JP2010066508A - クリーニング装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】像担持体上に残っている大量の小粒径トナーを確実に極性制御して電気的に吸引することができる構成を備えたクリーニング装置を提供する。
【解決手段】転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、前記像担持体上での残トナーを一律の極性に揃える手段と、該極性を揃える手段により揃えられる極性と逆極性を印加されて残トナーを清掃して回収する手段25とを備え、前記極性を揃える手段は、導電性ブレード23と導電性ブラシ33とを一体構造としたものが用いられることを特徴とする。
【選択図】図9

Description

本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、重合トナーなどの真球化されたトナーを対象としたクリーニング構造に関する。
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に対して帯電工程により一様帯電が行われると、画像情報などに基づく光書き込み処理によって静電潜像が形成される。
感光体上の静電潜像は、現像装置から供給されるトナーにより可視像処理された後、転写手段を用いて紙などの記録媒体あるいは中間転写体に転写される。記録媒体への転写は主にモノクロ画像形成時に行われ、中間転写体への転写はフルカラー画像などの多色画像を形成する場合に行われる。多色画像形成時には、中間転写体に各色の画像を順次転写して重畳画像を記録媒体に対して一括転写する場合と中間転写体としてベルトが用いられた場合にはベルト状に記録媒体を吸着保持した状態で各色の画像形成ステーションを移動させる過程で各色の画像を重畳転写する場合とがある。いずれの場合にも、最終複写出力としては記録媒体に転写されたトナー像ということになる。
像担持体には前述した感光体だけでなく、各色の画像形成ステーションにおいて形成された画像を転写される中間転写体も含まれている。
中間転写体に各色の画像を順次転写する場合で説明すると、中間転写体は、重畳画像を記録媒体に一括転写した後、未転写トナーなどが含まれる残存トナーをクリーニングされる。クリーニングの目的は、残存トナーの存在が、次に転写を受ける記録媒体に対してそのトナーを転写して地肌汚れを招く原因となるのを防ぐためである。
そこで、従来では、クリーニング処理に用いられる構成として、ブレードクリーニング方式を用いたものがよく知られている。
ブレードクリーニング方式は、クリーニング対象に対してブレードを当接させて移動してくる残存トナーを堰き止めることでクリーニング対象からトナーを掻き取ることができる。
ところで、近年では、高解像度の高画質が要求されてきていることから、使用されるトナーに関しても、それまで使用されていた粉砕法によるトナーに代えて粒径を小さく揃えることができることおよび真球化が可能な重合法によるトナーが用いられるようになってきている。
重合法によるトナーは、球形化することで転写効率が向上し、転写残トナーとして廃棄される量が少なくなるという利点があるために多用される傾向にある。以下にその理由について説明する。
トナーは現像工程で現像バイアスを印加された状態で感光体などの像担持体上に担持されている静電潜像に供給される。
そのときの像担持体上での潜像電位および現像バイアスによって像担持体に付着すると像担持体表面に作用する主な力として、鏡映力とファンデルワールス力がある。鏡映力は電荷量とその距離に大きく依存する。
従来の粉砕法によって生成された粉砕トナーはその表面に凹凸があり摩擦帯電により、凸部が集中的に帯電される。これに対して重合法によって生成された重合トナーはその表面が球形又は球形に近い形状を有するため表面が均一に帯電される。そして粉砕トナーにおいては、凸部で接触し非常に近接した領域に多くの電荷が存在するために、鏡映力が増大する。一方、重合トナーのよう球形をしていると、接触状態はほとんど点状になり、且つ近接領域の電荷量も少なく、粉砕トナーに比べて鏡映力が小さくなる。
粉砕トナーを用いた場合には、多くのトナーの中には上記のような凸部で接触するトナーが多数存在し、この場合にはファンデルワールス力は非常に大きくなる。これに対して、重合トナーは表面形状が球状であるためトナーはほとんど点で接触する。よって、ファンデルワールス力は重合トナーの方が小さくなる。
このように、接触力の観点から、球形に近い重合トナーの場合、感光体に対する鏡映力、ファンデルワールス力、つまり付着力が小さくなり転写の際の転写残トナーが少なくトナー消費量を少なくできて経済的に有利である。
しかし、転写残トナーをクリーニングする場合には、小粒径化されて真球化されている重合トナーがブレードと像担持体表面との間をすり抜けやすくなる。このため、ブレードを用いてこの重合法で製造される小径且つ球形のトナーをクリーニングするには、ブレードを強い力で像担持体上に押し付けて堰き止めること必要となる。強い力で押し付けることは、ブレードや像担持体表面層の磨耗が加速される。更に強い力でブレードを押し付けるため、像担持体を駆動するためのモータトルクも大きくしなくてはならないなどの欠点がある。
そこで、像担持体へのダメージ低減と小径でかつ円形度の高いトナーをクリーニングする方式として、静電気力でトナーを吸着させる静電ブラシローラを用いた方式が検討されている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1には、残トナーが表面に存在する像担持体の移動方向において上流側にトナーと同極性のバイアス印加が可能なスクレーパなどを用いた帯電部材を像担持体に接触させて配置し、下流側には帯電部材と逆極性のバイアス印加が行われているブラシを像担持体に接触させて帯電部材による残トナーの掻き取りと残トナーの極性揃えを行い、次いでブラシにより帯電部材で掻き取られなかったところの、極性が揃っている状態の残トナーを対象としてその極性と逆極性を印加してブラシにより掻き取るようにした構成が開示されている。
特許文献2には、感光体の表面に接触し帯電させる導電性ブラシと導電性ブラシの上流側に感光体表面に付着されたトナーを除去させる弾性ブレードとを一体化してなるブラシ体電器を感光体に対して接触しうるよう着脱可能に取り付けるようにした構成が開示されている。
特許文献3には、感光体に当接する第1のクリーニングブレードと第2のクリーニングブレードを有し、第1のクリーニングブレードは第2のクリーニングブレードより感光体表面移動方向上流側の感光体面部分に当接するように配設し、第1のクリーニングブレードは電圧印加可能な弾性部材が用いられている構成が開示されている。
特許文献4には、像担持体の表面に接触した状態で回転駆動される導電性を有する回転部材と、回転部材よりも像担持体の移動方向上流側で像担持体表面に接触する導電部材とを備え、導電部材はトナーとの摩擦帯電系列上トナーを正規極性とは逆極性に帯電させる材質からなり,像担持体の表面に残留したトナーの帯電極性を導電部材によって正規極性に揃え、正規極性に揃えられたトナーを回転部材によって像担持体上から回収する構成が開示されている。
特許第3900283号 特公平07−104692号公報 特開2006−293404 特開2007−25163
これまでの静電ブラシクリーニング装置は転写後の残トナーが電荷を持っているため、その電荷を持つ特性を利用して、ブラシに反対の極性を印加してブラシで吸着除去させていたが、残トナーの電荷は放電によって、正/負の極性のいずれも有する場合が多い。一般的には転写する時のバイアス電圧は正であるため、現像後の負極性トナーが吸着転写され、転写されなかったトナーは後工程に向けてすり抜けていく。
前述したように、転写電圧によって転写媒体間で放電が生じて片側極性だけにならないで正負両者が混在するのが現実である。そこで、上記特許文献にあるように、ブラシなどのバイアス電圧手段によって正/負極の電圧を印加する構成としていた。
また、他の方式として極性制御部材によって片側に極性を揃えて、揃えた極性と反対の電圧を清掃部材に印加して吸着する方式もこれまでにあった。この極性制御部材としてはトナーと接触しないで極性を変える方法と、接触させて変える方法とがある。
非接触方式としてはコロナ等のイオン照射でトナー外周にイオン付着させるものである。この方式は高電圧放電によってイオン以外の環境汚染や人体に有害なオゾンが生じるなどの欠点がある。
接触方式は、上記特許文献に開示されているように、放電させないで摩擦帯電、電荷注入などの作用によって電荷制御する。具体的には導電性ブラシ、導電性ブレードなどと接触させて実行される。しかし、ブラシの場合はトナーが大量に入力された時はブラシと接触しないですり抜ける場合が生じることあがり、トナーが付着して時間と共に制御能力が低下する。ブレードを使用する場合は像担持体との接触圧によって像担持体とブレード自身の摩耗劣化させる。そのために接触圧力を下げた状態で使用しなければならない。その時、ブレードと接触しないですり抜けるトナーが発生する。このように、静電的な回収を試みた場合においても、小粒径トナーのすり抜けを完全になくすことは困難だというのが現状である。
本発明の目的は、上記従来のクリーニング装置における問題、特に小粒径、真球化されたトナーを対象とするクリーニング装置における問題に鑑み、像担持体上に残っている大量の小粒径トナーを確実に極性制御して電気的に吸引することができる構成を備えたクリーニング装置および画像形成装置を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
前記像担持体上での残トナーを一律の極性に揃える極性制御手段と、該極性制御部材により揃えられる極性と逆極性を印加されて残トナーを清掃して回収する手段とを備え、
前記極性制御手段は、導電性ブレードと導電性ブラシとを一体構造としたものが用いられることを特徴とするクリーニング装置。
(2)前記導電性ブレードおよび前記導電性ブラシは、該導電性ブレードが前記像担持体に当接する時に共に前記像担持体に当接するように、前記導電性ブラシが前記導電性ブレードの平面に接合されて両者間が導通状態にされていることを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(3)前記導電性ブレードおよび導電性ブラシは、前記像担持体への画像形成が行われないインターバル時間中に、前記導電性ブレードおよび導電性ブラシに付着したトナーと逆極性の電圧を印加され、前記導電性ブレードの後段に設けられたブラシにより該トナーを除去することを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(4)前記導電性ブラシは、導電糸が外部に露出した構成とされていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のクリーニング装置。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
(6)前記トナーとして、形状計数SF1が100〜150,平均粒径が6μm以下のものが用いられることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
本発明によれば、トナーの極性を揃えるための手段の構成として、導電性ブレードと導電性ブラシとを一体構造としたので、極性を揃える位置でブレードをすり抜けるトナーに対してもブラシによる極性制御が可能となる。これにより、小型部品構成によって、トナーへの極性揃えの効率が高められ、極性を変化させる際の制御率が向上し、クリーニング特性を向上させることができる。
特に請求項2記載の発明においては、ブレードとブラシとが平面に接合されて両者間が導通状態とされているので、部品構造および組み立て作業の簡略化さらには電源の共通化が可能となる。
請求項3記載の発明においては、画像形成が行われないインターバル時間中にブレードおよびブラシに対してトナーとは逆極性の電圧を印加し、この状態でブレード後段に位置するブラシによりトナーを回収するので、ブラシ表面に付着しているトナーが回収されてリフレッシュさせることができる。これにより、経時的に安定したトナーのクリーニング性能が維持できることになる。
請求項4記載の発明では、ブラシに用いられる導電糸が外部に露出している構成であるので、トナーへの効率的な電荷注入が行え、極性制御効率を高めることができる。
請求項5および6記載の発明においては、クリーニング装置のトナーは形状係数SF1が100〜150、トナー平均粒径が6μm以下の範囲にあるものを用いることで、本構成のクリーニングユニットの性能が発揮できる。
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明によるクリーニング装置を用いる画像形成装置を示しており、同図に示されている画像形成装置は、像担持体の一つである中間転写体にベルトを用い、ベルトの展張方向に沿って異なる色の画像形成が可能な画像形成処理部(図1において、使用されるトナーの色を示すY,C,M.Kを付した感光体ドラムを備えた部分)を並置したタンデム方式の画像形成装置である。
各画像形成処理部は同じ構成であるので、今、符号Yで示す画像形成処理部を対象として説明すると次の通りである。
画像形成処理部は、それぞれユニット化されており、ユニットの内部には、像担持体の他の一つである感光体ドラム1が回転可能に設けられている。
感光体ドラム1の周囲には、画像形成処理を実行するための帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5,クリーニング装置6が配置されており、これら各装置のうちで、帯電装置2,現像装置4およびクリーニング装置6がユニット内に配置されてプロセスカートリッジを構成している。
転写装置5には、各画像形成処理部が並置されている展張面を有する中間転写ベルト5Aと、中間転写ベルト5Aを挟んで各感光体ドラムに対向する1次転写ローラ5Bとが備えられている。
一方、中間転写ベルト5Aの一部には、重畳転写された画像を給紙装置7から繰り出されてレジストローラ8によりレジストタイミングを設定されて搬送されてくる記録紙などの記録媒体に一括転写する2次転写装置9が設けられている。2次転写装置9による2次転写位置から記録媒体が搬送される位置には加熱ローラおよび加圧ローラとで記録媒体上のトナー像を定着する熱ローラ定着方式を用いた定着装置10が配置されている。
感光体ドラム1は、アルミニウムなどの導電性基体の表面に例えば有機半導体の薄膜が形成されており、また、帯電装置2は、感光体ドラム1の表面に近接もしくは当接可能なバイアスローラが用いられている。
現像装置4には、重合トナーが用いられ、重合トナーは、球状物質の「丸さ」の割合を示す形状係数SF1が100〜150,そして粒径が6μm以下のものが用いられている。
ここで形状係数SF1について説明すると次の通りである。
トナーの形状係数SF1は、上述したとおり、球状物質形状の「丸さ」の割合を示す数値であり、球状物質を二次元平面状に投影して出来る楕円状図形の最大長さMXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じた値で表される。
つまり次式、によって定義されるものである。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)
SF1の値が100の場合、トナー形状は真球となり、SF1の値が大きくなるほど不定形となる。一般的にトナーの形状が球形に近くなるとトナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触状態が点接触になるため、トナー同士の吸着力は弱くなって流動性が高くなる。また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって転写率は高くなる。
本実施形態で使用したトナーは、有機溶媒中にウレア結合しうる変性されたポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤を含有したトナー組成物を溶解或いは分散させ、水溶媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られたトナーを用いている。
球形トナーを得る製造方法として、先述の製造方法以外に公知の乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等の重合法を用いてもよいし、従来の粉砕法のトナーを熱溶融しても得ることができる。
以上のような構成の画像形成装置においては、画像形成処理部において帯電装置2により感光体ドラム1の表面が均一に帯電されると、露光装置3を用いた画像情報に応じた書き込み光により感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像装置4から供給されるトナーにより可視像処理されるが、本実施形態では−(負)に帯電したトナーを用いた反転現像が行われる。
感光体ドラム1において可視像化されたトナー像は、転写装置5において感光体ドラム1と等速で移動する中間転写ベルト5Aに対して転写ローラ5Bによる転写バイアス作用により転写される。
画像形成処理部において形成されたトナー像が中間転写ベルト5Aに対して順次転写されると重畳された画像が給紙装置7から繰り出された記録媒体に対して2次転写装置9を用いて一括転写され、記録媒体が定着装置10に搬送されてトナー像が定着される。なお、図1において符号8はレジストローラを示している。
一方、2次転写位置を通過した中間転写ベルト5Aは、クリーニング装置(便宜上、符号20で示す)により残トナーを含む異物の清掃が行われるようになっている。
クリーニング装置は、感光体ドラム1および上述した中間転写ベルト5Aを対象としてそれぞれ設けられている。
図2は、上述したプロセスカートリッジに収容されているクリーニング装置6の構成を示し、図3は、中間転写ベルト5Aを対象としたクリーニング装置20の構成を示している。いずれのクリーニング装置においても、主要部は同じ構成部材を備えており、図2および図3において同符号によりその部材を示して説明すると次の通りである。
つまり、図2,図3において、クリーニング装置には、トナーの極性を揃えるための極性制御に用いられる極性ブレード23,回収ローラ24,清掃部材として用いられるブラシローラ25および回収ブレード26が主要部材として用いられている。なお、図3において符号21は、極性ブレード23よりも像担持体の移動方向上流側に配置されている導電性のブラシローラであり、今これを1次ブラシローラと呼称し、清掃部材として用いられるブラシローラ25を2次ブラシローラと呼称する。また、図3において、符号22は、フリッカーを示し、符号27は、潤滑剤塗布装置(図3では、潤滑剤27Aと付勢手段27Bとが区別して示されている)を示し、符号28は、回収されたトナーを現像装置あるいは廃棄タンクに向け搬送する搬送スクリューをそれぞれ示している。
1次ブラシローラ21は、中間転写ベルト5Aが紙と接触した際に付着する紙粉やタルクを除去する機能を有している。
以上のような構成を備えたクリーニング装置においては、残トナーを静電的に吸引して回収する静電クリーニングが実行される。以下、静電クリーニングについて図4,図5を用いて説明する。
[静電クリーニング]
図4において、転写バイアスを用いた転写工程では、例えば負の極性を持つ現像後のトナーに生の転写バイアス電圧を印加することで本来ならば全てのトナーが記録紙などの記録媒体もしくは中間転写ベルトなどに転写されることになる。
しかし、転写バイアスが印加される箇所では、狭いギャップ間での電界形成であることが原因となって、剥離放電が生じ、転写後の残トナー(図4中、符号Q0で示す)には、正負両方の極性が混在している。
そこで、極性制御部材23を用いて両極性が混在しているトナー(図4中の符号Q0はトナーの電荷量を示す)を正または負のいずれかの極性に揃えてトナーの極性を均す。
次いで、2次ブラシローラ25において像担持体の一つとして例に挙げる中間転写ベルト5Aに付着している静電力よりも大きい静電力を2次ブラシローラ25に付与することでブラシ側に残トナー(図4中の符号Q1はトナーの電荷量を示す)を転移させる。この工程が図4に示されている一次クリーニングである。
2次ブラシローラ25に付着してに付着している残トナー(図4中の符号Q2はトナーの電荷量を示す)は、トナー回収ローラ24に印加されているバイアス設定によってトナー回収ローラ24に静電的に転移する。この工程が図4に示されている二次クリーニングである。
トナー回収ローラ24に転移した残トナー(図4中の符号Q3はトナーの電荷量を示す)は、回収ブレード26によって掻き取られることになる。この工程が図4に示されている三次クリーニングである。
以上のような各クリーニング工程で残トナーが転移するために設定される電位差は、図5に示すトナー移動モデル図に示すとおりである。つまり、中間転写ベルト5Aなどの像担持体上での表面電位をV0p、2次ブラシローラ25での表面電位をVb、トナー回収ローラ26での表面電位をVrとした場合、それぞれのクリーニング工程に位置する部材間の電位差(Vb−V0p)、(Vr−Vb)と残トナーの電荷量Q0,Q1およびQ2の積により静電力が規定され、この静電力の不等関係により残トナーの転移が生じて三次クリーニングに至る。
次に本実施形態で対象とする像担持体およびクリーニング装置にもチリあれる各部材の構成について説明する。なお、ここで挙げる像担持体は、図3に示したクリーニング装置20が用いられる中間転写ベルト5Aを対象として説明する。
[中間転写ベルト5A]
中間転写ベルト5Aは、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレンなど合成樹脂又は各種のゴムにカーボンブラックなどの導電材を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率は10E4〜10E9Ω・cmに設定されている。
ここで弾性を有する中間転写ベルト5Aとしては、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、CR、EPDM、ウレタンゴムなどが用いられ、導電性保護層の材料は、摩擦係数の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVDFなどのフッ素樹脂系ポリマーをアルコール可溶性ナイロン系、シリコン系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に溶解・分散した塗料を使用することができる。
これら保護層は、上記の塗料をデイップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。更に、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性などを改善することができる。
次に本実施形態における特徴部について説明する。
本実施形態の特徴は、極性揃えに用いる極性ブレードの構成として、導電性ブレードと導電性ブラシとを一体構造に構成したことにある。
この構成とする理由は次の通りである。
像担持体としての感光体ドラム1および中間転写ベルト5Aのクリーニング装置6および20に入力されるトナーの電荷分布は図6のようになっている。
すなわち。両者のクリーニング装置へは剥離放電等で極性反転し正負両極性が混在する分布となっている。
この分布状態であると次のブラシローラ25(図4参照)は、正極性電圧が印加されている為、負極性を有するトナーだけがクリーニングされる。
そこで、極性を一律に負極性にする為に極性ブレード23(図4参照)を通過させる。ブレード通過のモデルを図7に示す。
図7において、転写残トナーは極性ブレード23で一部が堰き止められたトナー群31となって像担持体から除去される。ここで図中の丸印中「+」で示すトナーは、正極性であることを示し、丸印中「−」で示すトナーは負極性であることを示す。
しかし,トナーは小粒径である為、ブレードの下面部を通過するトナー群32が生じてすり抜けて行く。極性ブレード23には負電圧が印加されている為、ブレードと接触したトナーは本来なら負電荷が注入され100%負電荷のトナーとなるのであるが、実際には図8に示すよう極性ブレード23をすり抜けたトナーの2〜25%は未だ正極性のままである。
これはブレードの端部と像担持体間で放電が生じている為である。そこで、図9に示すように極性制御性を向上させる為にブレードの後段にブラシ33を設けた。
これによって図10に示すようにブラシ通過トナー群34(図9参照)の極性はほぼ100%負極性となる。
ここで、極性制御ブレードブラシを図11に示す。ブラシ33はブレード23の表面に直接植毛されている。植毛方法は静電的に導電性接着剤を介して導電糸をブレード上に植毛する方法を用いることや、あるいはパイルの基布に植毛したものを貼り付けても容易に製作できる。導電糸の繊維材質はナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン及びPETがある。導電糸は一般的にはカーボンを導電剤として糸の中に分散させたり、カーボンと一緒に紡糸して製作する。このときの形態を図12に示す。
これらはカーボン形状によって導電抵抗が異なってくる。ここで重要なのは導電剤が糸の外側に露出してトナーと接触することが重要となる。よって、導電サイトが大きいBのような形状が理想である。ブラシが植毛されるブレードの機能はトナーへの電荷注入機能と余剰トナーのふるい落としである。
ここで像担持体の表面を傷つけないで全面に接触するための材質はポリウレタン、シリコン、フッ素ゴムなど弾性体が好適である。耐久性をもち、環境変動にも耐えられるブレードの要求物性は、硬度HS(JISA)65〜80度、23℃反発弾性係数15〜60%、ヤング率50〜200kg/cm2、100%モジュラス60〜200kgf/cm2の範囲が好適である。
電荷注入特性としては放電しないで注入効率を上げるために、体積抵抗率10E3〜10E8Ωcmのものを用いることが好ましく、導電物質とカーボン、イオン、または両者のハイブリット型で所望の抵抗領域が得られる。ここでブレードへの印加電圧は−500〜−1200Vが好適である。低すぎると注入効率が悪く、高すぎると像担持体の表面電位も過剰に負極性となってトナーと像担持体との付着力が強くなる等の不具合が生じる。
次にブラシローラの構成について説明する。
[ブラシローラ25]
ブラシローラ25のブラシはアクリル、PET、ポリエステルなどに導電材を混入させた導電性ブラシであることが必須である。この時の導電材の構造はブラシ表面に単に分散させたものでなく、内部に挿入して表面に露出されない芯鞘構造で無ければならない。もし,表面に導電材が露出していると、トナーに電荷を注入してブラシ表面の電位Vbが維持できなくなる。ブラシ抵抗は10E4〜10E9Ωが好適で、抵抗が小さいとトナーに電荷を注入し易く、又,抵抗が大きいと電界強度が小さくなって高電圧を印加しないとトナーを吸引する為の電界が確保出来なくなる。又,トナーとの接触確率を上げるために植毛密度も重要な因子で7万本/in以上で好ましくは10万本/in以上必要である。
接触確率を上げるためには、像担持体に対してカウンター方向回転で、線速比は0.7以上にすることで好ましい接触状態となる。他の重要な因子としてはブラシの倒れがある。一般にブラシは直毛といわれているが、直毛状態であるとブラシの導電材が露出している先端部とトナーが接触しやすい状態にある。そのため、ブラシの倒れは斜毛やブラッシング処理をすることで、像担持体の回転によってブラシが食い込まない方向に倒して、直接トナーと導電材が接触しない構造にすることが望ましい。
次に回収ローラ24の構成について説明する。
[回収ローラ24]
回収ローラ24は、ブラシローラ25に接触してトナーを回収するために用いられる部材であり、設置目的は以下の通りである。
トナーの移動によってブラシ25や回収ローラ24の表面電位は単に各ローラの軸に電圧印加しただけでは低下する。
電位が低下するとトナーを移動させるだけの電位ポテンシャルが確保できない為、トナーはブラシへ蓄積されロール化する。それを防ぐ為にブラシローラ表面にブラシ軸電圧よりポテンシャルで200〜500V大きな電圧を印加しなくてはならない。
同様に回収ローラ表面にも回収ローラ軸電圧より400〜800V高い電圧を印加しなくてはならない。よって、回収ローラのダメージとして、回収ブレード26による摺擦劣化と表面に印加される電圧によって生じる放電劣化の両者が加わる。よって,これらの外部ダメージで回収ローラ表面は荒れてくる。
粗面になるとブレードと像担持体間の摩擦係数が小さくなり、摩擦力も同様に小さくなることで、トナーはブレード下面に潜り込み擦りぬけて行く。図4に示す回収ローラ24で回収ブレード26をすり抜けたトナーQ3’はブラシに再付着してトナーQ2’となって、ブラシから像担持体表面に逆付着したトナーQ1’となって後の工程に影響を及ぼす。 よって、回収ローラに要求される特性は、電荷が逃げづらい絶縁性の部材であり、表面粗さが良好であること、更に放電や、摺擦に対して傷がつかないことが必須である。
回収ローラ24は、金属材料を芯金として、樹脂材にインサートして一体成型された絶縁性ローラが用いられている。このローラの構成としては、PET、PVDF、PFA、共重合ナイロンをチューブ状にして芯金に被せても容易に絶縁性の回収ローラとすることも可能である。
他の工法としては芯金としてアルミニウムを用いてアルマイト処理、フッ素樹脂硬質アルマイト処理をしても絶縁性の金属表面が得られる。金属材料表面にセラミックなどの無機材、PTFE,ポリイミド、ポリカなどの有機材をコートしても容易に絶縁性の回収ローラ材が得られる。
回収ローラ24の表層部での厚さは、1mm以下が好ましく、望ましくは0.5mm以下に設定されている。これにより、表層厚さが厚い場合、環境変動の際に芯金との膨張係数の差や、吸湿による径変化によって、絶縁層にクラックや境界剥離が生じるのを防止するようになっている。
[回収ブレード26]
トナー回収ローラ24に対するトナー除去のためのフリッカーとしての機能と、トナー回収ローラ24での表面電位の低下を補うための電荷注入機能とを持ち合わせた部材である。
この設置理由は次の通りである。
回収ローラへの表面印加電圧によって回収ローラ表面電位の変化を図13に示す。ブラシローラに700V、回収ローラに1000V印加し、ブレードへの印加電圧を1000、1500、2000Vと変えた時、回収ローラ表面及びブラシ表面電位の時間変化を示す。これから印加電圧が低いと時間と共に回収ローラ表面電位はブラシ表面電位に近づいてくる。この状態となると、ブラシローラと回収ローラ間に電位差がないため、トナーはブラシから回収ローラへ移動しなくなる。両者の機能を満足する為に、ブレードはポリウレタン、シリコン、ニトリルゴムなどのエラストマー材であって回収ローラとの密着性が確保される必要がある。且つ回収ローラへの電荷付与を確実にする為にブレード自身の体積抵抗は少なくとも10E12Ωcm以下であることが必要である。導電性を得るためにエラストマー材にカーボン、金属フィラー、イオン導電性剤などを添加することで導電性は得られる。
以上のような構成からなる本実施形態についての実施例を以下に説明する。
(実施例1)
以下、極性揃えに用いる極性ブレードの構成として、導電性ブレードと導電性ブラシとを一体構造にした構成での極性制御率について説明する。
図3のクリーニングユニットに設置されている極性ブレード23を図11に示す極性制御ブラシを設置した時のトナー極性制御率を測定する。測定はE−Spartアナライザを用いて行い、測定結果は図6〜8に示すようにトナーが単位個数中に存在する電荷量と個数の関係が算出される。
図6は極性ブレードへ入力前(転写残)トナーでA,Cは極性が正極性である個数を示し、B,Dは負極性である個数を示す。これより極性制御部材の制御率は((D−B)/A)×100%として算出する。実験は図11に示す極性制御ブレードブラシの植毛密度を変化させ、ブラシのない状態、ブラシ植毛密度(50,000、75、000、100,000本/inch)を変化させた時、前述の制御率を測定した。このとき、極性制御ブレードブラシへの電圧は−1200V。ブレードは厚さ2.4mm、自由長7mm、体積抵抗率10E6Ω・cmである。ブラシはPET複合糸、太さ3D、繊維長さ1mm、体制抵抗率10E7Ω・cmのフィラメントを使用した。植毛方法は静電植毛で行なった。
図6に示すように極性制御ブレードブラシへ入力するトナーの負極性の割合は48%である。それを前述の条件で実験を行なった結果、図14に示す結果が得られた。これからブラシ33の有無による制御率の効果がわかる。又、ブラシ密度を上げることで制御率も上がることが分かる。
(実施例2)
本実施形態で実行するクリーニングモードについて説明する。
極性クリーニングブラシ11のブラシ部33を通過するトナーは負極性に極性変換されるばかりでなく、一部は正極性の状態で付着される場合があるため、時間と共にトナーはブラシ表面に付着堆積する。そのため、ブラシ表面のトナーをクリーニングさせるモードを設けてブラシ表面をリフレッシュする必要がある。図15に像担持体の駆動に伴う、極性ブレード、ブラシ及びクリーニングブラシ25、回収ローラ24、回収ブレード26のクリーニングモードにおけるタイミングチャートを示す。像担持体1は、(1)で駆動開始する。そのとき極性ブレード、ブラシに負電圧が印加され,他のパーツには正極性の電圧が印加される。具体的には極性ブレード、ブラシは−1200V、クリーニングブラシ400V、回収ローラ800V、回収ブレード1200V印加される。電圧は(2)のところまで印加され、この期間、像担持体の残留トナーをクリーニングしている。(2)から(3)の時間は像担持体だけを駆動して、他の部品への電圧印加はoffとする。この時間はゼロでも構わないが前作業の安定を図る為、電圧off状態があるとシステムの安定化が図れる。
次に(3)から(4)の期間で極性ブレード、ブラシは正極性の電圧が印加される。これによってブラシ上に付着している正極性トナーは斥力によってブラシ表面から像担持体上に吐き出される。正極性トナーは負極性が印加されたクリーニングブラシ25に接触して静電力で付着する。更に電位差の有る回収ローラ24に送られ回収ブレード26で機械的にかきとられる。このときの電圧は極性ブレード、ブラシは800V、クリーニングブラシ−400V、回収ローラ−800V、回収ブレード−1200Vを印加する。この極性ブラシのクリーニングモードは像担持体のクリーニングジョブの後に設けたが、機械本体の電源ON時に(3)から(4)の極性ブラシクリーニングモードを行なっても良い。
本発明によるクリーニング装置を備えた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。 図1に示した画像形成装置における像担持体としての感光体を対象としたクリーニング装置の要部構成を説明するための模式図である。 図1に示した画像形成装置における像担持体としての中間転写体を対象としたクリーニング装置の要部構成を説明するための模式図である。 静電クリーニングの原理を説明するための模式図である。 残トナーの転移に要すバイアス電圧の印加状況を説明するための線図である。 本発明によるクリーニング装置の要部構成による極性制御率の測定結果を示す線図である。 極性ブレードに対するトナーの通過に関するモデル図である。 図7に示したトナーの通過においてすり抜けたトナーの帯電状態を示す線図である。 本発明によるクリーニング装置の要部構成におけるトナーの通過に関する図7相当のモデル図である。 図9に示したトナーの通過においてすり抜けたトナーの帯電状態を示す線図である。 本発明によるクリーニング装置の要部構成として用いられるブレードブラシの構成を示す模式図である。 図11に示したブラシに用いられる導電糸の構成を示す図である。 ブラシ先端に対する印加電圧を順次変更した場合のブラシ先端と回収ローラとの間での表面電位の時間的変化を説明するための線図である。 ブラシの有無および密度に対する極性制御率を実験した結果を示すグラフ図である。 本発明によるクリーニング装置でのクリーニングモードを説明するためのタイミングチャートである。
符号の説明
1 像担持体の一つである感光体ドラム
2 帯電装置
4 現像装置
5 転写装置
5A 像担持体の他の一つである中間転写ベルト
20 クリーニング装置
21 1次ブラシローラ
23 極性制御部材として用いられる極性ブレード
24 トナー回収ローラ
25 2次ブラシローラ
26 回収ブレード
100〜104 バイアス電圧印加用電源

Claims (6)

  1. 転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
    前記像担持体上での残トナーを一律の極性に揃える手段と、該極性を揃える手段により揃えられる極性と逆極性を印加されて残トナーを清掃して回収する手段とを備え、
    前記極性を揃える手段は、導電性ブレードと導電性ブラシとを一体構造としたものが用いられることを特徴とするクリーニング装置。
  2. 前記導電性ブレードおよび前記導電性ブラシは、該導電性ブレードが前記像担持体に当接する時に共に前記像担持体に当接するように、前記導電性ブラシが前記導電性ブレードの平面に接合されて両者間が導通状態にされていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
  3. 前記導電性ブレードおよび導電性ブラシは、前記像担持体への画像形成が行われないインターバル時間中に、前記導電性ブレードおよび導電性ブラシに付着したトナーと逆極性の電圧を印加され、前記導電性ブレードの後段に設けられたブラシにより該トナーを除去することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
  4. 前記導電性ブラシは、導電糸が外部に露出した構成とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクリーニング装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記トナーとして、形状計数SF1が100〜150,平均粒径が6μm以下のものが用いられることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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