JP2010059007A - Re123系酸化物超電導体の製造方法およびre123系酸化物超電導体 - Google Patents

Re123系酸化物超電導体の製造方法およびre123系酸化物超電導体 Download PDF

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Abstract

【課題】REBaOとBa−Cu−O系混合原料との固液反応を用いることにより、RE123系酸化物超電導体を形成する方法は、低温で保持部材が金属シースの単芯線材または多芯線材を形成する方法であったが、臨界電流Icおよび臨界電流密度Jcの値が低く、しかもそれらの再現性に乏しいという課題があった。
【解決手段】少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を保持部材の内部に保持した状態で、混合原料を加熱することにより、REを含む複合相前駆体を形成する工程と、複合相前駆体を形成する工程を行なった後に保持部材の内部に保持された複合相前駆体を加圧することにより、複合相前駆体を緻密化する工程と、緻密化された複合相前駆体に、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行なう工程とを備える、RE123系酸化物超電導体の製造方法を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、REBaCu7−δ系酸化物超電導体(以下「RE123系酸化物超電導体」という)の製造方法およびRE123系酸化物超電導体に関するものであり、より特定的には、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を安定的に量産することができる製造方法および、上述した製造方法を用いて形成したRE123系酸化物超電導体に関するものである。なお、後述するようにここでREとは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYから選択される1種または2種以上の元素を意味する。
Bi(ビスマス)系およびRE123系の酸化物超電導体材料は、NbSn(ニオブ錫)などの金属超電導体材料に比べ、臨界温度(Tc)が高いので、電磁石用や、送電用の線材としての応用が大いに期待されている。
Bi系の酸化物超電導体材料は、たとえば特開平3−138820号公報(以下「特許文献1」という)において既に実用化の段階にあるが、C軸に平行に磁界を印加した場合、77K(液体窒素による冷却温度)での不可逆磁界(Birr)が0.5T以下と低い。このため、Bi系の酸化物超電導体材料を線材の材料として用いても、その用途は限定される。
一方、RE123系酸化物超電導体の材料は、Bi系の酸化物超電導体材料に比べて臨界電流密度(Jc)および不可逆磁界(Birr)が高いので、強磁場用の線材や、高圧送電用ケーブルの素線として大いに期待されている。
RE123系酸化物超電導体材料は、溶融成長法で配向結晶を得ることができるが、熱処理温度が1000℃以上と高い。このため従来、線材の材料に用いているAg(銀)シース材を用いることができない。Agの融点は約960℃であるためである。また、RE123系酸化物超電導体材料は、圧延などの機械的手法では結晶が配向しないうえに粒界結合が弱く、高い電流密度を得ることが困難である。そのためRE123系酸化物超電導体は、Bi系酸化物超電導体材料のようにAgシース材を用いてPIT法(Powder in Tube Method)で線材化しても、所望の電気特性が得られなかった(非特許文献1、参照)
そこで、たとえば特開平06−145977号公報(以下「特許文献2」という)に示すように、金属基材を用いて線材化する方法として、金属基材の上に配向性の中間層を設け、その上に、二軸配向性の超電導膜を形成する方法が開発された。しかし、これらの方法は、量産性およびコストの点で課題を抱えている。
このように、優れた超電導特性(高い臨界電流密度と高い不可逆磁界)を安定して備える長尺の形状をなすRE123系酸化物超電導線材、または超電導線材に用いる基礎材料としてのRE123系酸化物超電導線材の開発においては、解決すべき課題が今なお多く残っている。
しかし、RE123系酸化物超電導線材の開発は、強磁場用の線材や高圧送電用ケーブルの素線としての利用の観点だけでなく、省資源、省エネルギーを達成する観点からも、メリットが極めて大きい。現在、日米欧の三極において、超電導特性を高めるとともに、多芯線化にも容易に対応できるRE123系酸化物超電導線材の量産技術の開発競争が、激しく繰り広げられている。
最近、たとえば特開2006−310259号公報(以下「特許文献3」という)に示すように、REBaOとBa−Cu−O系原料とを用いた、プロセス低温化を実現したRE123系酸化物超電導体が開発された。具体的には、溶融成長法で液相にして配向結晶を得る代わりに、REBaOとBa−Cu−O系原料との固液反応を用いることにより、従来よりも低温で単芯線材または多芯線材の素線として使用しうるRE123系酸化物超電導体を形成する方法である。
特開平3−138820号公報 特開平06−145977号公報 特開2006−310259号公報
しかし、特許文献3に開示されているRE123系酸化物超電導体は、4端子測定による臨界電流Icが、77K、自己磁場下において最高の値でも16A程度である。また、臨界電流密度Jcは3000A/cm程度である。しかも、特性の再現性が不十分であった。このため、上述したRE123系酸化物超電導体の特性は、各種応用には不十分なものであった。
本発明は、以上の各問題に鑑みなされたものであり、その目的は、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を安定的に量産することができる製造方法および、上述した製造方法を用いて形成したRE123系酸化物超電導体を提供することである。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法は、少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を保持部材の内部に保持した状態で、混合原料を加熱することにより、REを含む複合相前駆体を形成する工程と、複合相前駆体を形成する工程を行なった後に保持部材の内部に保持された複合相前駆体を緻密化する工程と、酸素を含む雰囲気中で、上記複合相前駆体に熱処理を行なう工程とを備える、RE123系酸化物超電導体の製造方法である。ただし、ここでREは、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)およびY(イットリウム)から選択される1種または2種以上の元素である。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体とは、超電導線材を構成する単芯線材、または多芯線材の素線として使用しうる長尺のRE123系酸化物超電導体のことである。ここで長尺とは、一方向に延在する帯状または棒状の形状を指す。
先述した、REBaOとBa−Cu−O系原料とを用いた、プロセス低温化を実現したRE123系酸化物超電導体の製造方法において、RE123系酸化物超電導体の特性のさらなる向上および、当該特性の安定化を実現するために、当該プロセスを詳細に検討し、改良を試みた。
当該プロセスにて採用する2段階焼成プロセス(酸素を含む雰囲気中で複合相前駆体に熱処理を行なう工程)を実施する前に、少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を加熱する工程と、混合原料の加熱により形成されたREを含む複合相前駆体を加圧することにより緻密化(高密度化)する工程を実施する。このようにすれば、これらの工程に続く2段階焼成プロセスで得られる超電導体の特性を、たとえば先述した特許文献3に開示されているような、保持部材で保持した混合原料に減面加工を施すことのみによる混合原料を緻密化する工程を経て得られる超電導体の特性に比べて、安定的に著しく向上させることができる。
REBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を加熱することにより形成される、REを含む複合相前駆体が、REと、後の焼結のための加熱工程により液相となるBa−Cu−O(以下、「Ba−Cu−O」と表記する)とを主たる相として含んでいれば、この複合相前駆体を加圧して緻密化(高密度化)することができる。この結果、クラックの発生がなく、優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を再現性よく量産することができる。
なお、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、REBaOにおけるREは、Ho、Er、Yb、およびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが特に好ましい。これらのうちいずれを採用するかについては、所望の結晶配向性や超電導特性を考慮して選択される。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、混合原料には、15質量%以下のAg(銀)またはAg酸化物を含有させることが好ましい。Ba−Cu−O系原料は金属酸化物、または金属酸化物の化合物、または金属酸化物とその金属酸化物の化合物との両方を、所要の混合比で混合したものである。この混合原料に、15質量%以下のAgまたはAg酸化物を添加することにより、混合原料が融解し始める温度を低下させることができるため、プロセスの低温化を行なうことができる。
本発明のRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、上記複合相前駆体を形成する工程において、上記混合原料をREBaOが分解しREが形成される温度以上、REが消失しRE211が30質量%以上含まれる状態となる温度以下に加熱することが好ましい。なかでも特に、REがEr(エルビウム)の場合は、複合相前駆体を形成する工程において、混合原料を780℃以上810℃以下に加熱することが好ましい。この加熱温度が780℃未満であると、混合原料の一部をなすREBaOがREに分解せず、求める複合相前駆体を形成することができない。一方、この加熱温度が810℃を超えると、REを含む複合相前駆体の代わりに、REBaCuO(RE211)を主体とする相が形成される。このRE211相が形成されると、続く複合相前駆体を加圧することにより複合相前駆体を緻密化する工程において、混合原料(複合相前駆体)を充分に緻密化させることができない。したがって、複合相前駆体を形成する工程において、混合原料を780℃以上810℃以下に加熱することにより、続く複合相前駆体を緻密化する工程をスムーズに行なうことができる。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法において、特に、REがEr(エルビウム)の場合は、複合相前駆体を緻密化する工程においては、複合相前駆体を780℃以上810℃以下に加熱することが好ましい。さらに、複合相前駆体を緻密化する工程において、複合相前駆体が加圧される方向における保持部材の寸法は、複合相前駆体を緻密化する工程を行なう前と比べて、60%以上80%以下となるように圧縮されることが好ましい。また、この緻密化を行なう際に複合相前駆体を加圧するが、このとき保持部材に対して、10MPa以上であり、加圧装置の限界以下、たとえば100MPa以下の圧力を加えることが好ましい。複合相前駆体を緻密化する工程において、以上の各条件を採用することにより、REを含む複合相前駆体を適切に緻密化することができる。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、上記複合相前駆体に熱処理を行なう工程は、上記複合相前駆体が液相を5質量%以上含む、固相との共存状態となるよう複合相前駆体を加熱する工程と、複合相前駆体に対して結晶成長を行なう工程とを備える。より具体的には、REがErの場合、複合相前駆体を加熱する工程は、複合相前駆体を920℃以上940℃以下に加熱し、結晶成長を行なう工程においては複合相前駆体を820℃以上900℃以下に加熱することが好ましい。1段階目の加熱、すなわち複合相前駆体を920℃以上940℃以下に加熱する工程において、複合相前駆体中に液相を形成させる。その上で複合相前駆体を、1段階目の加熱よりも低い820℃以上900℃以下に加熱する工程を行なうことにより、固相と液相とが共存する状態で、低温での加熱により、複合相前駆体からRE123系酸化物超電導体を形成することが可能となる。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、REがErの場合に複合相前駆体を加熱する工程として複合相前駆体を920℃以上940℃以下に加熱する工程においては、複合相前駆体に対して300℃/h以上、そして熱処理装置の昇温速度限界であるたとえば10000℃/h以下の昇温速度にて加熱を行なうことが好ましい。300℃/h以上の昇温を行なえば、焼成後に形成されるRE123系酸化物超電導体において、RE211粒子の粗大化を抑制したり、低温での液相の生成を通じて結晶粒の配向性向上を実現し、優れた超電導特性が得られる。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、複合相前駆体を形成する工程と、複合相前駆体に熱処理を行なう工程とは、雰囲気ガス中の酸素の分圧を0.1kPa以上20kPa以下にして行なうことが好ましい。この酸素分圧の雰囲気中で熱処理を行なえば、より低温での加熱により、複合相前駆体を焼成し、RE123系酸化物超電導体を形成することができる。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、保持部材は一方向に延在する管状、帯状または棒状の形状を有し、複合相前駆体に熱処理を行なう工程を行なうことにより形成される、RE123系酸化物超電導体を含む導電層は、保持部材の延在方向に交差する断面において、保持部材と少なくとも一部の領域で接触していることが好ましい。特に、保持部材は金属材料で構成されたものであることが好ましい。なかでも特に、保持部材は線材として巻線加工が容易であるために金属材料で構成されたものであることが好ましい。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、金属材料は、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において、液相と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する金属材料であることが好ましい。保持材料を形成する金属材料が、化学的に活性な液相成分Ba−Cu−Oと反応するのであれば、形成される超電導体を変質させることがある。このため、超電導特性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、保持部材を形成する金属材料は、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において複合相前駆体のうち化学的に活性な液相成分と反応しないことが好ましい。また、RE123系酸化物超電導体の超電導特性を高めるために、複合相前駆体を形成する工程や、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において、雰囲気ガス中の酸素分圧を変更することで、複合相前駆体や超電導体中の酸素の割合を容易に制御可能とするため、保持部材が酸素を透過する性質を有することが好ましい。このような条件を満たす金属材料として、AgまたはAg基材料を用いることが好ましい。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、金属材料の表面の少なくとも一部が、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において複合相前駆体と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する金属を含む層で被覆されていることが好ましい。すなわち保持材料を形成する金属材料が、REを含む複合相前駆体のうち、化学的に活性な液相成分であるBa−Cu−Oと反応するのであれば、当該液相成分を加熱させることにより形成される超電導体を変質させることがある。このため、超電導特性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において保持部材を形成する金属材料の表面の少なくとも一部は、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において複合相前駆体のうち化学的に活性な液相成分と反応しないことが好ましい。
ここで上記保持材料を形成する金属を含む層とは、たとえばREを含む複合相前駆体のうち、化学的に活性な液相成分であるBa−Cu−Oと反応しない材料を含む中間層で被覆されているものが好ましい。ここで中間層とは、たとえば超電導体の結晶配向性を向上させる層、超電導体の歪みを緩和させる歪緩衝層、超電導体の拡散防止を行なう拡散防止層、超電導線材に流れる電流の、超電導線材の外部への漏洩を防止する電流漏洩防止層など、超電導特性の向上に資する機能を有する層が挙げられる。
以上のような、RE123系酸化物超電導体を含む導電層を保持する保持部材を形成する金属材料の少なくとも一部は、超電導体の超電導特性その他の各種特性を向上させるために超電導体を保持する役割を果たすことが好ましい。このような機能を果たすために、中間層はたとえばMgO(酸化マグネシウム)など、電気抵抗の高い金属酸化物または複合酸化物で構成されることが好ましい。
本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、導電層を構成するRE123系酸化物超電導体(REBaCu7−δ系酸化物超電導体)の粒径は、20μm以上60μm以下であることが好ましい。すなわち、導電層を構成する、先述した酸素を含む雰囲気中で、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において、RE123系酸化物超電導体の粒径が20μm以上60μm以下となるように、複合相前駆体を形成する工程および複合相前駆体を緻密化する工程を実施する。このようにすれば、緻密化させた複合相前駆体から導電層を構成させた際に、その超電導特性を向上させることができる。
さらに、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、REBaCu7−δ系酸化物超電導体は、分散された非超電導相を含有することが好ましい。すなわち、REBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を準備する際におけるこれらの原料の混合比と、Ba(バリウム)、Cu(銅)、O(酸素)の混合比(x、y、z)とを適宜選択することにより、非超電導相であるRE211相が分散したRE123系酸化物超電導体を生成させることが好ましい。ここで、上述したREBaOとBa−Cu−O系原料との混合比と、Ba(バリウム)、Cu(銅)、O(酸素)の混合比(x、y、z)との両方を適宜選択してもよいし、上述した各混合比のいずれかのみを適宜選択してもよい。
非超電導相であるRE211相は、超電導体の内部に侵入した磁束線を捕捉して固定(ピン止め)する機能を有する。このため、酸化物超電導体(RE123系酸化物超電導体を含む導電層)中に含まれる非超電導相は、酸化物超電導体に流れる超電導電流の磁場依存性を改善する役割を有する。
以上に述べた、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法を用いて形成した、RE123系酸化物超電導体は、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体となる。
以上の説明から明らかなように、本発明のRE123系酸化物超電導体の製造方法によれば、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を安定的に量産することができる。したがって、本発明のRE123系酸化物超電導体は、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるRE123系酸化物超電導体の製造方法の工程を示すフローチャートである。図1に示すように、まず混合原料を準備する工程(S10)を実施する。これは具体的には、RE123系酸化物超電導体を形成する原料となる、REBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を保持部材の内部に保持する工程である。続いて、複合相前駆体を形成する工程(S20)を実施する。これは具体的には、図1に示すように、混合原料を加熱する工程(S21)として、固相であるREBaOの粉末とBa−Cu−O系原料の粉末とを加熱することにより、REBaOを分解させて生じる固相成分のREと、液相成分のBa−Cu−Oとを主たる相として含んだ複合相前駆体を形成する工程である。次に、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)を実施する。これは具体的には、固相と液相との複合相前駆体が保持部材の内部に保持された状態で、複合相前駆体を加圧・圧延する工程(S31)を行なうことにより、固相と液相との複合相前駆体の密度を上げる(緻密化する)工程である。その上で、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)を行なう。これは緻密化された複合相前駆体を、酸素を含む雰囲気中で加熱を行ない焼成する工程である。具体的には、図1に示すように、複合相前駆体を加熱する工程(S41)と、結晶成長を行なう工程(S42)との2段階熱処理から構成される。
図1に示す製造方法を用いて製造したRE123系酸化物超電導体においては、混合原料を焼成する前にいったん工程(S20)において加熱して、混合原料を固相と液相との複合相前駆体にする。固相と液相との複合相前駆体にした上で工程(S30)にて加圧・圧延による緻密化を行なえば、複合相前駆体の組織を有効に緻密化できる。この結果、クラックの発生がなく、優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を再現性よく量産することができる。
図2は、超電導体に超電導電流を流した時の液体窒素温度における自己磁場下での臨界電流の変遷を示すグラフである。図2の横軸は、年数を示すものであり、約2年間の開発成果を示している。縦軸は、各時点において製造された超電導体に電流を流したときの液体窒素温度(77.3K)における自己磁場下での臨界電流値を示すものであり、4端子測定で測定したものである。なお、ここで自己磁場とは、自らの通常電流の作る磁場のみが印可された状態であり、厳密には地磁気も含むものである。
図1より、研究開発を開始した時期より約2年間において製造された超電導体においては、臨界電流Icの値が20A以下であった。しかし、研究開発を開始した時期より約2年後に、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造に関する研究開発が開始され、それ以降は臨界電流Icの値が飛躍的に向上し、最高で、150AのIcが得られている。この、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造が開始された後における臨界電流Icの値を示すデータについては、図2のグラフ中において点線で囲っている。
以上より本発明に係る、混合原料を焼成させる前に加熱により複合相前駆体を形成させる工程と、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)とを行なう製造方法を用いれば、形成されるRE123系酸化物超電導体を含む導電層を再現性よく、クラックの発生のない、優れた超電導特性を備える高品質なものとすることができる。
以下、上述した図1に示す製造方法の各工程について、より詳細に説明する。まず、混合原料を準備する工程(S10)において準備する、RE123系酸化物超電導体を形成するために混合させるREBaOとBa−Cu−O系原料は、後に複合相前駆体を形成する工程(S20)を実施することにより得られる複合相前駆体(複合相前駆体を緻密化する工程(S30)による圧延処理を行なう前の複合相前駆体)が、REと、液相成分のBa−Cu−Oとを主たる相として含むようにすることが好ましい。そのために用いる混合原料の、REBaOにおけるREとしては、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)およびY(イットリウム)から選択される1種または2種以上の元素であることが好ましい。なお、そのなかでもHo、Er、Yb、およびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが特に好ましい。これらのうちいずれを採用するかについては、所望の結晶配向性や超電導特性を考慮して選択される。
混合原料を準備する工程(S10)において準備する、上述したBa−Cu−O系原料は、たとえばCuOなどの金属酸化物、CuOの金属化合物であるBaCuOなどを所要の混合比となるように混合したものである。
Ba、Cu、Oの混合比(x、y、z)は、RE123系酸化物超電導体のたとえば組成、特性、組織などを考慮して、適宜選択できる。しかし、たとえば微量ではあるがCuOがAgに固溶することや、必要に応じ、適切量のRE211相(非超電導相)をRE123系酸化物結晶内に分散して生成させることなどを考慮すれば、(x、y、z)は、
2x≦y≦2.2xおよびz=x+y
を満たす範囲内で選択することがより好ましい。
REBaOとBa−Cu−O系原料との混合比および、Ba(バリウム)、Cu(銅)、O(酸素)の混合比(x、y、z)との両方を適宜選択してもよいし、上述した各混合比のいずれかのみを適宜選択してもよい。
超電導体中に侵入した磁束線を捕捉して固定(ピン止め)する機能を有する非超電導相(たとえばRE211相:REBaCuO)は、形成されたRE123系酸化物超電導体を含む導電層に流れる超電導電流の磁場依存性を改善する上で重要である。
ここで、混合原料を準備する工程(S10)においては、REBaOとBa−Cu−O系原料との混合原料を保持部材の内部に保持させる。この保持部材とは、RE123系酸化物超電導体の製造方法において形成される超電導線材全体の外枠を形成するためのものである。このため、超電導線材とは、保持部材の内部に、超電導電流を流すRE123系酸化物超電導体を含む導電層を含む構造体(超電導線材)を配置した構成になる。
保持部材は、特定の形状のものに限定されないし、また、保持部材が導電層を保持する態様も、特定の態様に限定されない。しかし、保持部材は超電導線材全体の外枠を形成するためのものであるため、その形状は長尺、すなわち一方向に延在する管状、帯状または棒状の形状をなすものであることが特に好ましい。この場合、保持部材の延在する方向に交差する(垂直な)断面において、保持部材は一部分で導電層と接触してもよいし、また、全周にわたり導電層と接触して導電層を保持してもよい。このようにすれば、保持部材による加工性の付与と、超電導体として使用した際の安定性向上を図ることができる。
長尺の形状を有する保持部材として、保持部材の延在方向に交差する断面における中心付近の領域が空洞となった管状の保持部材や、保持部材の延在方向に交差する断面がたとえば矩形状であり、当該断面における中心付近の領域が充填されている帯状の保持部材を用いることができる。より具体的には、管状の保持部材として、保持部材の延在方向に交差する断面の形状が円環状である円管状閉断面または、当該断面の形状が矩形状であり、縦横比が大きく扁平形状となった扁平矩形状閉断面を有する管状の保持部材を用いることが好ましい。
以上より、保持部材としては金属などの電気の良伝導体を用いることが好ましい。また、加工性に優れた材料という点からも、保持部材の材料として金属材料を用いることが好ましい。中でも、熱処理を行なう工程において複合相前駆体と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する金属材料であることが好ましい。このため、保持部材の材料としてはAgまたはAg基材料を用いることが好ましい。
また、保持部材に用いる金属材料は、熱処理を行なう工程において、複合相前駆体のうちの液相と反応せず、かつ後の工程にて複合相前駆体に酸素を付加する酸素付加処理を行なう際に酸素を透過する性質を有する金属材料であることが好ましい。AgまたはAg基材料は、この点を考慮しても保持部材に用いる好ましい金属材料である。
また、保持部材を構成するAgなどの金属材料の表面の少なくとも一部が、複合相前駆体に熱処理を行なう工程において複合相前駆体と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する金属を含む層で被覆されていることが好ましい。ここで金属を含む層とは、たとえばREを含む複合相前駆体のうち、化学的に活性な液相成分であるBa−Cu−Oと反応しない材料を含む中間層で被覆されているものが好ましい。中間層とはたとえば超電導体の結晶配向性を向上させる層、超電導体の歪みを緩和させる歪緩衝層、超電導体の拡散防止を行なう拡散防止層、超電導線材に流れる電流の、超電導線材の外部への漏洩を防止する電流漏洩防止層など、超電導特性の向上に資する機能を有する中間層が挙げられる。たとえば中間層として上述した超電導体の結晶配向性を向上させる層を用いることにより、溶融成長法で液相にして配向結晶を得る代わりに、REBaOとBa−Cu−O系原料との固液反応を用いる、本発明に係る製造方法においても、良好な配向結晶を得ることができる。また、この中間層は複合相前駆体と反応しないため、加熱処理を行なった際に複合相前駆体と中間層とが反応を起こすことを抑制することができる。
以上のような、RE123系酸化物超電導体を含む導電層を保持する保持部材を形成する金属材料の少なくとも一部は、超電導体の超電導特性その他の各種特性を向上させるために超電導体を保持する役割を果たすことが好ましい。このような機能を果たすために、中間層はたとえばMgO(酸化マグネシウム)などの、電気抵抗の高い金属酸化物または複合酸化物で構成されることが好ましい。
しかし、保持部材としてたとえばAgを用いた場合、Agの融点は約960℃であり、従来超電導体の混合原料を焼結させるために加熱させていた温度よりも低い。したがって、Agの融点よりも低い温度で保持部材の内部の混合原料に対して反応や焼成などの処理を行なうことが好ましい。このため、混合原料には15質量%以下のAgまたはAg酸化物を添加することが好ましい。その中でも特に、AgまたはAg酸化物を添加する量は、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。このことにより、後の複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)において液相が生成し始める温度を低温化させることができる。
次に、複合相前駆体を形成する工程(S20)について説明する。この工程においては、先述したように混合原料を加熱する工程(S21)を行なう。ここで図3は、本発明の実施の形態におけるRE123系酸化物超電導体の製造方法の各工程における加熱温度を示すグラフである。図3のグラフにおいて横軸は時間(工程の経過)を表わし、縦軸は加熱温度を表わす。図3に縦点線で横軸を分割して示すように、複合相前駆体を形成する工程(S20)における混合原料を加熱する工程(S21)と、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)において図3に示すように加熱を行なう。
上述したように、複合相前駆体を形成する工程(S20)とは、図1に示すように、混合原料を加熱する工程(S21)として、固相であるREBaOの粉末とBa−Cu−O系原料の粉末とを加熱することにより、REBaOを分解させて生じる、続く当該原料を焼成する複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)において固相成分となるREと、液相成分となるBa−Cu−Oとを主たる相として含んだ複合相前駆体を形成する工程である。工程(S20)においては、REとBa−Cu−Oとを形成し、加熱を行なう必要がある。これに対して、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)とは、Ba−Cu−Oを加熱により液相として溶融させた状態で複合相前駆体を焼結してRE123系酸化物超電導体を形成する工程である。したがって、図3に示すように、複合相前駆体を形成する工程(S20)における加熱温度は、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)における加熱温度よりも低い。また、図3に示すように複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)においては、工程(S20)においてREBaOを分解して生じるBa−Cu−Oを加熱して液相成分とする1段階目の加熱(図1における複合相前駆体を加熱する工程(S41))と、固相成分のREと、液相成分のBa−Cu−Oとを主たる相として含んだ複合相前駆体を結晶成長させる2段階目の加熱(図1における結晶成長を行なう工程(S42))とからなる、複合相前駆体に対する急加熱を伴った2段階熱処理(2段階焼成プロセス)とすることが好ましい。
複合相前駆体を形成する工程(S20)における混合原料を加熱する工程(S21)においては、少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを混合した混合原料を、保持部材の内部に保持し、保持部材とともに、Ba−Cu−O系原料を加熱する。このとき上述したように、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)における加熱温度よりも低い温度に加熱して行なうが、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)において液相となるBa−Cu−Oの融点の直下近傍の温度に加熱して、Ba−Cu−Oが液相とならないように加熱することが好ましい。このことにより、混合原料はBa−Cu−Oが固相のままBax’−Cuy’−Oz’系化合物となったものと、残部である固相のREとからなる複合相前駆体を形成する。このとき、酸素を含む雰囲気中で加熱することが好ましい。さらには、酸素を0.5%以上2%以下、より好ましくは酸素を1%程度含む不活性気体の雰囲気中で加熱することが好ましい。このようにすれば、微細なREが生成し、最終的なRE211がより微細にRE123系酸化物超電導体中に分散した組織が実現し、超電導特性を高めるという効果を奏する。
具体的には、複合相前駆体を形成する工程(S20)では、REBaOが分解してREが生成する温度以上であり、生成したREが消失しRE211が30質量%以上含まれる状態となる温度以下に加熱することが好ましい。これは、REがEr(エルビウム)の場合、REBaOの粉末とBa−Cu−O系原料の粉末との混合原料を780℃以上810℃以下の温度で20分以上40分以下の時間加熱することが好ましい。なお、そのなかでも、790℃以上805℃以下とすることがさらに好ましい。
図4は、複合相前駆体を形成する工程における加熱処理を行なった複合相前駆体(圧延処理を行なう前の前駆体)のX線回折結果を示すグラフである。これらはREBaOの粉末のREとして、Er(エルビウム)を用いている。すなわち、ErBaOの粉末とBa−Cu−O系原料の粉末との混合原料を加熱することにより分析を行なっている。
また、図4においては各グラフの右上に、それぞれのグラフを検出する際の複合相前駆体の加熱温度を示しており、ここでは800℃から900℃まで、20℃刻みに加熱した後、急冷している。加熱時間はいずれも30分である。各グラフの横軸はブラッグの反射条件の視斜角を表わしており、各グラフの縦軸はそれぞれの視斜角に対するX線の回折強度を表わしている。また、いずれのグラフも、アルゴン中に1%の酸素を含む低酸素雰囲気下にて加熱を行なった結果を示している。
図4の各グラフより、800℃で加熱を行なったグラフにおいて、2θ=30°あたりに、Er210(ErBaO)が分解して生成されたErのピークが出現している。また、液相となりうるBa−Cu−O系原料も発生している。このErは、複合相前駆体を形成する工程(S20)に続く複合相前駆体を緻密化する工程(S30)において、複合相前駆体を高密度化させ、超電導特性を向上させる物質である。しかし、820℃以上に加熱したいずれのグラフにおいても、Erのピークは発生しておらず、代わりにたとえば820℃のグラフにおいては、2θ=30°あたりに、ErBaCuOを主体とするEr211相が形成されたことを示すピークが示されている。また、2θ=32°あたりに、Er123の生成を示すピークも表れている。このEr211相が形成されると、続く複合相前駆体を加圧することにより複合相前駆体を緻密化する工程(S30)において、混合原料(複合相前駆体)を充分に緻密化させることができない。逆に、図4には800℃以下で加熱を行なった場合のグラフが掲載されていないが、加熱温度が780℃未満であると、混合原料の1つであるErBaOが分解せず、微細なErが生成されない。
したがって、複合相前駆体を形成する工程において、混合原料を780℃以上810℃以下に加熱すれば、Erをスムーズに生成させることができるため、続く複合相前駆体を緻密化する工程(S30)をスムーズに行なうことができる。なお、グラフのピークにおいて随所に「L」と表示されているのは、Ba−Cu−O系液相成分を意味する。
図5は、アルゴン中に1%の酸素を含む低酸素雰囲気下にて、加熱処理を施した後に急冷したEr系超電導前駆体のSEMによる微細構造観察の結果を示す画像である。図5中の随所に存在する白い微細な粒は、Er210(ErBaO)が分解してできたErであり、黒い部分は分解してできたBa−Cu−O系液相成分である。すなわち、Erが、Ba−Cu−O系原料中に一様に微細分散した組織となっていることがわかる。
次に、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)について説明する。この工程は、先の工程(S20)にて形成した複合相前駆体に圧延処理を施して緻密化する工程である。この緻密化処理においては、たとえばREがErの場合は、複合相前駆体を780℃以上810℃以下に加熱することが好ましい。また、この工程に含まれる複合相前駆体を加圧する工程(S31)において、複合相前駆体が加圧される方向における保持部材の寸法は、複合相前駆体を緻密化する工程を行なう前と比べて、60%以上80%以下となるように圧縮されることが好ましい。複合相前駆体が加圧される方向における保持部材の寸法が、加圧される前の寸法に対して減少する割合を圧下率と呼ぶ。したがって、緻密化処理において、保持部材は圧下率が20%以上40%以下圧縮されることが好ましい。その中でも、保持部材は圧下率が27%以上33%以下で圧縮されることがさらに好ましい。また、この緻密化を行なう際に等方高圧力を用いてもよい。複合相前駆体(保持部材)に対して加える圧力は、10MPa以上で加圧装置の限界以下、たとえば100MPa以下であることが好ましい。ここで複合相前駆体(保持部材)に対して加える圧力を圧下力と呼ぶ。したがって、緻密化処理における圧下力は、10MPa以上100MPa以下であることが好ましい。
複合相前駆体を緻密化する工程において、以上の各条件を採用することにより、たとえばErを含む複合相前駆体を適切に緻密化し、最終的にクラック等の欠陥を生じないように、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)の前の前駆体を高密度化することができる。
これらの複合相前駆体を形成する工程(S20)および複合相前駆体を緻密化する工程(S30)を行なうことにより、複合相前駆体を形成する工程(S20)において形成されるたとえばErと液相成分のBa−Cu−O系原料とを主たる相として含ませる。このようにすれば、工程(S30)による材料の緻密化(高密度化)が、前駆体(複合相前駆体)を形成する組織に有効に作用する。すなわち工程(S20)および工程(S30)は、これらに続く複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)において最終的に形成される、たとえばEr123(ErBaCu7−δ)系酸化物超電導体の超電導特性を著しく向上させる作用をなすものである。
最後に複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)について詳細に説明する。熱処理により、たとえばEr123系酸化物超電導体を形成する複合相前駆体を加熱すれば、固相と液相とが共存した状態で、固液反応を起こすことができる。ところがEr123系酸化物超電導体そのものを分解溶融させるには、たとえば保持部材をなすAgの融点(960℃)以上の温度に昇温しなければならない。保持部材であるAgを溶融させずに前駆体を溶解させることが好ましいため、工程(S40)においては次のような方法をとる。
ここで図6は、REBaO(RE210)とBa−Cu−O系原料とを混合し、加熱したときの固相−液相反応に係る示差熱分析曲線である。図6において、横軸は混合原料の加熱温度、縦軸は原料の発熱ないし吸熱の度合いを示すパラメータである。REBaO(RE210)とBa−Cu−O系原料との混合原料を加熱、昇温した場合、図6に示すように、温度が上昇する過程で2つの吸熱ピークP1およびP2が現れる。この示差熱分析曲線と、図4に示す高温から急冷したEr系試料におけるX線回折結果とを照合すると、次のことがいえる。
まず、図6に示す示差熱分析曲線における低温側の吸熱ピークP1は、吸熱ピークが現れ始める温度、すなわち吸熱反応が起こり始める温度(以下「P1温度」という)であって、上述した液相成分となりうるBa−Cu−O系原料が溶解し始める温度である。図6に示すP1温度は約840℃であるが、P1温度の直下近傍の温度(たとえばREがErの場合、800℃を中心とする温度)で、REBaO(RE210)が分解する。したがって、先述したように、複合相前駆体を形成する工程(S20)においては、780℃以上810℃以下に加熱することが好ましく、このようにすれば、REBaO(RE210)が分解してREとBa−Cu−Oとが形成される。
また、P1温度(図6においては約840℃であるが、REがErの場合は約820℃)以上では、溶解して液相となったBa−Cu−O系原料を介し、非超電導相であるRE211および、RE123系酸化物(REBaCu7−δ系酸化物)が生成される。
示差熱分析曲線における高温側の吸熱ピークP2は、吸熱ピークが現れ始める温度、すなわち吸熱反応が起こり始める温度(以下「P2温度」という)で、生成した上記RE123系酸化物(REBaCu7−δ系酸化物)が分解し、溶融し始める温度である。
以上より、先述した複合相前駆体を形成する工程(S20)において混合原料をP1温度の直下近傍の温度である780℃以上810℃以下に加熱し、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)においては780℃以上810℃以下に加熱することにより、REを微細に分解形成することができ、また、REを加熱により好適に緻密化することができる。さらに、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)にて高密度に複合相前駆体を緻密化しておけば、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)においては、P2温度よりも低い温度においてもP1温度以上であれば、RE123系酸化物は液相Ba−Cu−O系原料を介した状態となる。このため、工程(S40)においては複合相を、P2温度より低い温度であってもP1温度以上に上げれば、焼成によりクラック等の欠陥のない配向性のよい良好な組織を得ることができる。以上の工程により、最終的に、超電導特性が優れた均一な矩形状(板状)で長尺のRE123系酸化物超電導体を形成することができる。
ここで、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)における加熱により、効率的に液相を得るために、図3に示すように2段階熱処理を行なう。1段階目は保持部材であるたとえばAgが溶融しない程度の高い温度(たとえばREがErの場合は920℃以上940℃以下)に加熱する。(図1における複合相前駆体を加熱する工程(S41))このようにすれば、熱処理を行なう前に複合相前駆体中には、固液反応により液相を確実に生じさせることができる。そして1段階目の加熱にて液相をたとえば5質量%以上得た状態にて、2段階目の加熱は1段階目の加熱よりも低温にて(たとえばREがErの場合は820℃以上900℃以下)超電導体の結晶成長を行なう。(図1における結晶成長を行なう工程(S42))このようにすれば、生成したRE123系酸化物超電導体の導電層が溶解することを抑制でき、優れた超電導特性を備える超電導体を形成することができる。
なお、たとえばREがErの場合は、複合相前駆体を920℃以上940℃以下に加熱する工程においては、複合相前駆体に対して300℃/h以上、熱処理装置の昇温速度の限界であるたとえば10000℃/h以下の昇温速度にて加熱を行なうことが好ましい。このように加熱すれば、超電導特性を阻害する相の生成や、粒の粗大化を抑制することができる。なお、そのなかでも、昇温速度は1000℃/h以上であることがより好ましい。
また、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法においては、複合相前駆体を形成する工程(S20)と、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)とは、雰囲気ガス中の酸素の分圧を0.1kPa以上20kPa以下にして行なうことが好ましい。このような酸素分圧の反応雰囲気中で熱処理を行なえば低温で、複合相前駆体を焼成して、RE123系酸化物超電導体を形成することが可能となる。なお、そのなかでも、雰囲気ガス中の酸素の分圧を0.5kPa以上2kPa以下とすることがさらに好ましい。
続いて、以上の各工程(S10)〜工程(S40)を備える、RE123系酸化物超電導体の製造方法を用いて得られたRE123系酸化物超電導体の超電導特性について説明する。図7(A)は、従来からの製造方法による超電導体の超電導特性を、磁気光学効果を用いて測定した画像である。また、図7(B)は、本発明に係る製造方法による超電導体との超電導特性を、磁気光学効果を用いて測定した画像である。図7(A)は、たとえば特許文献3に開示されているように、少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料をそのまま保持部材の内部に保持したものを減面加工した上で、本発明の先述した工程(S40)と同様にRE123系酸化物超電導体を2段階に加熱することにより導電層を形成させたものである。これに対し、図7(B)は、本発明に係る、先述した工程(S10)から工程(S40)の手順により導電層を形成したものである。また、図7(A)および図7(B)に示すように、これらの超電導体は40Kにて測定した状態を示すものである。
図7(A)および図7(B)において白い部分は、所定の温度(40K)および外磁場((A)においては4kOe(318kA/m)、(B)においては6kOe(477kA/m))の下で磁束が超電導線材の導電層の内部に侵入した弱結合部分を示している。このため、図7(A)および図7(B)においては磁束が導電層の内部に侵入した白い部分がより少ない方が好ましい。
図7(A)に示す従来からの製造方法による超電導体においては、至るところから磁束が侵入している。これは、導電層の緻密化が十分に行なわれておらず、超電導特性が安定しない超電導体が形成されていることを表わす。これに対して、図7(B)に示す本発明に係る製造方法による超電導体においては、少なくとも数mmにわたって、弱結合部分が確認されない。これは、本発明に係る製造方法による導電層においては、導電層の緻密化が十分に行なわれており、優れた超電導特性が得られていることが示されている。
なお、より優れた超電導特性を安定的に確保するためには、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法において形成される、導電層を構成するREBaCu7−δ系酸化物超電導体の粒径は20μm以上60μm以下となるようにすることがより好ましい。なお、ここで粒径とは、形成された超電導体の導電層を形成する、粒状組織の大きさを表わすものであり、個々の粒状組織のうち寸法が最大の部分の数値を粒径と定義する。
次に、図8は、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の電流−電圧特性を測定した結果を示すグラフである。図8において縦軸は印加された電圧(×10−6V)であり、横軸は検出された臨界電流値(A)を示す。
図8に示すデータを検出した超電導線材は、本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法を用いて形成させたものである。先述した混合原料を準備する工程(S10)として、Er210(ErBaO)とBa−Cu−O系原料(BaCu相とCuO相との混合物)との混合原料を用いている。この際カチオンの混合比がEr:Ba:Cu=1.2:2:3のEr過剰組成からなるよう調整を行なった。RE211相は、先述したように、複合相前駆体を形成する工程(S20)において形成されると、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)において、複合相前駆体を緻密化する場合に支障をきたす。しかし、RE123系酸化物超電導体は、高特性化のためには微細分散された非超電導相を含有することが好ましい。このため、上述したようにEr211相を生じるべく混合原料の組成をEr過剰組成に調整している。
以上のように準備した混合原料を、1%の酸素を含む雰囲気中で、複合相前駆体を形成する工程(S20)として、800℃、30分の加熱処理を行なう。その後、複合相前駆体を緻密化する工程(S30)として、圧下率が29%の圧延処理を施し、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)にて複合相前駆体を925℃で10分間、および875℃で25時間の2段階焼成プロセスを実施している。以上の手順により、図8に示すデータを検出した超電導線材を形成している。
図8のデータに示す超電導線材は、長尺の形状をなす保持部材の延在方向に交差する断面が、幅が4mm、厚みが0.3mmの矩形の形状をなす超電導線材である。図8に示す測定結果は、印加した電圧が1×10−6Vで、超電導線材の温度が77Kのときに、臨界電流Ic=150Aを示している。これは、超電導線材の断面の単位幅あたり375A/cm、臨界電流密度Jcで48kA/cmであり、従来法のY系Agシース線材の臨界電流値の約10倍である。
以上に述べた本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法を用いることにより、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を安定的に、すなわち再現性よく量産することができる。このRE123系酸化物超電導体は長尺の形状を有する、単芯線材または多芯線材の素線として使用しうるものであり、たとえば強磁場発生装置や、高電圧送電のほか、省資源、省エネルギー等へ幅広く利用されうるものである。
以上に述べた本発明に係るRE123系酸化物超電導体の製造方法を用いた実施例について、以下に説明する。
まず、上述した混合原料を準備する工程(S10)として、粒径が1〜5μmであるErBaOの粉末と、Ba−Cu−O系原料(BaCuOとCuOとの混合粉末)とを、カチオンの混合比がEr:Ba:Cu=1.2:2:3のEr過剰組成になるよう混合して混合原料を得た。この混合原料を10時間、ボールミルを用いて粉砕した。この粉砕した、粒径が約0.05μmの混合原料を、長尺の形状で延在方向に交差する断面が矩形状で、帯状の形状であるAg基板の表面上に保持した。そして、上述した複合相前駆体を形成する工程(S20)として、これを1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中で、800℃にて30分間加熱することにより試料を作製した。
作製した試料に対してX線回折を行ない、試料中の主たる結晶相がErであることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により、上述した結晶相が微細に一様に分散していることを確認した。
次に、上述した複合相前駆体を緻密化する工程(S30)として、当該試料に、常温常圧下で、圧下率29%で加圧処理を施し、高密度な前駆体(複合相前駆体)を作製した。
そして、上述した複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)として、当該前駆体を、1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中にて、2段階熱処理を行なった。具体的には925℃で10分間、および875℃で25時間の2段階焼成プロセスを実施した。以上により、RE123系酸化物超電導体である、ErBaCu7−δ超電導体を形成した。
得られたErBaCu7−δ超電導体に対して、超電導特性を向上させるべく、酸素気流中にて、600℃から450℃まで、36時間かけて酸素付加処理を施した。酸素付加処理を施したErBaCu7−δ超電導体の超電導特性を、超電導量子干渉型磁束計(SQUID)で測定した。その結果、超電導転移温度:Tcは約92Kであった。
実施例2においては、実施例1で用いた混合原料と同様の混合原料を、外径が6mmのペレット状に1軸成型した。そして、長尺形状の延在方向に交差する断面が円形で内径6mm、外径10mmの中空の管状となった、保持部材としての
Ag製の管に上述した外径が6mmのペレットを保持した。その後、ペレットを内部に保持したAg製の管に対して減面加工を施し、長尺形状の延在方向に交差する断面が幅3mm、厚みが1mmの矩形状の帯状線材となるようにした。
この帯状線材に対して、上述した複合相前駆体を形成する工程(S20)として、1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中にて、800℃で30分間、加熱処理を行なった後、上述した複合相前駆体を緻密化する工程(S30)として、常温常圧下にて、圧下率30%となるよう圧延処理を行なった。この工程(S30)により、高密度な超電導線材の導電層の前駆体を形成した。
次に、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)として、当該前駆体を、1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中にて、2段階熱処理を行なった。具体的には925℃で10分間、および875℃で25時間の2段階焼成プロセスを実施した。次いで、2段階焼成プロセスを行なった超電導線材から、延在方向の長さ100mm分の線材試料を切り取り、これを酸素気流中で、700℃から450℃まで、36時間かけて徐冷することにより、超電導線材の導電層に対する酸素付加処理を行なった。以上の手順により形成した超電導線材試料の臨界電流特性を、4端子法を用いて測定した。その結果、77Kにおける臨界電流は30Aであり、臨界電流密度は48kA/cmであった。
実施例3においては、実施例1で用いた混合原料と同様の混合原料に、AgO(酸化銀)を添加することにより、混合原料全体の4質量%分のAgを添加した。このAgを添加した混合原料全体を4時間粉砕した。その後、長尺形状の延在方向に交差する断面が円形で内径6mm、外径10mmの中空の管状である、延在方向の長さが20cmの、保持部材としてのAg製の管の内部に、上述した混合原料を保持した状態で、保持部材の長尺形状の延在方向に交差する断面が幅4mmで厚みが0.3mmの矩形状となるように減面加工を行なった。このようにして、平板状Agシース超電導線材を形成した。
上述した超電導線材に対して、上述した複合相前駆体を形成する工程(S20)として、1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中にて、800℃で30分間、加熱処理を行なった後、上述した複合相前駆体を緻密化する工程(S30)として、常温常圧下にて、圧下率30%となるよう加圧を行なった。この工程(S30)により、高密度な超電導線材の導電層の前駆体を形成した。
次に、複合相前駆体に熱処理を行なう工程(S40)として、当該前駆体を、1%の酸素を含むアルゴン雰囲気中にて、2段階焼成プロセスを行なった。具体的には925℃で10分間、および875℃で25時間の2段階焼成プロセスを実施した。次いで、2段階焼成プロセスを行なった超電導線材から、延在方向の長さ100mm分の線材試料を切り取り、これを酸素気流中で、700℃から450℃まで、36時間かけて徐冷することにより、超電導線材の導電層に対する酸素付加処理を行なった。以上の手順により形成した超電導線材試料の臨界電流特性を、4端子法を用いて測定した。その結果、77Kにおける臨界電流は150Aであり、臨界電流密度は48A/cmであった。
今回開示された実施の形態および各実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を安定的に量産することができる製造方法および、液体窒素温度において優れた超電導特性を備える高品質なRE123系酸化物超電導体を提供する技術として、特に優れている。
本発明の実施の形態におけるRE123系酸化物超電導体の製造方法の工程を示すフローチャートである。 超電導体に超電導電流を流した時の液体窒素温度における自己磁場下での臨界電流の変遷を示すグラフである。 本発明の実施の形態におけるRE123系酸化物超電導体の製造方法の各工程における加熱温度を示すグラフである。 複合相前駆体を形成する工程における加熱処理を行なった複合相前駆体(圧延処理を行なう前の前駆体)のX線回折結果を示すグラフである。 アルゴン中に1%の酸素を含む低酸素雰囲気下にて、加熱処理を施した後に急冷したEr系超電導前駆体のSEMによる微細構造観察の結果を示す画像である。 REBaO(RE210)とBa−Cu−O系原料とを混合し、加熱したときの固相−液相反応に係る示差熱分析曲線である。 (A)従来からの製造方法による超電導体の超電導特性を、磁気光学効果を用いて測定した画像である。(B)本発明に係る製造方法による超電導体との超電導特性を、磁気光学効果を用いて測定した画像である。 本発明に係るRE123系酸化物超電導体の電流−電圧特性を測定した結果を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 少なくともREBaOとBa−Cu−O系原料とを含む混合原料を保持部材の内部に保持した状態で、前記混合原料を加熱することにより、REを含む複合相前駆体を形成する工程と、
    前記複合相前駆体を形成する工程を行なった後に前記保持部材の内部に保持された前記複合相前駆体を緻密化する工程と、
    酸素を含む雰囲気中で、前記複合相前駆体に熱処理を行なう工程とを備える、RE123系酸化物超電導体の製造方法。
    ただし、REは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYから選択される1種または2種以上の元素。
  2. 前記REBaOにおけるREは、Ho、Er、Yb、およびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素である、請求項1に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  3. 前記混合原料は、15質量%以下の銀または銀酸化物を含有する、請求項1または2に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  4. 前記複合相前駆体を形成する工程において、前記混合原料をREBaOが分解しREが形成される温度以上、REが消失しRE211が30質量%以上含まれる状態となる温度以下に加熱する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  5. 前記REはErであり、前記複合相前駆体を形成する工程において、前記混合原料を780℃以上810℃以下に加熱する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  6. 前記REはErであり、前記複合相前駆体を緻密化する工程において、前記複合相前駆体を780℃以上810℃以下に加熱する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  7. 前記複合相前駆体を緻密化する工程において、前記複合相前駆体が加圧される方向における前記保持部材の寸法が、前記複合相前駆体を緻密化する工程を行なう前と比べて、60%以上80%以下となるように圧縮される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  8. 前記複合相前駆体を緻密化する工程においては、前記保持部材に対して、10MPa以上100MPa以下の圧力を加える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  9. 前記複合相前駆体に熱処理を行なう工程は、前記複合相前駆体が液相を5質量%以上含む、固相との共存状態となるよう前記複合相前駆体を加熱する工程と、前記複合相前駆体に対して結晶成長を行なう工程とを備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  10. 前記REはErであり、前記複合相前駆体を加熱する工程においては前記複合相前駆体を920℃以上940℃以下に加熱し、前記結晶成長を行なう工程においては前記複合相前駆体を820℃以上900℃以下に加熱する、請求項9に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  11. 前記REはErであり、前記複合相前駆体を加熱する工程においては、前記複合相前駆体に対して300℃/h以上10000℃/h以下の昇温速度にて加熱を行なう、請求項9または10に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  12. 前記複合相前駆体を形成する工程と、前記熱処理を行なう工程とは、雰囲気ガス中の酸素の分圧を0.1kPa以上20kPa以下にして行なう、請求項1〜11のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  13. 前記保持部材は一方向に延在する管状、帯状または棒状の形状を有し、
    前記複合相前駆体に前記熱処理を行なう工程を行なうことにより形成される、前記RE123系酸化物超電導体を含む導電層は、前記保持部材の延在方向に交差する断面において、前記保持部材と少なくとも一部の領域で接触している、請求項1〜12のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  14. 前記保持部材は金属材料で構成されたものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  15. 前記金属材料は、前記複合相前駆体に熱処理を行なう工程において、液相と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する、請求項14に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  16. 前記金属材料の表面の少なくとも一部が、前記複合相前駆体に熱処理を行なう工程において前記複合相前駆体と反応せず、かつ酸素を透過する性質を有する金属を含む層で被覆されている、請求項12または13に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  17. 前記導電層を構成するREBaCu7−δ系酸化物超電導体の粒径が、20μm以上60μm以下である、請求項13〜16のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  18. 前記REBaCu7−δ系酸化物超電導体は、分散された非超電導相を含有する、請求項15に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載のRE123系酸化物超電導体の製造方法を用いて形成した、RE123系酸化物超電導体。
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