JP2010055503A - Rfidインレット及びrfid - Google Patents

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【課題】高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレット及びそのようなRFIDインレットを挟み込んだRFIDペーパーを提供すること。
【解決手段】紙の中に挿入されるRFIDインレット10であって、基材2と、該基材2の表面に設けられたICチップ3及びアンテナ導体4と、該ICチップ3を保護する保護層5とを有し、保護層5の表面5a,5bのうち、平面的に見てICチップ3と重ならない領域の少なくとも一部に、該表面5a,5bから突出した突出部6aが設けられることを特徴とする。これによれば、突出部6aが緩衝材となってICチップ3に加わる圧力が軽減されるので、高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレットが提供されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、RFIDの中に挟み込んで用いるRFID(Radio Frequency IDentification)インレット及びRFIDインレットを挟み込んだRFIDに関する。
近年、RFIDインレットを挟み込んだRFIDの需要が増している。需要の増加に伴い、挿入されるRFIDインレットの種類も増し、近年ではゴマ粒大のICタグからクレジットカード大のICカードまで多岐にわたるRFIDインレットがRFIDの中に挟み込まれている。
RFIDインレットを挟み込むための材料としては紙や布、樹脂、フィルムなど種々の材料が用いられるが、例えば紙を用いる場合、RFIDインレットは、抄紙工程で2枚の湿紙の間に挿入されることになる。抄紙工程には乾燥処理やカレンダ処理が含まれるが、これらの処理はRFIDインレットが挟み込まれた状態で行われることになるので、RFIDインレットには、熱、湿気、高圧に耐え得ることが求められる。
このうちの高圧(特にカレンダ処理時の高圧)に関して、特許文献1には、ICチップが高圧に耐えられるようにするための技術が開示されている。この例は、スレッドと呼ばれるテープ状の材料にICチップを搭載し、スレッドを紙の中に抄き込むものであり、スレッドにICチップを搭載する際、スレッドに凹部を設け、その中にICチップを入れるようにしている。こうすることで凹部の周辺部がICチップより一段高くなり、圧力を吸収してくれるので、ICチップが高圧に耐えられるようになる。
国際公開第2005/024949号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載の上記技術には、凹部を設けるためのスレッドが必要になるという問題がある。スレッドを用いない例も多数あり、そのような場合、上記技術によってRFIDインレットを高圧から守ることはできない。そこで従来、RFIDインレット自身の構造を、抄紙工程で発生する高圧に耐え得る構造とすることが求められていた。
以上のような事情は紙以外の材料によりRFIDを構成する場合でも同様である。また、露出して用いる場合にも高圧に耐え得る構造が好ましいことは勿論である。
したがって、本発明の目的は、高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレット及びそのようなRFIDインレットを挟み込んだRFIDを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明によるRFIDインレットは、基材と、該基材の表面に設けられたICチップ及びアンテナ導体と、該ICチップを保護する保護層とを有し、前記保護層の前記基材に対抗する面の反対側の表面のうち、平面的に見て前記ICチップと重ならない部分の少なくとも一部に、該表面から突出した突出部が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、保護層の紙側表面に突出部が設けられ、しかも突出部は平面的に見てICチップと重ならない部分にあるので、突出部が緩衝材となってICチップに加わる圧力が軽減される。したがって、高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレットが提供されている。
また、上記RFIDインレットにおいて、前記保護層は前記アンテナ導体も保護し、前記突出部は、前記表面のうち、平面的に見て前記ICチップ及び前記アンテナ導体と重ならない領域の少なくとも一部に、該表面から突出して設けられることとしてもよい。これによれば、ICチップだけでなくアンテナ導体も保護層により保護する必要がある場合にも、本発明を適用可能となる。
また、上記各RFIDインレットにおいて、前記突出部は、離間して複数設けられることとしてもよい。突出部の端部は紙等と引っかかるため、紙等とRFIDインレットの密着性を向上させる効果を有するが、上記RFIDによれば、突出部の端部を増加させることができるので、紙等とRFIDインレットの密着性をより一層向上させることが可能になる。
また、上記各RFIDインレットにおいて、前記突出部は、前記基材の前記表面を前記ICチップ又は前記アンテナ導体と交差しつつ横断する任意の横断線と、前記ICチップ又は前記アンテナ導体の少なくとも一部を挟んだ複数箇所で交差することとしてもよい。これによれば、例えば抄紙工程において、紙の進行方向に対してRFIDインレットが傾いていたとしても、ローラーの圧力を突出部で支えることが可能となる。
また、上記各RFIDインレットにおいて、前記突出部は、前記保護層に取り付けた部材によって構成されてもよい。これによれば、例えばPET樹脂、紙製のシール、レジストなどの部材を保護層に取り付けることで、簡易に突出部を構成することが可能になる。
また、上記各RFIDインレットにおいて、前記突出部は、前記基材に貼り付けた支え材によって構成されることとしてもよい。これによれば簡易に突出部を形成できる。
また、上記各RFIDインレットにおいて、前記突出部は、前記基材を貫通する支え材によって構成されることとしてもよい。これによっても簡易に突出部を形成でき、また、基材にかかる力を低減することが可能になる。
また、本発明によるRFIDは、上記各RFIDインレットのいずれかを挟み込んだRFIDであることを特徴とする。
本発明によれば、高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレット及びそのようなRFIDを挟み込んだRFIDを提供できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態によるRFIDインレット10の構成を示す図である。図1(a)はRFIDインレット10の上面透視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A'線断面図である。なお、図1(b)は、断面に現れる構成を分かりやすく示すために、図面縦方向に大幅に引き伸ばして描いている。また、図1(a)は断面図ではないが、分かりやすくするために基材2及び突出部6aにのみハッチングを施している。後掲する各図でも同様である。
図1(a)(b)に示すように、RFIDインレット10は、基材2と、基材2の表面に設けられたICチップ3及び平面スパイラル状に配線されたアンテナ導体4と、基材2、ICチップ3、及びアンテナ導体4を封止するための保護層5と、保護層5の紙側表面5a,5bから突出した突出部6aとを有している。
RFIDインレット10は紙の中に挿入されて用いられるものであり、抄紙工程で2枚の湿紙の間に挟む形で挿入される。図1(b)の上面5aと下面5bがそれぞれ、基材2に対向する面の反対側の表面(以下、紙側表面という。)となる。紙とRFIDインレット10との接着には、必要に応じて糊が利用される。RFIDインレット10が挿入された紙は、乾燥処理やカレンダ処理が施された後、RFIDとして出荷されることになる。
抄紙工程で行われる処理のひとつにカレンダ処理がある。図2(a)はカレンダ処理の説明図である。同図に示すように、カレンダ処理では、RFIDインレット10を含む紙PをローラーRに挟む。ローラーRは、図示したB方向に回転することで紙Pを図面N1方向に送るとともに、紙Pに図面C方向(紙送り方向N1と垂直な方向)の圧力を加える。本実施の形態では、この圧力に耐え得る構造を有するRFIDインレット10及びRFIDインレット10が抄き込まれたRFIDを提供する。
基材2は、各種のプラスチックフィルム等によって構成される平板状の材料である。具体的には、基材2の材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリル系、耐水紙などの単独フィルム若しくはこれらの複合フィルムを用いることができる。基材2の厚みは規格によって決められており、具体的には1μm〜100μm程度である。また、本実施の形態では、縦幅45mmと横幅75mmの基材2を用いているが、基材2の大きさはこれに限られるものではない。
ICチップ3とアンテナ導体4は所謂パッシブタグを構成する。すなわち、アンテナ導体4は図1(a)に示すような平面スパイラル導体を構成し、その両端はICチップ3に接続している。ICチップ3は、整流回路、メモリ、通信回路を含んで構成される。以下、ICチップ3とアンテナ導体4によって構成されるパッシブタグの動作について、簡単に説明する。
まず、リーダ(不図示)が、読み出し命令を含むデータによって変調した電波(変調波)を送出し、その後、無変調の電波(無変調波)を所定時間にわたって送出する。ICチップ3の整流回路は、アンテナ導体4を介してこれらの電波を受信し、整流して直流化する。通信回路は、この直流を電源として動作するものであり、まず変調波を解釈し、解釈結果に応じてメモリ内からデータを読み出す。そして、読み出したデータによって無変調波の反射波を変調する。リーダはこの反射波を受信することで、ICチップ3内のメモリに記憶されているデータを取得する。
保護層5は、樹脂素材によって構成される。具体的な材料としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。保護層5を形成する際には、基材2の上側と下側からフィルム状の材料を貼り付け、熱プレス成形によって、基材2、ICチップ3、及びアンテナ導体4に密着させる。これにより、保護層5による封止が完成する。保護層5の厚みは片側(基材2の一方側)のみで1μm〜100μm程度であり、したがって、RFIDインレット10全体としての厚みは3μm〜300μm程度となっている。
さて、RFIDインレット10では、図1(a)(b)に示すように、保護層5の紙側表面5a,5bに突出部6aが設けられている。突出部6aは、平面的に見てICチップ3及びアンテナ導体4と重ならない領域の少なくとも一部に、表面5a,5bから突出して設けられている。図1の例では、突出部6aは、平面的に見て平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側の領域、すなわちRFIDインレット10の周縁部に設けられている。
突出部6aの高さと突出部6a及び保護層5の材料とは、RFIDインレット10がローラーR(図2)に挟まれたとき、突出部6aに圧力が集中するように選択される。具体的には、RFIDインレット10がローラーR内に入ったとき、突出部6aの紙側表面がローラーRと(紙Pを介して)接触してローラーRを支え、保護層5の紙側表面5a,5bがローラーRと(紙Pを介して)直接接触しないように選択されている。
さらに詳しく説明する。図2(b)は、離間して設けられた突出部6aの高さの説明図である。同図では図2(a)のRFIDインレット10の上半分と上側のローラーRのみを示している。同図に示すように、突出部6aの紙送り方向N1の最小離間距離をd、ローラーRの半径をrとすると、突出部6aの高さhは、次の式(1)で示される最小高さhより大きくなるように設計される。
Figure 2010055503
保護層5の材料に関しては、突出部6aの直下にある保護層5が圧力により圧縮変形しても、その変形が他の部分の保護層5にほとんど伝わらないようなものを使用する。伝わらないようにするのは、他の部分の保護層5の下にあるICチップ3及びアンテナ導体4に圧力が加わらないようにするためである。具体的な材料としては、上述したように、樹脂素材を用いる。これらの材料はヤング率10MPa〜10GPaと比較的軟らかいため、突出部6aの直下にある保護層5が圧力により圧縮変形しても、その変形が他の部分の保護層5に伝わらないようにすることができる。
一方、突出部6aには、容易につぶれないよう、比較的硬い材料(ヤング率で5Gpa以上の材料)を用いることが好適である。より具体的には、PET(Polyethylene Terephthalate。ヤング率3.9Gpa)や紙(ヤング率2〜20Gpa)の他、保護層5と同じ材料(ヤング率10MPa〜10GPa)を用いることも可能である。
突出部6aの高さと突出部6a及び保護層5の材料とを以上のように決定することで、突出部6aが緩衝材として機能することとなり、保護層5内のICチップ3及びアンテナ導体4に加わる圧力の軽減効果が得られることになる。
以下、本実施の形態による突出部のバリエーションについて例を挙げながら説明する。
図3(a)は、第1のバリエーションによるRFIDインレット10の断面図である。同図に示すように、第1のバリエーションによるRFIDインレット10は、保護層5の紙側表面5a,5bのうち片方(表面5a)のみに突出部6aを有し、その反対側表面(表面5b)には突出部6aを有していない。このように片側のみに突出部6aを有するRFIDインレット10であっても、突出部を全く有しないRFIDインレット10に比べれば、ICチップ3及びアンテナ導体4に加わる圧力が軽減される。
図3(b)は、第2のバリエーションによるRFIDインレット10の断面図である。同図に示すように、第2のバリエーションによるRFIDインレット10は、図1のRFIDインレット10と同様保護層5の紙側表面5a,5bの双方に突出部6bを有するが、突出部6bの側面が、保護層5側から紙側にかけて次第に広がるように傾斜している。この傾斜により、突出部6bと紙とが引っかかり、紙の中でRFIDインレット10が移動してしまうことが防止される。すなわち、紙とRFIDインレット10との密着度を高めることが可能になる。
図4(a)は、第3のバリエーションによるRFIDインレット10の断面図である。同図に示すように、第3のバリエーションによるRFIDインレット10は、保護層5自体が突出して突出部6cを構成している。突出部6cの形状及び位置は図1の例と同様である。また、図4(b)は、第4のバリエーションによるRFIDインレット10の断面図である。同図に示すように、第4のバリエーションによるRFIDインレット10でも、保護層5自体が突出して突出部6dを構成している。突出部6dの形状及び位置は図3(b)の例と同様である。これらの例のように、突出部6cを保護層5の一部として構成することによっても、ICチップ3及びアンテナ導体4に加わる圧力を軽減することが可能になる。また、この場合、後述するように保護層と突出部とを一体成形できるので、製造コストの削減にも寄与する。
図5(a)は、第5のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図であり、図5(b)は図5(a)のD−D'線断面図である。同図に示すように、第5のバリエーションによるRFIDインレット10は、図1のRFIDインレット10に突出部6aを突出部6eで置き換えた構造となっている。
突出部6eは平面スパイラル導体の中央に相当する領域に設けられる。すなわち、アンテナ導体4が平面スパイラル状に配線されているため、その中心部には導体のない領域が広がっている。突出部6eは、平面的に見てこの領域に設けられる。
このように突出部6eを設けることで、平面スパイラル状の配線の中央部の配線がない部分を有効に活用し、抄紙工程で発生する高圧に対する耐力がより強化されたRFIDを提供することが可能になる。
図6(a)は、第6のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図であり、図6(b)は図6(a)のE−E'線断面図である。同図に示すように、第6のバリエーションによるRFIDインレット10は、図1のRFIDインレット10において、突出部6aを複数の突出部6fで置き換え、さらに上記突出部6eも加えた構造となっている。
突出部6fは、保護層5の紙側表面5a,5bのうち、平面的に見てICチップ3及びアンテナ導体4と重ならない領域内の連続領域(ここでは、平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側の領域)に、離間して複数設けられている。
一般的に言って、突出部の端部は、RFIDインレット10が紙に挿入されたときに紙と引っかかる。そのため、紙とRFIDインレット10の密着性を向上させる効果を有するが、このバリエーションでは、突出部6aを採用した例(図1のRFIDインレット10など)に比べて端部が増加しているため、紙とRFIDインレット10の密着性がより一層向上している。
図7(a)は、第7のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図であり、図7(b)は図7(a)のF−F'線断面図である。同図に示すように、第7のバリエーションによるRFIDインレット10は、第6のバリエーションによるRFIDインレット10において、突出部6f,6eをそれぞれ突出部6g,6hで置き換えた構造となっている。
突出部6gは、保護層5の紙側表面5a,5bのうち、平面的に見て平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側の領域に離間して複数設けられている点では突出部6fと同じであるが、離間の態様が突出部6fと異なっている。このように、離間の態様は様々な態様を取り得る。
突出部6hは、保護層5の紙側表面5a,5bのうち、平面的に見て平面スパイラル状のアンテナ導体4の中央部の配線のない連続領域に、離間して複数設けられている。ここでは特に、突出部6eに十字型の切り込みを入れて4つに分割した形状となっている。
この第7のバリエーションでは、第6のバリエーションに比べて突出部の端部がさらに増加しているため、紙とRFIDインレット10の密着性がより一層向上している。なお、上述したように、突出部の離間の態様は様々な態様を取り得るが、基本的な考え方として、端部が多いほど紙とRFIDインレット10の密着性がよくなるが、圧力に対する突出部の耐性が低くなる。したがって、突出部の離間の具体的な態様は、密着性と圧力耐性のバランスを考慮して決定することが好ましい。
図8は、第8のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図である。第8のバリエーションによるRFIDインレット10は、平面スパイラル状のアンテナ導体4の中央部の配線がない領域に離間して設けられた複数の突出部6iと、平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側の領域に離間して設けられた複数の突出部6jとを有している。そして、これら突出部6i,6jは、図8に示すように、基材2の表面をICチップ3又はアンテナ導体4と交差しつつ横断する任意の横断線(図8中の破線G1〜G7はそれぞれこの横断線の例である。)と、ICチップ3又はアンテナ導体4の少なくとも一部を挟んだ複数箇所で交差する。例えば横断線G1に関して説明すると、突出部6i,6jは、横断線G1と、ポイントP1〜P4で交差するが、ポイントP1とポイントP2,P3,P4それぞれとの間、ポイントP2とポイントP3,P4それぞれとの間、ポイントP3とポイントP4との間には、アンテナ導体4の一部が挟まれている。
この第8のバリエーションでは、抄紙工程での紙の進行方向に対してRFIDインレット10の向きが傾いたとしても、ICチップとアンテナ導体を圧力から保護することが可能になっている。すなわち、図8の破線G1〜G7はそれぞれローラーRの加圧線を示しているが、加圧線とRFIDインレット10の向きの関係がどのようになったとしても、必ずICチップ3及びアンテナ導体4の両側に突出部6i又は6jが位置するようになっており、この両側の突出部6i又は6jによってICチップ3及びアンテナ導体4はローラーRの圧力から保護される。
図9は、第9のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図である。第9のバリエーションによるRFIDインレット10は、平面スパイラル状のアンテナ導体4の中央部の配線がない領域に離間して設けられた複数の突出部6kと、平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側の領域に離間して設けられた複数の突出部6lとを有している。
図9に示すように、複数の突出部6k相互は、RFIDインレット10の各辺に対して斜めに分断されている。同様に、複数の突出部6l相互も、RFIDインレット10の各辺に対して斜めに分断されている。このように、突出部同士は、RFIDインレット10の各辺に対して斜めに分断されていてもよい。また、図示していないが、曲線により分断されていてもよい。このようにローラーRにより加圧される部分と非平行に分断することによって、ローラーRの圧力からRFIDインレットを保護することができる。
図10は、第10のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図である。同図に示すように、第10のバリエーションによるRFIDインレット10では、アンテナ導体4がミアンダ状に配線されている。アンテナ導体4がミアンダ状に配線されているため、隣接する配線間に導体のないエリアが複数生じており、これらのエリアに突出部6mが設けられている。このように、ミアンダ状に配線されたアンテナ導体4を用いる場合にも本発明の突出部を設けることができ、そうすることでRFIDインレット10の高圧に対する耐性を高めることが可能になる。このように、本発明は、平面スパイラル状のアンテナ導体を用いるRFIDインレットだけでなく、図10に示したミアンダ状アンテナや、その他にも平面アンテナ、積層アンテナ、チップアンテナなど種々の形状のアンテナ導体を用いるRFIDインレットに広く適用可能である。
図11(a)は、第11のバリエーションによるRFIDインレット10の上面透視図であり、図11(b)は図11(a)のH−H'線断面図である。第11のバリエーションによるRFIDインレット10では、保護層5はICチップ3のみを保護する。保護層5の材料は上記同様の樹脂素材でよく、基材2上のICチップ3が搭載された部分のみを封止している。保護層5は、基材2に対向する面の反対側の表面のうち、平面的に見てICチップ3と重ならない領域に、該表面から突出した突出部6nを有している。このように、ICチップ3のみを保護する保護層5を用いる場合にも本発明の突出部を設けることができ、そうすることでRFIDインレット10の高圧に対する耐性を高めることが可能になる。
次に、突出部の製造方法について説明する。
図12は、第1の製造方法の説明図である。図12(a)はRFIDインレット10の斜視図であり、図12(b)は図12(a)のI−I'線断面図である。ここでは、図5を用いて説明した第5のバリエーションによるRFIDインレット10を例に用いて説明する。また、突出部6a,6eの材料としてはPET製の平板状部材を用いる。なお、図12(a)では、図面を見やすくするために手前側の突出部の描画を省略しているが、実際には図5で説明したRFIDインレット10と同様、RFIDインレット10の4辺に突出部が設けられる。
この製造方法では、まず初めに、突出部のないRFIDインレット10を製造する。そして、その4つの側面に、接着剤を用いてPET製の平板状部材7aを貼り付ける。この平板状部材7aは、後述する平板状部材7bを貼り付けるための土台となるものである。
平板状部材7aを貼り付けたら、次にRFIDインレット10と平板状部材7aの接触面を跨ぐようにして、RFIDインレット10の紙側表面5a,5bにPET製の平板状部材7bを接着剤を用いて貼り付ける。この平板状部材7bは、後に突出部6aを構成する。このとき、平板状部材7bがRFIDインレット10内部のICチップ3やアンテナ導体4と平面的に見て重ならないように注意する。
次に、RFIDインレット10の紙側表面5a,5bの各中央付近にPET製の平板状部材7cを接着剤を用いて貼り付ける。この平板状部材7cは、後に突出部6eを構成する。このときにも、平板状部材7cがRFIDインレット10内部のICチップ3やアンテナ導体4と平面的に見て重ならないように注意する。
最後に、平板状部材7aを取り外すために、平板状部材7bをRFIDインレット10と平板状部材7aの接触面に沿って切断する。すなわち、図示した切断線S1に沿って切断する。こうして、紙側表面5a,5bに突出部6a,6eを有するRFIDインレット10が完成する。なお、用途によっては平板状部材7aを取り外す必要がない場合もあり得るが、その場合には平板状部材7bを切断しなくてもよい。
この製造方法によれば、RFIDインレット10にPET製の平板状部材を貼り付けて切断するという非常に簡易な工程により、突出部を有するRFIDインレット10を製造することが可能になる。したがって、製造コストの削減にもつながる。
なお、図12のRFIDインレット10では、4隅の角部に突出部6aが設けられていないが、例えば縦横で異なる長さの平板状部材7bを用いることで、角部にも突出部6aを設けてよいことは勿論である。
図13は、第1の製造方法のバリエーションの説明図である。上述した第1の製造方法では、初めに個々のRFIDインレット10(突出部のないRFIDインレット10)を製造し、そこに平板状部材を貼り付けることで突出部を形成したが、このバリエーションでは、RFIDインレット10の製造工程で平板状部材を貼り付ける。つまり、このバリエーションは、1枚の基板上に多数のRFIDインレット10を形成し、その後切り離すことで多数のRFIDインレット10を大量生産する場合に適用されるものであり、1枚の基板上に多数のRFIDインレット10が並んでいる状態で平板状部材を貼り付け、RFIDインレット10と平板状部材とを一緒に切り離す。その結果、平板状部材7aが不要になり、切断工程も簡略化できる。以下、詳しく説明する。
図13に示すように、多数のRFIDインレット10が一体となって並んでいる状態で、その境目を跨ぐようにして各RFIDインレット10の紙側表面にPET製の平板状部材7bを取り付ける。なお、図示していないが、裏側にも同様に平板状部材7bを取り付ける。そして、図示した各切断線S2に沿ってRFIDインレット10と平板状部材とを一緒に切断する。こうして、紙側表面5a,5bに突出部6aを有する多数のRFIDインレット10が完成する。なお、突出部6eを構成する平板状部材7cについては、この後各RFIDインレット10に貼り付けてもよいし、切断前に各RFIDインレット10に貼り付けてもよい。
この製造方法によれば、平板状部材7aが不要になり、切断工程も簡略化できる。したがって、製造コストの更なる削減にもつながる。
図14は、第2の製造方法の説明図である。図14(a)はRFIDインレット10の斜視図であり、図14(b)は図14(a)のJ−J'線断面図である。ここでも、図5を用いて説明した第5のバリエーションによるRFIDインレット10を例に用いて説明する。また、突出部6a,6eの材料としては、一方表面に糊が塗布された紙製のシール状部材(所謂「タックシール」。)を用いる。なお、図14(a)では、図面を見やすくするために手前側の突出部の描画を省略しているが、実際には図5で説明したRFIDインレット10と同様、RFIDインレット10の4辺に突出部が設けられる。
この製造方法では、まず初めに、突出部のないRFIDインレット10を準備する。そして、その4つの側面に、側面を挟むようにして上側と下側とからシール状部材8aを取り付ける。このシール状部材8aは、後に突出部6aを構成する。このとき、シール状部材8aがRFIDインレット10内部のICチップ3やアンテナ導体4と平面的に見て重ならないように注意する。
次に、RFIDインレット10の紙側表面5a,5bの中央付近にそれぞれシール状部材8bを貼り付ける。このシール状部材8bは、後に突出部6eを構成する。このときにも、シール状部材8bがRFIDインレット10内部のICチップ3やアンテナ導体4と平面的に見て重ならないように注意する。
最後に、必要に応じてシール状部材8aのRFIDインレット10からはみ出している部分をカットすれば、紙側表面5a,5bに突出部6a,6eを有するRFIDインレット10が完成する。
この製造方法によれば、RFIDインレット10にタックシールを貼り付けて不要な部分をカットするという非常に簡易な工程により、突出部を有するRFIDインレット10を製造することが可能になる。したがって、製造コストの削減にもつながる。また、突出部のない汎用のRFIDインレットを、容易に耐圧構造とすることが可能である。
なお、タックシールには、表面粗さがある程度以上の値を有するものを用いることが好ましい。表面が粗いほど紙との摩擦が大きくなり、紙とRFIDインレット10との密着度を高めることが可能になるからである。また、シール状部材の代わりに、アルファシアノアクリレート単量体などの液体から固体へ硬化する樹脂を塗布して固めて用いてもよい。
図15は、第3の製造方法の説明図である。ここでは、図4(a)に示した第3のバリエーションによるRFIDインレット10、すなわち保護層5自体が突出して突出部6cを構成するRFIDインレット10を大量生産する方法を説明する。
この製造方法では、図15(a)に示すように、まずICチップ3及びアンテナ導体4を取り付けた基材2を準備する。この基材2には比較的大きなものを用い、多数のRFIDインレット10分のICチップ3及びアンテナ導体4をマトリクス状に配置する。
次に、各RFIDインレット10の突出部6cに対応する溝部33Aa,33Baを有する金型33A,33Bを用意し、その間に基材2及び保護層5となる樹脂フィルムを挟む。そして、熱を加えつつ金型の上下から圧力を加えることで、保護層5を形成する(図15(b))。そして、切断線S3で切断することにより、個々のRFIDインレット10を得る(図15(c))。こうして得られた各RFIDインレット10の保護層5には、金型33A,33Bに溝部33Aa,33Baがあることによって、図15(c)に示すような突出部6cが形成されることになる。
この製造方法によれば、保護層と突出部とを一体成形できるので、突出部を製造するための作業工程を別途設ける必要がなくなり、製造コストを削減することができる。
図16は、第4の製造方法の説明図である。図16(a)はRFIDインレット10の斜視図であり、図16(b)は図16(a)のK−K'線断面図である。ここでは、図8に示した第8のバリエーションによるRFIDインレット10を例に用いて説明する。
この製造方法では、基材2上に複数の支え材35を接着剤を用いて貼り付ける。あるいは、基材2上に樹脂(アルファシアノアクリレート単量体などの液体から固体へ硬化するもの)を塗布して固めることにより支え材35を形成してもよい。支え材35は図8の突出部6i,6jとなるものであり、材料には突出部の材料として好適な材料を選択する。そして、支え材35を貼り付けた後、樹脂を流し込んで上下から圧力を加えることで保護層5を形成する。このとき、保護層5の高さが支え材35の高さよりも低くなるようにすることが好ましい。なお、RFIDインレット10の中央付近に溜まっている樹脂は、圧力が加わることで、支え材35の間に設けた間隙から外部に排出される。
この製造方法によれば、支え材35を用いて簡易に突出部を形成可能になる。したがって、製造コストの削減にもつながる。
図17は、第5の製造方法の説明図である。図17(a)はRFIDインレット10の斜視図であり、図17(b)は図17(a)のL−L'線断面図である。ここでも、図8に示した第8のバリエーションによるRFIDインレット10を例に用いて説明する。
この製造方法と第4の製造方法との違いは、支え材が基材2を貫通しているか否かという点にある。この製造方法では、図8の突出部6i,6jとなる支え材36は基材2を貫通しており、上下の突出部に共通している。製造の際には、まず初めに基材2に貫通孔を切削する。そして、その貫通孔に適切なサイズの直方体形状の支え材36を挿入する。このとき、支え材36の基材2からの飛び出し量が上下で等しくなるようにし、その状態が維持されるよう、接着剤等を用いて支え材36を基材2に固定する。保護層5については、支え材36を基材2に固定した後、第4の製造方法で説明したのと同様にして形成する。
この製造方法によれば、支え材36を用いて簡易に突出部を形成可能になる。したがって、製造コストの削減にもつながる。また、第4の製造方法で製造する場合に比べると、基材2にかかる力を低減することが可能になる。
以上説明したように、RFIDインレット10によれば、保護層の紙側表面に突出部が設けられ、しかも突出部は平面的に見てICチップ及びアンテナ導体と重ならない部分にあるので、突出部が緩衝材となってICチップ及びアンテナ導体に加わる圧力が軽減される。したがって、抄紙工程で発生する高圧に耐え得る構造を有するRFIDインレットが提供されている。
ここで、本発明と特許文献1に記載の無線ICチップとの差異を記しておく。本発明は、封止保護層(ICチップのみ、又は基材、ICチップ、及びアンテナ導体を封入する保護層)を有するRFIDインレットを前提としている。この封止保護層は、上述したように、突出部の直下にある保護層が圧力により圧縮変形しても、その変形が他の部分の保護層にほとんど伝わらない比較的軟らかい材料、具体的には樹脂で作られているため、突出部に強い圧力が加わっても、ICチップ及びアンテナ導体にはその圧力が伝わらない。これに対し、特許文献1に記載の無線ICチップでは、スレッドの凹部内に入れられた無線ICチップは剥き出し(保護層なし)の状態である。また、特許文献1のスレッドは「加圧に対して変形しない材料」で作られている。
また、平面スパイラル状のアンテナ導体4の外側及び中央部の配線がない部分を有効に活用し、抄紙工程で発生する高圧に対する耐力がより強化されたRFIDインレットを提供することが可能になる。
さらに、突出部の端部や表面を利用し、紙とRFIDインレットの密着性をより一層向上させることが可能になる。
また、PET樹脂、紙製のシール、レジストなどの部材を保護層に取り付けることで、簡易に突出部を構成することが可能になる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では紙を用いるRFID及びその中に挟んで用いるRFIDインレットについて説明したが、紙以外の材料、例えば布などを用いるRFID及びその中に挟んで用いるRFIDインレットについても本発明は同様に適用可能である。また、本発明のRFIDインレットはそれ自体で耐圧・耐衝撃性能を有しているので、露出して用いることにも好適である。
本発明の実施の形態によるRFIDインレットの構成を示す図である。(a)はRFIDインレットの上面透視図であり、(b)は(a)のA−A'線断面図である。 (a)はカレンダ処理の説明図であり、(b)は突出部の高さの説明図である。 (a)は本発明の実施の形態の第1のバリエーションによるRFIDインレットの断面図であり、(b)は本発明の実施の形態の第2のバリエーションによるRFIDインレットの断面図である。 (a)は本発明の実施の形態の第3のバリエーションによるRFIDインレットの断面図であり、(b)は本発明の実施の形態の第4のバリエーションによるRFIDインレットの断面図である。 (a)は本発明の実施の形態の第5のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図であり、(b)は(a)のD−D'線断面図である。 (a)は本発明の実施の形態の第6のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図であり、(b)は(a)のE−E'線断面図である。 (a)は本発明の実施の形態の第7のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図であり、(b)は(a)のF−F'線断面図である。 本発明の実施の形態の第8のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図である。 本発明の実施の形態の第9のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図である。 本発明の実施の形態の第10のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図である。 (a)は、本発明の実施の形態の第11のバリエーションによるRFIDインレットの上面透視図であであり、(b)は(a)のH−H'線断面図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第1の製造方法の説明図である。(a)はRFIDインレットの斜視図であり、(b)は(a)のI−I'線断面図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第1の製造方法のバリエーションの説明図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第2の製造方法の説明図である。(a)はRFIDインレットの斜視図であり、(b)は(a)のJ−J'線断面図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第3の製造方法の説明図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第4の製造方法の説明図である。(a)はRFIDインレットの斜視図であり、(b)は(a)のK−K'線断面図である。 本発明の実施の形態によるRFIDインレットの第5の製造方法の説明図である。(a)はRFIDインレットの斜視図であり、(b)は(a)のL−L'線断面図である。
符号の説明
2 基材
3 ICチップ
4 アンテナ導体
5 保護層
5a,5b 紙側表面
6a〜6h 突出部
7a〜7c 平板状部材
8a,8b シール状部材
9a〜9c ガラス繊維
10 RFIDインレット
33A,33B 金型
33Aa,33Ba 溝部
P 紙
R ローラー
S 切断線

Claims (8)

  1. 基材と、該基材の表面に設けられたICチップ及びアンテナ導体と、該ICチップを保護する保護層とを有し、
    前記保護層の前記基材に対向する面の反対側の表面のうち、平面的に見て前記ICチップと重ならない領域の少なくとも一部に、該表面から突出した突出部が設けられることを特徴とするRFIDインレット。
  2. 前記保護層は前記アンテナ導体も保護し、
    前記突出部は、前記表面のうち、平面的に見て前記ICチップ及び前記アンテナ導体と重ならない領域の少なくとも一部に、該表面から突出して設けられることを特徴とする請求項1に記載のRFIDインレット。
  3. 前記突出部は、離間して複数設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDインレット。
  4. 前記突出部は、前記基材の前記表面を前記ICチップ又は前記アンテナ導体と交差しつつ横断する任意の横断線と、前記ICチップ又は前記アンテナ導体の少なくとも一部を挟んだ複数箇所で交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のRFIDインレット。
  5. 前記突出部は、前記保護層に取り付けた部材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のRFIDインレット。
  6. 前記突出部は、前記基材上に貼り付けた支え材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のRFIDインレット。
  7. 前記突出部は、前記基材を貫通する支え材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のRFIDインレット。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のRFIDインレットを挟み込んだRFID。
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