JP2010059378A - 含フッ素エステルの製造方法 - Google Patents

含フッ素エステルの製造方法 Download PDF

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Kyoko Nozaki
京子 野崎
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藤田  智行
Hiromasa Yamamoto
弘賢 山本
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Abstract

【課題】新たな含フッ素エステル類の合成法を提供。
【解決手段】下式(f)を必須とする化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F)及びまたは(F)と(H)の両方の構造で表される繰り返し単位からなる含フッ素エステルを得る製造方法。
Figure 2010059378

【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エステルの製造方法に関する。
ポリエステルの製造方法としては、ジカルボン酸類とジオール類とを重縮合反応させる方法、ラクトンを開環重合させる方法、開環性の環状エーテル(エポキシド等。)と酸無水物とを交互共重合させる方法、ヒドロキシ酸類を重縮合させる方法、一酸化炭素とエポキシドを交互共重合させる方法が知られている。
たとえば非特許文献1および2には、一酸化炭素とプロピレンオキシドを遷移金属カルボニル化合物の存在下に共重合させて、下記繰り返し単位を含むポリエステルを製造する例が記載されている。
Figure 2010059378
含フッ素ポリエステルの製造方法として特許文献1には、下式(I)で表される含フッ素エポキシドと環状酸無水物をアルカリ金属ハライド、水酸化アルカリ、アミン、金属アルキル化合物、またはホスフィンから選ばれる重合触媒の存在下に共重合させることにより含フッ素ポリエステル系共重合体を製造する方法が記載されている。
Figure 2010059378
特許文献2には下式(II)で表される化合物等の含フッ素ヒドロキシ酸類に有機相中でリパーゼを作用させることにより重縮合させて、下式(III)で表される繰り返し単位等からなる含フッ素ポリエステルを製造する方法が記載されている。
Figure 2010059378
Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.42,4666−4670(2004) Macromolecules 2004,37,2417−2421 特開昭53−139696号公報 特開平02−040343号公報
特許文献1に記載される方法は、酸無水物に由来する繰り返し単位を必須とするため、生成物の構造は本発明の製造方法における生成物とは異なる。またフッ素含有量が高いポリエステルは製造できない方法であった。
特許文献2の製造方法は、酵素反応を用いることから、実際には重合される化合物、重合度、分子量分布等に応じて、酵素の種類や反応媒体を検討する必要があった。また原料の含フッ素ヒドロキシ酸類の調製に、多段階の反応を要することから、工業的かつ経済的に有利な方法にはなりにくい問題があった。
以上のように、含フッ素エポキシドと一酸化炭素を共重合させて含フッ素エステルを製造した例は知られていない。また、任意の分子構造(特にフッ素含有量)と任意の分子量を有する含フッ素エステルを、入手が容易な含フッ素化合物を原料として工業的に有利な方法で製造する方法の提供はなされていない。
本発明者らは、新たな含フッ素エステル類の合成法を開発するべく鋭意検討を行った結果、下記製造方法を見い出した。
すなわち、本発明は下記発明を提供する。
[1] 下式(f)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F)で表される繰り返し単位からなる含フッ素エステルを得る、または、
下式(f)で表される化合物および下式(h)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F)で表される繰り返し単位および下式(H)で表される繰り返し単位からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
Figure 2010059378
ただし、
式中の2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または反応に不活性である1価有機基を示し、少なくとも一方のRは反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。あるいは2つのRは共同で、反応に不活性である含フッ素2価有機基を形成していてもよい。
式中の2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子、または反応に不活性でありかつフッ素原子を含まない1価有機基を示す。あるいは式中の2つのRは共同で、反応に不活性であるフッ素原子を含まない2価有機基を形成していてもよい。
[2]下式(f1)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F1−a)で表される繰り返し単位および下式(F1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
Figure 2010059378
ただし、式中のRF1は、反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。
[3]下式(f1)で表される化合物および下式(h1)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F1−a)で表される繰り返し単位および下式(F1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方、ならびに下式(H1−a)で表される繰り返し単位および下式(H1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方、からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
Figure 2010059378
ただし、式中、RF1は、反応に不活性である含フッ素1価有機基を示し、RH1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、RH1が水素原子である場合の式(H1−a)で表される繰り返し単位と式(H1−b)で表される繰り返し単位は同一である。
[4] 反応に不活性である含フッ素1価有機基が、
−(CH(CFCF
−(CHO(CH(CFCF
−(CH
−(CHO(CH
−(CHO(CHOC、および
−(CHO(CFSOFから選ばれる基である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
(ただし、kは0〜2の整数、mは0〜11の整数、nは0〜2の整数、pは1〜8の整数を示す。C部分はペンタフルオロフェニル基を示す。)
[5] 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と含窒素有機化合物とを含む触媒である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と、含窒素有機化合物と、ヨウ化メチル、ベンジルブロマイドおよびp−トルエンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む触媒である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と、下式(A)で表される化合物と、ベンジルブロマイドとを含む触媒である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
Figure 2010059378
[8] 遷移金属カルボニル化合物が、Co(CO)、RCo(CO)(Rは水素原子、1価炭化水素基、またはアシル基を示す)、およびM[Co(CO)](Mはアルカリ金属イオン、または1価有機カチオンを示す)から選ばれるいずれか1種の化合物である[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] 反応が重合反応であり、含フッ素エステルがエステル結合を2以上有する含フッ素ポリエステルである[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 含フッ素エステルの重量平均分子量が、1×10〜1×10であり、分子量分布が1〜2である[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、任意の分子構造を有する含フッ素エステルの製造方法が提供される。また、本発明の製造方法により得られる含フッ素エステルは、撥水性、撥油性、剥離性、離型性に優れている。
本明細書においては、「式(f)で表される化合物」を「化合物(f)」、「式(F)で表される繰り返し単位」を「繰り返し単位(F)」と記すことがある。他の化合物、他の繰り返し単位にいても同様である。また、基中の記号は、特に記載しない限り前記と同じ意味を示す。
本発明の反応の反応メカニズムは、遷移金属カルボニル化合物とオキシラン化合物が反応してオキシランが開環し、次いで一酸化炭素が挿入することでエステル結合が生成する反応メカニズムであると考えられる。さらに、該反応を繰り返すことでポリエステルが生成すると考えられる。なお本明細書においては、エステル結合を1つ形成する反応と、2個以上を形成する重合反応を総称して「反応」と記す。
<化合物(f)>
化合物(f)におけるRは、水素原子、ハロゲン原子、または反応に不活性である1価有機基を示し、少なくとも一方のRは反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。
Figure 2010059378
ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が好ましい。
反応に不活性である1価有機基としては、フッ素原子を含まない基と含フッ素の基が挙げられる。
反応に不活性であるフッ素原子を含まない1価有機基としては、炭素原子またはエーテル性酸素原子で結合する1価有機基であって反応する構造を持たない基が好ましく、炭素原子で結合する1価有機基であって反応する構造を持たない基が特に好ましい。該1価有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20のアルキル基、不飽和結合を有する炭素数1〜20の1価炭化水素基、ヒドロキシ基を持つ炭素数1〜20の1価炭化水素基、エステル基を持つ炭素数1〜20の1価炭化水素基が好ましい。これらの基の炭素数は1〜10が好ましい。さらに、該1価有機基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキレンオキシアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルキレンオキシベンジル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキレンオキシアシル基が特に好ましい。
反応に不活性である含フッ素1価有機基としては、炭素原子、またはエーテル性酸素原子で結合する基であって、反応する構造を持たない基がが好ましい。炭素数は1〜20が好ましく、特に1〜8が好ましい。含フッ素1価有機基としては、以下の基が好ましい。
−(CH(CFCF
−(CHO(CH(CFCF
−(CH
−(CHO(CH
−(CHO(CHOC
−(CHO(CFSOF。
ただし、kは0〜2の整数、好ましくは1〜2の整数を示す。mは0〜11の整数、好ましくは0〜6の整数を示す。nは0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数を示す。pは1〜8の整数、好ましくは2〜4の整数を示す。C部分はペンタフルオロフェニル基を示す。
化合物(f)としては、下記化合物(f1)がより好ましい。RF1は反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。反応に不活性である含フッ素1価有機基、および好ましい態様は上記と同義である。
Figure 2010059378
化合物(f)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
化合物(f)においては2つのRは共同で、反応に不活性である含フッ素2価有機基を形成していてもよい。Rが該含フッ素2価有機基を形成する場合の化合物(f)の例としては、シクロヘキセンオキシドのシクロヘキシル環にペルフルオロアルキル基、フッ素原子、ペンタフルオロフェニル基が結合した化合物が挙げられ、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
また該含フッ素2価有機基の他の例としては、2つのRが共同で橋かけ環構造を形成する例も挙げられる。橋かけ環構造としては、例えばノルボルネンのような多環式構造が挙げられる。2つのRが共同でノルボルネン構造を形成した場合の化合物(f)の具体例としては下記化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
<化合物(h)>
化合物(h)におけるRは、水素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子、または反応に不活性でありかつフッ素原子を含まない1価有機基を示す。
Figure 2010059378
フッ素原子以外のハロゲン原子としては、臭素原子およびヨウ素原子が好ましい。
反応に不活性でありかつフッ素原子を含まない1価有機基としては、化合物(f)において説明した基と同じ基が挙げられる。
化合物(h)としては、下記化合物(h1)がより好ましい。RH1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
Figure 2010059378
化合物(h)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
また、2つのRは共同で、反応に不活性であるフッ素原子を含まない2価有機基を形成していてもよい。かかる場合の化合物(h)としては下記化合物(1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、exo−2,3−エポキシノルボルネン)が挙げられる。
Figure 2010059378
<触媒>
(遷移金属カルボニル化合物)
本発明における触媒は遷移金属カルボニル化合物を必須とする。遷移金属カルボニル化合物とは、中心金属として遷移金属原子を有し、配位子としてカルボニル(CO)配位子を有する錯体からなる化合物をいう。
中心金属としては、コバルト、ロジウム、イジリウムが好ましい。遷移金属カルボニル化合物としては、Co(CO)、RCo(CO)(Rは水素原子、1価炭化水素基、またはアシル基を示す)、およびM[Co(CO)](Mはアルカリ金属イオン、または1価有機カチオンを示す)から選ばれるいずれか1種の化合物が好ましい。具体例としては、Co(CO)、HCo(CO)4、NaCo(CO)が挙げられる。
(含窒素有機化合物)
触媒系は、さらに含窒素有機化合物を含むのが好ましい。含窒素有機化合物を含む場合には、遷移金属カルボニル化合物を単独で用いるよりも、高分子量のポリマーを得ることができる。
含窒素有機化合物は、含窒素不飽和化合物が好ましく、含窒素複素環構造を有する化合物がより好ましい。
含窒素有機化合物の具体例としては、ピリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、3−ヒドロキシピリジン、下記化合物(A)(6,7-ジヒドロ-5,8-ジメチルジベンゾ[h,j][1,10]フェナントロリン)、および下記化合物(B)が挙げられる。
Figure 2010059378
(触媒中に含まれる他の化合物)
触媒系はさらに、他の化合物を含んでいてもよい。他の化合物としては、遷移金属カルボニル化合物と反応し、アルキル遷移金属化合物、アシル遷移金属化合物、もしくは遷移金属ヒドリド化合物を生成する化合物が挙げられる。他の化合物の具体例としては、ヨウ化メチル、ベンジルブロマイド、p−トルエンスルホン酸が挙げられる。
好ましい触媒系としては、遷移金属カルボニル化合物として二コバルトオクタカルボニル(Co(CO))を含み、含窒素有機化合物として化合物(A)を含み、さらに他の化合物としてベンジルブロマイドを含む触媒が好ましい。これにより、高分子量かつ位置規則的なポリマーを得ることができる。
(触媒中の成分の量比)
本発明の製造方法における触媒が、含窒素有機化合物を含む場合には、遷移金属カルボニル化合物に対して含窒素有機化合物を、0.1〜50倍モル用いるのが好ましく、0.5〜5倍モル用いるのが特に好ましい。
本発明の製造方法における触媒が、他の化合物を含む場合には、遷移金属カルボニル化合物に対して、0.1〜50倍モル用いるのが好ましく、0.5〜5倍モル用いるのが特に好ましい。
(触媒の使用量)
本発明の製造方法において、触媒は、化合物(f)および化合物(h)のエポキシ基の総量に対して、触媒の総モル量が0.001〜10モル%となるように用いるのが好ましく、0.01〜1モル%となるように用いるのが特に好ましい。
(一酸化炭素の量)
一酸化炭素の量は、CO分圧が0〜20MPa(絶対圧。以下同様。)となる量が好ましく、1MPa〜10MPaが特に好ましい。反応系中のCO濃度が高くなると、反応速度および分子量が大になる傾向がある。
<反応操作>
本発明の製造方法の好ましい態様としては、遷移金属カルボニル化合物を含む触媒、エポキシ基を有する原料化合物、および任意成分としての溶媒、を混合した後、一酸化炭素加圧下にて加熱する方法が挙げられる。
反応温度は、30〜200℃が好ましく、特に50〜150℃が特に好ましい。反応圧力は、0〜20MPa(ゲージ圧)が好ましい。反応に用いるエポキシ化合物が液体である場合には、該分圧となる一酸化炭素量が、反応に用いる一酸化炭素量になる。
溶媒は、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等が挙げられる。反応においては、溶媒を使用するのが好ましい。
<含フッ素エステル>
本発明の製造方法で得られる生成物は、化合物(f)と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させた場合には、繰り返し単位(F)からなる含フッ素エステルである。化合物(f)と化合物(h)と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させた場合には、繰り返し単位(F)および繰り返し単位(H)からなる含フッ素エステルである。繰り返し単位(F)および(H)は、上述した化合物(f)および(h)の反応により、それぞれ形成される。なお、繰り返し単位(F)における2つのR、繰り返し単位(H)における2つのRがそれぞれ異なる構造である場合、本明細書の式の表現においては、RおよびRの構造は特定されず、いずれの構造であってもよい。通常の場合において、2つの基の嵩高さが異なる場合には、通常、−C(O)O−の右側に結合する炭素原子に結合する基(RまたはR)が嵩高い基になる傾向がある。
Figure 2010059378
繰り返し単位(F)としては、化合物(f1)の反応により形成される、繰り返し単位(F1−a)および繰り返し単位(F1−b)が好ましい。中でも、耐熱性および耐塩基性の観点から(F1−b)が好ましい。
すなわち、本発明の方法は、化合物(f1)と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、繰り返し単位(F1−a)および繰り返し単位(F1−b)からなる含フッ素エステル、繰り返し単位(F1−a)からなる含フッ素エステル、または繰り返し単位(F1−b)からなる含フッ素エステルを得る方法であるのが好ましく、特に繰り返し単位(F1−b)からなる含フッ素エステルを得る方法であるのが好ましい。
Figure 2010059378
繰り返し単位(F)のうち、繰り返し単位(F1−a)の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。繰り返し単位(F1−b)の例としては、RF1の置換位置が異なる対応する化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
繰り返し単位(H)としては、化合物(h1)の反応により形成される、繰り返し単位(H1−a)および繰り返し単位(H1−b)が好ましい。なかでも、耐熱性・耐塩基性の観点から(H1−b)が好ましい。
Figure 2010059378
繰り返し単位(H)のうち繰り返し単位(H1−a)の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。繰り返し単位(H1−b)の具体例としては、RH1の置換位置の異なる対応する化合物が挙げられる。
Figure 2010059378
繰り返し単位としては(F1−b)や(H1−b)が好ましく、そのためには、触媒に窒素化合物を含むことが好ましい。かかる窒素化合物としては、ピリジンや化合物(A)が好ましい。
本発明の製造方法により得られる含フッ素エステルは、エステル結合を1つのみ含むモノエステルであっても、エステル結合を2以上含むポリエステルであってもよく、後者が有用性の観点において好ましい。すなわち、本発明の製造方法における反応は重合反応であるのが好ましく、得られる含フッ素エステルは含フッ素ポリエステルであるのが好ましい。
含フッ素ポリエステルの重量平均分子量は1×10〜1×10が好ましく、機械的強度の観点から、1×10〜1×10であるのが特に好ましい。含フッ素ポリエステルの分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比)は、1.0〜2.0であるのが好ましい。
含フッ素ポリエステルは、繰り返し単位(F)のみからなってもよく、繰り返し単位(F)と繰り返し単位(H)とを含んでもよい。後者の場合の含フッ素ポリエステルは、全繰り返し単位に対する繰り返し単位(F)の割合が0.1〜99.9モル%でありかつ繰り返し単位(H)の割合が99.9〜0.1モル%が好ましく、繰り返し単位(F)の割合が50〜99.9モル%でありかつ繰り返し単位(H)の割合が0.1〜50モル%がより好ましく、繰り返し単位(F)の割合が70〜99.5モル%でありかつかつ繰り返し単位(H)の割合が0.5〜30モル%が特に好ましい。
本発明で得られる含フッ素ポリエステルの特に好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。nは10〜1000である。
Figure 2010059378
[実施例1]
アルゴンガス雰囲気下、20mL容量のシュレンク管反応器に、3−(ペンタフルオロフェニル)プロピレンオキシド(0.50mL、3.3mmol)、ジコバルトオクタカルボニル(25mg、0.073mmol)、臭化ベンジル(8.7mL、0.073mmol)、6,7-ジヒドロ-5,8-ジメチルジベンゾ[h,j][1,10]フェナントロリン(23mg、0.073mmol)、ベンゼン(2.0mL)を入れ、凍結脱気をおこなった。
この溶液をアルゴン雰囲気下で耐圧反応容器に移し、一酸化炭素(6.0MPa)を圧入したのち、80℃で4時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈して分液ロートに移し、1M塩酸で洗浄した(5mL×2)。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過によって硫酸ナトリウムを分離し、濾液を濃縮して単黄色の固体を得た[540mg、収率66%,M=5800g/mol、分子量分布=1.12]。
重合体のNMRデータを以下に示す。ただし、NMRで測定するHとFの数は、絶対数ではなくHまたはFの比率を示す。
H NMR(溶媒:CDCl):δ(ppm)5.38(1H),3.08(1H),2.98(1H),2.50(2H),
19F NMR(溶媒:CDCl):δ(ppm)−142.8(2F),−155.8(1F),162.7(2F)
Figure 2010059378
生成物のNMRの解析結果から、生成した重合体は、繰り返し単位中の99モル%以上が上記式で表される繰り返し単位からなる重合体であることを確認し、下式で表される繰り返し単位を含まないか、含んでいたとしても1モル%以下であること確認した。
Figure 2010059378
本発明により得られる含フッ素エステルは、撥水撥油性、剥離性、離型性に優れており、撥水撥油性剤、離型剤、背面処理剤、離型紙用加工剤、アンチブロッキング剤として有用である。

Claims (10)

  1. 下式(f)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F)で表される繰り返し単位からなる含フッ素エステルを得る、または、
    下式(f)で表される化合物および下式(h)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F)で表される繰り返し単位および下式(H)で表される繰り返し単位からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
    Figure 2010059378
    ただし、
    式中の2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または反応に不活性である1価有機基を示し、少なくとも一方のRは反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。あるいは2つのRは共同で、反応に不活性である含フッ素2価有機基を形成していてもよい。
    式中の2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子、または反応に不活性でありかつフッ素原子を含まない1価有機基を示す。あるいは式中の2つのRは共同で、反応に不活性であるフッ素原子を含まない2価有機基を形成していてもよい。
  2. 下式(f1)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F1−a)で表される繰り返し単位および下式(F1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
    Figure 2010059378
    ただし、式中のRF1は、反応に不活性である含フッ素1価有機基を示す。
  3. 下式(f1)で表される化合物および下式(h1)で表される化合物と一酸化炭素とを、遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒の存在下に反応させることにより、下式(F1−a)で表される繰り返し単位および下式(F1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方、ならびに下式(H1−a)で表される繰り返し単位および下式(H1−b)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方、からなる含フッ素エステルを得ることを特徴とする含フッ素エステルの製造方法。
    Figure 2010059378
    ただし、式中、RF1は、反応に不活性である含フッ素1価有機基を示し、RH1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、RH1が水素原子である場合の式(H1−a)で表される繰り返し単位と式(H1−b)で表される繰り返し単位は同一である。
  4. 反応に不活性である含フッ素1価有機基が、
    −(CH(CFCF
    −(CHO(CH(CFCF
    −(CH
    −(CHO(CH
    −(CHO(CHOC、および
    −(CHO(CFSOFから選ばれる基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
    (ただし、kは0〜2の整数、mは0〜11の整数、nは0〜2の整数、pは1〜8の整数を示す。C部分はペンタフルオロフェニル基を示す。)
  5. 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と含窒素有機化合物とを含む触媒である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と、含窒素有機化合物と、ヨウ化メチル、ベンジルブロマイドおよびp−トルエンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む触媒である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 遷移金属カルボニル化合物を必須とする触媒が、遷移金属カルボニル化合物と、下式(A)で表される化合物と、ベンジルブロマイドとを含む触媒である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
    Figure 2010059378
  8. 遷移金属カルボニル化合物が、Co(CO)、RCo(CO)(Rは水素原子、1価炭化水素基、またはアシル基を示す)、およびM[Co(CO)](Mはアルカリ金属イオン、または1価有機カチオンを示す)から選ばれるいずれか1種の化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 反応が重合反応であり、含フッ素エステルがエステル結合を2以上有する含フッ素ポリエステルである請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 含フッ素エステルの重量平均分子量が、1×10〜1×10であり、分子量分布が1〜2である請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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