JP2010061969A - 有機エレクトロルミネセンス表示素子、及びそれを用いた表示装置、及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス表示素子、及びそれを用いた表示装置、及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることが少なく、かつ画面全体を均一に接着することができるため、光の取り出しムラが少なく、良好な輝度を有する有機エレクトロルミネセンス表示素子を提供する。
【解決手段】基板11上に金属電極、発光層、透明電極、封止膜がこの順に積層されている有機エレクトロルミネセンス表示素子であって、該有機エレクトロルミネセンス表示素子は表面に光取り出しフィルムを接着しており、該光取り出しフィルムは、封止膜に向かって頂面を有する凸部12を複数有しており、該凸部12の断面積は頂面に向かって小さくなる構造であり、該凸部12の頂面のP/V値が条件式(1)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示素子。0.01H≦P/V≦0.5H(1)H:凸部の高さ
【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス表示素子、及びそれを用いた表示装置、及び照明装置に関する。
近年、情報機器の多様化に伴って、消費電力が少なく、容積が小さい面発光素子のニーズが高まり、このような面発光素子の一つとしてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と略す)が注目されている。そして、このようなEL素子は使用する材料によって無機EL素子と有機EL素子とに大別される。
ここで、無機EL素子は一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させるようになっている。一方、有機EL素子は電子注入電極とホール注入電極とからそれぞれ電子とホールとを発光層内で結合させて、有機材料を励起状態にし、この有機材料が励起状態から基底状態に戻るときに発光するようになっており、無機EL素子に比べて、低い電圧で駆動できるという利点がある。
また、有機EL素子は自家発光素子であるため、表示装置に用いた場合、視野角が広く、応答速度が速い。更に、バックライトが不要であるため、薄型軽量化が可能である。また、発光材料を選択することによって適当な色彩に発光する発光素子を得ることができる。これらの理由から、近年、有機EL素子を用いた表示装置は液晶表示装置に代わる表示装置として注目されている。
しかしながら、EL素子等の面発光素子を発光させた場合、高い屈折率を持つ発光層の内部で発せられた光は様々な方向に進行し、面発光素子の出射面等において全反射して面発光素子の内部に閉じ込められる光も多く存在する。一般に、面発光素子で発せられた光の20%〜30%しか面発光素子の外部に取り出すことができず、十分な明るさを得られないという問題があった。特に有機EL素子の場合、明るさを電流の大きさで補おうとすると素子の寿命が短くなるという問題もある。
このような問題に対し、面発光素子の出射面に、プリズムやレンズ状の光取り出しフィルムを凹凸面が面発光素子の射出面に向くようにして取り付け、光路変換機能を持たせて輝度向上させる手段が従来より知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
このような構成の場合、一般的に面発光素子と光取り出しフィルムとの間には接着層を設けているが、温度変化の著しい環境下に置かれた場合、基板と光取り出しフィルムとの熱膨張係数に差異があるため、熱による膨張及び/または収縮の程度に差が生じ、接着面の剥がれが起こり、所望の輝度向上効果を得られないという課題がある。このような課題に対し、光取り出しフィルムの先端部を接着層に埋め込ませ、かつ光取り出しフィルムの膜厚を薄くしたり、面発光素子との接着箇所を増やしたりする技術の開示がなされている(例えば、特許文献3、4参照)。
しかしながら、上記特許文献3、4の技術でも、温度変動のある環境下での接着性は不十分であった。とりわけ、高温環境下で保存の後、低温で保存し、その後また高温で保存するといった、季節変動などや使用環境変化を想定した評価では、満足できるレベルには至らなかった。
特開2000−148032号公報 特開2006−59543号公報 特開2008−21542号公報 特開2008−20596号公報
従って本発明の目的は、光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることが少なく、かつ画面全体を均一に接着することができるため、光の取り出しムラが少なく、良好な輝度を有する有機エレクトロルミネセンス表示素子を提供することにある。
また、該有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いた、輝度、コントラストの高い表示装置、照明装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.基板上に金属電極、発光層、透明電極、封止膜がこの順に積層されている有機エレクトロルミネセンス表示素子であって、
該有機エレクトロルミネセンス表示素子は表面に光取り出しフィルムを接着しており、該光取り出しフィルムは、封止膜に向かって頂面を有する凸部を複数有しており、該凸部の断面積は頂面に向かって小さくなる構造であり、該凸部の頂面のP/V値が条件式(1)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示素子。
0.01H≦P/V≦0.5H (1)
H:凸部の高さ
2.前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部の先端が接着層に埋没しており、かつ埋没する深さdが条件式(2)を満たすことを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
0.001H≦d≦0.5H (2)
3.前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部側面の頂面側付近に、該凸部側面に密着して該凸部側面を取り囲むように接着層が付随していることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
4.前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部の側面と底面の為す傾斜角度αは条件式(3)を満たすことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
45°≦α≦70° (3)
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いたことを特徴とする表示装置。
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いたことを特徴とする照明装置。
本発明によれば、本発明の目的は、光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることが少なく、かつ画面全体を均一に接着することができるため、光の取り出しムラが少なく、良好な輝度を有する有機エレクトロルミネセンス表示素子を提供することができる。
また、該有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いた、輝度、コントラストの高い表示装置、照明装置を提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の有機エレクトロルミネセンス表示素子は、基板上に金属電極、発光層、透明電極、封止膜がこの順に積層されている有機エレクトロルミネセンス表示素子であって、該有機エレクトロルミネセンス表示素子は表面に光取り出しフィルムを接着しており、該光取り出しフィルムは、封止膜に向かって頂面を有する凸部を複数有しており、該凸部の断面積は頂面に向かって小さくなる構造であり、該凸部の頂面のP/V値が前記条件式(1)を満たすことを特徴とし、かかる態様である時に、光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることが少ないという本発明の効果を奏する。また、画面全体を均一に接着することができるため、光の取り出しムラが少なく、良好な輝度を得ることができる。
P/V値とは、(peak to valley)の値をいい、データを扱う際にその最大値(peak)と最小値(valley)の差(幅)を表す指標である。本発明では、凸部頂面の表面粗さを表す指標として用いる。この値が小さいほど表面粗さが小さい。
本発明に係る凸部は、前記条件式(1)の下限を上回ることにより、優れた接着性を得ることができる。また上限を下回ることにより、接着時に光取り出しフィルムと接着層の界面に空気が入り込むことによる光取り出し効率の低下を避けることができる。
即ち従来の光取り出しフィルムは、その凸部頂面の接着層に埋没する深さが一様であるため、接着層と凸部の熱膨張率の差や温度可逆特性の差により、単純な高温保存下では耐えられても、高温から低温、更にまた高温と繰り返し温度が変動する環境下に保存される際に、剥離しやすさが顕在化すると考えられる。これを回避すべく接着層の厚みを増して凸部の接着層への埋没深さを高めようとすると、空隙と接触する凸部側面の面積が狭くなり輝度向上効果が低下してしまう。また、凸部の厚み(高さ)を増して、空隙と接触する凸部側面の面積を確保しつつ接着層への埋没深さを高めようとすると、凸部側面の角度が変わり、配光特性や輝度向上効果がやはり低下してしまう。従って、従来の光取り出しフィルムでは、温度変動の激しい環境下でも有機エレクトロルミネセンス素子との良好な接着性を維持しつつ、輝度向上効果を安定に発現させることはできなかった。その点、本発明は、埋没する凸部頂面に一定範囲の表面粗さをもたせることにより、輝度向上効果を得るのに十分な空隙と凸部側面の接触面積を確保しつつ、ある割合で接着層に深く埋没する凸部を有しているため、繰り返される温度環境の大きな変動に対してもアンカー(投錨)効果により接着効果が保たれるものと考えられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
最初に本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネセンス表示素子(以下、有機EL表示素子ともいう)を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の有機EL表示素子は下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
光取り出しフィルムとして、図1(a)、(b)、(c)に示すように、透光性基板11の片面に先端側が収縮した四角錐台状(a)、円錘台状(b)の凸部12が縦横に連続して形成されたプリズムアレイシート10Aを用いることが好ましい。図では四角錐台状凸部、円錘台状凸部を示しているが、形状はこれらに限定されるものではない。三角錐台、六角錘台、ハニカム形状、楕円錘形状、多角錐形状、更に底面が円及び楕円及び多角形、上面が楕円、円、多角形である組み合わせ錘形状のような形状が縦横に連続して形成されたプリズムアレイシートを用いてもよい。
本発明では輝度向上効果において、最も好ましい凸部の形状は円錐台状(b)である。
なお、本明細書において、「凸部の断面積は頂面に向かって小さくなる構造であり」とは、プリズムアレイシート10Aに透光性基板11から遠ざかるにつれて徐々に小さくなるように凸部12が形成されていることを意味し、図1(c)で示すように、該凸部が下すぼみの形状になっていることを意味する。また、本発明でいう凸部の頂面とは図中12aで示される部分である。
図2は、凸部、及び凸部の頂面付近のより詳しい模式図である。
本発明は、該凸部の頂面のP/V値が条件式(1)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子である。
0.01H≦P/V≦0.5H (1)
H:凸部の高さ
好ましくは、該凸部の頂面のP/V値が下記の条件式(1)−bを満たす場合、より光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることも少ない。
0.05H≦P/V≦0.2H (1)−b
また、さらに好ましくは、該凸部の頂面のP/V値が下記の条件式(1)−cを満たす場合、より光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることも少ない。
0.08H≦P/V≦0.12H (1)−c
凸部の高さHは(a)に示したように透光性基板11の底面から凸部頂面の最大高さ:(peak)部:Pまでの高さを表す。凸部の頂面は(b)で模式的に示したように完全に平坦ではなく微少突起が存在し、(peak)部:Pと(valley)部:Vが存在し、その差をP/V値とする。P/V値の測定は、例えば、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム、触針式3次元表面粗さ計等用いて測定することができる。具体的には30個以上の凸部に対しP/V値を測定し、その平均値をプリズムアレイシート10AのP/V値とすればよい。同様に凸部高さHは、30個以上の凸部頂面の(peak)部:Pの高さを測定しその平均値を用いる。また、凸部の高さHは、市販のレーザー走査顕微鏡を使いコンピュータによる3次元処理で、容易に精度良く測定することもできる。
光取り出しフィルムの透光性基板材料としては、可視光領域で実質的に透明な材料を用いることが好ましい。具体的には、例えばトリアセチルセルロースやセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂、更に、上記熱可塑性樹脂の基材或いはガラス基材上にアクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂で構成された樹脂を型取りして光取り出しフィルムとすることも好ましい。光学的には、接着層の屈折率と同等か或いはそれ以上の材料で構成されることが好ましい。
本発明の透光性基板はフィルム成型されることが好ましく、公知の溶液流延法、または溶融流延法によって長尺のフィルムに成型される。
本発明に係る光取り出しフィルムの調製工程や成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;軟質重合体、アルコール性化合物等の白濁防止剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。本発明においては、特に、可塑剤または酸化防止剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を挙げることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を挙げることができる。さらに、高温化でのハンドリングによる着色を防止する必要がある場合、高純度アミドワックスや脂肪酸エステルを用いることも好ましい。例えば、エチレンビスステアリン酸アミド、エルカ酸、オレイン酸などのアミド、ラウリン酸メチルやステアリン酸ブチル、ベヘニン酸ベヘニルなどのモノエステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルやジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステルなどのポリオールのエステルなどを用いることが好ましい。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明の熱可塑性複合材料100質量部に対して好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜10質量部である。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
そのほか、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系酸化防止剤、ニッケルや亜鉛のチオカルバメートなども酸化防止剤として用いることが出来る。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤(HALS)を用いるのが好ましい。このようなHALSの具体例としては、低分子量のものから中分子量、高分子量のものを選ぶことができる。
例えば、比較的分子量の小さいものとして、LA−77((株)ADEKA製)、Tinuvin765(チバ・ジャパン社製)、Tinuvin123(チバ・ジャパン社製)、Tinuvin440(チバ・ジャパン社製)、Tinuvin144(チバ・ジャパン社製)、HostavinN20(ヘキスト社製)中程度の分子量として、LA−57((株)ADEKA製)、LA−52((株)ADEKA製)、LA−67((株)ADEKA製)、LA−62((株)ADEKA製)、さらに分子量の大きいものとして、LA−68((株)ADEKA製)、LA−63((株)ADEKA製)、HostavinN30(ヘキスト社製)、Chimassorb944(チバ・ジャパン社製)、Chimassorb2020(チバ・ジャパン社製)、Chimassorb119(チバ・ジャパン社製)、Tinuvin622(チバ・ジャパン社製)、CyasorbUV−3346(Cytec製)、CyasorbUV−3529(Cytec製)、Uvasil299(GLC製)などが挙げられる。
本発明に係る光取り出しフィルムに対する上記配合剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、ヘイズが出やすくなり透明性が劣化する。
上記凸部の形成は、予め作製された凹部を有する金型に上記樹脂を流し込むか、押し当てて型をとり、次いで剥離することで形成する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、金型の凹部底面はサンドブラストにより、凸部頂面が粗さを有するように加工できる。具体的には、金型の凹部底面以外をマスクで覆い、マスクの上から直径0.1μm〜数μm程度の粒子を含む研磨剤を吹き付けることにより面に粗さを持たせることが可能である。
本発明に係る有機EL表示素子の構成を図によって説明する。
図3(a)に示すように、金属電極22が設けられた基板21の面に有機EL発光層23と透明電極24とが設けられ、更にその上に封止膜25が形成され有機EL素子20を得る。次いで、封止膜25上に接着層30を介して上記のプリズムアレイシート10Aにおける円錘台状になった凸部12の頂面12aを接着、埋没させ有機EL表示素子を形成する。ここで、接着層としては、UV硬化型の接着剤、熱硬化型の接着剤等の硬化型の接着剤、もしくは粘着剤を用いることができるが、アクリル系の接着剤や粘着剤のように、透明性に優れた材料がより望ましい。
このように有機EL素子20の封止膜25上に、プリズムアレイシート10Aにおける円錘台状になった凸部12の頂面12aを接着層で接着させると、プリズムアレイシート10Aの凸部12が有機EL素子20の封止膜25に向けて収縮した形状になると共に、このプリズムアレイシート10Aの凸部12と有機EL素子20の出射面20aとの間の空間部13は空気層となる。
図3(b)は、接着層30にプリズムアレイシート10Aの凸部12の先端が接着層に埋没していることを示しており、埋没させることにより光取り出しフィルムと接着層の接着性が良く、高温、高湿などの悪条件下で剥がれることが少なく、かつ画面全体を均一に接着することができる。
上記本発明の目的である接着性と光取り出し効率を満足する上で、図4に示す凸部の埋没する深さdが条件式(2)の範囲を満たすことが好ましい。
0.001H≦d≦0.5H (2)
次に光り取り出しフィルムの光取り出しに関する機構を説明する。
有機EL素子20の封止膜25上にプリズムアレイシート10Aにおける円錘台状になった凸部12の頂面12aを接着層30を介して接着させ、上記有機EL発光層23を発光させると、図5(接着層30を省略してある)に示すように、光取り出しフィルムを設けない場合には有機EL素子20の出射面20aにおいて全反射される光が、プリズムアレイシート10Aの凸部12の頂面12aが接着された部分においては、全反射されずにこのプリズムアレイシート10A内に導かれるようになる。
そして、このようにプリズムアレイシート10A内に導かれた光の多くは、有機EL素子20の出射面20aに向けて収縮した凸部12と空間部13との界面である凸部12の側面である傾斜面12bにおいて反射され、この反射された光がプリズムアレイシート10Aの出射面14に導かれて出射されるようになる。また、図5に示すように、プリズムアレイシート10Aの凸部12の頂面12aが接着されていない出射面20aの部分から出射される光であっても、出射面20aから垂直方向に出射される光は、凸部12の傾斜面12bで進行方向が若干変更されるが、プリズムアレイシート10Aの正面側に出射されるようになり、また出射面20aからプリズムアレイシート10Aにおける凸部12の傾斜面12bと直交するような方向に出射された光は、この傾斜面12bから凸部12内に導かれ、この凸部12の反対側の傾斜面12bで反射されて、プリズムアレイシート10Aの正面側に出射されるようになる。
ここで、上記のように光取り出しフィルムを設けない場合には、有機EL素子20の出射面20aにおいて全反射される光が、上記の凸部12の頂面12aからこのプリズムアレイシート10Aの内部に適切に導かれるようにするためには、このプリズムアレイシート10Aの屈折率と上記の有機EL素子20の出射面20aにおける屈折率との差を0.2以内にすることが好ましい。また、接着層とプリズムアレイシート10Aとの屈折率の差も0.2以内にすることが望ましい。更に望ましくは、接着層の屈折率が、プリズムアレイシート10Aの屈折率と有機EL素子20の出射面20aにおける屈折率との平均値と、接着層との屈折率の差を0.1以内にすることが望ましい。
また、上記のようにプリズムアレイシート10Aに円錘台状になった凸部12を設けるにあたり、この凸部12における傾斜面12b相互が交差する頂角θが大きくなって、光取り出しフィルムの底面、もしくは上記有機EL素子20の出射面20aに対する、凸部12の傾斜面12bの傾斜角度αが小さくなりすぎると、光取り出しフィルムを設けない場合に有機EL素子20の出射面20aにおいて、全反射される光がこのプリズムアレイシート10Aの内部に導かれたとしても、この光が凸部12の傾斜面12bにあたらずに、プリズムアレイシート10Aの出射面14に導かれ、このプリズムアレイシート10Aの出射面14において全反射されて戻されるようになり、プリズムアレイシート10Aの出射面14から出射される光の強度が低下する。
一方、凸部12における傾斜面12b相互が交差する頂角θが小さくなって、光取り出しフィルムの底面、もしくは有機EL素子20の出射面20aに対する、凸部12の傾斜面12bの傾斜角度αが大きくなりすぎると、上記のようにプリズムアレイシート10Aの内部に導かれた光が、この凸部12の傾斜面12bにおいて全反射されずに、この凸部12を通過して空間部13に導かれ、更にこの空間部13を通過して、再度プリズムアレイシート10Aの内部に導かれるようになり、この光が上記のようにプリズムアレイシート10Aの出射面14において全反射されて戻されるようになり、プリズムアレイシート10Aの出射面14から出射される光の強度が低下する。
従って、上記の凸部12における傾斜面12b相互が交差する頂角θは、このプリズムアレイシート10Aにおける波長550nmの光に対する屈折率をnとした場合に、(1/n−0.35)<sinθ<(1/n+0.3)の条件を満たすことが好ましく、更に1/n<sinθ<(1/n+0.25)の条件を満たすようにすることがより好ましい。
また、光取り出しフィルムの底面、もしくは上記有機EL素子20の出射面20aに対する、凸部12の傾斜面12bの傾斜角度αは、条件式(3)を満たすことが好ましい。この範囲にある時に前述のように光取り出し効率が高い。
45°≦α≦70° (3)
本発明に記載された光取り出しフィルムの正面輝度向上の仕組みは、前述したように有機EL素子20の出射面20a内で全反射して進む光線を、プリズムアレイシート10Aの凸部12の頂面12a近傍から凸部12内に導き、凸部12の傾斜面12bで全反射して正面方向に導く働きによるものである。
ここで更にその働きを詳細にみると、図6に示すように、正面方向、即ち有機EL素子の法線方向に取り出される光線は、凸部12内で全反射する直前の光線と有機EL素子の法線とのなす角をθ1とすると、凸部12の頂角θに対して、θ1=θとなる。また、同じ光線が凸部12内に入射する前の有機EL素子20内における光線と有機EL素子の法線とのなす角をθ2とし、出射面20aの屈折率をn2とすると、下記の関係が成り立つ。
n2sinθ2=nsinθ1=nsinθ
従って、有機EL素子20の法線方向から、θ2=arcsin(n/n2sinθ)の方向に発光した光線が、主として正面輝度に寄与することが分かる。
また、角度θ2で発した光線の一部は凸部12に入射することなく、出射面20aで全反射されて閉じ込められ、1回もしくは複数回、透明電極24で反射した後に凸部12に入射する光路をたどる。この時、有機EL素子20が平行平板の時には、凸部12に入射する光線の入射角はθ2のままで変化しない。
従って、透明電極24で反射する光路をたどる光線については、金属電極22、有機EL発光層23、透明電極24を通過する時の光線反射率が高いほど、ロスが少なく光を利用できることとなる。
また、上記の凸部12の底面から接着層表面までの高さをhとした場合、光学的な高さhのとり得る範囲については、凸部12における上記の頂角θや凸部12のピッチpによっても変化するが、一般にこの凸部12の光学的な高さhが低すぎると、有機EL素子20の出射面20aにおいて、光取り出しフィルムを設けない場合に全反射される光がこのプリズムアレイシート10Aの内部に導かれたとしても、この光が凸部12の傾斜面12bにあたらずに、プリズムアレイシート10Aの出射面14に導かれ、このプリズムアレイシート10Aの出射面14において全反射されて戻されるようになる。
一方、凸部12の光学的な高さhが高くなりすぎると、凸部12の傾斜面12bにおいて光の反射に利用されない部分が生じると共に、凸部12のピッチpが同じ場合、有機EL素子20の出射面20aに接着される凸部12の頂面12aの面積が小さくなって、このプリズムアレイシート10Aの内部に導かれる光の量が少なくなる。このため、この凸部12の光学的な高さhは、凸部12のピッチpに対して、0.28p≦h≦1.1pの条件を満たすことが好ましい。
ピッチPとは、前記凸部を配列した時に最近接となる隣の凸部との間との底面の中心間距離を意味する。配列の方法は、六方細密配列、格子状配列等やそれらに近似した配列を含む。中でも、光取り出し効率の向上の観点から凸部の側面の比率が大きい配列が好ましく、特に格子状配列が好ましい。
凸部のピッチは、ディスプレイ用途の場合では、ディスプレイの一画素の半分の大きさから1μmの範囲であることが好ましい。凸部のピッチは、使用されるディスプレイの解像度に左右されるが、通常市販されているディスプレイの解像度から、おおよそ67μmから1μmの範囲である。画素の大きさとは、正方形状の画素を想定した場合の一辺の大きさ表す。なお、画素の形状が他形状の場合、1画素の中心を通る直線を引いた場合の最小の長さのことを意味する。照明用の光取り出しフィルムの場合とは異なりディスプレイ用途に使用する場合、ピッチが使用されるディスプレイの画素の大きさの50%よりも大きいと十分な光取り出し効率が得られない場合や解像度の低下を引き起こす場合がある。そのため使用される画素の大きさの50%以下であることが好ましく、更に好ましくは画素の3分の1以下であることが好ましい。
また、凸部のピッチが1μmより小さい範囲になると、光の干渉現象などを引き起こし画質の低下をもたらす原因となる点や更に波長同等もしくは波長よりも小さなピッチになると光取り出しの効果が十分に得られない結果となるため凸部のピッチは1μm以上が好ましい。
本発明に係わる光取り出しフィルムは、複数の凸部を有しており、各凸部の個々の高さHの変動係数に制限はないが、均一な光取り出し効果を得る観点からは、5%以内であることが好ましい。本発明において、凸部の高さの変動係数とは、30個以上の凸部について、その先端部から底部までの高さHを測定したときの、標準偏差σ(H)を個数平均H(ave)で割った値のことを指すものとする。
ここで、σ(H)は、n個の凸部を測定する場合、
Figure 2010061969
で定義される値を用いる。
凸部の高さの変動係数を制御する方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
光取り出しフィルムの状態で複数の凸部が形成されるために必要な複数の凹部を持つ金型において、各凹部の寸法精度を3%範囲内に抑えた金型を作製し、この金型を予め樹脂基材上にUV硬化樹脂液を塗布した層に押し当て、UV照射して固化、剥離することにより、個々の凸部の高さにあるばらつきを押さえた凸部を有する光取り出しフィルムを得ることができる。
本発明においては、光取り出し面上のプリズムアレイシート10Aの投影面積に対する接着されている部分の面積比が、10%以上30%未満であることが好ましい。10%より小さいと、接着強度が弱くなり剥離が起き易く好ましくない。30%以上であると、接着強度は強くなるものの輝度向上性能が低下し好ましくない。
また、該凸部の高さHはある1つの凸部において一定でなく、すなわち頂面が底面に対して平行でなくとも良い。その場合、凸部の斜面と底面の為す傾斜角度αも一定ではないが、条件式(3)を満たすことが望ましい。
また、接着層に用いられる接着剤としては、熱硬化型アクリル系接着剤、UV硬化型アクリル系接着剤などの透明性の高い硬化型粘着剤やアクリル系粘着剤のように透明性の高い粘着剤が好適に用いられる。
上記接着層の形成方法としては特に限定されず、一般的方法、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、スプレー塗布、インクジェット法等の方法が挙げられる。
図7は、凸部側面の頂面付近に、該凸部側面に密着して該側面を取り囲むように接着層が付随していることを示した模式図である。表面張力により形成される接着層のもりあがり部分により、より多くの光を光取り出しフィルムに取り込むことができ、光取り出し効果が向上する。また、もりあがり部分により接着面積が拡大するため、光取り出しフィルムと接着層の接着性が向上し、剥がれ、光の取り出しムラを防止することができる。
接着層の表面張力は、接着剤の種類、濃度、用いる溶剤の種類等で接着剤の粘度を制御することで適宜調整され、そのもりあがり部分の高さは凸部の形状、高さ、埋没させる時の押圧などにより制御することができる。
例えば、凸部の粘着層への押し込み量から凸部の粘着層へ埋没する体積を計算する。次に、前記の体積から粘着層の凸部が略球状になるとしてもりあがる量を計算する。このもりあがり量が接着層と空間との界面での最大高さとほぼ一致するため、光取り出しフィルムの接着層への押し込み量を任意に設定することにより高さを調整することが可能となる。
当該接着層のもりあがり部分の最大高さは、該凸部の高さHに対し、1〜20%の範囲、より好ましくは1〜15%の範囲であると、接着性や光り取り出し効率が向上するため好ましい。
<具体的な有機EL表示素子の構成>
本発明の有機EL表示素子の構成は、仕様によりトップエミッション方式、ボトムエミッション方式の構造をとることができる、基板/電極/有機EL発光層/対向電極/封止膜/接着層/光取り出しフィルムの順に積層されているトップエミッション方式の方が長寿命化の観点で好ましい。
以下に封止膜を有する有機EL表示素子の具体的構成を述べる。
(断面構造)
図8を参照して、有機EL表示素子100の断面構造を説明する。但し、以下の説明は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
有機EL表示素子100は、いわゆる「トップエミッション構造」の有機EL表示素子である。トップエミッション構造では、光を素子基板側ではなく封止膜側から取り出すため、素子基板に配置された各種回路の大きさに影響されず、発光面積を広く確保できる効果がある。そのため、電圧及び電流を抑えつつ輝度を確保することが可能であり、発光素子の寿命を長く維持することができる。
この有機EL表示素子100は、陽極110と陰極111(一対の電極)の間に発光層112(有機発光層)を挟持した複数の発光素子121及び発光素子121を区切る画素隔壁113を有する素子基板120Aと、この素子基板120Aに対向配置された封止膜119が設けられている。
(素子基板)
図8に示すように、有機EL表示素子100は、各種配線(例えば、TFT等)が形成された素子基板120A上に、窒化珪素等からなる無機絶縁層114が被覆されている。また、無機絶縁層114にはコンタクトホール(不図示)が形成され、前述した陽極110が駆動用TFT123に接続されている。無機絶縁層114上にはアルミ合金等からなる金属反射板115が内装された平坦化層116が形成されている。
この平坦化層116上には、陽極110と陰極111が発光層112を挟持して形成され発光素子121として構成しているものである。また、この発光素子121を区分するように絶縁性の画素隔壁113が配置されている。
本実施形態において、陽極110は、仕事関数が5eV以上の正孔注入層の高いITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物導電膜が用いられる。
なお、本実施形態においては、トップエミッション構造のため、陽極110は必ずしも光透過性を有する材料を用いる必要はなく、アルミ等からなる金属電極を用いてもよい。この構成を採用した場合は、前述した金属反射板115は設けなくてよい。
陰極111を形成するための材料としては、本実施形態はトップエミッション構造であることから光透過性を有する材料である必要があり、したがって透明導電材料が用いられる。透明導電材料としては、ITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide:IZO/アイ・ゼット・オー(登録商標))等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いている。
また、陰極111は、電子注入効果の大きい(仕事関数が4eV以下)材料が好適に用いられる。例えば、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、リチウム金属、又はこれらの金属化合物である。金属化合物としては、フッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体が該当する。また、これらの材料だけでは、電気抵抗が大きく電極として機能しないため、発光部分を避けるようにアルミニウムや金、銀、銅などの金属層をパターン形成したり、ITOや酸化錫などの透明な金属酸化物導電層との積層体と組み合わせて用いてもよい。
なお、本実施形態では、フッ化リチウムとマグネシウム−銀合金、ITOの積層体を、透明性が得られる膜厚に調整して用いるものとする。
有機EL発光層に用いられる材料として、例えば特開平8−311442号公報に記載のナフタセンまたはペンタセン誘導体を発光層に添加した赤色発光素子が挙げられる。また、発光材料としてトリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が、青色から赤色までの可視領域の発光材料として挙げられ、特に青色発光材料としてフェニルアントラセン誘導体を用いた素子が開示されている。更に特開2001−160489号にはアザフルオランテ化合物を黄色から緑色発光層に用いることが開示されている。
発光層112は、白色に発光する白色発光層を採用している。この白色発光層は、真空蒸着プロセスを用いて素子基板120Aの全面に形成されている。白色発光材料としては、スチリルアミン系発光材料,アントラセン系ドーパミント(青色)、或いはスチリルアミン系発光材料,ルブレン系ドーパミント(黄色)が用いられる。
なお、発光層112の下層或いは上層に、トリアリールアミン(ATP)多量体正孔注入層、TDP(トリフェニルジアミン)系正孔輸送層、アルミニウムキノリノール(Alq)層(電子輸送層)を成膜することが好ましい。
また、素子基板120A上には、電極保護層117が形成され発光素子121及び画素隔壁113を被覆している。
この電極保護層117は、透明性や密着性、耐水性、ガスバリア性を考慮して珪素酸窒化物などの珪素化合物で構成することが望ましい。また、電極保護層117の膜厚は100nm以上が好ましく、画素隔壁113を被覆することで発生する応力によるクラック発生を防ぐため、膜厚の上限は200nm以下に設定することが好ましい。
なお、本実施形態においては、電極保護層117を単層で形成しているが、複数層で積層してもよい。例えば、低弾性率の下層と高耐水性の上層とで電極保護層117を構成してもよい。
電極保護層117上には、有機緩衝層118が形成され電極保護層117を被覆している。この有機緩衝層118は、画素隔壁113の形状の影響により、凹凸状に形成された電極保護層117の凹凸部分を埋めるように配置され、更に、その上面は略平坦に形成される。有機緩衝層118は、素子基板120Aの反りや体積膨張により発生する応力を緩和し、不安定な形状の画素隔壁113からの電極保護層117の剥離を防止する機能を有する。また、有機緩衝層118の上面が略平坦化されるので、有機緩衝層118上に形成される硬い被膜からなる後述する封止膜119も平坦化される。したがって、応力が集中する部位がなくなり、これにより、封止膜119でのクラックの発生を防止する。
有機緩衝層118は、硬化前の原料主成分としては、減圧真空下でスクリーン印刷法により形成するために、流動性に優れ、かつ溶媒や揮発成分の無い、全てが高分子骨格の原料となる有機化合物材料である必要があり、好ましくはエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーが用いられる(モノマーの定義:分子量1000以下、オリゴマーの定義:分子量1000〜3000)。例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどがあり、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤としては、電気絶縁性や接着性に優れ、かつ硬度が高く強靭で耐熱性に優れる硬化被膜を形成するものが良く、透明性に優れ、かつ硬化のばらつきの少ない付加重合型がよい。例えば、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物系硬化剤が好ましい。更に、酸無水物の反応(開環)を促進する反応促進剤として1,6−ヘキサンジオールなど分子量が大きく揮発しにくいアルコール類やアミノフェノールなどのアミン化合物を微量添加することで低温硬化しやすくなる。これらの硬化は60〜100℃の範囲の加熱で行われ、その硬化被膜はエステル結合を持つ高分子となる。
また、硬化時間を短縮するためよく用いられるカチオン放出タイプの光重合開始剤を用いてもよいが、硬化収縮が急激に進まないよう反応の遅いものが良く、また、塗布後の加熱による粘度低下で平坦化を進めるように最終的には熱硬化を用いて硬化物を形成するものが好ましい。
更に、電極保護層117や後述する封止膜119との密着性を向上させるシランカップリング剤や、イソシアネート化合物などの捕水剤、硬化時の収縮を防ぐ微粒子などの添加物を混入しても良い。また、減圧雰囲気下で印刷形成するため、塗布した際に気泡が発生しにくくするために、含水量は0.01質量%(100ppm)以下に調整しておく。
これらの原料毎の粘度は、1000mPa・s(室温:25℃)以上が好ましい。塗布直後に発光層112へ浸透して、ダークスポットと呼ばれる非発光領域を発生させないためである。また、これらの原料を混合した緩衝層形成材料の粘度としては、500〜20000mPa・s、特に2000〜10000mPa・s(室温)が好ましい。
また、有機緩衝層118の最適な膜厚としては、3〜10μmが好ましい。有機緩衝層118の膜厚が厚いほうが異物混入した場合等に封止膜119の欠陥を防ぐが、有機緩衝層118を合わせた層厚が10μmを超えると、側面に拡散してしまう光が増えるため光を取り出す効率が低下してしまう。
また、硬化後の特性としては、有機緩衝層118の弾性率が1〜10GPaであることが好ましい。10GPa以上では、画素隔壁13上を平坦化した際の応力を吸収することができず、1GPa以下では耐摩耗性や耐熱性等が不足するためである。
有機緩衝層118上には、有機緩衝層118を被覆し、かつ電極保護層117の終端部まで覆うような広い範囲で、封止膜119が形成されている。
封止膜119は、酸素や水分が浸入するのを防止するためのもので、これにより酸素や水分による発光素子121の劣化等を抑えることができる。封止膜とは、酸素及び水分の透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されるものではない。酸素の透過度が23℃、0%RHにおいて0.005ml/m/day以下が好ましく、また、JIS K7129 B法に従って測定した水蒸気透過度が0.1g/m/day以下が好ましい。封止膜を構成する材料として、透明性、ガスバリア性、耐水性を考慮して、好ましくは窒素を含む珪素化合物、即ち珪素窒化物や珪素酸窒化物などによって形成される。具体的には無機酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等を挙げることができる。
封止膜119の弾性率は、100GPa以上、具体的には200〜250GPa程度が好ましい。また、封止膜119の膜厚は、200〜600nm程度が好ましい。200nm未満であると、異物に対する被覆性が不足し部分的に貫通孔が形成されてしまい、ガスバリア性が損なわれてしまうおそれがあるからであり、600nmを越えると、応力によるクラックが生じてしまうおそれがあるからである。
更に、封止膜119としては、積層構造としてもよいし、その組成を不均一にして特にその酸素濃度が連続的に、或いは非連続的に変化するような構成としてもよい。なお、積層構造とした場合の膜厚は、第一封止膜としては、200〜400nmが好ましく、200nm未満では有機緩衝層18の表面及び側面被覆が不足してしまう。異物等の被覆性を向上させる第二封止膜としては、200〜800nmが好ましい。総厚1000nm以上を超えるとクラックの発生頻度が上がること及び経済的な面で好ましくない。
また、本実施形態では、有機EL表示素子100をトップエミッション構造としていることから、封止膜119は光透過性を有する必要があり、したがってその材質や膜厚を適宜に調整することにより、本実施形態では可視光領域における光線透過率を例えば80%以上にしている。
封止膜は、前述した原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
更に封止膜119上に接着層25を介して光り取り出しフィルム10Aが接着され、本発明の有機EL表示素子が形成される。
<表示装置、照明装置>
本発明の有機EL表示素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルタや光拡散板などと組み合わせた各種表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL表示素子を適用した表示装置、照明装置について説明する。
本発明の有機EL表示素子は、多色または白色の表示装置に用いられる。多色または白色の表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また、作製順序を逆にして陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層ユニット、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色または白色の表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明に係る有機EL表示素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
本発明に用いられる白色有機EL表示素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよい。発光層に用いる発光ドーパントとしては特に制限はなく、例えば、液晶表示装置におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルタ)特性に対応した波長範囲に適合するように、白金錯体、また公知の発光ドーパントの中から任意のものを選択して組み合わせて、また本発明に係る光取り出しフィルムと組み合わせて、白色化すればよい。
このように、本発明に係わる白色の有機EL表示素子は、CF(カラーフィルタ)と組み合わせて、また、CF(カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置することで、有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で長寿命のフルカラーの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを形成できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<有機EL表示素子101の作製>
図3(a)に示す有機EL素子20を作製した。
この有機EL素子20は、前記のように金属電極22が設けられた透明基板21の面に有機EL発光層23と透明電極24、更に封止膜25とが設けられている。
ここで、有機EL素子20は上記透明基板21として厚みが0.7mm、サイズが40mm×52mmの無アルカリガラスを用い、該透明基板21の片面に金属電極22として、真空蒸着法によって膜厚が110nmになったアルミニウムを用いた。
そして、該金属電極22の上に正孔注入材料としてm−MTDATAを用い、真空蒸着法によって膜厚が10nmになった正孔注入層を形成した。次いで、正孔注入層の上に正孔輸送材料としてα−NPDを用い、真空蒸着法で膜厚が30nmになった正孔輸送層を形成した。次いで、この正孔輸送層の上にCBPをホスト材料として用い、Ir(ppy)をドーパント材料として6質量%含むように、白色発光となる発光材料を真空蒸着法により蒸着させて膜厚が30nmになった発光層を形成した。
この発光層の上に、BAlqを真空蒸着法により10nm蒸着させて正孔阻止層を形成した。更に、この正孔阻止層の上にAlqを真空蒸着法により40nm形成して電子輸送層とした。更に、LiFを真空蒸着法により0.5nm形成して電子注入層とした。そして、この電子注入層の上に、ITOを110nmの厚みに成膜し、フォトリソグラフィー法によって電極形状にパターニングし、35×46mmの大きさにしたものからなる透明電極24を形成した。
Figure 2010061969
Figure 2010061969
更に、下記手順により透明封止フィルム(封止膜)を作製し、透明電極24以下を封止するように接着した。
〈透明封止フィルム(封止膜)の作製〉
基材として、厚さ125μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人・デュポン社製フィルム)上に、UV硬化型アクリル樹脂塗膜を5μmの厚みで設けた上に、特開2003−303520号公報記載の大気圧プラズマ放電処理装置及び下記放電条件で、2層積層した透明封止フィルムを作製した。
(大気圧プラズマ放電処理装置)
上記大気圧プラズマ放電処理装置を用い、下記の条件で、プラズマ放電を行って、厚さ約200nmの層1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 95.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 4.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 7W/cm
次いで、下記の条件で、プラズマ放電を行って、厚さ約250nmの層2を積層形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 95.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラエトキシシラン(以下、TEOSと略記)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 4.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 7W/cm
次いで、複数の円錐台形状凸部を持つプリズムアレイシートを得るため、平板状金型を切削加工し、円錐台ホール形状の金型を作製した。金型の凹部底面はサンドブラストにより、凸部頂面が粗さを有するように加工した。具体的には、金型の凹部底面以外をマスクで覆い、マスクの上から直径0.1μm〜数μm程度の粒子を含む研磨剤を吹き付けることにより底面に粗さを持たせた。その後、図9の模式図に示すように、TAC基材(トリアセチルセルロースフィルム)上にUV硬化樹脂を塗布し、その塗布層側に円錐台ホール形状の金型を押し当て、TAC基材裏面側からUV照射して塗布層を硬化した後、剥離して複数の凸部を有するプリズムアレイシート10A(A)を得た。
プリズムアレイシート10A(A)は、波長550nmの光に対する屈折率が1.50、円錘台状の凸部12の底面に対する傾斜角度αは60°であり、30個の凸部の高さHの平均値は25μm、凸部のピッチは30μmであった。
プリズムアレイシート10A(A)の凸部30個の頂面を、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システムを用いて表面粗さを測定したところ、P/V値の平均値は0.25μmであり、条件式(1)に照合すると0.01Hであることが分かった。
上記プリズムアレイシート10A(A)を用い、図3に示すように、このプリズムアレイシート10A(A)の凸部12を上記の有機EL素子20の出射面20aに対向するように、接着層を介して凸部先端面が2.5μmの深さになるように、25℃、相対湿度55%環境下で埋没させて接着した。接着層には熱硬化型アクリル樹脂系接着剤を用いた。基材を除いた接着層の厚みは25μmであった。また、出射面積に対する凸部接着面積の割合は18%であった。
<有機EL表示素子102〜106の作製>
有機EL表示素子101に用いたプリズムアレイシート10A(A)を作製する際に用いた円錐台ホール形状の金型の凹部を、表1に記載の凸部頂面のP/V値になるように、サンドブラストにより加工して作製した。この金型を用いプリズムアレイシート10A(A)と同様の方法でプリズムアレイシート10A(B)〜(F)を得た。これらのプリズムアレイシートを用いて、有機EL表示素子101の作製と同様にして、有機EL表示素子102〜106を作製した。
《表示素子評価》
(高温保存性)
85℃環境下に200時間放置した後の有機EL素子とプリズムアレイシートの接着状態を目視評価した。剥離部分の面積が貼付全部分の10%未満であるものを◎、10%〜20%以下であるものを○、20%より大きく50%以下であるものを△、50%以上であるものを×とした。剥離部分の面積が少ないものほど高温保存性に優れている。
(高温/低温周期変動評価)
85℃環境に200時間放置した後、冷蔵庫にて2℃環境に200時間放置し、その後、再び85℃環境で200時間放置した後のプリズムアレイシートの接着状態を目視評価した。評価基準は、前記高温保存評価と同様とした。
(正面輝度向上比)
プリズムアレイシートを貼り付けない状態の面発光素子の正面輝度を1としたときの、プリズムアレイシートを貼り付けた状態の正面輝度を相対値で示す。測定は分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いて、正面からの発光輝度(2°視野角正面輝度)を測定した。
(正面輝度ムラ)
有機EL表示素子を正面から目視観察し、輝度ムラの観察を以下の基準で評価した。
○:輝度ムラが観察されない
△:やや輝度ムラが観察される
×:輝度ムラが明らかに観察される
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2010061969
表1より、本発明の有機EL表示素子101〜104は、高温保存、高温/低温の繰り返し保存、正面輝度、輝度ムラに対して総合的に優れていることが明らかである。
実施例2
<有機EL表示素子107〜112の作製>
有機EL表示素子102の作製において、図4で示す接着層に埋没させる凸部先端面の深さdを表2のように変化させて25℃、相対湿度55%環境下でプリズムアレイシートの凸部を埋没、接着し、有機EL表示素子107〜112を作製した。
次いで、得られた有機EL表示素子に対し、実施例1と同様な評価を行い結果を表2に示した。
Figure 2010061969
表2より、前記条件式(2)を満たす深さに凸部を埋没させた有機EL表示素子107〜110は、高温保存、高温/低温の繰り返し保存、正面輝度、輝度ムラに対して総合的に優れていることが明らかである。
実施例3
<有機EL表示素子113の作製>
有機EL表示素子102の作製において、接着剤層に用いる接着剤を粘度調整したエポキシ系粘着剤に変え、図7のように凸部側面の頂面側付近に、該凸部側面に密着して該凸部側面を取り囲むように接着層が付随するように接着した以外は同様にして、有機EL表示素子113を作製した。
有機EL表示素子102と有機EL表示装置113について実施例1と同様な評価を行った。
Figure 2010061969
表3より、有機EL表示装置113は更に本発明の効果が向上することが分かる。
実施例4
<有機EL表示素子114〜118の作製>
有機EL表示素子113の作製において、円錐台ホール形状の金型の凹部の傾斜角が異なるように調整加工して金型を作成した。それを用い凸部の底面に対する傾斜角度αが表4に示すように変化したプリズムアレイシートを作製し、同様にして有機EL表示素子114〜118を作製した。
次いで、得られた有機EL表示素子に対し、実施例1と同様な評価を行い結果を表4に示した。
Figure 2010061969
表4より、凸部の底面に対する傾斜角度αが条件式(3)を満たす有機EL表示装置は本発明の効果がより高いことが分かる。
実施例5
次いで有機EL表示素子101〜106をCF(カラーフィルタ)、及びCF(カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路とを組み合わせ、有機ELから取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、有機ELディスプレイを作製したところ、本発明の有機EL表示素子101〜104を用いると優れた輝度を有する長寿命な有機ELディスプレイが得られることが分かった。
実施例6
次いで有機EL表示素子101〜106を、VA型液晶表示装置である富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め内蔵されていたバックライトの替わりに用いたところ、本発明の有機EL表示素子101〜104を用いると優れた輝度を有する液晶表示装置が得られることが分かった。
実施例7
次いで有機EL表示素子101〜106の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、照明装置を形成したところ、本発明の有機EL表示素子101〜104を用いると優れた輝度を有する照明装置が得られることが分かった。
先端側が収縮した形状の凸部を有する光取り出しフィルムの模式図である。 先端側が収縮した形状の凸部の拡大図である。 本発明の有機EL表示素子の模式図である。 凸部を接着層に埋没させる深さdを示す模式図である。 本発明の有機EL表示素子における光の出射を示す模式図である。 本発明の有機EL表示素子における光の出射を示す別ぼ模式図である。 プリズムアレイシートの凸部の先端面の近傍が接着層に埋まった形で接着されている式図である。 トップエミッション方式での有機EL表示素子の構成図である。 凸部の形成工程を示す模式図である。
符号の説明
10A プリズムアレイシート
11 透光性基板
12 凸部
13 空間部
14 出射面
20 有機EL表示素子
21 透明基板
22 金属電極
23 有機EL発光層
24 透明電極
25 封止膜
30 接着層
100 有機EL表示素子
110 陽極(一対の電極)
111 陰極(一対の電極)
112 発光層(有機発光層)
117 電極保護層
118 有機緩衝層
119 封止膜
120A 素子基板
121 発光素子

Claims (6)

  1. 基板上に金属電極、発光層、透明電極、封止膜がこの順に積層されている有機エレクトロルミネセンス表示素子であって、
    該有機エレクトロルミネセンス表示素子は表面に光取り出しフィルムを接着しており、該光取り出しフィルムは、封止膜に向かって頂面を有する凸部を複数有しており、該凸部の断面積は頂面に向かって小さくなる構造であり、該凸部の頂面のP/V値が条件式(1)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示素子。
    0.01H≦P/V≦0.5H (1)
    H:凸部の高さ
  2. 前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部の先端が接着層に埋没しており、かつ埋没する深さdが条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
    0.001H≦d≦0.5H (2)
  3. 前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部側面の頂面側付近に、該凸部側面に密着して該凸部側面を取り囲むように接着層が付随していることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
  4. 前記有機エレクトロルミネセンス表示素子において、前記凸部の側面と底面の為す傾斜角度αは条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子。
    45°≦α≦70° (3)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いたことを特徴とする表示装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス表示素子を用いたことを特徴とする照明装置。
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