JP2010060247A - 地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器 - Google Patents

地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】地中に所定深さまで土留め用として構築されるソイルセメント連続壁内に、構築可能な地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器の提供。
【解決手段】本発明は、ソイルセメント連続壁構築工法で構築された連続土留め壁10内に建て込まれるH形鋼12に設置される地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器20である。H形鋼12の溝空間の少なくとも一方に設けられ、地中と熱交換を行うための循環流体が循環する地中熱交換用チューブ23と、H形鋼12のフランジ部またはウェブ部に設けられ、地中熱交換用チューブ23を保持する保持部を有するチューブ取付部材21,24と、H形鋼12の下端または下端近傍に、地中熱交換用チューブが設けられた溝空間の下方側を覆うように設けられ、固化前のソイルセメントにH形鋼及び地中熱交換用チューブを挿入する際、地中熱交換用チューブの保護を行う保護部材25とを備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、地中熱交換井の地中熱を利用して熱制御対象物を加熱又は冷却する地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器に関する。さらに詳しくは、土留め用などとして構築される連続ソイルセメント壁内に構築可能な地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器に関する。
従来から、地中熱を利用する地中熱交換井の方式としては、地中熱交換井内にポリエチレン製パイプをU字状に曲げて構成された地中熱交換用Uチューブ(以下、Uチューブと記載する)を埋設する方式、地中熱交換井内に、ステンレス管を外管にし、ポリエチレン製パイプを内管とする二重管等を埋設する方式等が知られている。
地中の温度は、年間を通してほぼ一定であり、外気温度に比べると、夏は低く、冬は高くなっている。従って、外気との温度差を利用するために地中にUチューブ、同軸二重管等を埋設し、Uチューブ、同軸二重管等により、この地中熱を採熱し、ヒートポンプの熱源として利用することが行われており、これに関しては種々の提案がなされている。
すなわち、地中においてほぼ一定である10〜15℃の恒温状態にある地中熱を利用して熱交換を行なうもので、例えば、冬であれば高温エネルギーとして暖房用熱源又は融雪用熱源等のため採熱し利用することができる。又、夏であれば低温エネルギーとして冷房用熱源等のために採熱し利用することができる。このような地中熱利用ヒートポンプシステムは、人工的な熱源、例えば冷暖房装置等からの排熱を大気に放熱しないため、自然エネルギー利用の1つとして例えば夏には都市部のヒートアイランド抑制対策としても注目されている。又、大気よりも安定した温度のエネルギーであるので、効率的な省エネルギーとなり且つCO(二酸化炭素)の発生の少ない冷暖房用熱源としても注目されている。
しかしながら、地中熱交換井の設置場所の確保、地中熱交換井等の多額な施工費用等の問題もあり、どのように普及拡大させていくのかが課題の一つとなっている。
一方、東京都のような都市部に建造される建造物である高層ビルに地中熱利用ヒートポンプシステムを設置しようとした場合、地中熱交換器をどのように構築するかが重要な課題となる。このような高層ビルに設置される地中熱利用ヒートポンプシステムの例として、高層ビルの基礎杭の鉄筋と一緒にUチューブを埋設しコンクリートで固定する場所打ちコンクリート杭タイプのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、中空の基礎杭の中にUチューブを入れて地中熱と熱交換する方式の基礎杭タイプのものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、東京都心部(以下、都心部と記載する)の高層ビルの場合、通常は地下3〜4階まで地下建造物が構築されていることが多い。このように地下深部まで地下建造物がある場合、建築用の基礎杭はほとんど必要がない地層状況となるため場所打ちコンクリート杭タイプ、基礎杭タイプの技術は採用できない。地中熱交換器を構築する場合、地下建造物の最下位の床面から、更に下に向けてボアホール(掘削孔)を掘削して地中熱交換井を設置する必要がある。
また、都心部においては、地下4階等の深度は地下水位面に当たり、地中熱交換井を掘削しようとした場合、ボアホールからの地下水の湧出等が問題となる。さらに、地中熱交換井を設置するに当たってはUチューブが出る口元部分の耐水圧性、水密構造等が問題となるおそれがあった。
そこで、建造物(例えば、高層ビル)の地下工事のために地中を掘削する際に周囲に構築する土留め壁に地中熱交換器を設置することが提案されている。
すなわち、土留め用、止水用の連続したソイルセメントからなる地中壁内に、地中熱交換器を埋設する施工方法であって、チェーン式カッターで一定幅の溝を掘削し、溝内に注入したソイルセメントが固化する前に地中熱交換器を挿入、配置する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、H鋼がソイルセメントに立て込まれる前に、地熱熱交換パイプユニットがH鋼に固定され、H鋼が未硬化のソイルセメントに立て込まれるときH鋼と地熱熱交換パイプユニットとが共に立て込まれる地熱熱交換パイプユニットの施工方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−332330号公報 特開2003−148079号公報 特許第3870317号公報 特許第3935887号公報
現在、地中連続壁を施工する工法として、ソイルセメント連続壁構築工法の一つであるいわゆるSMW工法(ソイルミキシングウォール工法)(登録商標)が多く採用されている。しかしながら、SMW工法では、H形鋼の両方のフランジ部、ウェブ部で形成される溝空間の外側に熱交換パイプであるUチューブがはみ出ると、掘削に障害を与えたり、設置したUチューブを損傷、破損等させたりするおそれがあった。言い換えると、特許文献4に開示されたH鋼に地中熱交換用Uチューブ(熱交換パイプ)を取り付けるための保持部、取付部材などの構成は、まだまだ改良改善の余地があるものであった。
そこで、H形鋼にUチューブを取り付けることができる取り付け構造を備え、SMW工法に構築されるソイルセメント連続壁に好適な地中熱交換器の開発が要望されている。
本発明は、このような従来の技術における問題点を解決するために開発されたものであり、次の目的を達成する。
本発明の目的は、芯材であるH形鋼に一体に設置された地中熱交換用チューブ(熱交換パイプ)を損傷等させることなくソイルセメント内に挿入可能で、ソイルセメント連続壁に好適な地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、
地中に所定深さまでソイルセメント連続壁構築工法で掘削された連続土留め壁内に芯材として建て込まれるH形鋼に設置される地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器であって、前記H形鋼のフランジ部及びウェブ部で形成される溝空間の少なくとも一方に設けられ、前記地中と熱交換を行うための循環流体が循環する地中熱交換用チューブと、前記H形鋼のフランジ部及び/または前記ウェブ部に取り付けられ、前記地中熱交換用チューブを保持する保持部を有するチューブ取付部材と、前記H形鋼を建て込む姿勢における前記H形鋼の下端または下端近傍に、少なくとも前記地中熱交換用チューブが設けられた前記溝空間の下方側を覆うように設けられ、固化前の前記ソイルセメントに前記H形鋼及び前記地中熱交換用チューブを挿入する際、前記地中熱交換用チューブの保護を行う保護部材とを備えていることを特徴とする。
本発明2の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、本発明1において、
前記保護部材は、両方の前記溝空間の下方側を覆う、側面視略V字状のものであることを特徴とする。
本発明3の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、本発明1または2において、
前記チューブ取付部材は、前記H形鋼の両方の前記フランジ部間、または、一方の前記フランジ部と前記ウェブ部との間に跨るように設けられる取付板部と、この取付板部から前記溝空間内に突出し、前記地中熱交換用チューブを保持可能な凸状の保持部とからなっているものであることを特徴とする。
本発明4の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、本発明1または2において、
前記チューブ取付部材は、前記H形鋼のウェブ部に取り付けられる取付板部と、この取付板部から前記溝空間内に突出し、前記地中熱交換用チューブを保持するためのC字形状またはU字形状の部位が形成された保持部とからなっているものであることを特徴とする。
本発明5の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、本発明1または2において、
前記チューブ取付部材は、前記H形鋼のフランジ部及び/または前記ウェブ部に取り付けられ、前記フランジ部及び/または前記ウェブ部との間に形成された保持用空間に、前記地中熱交換用チューブを保持可能なものであることを特徴とする。
本発明6の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、本発明1から5において、
前記地中熱交換用チューブは、下端側がU字状に曲げられたU状部と、このU状部の下端側に被取付部が一体に形成されたものであり、最下方に位置する前記チューブ取付部材には、前記被取付部に形成された連結孔に係脱可能に係合されるUチューブ連結ピンが設けられていることを特徴とする。
以上のように、本発明の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器は、下端または下端近傍に保護部材が設けられているとともに、地中熱交換用チューブが芯材であるH形鋼の溝空間より突出しないように形成されている。そのため、H形鋼と一体に取り付けられた地中熱交換用チューブ(熱交換パイプ)を損傷、破損等させずに未固化ソイルセメント内に挿入させることができる。特に、U状の先端部の損傷、破損等を保護部材によって、防止することができる。従って、ソイルセメント連続壁構築工法において、容易に、地中熱交換器を構築することができる。
また、都市部の建造物(高層ビル)等でも容易に地中熱利用ヒートポンプシステムによる冷暖房の熱源とすることができ、地球環境にやさしく、CO(二酸化炭素)の発生等がたいへん少ない冷暖房システムを構築することが可能となった。さらに、地中熱交換器構築のために、ボアホールを新たに掘削する作業等が不要となる。そのため、地中熱利用ヒートポンプシステムの構築する費用を大幅に低減することができ、普及拡大に大いに貢献することができる。
以下、本発明の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、ソイルミキシングウォール(登録商標)工法で、ソイルセメント連続壁を構築している状態を模式的に示した構成図、図2は、図1の平面図であり、(a)は隔孔設置、(b)は全孔設置を示した図である。図3は、地中熱利用ヒートポンプシステムを模式的に示した説明図である。
図4は、本発明の地中熱交換器の実施の形態1の部分正面図、図5は、図4の側面図、図6は、図4をA−A線で切断した断面図である。図7は、地中熱交換器の実施の形態2を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図8は、地中熱交換器の実施の形態2の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図9は、地中熱交換器の実施の形態2の他の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図10は、地中熱交換器の実施の形態3を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図11は、地中熱交換器の実施の形態3の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。
SMW工法(登録商標)は周知な技術であり、本実施の形態では詳細な説明を省略するが、本実施の形態の理解を容易にするために、その概略を図1、2に基づいて説明する。
図1に示すように、SMW工法は、地盤5を所定の深さまで掘削するとともにセメントスラリーを注入し、原位置土とセメントスラリーとを混合・攪拌してソイルセメント壁11を形成し、これらソイルセメント壁11を連続させてソイルセメント連続壁10を構築する工法である。ソイルセメント連続壁10は、建造物Bを建造する際の土留め用、止水用等の用途のために構築されるものである。ソイルセメント壁11内には、ソイルセメント固化前に芯材としてのH形鋼12が建て込まれている。H形鋼12は、隔孔設置(図2(a)参照)、全孔設置(図2(b)参照)、隔孔設置と全孔設置との組み合わせ(図示せず)のように設置されるものであり、地盤5の状態等により適宜所望の間隔で建て込まれるものである。
次に、地中熱利用ヒートポンプシステム1について説明を行う。
地中熱利用ヒートポンプシステム1は、周知な技術であるが、本実施の形態の理解を容易にするために、その概略を図3に基づいて説明する。
なお、ソイルセメント連続壁10には、H形鋼12A、12B・・12N、12が複数本建て込まれているものとする。また、H形鋼12A、12B・・12N、12に沿って、熱交換パイプとしてポリエチレン製パイプをU字状に曲げて構成されたU字状の管、すなわち地中熱交換用Uチューブ(以下、Uチューブと記載する)23A、23B・・23N、23が設けられている。そして、Uチューブ23A、23B・・23N、23は、内部に形成された管路が、順次、連続するように接続され、循環路を形成している。
Uチューブ23A、23B・・23N、23を含む第1循環路71を循環する第1循環流体73は、不凍液(ブライン)、水等であり、地中熱利用ヒートポンプ60内の第1熱交換部(凝縮器)62で熱交換をしながら、Uチューブ23A、23B・・23N、23を経て循環している。このような構成の第1循環路71を循環する第1循環流体73は、例えば冬季の場合、地上側の地中熱利用ヒートポンプ60の第1熱交換部62で熱交換し、Uチューブ23A、23B・・23N、23を含む第1循環路71を循環し、再び第1熱交換部62に戻る。Uチューブ23A、23B・・23N、23等が地中熱交換器20を構築する。
このとき、地上の外気温度に比べ地中は恒温状態であり、地中温度が高くなっている。そのため、第1循環流体73は地上側から地中に送り込まれると、地中熱交換器20を構築するUチューブ23A、23B・・23N、23で採熱し、暖められて第1熱交換部62側に循環することになる。第1熱交換部62で、第1循環流体73と熱交換された熱媒体は地中熱利用ヒートポンプ60によってさらに暖められ、循環する。熱媒体は第2熱交換部(蒸発器)64で第2循環流体83と熱交換する。温水となった第2循環流体83は、熱制御対象物(例えば、建造物等)の暖房等の設備である熱交換装置84の負荷側熱交換部84aで暖房等のための熱源として利用される。第2循環流体83は、不凍液(ブライン)、水等であるとよい。
次に、地中熱利用ヒートポンプ60の説明を行う。
地中熱利用ヒートポンプ60は、第1熱交換部(凝縮器)62、第2熱交換部(蒸発器)64、圧縮部(圧縮機)61、膨張部(膨張弁)63、熱媒体循環路65等から構成されている。暖房用の熱源とする場合、熱媒体〔例えば、冷媒番号(ISO817):R404A、R407C、R410A等〕が、熱媒体循環路65内を、実線で示した矢印方向に循環する。第1熱交換部62は、第1循環流体73と熱媒体との間で熱交換を行なう部位である。すなわち、第1循環路71を循環する第1循環流体73の熱量を熱媒体に熱移動させる。第2熱交換部64は、熱媒体と第2循環流体83との間で熱交換を行なう部位である。すなわち、熱媒体の熱量を第2循環流体83に熱移動させる。熱移動された第2循環流体83は、第2循環路81を循環し、負荷側熱交換部(例えば、床暖房、ファンコイルユニット等)84aで熱源として利用される。
Uチューブ23A、23B・・23N、23を含む第1循環路71を循環する第1循環流体73は、第1循環ポンプ72によって循環する。第1循環流体73は、H形鋼12A、12B・・12N、12に、各々、取り付けられたUチューブ23A、23B・・23N、23内を循環し、ソイルセメント壁11等を介して地中との間で熱交換(熱採取)を行う。地中との熱交換によって熱を得た第1循環流体73は中温水となって地上に戻り、地中熱利用ヒートポンプ60の第1熱交換部62を通過する。
第1循環流体73は、第1熱交換部62において熱媒体との間で熱交換を行なって低温水となってUチューブ23A、23B・・23N、23に戻り、再び、地中と熱交換(熱採取)を行なう。第1熱交換部62において、第1循環流体73との間で熱交換した熱媒体は、圧縮部61において圧縮されることによってさらに高温となり、第2熱交換部64に送られる。
第2熱交換部64で、熱媒体は、第2循環流体83との間で熱交換を行う。第2循環流体83は、第2循環ポンプ82によって第2循環路81を循環し、熱交換装置84の負荷側熱交換部84aに循環し熱源として利用される。すなわち、熱媒体との間で熱交換を行ない、熱を得た第2循環流体83は温水となって、負荷側熱交換部84aにおいて、暖房システム、暖房装置等の熱源として利用される。
一方、冷房用の熱源とする場合には、熱媒体が、熱媒体循環路65内を破線で示した矢印方向に循環する。第1循環流体73は、Uチューブ23A、23B・・23N、23を通過する際、外気温度より低い温度の地中と熱交換し、低い温度の第1循環流体73となる。第1循環流体73と熱交換した熱媒体は冷却され、膨張部63によって減圧されることによって、さらに低温となって第2熱交換部64に送られる。ここで、低温の熱媒体は、第2熱交換部64で第2循環流体83と熱交換する。低温になった第2循環流体83は負荷側熱交換部84aにおいて、冷房システム、冷房装置等の熱源として利用される。
〔実施の形態1〕
地中熱交換器20の実施の形態1について図4〜6に従って説明を行う。
実施の形態1の地中熱交換器20は、図4に示すように前述したH形鋼12に設けられている。H形鋼12は、図6に示すように、「H」の縦2本の部位であるフランジ部12bと、中央の横1本の部位であるウェブ部12aとからなっている。フランジ部12bとウェブ部12a間に溝空間18が形成されている。
H形鋼12の溝空間18には、Uチューブ23が配置されている。なお、Uチューブは、耐性・防食性に優れ、高い熱伝導性、広い使用温度範囲を有し、高可撓性、管内面が滑らかである等の条件を満たすものであれば他の材質のものであってもよいことはいうまでもない。
Uチューブ23の下端側には、U字状のU状部と、U状部の下方側の被取付部23aとが一体に形成されている。被取付部23aには、Uチューブ側連結孔23bが形成されている。
H形鋼12の溝空間18の開口部側に、Uチューブ取付部材21、24の取付板部21a、24aが、両方のフランジ部12bの端部に跨るように配置され溶接等で固定されている。Uチューブ取付部材24は、H形鋼12の下端側の位置に、Uチューブ取付部材21は、下端以外のその他の中間の所定の位置に設けられている。Uチューブ取付部材21は、所定の間隔毎に設けられているものであり、H形鋼12等の長さに対応して適宜の数量設けられている。Uチューブ取付部材21の取付板部21aには、凸状保持部を構成する凸状保持部材22が、溝空間18側に突出するように設けられている。Uチューブ取付部材24の取付板部24aには、凸状保持部材22、Uチューブ連結ピン26が、溝空間18側に突出するように設けられている。
この実施の形態1の凸状保持部は、2本の凸状保持部材22がUチューブ23の外周面部を挟むようにして保持することで構成される。Uチューブ連結ピン26は、Uチューブ連結孔23bに、係脱可能に係合される。Uチューブ連結ピン26は、Uチューブ連結孔23bに挿入され、係合したとき、Uチューブ23の下端側を連結支持するものである。
なお、Uチューブ取付部材は、取付板部が、一方のフランジ部の端部とウェブ部との間に、跨るように設けられているものであってもよい。
H形鋼12の下端には、側面視の先端側がV字状に形成された保護部材25が溶接等で固定されている。この保護部材25は、Uチューブ23が取り付けられたH形鋼12をソイルセメントに挿入し、建て込む工程の作業を容易にするとともに、挿入・建て込み工程時に、Uチューブ23を損傷、破損等させないためのものである。なお、保護部材25は、例えば鉄板、鋼板など、H形鋼に固定が容易で、ソイルセメントに挿入時に変形などしない材料で形成されたものであればよい。保護部材は、平面状のものが好ましいが、曲面状のものなど他の形状のものであってもよい。また、保護部材は、H形鋼の下端近傍に設けられていてもよい。すなわち、保護部材は、Uチューブ、被取付部より下方の位置に設けられればよい。
なお、Uチューブ取付部材21、24、Uチューブ23、保護部材25等は、ソイルセメント連続壁10を構築する前に、工場、構築現場等で溶接等して一体に組み付けられているとよい。
そして、Uチューブ23が保持されたH形鋼12は、今までと同様の方法で、固化前のソイルセメントに挿入・建て込む工程の作業を行えばよい。この時、保護部材25が下端または下端近傍に設けられているので、ソイルセメントへの挿入が容易である。言い換えると、従来のH形鋼のみを挿入しているときとほとんど差がない。また、保護部材25を設けているので、Uチューブ23、Uチューブ取付部材21、24、凸状保持部材22等をガードしているようになっており、Uチューブ23(特に、U状の先端部)等を損傷、破損させる可能性をたいへん低くすることができる。
なお、この実施の形態1では、H形鋼の一方の溝空間にUチューブを設けた構成で説明を行っているが、両方の溝空間にUチューブを設けてもよい。
また、H形鋼の一方の溝空間にUチューブを設けた場合、保護部材は、Uチューブ側のみに設けられたものであってもよい。すなわち、ソイルセメントに挿入する姿勢において、フランジ部端部と、フランジ部端部より下方に位置するウェブ部との間に、平面または曲面状の保護部材が、Uチューブを設けた側(一方の側)にのみ設けられたものであってもよい。例えば、保護部材は、片矢印のような形状のものが、H形鋼に設けられたものであってもよい。
〔実施の形態2〕
図7〜9に従って、地中熱交換器20の実施の形態2の説明を行う。なお、実施の形態2におけるUチューブ23、H形鋼12等の構成は、前述した実施の形態1のものとほぼ同一であり、実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。言い換えると、Uチューブ23を保持するためのUチューブ取付部材(取付板部、保持部)の形状等が異なるのみであるので、その異なる部分についてのみ説明を行う。
図7は、地中熱交換器20の実施の形態2を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図7に示すように、この実施の形態2のUチューブ取付部材31(または34)は、取付板部31a(34a)とU字状保持部32とから構成されている。H形鋼12のウェブ部12aに、取付板部31a(34a)が溶接等で固定されている。この取付板部31a(または34a)には、先端がU字状に形成され、Uチューブ23の外周部を保持可能なU字状保持部32が突出するように設けられている。U字状保持部32は、Uチューブ23の外周部を包囲するようなものでも、弾性力で保持するようなものであってもよい。なお、Uチューブ取付部材34は、U字状保持部32のほか、Uチューブ連結ピンが設けられた実施の形態1のUチューブ取付部材24に相当するものである。
なお、Uチューブ取付部材31、34、Uチューブ23、保護部材25等は、ソイルセメント連続壁10を構築する前に、工場、構築現場等で溶接等して一体に組み付けられているとよい。
図8は、地中熱交換器20の実施の形態2の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図8に示すように、実施の形態2の変形例のUチューブ取付部材41(または44)は、コ字状の取付板部41a(44a)とU字状保持部42とから構成されている。H形鋼12のウェブ部12aに、断面コ字状の取付板部41a(または44a)が溶接等で固定されている。この取付板部41a(または44a)には、先端がU字状に形成され、Uチューブ23の外周部を保持可能なU字状保持部42が設けられている。U字状保持部42は、Uチューブ23の外周部を包囲するようなものでも、弾性力で保持するようなものであってもよい。なお、Uチューブ取付部材44は、U字状保持部42のほか、Uチューブ連結ピンが設けられた実施の形態1のUチューブ取付部材24に相当するものである。
なお、Uチューブ取付部材41、44、Uチューブ23、保護部材25等は、ソイルセメント連続壁10を構築する前に、工場、構築現場等で溶接等して一体に組み付けられているとよい。
図9は、地中熱交換器20の実施の形態2の他の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。図9に示すように、この他の変形例のUチューブ取付部材51(または54)は、取付板部51a(54a)とC(またはΩ)字状保持部52とが一体に形成されているものである。H形鋼12のウェブ部12aに、取付板部51a(または54a)が溶接等で固定されている。このC字状保持部52は、Uチューブ23の外周部を包囲するように形成されている。なお、Uチューブ取付部材54は、C字状保持部52のほか、Uチューブ連結ピンが設けられた実施の形態1のUチューブ取付部材24に相当するものである。
なお、Uチューブ取付部材51、54、Uチューブ23、保護部材25等は、ソイルセメント連続壁10を構築する前に、工場、構築現場等で溶接等して一体に組み付けられているとよい。
〔実施の形態3〕
図10、11に従って、地中熱交換器20の実施の形態3の説明を行う。
図10は、地中熱交換器20の実施の形態3を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。なお、実施の形態3におけるUチューブ23、H形鋼12等の構成は、前述した実施の形態1のものとほぼ同一であり、実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。言い換えると、Uチューブ23を保持するためのUチューブ取付部材(取付板部、保持部)の形状等が異なるのみであるので、その異なる部分についてのみ説明を行う。
図10に示すように、H形鋼12のウェブ部12aに、段状に折り曲げられた板状のUチューブ取付部材57が溶接等で固定されている。フランジ部12b、ウェブ部12a、Uチューブ取付部材57で形成される保持用空間18aに、Uチューブ23が挿入され保持される。このように、Uチューブ23が、保持用空間18aに隙間をもって保持されるものであっても、ソイルセメント内に挿入するときに、例えば、Uチューブ23が溝空間18または保持用空間18aから飛び出て破損、損傷等しなければよい。
図11は、地中熱交換器20の実施の形態3の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。
この変形例に示すように、折り曲げた板状のUチューブ取付部材58は、次のように成形してもよい。すなわち、L字状の板材(想像線で記載)をウェブ12aに溶接等で固定しておき、Uチューブ23を挿入後折り曲げて、板状のUチューブ取付部材58にしてもよい。
さらに、図示はしていないが、H形鋼12のフランジ部、ウェブ部の両方に、折り曲げた板状のUチューブ取付部材を溶接等で固定し、保持用空間を形成してもよい。
本発明の実施の形態について以上のとおり説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
図1は、ソイルミキシングウォール工法で、ソイルセメント連続壁を構築している状態を模式的に示した構成図である。 図2は、図1の平面図であり、(a)に隔孔設置、(b)に全孔設置の平面図を示している。 図3は、地中熱利用ヒートポンプシステムを模式的に示した説明図である。 図4は、本発明の地中熱交換器の実施の形態1の部分正面図である。 図5は、図4の側面図である。 図6は、図4をA−A線で切断した断面図である。 図7は、地中熱交換器の実施の形態2を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。 図8は、地中熱交換器の実施の形態2の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。 図9は、地中熱交換器の実施の形態2の他の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。 図10は、地中熱交換器の実施の形態3を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。 図11は、地中熱交換器の実施の形態3の変形例を示す断面図であって、実施の形態1の図6に相当する図である。
符号の説明
1…地中熱利用ヒートポンプシステム
10…ソイルセメント連続壁
11…ソイルセメント壁
12、12A、12B・・12N…H形鋼
20…地中熱交換器
21…Uチューブ取付部材
22…凸状保持部材
23、23A、23B・・23N…地中熱交換用Uチューブ
24…Uチューブ取付部材
25…保護部材
26…Uチューブ連結ピン
60…地中熱利用ヒートポンプ
65…熱媒体循環路
71…第1循環路
81…第2循環路

Claims (6)

  1. 地中に所定深さまでソイルセメント連続壁構築工法で構築された連続土留め壁内に芯材として建て込まれるH形鋼に設置される地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器であって、
    前記H形鋼のフランジ部及びウェブ部で形成される溝空間の少なくとも一方に設けられ、前記地中と熱交換を行うための循環流体が循環する地中熱交換用チュープと、
    前記H形鋼の前記フランジ部及び/または前記ウェブ部に取り付けられ、前記地中熱交換用チューブを保持する保持部を有するチューブ取付部材と、
    前記H形鋼を建て込む姿勢における前記H形鋼の下端または下端近傍に、少なくとも前記地中熱交換用チューブが設けられた前記溝空間の下方側を覆うように設けられ、固化前の前記ソイルセメントに前記H形鋼及び前記地中熱交換用チューブを挿入する際、前記地中熱交換用チューブの保護を行う保護部材とを備えている
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
  2. 請求項1に記載された地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器において、
    前記保護部材は、両方の前記溝空間の下方側を覆う、側面視略V字状のものである
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
  3. 請求項1または2に記載された地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器において、
    前記チューブ取付部材は、前記H形鋼の両方の前記フランジ部間、または、一方の前記フランジ部と前記ウェブ部との間に跨るように設けられる取付板部と、この取付板部から前記溝空間内に突出し、前記地中熱交換用チューブを保持可能な凸状の保持部とからなっているものである
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
  4. 請求項1または2に記載された地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器において、
    前記チューブ取付部材は、前記H形鋼のウェブ部に取り付けられる取付板部と、この取付板部から前記溝空間内に突出し、前記地中熱交換用チューブを保持するためのC字形状またはU字形状の部位が形成された保持部とからなっているものである
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
  5. 請求項1または2に記載の地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器において、
    前記チューブ取付部材は、前記H形鋼のフランジ部及び/または前記ウェブ部に取り付けられ、前記フランジ部及び/または前記ウェブ部との間に形成された保持用空間に、前記地中熱交換用チューブを保持可能なものである
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載された地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器において、
    前記地中熱交換用チューブは、下端側がU字状に曲げられたU状部と、このU状部の下端側に被取付部が一体に形成されたものであり、
    最下方に位置する前記チューブ取付部材には、前記被取付部に形成された連結孔に係脱可能に係合されるUチューブ連結ピンが設けられている
    ことを特徴とする地中熱利用ヒートポンプシステムの地中熱交換器。
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