JP2010067450A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2010067450A
JP2010067450A JP2008232333A JP2008232333A JP2010067450A JP 2010067450 A JP2010067450 A JP 2010067450A JP 2008232333 A JP2008232333 A JP 2008232333A JP 2008232333 A JP2008232333 A JP 2008232333A JP 2010067450 A JP2010067450 A JP 2010067450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
layer
aqueous electrolyte
electrode body
end portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008232333A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Kitayoshi
雅則 北吉
Yoshihiro Hori
堀  喜博
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008232333A priority Critical patent/JP2010067450A/ja
Publication of JP2010067450A publication Critical patent/JP2010067450A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】非水電解液のセパレータへの浸透性および該セパレータを備える電極体全体の保液性を向上することにより、生産性に優れ、高い電池特性を備えた非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】本発明により提供される非水電解液二次電池(リチウムイオン電池)10は、シート状の正極40および負極50を非水電解液が含浸される多孔質なシート状のセパレータ60とともに捲回してなる捲回電極体30と、非水電解液とが電池ケース20内に収容されている。セパレータ60は、捲回電極体30の捲回軸方向31の一端部32から他端部34に向けて非水電解液の保液性が漸次高まる構造で構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極および負極をセパレータとともに捲回してなる捲回電極体を備えた非水電解液二次電池に関し、詳しくは、捲回電極体における電解液の保液性が捲回軸方向に沿って変化する非水電解液二次電池に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコン及び携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく利用できるものとして期待されている。
リチウムイオン電池等の二次電池の一態様として、シート状の電極集電体に電極活物質層が保持された正負の各電極シートをセパレータとともに捲回して電極体を構成し、その捲回電極体を非水電解質(典型的には液状の非水電解質、すなわち非水電解液)とともに所定形状(例えば角型や円筒型)の電池ケースに収容した二次電池が知られている。このような二次電池を構成する電極体のセパレータは、一般的には多孔質な樹脂製シート(微多孔性高分子膜)からなっており、かかるセパレータの空孔内に非水電解液が浸透することにより、電池容器に収容された電極体中に非水電解液が含浸(充填)される。
上記構成の電極体に非水電解液を含浸するにあたり、かかる非水電解液が高粘度である場合には、一般的に非水電解液の上記セパレータに対する濡れ性が低い。この結果、該セパレータ内に非水電解液が浸透しにくく、上記電極体への非水電解液の充填(注液工程)に長時間を要するため、二次電池の生産性が低下する。また、非水電解液のセパレータに対する濡れ性は、該セパレータを備える電極体が上記非水電解液を保持する特性、すなわち保液性と相関しており、高粘度の非水電解液を備えた二次電池では、電極体の保液性が低下し得る。その結果、該二次電池の放電容量やサイクル特性等の電池特性に悪影響が生じる虞がある。このような問題の改善策として、例えば特許文献1に開示される方法が挙げられる。
特開平10−261395号公報
特許文献1に記載の方法によると、高沸点溶媒と低沸点溶媒とを所定配合比で混合してなる非水溶媒に支持塩を溶解させて得られる低粘度の非水電解液を用いることにより、かかる電解液のセパレータへの濡れ性を向上させて、該電解液のセパレータへの浸透性を改善している。しかし、かかる方法によると、上記非水電解液は、低粘度化のために低沸点溶媒の配合比を多くして調製されているので、高温条件下に曝された場合には上記電解液の劣化、分解等の不具合が生じ、電池の耐久性や寿命が低下し得る。したがって、このような方法で得られた二次電池を、高温条件下に置かれる可能性がある車載搭載用の二次電池として用いることは好ましくない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、非水電解液のセパレータへの浸透性および該セパレータを備える電極体全体の保液性を向上することにより、生産性に優れ、高い電池特性を備えた非水電解液二次電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、シート状の正極および負極を非水電解液が含浸される多孔質なシート状のセパレータとともに捲回してなる捲回電極体と、非水電解液とが電池ケース内に収容された非水電解液二次電池が提供される。この非水電解液二次電池では、上記セパレータは、上記捲回電極体の捲回軸方向の一端部から他端部に向けて上記非水電解液の保液性が漸次高まる構造で構成されている。
本発明に係る非水電解液二次電池によると、かかる電池の捲回電極体を構成する多孔質なセパレータは、上記捲回電極体の一端部から他端部への一方向に沿って非水電解液の保液性(あるいは濡れ性)が漸次高まる構造である。このため、例えば上記非水電解液を上記捲回電極体に充填する際に、上記保液性の高い他端部から注液(充填)すれば、上記非水電解液は上記他端部から上記電極体(セパレータ内)に浸入してスムーズに浸透および拡散し得る。一方、上記保液性の低い一端部側に存在する非水電解液は、毛細管現象によるセパレータへの浸透が該一端部から上記他端部に向けて促進されることにより、上記捲回電極体全体に効率良く浸透および拡散し(含浸され)得る。このことにより、上記捲回電極体では、上記非水電解液を万遍無く含浸させた状態が保持され得る。したがって、かかる非水電解液二次電池は、その製造プロセスにおける電解液の注液工程(含浸工程)に要する時間が短縮されるので生産性が向上するとともに、電極体全体に非水電解液が含浸された状態が長く保持され得るので放電容量やサイクル特性、耐久性等の電池特性も向上することが実現される。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様では、上記捲回電極体は、上記保液性の低い側の上記一端部が上記電池ケースの底部(使用時あるいは注液時に鉛直方向の下部になる部位をいう。以下同じ。)に配置され、上記保液性の高い側の上記他端部が上記電池ケースの上部に配置されるように収容されている。
かかる態様の非水電解液二次電池によると、電池ケース内に注液されてもその底部に滞留し得る(一部の)非水電解液は、毛細管現象により上記電極体への浸透が促進され、該電極体の上記一端部から上記他端部に向けて上昇方向に浸透していく。これにより、上記ケース内に収容された非水電解液は最大限に上記電極体内に保持されて電池反応に寄与し得る。したがって、かかる非水電解液二次電池では、安定した電池特性を長期にわたり維持することが実現される。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様では、上記セパレータは、少なくとも一層の保液性の低い層(低保液性層)と少なくとも一層の保液性の高い層(高保液性層)とを備える多層構造で構成されている。そして、上記捲回電極体は、上記多層構造セパレータの上記低保液性層の存在割合が上記一端部から上記他端部に向けて漸減し、且つ上記多層構造セパレータの上記高保液性層の存在割合が上記一端部から上記他端部に向けて漸増するように構築されている。
また、好ましくは、上記捲回電極体に含まれる上記セパレータの厚みは、上記一端部から他端部に向けて略一定である。
かかる態様の非水電解液二次電池では、上記多層構造セパレータを構成する低保液性層と高保液性層の存在割合が上記一端部から他端部に向けて変化していることにより、上記電極体における上記一端部から上記他端部に向けて保液性が漸次高まっている。この結果、非水電解液の浸透性を向上させることができる。上記一端部から上記他端部に向かう上記各層の存在割合の変化は、典型的には、上記一端部から上記他端部に向かう上記各層の厚みの変化に対応している。
また、上記高保液性層の漸増に対応して上記低保液性層を漸減し、かかるセパレータ全体の厚みを一定にすることにより、上記二次電池の製造プロセスにおける捲回工程の効率化が図られる。それに加えて、良好な電池特性(例えば安定した充放電特性)を有する電極体を備えた非水電解液二次電池を得ることができる。
ここに開示される非水電解液二次電池のさらに好ましい一態様では、上記低保液性層は、ポリプロピレンからなり、上記高保液性層は、ポリエチレンからなる。
ポリエチレンはポリプロピレンに比べて非水電解液の濡れ性が高く、非水電解液の保液性に優れた材質である。このことから、かかる態様の非水電解液二次電池では、上記二つの高分子材料を採用することにより、非水電解液の浸透性が向上される好ましい多構造セパレータを形成することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池のさらに好ましい一態様では、(上記捲回電極体に含まれる)上記セパレータの断面構造は、上記高保液性層をその両側から上記低保液性層で挟むようにして積層された多層構造で構成されている。
かかる態様の非水電解液二次電池では、上記高保液性層が上記低保液性層に挟まれるように積層された上記多層構造セパレータは、上記の効果に加えて、機械的強度に優れ、高温下でも形状を安定的に保持する効果を発揮する好ましいセパレータとなり得る。
ここに開示される非水電解液二次電池では、上記のような構造を有する捲回電極体を備えることにより、使用する非水電解液の種類を選ばずに捲回電極体への浸透性および該電極体の保液性を向上させ、良好な電池特性を維持することができる。このため、かかる二次電池は、高沸点溶媒の配合比の高い高粘度な非水電解液を採用することも可能である。このような非水電解液を採用することにより、かかる非水電解液二次電池は、高温下に曝され得る車両搭載用の電池として好適に利用され得る。したがって、本発明によると、かかる非水電解液二次電池を備える車両(例えば自動車)が提供される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、リチウムイオン電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する概念である。さらに、本明細書において「電極体」とは、少なくとも一つずつの正極及び負極を含み、電池(蓄電装置)の主体を成す構造体をいう。さらに本明細書において「非水電解液二次電池」とは、電池反応に寄与し得る媒体(例えばイオン性物質)を非水溶媒に存在させて得られる電気伝導性を有する溶液を電解液として利用している二次電池をいう。
本発明に係る非水電解液二次電池は、シート状の正極および負極を非水電解液が含浸される多孔質なシート状のセパレータとともに捲回してなる捲回電極体と、非水電解液とが電池ケース内に収容された非水電解液二次電池であって、かかるセパレータが、上記捲回電極体の捲回軸方向の一端部から他端部に向けて上記非水電解液の保液性が漸次高まる構造で構成されていることによって特徴づけられる電池である。
また、本発明は、かかる保液性が上記一端部から他端部に向けて高まるようなセパレータ構造を実現する非水電解液二次電池の好ましい態様の一つとして、低保液性層と高保液性層の厚みを上記一端部から他端部に向けて変化させた多層構造のセパレータを備えた非水電解液二次電池を提供する。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池について説明する。特に限定することを意図したものではないが、以下では、捲回電極体と非水電解液とを有底の円筒型ケースに開口した上端部から収容した形態のリチウムイオン電池を例として、本発明を説明する。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1〜図2AおよびBを参照しながら、本実施形態に係るリチウムイオン電池10について説明する。図1は、本実施形態に係る非水電解液二次電池の内部構造を模式的に示す縦断面図である。図2Aは、図1内の点線IIで囲んだ部分を拡大して模式的に示す断面図であって、セパレータ60の多層構造を模式的に示す断面図である。図2Bは、各層の厚みが一定である場合の多層構造を有するセパレータの模式的な断面図である。
上述したように、本発明に係る非水電解液二次電池は、非水電解液の保液性が上記のように漸次高まる構造のセパレータを備えることによって特徴づけられるものであるから、本発明の目的を実現し得る限りにおいて、リチウムイオン電池10では、セパレータ以外の電池構成材料や部材等の内容、材質あるいは組成は特に制限されず、従来のリチウムイオン電池と同様のものを用いることができる。
図1に示されるように、リチウムイオン電池10の全体の構成としては、従来のリチウムイオン電池と同様に、所定の電池構成部材(材料)、すなわちシート状の正極40、シート状の負極50、およびシート状のセパレータ60等を具備する電極体30が、非水電解液(図示せず)とともに、該電極体を収容し得る形状(ここでは上端部が開口した有底の円筒形状、すなわち円筒型)の電池ケース20に収容された構成を有する。また、電極体30としては、後述されるように、上記正極40および負極50が上記セパレータ60とともに捲回されてなる捲回型の電極体(捲回電極体)を好ましく用いることができる。
図1に示されるように、本実施形態に係る捲回電極体30は、長尺シート状の正極集電体42の表面に正極活物質層44が付与された正極シート40、長尺シート状の負極集電体52の表面に負極活物質層54が付与された負極シート50、および長尺シート状のセパレータ60とからなり、正極シート40および負極シート50の間に2枚のセパレータ60を、正極シート40、セパレータ60、負極シート50、セパレータ60の順で重ね合わせて捲回することによって形成される。
捲回される正極シート40において、その長手方向に沿う一方の端部には正極活物質層44が付与されずに正極集電体42が露出しており、一方、捲回される負極シート50においても、その長手方向に沿う一方の端部は負極活物質層54が付与されずに負極集電体52が露出している。このことにより、捲回電極体30の長手方向(すなわち捲回軸方向31)の一端には上記露出した正極集電体42(露出端部43)が積層しており、他端には上記露出した負極集電体52(露出端部53)が積層している。なお、本実施形態では、図1に示されるように、捲回電極体30は、負極50側が電池ケース20のケース本体22における底部に配置され、正極40側が上部(開口部)に配置されるようにして収容されている。
上記のような電極体30を構成する正極シート40および負極シート50の構成材料および部材自体は、従来のリチウムイオン電池に備えられる電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、正極シート40を構成する正極集電体42としては、導電性の良好な金属からなるシート材を用いることができる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金製の導電性部材が挙げられる。また、正極活物質層44の主成分たる電極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えばリチウムニッケル系複合酸化物(リチウムとニッケルとを構成金属元素として含む酸化物であって、ニッケルサイトの一部がコバルトやアルミニウム等の他の金属元素で置換されたものを含む。典型的にはLiNiO)、リチウムコバルト系複合酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムマンガン系複合酸化物(典型的にはLiMn)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
一方、負極シート50を構成する負極集電体52としては、例えば銅等の金属からなるシート材(好ましくは銅箔)を用いることができる。また、負極活物質層54の主成分たる電極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、グラファイトカーボンやアモルファスカーボン等の炭素系材料が挙げられる。
正極シート40および負極シート50は、上記各電極活物質を適当な溶媒に分散させた組成物をそれぞれの集電体上に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製され得る。なお、必要に応じて、導電材、結着材、及び増粘材等を上記組成物に添加することができる。
次に、図2Aおよび図2Bを参照しつつ、セパレータ60について説明する。セパレータ60は、正極シート40および負極シート50の間に介在するシートであって、典型的には後述の樹脂からなる多孔質なシート(微多孔性高分子膜)である。かかるセパレータ60は、正極シート40と負極シート50における両電極活物質層44,54の接触に伴う短絡防止や、該セパレータ60の空孔内に非水電解液を含浸させることにより捲回電極体30内に保持して電極間のイオン伝導の通路を形成する(すなわち導電性を確保する)役割を担っている。
ここに開示されるセパレータ60は、その断面構造が、好ましくは非水電解液の保液性の低い層が少なくとも一層と、該保液性の高い層が少なくとも一層とを備える多層構造となるように構成されている。より好ましくは、かかるセパレータ60の断面構造は、図2Aに示されるように、上記保液性の高い層(高保液性層)62をその両側から上記保液性の低い層(低保液性層)64で挟んだサンドイッチ構造(典型的には三層構造)である。また、かかる多層構造セパレータ60は、短尺方向(すなわち、上記正負極シート40,50とともに捲回して捲回電極体30を構築した際の捲回軸方向31)の一端部32から他端部34に向けて、上記低保液性層64の厚みDが漸減し、且つ上記高保液性層62の厚みDが漸増するように構成されており、該セパレータ60全体の厚みDとしては略一定となっていることが好ましい。
したがって、このような多層構造を有するセパレータ60を備えた捲回電極体30では、その捲回軸方向31の一端部32から他端部34に向けて該セパレータ60の高保液性層62の存在割合が漸増し、且つ低保液性層64の存在割合が漸減している。すなわち、かかる捲回電極体30全体として、捲回軸方向31の一端部32から他端部34に向けて上記非水電解液の保液性が漸次高まる構造となっている。
ここに開示されるセパレータ60の構成材料としては、薄層化が可能で非水電解液に対して化学的に安定な多孔質ポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。また、かかるポリオレフィン系樹脂のうち、セパレータ60の上記高保液性層62にはポリエチレン(PE)を、上記低保液性層64にはポリプロピレン(PP)を好ましく使用することができる。
ここで、ポリエチレンは、非水電解液の濡れ性がポリプロピレンに比べて高く、保液性に優れた材質であるとともに、シャットダウン機能(大電流が流れた際に、シートの微多孔が溶融することにより閉孔させて電池反応を停止させ、電池内の異常発熱防止と安全性を確保する機能)に優れる。その一方、融点が110℃〜120℃と比較的低温であり、機械的強度はポリプロピレンに比べると劣っている。他方、ポリプロピレンは、機械的強度に優れ、融点が150℃程度でポリエチレンに比べて高い。このことにより、ポリエチレン層をポリプロピレン層で挟み込んだ三層構造のセパレータを上記セパレータ60として採用することにより、該セパレータ60は、上記シャットダウン機能と、高温下での形状保持性(安定性)とをともに具備し得る。なお、上記高保液性層62の構成材料としてポリエチレンが好適であるが、ポリエチレンと同等の高保液性を有する性状の樹脂材料を好ましく使用し得る。また、上記低保液性層64の構成材料としてポリプロピレンが好適であるが、ポリプロピレンと同等の低保液性を有する性状の樹脂材料を好ましく使用し得る。
ここに開示されるセパレータ60を構成する高保液性層62の厚みDは、セパレータ60全体の機械的強度と保液性とのバランスを考慮して、かかるセパレータ60全体の厚みDを100%として、上記一端部32において5%〜40%、上記他端部34において15%〜55%であることが好ましい。また、該一端部32の厚みに対する該他端部34の厚みは、1.5〜3倍が好ましく、より好ましくは1.5〜2.5倍である。例えば、上記一端部32における上記厚みはセパレータ60全体の厚みに対して20%±5%であり、上記他端部34における上記厚みは、上記一端部32の厚みから2倍の増加割合で漸増し、40%±10%である。
また、ここに開示されるセパレータ60を構成する低保液性層64の厚みDは、かかるセパレータ60全体の厚みDを100%として、上記一端部32において60%〜95%であることが好ましく、上記他端部34において45%〜85%であることが好ましい。また、低保液性層64における該一端部32の厚みに対して、該他端部34の厚みは0.6倍以上1倍未満であることが好ましく、より好ましくは0.65倍〜0.9倍である。例えば、上記一端部32における低保液性層64の厚みはセパレータ60全体の厚みに対して80±5%であり、上記他端部34における厚みは60%±10%である。
また、セパレータ60が、2層の低保液性層64で1層の高保液性層62を挟み込んだ3層のサンドイッチ構造である場合には、上記一端部32における1層当たりの低保液性層64の厚みは30%〜47.5%、上記他端部34における1層当たりの厚みは22.5%〜42.5%であることが好ましい。両側の低保液性層64は、互いに同じ厚みで且つ同じ割合で漸減することが好ましい。
高保液性層62の厚み寸法Dが、上記一端部32から上記他端部34に向けて上記のように漸増し、他方、低保液性層64の厚み寸法Dは上記のように漸減していることが好ましい。かかる漸増または漸減の割合は、用いる非水電解液の種類や各層の構成材料の種類、あるいは電極体30のサイズ(径寸法や高さ寸法など)によって適宜設定することができる。
このような構成のセパレータ60は、例えば、高保液性層62となる高分子膜(例えばPE製シート)であって幅方向(すなわち上記一端部32から上記他端部34に向かう方向、すなわち上記捲回軸方向31)に沿って厚みが漸増する長尺状の高分子膜と、低保液性層64となる高分子膜(例えばPP製シート)であって上記厚みが漸減する長尺状の高分子膜とを用意し、各高分子膜をそれぞれ(サンドイッチ構造に)積層し、この積層体をプレス成形により上記各高分子膜層を接合することで成形加工することができる。
上記のような構成のセパレータ60では、上記一端部32側から他端部34側に向けて毛細管現象による非水電解液の浸透が促進され、該電解液は上記一端部32から吸い上げられて上記他端部34に向けてセパレータ60の隅々まで万遍無く浸透、拡散していく。
ここで、図2Bに示される従来の電極体に用いられるセパレータ160では、高保液性層162と低保液性層164のそれぞれの厚み寸法が部位に依らず一定であるため、ここに開示される上記セパレータ60に比べると、毛細管現象による電界液の浸透具合は劣る。このような構成の従来のセパレータ160を備える電極体に非水電解液を十分に含浸させるためには、低粘度の非水電解液を用いる必要があり、非水電解液の選択肢が制限される。しかし、ここに開示されるセパレータ60を備える捲回電極体30では、従来の電極体に比べると、高粘度の非水電解液であっても、よりスムーズに該非水電解液が含浸され得る。したがって、かかる捲回電極体30を備える非水電解液二次電池(リチウムイオン電池10)では、用いる非水電解液の種類は特に限定されない。
ここに開示される非水電解液二次電池(リチウムイオン電池10)に好ましく採用される非水電解液において、かかる電解液を構成する非水溶媒としては、通常のリチウムイオン電池に用いられる非水溶媒を特に制限なく用いることができる。すなわち、かかる非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、これらを2種以上混合して得られる混合溶媒では、その配合比(体積比)を変化させることにより混合溶媒の粘度および沸点を変化させることができる。例えば、高誘電率(比誘電率95)で高沸点(沸点240℃)のECは高粘度(粘度1.9mPa・s(40℃))であるので、低沸点(沸点90℃)であるが低粘度のDMC(粘度0.6mPa・s(25℃))やEMC(粘度0.7mPa・s(25℃))とともに混合された混合溶媒が挙げられる。
ここで、従来の非水電解液二次電池(リチウムイオン電池)における非水電解液において、上記3成分からなる混合溶媒を用いる場合には、配合比がEC:DMC:EMC=1:2:1程度の低粘度の混合溶媒を用いる必要があった。しかし、ここに開示されるセパレータを用いて得られる非水電解液二次電池では、上記3成分の混合溶媒を用いる場合には、混合されるECを1として、体積比でDMCを0.2〜1(好ましくは0.3〜0.7.例えば0.5±0.1)、EMCを0.5〜1.5(好ましくは0.8〜1.3、例えば1±0.1)の配合比である高粘度な混合溶媒を好ましく用いることができる。
また、この電解液を構成する電解質(支持塩)としては、フッ素を構成元素とする各種リチウム塩から選択される一種または二種以上を用いることができる。例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等からなる群から選択される一種または二種以上を用いることができる。リチウム塩の濃度は0.5mol/dm〜2mol/dmが好ましく、例えば1±0.5mol/dmである。このようにして得られる非水電解液のイオン伝導度は約10−2S/cmである。
上記捲回電極体30および上記非水電解液を収容する電池ケース20は、図1に示されるように、軸方向の一方の端部(すなわち、電池使用時における上端部)に開口部を有する有底の円筒型のケース本体22と、上記開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ蓋体24とを備える。電池ケース20の材質は、従来のリチウムイオン電池と同様のものを特に制限なく使用することができる。ケース本体22の材質は、軽量で熱伝導性が良い金属材料が好ましく、このような金属材料として例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼などが挙げられる。本実施形態ではアルミニウム製ケース本体22が使用されている。蓋体24は、上記開口部を塞ぎ得る形状(円板状)を有しており、典型的には正極(外部)端子26として機能するキャップ25、および該キャップ25と捲回電極体30との間に配置される遮断弁27とを備える。キャップ25および遮断弁27(すなわち蓋体24)の材質は、いずれも上述のケース本体22と異なる材質の金属製であってもよいが、同じ材質であることが好ましい。本実施形態では、どちらもアルミニウム製のものが使用されている。
次に、特に限定することを意図したものではないが、図1を参照しながら、本実施形態に係るリチウムイオン電池10を構築する(製造する)方法の一つの好ましい実施態様について説明する。
まず、図1に示される上記構成の(すなわち、上端部に開口部を備える有底円筒型形状を有する)ケース本体22と蓋体24(すなわち上記ケース本体22の開口部を塞ぎ得る円板形状を有する蓋体)とからなる電池ケース20を用意(作製)する。
次に、上記のような正極シート40,負極シート50およびセパレータ60を用意し、以下のような手順で捲回電極体30を作製する。
すなわち、まず長尺シート状の正極集電体42の表面の所定部分に正極活物質層44を有する正極シート40と、長尺シート状の負極集電体52の表面の所定部分に負極活物質層54を有する負極シート50と、長尺シート状のセパレータ60を準備し、各正負極シート40,50をセパレータ60を介して重ね合わせ、この重ね合わせたものを軸芯(図示せず)の周囲に捲回する。軸芯はなくてもよい。ここで、上記各シートの配置については、正極シート40における長手方向に沿う一方の端部(該シートの幅方向の一方の端部)にある正極露出端部43と、負極シート50における長手方向に沿う一方の端部にある負極露出端部53同士が、その長手方向に沿って対向するようにして各正負極シート40,50を配置する。
セパレータ60を配置する向きについては、捲回電極体30をケース本体22に収容した際にケース本体22の底部に配置される側の一端部(本実施形態では負極露出端部53側の端部)に、セパレータ60の高保液性層62の厚みDが小さく且つ低保液性層64の厚みDが大きい方の側の端部を合わせるように配置する。このようにして得られる電極体30は、捲回軸方向31の一端部32には負極集電体52(負極露出端部53)が現れ、他端部34には正極集電体42(正極露出端部43)が現れる構成となっている。また、このときの捲回電極体30は、セパレータ60の上記低保液性層64の存在割合が上記一端部32から他端部34に向けて漸減し、且つ上記高保液性層62の存在割合が該一端部32から他端部34に向けて漸増するような構成になっている。
次に、上記捲回電極体30を、その捲回軸方向31の上記一端部32側を下に、上記他端部34側を上にした状態で、上記ケース本体22に収容する。上記捲回電極体30において、ケース本体22の底部に配された負極露出端部53(負極集電体52)は、図示しない負極端子(ケース本体22の底部)に溶接等により接続される。
次いで、上記のように調製された非水電解液が注液される。かかる電解液の注液は、例えば捲回電極体30の他端部34の捲回面に装着された絶縁板36に形成された注液孔(図示せず)から注液される。かかる電解液は捲回電極体30におけるセパレータ60内に浸入し、上記他端部34側(すなわち、高保液性層62の存在割合の多い側)から一端部32側(低保液性層の存在割合の多い側)に向けて(すなわち下降方向に)浸透、拡散していく。
上記のように非水電解液を注液すると、典型的には、注液された上記非水電解液の一部は、ケース本体22の底部に滞留し得る。ここで、上記のような構成のセパレータ60では、毛細管現象により上記捲回電極体30への浸透が促進され、該電極体30の上記一端部32(ケース本体22の底部)から上記他端部34(ケース本体22の上部)に向けて上昇方向に浸透していく。これにより、上記滞留した一部の非水電解液も捲回電極体30の上記一端部32から吸い上げられ、最大限に捲回電極体30内に保持されて電池反応に寄与し得るので好ましい。
非水電解液を注液した後、上記捲回電極体30における正極40側を正極端子26に電気的に接続する。接続方法については従来のリチウムイオン電池と同様でよく、特に限定されない。例えば、捲回電極体30の正極露出部43(正極集電体42)と正極リード45の一端とを(例えば溶接により)接続し、正極リード45の他端を遮断弁27を介して正極端子26(キャップ25)に電気的に接続する。なお、捲回電極体30から電池ケース20の外部へ電気を取出す構造および機構自体は本発明を特徴づけるものではないので、より詳細な説明は省略する。
上記ケース本体22の開口部は蓋体24(遮断弁27およびキャップ25)により閉じられ、例えば蓋体24の周縁部をかしめることにより封口される。封口の方法は、特に限定されず、蓋体24とケース本体22の開口周縁部の形状(封止構造)により適宜選択することができ、かしめ以外にも、例えばケース本体22の開口周縁部と蓋体24との接触部分を周回させて溶接(例えばレーザー溶接、電子ビーム溶接等)してもよい。
以上のようにして、本実施形態に係るリチウムイオン電池10が完成する。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのポリエチレン(PE)層が低保液性層としてのポリプロピレン(PP)層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=10.8μm:8.4μm:10.8μmであり、上記幅方向の他端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=7.2μm:15.6μm:7.2μmであり、上記各層の厚みが上記幅方向に沿って漸次変化しているセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(1)」とする。ここで、後述のセパレータ(1)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)コバルト酸リチウム(LiCoO)を正極活物質として含む正極活物質層がアルミニウム製の正極集電体上に付与された正極シートを用意した。また、グラファイト系炭素材料を負極活物質として含む負極活物質層が銅製の負極集電体上に付与された負極シートを用意した。
(3)上記正極シートおよび負極シートを上記セパレータ(1)とともに捲回して捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は28%であり、PP層の存在割合は72%であった。一方、上記捲回軸方向の上記他端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は52%であり、PP層の存在割合は48%であった。
(4)非水電解液を調製した。かかる非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒であってEC1に対してEMCが2、DMCが1の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/dmの濃度で溶解させたものである。
(4)円筒型の電池ケースに上記捲回電極体を収容し、上記非水電解液を注液してから封口することにより、直径18mm、長さ(高さ)65mmの円筒型リチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(1)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例2>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのPE層が低保液性層としてのPP層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=12μm:6μm:12μmであり、上記幅方向の他端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=10.2μm:9.6μm:10.2μmであり、上記各層の厚みが上記幅方向に沿って漸次変化しているセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(2)」とする。ここで、後述のセパレータ(2)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)上記例1と同様に捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は20%であり、PP層の存在割合は80%であった。一方、上記捲回軸方向の上記他端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は32%であり、PP層の存在割合は68%であった。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(2)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例3>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのPE層が低保液性層としてのPP層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=13.8μm:2.4μm:13.8μmであり、上記幅方向の他端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=12μm:6μm:12μmであり、上記各層の厚みが上記幅方向に沿って漸次変化しているセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(3)」とする。ここで、後述のセパレータ(3)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)上記例1と同様に捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は8%であり、PP層の存在割合は92%であった。一方、上記捲回軸方向の上記他端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は20%であり、PP層の存在割合は80%であった。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(3)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例4>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのPE層が低保液性層としてのPP層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部から他端部に向けて、上記各層の厚みがPP層:PE層:PP層=12μm:6μm:12μmで一定であるセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(4)」とする。ここで、後述のセパレータ(4)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)上記例1と同様に捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部および上記他端部のいずれも捲回面に占めるPE層の存在割合は20%であり、PP層の存在割合は80%であった。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(4)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例5>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのPE層が低保液性層としてのPP層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=10.8μm:8.4μm:10.8μmであり、上記幅方向の他端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=6μm:18μm:6μmであり、上記各層の厚みが上記幅方向に沿って漸次変化しているセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(5)」とする。ここで、後述のセパレータ(5)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)上記例1と同様に捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は28%であり、PP層の存在割合は72%であった。一方、上記捲回軸方向の上記他端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は60%であり、PP層の存在割合は40%であった。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(5)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例6>
(1)長尺シート状の多層構造のセパレータを用意した。かかるセパレータは、高保液性層してのPE層が低保液性層としてのPP層で挟まれたサンドイッチ構造を有しており、幅方向(短尺方向であり、捲回電極体の捲回軸方向)の一端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=14.4μm:1.2μm:14.4μmであり、上記幅方向の他端部における各層の厚みがPP層:PE層:PP層=7.2μm:15.6μm:7.2μmであり、上記各層の厚みが上記幅方向に沿って漸次変化しているセパレータである。かかるセパレータを「セパレータ(6)」とする。ここで、後述のセパレータ(6)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)上記例1と同様に捲回電極体を作製した。かかる捲回電極体において、捲回軸方向の上記一端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は4%であり、PP層の存在割合は96%であった。一方、上記捲回軸方向の上記他端部では捲回面に占めるPE層の存在割合は52%であり、PP層の存在割合は48%であった。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(6)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例7>
(1)上記例1と同じ捲回電極体を作製した。なお、用いたセパレータは、セパレータ(1)と同じであるが、「セパレータ(7)」とする。ここで、後述のセパレータ(7)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)非水電解液を調製した。かかる非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒であってEC2に対してEMCが2、DMCが1の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/dmの濃度で溶解させたものである。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(7)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<例8>
(1)上記例1と同じ捲回電極体を作製した。用いたセパレータは、セパレータ(1)と同じであるが、「セパレータ(8)」とする。ここで、後述のセパレータ(8)の機械的強度(引張強度)を測定した。
(2)非水電解液を調製した。かかる非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒であってEC1に対してEMCが2、DECが1の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/dmの濃度で溶解させたものである。
(3)以下、上記例1と同様にしてリチウムイオン電池を構築した。かかるリチウムイオン電池を「電池(8)」とする。なお、上記非水電解液を注液する際には、後述の非水電解液の捲回電極体への浸透速度(含浸時間)を測定した。
<セパレータの引張強度評価>
上記例1〜8に係るセパレータ(1)〜(8)の機械的強度を評価するべく、引張強度試験を実施した。引張強度の測定はJIS K 7127「プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」に準じて行い、引張強度測定用サンプルはJIS K 7127に記載のダンベル2号型とした。試験装置はロードセル式引張試験機を用い、引張速度200mm/min、試験環境温度22℃(常温)にて試験した。その結果を表1に示す。表1における「○」は、引張強度が300kg/cm以上であることを示す。
この結果、表1に示されるように、例5のみが300kg/cmを満たさず「×」となった(具体的には292kg/cmであった)。これは、機械的強度の高いPP層のセパレータ(5)の一端部側の厚みが小さく、PE層の機械的強度の低さを補いきれなかったためと考えられる。
<非水電解液の浸透速度評価>
上記例1〜8に係る電池(1)〜(8)を構築する際に、各捲回電極体への非水電解液の浸透速度を評価するべく、かかる電解液の含浸時間を測定した。この含浸時間の測定は、各電池に所定量(体積)の非水電解液を注液後、所定時間ごとに捲回電極体自体の重量の増加量を測定し、かかる増加量がゼロになった時点までの所要時間を「捲回電極体全体にわたり非水電解液を含浸させるのに要した時間」すなわち含浸時間とした。各電池(1)〜(8)の含浸時間の結果を表1に示す。
この結果、表1に示されるように、電池(4)〜(6)では含浸時間が100分間を超えており、それ以外の電池に比べるとより多くの時間を要していることがわかった。したがって、低保液性層と高保液性層の厚みが捲回軸方向に沿ってそれぞれ変化している構成のセパレータを有する電池(1),(2),(3),(7)および(8)では、より効率よくスムーズに非水電解液を注液できることがわかった。また、非水電解液の組成を変えた電池(7)および(8)での含浸時間は、電池(4)および(6)よりも短縮されたことから、利用できる非水電解液の選択肢の幅が広がり得ることが示唆された。
Figure 2010067450
<非水電解液の保液性評価>
上記例1〜8に係る電池(1)〜(8)における各捲回電極体が有する非水電解液の保液性について評価した。ここで、捲回電極体の保液性が良好であれば、電池に対してハイレートのサイクル試験を実施した際の容量劣化が抑制され得ることが確認されている。そこで、例1に係る電池(1)および例4に係る電池(4)に対して、ハイレートサイクル試験を実施後の容量維持率を比較することにより、セパレータ(1)とセパレータ(4)の相違による非水電解液の保液性の相違を評価した。
ハイレートサイクル試験は、以下のように実施した。まず、電池(1)に適当なコンディショニング処理を実施する。その後、25℃の温度条件下において初充電を行い、初期放電容量を測定した。充電終止電圧4.2Vになるまで定電流定電圧充電を実施し、1Cの条件で放電終止電圧3.0Vまで定電流で放電を実施し、3.0Vにまるまでの所要時間を放電容量とした。
次に、電池(1)に対して10Cの充放電レートで放電と充電を100回繰り返すサイクル試験を実施した。このサイクル試験後、再び放電容量を測定した。かかる放電容量の上記初期放電容量に対する比から容量維持率を算出した。電池(4)についても、同様にして容量維持率を算出した。
この結果、電池(1)の容量維持率は、電池(4)に比べて凡そ10%の向上が認められた。この結果、電池(1)の保液性は電池(4)に比べて良好であることがわかった。したがって、表1に示されるように、電池(1)では、電解液の含浸時間が85分間であり、電池(4)の105分の含浸時間に比べて、20分間も早く捲回電極体に含浸させることができるともに、上記容量維持率が10%改善されたことから、その含浸させた非水電解液を捲回電極体に保持する保液性にも優れることがわかった。
以上のように、使用する非水電解液の種類を選ばずに捲回電極体への浸透性および該電極体の保液性を向上させ、良好な電池特性を維持する本実施形態に係る非水電解液二次電池(リチウムイオン電池10)は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として、好適に使用し得る。したがって本発明は、図3に模式的に示されるように、かかる電池10を単電池として複数個配列して組電池100を構築し、かかる組電池100を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん種々の改変が可能である。また、電池の種類は上述したリチウムイオン電池に限られず、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池、例えばリチウム金属やリチウム合金を負極とするリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、あるいは電気二重層キャパシタであってもよい。
本実施形態に係る非水電解液二次電池の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図1の点線IIで囲んだ部分(セパレータの断面構造)を拡大して模式的に示す断面図である。 各層の厚みが一定である多層構造(断面構造)を有するセパレータの模式的な断面図である。 本実施形態に係る非水電解液二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 車両
10 リチウムイオン電池
20 電池ケース
22 ケース本体
24 蓋体
25 キャップ
26 正極端子
27 遮断弁
30 捲回電極体
31 捲回軸方向
32 一端部
34 他端部
40 正極(シート)
42 正極集電体
44 正極活物質層
45 正極リード
50 負極(シート)
52 負極集電体
54 負極活物質層
60 セパレータ
62 高保液性層
64 低保液性層

Claims (7)

  1. シート状の正極および負極を非水電解液が含浸される多孔質なシート状のセパレータとともに捲回してなる捲回電極体と、非水電解液とが電池ケース内に収容された非水電解液二次電池において、
    前記セパレータは、前記捲回電極体の捲回軸方向の一端部から他端部に向けて前記非水電解液の保液性が漸次高まる構造で構成されている、非水電解液二次電池。
  2. 前記捲回電極体は、前記保液性の低い側の前記一端部が前記電池ケースの底部に配置され、前記保液性の高い側の前記他端部が前記電池ケースの上部に配置されるように収容されている、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記セパレータは、少なくとも一層の保液性の低い層と少なくとも一層の保液性の高い層とを備える多層構造で構成されており、
    前記捲回電極体は、前記多層構造セパレータの前記低保液性層の存在割合が前記一端部から前記他端部に向けて漸減し、且つ前記多層構造セパレータの前記高保液性層の存在割合が前記一端部から前記他端部に向けて漸増するように構築されている、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記低保液性層は、ポリプロピレンからなり、前記高保液性層は、ポリエチレンからなる、請求項3に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記セパレータの断面構造は、前記高保液性層をその両側から前記低保液性層で挟むようにして積層された多層構造である、請求項3または4に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記捲回電極体に含まれる前記セパレータの厚みは、前記一端部から前記他端部に向けて略一定である、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液二次電池を備えた車両。
JP2008232333A 2008-09-10 2008-09-10 非水電解液二次電池 Withdrawn JP2010067450A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008232333A JP2010067450A (ja) 2008-09-10 2008-09-10 非水電解液二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008232333A JP2010067450A (ja) 2008-09-10 2008-09-10 非水電解液二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010067450A true JP2010067450A (ja) 2010-03-25

Family

ID=42192865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008232333A Withdrawn JP2010067450A (ja) 2008-09-10 2008-09-10 非水電解液二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010067450A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012109102A (ja) * 2010-11-17 2012-06-07 Toyota Motor Corp 非水電解液系二次電池
CN107860602A (zh) * 2017-12-15 2018-03-30 般若涅利(北京)装备技术有限公司 极片高真空、高温含水率取样器
CN111164814A (zh) * 2017-09-29 2020-05-15 松下知识产权经营株式会社 圆筒形二次电池
WO2020195948A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 東レ株式会社 多孔性フィルム、二次電池用セパレータおよび二次電池
CN112803081A (zh) * 2021-04-14 2021-05-14 江苏时代新能源科技有限公司 一种电池单体及其制备方法、电池及用电装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012109102A (ja) * 2010-11-17 2012-06-07 Toyota Motor Corp 非水電解液系二次電池
CN111164814A (zh) * 2017-09-29 2020-05-15 松下知识产权经营株式会社 圆筒形二次电池
CN111164814B (zh) * 2017-09-29 2023-04-04 松下知识产权经营株式会社 圆筒形二次电池
CN107860602A (zh) * 2017-12-15 2018-03-30 般若涅利(北京)装备技术有限公司 极片高真空、高温含水率取样器
CN107860602B (zh) * 2017-12-15 2024-03-22 般若涅利(北京)装备技术有限公司 极片高真空、高温含水率取样器
WO2020195948A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 東レ株式会社 多孔性フィルム、二次電池用セパレータおよび二次電池
CN112803081A (zh) * 2021-04-14 2021-05-14 江苏时代新能源科技有限公司 一种电池单体及其制备方法、电池及用电装置
CN112803081B (zh) * 2021-04-14 2021-08-06 江苏时代新能源科技有限公司 一种电池单体及其制备方法、电池及用电装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3134930B1 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery and method of manufacturing the same
US8652668B2 (en) Secondary battery; solar power generation system, wind power generation system, and vehicle provided therewith; and method for fabrication of a secondary battery
US8945775B2 (en) Battery having a porous insulating member
US20160276652A1 (en) Electrode, nonaqueous electrolyte battery, and battery pack
US20140045008A1 (en) Large format lithium-ion battery cell with improved saftey against crush and puncture
US8758917B2 (en) Secondary battery
JPWO2012150635A1 (ja) 非水電解質二次電池
EP3930065B1 (en) Lithium ion battery and device
JP2004273139A (ja) リチウム二次電池
JP2012059396A (ja) 蓄電デバイス用負極及び蓄電デバイス並びにそれらの製造方法
JP2007207626A (ja) リチウムイオン二次電池および組電池、並びにこれらを搭載した車両
CN101110477B (zh) 一种电化学储能与能量转换装置
KR101742427B1 (ko) 리튬 이온 2차 전지
US20150263334A1 (en) Non-aqueous electrolyte secondary battery
KR101520153B1 (ko) 이차 전지용 파우치 셀 및 이의 제조방법
JP2010067450A (ja) 非水電解液二次電池
JP2012048918A (ja) セパレータおよびこれを用いた非水電解質電池
JP5905816B2 (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
JP2015230761A (ja) 二次電池の製造方法
JP2011192518A (ja) 二次電池
JP6004037B2 (ja) セパレータおよびこれを用いた非水電解質電池
JP4586357B2 (ja) リチウムイオン電池
US20210399347A1 (en) Method for manufacturing energy storage device, and energy storage device
JP6399095B2 (ja) 非水電解質二次電池の制御方法
JP3394484B2 (ja) リチウム二次電池及びその設計方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20111206