JP2010063823A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドレストを取り付けるための新たな取付部分を椅子に設けることなく、また、ヘッドレストを取り付けていないときにもその取付部分が椅子と一体化して見た目の印象の向上させることができる椅子を提供する。
【解決手段】背板61の上縁部にヘッドレスト8を装着し得るように構成した椅子100であって、前記ヘッドレスト8が、着座者の後頭部を支持するためのヘッドレスト本体82と、このヘッドレスト本体82を前記背板61に装着するためのベース部81とを備えたものであり、前記ベース部81が、前記背板61の上縁部に跨がる形態をなし、前記背板61の背面に形成されている段部61a3に係合して抜け止めされることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドレストを取付可能な椅子に関するものである。
従来、ヘッドレストを取付可能な椅子においては、ヘッドレストを取り付けるための取付部品を予め椅子の背凭れ背面等に、当該背凭れから突出して装着して設ける方法が行われている(特許文献1)。また、別の方法として、ヘッドレストの下方に設けた取付部分を突部とし、当該突部に対応する凹部を椅子の背凭れ上端部等に開口して設ける方法が行われている(特許文献2)。
特開平8‐150044号公報 特開2003‐102585号公報
しかし、特許文献1のようなものでは、ヘッドレストを使用していない時にも当該取付部品が背凭れから突出して装着されているため、その取付部品が邪魔になったり、取付部分の見た目の印象が悪くなってしまう。また、特許文献2のようなものでは、ヘッドレストを使用していない時にも当該凹部が開口しているため、当該凹部にほこり等が溜まりやすくなったり、取付部分の見た目の印象が悪くなってしまう。
そこで本発明は上記のような課題に着目したものであり、ヘッドレストを取り付けるための新たな取付部分を椅子に設けることなく、また、ヘッドレストを取り付けていないときにもその取付部分が椅子と一体化して見た目の印象を向上させることができる椅子を提供することを目的としている。
以上のような課題を解決するためになされた本発明に係る椅子は、背板の上縁部にヘッドレストを装着し得るように構成した椅子であって、前記ヘッドレストが、着座者の後頭部を支持するためのヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体を前記背板に装着するためのベース部とを備えたものであり、前記ベース部が、前記背板の上縁部に跨がる形態をなし、前記背板の背面に形成されている段部に係わり合って抜け止めされることを特徴とする。
このようなものであれば、背板の上縁部に跨っているので、背板の上縁部にヘッドレストを容易に取り付けることができ、またヘッドレストが使用者から受ける力に対して抵抗しやすくなる。さらに、背板の有する段部を有効に利用することができ、ヘッドレストを取り付けるために椅子に積極的に取付部分を設ける必要がない。
上述したヘッドレストの構成の一例として、ベース部が、前記背板の上縁に当接するベース本体と、このベース本体から下方に延びて設けられ前記背板の前面に当接する前脚部と、前記ベース本体から下方に延びて設けられ前記背板の背面に当接する後脚部とを備えたものが好ましい。このようなものであれば、前脚部と後脚部とで作られる空間と背板の上縁部を組み合わせて椅子にヘッドレストを取り付けることができる。さらに、ヘッドレストの前脚部または後脚部が複数本に分断されていれば、ヘッドレストを取り付けた状態で背板が後傾された場合に背板の上部の弾性変形が阻害されるのを抑制でき、前脚部及び後脚部の両方がそれぞれ複数本に分断されていれば、上記弾性変形の阻害抑制によりいっそう有効に作用する。
上述したヘッドレストを取り付けるのに適した背板の構造としては、前記背板が、背面に段部を有するものであり、前記ベース部の後脚部に、前記背板の段部に部材の一時的な弾性変形を利用して係わり合う係わり合い部を設けているものが挙げられる。このようなものであれば、一時的な弾性変形を利用してヘッドレストを椅子に取り付けるので、ヘッドレストを取り付けた際のがたつきを抑制できるとともに、ヘッドレストの取り付け及び取り外しに必要な操作力が大きくなりすぎないようにすることができる。
上述したヘッドレストを取り付けるのに適した背板の他の構造としては、前記背板が、周縁枠部とその周縁枠部に囲まれる中間面部との境界に段部を有するものであり、その段部を利用して前記ヘッドレストの抜け止めを行なうものが好ましい。このようなものであれば、背板の上端部の周縁枠部と中間面部との境界を利用して、ヘッドレストを背板上方から取り付けることができる。すなわち、周縁枠部と中間面部とのギャップによって係わり合いが容易且つ強固なものとなる。
さらに、前記背板が、中間面部に、薄肉な領域と厚肉な領域とを備えたものであり、前記背板の背面において、前記中間面部の薄肉な領域と前記周縁枠部との境界に前記ヘッドレストを抜け止めするための段部が形成されているものであれば、背板の上端部の周縁枠部と中間面部の薄肉な領域との境界を利用して、ヘッドレストを背板上方から取り付けることができる。すなわち、周縁枠部と薄肉な領域とのギャップによって係わり合いが容易且つ強固なものとなる。
また、ヘッドレストを使用するのに適した椅子の背板構造として、前記背板の薄肉な領域が、複数の孔を有する樹脂メッシュ領域であるものを用いて、前記ヘッドレストを装着した背板の前面に前当部材を添接させ、その前当部材と前記ヘッドレストの後脚部とを前記孔に貫通させた止着具により緊締結合しているものであれば、背板にヘッドレスト取付用の凹部又は取付部を新たに設けることなく、もとからある孔を取付孔として有効活用することができる。よって、椅子用背板の加工工数及び部品点数の縮小を図ることができ、さらにヘッドレストを取り外したときにおいてもヘッドレスト取付部が気になることなく、見た目の印象が変わらないようにすることができる。また、ヘッドレスト及び前当部材の固定が一度の止着具の止め着け作業によって行うことができる上に、それらの緊締結合によって背板を中心として前面側からと背面側から挟持することとなるので、ヘッドレスト及び前当部材の固定をより強固なものとすることができる。
上記前当部材の構造としては、前記背板の前面に配される外装材の上縁部を掛けるための掛止縁部を備えているものが好適である。
本発明によれば、ヘッドレストを取り付けるための新たな取付部分を椅子に設けることなく、また、ヘッドレストを取り付けていないときにもその取付部分が椅子と一体化して見た目の印象を向上させることができる。
以下、本発明をシンクロチルト式の事務用回転椅子100に適用した場合の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
この椅子100は、図1ないし図4に示すように、脚1と、この脚1の上部に支持され水平旋回可能な支持基部2と、この支持基部2の上に配された座受3と、この座受3に保持された座4と、前記座受3下方から左右上方に延びて設けられた肘掛け10と、前記支持基部2に後傾動作可能に設けられた背支持体5と、この背支持体5に取り付けられた背凭れ6と、この背凭れ6の上端部に着脱可能に設けられるヘッドレスト8とを具備してなる。
前記脚1は、脚ベース11と、脚ベース11の中心部に設けられた脚支柱12とを備えてなる。前記脚ベース11は、中心部に設けたハブ11aから脚羽根11bを放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根11b先端にキャスター11cをそれぞれ設けている。前記脚支柱12は、ガススプリングを主体に構成されたもので、上下方向に弾性的に伸縮し、所望位置でロックすることができるようにした通常のものである。
前記支持基部2は、前記脚支柱12の上端部に取り付けられたハウジング21と、このハウジング21に剛結され前記背支持体5を後傾動作可能に支持する主軸22と、前記ハウジング21内に設けられ前記背支持体5の後傾動作に対して反発力を発生させる傾動反力発生機構(図示せず)とを具備してなる。前記傾動反力発生機構は、コイルスプリングやガススプリング等を用いた通常のものであるため、説明を省略する。
前記座受3は、前記座4を保持するシェル状のもので、その前端側が前記支持基部2に前後動可能に取り付けられているとともに、その後端側が前記背支持体5の基端部に支持されている。
前記肘掛け10は、前記座受3に取り付けられた肘支柱101と、前記肘支柱101の上端部に設けられた肘当て102とを具備してなる。左右の肘掛け10は、左右対称形状をなしている。
前記背支持体5は、前記支持基部2の主軸22に後傾動作可能に支持された背支桿51と、この背支桿51の上端部に取り付けられた弾性横桿52とを具備してなる。前記背支桿51は、基端部を前記支持基部2の主軸22に取り付けた下部背フレーム51bと、この下部背フレーム51bの先端に結合した上部背フレーム51aとを備えている。前記下部背フレーム51bは、金属製のもので、その外側がカバー53により覆われている。そのカバー53の外面は、前記上部背フレーム51aの外面に連続するように位置づけられている。前記上部背フレーム51aは、合成樹脂により一体成形されたもので、その上方は二股に分岐されている。前記弾性横桿52は、中間部二箇所を前記背支桿51の上端部に支持させた板ばね状のもので、その両端部で前記背凭れ6を支えている。
前記背凭れ6は、背板61を主体に構成されたものであり、この背板61の前面に着脱可能に添え設けられた前当部材63と、これら背板61または前当部材63の前面に脱着可能に設けられた外装材62とを備えてなる。前記背板61は、背板本体61aとこの背板本体61aの左右両側部に設けた側端取付部61cと、前記背板本体61aの下端部に設けた下端取付部61bとを具備してなるもので、前記側端取付部61cを前記弾性横桿52の両端部に接続するとともに、前記下端取付部61bを前記背支桿51の下部背フレーム51bに取り付けている。
前記背板本体61aは、合成樹脂により作られたもので、孔61dを有しない周縁枠部61a1と、この周縁枠部61a1に囲まれた中間面部61a2とを具備してなる。前記中間面部61a2は、複数の孔61dを設けた樹脂メッシュ領域Mと、孔61dを有しない樹脂シェル領域Sとを備えたもので、その樹脂メッシュ領域Mと樹脂シェル領域Sとを交互に配置している。具体的には、前記中間面部61a2の樹脂シェル領域Sは、水平なベルト状のもので前記周縁枠部61a1の対向部位を連結するように配されている。ベルト状をなす前記樹脂シェル領域Sは、上下方向に間隔を開けて複数本平行に配されており、これら樹脂シェル領域S間及び樹脂シェル領域Sと周縁枠部61a1との間に前記樹脂メッシュ領域Mがそれぞれ形成されている。前記樹脂メッシュ領域Mは、前記樹脂シェル領域Sよりも薄肉に形成されており、貫設された複数の円形の孔61dを有している。すなわち、前記樹脂シェル領域Sの前面と前記樹脂メッシュ領域Mの前面とは面一に形成されている一方、前記樹脂メッシュ領域Mの背面は、前記樹脂シェル領域Sの背面よりも凹んで設けられている。
以下、図5ないし図8を参照して説明する。ここで図5は、図2における背板本体61aの前面に設けられた外装材62及び前当部材63を取り外した状態の椅子100の斜視図である。また、図6は、図4におけるA‐A線に沿う拡大断面図、具体的にはヘッドレスト8から背板本体61aにかけてヘッドレスト8の後脚部81cの幅方向中心を通過するように垂直に切断した断面図を表す。図7は、ヘッドレスト8及び前当部材63を装着しない場合に外装材62が取り付けられる様子を表した断面図、及び図8は、背板61に取り付けられるヘッドレスト8、前当部材63及び外装材62の分解斜視図を表す。
前記前当部材63は、前記背板61と同じ合成樹脂により一体に形成されており、背板61を介してヘッドレスト8の後脚部81c1と接続される部材本体63aと、この部材本体63aの上方に連続して設けられ前記外装材62の上端を掛けるための掛け止め縁部63bと、前記部材本体63aと掛け止め縁部63bとの境界付近の左右両側縁に設けられた一対の浮き上がり防止爪63cとを具備してなる。前記前当部材63の前面は面一である一方、その背面は前記部材本体63aが掛け止め縁部63bに比べて突出しており、この突出した部分は前記背板61の前面に沿った形状を有しているため、前記部材本体63aは、前記背板61の前面に脱着可能に添えて設けられる。また、前記部材本体63aには左右1ヶ所ずつ、後述するヘッドレスト8の2本の後脚部81cに対応する部分に前後に貫通するねじ孔63a1が設けられている。前記掛け止め縁部63bは、隙間を介して背板61の上縁部に対面し、その上縁部及び左右側縁上部が前記背板61の上端部及び左右側縁と同様の形状をなしている。
前記外装材62は、クッション及び張地等により一体に作られており、背板61前面を覆う外装材本体62aと、この外装材本体62aの上方に設けられ、前記背板61の周縁枠部61a1上端縁または前記前当部材63の掛け止め縁部63bに掛けられる上縁取付部62bと、前記外装材本体62aの下方に設けられ、前記背板61の周縁枠部61a1下端縁に掛けられる左右のコーナ取付部62cとを具備してなる。
前記ヘッドレスト8は、前記背板61に着脱可能に取付部分を設けられたベース部81と、このベース部81に支持され使用者の頭部を支えるヘッドレスト本体82とを具備してなる。
前記ベース部81は、合成樹脂により一体に形成されており、前記ヘッドレスト本体82に取り付けられるベース本体81aと、このベース本体81aから下方に延びる4本の前脚部81bと、この前脚部81bと平行に前記ベース本体81aから下方に延びる2本の後脚部81cとを具備してなる。2本の後脚部81cは左右対称に設けられ、それぞれその下部に、前記背板61に設けられた段部61a3に係わり合わせるための係わり合い部81c1を有している。4本の前脚部81bは、背板61の前面に対する前脚部81bの当接部分についてそれぞれの前脚部81bが分断されて設けられている。前記後脚部81cの背面は面一に形成されている一方、その前面は、前記係わり合い部81c1として後脚部81cの上部よりも肉厚なものとしており、ヘッドレスト8にかかる荷重を支えている。さらに、それらの係わり合い部81c1における前記前当部材63に設けられたねじ孔63a1に対応した場所に、凹部82b1が設けられ、この凹部82b1に金属製のインサートナットNが成型されている。
前記ヘッドレスト本体82は、前記ベース部81と一体に形成され前記ベース本体81aの上方から連続する合成樹脂製のバックプレート82aと、このバックプレート82aの前面及び背面を覆うクッション及び張地から成る外装材本体82bとを具備する。当該外装材本体82bは、椅子100の座4や背凭れ6に用いられる外装材62と同様の材質や色彩とすることが好ましい。
本実施例では、前記背板61にヘッドレスト8のベース部81を着脱可能に係わり合わせることによりヘッドレスト8を取り付けるようにしている。具体的には、前記背板61に設けられた段部61a3にヘッドレスト8の後脚部81cを弾性変形を利用して着脱可能に係わり合わせ、さらに前記前当部材8と後脚部81cの係わり合い部81c1とを用いて前記背板61を前後に挟み、前記前当部材8の前方から後脚部81cまで貫通させたねじBにより緊締結合させている。
次に、前記ヘッドレスト8の背板61への取り付け及び取り外しの際の操作及び各部の作用を示す。
すなわち本実施例に係るヘッドレスト8の取り付けは、ヘッドレスト8が取り付けられる背板61が、周縁枠部61a1とその周縁枠部61a1に囲まれる中間面部61a2との境界に段部61a3を有し、その中間面部61a2に複数の孔61dを有する樹脂メッシュ領域Mと孔61dを有しない樹脂シェル領域Sとを備え、前記背板61の背面における中間面部61a2の樹脂メッシュ領域Mと樹脂シェル領域Sとの境界にも段部61a3が形成されているものを用いて、まず、背板61の上縁部に向かってヘッドレスト8の前脚部81bと後脚部81cとが前記背板61を挟み込むように上方から装着する。
次に、前記背板61の段部61a3に、前記ベース部81を構成している部材や背板61を構成している部材の一時的な弾性変形を利用して係わり合い部81c1を係わり合わせる。その際、前記係わり合い部81c1はその上端部が周縁枠部61a1と中間面部61a2の樹脂メッシュ領域Mとの境界に係わり合い、その下端部が樹脂メッシュ領域Mと樹脂シェル領域Sとの境界に係わり合うことで、上下方向に一定以上の力が加わらない限りヘッドレスト8を抜け止めし得る構成としている。
さらに、前記ヘッドレスト8を装着した背板61の前面に前当部材63、具体的には前当部材63の部材本体63aが背板61に接するように添えられることで、背板61を挟んでヘッドレスト8及び前当部材63が配置されることになる。その後、その前当部材63に設けられた2ヶ所のねじ孔821に前当部材63の前面からねじBを差し込み、樹脂メッシュ領域Mに設けられた孔61dを通って後脚部81cに設けられたインサートナットNまで貫通させねじ止めする。これにより、前当部材63、背板61及びヘッドレスト8が緊締結合される。また、前当部材63の側縁から背面に向かって延びて設けられた浮き上がり防止爪63cを、背板61の背面に係わり合うように設けることによって、着座者の背の荷重により背板61が変形した場合においても前当部材63が背板61から浮き上がることを防止するため、外装材62が前当部材63の掛け止め縁部63bから外れにくい構造とすることができる。
一方、前記ヘッドレスト8を背板61から取り外す際には、ねじ止めを解除するとともに、前当部材63を取り外し、前記ヘッドレスト8の係わり合い部81c1を前記背板61から離間させるように後脚部81cに力を加え、係わり合い部81c1と段部61a3との係わり合いを解除させる。そして、その状態でヘッドレスト8を上方に移動させることにより取り外し操作を行う。
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子100は、背板61の上縁部にヘッドレスト8を装着し得るように構成した椅子100であって、前記ヘッドレスト8が、着座者の後頭部を支持するためのヘッドレスト本体82と、このヘッドレスト本体82を前記背板61に装着するためのベース部81とを備えたものであり、前記ベース部81が、前記背板61の上縁部に跨がる形態をなし、前記背板61の背面に形成されている段部61a3に係わり合って抜け止めされることを特徴とする椅子100であるので、背板61の上縁部に跨る構造により背板61の上縁部にヘッドレスト8を容易に取り付けることができ、またヘッドレスト8が使用者から受ける力に対して抵抗しやすくなる。さらに、背板61の有する段部61a3を有効に利用することができ、ヘッドレスト8を取り付けるために椅子100に積極的に取付部分を設ける必要がない。
さらに、前記ベース部81が、前記背板61の上縁に当接するベース本体81aと、このベース本体81aから下方に延設され前記背板61の前面に当接する前脚部81bと、前記ベース本体81aから下方に延設され前記背板61の背面に当接する後脚部81cとを備えたものであるので、前脚部81bと後脚部81cとで作られる空間と背板61の上縁部を組み合わせて椅子100にヘッドレスト8を取り付けることができる。また、ヘッドレスト8の前脚部81bが4本に分断されている、言い換えれば、背板61の前面に対する前脚部81bの当接部分についてそれぞれの脚が連続していないため、椅子100が後傾した場合に背板61の前面上部の弾性変形が阻害されるのを抑制できる。
また、このようなヘッドレスト8が取り付けられる前記背板61が、背面に段部61a3を有するものであり、前記ベース部81の後脚部81cに、前記背板61の段部61a3に部材の一時的な弾性変形を利用して係わり合う係わり合い部81c1を設けているものであるので、一時的な弾性変形を利用してヘッドレスト8を椅子100に取り付けることができ、ヘッドレスト8を取り付けた際のがたつきを抑制できるとともに、ヘッドレスト8の取り付け及び取り外しに必要な操作力が大きくなりすぎないようにすることができる。
また、前記背板61が、中間面部61a2に樹脂メッシュ領域Mと樹脂シェル領域Sとを備えたものであり、前記背板61の背面において、前記樹脂メッシュ領域Mと前記周縁枠部61a1との境界に前記ヘッドレスト8を抜け止めするための段部61a3が形成されているものであるので、当該段部61a3を利用して前記ヘッドレスト8が上方に抜けることを防ぐことができる。
前記背板61の樹脂メッシュ領域Mが、複数の孔61dを有しているので、当該孔61dをねじ孔として利用することができる。その利用方法としては、前記ヘッドレスト8を装着した背板61の前面に前当部材63を添接させ、その前当部材63と前記ヘッドレスト8の後脚部81c1部とを前記孔61dに貫通させたねじBにより緊締結合するものである。そのため、背板61にヘッドレスト取付用の凹部又は取付部を新たに設けることなく、もとからある孔61dを取付孔として有効活用することができ、椅子用背板61の加工工数及び部品点数の縮小を図りつつ、さらにヘッドレスト8を取り外したときにおいてもヘッドレスト取付部が気になることなく、見た目の印象が変わらないようにすることができる。また、ヘッドレスト8及び前当部材63の固定が一度のねじ止め着け作業によって行うことができる上に、それらの緊締結合によって背板61を中心として前面側からと背面側から挟持することとなるので、ヘッドレスト8及び前当部材63の固定をより強固なものとすることができる。
また、前当部材63が、前記背板61の前面の上縁部形状と正面視同一であるため、前記背板61の前面に配される外装材62の上縁部を掛けるための掛け止め縁部63bとして利用することができる。
なお、本発明は以上に述べたような実施形態に限らず種々変更可能である。
本実施形態では、ヘッドレスト8を抜け止めするための段部として、前記背板61の背面における前記樹脂メッシュ領域Mと前記周縁枠部61a1との境界に前記ヘッドレスト8を抜け止めするための段部61a3が形成されているものを用いたが、他の段部等を利用することも可能である。たとえば、樹脂シェル領域Sと樹脂メッシュ領域Mとの境界に生じる段部を利用して係わり合わせることや、複数の樹脂メッシュ領域Mに挟まれた樹脂シェル領域Sを挟み持つようにして係わり合わせることも可能である。さらに、ヘッドレスト8の後脚部81cを図1に示すよりも長いものを用いて、樹脂メッシュ領域Mと周縁枠部61a1との境界及び1つ又は複数の樹脂シェル領域Sと樹脂メッシュ領域Mとの境界に生じる複数の段部にまたがって係わり合わせてもよい。
また、ヘッドレスト8の後脚部81cに、樹脂メッシュ領域Mに設けられた孔61dに対応する突部を設けて、その突部と複数の孔61dによって係わり合わせることもできる。
さらに、ねじ止めの方法についても、前当部材63の前面からねじBを挿入する方法以外に、後脚部81cの背面から前当部材63に向かってねじBを挿入するもの等種々考えられる。
また、ヘッドレストは、ヘッドレスト本体とベース部とが別部材で作られるものに限られず、一体に成形されるものであってもよい。
以上、本実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の実施形態に係る椅子を示す後方斜視図。 同実施形態の前方斜視図。 同実施形態の側面図。 同実施形態の背面図。 本発明の実施形態における外装材及び前当部材を外した状態を示す分解斜視図。 同実施形態に係る椅子を示すA‐A線断面図。 同実施形態における背板の直接外装材を取り付けた椅子を示す図6対応図。 本発明の実施形態における外装材、前当部材及びヘッドレストを外した状態を示す分解斜視図。
符号の説明
100…椅子
61…背板
61a1…周縁枠部
61a2…中間面部
61a3…段部
61d…孔
63…前当部材
63b…掛け止め縁部
M…樹脂メッシュ領域
8…ヘッドレスト
81…ベース部
81a…ベース本体
81b…前脚部
81c…後脚部
81c1…係わり合い部
82…ヘッドレスト本体
B…ねじ

Claims (8)

  1. 背板の上縁部にヘッドレストを装着し得るように構成した椅子であって、前記ヘッドレストが、着座者の後頭部を支持するためのヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体を前記背板に装着するためのベース部とを備えたものであり、前記ベース部が、前記背板の上縁部に跨がる形態をなし、前記背板の背面に形成されている段部に係わり合って抜け止めされることを特徴とする椅子。
  2. 前記ベース部が、前記背板の上縁に当接するベース本体と、このベース本体から下方に延びて設けられ前記背板の前面に当接する前脚部と、前記ベース本体から下方に延びて設けられ前記背板の背面に当接する後脚部とを備えたものである請求項1記載の椅子。
  3. 前記背板が、背面に段部を有するものであり、前記ベース部の後脚部に、前記背板の段部に部材の一時的な弾性変形を利用して係わり合う係わり合い部を設けている請求項2記載の椅子。
  4. 前記背板が、周縁枠部とその周縁枠部に囲まれる中間面部との境界に段部を有するものであり、その段部を利用して前記ヘッドレストの抜け止めを行なっている請求項1、2、又は3記載の椅子。
  5. 前記背板が、中間面部に、薄肉な領域と厚肉な領域とを備えたものであり、前記背板の背面において、前記中間面部の薄肉な領域と前記周縁枠部との境界に前記ヘッドレストを抜け止めするための段部が形成されている請求項4記載の椅子。
  6. 前記背板の薄肉な領域が、複数の孔を有する樹脂メッシュ領域である請求項5記載の椅子。
  7. 前記ヘッドレストを装着した背板の前面に前当部材を添接させ、その前当部材と前記ヘッドレストの後脚部とを前記孔に貫通させた止着具により緊締結合している請求項6記載の椅子。
  8. 前記前当部材が、前記背板の前面に配される外装材の上縁部を掛けるための掛け止め縁部を備えている請求項7記載の椅子。
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