質量が大きいほど前記待ち時間を短くすることを特徴とする四重極型質量分析装置。
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