JP2010057093A - スピーカー振動板およびこれを用いた動電型スピーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明なガラスのスピーカー振動板であって、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカー振動板および動電型スピーカーを提供する。
【解決手段】 透明なガラスを基材とするスピーカー振動板であって、ガラスが、少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料とする耐熱ガラスであり、凹面とその反対側の凸面とを含む略球殻状の透明振動板部を備える。好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、透明振動板部の凹面または凸面が、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定されるとともに、透明振動板部の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲でほぼ均一に形成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、透明なガラスのスピーカー振動板およびこれを用いたスピーカーに関し、特に、基材が耐熱ガラスであり、凹面と凸面を含む略球殻状の透明振動板部を備えるスピーカー振動板に関する。
動電型スピーカーでは、平面型のスピーカー振動板、あるいは、非平面型のスピーカー振動板(代表的には、コーン型振動板、ドーム型振動板)が用いられる。その材料には、例えば、抄紙した紙、金属、樹脂、あるいは、基材に熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化させたもの、等の様々な材料が使用される場合がある。スピーカー振動板の材料は、動電型スピーカーから再生する音声の特性に影響を与え、固有の音色付けを生じるので、振動板面積が大きくても軽量で比重が軽く、高い弾性率、および、内部損失を有することが望まれる。また、振動板面積が大きくなると、分割振動が低い周波数で発生しやすくなるので、スピーカー振動板の材料を工夫するだけでなく、形状を工夫して剛性を高めることが望まれる。
従来には、ムービングコイル型ダイナミックスピーカーであって、振動板として厚さ0.2mm以上、20mm以下のガラス板を用いることを特徴とするスピーカーがある(特許文献1)。この特許文献1のガラス板とは、具体的には、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、鉛ガラス、石英ガラスなどの酸化物ガラス、特殊硬質ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、アルミン酸塩およびチタン酸塩ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲンガラス、金属ガラス、多結晶ガラスが含まれる、としている。また、特許文献1のガラス振動板の形状については、全体が平面であっても、部分的な曲面を含む平面であっても、コーン状またはドーム状などの曲面であってもよく、振動板の外周については、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形やその他の任意の形状が許容される、としている。
また、従来には、独立または連続気泡を有する多孔性無機質ガラス発泡体を形成して成るスピーカー振動板がある(特許文献2)。この特許文献2の無機質ガラス発泡体は、無機質ガラスの微粉末にカーボンまたは炭酸カルシウムのような発泡剤を均一に混合して、これらを耐熱性金属及び耐熱物より成る成形型に入れ炉中において熱処理をして発泡を行った後、常温まで序冷して得るもの、として、この無機質ガラスのスピーカー振動板を用いたスピーカーは、歪が少なくて、音圧周波数特性ではより高域までフラットに再生できる、としている。
特開平5−227590号公報 (第1図) 特開昭54−37722号公報 (第1図〜第2図)
しかしながら、従来には、特許文献1または2のスピーカーを含めて、ガラスをスピーカー振動板に用いるスピーカーは、ほとんど実用に供されていない。ガラスは比重が大きくて、スピーカー振動板の重量が重くなってスピーカーの能率が低くなるので、スピーカー振動板に用いられることがそもそも少ない。また、ガラスのスピーカー振動板は、ヤング率が大きい一方で内部損失が小さいので、顕著な高音域の振動モードが発生しやすく、その結果、音圧周波数特性にピーク・ディップが出現して、再生音質の低下を招くことがあるという問題がある。また、比重の大きいガラスをスピーカー振動板に適するように軽く、薄くすると、平面の場合には割れやすくて実用的でなくなり、一方で、コーン型等の非平面形状を形づくろうとしても、軽くて薄いスピーカー振動板を生産することは困難である、という問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、透明なガラスのスピーカー振動板であって、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカー振動板および動電型スピーカーを提供することにある。
本発明のスピーカー振動板は、透明なガラスを基材とするスピーカー振動板であって、ガラスが、少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料とする耐熱ガラスであり、凹面とその反対側の凸面とを含む略球殻状の透明振動板部を備える。
好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、透明振動板部の凹面または凸面が、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定されるとともに、透明振動板部の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲でほぼ均一に形成される。
好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、透明振動板部の凹面または凸面が、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定されるとともに、透明振動板部の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲で、中央部から外周縁部に向かうほど薄くなるように形成される。
また、好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、透明振動板部の略中央に、基材により突出するように形成されてボイスコイルボビンが係合する取付部をさらに備える。
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、上記のスピーカー振動板と、スピーカー振動板の外周縁部に固着されるエッジと、スピーカー振動板の略中央に取り付けられるボイスコイルボビンと、ボイスコイルボビンに巻回されるコイルと、コイルを配置する磁気空隙を有する磁気回路と、ボイスコイルボビンに固着されるダンパーと、エッジ、ダンバー、ならびに、磁気回路に連結するフレームと、を備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のスピーカー振動板は、透明なガラスを基材とするスピーカー振動板であって、このガラスは少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナおよび食塩を原料とする耐熱ガラスである。耐熱ガラスは、珪砂、石灰、ソーダ灰などを主な原料とするソーダ石灰ガラスと比較して熱による膨張が少ないため、急激な温度変化に強いという特性を有している。そして耐熱ガラスは成形時の粘性が高く、ブロー成形により薄く加工することが可能で次工程の切断等にも優位である。また、一般的に耐熱ガラスはソーダ石灰ガラスやクリスタルガラスなどと比べて比重が小さく、膨張係数が低く安定しているので、スピーカー振動板に用いるのに適している。
耐熱ガラスのスピーカー振動板は、前面側の凹面と背面側の凸面とを含む略球殻状の透明振動板部を備える。すなわち、本発明のスピーカー振動板は、平板状の板ガラスではなく、耐熱ガラスから形成されたコーン形状、もしくは、ドーム形状の透明振動板部を有するスピーカー振動板である。耐熱ガラスのスピーカー振動板は透明であるので、本発明の動電型スピーカーは、ボイスコイル、磁気回路、ダンバー、といった通常のスピーカー振動板では外から見えない背面側に位置する構成部品を、透視することができる。耐熱ガラスからなる透明振動板部は、その厚みが0.3mm〜1.2mmの範囲であるので、例えば、動電型スピーカーとして構成された場合に、聴取者側である前面が凹面となり、ボイスコイル、もしくは、磁気回路が配置される反対側の背面が凸面になる。
透明振動板部の凹面または凸面を、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定し、耐熱ガラスをブロー成形といわれる型吹き成形することによって、スピーカー振動板に適する上記の厚みを満足し、また肉厚が中央部から外周部に向かうほど薄く変化し、かつ、高い剛性を有する球殻の一部を切り出した形状に加工することができる。耐熱ガラスの透明振動板部の厚みは、ブロー成形によって球殻の一部とすることで0.3mm〜1.2mmの範囲でほぼ均一に薄く形成できるので、本発明の耐熱ガラスのスピーカー振動板を備える動電型スピーカーは、従来の板ガラスの場合、または、大きな厚みを有する並ガラスの場合に比べて高い再生音圧レベルを実現することができる。
本発明のスピーカー振動板の透明振動板部の凹面または凸面の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲で、中央部から外周縁部に向かうほど薄くなるように形成される場合には、スピーカー振動板の略中央が、外周縁部よりも強化される。その結果、音声信号が供給されて駆動力を発生するボイスコイルボビンの周囲の剛性が、より強化されるので、分割振動を抑制して、平坦な音圧周波数特性ならびに低い高調波歪が実現される。また、振動板部が外周縁部に向かうほど薄くなることで、さらにスピーカー振動板の軽量化が図られ、ガラスをスピーカー振動板に用いる動電型スピーカーであっても、高い再生音圧レベルを実現することができる。
あるいは、透明振動板部の略中央に、外径ないし内径と同心円状に耐熱ガラスにより突出するように形成されてボイスコイルボビンが係合する取付部をさらに備える場合には、上記の場合と同様に、ボイスコイルボビンの周囲の剛性がより強化されて、分割振動を抑制して、平坦な音圧周波数特性が実現される。同一の基材である耐熱ガラスで形成された取付部が設けられると、高次共振モードが分散的になり、高いピークを示しやすい周波数特性が滑らかになる。さらに、動電型スピーカーの製造工程において、ボイスコイルボビンが係合する位置が一意に決まるので、スピーカー振動板とボイスコイルとの接着強度が高く、伝達ロスを低減させ、かつ、S/N比を改善できるスピーカーを実現することができる。
本発明のスピーカー振動板は、透明なガラスのスピーカー振動板であっても、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない平坦な周波数範囲を広くすることができ、高調波歪が少なく、再生音質に優れたスピーカー振動板および動電型スピーカーを実現できる。
本発明のスピーカー振動板およびこれを用いた動電型スピーカーは、透明なガラスのスピーカー振動板であっても、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない平坦な周波数範囲を広くすることができ、高調波歪が少なく、再生音質に優れたスピーカー振動板および動電型スピーカーを実現するという目的を、透明なガラスを基材とするスピーカー振動板であって、ガラスが、少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料とする耐熱ガラスであり、凹面とその反対側の凸面とを含む略球殻状の透明振動板部を備えるようにすることにより、実現した。
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板およびこれを用いた動電型スピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1の概略断面図である。スピーカー1は、スピーカー振動板5と、スピーカー振動板5に接着されるボイスコイルボビン2と、ボイスコイルボビン2の下端部に巻回されたボイスコイル3とを有する。ボイスコイル3は、磁気回路4の磁気空隙に配され、入力される音声信号に応じて発生する駆動力で振動し、磁気空隙内を変位することによりスピーカー振動板5を駆動する。スピーカー振動板5ならびにボイスコイルボビン2が形成する振動系は、エッジ6およびダンパー7により、図示するZ方向に振動可能に支持されている。エッジ6およびダンパー7の外周側は、磁気回路4に連結するフレーム8に固定されている。スピーカー振動板5が振動すると、空気に疎密波としての音波を生じて、その結果、スピーカー1から音声が再生される。
本実施例の磁気回路4は、ポール、プレート、マグネットを備える外磁型の磁気回路であって、キャンセルマグネットと、磁気回路を覆うカバー9と、を備えている。また、ボイスコイル3には、(図示しない)ターミナル、ならびに、(図示しない)錦糸線10を介して、音声信号が供給される。スピーカー振動板5の略球面状の凹面5a側がスピーカー1の前面側であり、その背面側の略球面状の凸面5b側に、ボイスコイルボビン2と、ボイスコイル3と、磁気回路4と、ダンパー7と、錦糸線10とが、配置される。磁気回路4は、他の内磁型磁気回路、もしくは、反発磁気回路、等であっても良い。
図2は、本実施例のスピーカー1を、前面斜めから見た斜視図である。後述するように、スピーカー振動板5は、透明な耐熱ガラスを基材とするスピーカー振動板である。したがって、スピーカー1では、図2に示すように、スピーカー振動板5の背面側に位置するボイスコイルボビン2と、ボイスコイル3と、磁気回路4のセンターポールと、ダンパー7と、錦糸線10とが、透明なスピーカー振動板5越しに前面から透視される。本実施例のスピーカー1は、口径が約10cmの動電型スピーカーである。
なお、本実施例のスピーカー1は、同形状の略球殻状スピーカー振動板を有する(図示しない)比較例のスピーカーについて、その(図示しない)スピーカー振動板を、透明な耐熱ガラスのスピーカー振動板5に置換したスピーカーである。例えば、比較例のスピーカー振動板は、基材に熱硬化性樹脂が含浸されていて、基材は、天然繊維織布層と天然繊維不織布層とを含む積層体であり、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル等の任意の適切な熱硬化性樹脂が採用され得るものである。つまり、本実施例のスピーカー1は、透明な耐熱ガラスのスピーカー振動板5以外の構成部品は、従来の動電型スピーカーの構成部品を共通して利用することができるものである。
図3は、スピーカー1を構成する本実施例のスピーカー振動板5について説明する図である。図3(a)は、略球殻状のスピーカー振動板5を前面である凹面5a側から見た平面図であり、図3(b)は、スピーカー振動板5の断面形状を説明するA−A’断面図である。スピーカー振動板5は、大きな半径の球殻の一部として規定される平面視略円形の透明振動板部5sを有する。透明振動板部5sは、前面側の凹面5aと、これに対応する背面側の凸面5bと、その外径を規定する外周縁部5cと、を含んでいる。本実施例のスピーカー振動板5では、中心点Oから外周縁部5cまでの半径rcが約39.5mmであり、透明振動板部5sの全高hcが約21.6mmである。
スピーカー振動板5の透明振動板部5sは、透明な耐熱ガラスを基材としているので、本実施例の透明振動板部5sの厚みは、その全体に渡って約0.45mm〜約1.00mmの範囲でほぼ均一に薄く形成される。本実施例のスピーカー振動板5では、中心点Oを通るZ軸上の点を中心点として、透明振動板部5sの凹面5aを規定する半径raは約45.6mmであり、透明振動板部5sの凸面5bを規定する半径rbは約45.6mmである。したがって、図3に図示するように、透明振動板部5sの厚みtは、中央部から外周縁部5cに向かうほど薄くなる。具体的には、中央部での厚みtが約0.60mmであるのに対して、外周縁部5cに近い中心点Oから半径約28.0mmの部分では、厚みtが約0.46mmになるように形成されている。最も薄くなる外周縁部5cでは、厚みtは約0.3mmになる。なお、本実施例のスピーカー振動板5の重量は、約11.5gである。
スピーカー振動板5は、耐熱ガラスを基材とするスピーカー振動板であり、少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料として形成される。耐熱ガラスは、珪砂、石灰、ソーダ灰などを主な原料とするソーダ石灰ガラスと比較して熱による膨張が少ないため、急激な温度変化に強いという特性と、一般的にソーダ石灰ガラスやクリスタルガラスなどと比べて比重が小さいという特性を有している。そして耐熱ガラスは成形時の粘性が高く、ブロー成形により略球面状の凹面並びに凸面を含むスピーカー振動板の形状に薄く加工することが可能で、外周縁部5cの位置で切断する工程においても優位である。また、耐熱ガラスは、薄くできることで、スピーカー振動板5の全体重量をさらに軽くすることができるので、従来のソーダ石灰ガラスに比較して、スピーカー振動板として用いるのに適している。
また、本実施例のスピーカー振動板5では、珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料として形成される耐熱ガラスの主な組成は、以下の通りである。

SiO 約81%
Al 約 2%
約13%
NaO 約 4%
また、比較例として、図4(b)に示すように、ほぼ同形状の凹面および凸面を有する透明なソーダ石灰ガラスのスピーカー振動板50を形成した。珪砂、石灰、ソーダ灰などを主な原料とするソーダ石灰ガラス(並ガラス)の主な組成は、以下の通りである。
SiO 約71%
Al 約 2%
約 2%
NaO 約17%
CaO 約 5%
図4は、本実施例のスピーカー振動板5を説明する図、および、比較例のスピーカー振動板50を説明する図である。すなわち、図4(a)は、凹面および凸面を有する透明な耐熱ガラスのスピーカー振動板5の写真であり、一方、図4(b)は、ほぼ同形状の凹面および凸面を有する透明なソーダ石灰ガラスのスピーカー振動板50の写真である。スピーカー振動板5および50は、それぞれの基材となるガラスをブロー成形といわれる型吹き成形によって球殻の一部として形成し、その一部を一つの平面上で規定される外周縁部5cを有するように切り出す加工によって、全体の形状が形成される。
ただし、図4(a)に示す本実施例のスピーカー振動板5は、粘りのある耐熱ガラスを基材とするので、約0.7mm〜約1.00mmの範囲でほぼ均一に薄く、軽量で、かつ、外周縁部が欠けにくい、剛性に優れるスピーカー振動板を形成することができる。この厚みの範囲であれば、本実施例のスピーカー振動板5の場合には、32個のスピーカー振動板5をブロー成形によりその形状を形作り、外周縁部を切断する工程で、外周縁部の変形や欠けのない30個の良品のスピーカー振動板5を得ることができた。
一方、図4(b)に示す比較例のスピーカー振動板50は、並ガラスと呼ばれるソーダ石灰ガラスを基材にするので、同様の薄さの振動板を形成すること自体が困難であり、製造工程で多くが割れてしまうという問題がある。10個のスピーカー振動板50をブロー成形によりその形状を形作り、切断する工程で、外周縁部の変形や欠けのない1個の良品のスピーカー振動板5を得ることができたのみである。なお、図4(b)のスピーカー振動板50は、外周縁部の一部が割れて欠落部51(図示する)が生じている。比較例のスピーカー振動板50として得ることができた振動板の厚みは約0.50mmである。
図5は、本実施例および比較例のスピーカーの音圧周波数特性、音圧2次、3次高調波歪特性、アドミタンス特性を表すグラフである。具体的には、図5(a)が、本実施例のスピーカー振動板5を用いる本実施例のスピーカー1の場合であり、図5(b)が、比較例のスピーカー振動板50を用いる比較例のスピーカー(図示しない)の場合である。なお、本実施例のスピーカー1と、比較例のスピーカーとでは、比較対象のスピーカー振動板以外の部品、ならびに、接着剤は、全て同じ仕様の物を使用している。
本実施例のスピーカー1と、比較例のスピーカーとでは、スピーカー振動板の厚み、ならびに、重量をほとんど同一に揃えているので、最低共振周波数f0、共振の鋭さQ0、再生音圧レベル、等の基本的な一自由度振動系としてのスピーカーの諸定数は、大差がない。ただし、耐熱ガラスを基材とする本実施例のスピーカー振動板5を用いるスピーカー1の場合には、透明振動板部5sの剛性が比較例のスピーカー振動板50よりも高いので、より好ましい特性を実現している。具体的には、本実施例のスピーカー振動板5を用いるスピーカー1の方が、低音域(約60Hz〜200Hz)における高調波歪のレベルが低く、高音域(約6kHz〜20kHz)での分割振動によるピークにおいて、共振の鋭さQが低い。
したがって、再生する音声にも差異があり、本実施例のスピーカー振動板5を用いるスピーカー1の方が、解像度が高く、再生音質が優れている。透明なガラスをスピーカー振動板に用いる場合には、ガラス特有の固有の共振音が減衰しにくいという課題があるが、耐熱ガラスを基材とする本実施例のスピーカー振動板5を用いるスピーカー1では、ガラス振動板特有の音色付けが少なく、また、スピーカー振動板の重量増加は否めないものの、その形状は従来のスピーカー振動板とほぼ同じなので、他の通常のスピーカーと同様に音声・音楽信号の再生に利用することができる。そもそも、ソーダ石灰ガラスを基材にするスピーカー振動板は、厚さを極めて薄くして、凹面と凸面とを有する略球殻状に形成すること自体が困難であるので、本実施例のように耐熱ガラスで形成するのが有利である。
また、本実施例のスピーカー振動板5は、透明振動板部5sの厚みが、中央部から外周縁部5cに向かうほど薄くなるように形成されているが、透明振動板部5sの厚みは、0.3mm〜1.2mmの範囲でほぼ均一に形成されていてもよい。中央部から外周縁部5cに向かうほど薄くなるように形成される場合には、スピーカー振動板5の略中央が、外周縁部5cよりも強化されて、音声信号が供給されて駆動力を発生するボイスコイルボビンの周囲の剛性がより強化されるという利点がある。一方で、スピーカー振動板5の外形寸法が小さい場合には、振動板面積が小さくなるので、更に軽量化を図って音圧再生レベルを確保したいという課題を生じるので、全体の厚みが一定であってもさらに薄くする場合がある。したがって、さらにスピーカー振動板の軽量化を図り、ガラスをスピーカー振動板に用いる動電型スピーカーであっても、高い再生音圧レベルを実現することができる。
図6は、他の実施例のスピーカー振動板11について説明する図であり、スピーカー振動板11に固着されるボイスコイルボビン2およびコイル3を含めて、これらを背面側から見て一部を切り欠いた分解斜視図である。本実施例のスピーカー振動板11は、先の実施例のスピーカー振動板5と同様に、耐熱ガラスを基材とする透明なスピーカー振動板である。スピーカー振動板11は、大きな半径の球殻の一部として規定される前面視略円形の透明振動板部11sを有しており、透明振動板部11sは、前面側の凹面11aと、これに対応する背面側の凸面11bと、その外径を規定する外周縁部11cと、を含んでおり、凸面11b側には、突出するように形成されてボイスコイルボビン2が係合する取付部11dをさらに備える。
取付部11dは、透明振動板部11sの略中央に、外径ないし内径と同心円状に耐熱ガラスの基材から背面側へ突出するように形成されており、ボイスコイルボビン2のコイル3が巻回されていない一端側の内径側に、収まるように係合する。例えば、透明振動板部11sの厚み約0.5mmに対して、取付部11dは凸面11bから約0.5mmだけ突出するリング状の凸部を形成する。したがって、本実施例のスピーカー振動板11を用いる動電型スピーカー(図示しない)では、接着剤で固着されるボイスコイルボビン2の周囲の剛性がより強化されて、分割振動を抑制して、より滑らかな音圧周波数特性が実現される。
また、本実施例のスピーカー振動板11を用いる動電型スピーカーでは、その製造工程において、凸面11bから突出する取付部11dを備えるので、スピーカー振動板11に対してボイスコイルボビン2が係合する位置が一意に決まり、製造工程でのバラツキが少なくなる利点がある。そして、スピーカー振動板2とボイスコイルボビン2との接着強度が高く、伝達ロスを低減させ、かつ、S/N比を改善できるスピーカーを実現することができる。
なお、耐熱ガラスの基材から突出する取付部11dは、このようなリング状の形状に限定されない。透明な耐熱ガラスの基材から突出し、同心円上に配置された複数の突起、あるいは、リブであって、ボイスコイルボビン2が係合する位置を定めることができる形状のものであれば良い。取付部11dは、耐熱ガラスを基材とする略球殻状の透明振動板部11sを、ブロー成形する際に使用する金型に、取付部11dの形状に対応する凹部形状を設けることで、同心円状に凸部を形成することができる。
本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。耐熱ガラスを基材として、その形状を大きな半径の球殻の一部として規定される凹面と凸面を含むものに形成することで、はじめて透明振動板部の厚みが0.3mm〜1.2mmの範囲という極めて薄肉のスピーカー振動板を実現することができる。凹面並びに凸面を規定する約30.0mm〜約150.0mmという球面の半径は、単一の円弧の場合に限られるものではなく、複数の円弧がつながって形成される複合の円弧状のコーン形状であって、それぞれの円弧を指定する半径を含む。この場合、振動モードを分散させ、音圧周波数特性上のピーク・ディップをより少なくすることができる。
本発明のスピーカー振動板は、様々な用途(家庭用、車載用)に用いられるスピーカーに好適に適用され得る。さらに、特に低周波数領域を再生するウーファー、または高周波数領域を再生するツィータ等、任意のスピーカーに適用され得る。また、本発明のスピーカー振動板は、スピーカーのみならず、振動板を備えるヘッドフォン、マイクロホンにも適用が可能である。
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1の概略断面図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態による実施例のスピーカー1を、前面斜めから見た斜視図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1を構成する本実施例のスピーカー振動板5について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板5を説明する図、および、比較例のスピーカー振動板50を説明する図である。(実施例1) 本実施例および比較例のスピーカーの音圧周波数特性、音圧2次、3次高調波歪特性、アドミタンス特性を表すグラフである。(実施例1) 本発明の他の実施例のスピーカー振動板11について説明する図である。(実施例2)
符号の説明
1 スピーカー
2 ボイスコイルボビン
3 ボイスコイル
4 磁気回路
5 スピーカー振動板
5s 透明振動板部
5a 凹面
5b 凸面
5c 外周縁部
6 エッジ
7 ダンパー
8 フレーム
9 カバー
10 錦糸線
11 スピーカー振動板
11s 透明振動板部
11a 凹面
11b 凸面
11c 外周縁部
11d 取付部

Claims (5)

  1. 透明なガラスを基材とするスピーカー振動板であって、
    該ガラスが、少なくとも珪砂、硼砂、硼酸、アルミナ、および、食塩を原料とする耐熱ガラスであり、凹面とその反対側の凸面とを含む略球殻状の透明振動板部を備える、スピーカー振動板。
  2. 前記透明振動板部の前記凹面または前記凸面が、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定されるとともに、該透明振動板部の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲でほぼ均一に形成される、
    請求項1に記載のスピーカー振動板。
  3. 前記透明振動板部の前記凹面または前記凸面が、半径約30.0mm〜約150.0mmの球殻の一部として規定されるとともに、該透明振動板部の厚みが、0.3mm〜1.2mmの範囲で、中央部から外周縁部に向かうほど薄くなるように形成される、
    請求項1に記載のスピーカー振動板。
  4. 前記透明振動板部の略中央に、前記基材により突出するように形成されてボイスコイルボビンが係合する取付部をさらに備える、
    請求項1から3のいずれかに記載のスピーカー振動板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の前記スピーカー振動板と、該スピーカー振動板の外周縁部に固着されるエッジと、該スピーカー振動板の略中央に取り付けられるボイスコイルボビンと、該ボイスコイルボビンに巻回されるコイルと、該コイルを配置する磁気空隙を有する磁気回路と、該ボイスコイルボビンに固着されるダンパーと、該エッジ、該ダンバー、ならびに、該磁気回路に連結するフレームと、を備える、
    動電型スピーカー。
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