JP2010065231A - アルミニウム管加工用潤滑油組成物 - Google Patents

アルミニウム管加工用潤滑油組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム管の抽伸加工、転造加工等において優れた潤滑性を発揮し、また、焼鈍工程において管内残油を十分に低減することが可能なアルミニウム管加工用潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のアルミニウム管加工用潤滑油組成物は、ポリアルキレングリコールを基油とし、グリセリンモノオクチルエーテル、ステアリン酸ブチル及びラウリン酸から選ばれる少なくとも1種の油性剤を、組成物全量基準で、0.5〜20質量%含有し、40℃における動粘度が50〜6000mm/sであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム管の抽伸加工、転造加工などに使用されるアルミニウム管加工用潤滑油組成物に関する。
従来、自動車用エアコン等の冷凍システムには電熱管を有する熱交換器が広く用いられており、その電熱管としては軽量化の観点からアルミニウム管を使用することが多い。
アルミニウム管の製造方法としては、例えば、アルミニウム素管の内外面に潤滑油を供給して抽伸加工し、これをコイル状に巻き取った後、還元性ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で加熱焼鈍する方法が挙げられる。
ここで、アルミニウム素管の抽伸加工工程に使用される潤滑油としては、焼鈍工程の熱により低分子量化して気化するものが望ましい。しかし、焼鈍工程における通常の加熱条件では、低分子量化が十分に進行しないことが多く、その結果、常温で気化しない成分が生成してアルミニウム管上に残留してしまうことがある。また、長尺のアルミニウム管をコイル状に巻き取った場合やアルミニウム管の管径が小さい場合には、低分子量化によりガス化した潤滑油成分をその体積膨張のみで管外に排出することは困難であり、冷却過程においてガス成分の一部が凝縮し、管内に残油又は残溢が生成してしまう。
このように管内に残油又は残溢(以下、これらを総括して「管内残油」という)が生成したアルミニウム管を電熱管として用いると、熱交換器の効率が低下する原因となり得る。また、管内残油は上述のように炭化水素系潤滑油に由来するものであるため、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒に対して相溶性を示さず、冷凍システム内で残油又は残溢が析出して膨張機構の目詰まり等の問題を引き起こすことがある。
更に、冷凍システムの熱交換器の組立作業時にはロウ付けが行われるが、管内残油が存在すると、ロウ付け作業時にガスが発生したり、系内の空気と反応して炭化物となりロウ付け不良を引き起こす原因となる。また、このようにして生成した炭化物が残存したアルミニウム管を電熱管として用いると、冷凍システム内で炭化物が冷凍機油に混入し、冷凍機油の劣化の原因となる。
そこで、このような問題点を解決するために、アルミニウム管の管内残油の低減及びこれらが冷凍システムに及ぼす影響の低減に関する検討がなされており、加熱焼鈍時に管内ガスを吸引除去する方法、加熱焼鈍時に窒素又は不活性ガスで管内ガスをパージする方法等、あるいはこれらの双方を組み合わせて管内残油を除去する方法などが提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)
特開平6−228649号公報 特開平6−279860号公報 特開平7−197283号公報
しかしながら、上記従来の方法はいずれも、管内残油を除去するための設備の増設又は改造を必要とすると共に、工程数の増加による生産性の低下を伴うものであり、製造コストが増大してしまう。
一方、アルミニウム管加工用潤滑油については、管内残油の低減という観点からは未だ十分な検討がなされていないのが実情である。更に、本発明者らの検討によれば、従来のアルミニウム管加工用潤滑油の場合、動粘度が調整されていなかったり、動粘度を調整するための溶剤又は油性剤等の添加剤が適切に選択されていなかったりすると、アルミニウム管の抽伸時に潤滑性が低下し、これによりプラグに焼付きが発生することがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、アルミニウム管の抽伸加工、転造加工等において優れた潤滑性を発揮し、また、焼鈍工程において管内残油を十分に低減することが可能なアルミニウム管加工用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアルミニウム管加工用潤滑油組成物は、ポリアルキレングリコールを基油とし、グリセリンモノオクチルエーテル、ステアリン酸ブチル及びラウリン酸から選ばれる少なくとも1種の油性剤を、組成物全量基準で、0.5〜20質量%含有し、40℃における動粘度が50〜6000mm/sであることを特徴とする。
本発明のアルミニウム管加工用潤滑油組成物は、上記構成を有するために、抽伸加工、転造加工等において優れた潤滑性を発揮することができるものであり、また、焼鈍工程における加熱温度での十分な熱分解性及び気化特性を示すものである。したがって、本発明によれば、焼鈍炉内において長尺でコイル状のアルミニウム管にパージ等の特別な残油除去処理を施すことなく、低コストで管内残油を低減することができ、その結果、抽伸または転造時の焼付きの防止、アルミニウム管のロウ付性の向上、並びに、焼鈍後の管内残油又はその炭化物の冷凍システムへの混入の防止を十分に達成することができるようになる。
本発明によれば、アルミニウム管の抽伸加工、転造加工等において優れた潤滑性を発揮し、また、焼鈍工程において管内残油を十分に低減することが可能なアルミニウム管加工用潤滑油組成物が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のアルミニウム管加工溶潤滑油組成物(以下、場合により単に「本発明の潤滑油組成物」という)は、ポリブテン及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種を基油とし、下記(A−1)〜(A−4)から選ばれる少なくとも1種の油性剤を、組成物全量基準で、0.5〜40質量%含有するものである。
(A−1)2価以上の多価アルコールの部分エーテル化合物
(A−2)エステル
(A−3)アルコール
(A−4)脂肪酸。
本発明で用いられる基油のうち、ポリブテンとは、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等のブテン単量体の単独重合又は2種以上の共重合により得られる重合体である。本発明でいうポリブテンにはその水素化物も包含される。
本発明で用いられるポリブテンとしては、管内残油の低減の点から、イソブテン比率の高いものが好ましく、より具体的には、その赤外全反射吸収法により赤外吸光度を測定した場合に1230cm−1における反射一回あたりの赤外吸光度Iが0.025以上であるポリブテンが好ましい。イソブテンを原料として含むポリブテンはその分子構造中に四級炭素を有し、その四級炭素の骨格振動は1230cm−1における赤外吸光度Iに反映されるので、赤外吸光度Iが大きい値であるほどイソブテン比率が高いことを意味する。なお、1230cm−1における赤外吸光度Iが0.025未満であると、ポリブテンの熱分解性が低下して管内残油の低減効果が不十分となる傾向にある。
本発明で規定する赤外吸光度Iは、結晶長さが70mm、結晶厚さが3mmであるZnSeからなる液体測定用結晶を使用する水平状全反射吸収測定装置(MCT検出器(Mercury Cadmium Telluride:水銀カドミウムテルル化合物の半導体検出器)を有する日本電子株式会社製FT−IR)を使用して、測定することができる。また、その条件は、入射角を60°、分解能を4cm−1とし、積算回数を1000回として測定することとする。但し、この条件においては、反射回数が6.7回に相当する赤外吸収スペクトルが得られるので、1230cm−1におけるポリブテンの赤外吸光度Iを反射1回あたりの吸収強度の絶対値として求めることとする。なお、上記測定条件によると、4級炭素に由来する赤外吸光度Iの吸収ピークは概して1230cm−1に現れるが、このピークが現れる位置は1220〜1240cm−1の間で若干ずれることがある。従って、本発明においては、1230cm−1において現れるピークの高さが最も高くなるように、1170〜1190cm−1において現れるスペクトルの谷と、1250〜1270cm−1間のベース又はこの間において現れるスペクトルの谷との間にベースラインを引いて、吸収強度を求めるものとする。
本発明では、上記のポリブテンのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。更には、上記のポリブテンの1種又は2種以上と後述するポリアルキレングリコールとを組み合わせて用いることもできる。
また、ポリアルキレングリコールとしては、下記一般式(1)で表される構造を有するものが好ましい。
−O−(R−O)−R (1)
(式中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、nは10〜100の整数を示し、n個のRは同一でも異なったものであってもよい。)
一般式(1)中、R又はRのいずれか一方あるいは双方がアルキル基である場合、このアルキル基の炭素数は任意に選択することができるが、炭素数が18を超えると、焼鈍後に潤滑油が管内に残存することがある。従って、アルキル基の炭素数は1〜18であることが好ましく、炭素数が1〜10であるとより一層好ましい。また、このアルキル基は直鎖状であっても、分枝状であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、scc−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のへプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基、直鎖状又は分枝状のウンデシル基、直鎖状又は分枝状のドデシル基、直鎖状又は分枝状のトリデシル基、直鎖状又は分枝状のテトラデシル基、直鎖状又は分枝状のペンタデシル基、直鎖状又は分枝状のヘキサデシル基、直鎖状又は分枝状のヘプタデシル基、及び直鎖状又は分枝状のオクタデシル基等が挙げられる。
また、一般式Rで示されるアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、一般的には炭素数を2〜10とすることが好ましい。炭素数が2〜10の2価のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基(1−メチルエチレン基及び2−メチルエチレン基を含む)、トリメチレン基、ブチレン基(1−エチルエチレン基及び2−エチルエチレン基を含む)、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンチレン基(1−ブチルエチレン基及び2−ブチルエチレン基を含む)、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、1,1,2−トリメチルエチレン基、1,2,2−トリメチルエチレン基、へキシレン基(1−ブチルエチレン基及び2−ブチルエチレン基を含む)、1−メチル−1−プロピルエチレン基、1−メチル−2−プロピルエチレン基、2−メチル−2−プロピルエチレン基、1,1−ジエチルエチレン基、1,2−ジエチルエチレン基、2,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,1−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基、ヘプチレン基(1−ペンチルエチレン基及び2−ペンチルエチレン基を含む)、オクチレン基(1−ヘキシルエチレン基及び2−ヘキシルエチレン基を含む)、ノニレン基(1−ヘプチルエチレン基及び2−ヘプチルエチレン基を含む)、デシレン基(1−オクチルエチレン基及び2−オクチルエチレン基を含む)等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、吸湿性が低く、潤滑性が優れており、加水分解が起こりにくい等の点から、炭素数3以上のアルキレン基が好ましく、炭素数4以上のアルキレン基がより一層好ましい。なお、吸湿性が高いポリアルキレングリコールは、分解により蟻の巣状の腐食媒体である低級カルボン酸を生成し、アルミニウム管に付着した際に短時間でリークすることがある。
また、焼鈍時の残渣分をより一層低減することができ、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響を低減させることができる等の点から、Rとしては炭素数8以下のアルキレン基を使用することが好ましく、炭素数が6以下のアルキレン基を使用することがより一層好ましい。
なお、一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールは、n個のRが同一のアルキレン基である単独重合体であっても、2種以上のRを含んでポリオキシアルキレン鎖−(R−O)−が構成された共重合体であってもよい。共重合体とする場合には、その共重合体を構成するモノマー比及びモノマーの配列は限定するものではなく、ランダム共重合体、交互共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。
一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールが単独重合体である場合のRとしては、吸湿性が低く、潤滑性が優れており、加水分解が起こりにくく、焼鈍時の残渣分(残留炭素)をより一層低減することができ、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響を低減させることができる等の点から、炭素数4〜6のアルキレン基であることが好ましく、中でもブチレン基は原料の入手容易性の点からより一層好ましい。
また、一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールが共重合体である場合のRとしては、吸湿性が低く、潤滑性が優れており、加水分解が起こりにくく、焼鈍時の残渣分をより一層低減することができ、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響を低減させることができる等の点から、炭素数3〜6のアルキレン基であることが好ましく、中でもプロピレン基及びブチレン基は原料の入手容易性の点からより一層好ましい。
更に、本発明において、上記一般式(1)中のnが10未満であると、沸点が低下することによりエーテル結合部での分解性が低下するおそれがある。一方、nが100を超えると、基油が分解しやすい構造を有している場合であっても、残油成分として残る確率が高くなる傾向にある。また、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響が増大する可能性がある。従って、nは10〜100であることが好ましい。
本発明においては、上記のポリアルキレングリコールのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。更には、上記のポリアルキレングリコールの1種又は2種以上とポリブテンとを組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いられるポリブテン及びポリアルキレングリコールは、十分な熱分解性を有しており、焼鈍工程における加熱温度でモノマー又はオリゴマー等に分解して気化する。これらの分解物は比較的沸点が低く、炉内で冷却した後においても凝縮しないので、焼鈍後に管内をパージしたときに、潤滑油成分は管外に放出される。従って、潤滑油の基油として、ポリブテン及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種を使用することにより、焼鈍後に管内に残留する油分を低減することができる。また、この基油を使用することにより、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響を低減することができる。
本発明の潤滑油組成物は、組成物全量基準で0.005〜40質量%の(A−1)〜(A−4)成分を含有するものである。従って、基油であるポリブテン及びポリアルキレングリコールの合計の含有量は、組成物全量基準で、99.5質量%以下であり、好ましくは60〜99.5質量%、より好ましくは75〜99質量%である。なお、ポリブテン及びポリアルキレングリコールの合計の含有量が99.5質量%を超えると、後述する(A−1)〜(A−4)成分の添加による十分な効果を得ることができない。また、ポリブテン及びポリアルキレングリコールの合計の含有量が60質量%未満であると、ポリブテン及びポリアルキレングリコールの使用による管内残油の低減効果が不十分となる傾向にある。
なお、本発明の潤滑油組成物は、その優れた特性を損なわない限り、上記のポリブテン及びポリアルキレングリコール以外の基油を更に含有してもよい。かかる基油としては、鉱油、ポリブテン以外の炭化水素系合成油(オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等)、ポリアルキレングリコール以外のエーテル油(ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル等)、エステル油(芳香族エステル、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭酸エステル等)、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどが挙げられる。
ポリブテン及びポリアルキレングリコール以外の基油の含有量は、焼鈍後の管内残留油分量をより一層低減することができると共に、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響をより一層低減することができる点から、組成物全量を基準として、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。そして、本発明の冷凍機油組成物においては、ポリブテン及びポリアルキレングリコール以外の基油が含まれないことが最も好ましい。
次に、(A−1)〜(A−4)成分それぞれについて詳述する。
(A−1)2価以上の多価アルコールの部分エーテル化物を構成する多価アルコールとしては、2価アルコール、3価アルコール又は4価以上のポリアルコールのいずれであってもよい。
かかる多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール)、1,1−ジメチルエチレングリコール(2−メチル−1,3−プロパンジオール)、1、2−ジメチルエチレングリコール(2,3−ブタンジオール)、1−メチルトリエチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、2−メチルトリメチレングリコール(2−メチル−1,3−プロパンジオール)、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、ペンチレングリコール(1,2−ペンタンジオール)、2,2−ジメチルトリメチレングリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール(1,2−ヘキサンジオール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオール等の2価アルコール並びにこれら2価アルコールの2〜10量体等が挙げられる。
また、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール及びマンニトール等の多価アルコールを用いることもできる。
更に、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、及びメレジトース等の糖並びにこれらの部分エーテル化物、メチルグルコシド(配糖体)等を用いることもできる。
(A−1)2価以上の多価アルコールの部分エーテル化物は、上記の多価アルコールが有する水酸基の一部がエーテル化された化合物である。エーテル化としては、アルキルエーテル化、アルケニルエーテル化、シクロアルキルエーテル化、アルキルシクロアルキルエーテル化、アリールエーテル化、アルキルアリールエーテル化及びアリールアルキルエーテル化のいずれであってもよいが、上述の多価アルコールをアルキルエーテル化すると、焼鈍後の管内残留油分量をより一層低減することができる潤滑油を得ることができる。
なお、アルキルエーテル化の場合、エーテル結合するアルキル基の炭素数は特に限定されないが、当該アルキル基の炭素数は1〜18であることが好ましい。炭素数1〜18のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、scc−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝状のペンチル基、直鎖又は分枝状のヘキシル基、直鎖又は分枝状のへプチル基、直鎖又は分枝状のオクチル基、直鎖又は分枝状のノニル基、直鎖又は分枝状のデシル基、直鎖又は分枝状のウンデシル基、直鎖又は分枝状のドデシル基、直鎖又は分枝状のトリデシル基、直鎖又は分枝状のテトラデシル基、直鎖又は分枝状のペンタデシル基、直鎖又は分枝状のヘキサデシル基、直鎖又は分枝状のヘプタデシル基及び直鎖又は分枝状のオクタデシル基等が挙げられる。
これらのアルキル基の中でも、炭素数3以上のアルキル基が臭気の点から好ましく、炭素数5以上のアルキル基がより一層好ましく、炭素数7以上のアルキル基が特に好ましい。また、炭素数が16以下であると、焼鈍後の管内残留油分量をより一層低減することができると共に、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響をより一層低減することができる。更に、炭素数が14以下であると好ましく、炭素数が12以下であるとより一層望ましい。
本発明における(A−1)成分としては、抽伸工程、転造工程等においてより高水準の潤滑性が得られ、また、焼鈍工程における管内残油をより一層低減できる点から、エチレングリコールの部分エーテル化物、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの2〜10量体)の部分エーテル化物、プロピレングリコールの部分エーテル化物、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの2〜10量体)の部分エーテル化物、グリセリンの部分エーテル化物、ジグリセリンの部分エーテル化物、トリグリセリンの部分エーテル化物、トリメチロールエタンの部分エーテル化物、トリメチロールプロパンの部分エーテル化物及びトリメチロールブタンの部分エーテル化物、並びにこれらの混合物が好ましく;エチレングリコールの部分エーテル化物、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの2〜8量体)の部分エーテル化物、プロピレングリコールの部分エーテル化物、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの2〜8量体)の部分エーテル化物、グリセリンの部分エーテル化物及びジグリセリンの部分エーテル化物、並びにこれらの混合物がより一層好ましく;エチレングリコールの部分エーテル化物、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの2〜6量体)の部分エーテル化物、プロピレングリコールの部分エーテル化物及びグリセリンの部分エーテル化物、並びにこれらの混合物が更に好ましい。
また、本発明における(A−1)成分としては、多価アルコールの水酸基のうちの1つがエーテル化されたモノエーテル化物が特に好ましい。なお、(A−1)成分の代わりに、上記の多価アルコールの全ての水酸基をエーテル化した完全エーテル化物を用いると、十分な潤滑性が得られない。
(A−2)エステルを構成するアルコールは一価アルコール又は多価アルコールのいずれであってもよい。また、エステルを構成するカルボン酸は一塩基酸又は多塩基酸のいずれであってもよい。
一価アルコールとしては、通常炭素数1〜24のものが用いられ、このようなアルコールは直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。炭素数1〜24の一価アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は分岐状のペンタノール、直鎖状又は分岐状のヘキサノール、直鎖状又は分岐状のヘプタノール、直鎖状又は分岐状のオクタノール、直鎖状又は分岐状のノナノール、直鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のウンデカノール、直鎖状又は分岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデカノール、直鎖状又は分岐状のエイコサノール、直鎖状又は分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール、及びこれらの2〜8量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくはエチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(好ましくはプロピレングリコールの3〜10重量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール等の2〜6価アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物が好ましい。さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、並びにこれらの2種以上の混合物である。
一方、(A−2)エステルを構成するカルボン酸のうち一塩基酸としては、通常、炭素数6〜24の脂肪酸が用いられる。かかる一塩基酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、さらに飽和又は不飽和のいずれであってもよい。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のエイコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘンエイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸、などの飽和脂肪酸;直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のエイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、及びこれらの2種以上の混合物が好ましい。
また、(A−2)エステルを構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリト酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。具体的には、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸;直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(A−2)エステルを構成するアルコールとカルボン酸との組み合わせは任意であり、例えば下記(A−2−1)〜(A−2−7)に示す組み合わせが挙げられる。
(A−2−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(A−2−2)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(A−2−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(A−2−4)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(A−2−5)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと多塩基酸とのエステル
(A−2−6)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル
(A−2−7)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル。
なお、アルコール成分として多価アルコールを用いる場合、得られるエステルは、多価アルコール中の全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のままで残存している部分エステルであってもよい。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いる場合、多塩基酸中の全てのカルボキシル基がエステル化された完全エステルであってもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残存している部分エステルであってもよい。
上記(A−2−1)〜(A−2−7)に示した組み合わせの中でも、より潤滑性に優れる点から、(A−2−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルが好ましい。
(A−2)エステルの炭素数は特に制限されないが、潤滑性の向上効果に優れる点から、エステルの炭素数は、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。また、炭素数が大きすぎると、焼鈍後の管内残留油分量が多くなったり、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響が大きくなったりするおそれがあることから、(A−2)エステルの炭素数は、26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下がさらに好ましい。
(A−3)アルコールとしては、上記(A−2)エステルの説明において例示された一価アルコール等が好ましく用いられる。一価アルコールの炭素数は、より潤滑性に優れる点から、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。また、炭素数が大きすぎるとステインや腐食が発生するおそれがあることから、一価アルコールの炭素数は、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
(A−4)脂肪酸としては、一塩基酸又は多塩基酸のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物であってもよい。一塩基酸及び多塩基酸としてはそれぞれ上記(A−2)エステルの説明において例示された一塩基酸及び多塩基酸が挙げられる。中でも、より潤滑性に優れる点から、一塩基酸が好ましい、また、脂肪酸の炭素数は、より潤滑性に優れる点から、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。他方、脂肪酸の炭素数が大きすぎると、焼鈍後の管内残留油分量が多くなったり、焼鈍後の残留物が冷凍システムに及ぼす悪影響が大きくなったりするおそれがあることから、カルボン酸の炭素数は、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、上記(A−1)〜(A−4)の油性剤のうちの1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよいが、潤滑性をより向上できることから、一価アルコールと一塩基酸とから得られる炭素数7〜26のエステル、炭素数6〜20の一価アルコール、炭素数6〜20の一塩基酸、並びにこれらの2種以上の混合物を用いることが好ましい。
油性剤(A−1)〜(A−4)の合計の含有量は、組成物全量基準で、前述の通り40質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。当該含有量が40質量%を超えると、管内残油が増加してしまう。また、油性剤(A−1)〜(A−4)の合計の含有量は、組成物全量基準で、前述の通り0.5質量%以上であり、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。当該含有量が0.5質量%未満であると、十分な潤滑性が得られない。
本発明の潤滑油組成物においては、その優れた効果をより一層向上させるため、必要に応じて極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤等の添加剤を単独で又は2種以上を組み合わせて更に含有してもよい。
極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が挙げられる。腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系のものが挙げられる。
上記添加剤の合計含有量は、組成物全量基準で、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物の動粘度は特に制限されないが、40℃における動粘度は、好ましくは30〜5000mm/s、より好ましくは50〜6000mm/s、更に好ましくは80〜6000mm/s、特に好ましくは100〜6000mm/sである。当該動粘度が30mm/秒未満であると、焼鈍後に管内に残留する油分量が増加する傾向にあり、また、潤滑性が低下する傾向にある。一方、当該動粘度が5000mm/秒を超えるような高粘度である場合には、焼鈍後の管内残油量が増加することがある。
上記構成を有する本発明のアルミニウム管加工用潤滑油組成物は、抽伸加工、転造加工等において優れた潤滑性を発揮することができるものであり、また、焼鈍工程における加熱温度での十分な熱分解性及び気化特性を示すものである。したがって、本発明によれば、焼鈍炉内において長尺でコイル状のアルミニウム管にパージ等の特別な残油除去処理を施すことなく、低コストで管内残油を低減することができ、その結果、抽伸または転造時の焼付きの防止、アルミニウム管のロウ付性の向上、並びに、焼鈍後の管内残油又はその炭化物の冷凍システムへの混入の防止を十分に達成することができるようになる。
本発明のアルミニウム管加工用潤滑油組成物が適用される冷凍システムの熱交換器等に関し、使用される冷媒としては、HFC系冷媒及びHFC系冷媒と炭化水素(HC冷媒)との混合冷媒等が挙げられる。
HFC系冷媒としては、炭素数が1〜3であるフッ化アルカン(HFC)が公知であり、具体的には、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、並びにこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
HFC系冷媒の混合冷媒としては、例えば、60〜80質量%のHFC−134aと20〜40質量%のHFC−32との混合冷媒、40〜70質量%のHFC−32と30〜60質量%のHFC−125との混合冷媒、40〜60質量%のHFC−125と40〜60質量%のHFC−143aとの混合冷媒、60質量%のHFC−134aと30質量%のHFC−32と10質量%のHFC−125との混合冷媒、40〜70質量%のHFC−134aと15〜35質量%のHFC−32と5〜40質量%のHFC−125との混合冷媒、及び35〜55質量%のHFC−125と1〜15質量%のHFC−134aと40〜60質量%のHFC−143との混合冷媒を使用することができる。
HFC系冷媒の混合冷媒として、更に具体的には、70質量%のHFC−134aと30質量%のHFC−32との混合冷媒、60質量%のHFC−32と40質量%のHFC−125との混合冷媒、50質量%のHFC−32と50質量%のHFC−125との混合冷媒(R410A;アライドシグナル社製、Gentron AZ−20)、45質量%のHFC−32と55質量%のHFC−125との混合冷媒(R410B;デュポン社製、SUVA AC9100)、50質量%のHFC−125と50質量%のHFC−134aとの混合冷媒(R507C;アライドシグナル社製、Gentron AZ−50)、30質量%のHFC−32と10質量%のHFC−125と60質量%のHFC−134aとの混合冷媒、23質量%のHFC−32と25質量%のHFC−125と52質量%のHFC−134aとの混合冷媒(R407C;デュポン社製、SUVA AC9000)、及び44質量%のHFC−125と4質量%のHFC−134aと52質量%のHFC−143aとの混合冷媒(R404A;デュポン社製、SUVA HP−62)等がある。
また、炭化水素系冷媒としては、炭素数が1〜6であるアルカン、シクロアルカン及びアルケン並びにこれらの混合冷媒を使用することができる。具体的には、例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン及びメチルシクロプロパン、並びにこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
更に、本発明において、冷凍システムに使用される冷凍機油、即ち、冷凍システム中のコンプレッサオイルとしては、鉱油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種に、必要に応じて各種の添加剤を添加したものを使用することができる。
冷凍機油として使用される鉱油としては、具体的には、例えば原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄及び白土処理のうち、1種又は2種以上の精製手段を組み合わせて得られるパラフィン系又はナフテン系の鉱油を使用することができる。
また、冷凍機油として使用される合成油としては、具体的には、例えばポリオレフィン、アルキルベンゼン、エステル、エーテル、シリケート及びポリシロキサン等の合成含酸素油を使用することができるが、特に、ポリオレフィン、アルキルベンゼン、エステル及びエーテル等を使用することが好ましい。
冷凍機油として使用される合成油のうち、ポリオレフィンとは、炭素数が2〜16、好ましくは炭素数が2〜12のオレフィンの単独重合体及び共重合体、並びにこれらの水素化物をいう。このポリオレフィンが、構造が異なるオレフィンの共重合体である場合には、その共重合体におけるモノマー比及びモノマー配列には特別な制限はなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリオレフィンを形成するオレフィンモノマーは、α−オレフィンであっても、内部オレフィンであってもよく、更に、直鎖状オレフィンであっても分枝状オレフィンであってもよい。
ポリオレフィンを製造する際に使用することができるオレフィンとしては、具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、直鎖状又は分枝状のペンテン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のヘキセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のヘプテン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のオクテン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のノネン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のウンデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のドデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のトリデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のテトラデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分枝状のペンタデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)、及び直鎖状又は分枝状のヘキサデセン(α−オレフィン及び内部オレフィンを含む)並びにこれらの混合物等がある。
特に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン及び炭素数が5〜12であるα−オレフィン、並びにこれらの混合物を使用することが好ましく、炭素が5〜12であるα−オレフィンのうち、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセン並びにこれらの混合物を使用することがより一層好ましい。
上述のポリオレフィンは、任意の方法で製造することができる。例えば、無触媒による熱反応によって製造することができる他に、過酸化ベンゾイル等の公知の有機過酸化物触媒を使用して、オレフィンを単独重合又は共重合させることにより、ポリオレフィンを製造することができる。有機過酸化物触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム−多価アルコール系、塩化アルミニウム−四塩化チタン系、塩化アルミニウム−アルキル錫ハライド系、及びフッ化ホウ素等のフリーデルクラフツ型触媒がある。また、有機塩化アルミニウム−四塩化チタン系、及び有機アルミニウム−四塩化チタン系等のチーグラー型触媒を使用することもできる。更に、アルミノキサン−ジルコノセン系、イオン性化合物−ジルコノセン系等のメタロセン型触媒、並びに塩化アルミニウム−塩基系及びフッ化ホウ素−塩基系等のルイス酸コンプレックス型触媒等の公知の触媒系を使用して、オレフィンを単独重合又は共重合させることができる。
また、本発明においては、冷凍機油の成分として上述したポリオレフィンを使用することができるが、このポリオレフィンは通常、二重結合を有しているので、熱安定性及び酸化安定性を考慮すると、重合体中の二重結合を水素化したポリオレフィンの水素化物を使用してもよい。ポリオレフィンの水素化物を得る方法としては、適宜の方法を使用することができ、例えば、ポリオレフィンを公知の水素化触媒の存在下において水素で水素化して、ポリオレフィン中に存在する二重結合を飽和する方法を使用することができる。また、使用する触媒を選択することにより、オレフィンを重合した後、水素化する2つの工程を順次実施することなく、オレフィンの重合工程と重合体中に存在する二重結合の水素化工程との2工程を同時に実行することができる。
冷凍機油の成分として使用することができるポリオレフィンのうち、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン(ナフサ熱分解時に副生するブタン−ブテン(1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンの混合物)留分の重合により得られる共重合体)、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー及び1−ドデセンオリゴマー、並びにこれらの水素化物及びこれらの混合物等は、熱安定性、酸化安定性、粘度−温度特性及び低温流動性が優れているので、使用することができる。特に、エチレン−プロピレン共重合体水素化物、ポリブテン水素化物、1−オクテンオリゴマー水素化物、1−デセンオリゴマー水素化物及び1−ドデセンオリゴマー水素化物、並びにこれらの混合物を使用することが好ましい。なお、潤滑油用の基油として市販されているエチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ−α−オレフィン等の合成油は、通常、その二重結合が既に水素化されているものであり、これらの市販品についても、冷凍機油の成分として使用することができる。
また、冷凍機油として使用される合成油のうち、アルキルベンゼンとしては、任意のものを使用することができるが、例えば、炭素数が1〜40であるアルキル基を1〜4個有するアルキルベンゼンを使用することができる。炭素数が1〜40であるアルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基及びテトラコンチル基等があり、異性体を有するものについては、全ての異性体を含むアルキルベンゼンを合成油として使用することができる。
アルキルベンゼンのアルキル基としては、直鎖状であっても、分枝状であってもよいが、安定性及び粘度特性等の点から、分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンを合成油として使用することが好ましい。この中でも、特に、プロピレン、ブテン及びイソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基を有するアルキルベンゼンは、入手が容易であるので冷凍機油として使用することが好ましい。
また、アルキルベンゼンのアルキル基の個数は、1〜4個であることが好ましいが、安定性及び入手可能性の点から、1個のアルキル基を有するモノアルキルベンゼン及び2個のアルキル基を有するジアルキルベンゼン並びにこれらの混合物を冷凍機油として使用することができる。なお、アルキルベンゼンとしては、単一の構造のアルキルベンゼンのみでなく、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であってもよい。
更に、アルキルベンゼンの製造方法についても限定されるものではないが、一般的に、以下に示す合成方法によって合成することができる。原料となる芳香族化合物としては、具体的には、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン及びジエチルベンゼン、並びにこれらの混合物等を使用することができる。また、アルキル化剤としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン及びイソブチレン等の低級モノオレフィンのうち、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数が6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィンを使用することができる。また、ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン及びポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数が6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン、並びに灯油及び軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数が9〜40の直鎖状オレフィン等を使用することもでき、これらのオレフィンの混合物を使用することもできる。
更にまた、アルキル化の際のアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム及び塩化亜鉛等のフリーデルクラフツ型触媒、並びに硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸及び活性白土等の酸性触媒等、公知のアルキル化触媒を使用することができる。
冷凍機油として使用される合成油のうち、エステルとしては、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル及び炭酸エステル等がある。なお、冷凍機油の成分として使用することができるエステルとは、エステルを構成する酸及びアルコールとして、二塩基酸等の多塩基酸及び多価アルコールを使用した場合には、実質的に全てがエステル化されたもののみを示し、カルボキシル基及び水酸基等がエステル化されずに残存している部分エステルは含まない。
二塩基酸エステルとしては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等の炭素数が5〜10である二塩基酸と、メタノール、エタノール、直鎖状又は分枝状のプロパノール、直鎖状又は分枝状のブタノール、直鎖状又は分枝状のペンタノール、直鎖状又は分枝状のヘキサノール、直鎖状又は分枝状のへプタノール、直鎖状又は分枝状のオクタノール、直鎖状又は分枝状のノナノール、直鎖状又は分枝状のデカノール、直鎖状又は分枝状のウンデカノール、直鎖状又は分枝状のドデカノール、直鎖状又は分枝状のトリデカノール、直鎖状又は分枝状のテトラデカノール、直鎖状又は分枝状のペンタデカノール、直鎖状又は分枝状のヘキサデカノール、直鎖状又は分枝状のヘプタデカノール、直鎖状又は分枝状のオクタデカノール、直鎖状又は分枝状のノナデカノール、直鎖状又は分枝状のイコサノール、直鎖状又は分枝状のヘンイコサノール、直鎖状又は分枝状のドコサノール、直鎖状又は分枝状のトリコサノール及び直鎖状又は分枝状のテトラコサノール等の直鎖状又は分枝状のアルキル基を有する炭素数が1〜24の一価アルコールとのエステル、並びにこれらの混合物を使用することができ、具体的には、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート及びジ2−エチルヘキシルセバゲート、並びにこれらの混合物等を使用することができる。
冷凍機油として使用されるエステルのうち、ポリオールエステルとしては、ジオール又は水酸基を3〜20個有するポリオールと、炭素数が6〜20である脂肪酸とのエステルを使用することが好ましい。ジオールとして、具体的には、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオール等がある。
水酸基を3〜20個有するポリオールとしては、具体的には、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール及びマンニトール等の多価アルコール、並びにキシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース及びメレジトース等の糖類、並びにこれらの部分エーテル化物、並びにメチルグルコシド(配糖体)等がある。
炭素数が6〜20である脂肪酸として、具体的には、例えばペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸及びオレイン酸等の直鎖状又は分枝状のもの、並びに炭素原子が4級であるネオ酸等がある。
更に具体的には、吉草酸、イソペンタン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノルマルノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等がある。ポリオールエステルは、遊離の水酸基を有しているものがある。なお、特に好ましくは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、及びトリ−(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールのエステルである。具体的には、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールペラルゴネート、並びにこれらの混合物等がある。
冷凍機油として使用されるエステルのうち、コンプレックスエステルとは、脂肪酸及び二塩基酸と、一価アルコール及びポリオールとのエステルのことであり、脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール及びポリオールとしては、二塩基酸エステル及びポリオールエステルについて例示したものと同様のものを使用することができる。
また、炭酸エステルとは、炭酸と一価アルコール及びポリオールとのエステルのことであり、一価アルコール及びポリオールとしては、前述のものと同様のものの他、アルキレンオキサイドを単独重合又は共重合したポリグリコール、及び前述のポリオールにポリグリコールを付加したもの等を使用することができる。
冷凍機油として使用することができるエーテルとしては、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、環状エーテル及びパーフルオロエーテル等があるが、これらのエーテルのうち、ポリグリコール及びポリビニルエーテル等を使用することが好ましい。
ポリグリコールとしては、ポリアルキレングリコール及びそのエーテル化物、並びにこれらの変性化合物等を使用することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを単独重合又は共重合したものを使用することができる。なお、ポリアルキレングリコールにおいて、異なる構造を有するアルキレンオキシドが共重合している場合に、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリアルキレングリコールのエーテル化物とは、上述のポリアルキレングリコールの水酸基をエーテル化したものである。ポリアルキレングリコールのエーテル化物として、具体的には、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、モノペンチルエーテル、モノヘキシルエーテル、モノへプチルエーテル、モノオクチルエーテル、モノノニルエーテル、モノデシルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジへプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル及びジデシルエーテル等がある。
また、ポリグリコールの変性化合物としては、ポリオールのアルキレンオキシド付加物、及びそのエーテル化物等がある。このポリオールとしては、ポリオールエステルについて例示したものと同様のポリオールを使用することができる。
更に、ポリビニルエーテルとしては、下記一般式(1)で表される構成単位を有するものを使用することができる。
Figure 2010065231
一般式(2)中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、pは分子全体の平均値が0〜10となるような整数を示す。R〜Rは構成単位毎に同一であっても異なったものであってもよい。更に、R−Oが複数存在する場合、即ち、pが2以上である場合には、複数のR−Oは互いに同一であっても異なったものであってもよい。
これらの冷凍機油のうち、含酸素合成油を使用した場合には、アルミニウム管の焼鈍後の管内残留物が冷凍システムに及ぼす影響が大きいので、本発明に係るアルミニウム管加工用潤滑油を使用すると、顕著な効果を得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜4、参考例1〜6、比較例1〜6]
実施例1〜4、参考例1〜6及び比較例1〜6においては、それぞれ以下に示す基油及び添加剤を用いて表1に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。
(基油)
基油1:ポリブテン(40℃における動粘度:5500mm/s、数平均分子量:1000、1230cm−1における赤外吸光度I:0.030)
基油2:ポリブテン(40℃における動粘度:5300mm/s、数平均分子量:1060、1230cm−1における赤外吸光度I:0.020)
基油3:ポリブチレングリコール(40℃における動粘度:317mm/s、数平均分子量:2000)
基油4:鉱油(40℃における動粘度:300mm/s)
基油5:ポリαオレフィン(40℃における動粘度:330mm/s、数平均分子量:2000)
(添加剤)
A1:グリセリンモノオクチルエーテル
A2:ステアリン酸ブチル
A3:ラウリルアルコール
A4:ラウリン酸。
次に、実施例1〜4、参考例1〜6及び比較例1〜6の潤滑油組成物について以下の試験を行った。
(潤滑性:バウデン試験)
以下の試験条件でボール・オン・プレート往復動摺動試験(バウデン試験)を実施し、摩擦係数を測定した。得られた結果を表1に示す。
送り速度:100mm/min
荷重:200kg
ボール(上側試験球):5/32inch鋼球(SUJ−2)
プレート(下側試験板):A3003材板(アルミニウム)
試験温度:室温。
(焼鈍性)
JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」のコンラドソン法により残留炭素分を測定した。得られた結果を表1に示す。
(焼鈍残渣安定性)
焼鈍残渣物の冷凍機油に対する安定性を評価するため、以下の試験を実施した。まず、JIS K 2211「冷凍機油」の附属書2「冷媒との化学安定性試験方法(シールドグラスチューブ試験)」に準拠した触媒(太さ1.6mm、長さ50mmの鉄線、導線及びアルミニウム線)を用意し、触媒を試料油に浸漬した。このようにして表面に試料油を付着させた触媒を300℃の恒温槽に入れて30分間保持した。この触媒を内径10mm、肉厚1mmのガラス管に入れ、冷凍機油(ポリプロピレングリコール、40℃における動粘度:46mm/s)1ml及び冷媒HFC−134a1mlを封入し、ガラス管の上部を溶融して密閉した。この密閉したガラス管を175℃で14日保持した後、触媒の外観及びスラッジの有無を観察した。得られた結果を表1に示す。表1の「触媒外観」の欄中、Aは「変化なし」、Bは「変色が認められた」、Cは「腐食した」をそれぞれ意味する。
Figure 2010065231

Claims (1)

  1. ポリアルキレングリコールを基油とし、グリセリンモノオクチルエーテル、ステアリン酸ブチル及びラウリン酸から選ばれる少なくとも1種の油性剤を、組成物全量基準で、0.5〜20質量%含有し、40℃における動粘度が50〜6000mm/sであることを特徴とするアルミニウム管加工用潤滑油組成物。


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