JP2010054514A - 短いエピトープに対して向けられる複数組のディジタル抗体、およびその使用 - Google Patents

短いエピトープに対して向けられる複数組のディジタル抗体、およびその使用 Download PDF

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    • C07K16/40Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against enzymes

Abstract

【課題】ガン細胞および/または組織を含む、または、ガン細胞および/または組織由来のタンパクサンプルの検出・特性解明(特定を含む)のための新規方法を提供する。
【解決手段】本発明は一般に、短いエピトープに対して向けられる複数組のディジタル抗体、および、タンパク分析法におけるその使用に関する。本発明のディジタル抗体のセットは、少なくとも約15種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、各ディジタル抗体は、連続する3個のアミノ酸、または連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合する。このセットは、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープに結合する100種のディジタル抗体を含み得る。
【選択図】なし

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2002年10月15日出願および2003年8月18日出願の、米国仮出願第60/418,277号および第____の優先権利益を主張するものである。なお、前記両出願の内容の全体を引用することにより本出願に含める。
(発明の分野)
本発明は一般に、短いエピトープに対して向けられる複数組のディジタル抗体、および、タンパク分析法におけるその使用に関する。
(連邦政府援助研究または開発に関する言明)
適用されず。
(発明の背景)
プロテオミクスは、遺伝子活性のタンパクレベルにおける測定を含む。今日、プロテオミクス目的にとってもっとも一般的なツールは、2次元ゲル電気泳動と質量分析の組み合わせ(2D−MS)である。このシステムにはいくつか限界がある。先ず、検出感度と2D電気泳動の解像度が低い。第二に、質量分析の使用でコストは格段に上がる。最後に、2D電気泳動は時間がかかる。極めて良く設備の整った実験室でも毎週約200から400個の2Dゲルしか実行できない。従って、タンパク分析法の改良が求められている。
臨床微生物学の実施、および、環境試験、例えば、食品安全性やバイオハザード安全試験においては、細菌またはウィルス感染の検出およびその特性解明は決定的な重要性を持つ。微生物は、その表現型と遺伝子型のいずれにおいても極めて多様である。例えば、ブドウ球菌は32種と15亜種から成る。しかしながら、現行の診断法は、一般に、単一の微生物またはウィルスしか検出できないから、ある微生物またはウィルスの検出・特性解明のためにはいくつかの特異的試験の使用が必要とされる。従って、細菌および/またはウィルスを含む、または細菌および/またはウィルス由来のサンプルを含む、タンパクサンプルの検出・特性解明(特定を含む)の新規方法が求められている。
ガンは、ガンの組織タイプと部位に基づいて分類することが可能である。各タイプのガンは、大抵は腫瘍サイズ、およびガンが他の器官に侵入したかどうかに基づいてさらに異なる段階に分類することが可能である。例えば、前立腺ガンは、現行の方法を用いてT0からT4の段階に分類することが可能である。別の例として、ガンはまた、腫瘍の構造組織および/または細胞分化レベルに基づいて様々の等級に分類することも可能である。しかしながら、これらの形態学的および/または組織学的分類は、臨床的治療とは相関しないことがよくあり、また、初期段階のガンまたは前ガン細胞を特定することができない場合がよくある。従って、ガン細胞および/または組織を含む、または、ガン細胞および/または組織由来のタンパクサンプルの検出・特性解明(特定を含む)のための新規方法が求められている。
特許出願および公報を含め、本明細書に引用される参照文献は全て、引用することによってその全体を本明細書に含めることとする。
(発明の要旨)
本発明は、複数組のディジタル抗体、およびディジタル抗体の使用を含む方法を提供する。
従って、一つの局面では、本発明は、複数組のディジタル抗体であって、各組は少なくとも約15種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、かつ、各抗体は、連続する3個のアミノ酸、または、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合することを特徴とする複数組のディジタル抗体を提供する。ある実施態様では、この組は、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000個、またはそれを越える数の内から任意に選ばれる種類の抗体を少なくとも含む。ある実施態様では、この組は、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープに結合する100種のディジタル抗体を含む。別の実施態様では、この組は、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合する、さらに100種のディジタル抗体を含む。さらに別の実施態様では、この組は、連続する5個のアミノ酸から成るエピトープに結合する、100種のディジタル抗体をさらに含む。別の実施態様では、このディジタル抗体のセットは、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、各ディジタル抗体は、3個の連続するアミノ酸、4個の連続するアミノ酸、または5個の連続するアミノ酸から成るエピトープに結合する。さらに別の実施態様では、このディジタル抗体のセットは、4個の連続するアミノ酸から成るエピトープに結合する、少なくとも1000種のディジタル抗体を含む。さらに別の実施態様では、この組は、5個の連続するアミノ酸から成るエピトープに結合する、少なくとも100種のディジタル抗体をさらに含む。別の実施態様では、この組は、3個の連続するアミノ酸から成るエピトープに結合する、少なくとも100種のディジタル抗体をさらに含む。「様々のエピトープ」とは、重複するアミノ酸配列を有するエピトープ同士に加えて、重複しないアミノ酸配列を有するエピトープをも含むものであることが理解される。
別の局面で、本発明は、本明細書に記載される複数のディジタル抗体セットから任意に選ばれる一組を含むアレイを提供する。アレイを作成する方法は従来技術でよく知られており、また、本明細書でもさらに記述される。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、(a)サンプルを、本明細書で記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去すること)、および、(c)タンパクの抗体に対する結合を検出し、それに基づいてタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、前記方法はディジタル抗体のセットに結合するタンパクを検出することを含み、それに基づいてタンパク結合プロフィールが生成され、前記ディジタル抗体のセットに結合されるタンパクは、(a)サンプルを、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と接触させること、および、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去することを含む方法によって生成されることを特徴とする、タンパク結合プロフィール生成法を提供する。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、前記方法は、(a)サンプルと接触させられたディジタル抗体のセットから未結合タンパク
を分離すること、および、(b)抗体に対するタンパクの結合を検出することを含み、それに基づいてタンパク結合プロフィールが生成され、サンプルと接触させられたディジタル抗体のセットから未結合タンパクが、サンプルを、本明細書に記載される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれた一組と接触させることを含む方法によって生成されることを特徴とする、タンパク結合プロフィール生成法を提供する。
自明なように、一つ以上の工程は併合されても、および/または、継時的に実行されても(多くの場合、必要な産物(単数または複数)が形成可能である限り、任意の順序で)よく、かつ、自明なように、本発明は、本明細書に記載される複数の工程の各種組み合わせを含む。また、本発明は、初期、または、第一工程が、本明細書に記述される複数の工程から選ばれる任意の工程である方法も含むことは自明であるし、また、本明細書にそう記載されてもいる。本発明の方法は、後の「下流」工程が第1工程となる実施態様を含む。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、前記方法は、(a)反応混合物をインキュベートすることであって、前記反応混合物は(i)本明細書に記載される複数組のディジタル抗体の内から選ばれた任意の組と、(ii)サンプルとを含み、インキュベーションは結合を可能とする条件下で行われ、(b)必要に応じて未結合タンパクを分離すること、および、(c)タンパクの抗体に対する結合を検出することを含み、それによってタンパク結合プロフィールが生成されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面では、本発明は、タンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、前記方法は、ディジタル抗体のセットに対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することを含み、そのディジタル抗体のセットに結合されるタンパクは、反応混合物をインキュベートすることであって、前記反応混合物は(i)本明細書に記載される複数組のディジタル抗体の内から選ばれた任意の組と、(ii)サンプルとを含み、インキュベーションは結合を可能とする条件下で行われ、(b)必要に応じて未結合タンパクを分離することを含む方法によって生成されることを特徴とする、タンパク結合プロフィール生成法を提供する。
当業者には明らかなように、混合し、得られた混合物をインキュベートすることに関わる局面は、各種混合物(様々な一次的組み合わせ、および/または、派生的組み合わせとして生ずる)を、所望の産物が形成されるようにインキュベートすることを含む方法実施態様をも包含する。
ある実施態様では、タンパク結合プロフィールの生成法は、タンパク切断剤によってサンプルを処理し、ポリペプチド断片を生成する工程をさらに含む。このサンプルを、工程(a)の、サンプルを、結合を可能とする条件下でディジタル抗体のセットと接触させる工程に先立って、タンパク切断剤によって処理することが可能である。このタンパク切断剤は、酵素(例えばキモトリプシンまたはトリプシン)、または化学的薬剤(例えば臭化シアン)であってもよい。
タンパク結合プロフィールは、ディジタル抗体とタンパクの間の結合の欠如に関する情報も含むものであることが理解されなければならない。さらに、タンパク結合プロフィールは、分析対象となるタンパクの特定に関する知識を前もって有する必要なく生成することが可能であること、既知・未知両方のタンパクが検出可能であることが理解されなければならない。従って、ある実施態様では、このタンパク結合プロフィールは、以前には知られていなかった因子、例えば、新規病原体を特定および/または検出するために使用することが可能である。
検出は定性的であっても、および/または、定量的であってもよい。ある実施態様では、一組の抗体の内の、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約75%、少なくとも約50%、少なくとも約30%の結合が検出される。ある実施態様では、一組の中の各抗体の結合が検出される。ある実施態様では、結合標識タンパクの有無、および/または、結合標識量が検出される。別の実施態様では、本明細書でさらに詳細に記述されるように、標識された競合的ポリペプチドが検出される。一般に、競合的ポリペプチドの使用を含む実施態様では、方法は、ディジタル抗体のセットを、競合的ポリペプチド(サンプルと組み合わせて、および/または、サンプルに対して継時的に)に接触させることをさらに含む。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法であって、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させる工程、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去する工程(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去する工程)、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成する工程、および、(d)工程(a)から工程(c)までを、少なくとも2種の異なるサンプルについて繰り返す工程を含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法であって、本明細書に記述されるタンパク結合プロフィール生成法の内から任意に選ばれる方法によって調製された、二つ以上のタンパク結合プロフィールから成る一組を編集することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーであって、そのライブラリーは、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれた方法を用いて調製されるライブラリーを提供する。
ある実施態様では、ライブラリーは、少なくとも約5,10,15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、または、それ以上(例えば、1000、2000、3000、4000以上)の結合プロフィールを含んでもよい。
別の局面で、本発明は、本発明の方法に従って生成されたタンパク結合プロフィール(タンパク結合プロフィールから成るライブラリーを含む)を用いる方法を提供する。従って、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル)の特性を解明する方法、試験サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法、細胞、細菌および/またはウィルスの特性を明らかにする方法、試験タンパクを特定する方法、タンパク複合体の特性解明、有無の検出、および/または、特定のための方法、および、スクリーニング法を提供する。本発明は、本明細書にさらに詳述するように、細胞、例えば、前核細胞(例えば細菌)、真核細胞、哺乳類細胞(ヒト、非ヒト哺乳類、例えば、げっ歯類を含む)、ガン細胞または前ガン細胞、微生物例えばウィルスを含む、または、そのような細胞から得られたサンプルの有無を検出する、および/または、特性を解明する方法の他に、その他の疾患および/または異常(例えば、ガンのタイプおよび/または段階、または、前ガン細胞の特定)の有無を検出する、および/または、診断する方法をさらに提供する。
一つの局面で、本発明は、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル)の特性を解明する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試
験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、試験サンプルの特性をその比較によって明らかにすることを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプルの特性を解明する方法であって、前記方法は、試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、試験サンプルの特性をその比較によって明らかにすることを含み、そのタンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することによって調製されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル)の特性を解明する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、本明細書に記述する方法の内から選ばれる任意の一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルの特性をその比較によって明らかにすることを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプルの特性を解明する方法であって、前記方法は、試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、タンパク結合プロフィールのライブラリーと比較し、その比較によって試験サンプルの特性を解明することを含み、そのタンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法によって調製され、さらに、タンパク結合プロフィールのライブラリーは、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されることを特徴とする方法を提供する。
ある実施態様では、特性解明とは、サンプル中の細胞、細菌またはウィルス(細胞、細菌および/またはウィルス由来のタンパク質またはタンパク質分画を含む)の特性解明を含む。別の実施態様では、特性解明とは、サンプル中の細胞の分類、例えば、ガン細胞または前ガン細胞の分類、または、サンプル中の細菌(例えば、病原性または非病原性、および/または、分類学的区分)の分類を含む。ある実施態様では、ガンのタイプ、段階、等級、および/または、その他の、ガンに特有の関連診断(および/または予後判定)特性が確定される。
別の局面で、本発明は、対象サンプルの有無を決定する、および/または、対象サンプルを特定する方法であって、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、その対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、対象サンプルの有無および/または特性をその比較に
よって明らかにすることを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、対象サンプルの有無を確定する、および/または、対象サンプルを特定する方法であって、前記方法は、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較し、その比較によって、対象サンプルの有無および/または特定を定めることを含み、タンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法によって生成されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、対象サンプルの有無を検出する、および/または、対象サンプルを特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、その対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較し、その比較によって試験サンプルにおける対象サンプルの有無を確定する、および/または、対象サンプルを特定することを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、対象サンプルの有無を検出する、および/または、対象サンプルを特定する方法であって、前記方法は、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較し、試験サンプルにおける対象サンプルの有無および/またはその内容を特定することを含み、試験サンプルのタンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、その対象サンプルを含むことを疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法によって生成され、かつ、タンパク結合プロフィールのライブラリーは、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプルにおいて、細胞、細菌および/またはウィルスの有無を確定する、および/または、その内容を特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、試験サンプルにおける細胞、細菌またはウィルスの有無および/または特定判断をその比較によって確定することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、細胞、細菌および/またはウィルスの有無を確定する、および/または、その内容を特定する方法であって、前記方法は、細胞、細菌および/またはウィルスを含むことが疑われる試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、細胞、細菌またはウィルスの有無および/ま
たは特定判断をその比較によって確定することを含み、タンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法によって生成されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプルにおける細胞、細菌および/またはウィルスの有無を検出する、および/または、その内容を特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較し、その比較によって試験サンプルにおける細胞、細菌またはウィルスの有無および/または特定判断を確定することを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、細胞、細菌および/またはウィルスの有無を検出する、および/または、その内容を特定する方法であって、前記方法は、細胞、細菌および/またはウィルスを含むことが疑われる試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルにおける細胞、細菌および/またはウィルスの有無および/または特定判断をその比較によって確定することを含み、試験サンプルのタンパク結合プロフィールは、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成する方法によって生成され、かつ、タンパク結合プロフィールのライブラリーは、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されることを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験タンパクを特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、試験タンパクを含むサンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)その組における抗体に対するタンパクの結合の有無を検出することを含み、少なくとも約6種のディジタル抗体がタンパクに結合し、結合の存在は、タンパクにおける少なくとも約6種のエピトープの存在を示し、その少なくとも約6種のエピトープの特定内容(すなわち、直線的アミノ酸配列)を用いてタンパクを特定することを特徴とする方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験タンパクを特定する方法であって、前記方法は、本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、タンパクの結合の有無を検出することを含み、少なくとも約6種のディジタル抗体がタンパクに結合し、結合の存在は、タンパクにおける少なくとも約6種のエピトープの存在を示し、その少なくとも約6種のエピトープの特定内容(すなわち、直線的アミノ酸配列)を用いてタンパクを特定し、タンパクの結合は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、試験タンパクを含むサンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)その組における抗体に対するタンパクの結合の有無を検出することを含む方法によって形成されることを特徴とする方法を提供する。ある実施態様では、試験タンパクは、長さが約500個のアミノ酸から成る。
別の局面で、本発明は、試験タンパクを特定する方法であって、前記方法は、少なくとも6種のディジタル抗体によって認識される、少なくとも約6種のエピトープの特定内容に基づいてその試験タンパクを特定することを含み、前記少なくとも約6種のディジタル抗体はタンパクに結合し、抗体に対するタンパクの結合が(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、試験タンパクを含むサンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)その組における抗体に対するタンパクの結合の有無を検出することを含む方法によって検出され、少なくとも約6種のディジタル抗体はタンパクに結合することを特徴とする方法を提供する。
ある実施態様では、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30種、またはそれ以上の(例えば、約40、50、60種、またはそれ以上)のディジタル抗体の結合およびエピトープ内容を用いて試験タンパクを特定する。ある実施態様では、方法は、エピトープ特定情報(すなわち、抗体によって結合される直線的アミノ酸配列)を、タンパク配列情報を含むデータベース(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列)と比較することをさらに含む。ある実施態様では、サンプルは純粋タンパクを含む。別の実施態様では、サンプルは実質的に純粋なタンパクを含む。
別の局面で、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、スクリーニング法、および、タンパク複合体の特性を解明する方法、有無を検出する方法、および/または、内容を特定する方法を提供する。
抗体は、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fc等)、キメラ抗体、一本鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク、および、必要な特異性を有する抗原認識部位を含む、その他の全てのポリペプチドを含むことが可能である。抗体は、げっ歯類、ラット、ウサギ、ニワトリ、ヒト、または、他の任意の起源(ヒト化抗体を含む)のものであってもよい。
本明細書で使用する「サンプル」とは、各種のサンプルタイプおよび/または起源のもの、例えば、血液および、その他の生物起源の液性サンプル、固体組織サンプル、例えば、バイオプシー標本、または組織培養、またはそれから得られた細胞、およびそれから得られた子孫を含む。「サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、また培養細胞、細胞上清、細胞分解物、血清、血漿、生物学的流体、および、例えば、サンプルを、それから細菌またはウィルスサンプルを増加する、濃縮する、および/または、実質的に精製するために(または、ある実施態様では、細菌および/またはウィルスを含むサンプルの量を増やすために)培養する場合に見られるように、上記の任意のものから得られる純粋な、または濃縮された細菌またはウィルスサンプルを含む。サンプルは、微生物、例えば、細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、カビ、真菌、植物、ヒトのような哺乳類を含む動物由来のものであってよい。サンプルは、単一細胞を、または単一細胞を越えるものを含んでいてもよい。これらの細胞は、従来技術で既知の方法、例えば、分解、画分、アフィニティー精製を含む精製、FACS,レーザーキャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)、または、等密度遠心分離法によって調製することが可能である。ある実施態様では、細胞内微細分画法を用いて、細胞、または、細胞内分画、例えば、核、ミトコンドリア、ゴルジ器官、小胞体、葉緑体、電子高および低密度膜、および、原形質の濃縮物を作成する。一つの実施態様では、サンプルは、実質的に元のままのタンパク複合体を含む。ある実施態様では、このタンパク複合体は、例えば、核酸関連受容体(例えばエストロゲン受容体)、または、膜関連受容体(例えば上皮性成長因子受容体、IL−6受容体、ストレス/アポトーシス経路、キモカイン経路、MMP転写経路)、または、細胞サイクル経
路から調製される、受容体関連タンパク複合体またはシグナル変換関連タンパク複合体である。
別の局面で、本発明は、ハイブリドーマ2.04、2.03または2.11から選択された、ディジタル抗体を生産するハイブリドーマを提供する。ある実施態様では、本発明は、ハイブリドーマ2.04、2.03または2.11から生成されるディジタル抗体を提供する。別の実施態様では、本発明は、ハイブリドーマ2.04、2.03または2.11によって生産されるディジタル抗体の、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む抗体を提供する。さらに別の実施態様では、本発明は、ハイブリドーマ2.04、2.05および/または2.11によって生産されるディジタル抗体の、一つ以上のCDR(単複)(例えば、2、3、4、5および/または全6種のCDR)を含む抗体を提供する。
別の局面で、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含む組成物を提供する。ある実施態様では、組成物は、本明細書に記述される複数の方法の内から任意に選ばれる方法に使用される。一つの実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と共に、タンパク複合体を含む組成物を提供する。別の実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、サンプルとを含む組成物を提供する。ある実施態様では、抗体は、アレイのような、固相または半固相の表面に固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識抗体である。ある実施態様では、本発明は、本明細書に記述されるディジタル抗体のセット、サンプル、および、一組の競合ポリペプチドを含む組成物であって、前記競合ポリペプチドは、そのディジタル抗体のセット中の1種以上のディジタル抗体の、認識アミノ酸配列(単複)を含むことを特徴とする組成物を提供する。ある実施態様では、競合ポリペプチドは標識される。
本発明はさらに、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含むキットを提供する。ある実施態様では、キットはさらに、本明細書に記述される複数の方法の内から任意に選ばれる方法に関する指令を含む。ある実施態様では、抗体は、アレイのような、固相または半固相の表面に固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識抗体である。さらに別の実施態様では、キットは、本明細書に記述されるタンパク結合プロフィールの複数のライブラリーの内から任意に選ばれるライブラリーを含む。さらに別の実施態様では、キットはさらにラベルを含む。さらに別の実施態様では、キットは、前記ディジタル抗体のセットの1種以上のディジタル抗体の認識アミノ酸配列(単複)を含む、一組の競合ポリペプチドを含む。ある実施態様では、競合ポリペプチドは、標識競合ポリペプチド(単複)である。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
ディジタル抗体のセットであって、上記セットは少なくとも約15種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、各ディジタル抗体は、連続する3個のアミノ酸、または連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合することを特徴とする、ディジタル抗体のセット。
(項目2)
上記セットは、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープに結合する100種のディジタル抗体を含むことを特徴とする、項目1に記載のディジタル抗体のセット。
(項目3)
上記セットは、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合する100種のディジタル抗体をさらに含むことを特徴とする、項目2に記載のディジタル抗体のセット。
(項目4)
上記セットは、連続する5個のアミノ酸から成るエピトープに結合する100種のディジタル抗体をさらに含むことを特徴とする、項目3に記載のディジタル抗体のセット。
(項目5)
上記セットは、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000種のディジタル抗体を含むことを特徴とする、項目1に記載のディジタル抗体のセット。
(項目6)
上記セットは、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープに結合する少なくとも1000種のディジタル抗体を含むことを特徴とする、項目1に記載のディジタル抗体のセット。
(項目7)
上記セットは、連続する5個のアミノ酸から成るエピトープに結合する少なくとも100種のディジタル抗体をさらに含むことを特徴とする、項目6に記載のディジタル抗体のセット。
(項目8)
上記セットは、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープに結合する少なくとも100種のディジタル抗体をさらに含むことを特徴とする、項目7に記載のディジタル抗体のセット。
(項目9)
上記ディジタル抗体は表面上に固定されることを特徴とする、項目1に記載のディジタル抗体のセット。
(項目10)
上記ディジタル抗体は表面上に固定されることを特徴とする、項目4に記載のディジタル抗体のセット。
(項目11)
上記表面はアレイであることを特徴とする、項目9または10に記載のディジタル抗体のセット。
(項目12)
タンパク結合プロフィールを生成する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、および、
(c)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、
を含む方法。
(項目13)
上記方法は、ディジタル抗体のセットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触さ
せる工程(a)の前に、サンプルをタンパク切断剤で処理する工程をさらに含むことを特徴とする、項目12に記載の方法。
(項目14)
タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(c)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(e)少なくとも二つのサンプルについて工程(a)から(c)までを繰り返すこと、
を含む方法。
(項目15)
上記方法は、ディジタル抗体のセットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させる工程(a)の前に、サンプルをタンパク切断剤で処理する工程をさらに含むことを特徴とする、項目14に記載の方法。
(項目16)
タンパク結合プロフィールのライブラリーであって、項目14に記載の方法を用いて調製されることを特徴とするライブラリー。
(項目17)
試験サンプルの特性を解明する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体の複数セットに、結合を可能とする条件下で試験サンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(c)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを参照サンプルのタンパク結合プロフィールと比較し、試験サンプルの特性をその比較によって明らかにすること、
を含む方法。
(項目18)
上記比較工程(d)がタンパク結合プロフィールのライブラリーとの比較であり、そのタンパク結合プロフィールのライブラリーが、
(i)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させること、
(ii)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(iii)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(iv)少なくとも二つのサンプルについて工程(i)から(iii)までを繰り返すこと、
を含む方法によって生成されることを特徴とする、項目17に記載の方法。
(項目19)
サンプルにおける細菌、ウィルスまたは細胞の有無を決定する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下で試験サンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(c)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを参照サンプルのタンパク結合プロフィールと比較し、試験サンプルにおける細菌、ウィルスまたは細胞の有無をその比較によって確定すること、
を含む方法。
(項目20)
上記比較工程(d)がタンパク結合プロフィールのライブラリーとの比較であり、そのタンパク結合プロフィールのライブラリーが、
(i)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させること、
(ii)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(iii)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(iv)少なくとも二つのサンプルについて工程(i)から(iii)までを繰り返すこと、
を含む方法によって生成されることを特徴とする、項目19に記載の方法。
(項目21)
細菌、ウィルスまたは細胞を特定する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下で試験サンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(c)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを参照サンプルのタンパク結合プロフィールと比較し、試験サンプルにおける細菌、ウィルスまたは細胞をその比較によって確定すること、
を含む方法。
(項目22)
上記比較工程(d)がタンパク結合プロフィールのライブラリーとの比較であり、そのタンパク結合プロフィールのライブラリーが、
(i)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させること、
(ii)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(iii)抗体に対するタンパクの結合を検出し、それによってタンパク結合プロフィールを生成すること、および、
(iv)少なくとも二つのサンプルについて工程(i)から(iii)までを繰り返すこと、
を含む方法によって生成されることを特徴とする、項目21に記載の方法。
(項目23)
試験タンパクを特定する方法であって、
(a)項目1に記載のディジタル抗体セットに、結合を可能とする条件下で試験タンパクを含むサンプルを接触させること、
(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、
(c)その抗体セットに対するタンパクの結合の有無を検出し、その際少なくとも約6種のディジタル抗体がタンパクに結合し、結合の存在はそのタンパクにおいて少なくとも約6種のエピトープが存在することを示し、その少なくとも約6種のエピトープの同一性を用いてそのタンパクを特定すること、
を含む方法。
(項目24)
少なくとも約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、または約25種のディジタル抗体がタンパクに結合することを特徴とする、項目23に記載の方法。
(項目25)
上記サンプルは、細胞タンパク、または、細胞タンパクの分画を含むことを特徴とする、項目12、14、17、19、21、または23のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
上記サンプルは細胞またはウィルスのサンプルであることを特徴とする、項目12、14、17、19、21、または23のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
上記方法は、ディジタル抗体のセットに、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させる工程(a)の前に、サンプルをタンパク切断剤で処理する工程をさらに含むことを特徴とする、項目17、19、21、または23のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
項目1に記載のディジタル抗体のセットを含むキット。
図1は、それぞれ、第2群および第5群マウスにおける、免疫化ポリペプチドの配列を含むマッピングポリペプチドによる反応パターンを示す。 図2は、100種のコンピュータシミュレーションディジタル抗体から成る1組を用いて調製した、コンピュータシミュレーションタンパク結合プロフィールを示す。X軸は、100種のディジタル抗体のそれぞれに対応し、Y軸は結合したタンパク量を表す。タンパク結合プロフィールを形成する各バーは、各ディジタル抗体によって結合されたタンパクの量に対応する。 図3は、100種のコンピュータシミュレーションディジタル抗体から成る1組を用い、1種以上のウィルスタンパクを含むシミュレーションサンプル(パネルA)、および、シミュレーションコントロールサンプル(パネルB)から調製した、コンピュータシミュレーションによるタンパク結合プロフィールを示す。X軸は、100種のディジタル抗体のそれぞれに対応し、Y軸は結合したタンパク量を表す。各バーは、各ディジタル抗体によって結合されたタンパクの量に対応する。パネルCは、ウィルスサンプルタンパク結合プロフィールから、コントロールタンパク結合プロフィールを差し引いた後に得られるタンパク結合プロフィールを示す。 図4は、本発明のディジタル抗体マイクロアレイの、一つの例示の実施態様を示す。市販の、高処理自動化システムに合わせるために、標準的な96ウェルマイクロタイタープレート形式が用いられる。各単一ウェル内に、百から2百種のディジタル抗体が二重にコートされ、各マイクロウェル内部に抗体のアレイを形成する。フルオレセインまたは酵素標識された、単一または複数エピトープ阻害性ポリペプチドを、トリプシン消化タンパクサンプルと混合し、競合的抗体抗原反応方式において抗体とインキュベートした。直後に、または、酵素接合抗フルオレセイン抗体を加えて感度を増した後に、蛍光リーダーの下で信号を目視することが可能である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、小型のポリペプチドエピトープを認識する抗体、従来技術ではよく「交差反応抗体」と呼ばれる抗体は、組み合わせて用いると、一組の抗体と、サンプル中のタンパクとの間の結合に関して特徴的なパターンを生成し、そのタンパク結合パターン−タンパク結合プロフィールと呼ばれる−を、そのタンパクサンプルの特性解明に、または、「フィンガープリンティング」に使用することが可能であるという発見から生まれたものである。本発明は、交差反応抗体(すなわち、小型エピトープを認識する抗体であって、そのために多様なタンパクに結合することが予想される抗体)を組み合わせて用いることによって、サンプルの特性を解明し、一意に特定し(サンプル中の1種以上の成分の特定を含む)、および/または、相互に区別することを可能とするほど十分な特異性を持つタンパク結合プロフィールを生成することが可能であろうという予見から生まれたものである。
従って、抗体結合から生じる結果および情報の特異性は、特異性検出のために従来技術で一般に行われるように、僅かに1種または数種のタンパクに結合するだけの単一抗体の結合によってではなく、複数組のディジタル抗体の結合を通じて、サンプル中のタンパクに付与される(それを通じて、ある特定のタンパク結合プロフィールが生成される)。一般に、タンパク結合パターンは、各ディジタル抗体と、サンプル中のタンパク(単複)の間のタンパク結合の存在(または不在)、および/または、タンパク結合の強度(量)に関する情報を含む。タンパク結合プロフィールを用いて、例えば、タンパクサンプルの起源(例えば、病原体由来のもの、ガン細胞由来のもの)を特定するのに使用が可能であり、または、従来未知の因子、例えば、新規病原体を特定または検出するのに使用が可能である。
小型ペプチドエピトープを認識するディジタル抗体は、連続する3個のアミノ酸、連続する4個のアミノ酸、または、連続する5個のアミノ酸から成る、小型の直線的ペプチドエピトープに結合するが(一般的には、特異的に結合する)、その際、組の中の各抗体は、それぞれ異なる小型の直線的ペプチドエピトープに結合する。一つのディジタル抗体によって認識されるエピトープは小型であるために(すなわち、連続する3個のアミノ酸、連続する4個のアミノ酸、または連続する5個のアミノ酸)、一般に、単一ディジタル抗体は、複数のタンパクに(ある場合には、多数のタンパクに)、その複数のタンパク内部に小型認識エピトープが存在することによって結合する。従って、一般に、タンパクの各ディジタル抗体にたいする結合は、それぞれが、小型認識エピトープ配列の1個以上のコピーを所有する、複数のタンパク種の結合を反映する。同様に、単一タンパクが、そのタンパク内に複数の、小型エピトープ配列が存在するために、複数のディジタル抗体によって結合される可能性がある。一般に、ある任意の抗体によって認識されるエピトープの内容は既知であり、本明細書でさらに詳述されるように、この情報は、例えば、タンパクを特定する方法において有用である。
従って、一つの局面において、本発明は、3個の連続アミノ酸、4個の連続アミノ酸、または、5個の連続アミノ酸から成る小型直線ペプチドに結合する(一般的には、特異的に結合する)、複数組の抗体(「ディジタル抗体」と名づけられる)であって、その組の各抗体が異なる小型直線ペプチドエピトープに結合することを特徴とする複数組の抗体を提供する。「異なるエピトープ」とは、重複するアミノ酸配列を有するエピトープの他に、別々のアミノ酸配列を有するエピトープも含むことが理解される。ある実施態様では、一組は、各ディジタル抗体は異なるエピトープであって、3連続アミノ酸、4連続アミノ酸または5連続アミノ酸から成るエピトープに結合する、少なくとも約15個のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、一組は、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、またはそれ以上から選ばれる任意の数の抗体を含む。別の実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープ(3マーエピトープとも呼ばれる)を認識する、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープを認識する、約100種のディジタル抗体、および4連続アミノ酸から成るエピトープ(4マーエピトープとも呼ばれる)を認識する、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープを認識する約100種のディジタル抗体、4連続アミノ酸から成るエピトープを認識する少なくとも約100種のディジタル抗体、および5連続アミノ酸から成るエピトープを認識する少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。別の実施態様では、一組は、4連続アミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約1000種のディジタル抗体を含む。ディジタル抗体、およびディジタル抗体の作成法は、本明細書に下記にさらに詳述される。
別の局面で、本発明は、本明細書に記述される複数のディジタル抗体セットの内から任
意に選ばれる一組を含むアレイを提供する。アレイを生成する方法は従来技術でよく知られており、本明細書にさらに詳述される。
別の局面で、本発明はさらに、複数組のディジタル抗体を用いる方法を提供する。一般的概観として、その方法は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を用いてサンプルのタンパク結合プロフィールを生成することを含み、サンプルをディジタル抗体のセットに接触させ、サンプル中のタンパクと抗体の間に少しでも抗体・タンパク複合体が形成されたならば、その複合体を検出することを含む。この抗体・タンパク複合体の検出は、結合量(または強度)に関する情報を提供する。検出は、従来技術でよく知られる方法を用いて行われるが、本明細書でさらに詳述される。従って、タンパク結合プロフィールを生成する方法は一般に、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させる工程、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去する工程(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去する工程)、および、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成する工程を含む。一般に、一組の中の多数の抗体の結合が検出される。ある実施態様では、一組の抗体の少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約75%、少なくとも約50%、少なくとも約30%が検出される。ある実施態様では、一組の中の各抗体の結合が検出される。検出は定性的であっても、および/または、定性的であってもよい。ある実施態様では、タンパク結合プロフィールは(ディジタル抗体によって結合される小型エピトープが既知である限り)、そのディジタル抗体のセット中のディジタル抗体(単複)によって結合されるタンパク(単複)のアミノ酸内容に関する情報を含んでもよい。本明細書にさらに詳述するように、タンパク結合プロフィールは、サンプルに関する情報、例えば、サンプルの供給源(例えば、細菌および/またはウィルスのような病原体、ガン細胞または腫瘍)と相関させてもよいし、記録して、タンパク結合プロフィールの一つのライブラリー(例えばデータベース)の中に保存してもよい。
ある実施態様では、タンパク結合プロフィールを生成する方法はさらに、サンプルをタンパク切断剤によって処理してポリペプチド断片を生成する工程を含む。このサンプルは、(a)前記ディジタル抗体のセットと、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させる工程の前に、タンパク切断剤で処理することが可能である。このタンパク切断剤は、酵素(例えばキモトリプシンまたはトリプシン)、または化学的薬剤(例えば臭化シアン)であってもよい。タンパク切断剤、およびタンパク切断剤による処理の方法は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述する。
タンパク結合プロフィールのライブラリーは、2種以上の異なるサンプル、例えば、病原性細菌または非病原性細菌のサンプルに関するタンパク結合プロフィールを編集することによって生成することが可能である。これらのタンパク結合プロフィール同士を、タンパク結合パターン間に見られる類似性および/または差を識別するために、定性的にまたは定量的に互いに比較し合うことも可能である。ライブラリー中のタンパク結合プロフィールはまた、異なる供給源(例えば、異なる組織や、細胞タイプ、病状、または、異なる微生物)から得られたサンプルのタンパク結合プロフィールの比較評価を含む方法にも使用が可能である。例えば、タンパク結合プロフィールのライブラリーは、本明細書においてさらに詳述するように、タンパクサンプルの特性解明のための方法、細菌またはウィルス感染の診断方法、および/または、細胞、細菌または感染原因因子の検出および/または分類学的指定のための方法にとって有用である。例えば、未特定のサンプルから調製されたタンパク結合プロフィールを用いて、タンパク結合プロフィールのライブラリー(例えば、既知の細菌性病原体のライブラリー)と比較することによって、そのサンプルの特性解明および/または特定を実行してもよい。
従って、別の局面では、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法であって、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させる工程、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去する工程(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去する工程)、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成する工程、および、(d)工程(a)から工程(c)までを、少なくとも2種の異なるサンプルについて繰り返す工程を含む方法を提供する。ある実施態様では、ライブラリーは、少なくとも約5,10,15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、または、それ以上(例えば、1000、2000、3000、4000以上)の結合プロフィールを含む。別の局面で、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーであって、そのライブラリーは、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれた方法を用いて調製されるライブラリーを提供する。
別の局面で、本発明は、本発明の方法に従って生成されたタンパク結合プロフィール(タンパク結合プロフィールから成るライブラリーを含む)を用いる方法を提供するが、その中には、異なる供給源(例えば、異なる組織や、細胞タイプ、病状、または、異なる微生物)から得られたサンプルのタンパク結合プロフィールの比較評価を含む方法も含められる。従って、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル)の特性を解明する方法、試験サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法、細胞、細菌および/またはウィルスの特性を明らかにする方法、試験タンパクを特定する方法、タンパク複合体の特性解明、有無の検出、および/または、特定のための方法、および、スクリーニング法を提供する。ある実施態様では、方法は、試験サンプルから生成されたタンパク結合プロフィールを、参照タンパク結合プロフィール(例えば、コントロールサンプルから生成されたタンパク結合プロフィール(単複)、または正常値)と比較すること、または、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれた方法によって生成されたプロフィールのライブラリーと比較することを含む。
本発明はまた、タンパクを特定する方法であって、(a)そのタンパクを含むサンプルから生成されるタンパク結合プロフィール、および、(b)サンプルタンパクに結合するディジタル抗体によって認識されるエピトープのアミノ酸配列とを用い、ディジタル抗体のセット(一般に、約6種のディジタル抗体)の結合によって、前記タンパクの特定が可能となるほどそのタンパクのアミノ酸内容に関する情報が十分に得られることを特徴とする、タンパク特定法を提供する。例を挙げて示すならば、エピトープQAP、TPG、LTG、VSRおよびWDQを認識するディジタル抗体の、試験タンパクにたいする同時的結合は、そのタンパクがHCV NS3タンパクであると特定する。なぜなら、HCV NS3が、これら6種の3マーアミノ酸配列を含むことが知られる唯一のタンパクだからである。従って、一つの局面で、本発明は、試験タンパクを特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、試験タンパクを含むサンプルを接触させる工程、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去する工程、(c)その組の抗体に対するタンパクの結合の有無を検出する工程を含み、少なくとも約6種のエピトープがタンパクに結合し、結合の存在は、そのタンパクにおいて少なくとも約6種のエピトープの存在を示すものであり、その少なくとも約6種のエピトープの特定内容(すなわち、直線的アミノ酸配列)を用いて、そのタンパクを特定することを特徴とする方法を提供する。ある実施態様では、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30種、またはそれ以上の(例えば、約40、50、60種、またはそれ以上)のディジタル抗体の結合およびエピトープ内容を用いて試験タンパクを特定する。ある実施態様では、方法は、エピトープ特定情報(すなわち、抗体によって結合される直線的アミノ酸配列)を、タンパク配列情
報を含むデータベース(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列)と比較することをさらに含む。ある実施態様では、サンプルは純粋タンパクを含む。別の実施態様では、サンプルは実質的に純粋なタンパクを含む。
別の局面で、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、スクリーニング法、および、タンパク複合体の特性を解明する方法、有無を検出する方法、および/または、内容を特定する方法を提供する。
自明なように、一つ以上の工程は併合されても、および/または、継時的に実行されても(多くの場合、必要な産物(単複)が形成可能である限り、任意の順序で)よく、かつ、自明なように、本発明は、本明細書に記載される複数の工程の各種組み合わせを含む。また、本発明は、初期、または、第一工程が、本明細書に記述される複数の工程から選ばれる任意の工程である方法も含むことは自明であるし、また、本明細書にそう記載されてもいる。本発明の方法は、後の、「下流」工程が第1工程となる実施態様を含む。
別の局面で、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含む組成物を提供する。ある実施態様では、組成物は、本明細書に記述される複数の方法の内から任意に選ばれる方法に使用される。一つの実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と共に、タンパク複合体を含む組成物を提供する。別の実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、サンプルとを含む組成物を提供する。ある実施態様では、抗体は、アレイのような、固相または半固相の表面に固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識抗体である。ある実施態様では、本発明は、本明細書に記述されるディジタル抗体のセット、サンプル、および、一組の競合ポリペプチドを含む組成物であって、前記競合ポリペプチドは、そのディジタル抗体のセット中の1個以上のディジタル抗体の、認識アミノ酸配列(単複)を含むことを特徴とする組成物を提供する。ある実施態様では、競合ポリペプチドは標識される。
本発明はさらに、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含むキットを提供する。ある実施態様では、キットはさらに、本明細書に記述される複数の方法の内から任意に選ばれる方法に関する指令を含む。ある実施態様では、抗体は、アレイのような、固相または半固相の表面に固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識抗体である。さらに別の実施態様では、キットは、本明細書に記述されるタンパク結合プロフィールの複数のライブラリーの内から任意に選ばれるライブラリーを含む。さらに別の実施態様では、キットはさらにラベルを含む。さらに別の実施態様では、キットは、前記ディジタル抗体のセットの1個以上のディジタル抗体の認識アミノ酸配列(単複)を含む、一組の競合ポリペプチドを含む。ある実施態様では、競合ポリペプチドは、標識競合ポリペプチド(単複)である。
抗体結合、および、抗体結合検出のための方法および条件は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述される。ある実施態様では、ディジタル抗体のセットとの接触は継時的である(一つの抗体をサンプルと接触させると、それを外し、別の抗体をそのサンプルに接触させて外し、それを繰り返す)。別の実施態様では、ディジタル抗体セットとの接触は、例えば1群の抗体をサンプルに同時に接触させる場合のように、平行的である。ある実施態様では、2種以上の抗体から成る数群を継時的にサンプルに接触させる。例えば、第1群を接触させて外し、第2群を接触させて外し、それを繰り返す。
抗体は、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fc等)、キメラ抗体、一本鎖(ScFv)、それらの変
異体、抗体部分を含む融合タンパク、および、必要な特異性を持つ抗原認識部位を含む、その他の全てのポリペプチドを含むことが可能である。抗体は、げっ歯類、ラット、ウサギ、ニワトリ、ヒト、または、他の全ての起源(ヒト化抗体を含む)のものであってもよい。
定義において注記したように、本明細書で使用する場合、「サンプル」は、個体(ヒトおよび非ヒト個体を含む)から得られたものを含む、各種タンパクタイプを含む。サンプルはまた、食物、水または空気から得られたものであってもよい。ある実施態様では、サンプルは、タンパクサンプル、例えば、細胞タンパク全抽出物、または細胞全抽出物の分画(例えば、溶液タンパク、膜結合タンパク、末梢細胞質タンパク等)である。別の実施態様では、サンプルは、元のままのタンパク複合体、例えば、受容体接続タンパク複合体を含む。ある実施態様では、サンプルは、その特定が望まれる、純粋な(または実質的に純粋な)タンパクである。本発明の方法において使用が好適なサンプルを本明細書においてさらに詳述する。ある実施態様では、サンプルは、例えば、細胞から単離された、および/または、実質的に精製されたタンパク複合体を含む。ある実施態様では、ディジタル抗体のセットと、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させる工程の前に、そのサンプルをタンパク切断剤で処理することが可能である。このタンパク切断剤は、酵素(例えばキモトリプシンまたはトリプシン)、または化学的薬剤(例えば臭化シアン)であってもよい。タンパク切断剤、およびタンパク切断剤による処理の方法は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述する。
(一般的技術)
本発明の実施は、別様に指示しない限り、従来技術の範囲に含まれる、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の通例技術を用いる。このような技術は、文献に、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、second edition(Sambrook et al.,1989)、Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer
Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994);Current
Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a pra
ctical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);および、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)に十分に説明されている。
(定義)
「抗体」とは免疫グロブリン分子であって、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に、その免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1個の抗原認識部位を通じて特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、この用語は、元のままのポリクロナール抗体またはモノクロナール抗体のみならず、その断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、一本鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク、および、必要な特異性を持つ抗原認識部位を含む、その他の全ての免疫グロブリン分子の修飾形を含む。抗体は、全てのクラスの抗体、例えば、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)を含み、かつ、抗体はある特定のクラスのものである必要はない。免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、異なるクラスに振り分けることが可能である。免疫グロブリンには5個の主要クラス、IgA、IgD、IgE,IgGおよびIgMがあり、この内のいくつかはさらにサブクラス(イソタイプ)、例えば、IgG1,IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分割することが可能である。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する、重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。各種クラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元形態はよく知られている。
「Fv」とは、完全な抗原認識および結合部位を含む抗体断片である。2本鎖Fv分子種では、この領域は、緊密ではあるが、非共有的に結合された、1本の重鎖可変ドメインと1本の軽鎖可変ドメインとから構成されるダイマーから成る。単一鎖Fv分子種では、1本の重鎖可変ドメインと1本の軽鎖可変ドメインとが、屈曲性のあるポリペプチドリンカーによって共有的に結合され、そのために、軽鎖と重鎖は結合され、2本鎖Fv分子種の場合と同様のダイマー構造を取る。各可変領域の3個のCDRが相互作用を持って、VH−VLダイマーの表面に抗原結合特異性を定義するのは、この形態において行われる。一方、単一の可変ドメインであっても(または、抗原特異的CDRを3個しか含まないFvの半分でも)、全体結合部位に比べると一般に低い親和度ではあるけれども、抗原を認識し結合する能力を持つ。
「モノクロナール抗体」とは、均一な抗体集団であって、その中でモノクロナール抗体は抗原の選択的結合に与るアミノ酸(天然に得られる、および非天然的に得られるもの)から成ることを特徴とする均一な抗体集団を指す。モノクロナール抗体集団は(ポリクロナール抗体に対して)、それらの抗体は、単一の抗原部位にたいして向けられるという意味で特異性が高い。「モノクロナール抗体」という用語は、元のままのモノクロナール抗体および完全長モノクロナール抗体ばかりでなく、その断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、一本鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク、および、必要な特異性と抗原に対する結合能力(抗体の定義参照)とを持つ抗原認識部位を含む、その他の全ての免疫グロブリン分子の修飾形を含む。抗体の供給源、または、抗体の作成法(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、トランスジェニック動物による等)に関して限定されることを意図するものではない。
「ディジタル抗体」とは、連続する3個のアミノ酸、連続する4個のアミノ酸、または、連続する5個のアミノ酸から成る、小型の直線的ポリペプチドエピトープに結合する(一般的に、特異的に結合する)抗体である。
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すものとして互換的に使用される。ポリマーは直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。本用語はまた、天然に修飾されたアミノ酸ポリマー、または、介入によって、例えば、ジスルフィドボンド形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または、その他の任意の操作または修飾、例えば、標識成分との接合等によって修飾されたアミノ酸ポリマーも含む。この定義の中にはさらに、例えば、1個以上のアミノ酸類縁体(例えば、非天然性アミノ酸等を含む)の他に、従来技術で既知の他の修飾体も含まれる。
抗体に「特異的に結合する」または「指向的に結合する」(本明細書ではこれらは互換的に使用される)エピトープとは、従来技術でよく理解されている用語であり、このような特異的または指向的結合を確定する方法も従来技術でよく知られる。分子は、その分子が別の細胞や物質と反応するよりも、ある特定の細胞または物質と、より高頻度に、より急速に、より長い持続時間で、および/または、より高い親和度で反応する、または結合する場合、「特異的結合」または「指向的結合」を示すと言われる。抗体は、それが他の物質と結合する場合よりも、より高い親和度と積極性で、より速やかに、および/または、より長時間、標的に結合する場合、その標的に対して「特異的に結合する」または「指向的に結合する」ことになる。例えば、あるエピトープに対して特異的または指向的に結合する抗体は、他のエピトープに結合する場合よりも、そのエピトープに対して、より高い親和度と積極性、より速やかに、および/または、より長時間結合する抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1標的に特異的または指向的に結合する抗体(または機能基またはエピトープ)は、第2標的に対しても特異的または指向的に結合するかも知れないし、結合しないかも知れないことが理解される。この意味において、「特異的結合」または「指向的結合」は、必ずしも排他的結合を要求しない(もっとも排他的結合を含むことも可能である)。一般に−と言って必ずそうであるとは限らないが−結合への言及は指向的結合を意味する。
「サンプル」は、個体から得られたものを含めて、各種サンプルタイプを含む。本定義は、血液および、生物起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、例えば、バイオプシー標本または組織培養、またはそれから得られた細胞、およびその子孫を含む。サンプルは、微生物、例えば、細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、カビ、真菌、植物、哺乳類を含む動物、例えば、ヒト、げっ歯類(例えばマウスおよびラット)、およびサル(および他の霊長類)由来のものであってよい。サンプルは、単一細胞を、または単一細胞を越えるものを含んでいてもよい。本定義はまた、サンプルの入手後に何らかのやり方で操作された、例えば、試薬による処理、可溶化、いくつかの成分、例えば、タンパクまたはポリヌクレオチドについて濃縮されたサンプルも含む。「サンプル」という用語は、臨床サンプルを含み、さらに培養細胞、細胞上清、および、細胞分解物をも含む。他のタイプのサンプルについては本明細書においてさらに詳述する。
「検出する」とは、検出対象であるタンパクの存在、不在、および/または、量を特定することを指す。
本明細書で用いられる結合の「欠如」または「不在」、および「産物検出の欠如」とは、取るに足りない、または、最小レベルを含む。
ディジタル抗体のアレイとは、1種以上の抗体を、物理的基板の上に配した整然とした空間的配置である。このような配置を作成し、評価することが比較的単純であるという点で、行列配置が好ましい。しかしながら、この空間配置は、ユーザーによって選択される事実上任意の形態であってよく、またパターンを描くことが好ましいが、そうである必要はない。
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別様に指示しない限り、複数参照も含む。例えば、「an」antibody(抗体)は、1種以上の抗体を含み、「a protein」(タンパク)は、1種以上のタンパクを意味する。
(本発明のディジタル抗体セット)
本発明は、複数組のディジタル抗体であって、一組は少なくとも約15種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なる小型直線状ペプチドエピトープを認識することを特徴とする、複数組のディジタル抗体を提供する。本明細書で用いる「ディジタル抗体」とは、連続する3個のアミノ酸、連続する4個のアミノ酸、または、連続する5個のアミノ酸から成る、小型の直線的ポリペプチドエピトープに結合する(一般的に、特異的に結合する)抗体である。本発明は、小型で、高頻度に出現するポリペプチドエピトープを認識する抗体(従来技術ではよく「交差反応抗体」と呼ばれる)は、組み合わせて用いると、タンパク結合プロフィール(抗体に対する結合のパターン、および/または、抗体に対する結合の強度)を生成するのに有用であるという予見から生まれたものである。エピトープの特異性により、ディジタル抗体は一般に、抗体が結合する小型エピトープを含む複数のタンパクを認識する。従って、結合パターンの特異性は、特異性検出のために従来技術で一般に行われるように、僅かに1種または数種のタンパクに結合するだけの単一抗体の結合によってではなく、複数組のディジタル抗体がサンプル中のタンパクに結合することを通じて形成される。抗体によって結合される小型エピトープが既知である限り、ディジタル抗体による結合は、そのディジタル抗体によって結合される(単複)のアミノ酸内容に関する情報を提供する。ディジタル抗体、およびディジタル抗体作成法は、本明細書にさらに詳述され、実施例で例示される。
ある実施態様では、一組は少なくとも約15種のディジタル抗体を含み、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、各ディジタル抗体は、3連続アミノ酸、または4連続アミノ酸から成るエピトープに結合する。「異なるエピトープ」とは、重複するアミノ酸配列を有するエピトープの他に、別々の(非重複性)アミノ酸配列を有するエピトープも含むことが理解される。ある実施態様では、一組は、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、またはそれ以上の抗体を含む。別の実施態様では、一組は少なくとも約100種の抗体を含む。別の実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープ(3マーエピトープとも呼ばれる)を認識する、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープを認識する、約100種のディジタル抗体、および4連続アミノ酸から成るエピトープ(4マーエピトープとも呼ばれる)を認識する、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、一組は、3連続アミノ酸から成るエピトープを認識する約100種のディジタル抗体、4連続アミノ酸から成るエピトープを認識する少なくとも約100種のディジタル抗体、および5連続アミノ酸から成るエピトープを認識する少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。別の実施態様では、一組は、4連続アミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約1000種のディジタル抗体を含む。ディジタル抗体、およびディジタル抗体の作成法は、本明細書に下記にさらに詳述される。
抗体は、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fc等)、キメラ抗体、一本鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク、および、必要な特異性を持つ抗原認識部位を含む、その他の全てのポリペプチド(抗体様物質を含む、例えば、Xu et al,Chem.Biol.2002 Aug.9(8):933−42参照)を含む。抗体は、げっ歯類、ラット、ウサギ、ニワトリ、ヒト、または他の任意の起源のもの(ヒト化抗体を含む)であってよい。
本明細書に記載する通り、ディジタル抗体は、3、4または5個の連続する(継続的)アミノ酸から成る、短い、直線的ペプチドエピトープに結合する。ある実施態様では、ディジタル抗体は、継続する3個のアミノ酸(3マーと呼ぶ)、継続する4個のアミノ酸(4マーと呼ぶ)、または継続する5個のアミノ酸(5マーと呼ぶ)から成るエピトープに結合する。別の実施態様では、ディジタル抗体は、小型の、不連続な、直線的ペプチド配列、例えば、YCxCまたはYxCCであって、ここに「x」は、20種の天然アミノ酸の内から任意に選ばれる一つを表す直線的ペプチド配列に結合する。別に、「x」は、2種以上のアミノ酸から成るサブセットに限定されてもよい。エピトープを形成するアミノ酸(単複)は直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、また、天然に、または、介入によって、例えば、ジスルフィドボンド形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または、その他の任意の操作または修飾、例えば、標識成分との接合等によって修飾されたアミノ酸(単複)を含んでもよいことが理解される。エピトープを形成するアミノ酸(単複)はさらに、例えば、1個以上のアミノ酸類縁体(例えば、非天然性アミノ酸等を含む)の他に、従来技術で既知の他の修飾体も含んでよい。
小型の、直線的ペプチドエピトープに結合する抗体は、下記の表2において示すように、従来から記載されている。
ある実施態様では、ディジタル抗体は、少なくとも約10−7M、少なくとも10−8M、または、少なくとも約10−9M以下の結合反応親和度においてその認識エピトープに結合する。ある実施態様では、結合相互作用は、反応における副次的結合相互作用に対して、少なくとも約2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍から100倍以上の差で区別される。
本明細書で記述されるディジタル抗体セットの他に、他のタンパク結合因子(例えば、ディジタル抗体では無い抗体)も使用可能であることが理解される。
ディジタル抗体セットにおけるディジタル抗体の数は、想定される用法および用途に依存することは明白である。ディジタル抗体によって認識される認識アミノ酸エピトープの配列および/または長さに関する知識によって、そのセット内のディジタル抗体によって認識されるエピトープ(単複)の予想頻度に関する推定値を得ることが可能である。表1に示すように、3マー、4マーおよび5マーの直線的ペプチド配列に対して、それぞれ、合計8,000(20)、160,000(20)、および、3,200,000(20)通りのランダムな組み合わせが存在する。500アミノ酸をタンパクの平均長と考えると、ある平均長タンパクが、単一の抗3マー抗体によって検出される確率は0.0625であり、この確率は、15種の抗3マー抗体を用いた場合、約1に増加し、また、100種の抗3マー抗体を用いた場合、6.25に増加する。このような計算は通例のものである。
Figure 2010054514
上記から、本発明において必要とされるディジタル抗体の数は、各種の要因に依存することが理解される。その要因の中には、用法、用途、サンプルの複雑度(スプライス変異体のようなタンパク変異体を含むタンパクの予想数、推定数または以前に確定された数に関する)、サンプルにおけるタンパクの平均サイズ、認識エピトープがサンプル中に存在する、または、存在すると予想される頻度;ディジタル抗体(単複)の結合親和度および/または特異性;標的タンパク(単複)の知識;および、ディジタル抗体の安定性が含まれる。このような要因は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述される。
ディジタル抗体が結合するエピトープの特定内容(配列)は、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる方法、例えば、タンパクを特定する方法と組み合わせて用いることが可能であることが理解される。一般に、タンパクを特定するためには、少なくとも約15から約18個のアミノ酸エピトープ情報が入手されていなければならない。従って、ある実施態様では、少なくとも約6種の抗3マーディジタル抗体が、少なくとも約5種の抗4マーディジタル抗体が、または、少なくとも約4種の抗5マーディジタル抗体が、少なくとも約15−18個のアミノ酸を含むアミノ酸エピトープ情報が得られるように結合しなければならない。ある実施態様では、約500アミノ酸の平均長を持つタンパクに結合させるために、少なくとも約6種のディジタル抗体が使用される。
ディジタル抗体は、従来技術でよく知られる方法を用いて生成してよい。小型の直線的エピトープに結合する抗体は、表2に示すように従来から記述されている。
Figure 2010054514
別の局面で、また実施例で例示するように、ディジタル抗体(例えば、ヒト、ヒト化、マウス、キメラ)は、1種以上の小型ペプチドエピトープ、例えば、3、4または5個のアミノ酸から成る小型直線的ペプチドエピトープを発現する免疫原物質を用いて作成して
もよい。
ポリペプチドを合成する方法は従来技術でよく知られる。ある実施態様では、ポリペプチド免疫原は、複数抗原ポリペプチドまたはMAPとして合成される。
宿主動物免疫化のルートおよびスケジュールは、本明細書にさらに詳述されるように、一般に抗体刺激・生産用に確立された従来技術と軌を一にする。ヒト、マウス、ウサギおよびニワトリ抗体生産用の一般技術は従来技術で既知であり、本明細書に記載される。典型的には、本明細書に記述される通りの量の免疫原を腹腔内に接種する。
Kohler,BおよびMilstein,C.(1975)Nature256:495−497の一般的体細胞ハイブリダイゼーション法、または、Buck,D.W.等(1982)In Vitro,18:377−381による改正法を用いて、リンパ球と恒久化骨髄腫細胞とからハイブリドーマを調製することが可能である。X63−Ag8.653、および、Salk研究所、細胞支給センター、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国から市販のものを含む−ただしそれらに限定されない−市販の骨髄腫細胞系統を、このハイブリダイゼーションに使用することが可能である。一般に、この技法は、当業者にはよく知られているように、骨髄腫細胞と、リンパ球とを、ポリエチレングリコールのような融合剤を用いて、または、電気的手段を用いて融合させることを含む。融合後、細胞を融合液から分離し、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)液のような選択的育成培養液で育成させて、ハイブリダイズしなかった親細胞を除去する。本明細書で述べる培養液は全て、血清を添加すると否とを問わず、モノクロナール抗体を分泌するハイブリドーマを培養するのに使用が可能である。細胞融合に代わる別の一法として、EBV恒久化B細胞を用いて、本発明のディジタル抗体を生産してもよい。ハイブリドーマは、要すれば、拡大し、サブクローンされ、通例のイムノアッセイ過程(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)によって抗免疫原活性について上清を定量する。
抗体の供給源として使用が可能なハイブリドーマは、ディジタル抗体(例えばモノクロナール抗体)を生産する親ハイブリドーマの全ての誘導体、子孫細胞、または、それらの一部を含む。
このような抗体を生産するハイブリドーマは、既知の過程を用いて、インビトロまたはインビボにて育成してよい。モノクロナール抗体は、要すれば、培養液または体液から、通例の免疫グロブリン精製過程、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、塩析、クロマトグラフィーおよび超遠心によって分離が可能である。不要の活性がもしあるならば、それは例えば、固相に付着させた免疫原から形成される吸着剤の上を調剤を流し、所望の抗体を免疫原から溶出または解放することによって除去することが可能である。宿主動物を、ヒトまたは他の生物種の小型エピトープ受容体、または、ヒトまたは他の生物種の小型エピトープ受容体の断片によって免疫化すると、または、宿主動物を、ヒトまたは他の生物種の小型エピトープ受容体、または、標的アミノ酸を含むその断片で、免疫化される生物種中で免疫原となるタンパクを二重機能性または誘導体形成剤を用いて接合したもので免疫化すると、抗体の(例えば、モノクロナール抗体の)集団を生成することが可能である。ここに、免疫原となるタンパクは、例えば、キーホールリンペット・ヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、または、大豆トリプシン阻害剤であり、二重機能性または誘導体形成剤は、例えば、マレイミドベンゾイルスルフォスクシニミドエステル(システイン残基による接合)、N−ヒドロキシスクシニミド(リシン残基による接合)、グルタールアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NRでRとR1は異なるアルキル基である。
望むならば、対象ディジタル抗体(モノクロナールまたはポリクロナール)の配列決定を行い、次に、そのポリヌクレオチド配列を、発現のために、または、継代のためにベクターに挿入してクローンしてもよい。対象抗体をコードする配列は、ベクターの中で、宿主細胞において維持され、次に宿主細胞を増幅・凍結し将来の使用に備えることが可能である。別に、抗体を「ヒト化する」ために、または、抗体の親和度、またはその他の特質を向上させるために、ポリヌクレオチド配列を使用してもよい。例えば、抗体が臨床治験やヒトの治療に使用される場合、免疫反応を避けるために、ヒトの定常域により近似するように定常域を加工してもよい。抗体配列を遺伝学的に操作して、小型のエピトープに対してより高い親和度が獲得できるようにすること、および/または、小型のエピトープに対する特異性をより大きくする、および/または、変化させることが望ましいことがある。ディジタル抗体に対し、一つ以上のポリヌクレオチド変更を行いながら、なおかつ小型エピトープにたいするその抗体の結合活性を維持することが可能であることは、当業者にとっては明白であろう。
非ヒト免疫グロブリンから得られた、抗原結合部位を含む、いくつかの「ヒト化」抗体分子がこれまでに記述されている。その中には、ヒト定常ドメインに、げっ歯類の、または修飾されたげっ歯類のV領域と、その関連相補性決定領域(CDR)を融合させたキメラ抗体が含まれる。例えば、Winter et al.Nature349:293−299(1991)、Lobuglio et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA86:4220−4224(1989)、Shaw et al.J.Immunol.138:4534−4538(1987)、およびBrown et al.Cancer Res.47:3577−3583(1987)を参照されたい。他の参考文献には、げっ歯類CDRが、ヒト支持構造領域(FR)に対し、その領域が適当なヒト抗体定常ドメインに融合される前に、移植されることが記載されている。例えば、Riechmann et al.Nature332:323−327(1988)、Verhoeyen et al.Science239:1534−1536(1988)およびJones et al.Nature321:522−525(1986)を参照されたい。別の参考文献には、組み換え技術によって継ぎ合わされたげっ歯類支持構造領域によって支持されるげっ歯類CDRが記載されている。例えば、欧州特許第519,596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、ヒト・レシピエントにおける、分子機能基の治療応用の持続時間と有効性に制限を与える、げっ歯類の抗ヒト抗体分子に対する不利な免疫反応を極小化するように設計されている。例えば、抗体定常領域は、免疫学的に不活性になるように(例えば、補体による細胞溶解を惹起しないように)加工することが可能である。例えば、PCT/GB99/01441、英国特許第9809951.8号を参照されたい。モノクロナール抗体をヒト化するためには一般的に4工程がある。それは:(1)抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメイン開始部のヌクレオチドおよび予想されるアミノ酸配列を確定すること、(2)ヒト化抗体を設計すること、すなわち、ヒト化過程においてどの抗体フレーム領域を使うべきかを決定すること、(3)実際のヒト化方法/技術、および、(4)そのヒト化抗体のトランスフェクションと発現である。例えば、米国特許第4,816,567;5,807,715;5,866,692;6,331,415;5,530,101;5,693,761;5,693,762;5,585,089;および6,180,370号を参照されたい。利用できる可能性のある、他のヒト化抗体の方法がDaugherty et al.,Nucl.Acids Res.19:2471−2476(1991)、および、米国特許第6,180,377;6,054,297;5,997,867;5,866,692;6,210,671;6,350,861号;および、PCT公報第WO01/27160に開示されている。
さらに別法として、ヒトの特定の免疫グルブリンタンパクを発現するように加工された市販のマウスを用いることによって、完全にヒト的な抗体を入手することが可能である。
より好ましい(例えば、完全にヒト的抗体)、または、より強大な免疫反応を引き起こすように設計されたトランスジェニック動物を用いて、ヒト化、またはヒト的抗体を生成することも可能である。このような技術の実際例としては、Abgenix社(フリーモント、カリフォルニア州)から市販されるXenomouse(商標)、および、Medarex社(プリンストン、ニュージャージー州)から市販されるHuMAb−マウス(登録商標)およびTCマウス(商標)がある。
別に、抗体は、組み換え技術を用いて作成し、従来技術で既知の任意の方法を用いて発現させてよい。さらに別法として、抗体は、ファージディスプレー技術を用いて組み換え技術によって作成してもよい。例えば、米国特許第5,565,332;5,580,717;5,733,743および6,265,150号、および、Winter et al.Annu.Rev.Immunol.12:433−455(1994)を参照されたい。
別に、ファージディスプレー技術(McCafferty et al.Nature348:552−553(1990))を用いて、免疫化されていないドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体および抗体断片を生産することも可能である。例えば、既存の抗体ファージディスプレー・ライブラリーを、合成ポリペプチドの膨大なコレクションに基づいて平行的に選択してもよい。この技術によれば、抗体のVドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えば、M13またはfdの大または小のいずれかのコートタンパク遺伝子に読み枠を合致させてクローンされ、ファージ粒子表面に機能的抗体断片としてディスプレーされる。繊維状粒子は、ファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含むから、抗体の機能的特性に基づく選択は、それらの特性を現す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。従って、ファージは、B細胞のいくつかの特性を模倣する。ファージディスプレーは各種の方式で実行が可能であり、総覧に関しては、例えば、Johnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Current Opinion in Structural
Biology3,564−571(1993)を参照されたい。V遺伝子分節については、ファージディスプレーのためにいくつかの供給源の使用が可能である。Clackson et al.,Nature352:624−628(1991)は、免疫化したマウスの脾臓から得たV遺伝子の、小規模なランダム組み合わせライブラリーから、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを分離した。免疫化されていないヒトドナーからV遺伝子のレパートリーを構築することが可能であり、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Mark et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)またはGriffith et al.,EMBO J.12:725−734(1993)によって記載された技術に従って事実上分離することが可能である。自然の免疫反応では、抗体遺伝子は、突然変異を高率に蓄積する(体細胞性ハイパー突然変異)。導入された変化のあるものは、より高い親和性を付与し、高い親和度の表面免疫グロブリンを表示するB細胞は、その後の抗原チャレンジにおいて、好んで複製され、分化する。この自然な過程を、「チェインシャフリング」と呼ばれる技術を用いることによって模倣することが可能である。Marks,et al.,Bio/Techol.10:779−783(1992)。この方法では、ファージディスプレーによって得られたヒトの「一次」抗体の親和度を、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を、免疫化されていないドナーから得たVドメイン遺伝子の、自然に発生する変異体(レパートリー)レパートリーで順次置換することによって向上させることが可能である。この技術により、親和度がpM−nM範囲にある抗体および抗体断片を生産することが可能である。極大規模のファージ抗体レパートリー(「全ライブラリー母体」とも呼ばれる)作成のための戦略が、Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993)に記載されている。遺伝子シャフリングを用い、ヒト抗体が、スタートのげっ歯類抗体と類似の親和度と特異性を持つ、そのようなヒト抗体を、げっ歯類
抗体から得ることも可能である。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法によれば、ファージディスプレー法によって得られたげっ歯類抗体の重鎖または軽鎖Vドメイン遺伝子を、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置換し、げっ歯類−ヒトキメラを作成する。抗原に基づいて選択すると、機能的抗原結合部位を回復することが可能なヒト可変領域の単離が実現される、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配する(刷り込み(インプリント)する)。残余のげっ歯類Vドメインを置換するためにこの過程を繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日発行のPCT公報第WO93/06213号を参照されたい)。CDR移植法による、げっ歯類抗体の従来のヒト化と違って、この方法は、げっ歯類起源の支持構造またはCDR残骸を持たない、完全にヒト的抗体を供給する。上記議論はヒト化抗体に関するものであるけれども、そこで論じられた一般的議論は、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシに使用するための抗体を特注製作する場合にも応用が可能であることは明白である。
抗体は、組み換え技術を用いて、宿主動物から作成した抗体を単離し、その遺伝子配列を獲得し、かつその遺伝子配列を用いて、組み換え的に宿主細胞(例えばCHO細胞)で抗体を発現させることによって作成してもよい。使用が可能なもう一つの方法は、その抗体配列を、植物(例えば煙草)、トランスジェニックミルク、またはその他の器官で発現させることである。組み換え技術によって、抗体を植物またはミルク中に発現させる方法は従来から開示されている。例えば、Peeters et al.(2001)Vaccine19:2756;Lonberg,N.and D.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65;およびPollock et al.(1999)J.Immunol.Methods231:147を参照されたい。抗体の誘導体、例えば、ヒト化、単一鎖等を作成する方法は従来技術で既知である。
イムノアッセイ、および蛍光活性化細胞仕分け装置(FACS)のようなフローサイトメトリー仕分け法を用いて、所望の小型エピトープに対して特異的な抗体を単離することも可能である。
抗体は、多種多様な担体に結合させることが可能である。担体は、活性を持つ、および/または、不活性であることが可能である。よく知られる担体の例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、発明の目的に応じて、可溶性か、不溶性のいずれかである。当業者であれば、結合性抗体用として他に適当な担体を知っているであろうし、通例の実験手法を用いてそのような担体を確認することも可能であろう。
ディジタル抗体をコードするDNAを、従来技術で知られるように単離し、配列決定してもよい。一般に、抗体(例えばモノクロナール抗体)は、従来の処理行程を用いることによって(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)簡単に単離・配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなcDNAの格好の供給源として役立つ。一旦単離されたならば、このDNAを発現ベクターに挿入し、次に、ベクターを、通常では免疫グロブリンタンパクを生産しない宿主細胞、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞にトランスフェクトさせて、その組み換え宿主細胞においてモノクロナール抗体の合成を実現させることが可能である。このDNAも、例えば、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を、相同のげっ歯類配列の代わりに代用することによって、Morrison et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851(1984)、または、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てまたは一部を、免疫グロブリンコード配列に共有的に結合することによって修飾することが可能である。このようにして、本明細書に記述する
ディジタル抗体(例えばモノクロナール抗体)の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製される。
ディジタル抗体は、従来技術でよく知られた方法でその特性を解明することが可能であり、その内のいくつかは実施例でも記載される。例えば、一つの方法は抗体の結合するエピトープを特定することであり、その中には、例えば、Harlow and Lane、Using Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999の第11章に記述されているように、抗体−抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および、合成ポリペプチドを用いたアッセイが含まれる。さらに追加例として、エピトープマッピングを用いて、ディジタル抗体の結合する配列を確定することが可能である。エピトープマッピングは、様々な供給業者、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg15,8219PH Lelystad、オランダ)から市販されている。様々な長さのポリペプチド(例えば、少なくとも約4−6アミノ酸長)を単離、または合成(例えば組み換えによって)し、抗ディジタル抗体による結合アッセイに使用することが可能である。別の例では、ディジタル抗体が結合するエピトープを、小型のエピトープ細胞外配列から得られた重複ポリペプチドを用い、ディジタル抗体による結合を確定することによって、系統的スクリーニングとして決定することが可能である。いくつかのエピトープはまた、従来技術でよく知られているように、ファージ粒子の表面に表示されるランダムなポリペプチド配列から成る大規模ライブラリー(ファージライブラリー)を用いることによって特定することが可能である。
競合アッセイを用いて、2種の抗体が同じエピトープに結合する場合、同一のエピトープを認識しているのか、または、立体配置的に重複するエピトープを認識しているのかを定めることが可能である。典型的には、抗原を、多数ウェルプレートに固定し、未標識抗体による、標識抗体の結合を阻止する能力を測定する。このような競合アッセイの通例標識は、放射能標識または酵素標識である。
ディジタル抗体は、薬剤(例えば、ビオチン、オリゴヌクレオチド、アパトマー)、標識剤(別に「ラベル」とも呼ばれる)例えば蛍光分子(例えばハプテンまたは蛍光ビーズ)、固相支持体(例えばビーズまたはマトリックスで、マイクロアレイまたは多数ウェルプレートを含む)、その他、従来技術で既知の全ての薬剤に結合されてもよい。結合は、共有的であっても、非共有的であってもよい。抗体をこのような薬剤に結合する方法は、従来技術においてよく知られている。例えば、Kennedy et al.(Clin.Chim.Acta70:1−31(1976))およびSchurs et al.(Clin.Chim.Acta81:1−40(1977))(グルタールアルデヒド法、過ヨウ素酸法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシニミドエステル法を含む結合技術を記載する、なお、これらの方法全てを引用することにより本明細書に含める)。適当なラベルを含めた検出法は本明細書においてさらに詳述される。
抗体を固定する、結合する、および/または、連結するために好適な固相または半固相支持体(および、固相支持体を、抗体を固定するのに好適なものとするための修飾)は従来技術でよく知られる。固相支持体の例としては、ビーズ(磁化ビーズを含む)、マイクロウェルプレート、タンパクマイクロアレイ(例えば、Zyomyx社所有の技術、例えば、米国特許第6,365,418号参照)が挙げられる。従って、例えば、シリカシェルに封入されたCdSe−CdSコア・シェルナノクリスタルは、生物分子に結合できるように簡単に誘導体形成させることが可能である。Bruchez et al.(1998)Science281:2013−2016.同様に、高い蛍光強度を持つ量子ド
ット(硫化亜鉛被覆セレン化カドミウム)が、超高感度生物学的検出に用いるために生体分子に共有的に結合されている。Warren and Nie(1998)Science281:2016−2018.蛍光標識ビーズは、Luminex and Quantum Dotから市販されている。さらに、パッド、フィルム、ナノウェル、または微小流体チャンネルも固相支持体として使用が可能である。ある実施態様では、ディジタル抗体は、ポリビニリデンジフロリド、ニトロセルロース、アガロース、および/または、ポリアクリルアミドのゲルパッドのような固相または半固相表面に固定、結合または連結される。アルデヒド、ポリリシンまたは相同機能性架橋剤によって活性化されたガラスも使用が可能である。ある実施態様では、ディジタル抗体は、3次元アレイ、例えば、Mirzabekov et al.,Nucleic Acids Res24(15):2998−3004(1996)に記載されている3次元ポリアクリルアミドゲルパッド・マイクロアレイに配置することが可能である。
(複数組のディジタル抗体の使用法)
(タンパク結合プロフィールを生成する方法)
別の局面では、本発明はさらに、複数組のディジタル抗体を用いる方法を提供する。本発明は、小型のポリペプチドエピトープを認識する抗体、従来技術ではよく「交差反応抗体」と呼ばれる抗体は、組み合わせて用いると、一組の抗体と、サンプル中のタンパクとの間の結合に関して特徴的なパターンを生成し、そのタンパク結合パターン−タンパク結合プロフィールと呼ばれる−を、そのタンパクサンプルの特性解明に、または、「フィンガープリンティング」に使用することが可能であるという発見から生まれたものである。従って、抗体結合から生じる結果および情報の特異性は、特異性検出のために従来技術で一般に行われるように、僅かに1種または数種のタンパクに結合するだけの単一抗体の結合によってではなく、複数組のディジタル抗体の結合を通じて、サンプル中のタンパクに付与される(それを通じて、ある特定のタンパク結合プロフィールが生成される)。
全体的概観として述べるならば、本法は、本明細書で記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を用いてサンプルのタンパク結合プロフィールを生成することを含み、前記方法は(a)サンプルをディジタル抗体のセットと接触させること、および、(b)サンプル中のタンパクと各ディジタル抗体との間に形成された抗体タンパク複合体−もしあれば−を検出することを含む。抗体−タンパク複合体の検出は、直接検出であっても、競合アッセイによる検出のような間接検出であってもよい。検出によって、結合の有無、および量(結合強度)に関する情報が得られる。一般に、タンパク結合パターンは、各ディジタル抗体によるタンパク結合の存在(または不在)、および/または、強度(量)に関する情報を含む。図2は、100種の異なるディジタル抗体から成る、コンピュータシミュレーションによる一組を用いて調製した、コンピュータシミュレーションによるタンパク結合プロフィールを示す。X軸は、100種のディジタル抗体のそれぞれに対応し、Y軸はタンパク結合量を表す。各バーは、各ディジタル抗体によって結合されるタンパクの量に対応する。さらに別の、コンピュータシミュレーションによるタンパク結合プロフィールを図3に示す。
従って、ある実施態様では、本発明は、サンプルのタンパク結合プロフィールを生成するための方法であって、(a)サンプルを、本明細書で記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去すること)、および、(c)タンパクの抗体に対する結合を検出し、それに基づいてタンパク結合プロフィールを生成することを含む方法を提供する。タンパク結合プロフィールは、ディジタル抗体とタンパクの間の結合の欠如に関する情報を含むことが理解される。検出は定性的および/または定量的であってよい。ある実施態様では、タンパクは標識され、従来技術でよく知られ、本明細書でも記述される方法を用いて、結合タン
パク上のラベルの存在、不在、および/または、量(強度)を検出することを含む。別の実施態様では競合アッセイが用いられる。この場合、複数の標識ペプチド(または、複数のペプチドの混合物)を用いて、タンパクサンプルとの抗体結合を競合させる。一般に、競合ポリペプチドの使用を含む実施態様では、そのディジタル抗体のセットを、競合ポリペプチド(サンプルと併用して、および/または、サンプルと継時的に)と接触させることをさらに含む。検出は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述する。
一般に、タンパク結合プロフィールを生成する方法は、サンプルをタンパク切断剤で処理して、ポリペプチド断片を生ずる工程をさらに含む。(a)ディジタル抗体のセットと、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させる工程の前に、そのサンプルをタンパク切断剤で処理することが可能である。このタンパク切断剤は、酵素(例えばキモトリプシンまたはトリプシン)、または化学的薬剤(例えば臭化シアン)であってもよい。タンパク切断剤、およびタンパク切断剤による処理の方法は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述する。
本明細書においてさらに論じるように、タンパク結合プロフィールは、サンプルに関する情報、例えば、サンプルの供給源(例えば、細菌および/またはウィルスのような病原体)と相関させてもよい。例えば、ある族の細菌のいくつかのメンバーについてタンパク結合パターンが確定されている場合、新規に生成されたパターンについて、それがその族のメンバーであるのか、または、新規のメンバーを現すものであるかを調べるために簡単に比較することが可能である。タンパク結合プロフィールは、本明細書でさらに論ずるように、記録して、タンパク結合プロフィールの一つのライブラリー(例えばデータベース)の中に保存してもよい。
別の局面では、本発明は、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる一つを用いて生成されるタンパク結合プロフィールを提供する。
タンパク結合プロフィールは、分析対象であるタンパクの特定内容に関する事前の知識を要することなく、しかも既知と未知の両方のタンパクを検出可能であることが理解される。タンパクサンプルの内容に関する情報が必要とされないので、タンパク結合プロフィールを用いて、従来知られていなかった因子、例えば、新規病原体を特定することが可能である。例えば、以前に観察されたものとは異なるタンパク結合パターンは、以前には知られていない因子を示す可能性がある。
抗体結合のための方法および条件は従来技術で既知であり、本明細書でもさらに詳述する。ある実施態様では、2種以上の抗体との接触は継時的である(一つの抗体をサンプルと接触させると、それを外し、別の抗体をそのサンプルに接触させて外し、それを繰り返す)。別の実施態様では、ディジタル抗体のセットとの接触は、例えば1群の抗体をサンプルに同時に接触させる場合のように、平行的である。ある実施態様では、ディジタル抗体セットの内の数群を継時的にサンプルに接触させる。例えば、第1群を接触させて外し、第2群を接触させて外し、それを繰り返す。
タンパク−抗体結合検出のための方法および条件は従来技術でよく知られる。ディジタル抗体に結合したタンパクの検出は、定性的および/または定量的であってよい。一組において複数の(一般に、多数の)抗体の結合が検出される。ある実施態様では、1セットの抗体の内少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約75%、少なくとも約50%、または少なくとも約30%が検出される。ある実施態様では、1セットの各抗体の結合が検出される。抗体結合を検出する方法は従来技術でよく知られるが、例えば、ELISA、蛍光イムノアッセイ、ウェスタンおよびドットブロット、免疫沈降、競合性ポリペプチドを用いる競合アッセイ、および、焦点イムノアッセイが挙げられる。タンパ
ク結合プロフィールにおける変化は、試験サンプルとコントロールサンプルに平行試験を実施し、これらのサンプル間の結果に何らかの相違が見られた場合その相違を注記することによって決定することが可能である。例えば、ELISAの結果は、存在するタンパクの量に直接関連する。ある実施態様では、タンパクが標識され、その標識が検出される。別の実施態様では、競合ポリペプチド(本明細書にさらに詳述するように)が標識され、競合ポリペプチドの結合が検出される。適当な標識は従来技術でよく知られており、本明細書でもさらに詳述される。
(タンパク結合プロフィールライブラリーの生成方法)
タンパク結合ライブラリーは、異なる2種以上のサンプル、例えば、病原性細菌または非病原性細菌サンプルに対するタンパク結合プロフィールを編集することによって生成することが可能である。タンパク結合プロフィールは、それらタンパク結合プロフィール間の類似性および/または相違を識別するために、定性的に、または定量的に相互に比較することが可能である。ライブラリー中のこれらのタンパク結合プロフィールは、様々の供給源由来(例えば、様々の組織または細胞タイプ、病状、または、様々の微生物)のサンプルのタンパク結合プロフィールの比較評価を含む方法にも使用が可能である。例えば、本明細書にさらに詳述するように、タンパク結合プロフィールのライブラリーは、タンパクサンプルの特性解明法、細菌またはウィルス感染の診断法、および/または、細菌または感染因子の検出および/または分類学的区分のための方法において有用である。例えば、未特定サンプルから調製されたタンパク結合プロフィールは、既知の細菌病原体のタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較することによって、そのサンプルの特性を解明する、および/または、特定するのに使用してもよい。
従って、別の局面では、本発明は、タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法であって、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、サンプルを接触させる工程、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去する工程(ある実施態様では、特異的に結合しないタンパクを除去する工程)、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成する工程、および、(d)工程(a)から工程(c)までを、少なくとも2種の異なるサンプルについて繰り返す工程を含む方法を提供する。ある実施態様では、ライブラリーは、少なくとも約5,10,15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、または、それ以上(例えば、1000、2000、3000、4000以上)の結合プロフィールを含む。ある実施態様では、方法は、(a)ディジタル抗体のセットと、結合を可能とする条件下でサンプルを接触させる工程の前に、そのサンプルをタンパク切断剤で処理することをさらに含む。ある実施態様では、ライブラリーは、本明細書に記述されるエピトープ特定情報をさらに含む。
別の局面では、本発明は、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれた方法を用いて調製された、タンパク結合ライブラリーを提供する。
タンパク結合ライブライーは、異なる時間に、異なる個人により、および/または、異なる施設で生成された結合プロフィールを含んでもよいことが理解される。ある実施態様では、結合プロフィールは、同時に、または異なる時間に生成されて、後に別々のライブラリーにまとめられる。結合プロフィールのライブラリーは、新規の結合プロフィールが生成された場合常に更新することが可能である。
従来技術でよく知られるように、結合プロフィールのライブラリーはソフトウェアを用いて処理し、データベースに保存することが可能である。このデータベースは、より多くのサンプルが分析され、より多くの結合プロフィールが生成されるにつれて常に更新する
ことが可能である。結合プロフィールは、各種の方法によって、例えば、サンプルの供給源、結合プロフィールの類似性等によって分類することが可能である。例えば、細菌サンプルの結合プロフィールは、その表現型または遺伝型に基づいて区分けしてもよい。さらに、結合プロフィールをグループ分けするのに、既存の分類学的区分に依存することも可能である。ある実施態様では、ライブラリーは、細菌のような前核細胞、ガン細胞または前ガン細胞のような真核細胞、および/または、ウィルスのような他の微生物を含む、または、から得られたタンパク結合プロフィールを含む(細菌および/またはウィルス感染の診断を含む)。
別の局面では、本発明は、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれた方法を用いて生成された、タンパク結合ライブラリーを提供する。
(タンパク結合プロフィールを用いる方法)
別の局面では、本発明は、本発明の方法に従って生成されたタンパク結合プロフィール(タンパク結合プロフィールのライブラリーを含む)を用いる方法を提供する。従って、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われているサンプル)の特性を解明する方法、試験サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法、細胞、細菌および/またはウィルスの特性を解明する方法、試験タンパクを特定する方法、タンパク複合体の特性解明、有無の検出、および/または、特定のための方法、および、スクリーニング法を提供する。
(タンパク結合プロフィールおよびエピトープアミノ酸配列を用いてタンパクを特定する方法)
本発明はまた、タンパクを特定する方法であって、(a)そのタンパクを含むサンプルから生成されたタンパク結合プロフィール、および、(b)サンプルタンパクに結合するディジタル抗体によって認識されるエピトープのアミノ酸配列を用い、これによって一組約5種以上の(例えば、約6、約7、約8種またはそれ以上)のディジタル抗体(一般に、約15−18個のアミノ酸配列情報を提供する)の結合によって、そのタンパクのアミノ酸内容に関して、そのタンパクが特定されるほど十分な情報が得られるようになるタンパク特定法を提供する。例を挙げて示すならば、エピトープQAP、TPG、LTG、VSRおよびWDQを認識するディジタル抗体の、試験タンパクにたいする同時的結合は、そのタンパクがHCV NS3タンパクであると特定する。なぜなら、HCV NS3が、これら6種の3マーアミノ酸配列を含むことが知られる唯一のタンパクだからである。
従って、一つの局面で、本発明は、試験タンパクを特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、試験タンパクを含むサンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)その組の抗体に対するタンパクの結合の有無を検出することを含み、少なくとも約5種のエピトープがタンパクに結合し、結合の存在は、そのタンパクにおいて少なくとも約5種のエピトープの存在を示すものであり、その少なくとも約5種のエピトープの特定内容(すなわち、直線的アミノ酸配列)(および、ある実施態様では、量)を用いて、そのタンパクを特定することを特徴とする方法を提供する。ある実施態様では、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30個、またはそれ以上の(例えば、約40、50、60個、またはそれ以上)のディジタル抗体の結合およびエピトープ内容(すなわち、小型認識エピトープのアミノ酸配列)を用いて試験タンパクを特定する。
ある実施態様では、方法は、エピトープ特定データを、タンパク配列情報を含むデータベース(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列)と比較することをさらに含む。データベースは、発現配列タグ(EST)のヌクレオチドまたはアミノ酸配列から成っていて
もよい。別に、データベースは、ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルにおける遺伝子配列から成っていてもよい。データベースは、ヌクレオチド配列の、アミノ酸配列の、または、任意の生物種のゲノムに含まれるヌクレオチド配列の翻訳物の集合を無制限に含むことが可能である。タンパクに関する情報、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のデータベースは、典型的には、コンピュータプログラム、または、必要に応じてコンピュータによって実行される探索アルゴリスムを通じて分析される。配列データベースからの情報は、本発明の方法で得られたデータおよび情報との最大合致を求めて探索される(例えば、Yates(1998)J.Mass Spec.33:1−19;Yates et
al.,米国特許第5,538,897号;米国特許第6,017,693号を参照されたい)。データベースを探索するのに有用なものであれば、適当などのようなアルゴリスムまたはコンピュータプログラムを用いることも可能である。探索アルゴリスムおよびデータベースは常に更新され、そのようにして更新された最新版が本発明に従って用いられる。プログラムまたはデーターベースの例は、ワールドワイドウェブ(WWW)のhttp://base−peak.wiley.com/、http://mac−mann6.embl−heidelberg.de/MassSpec/Software.html、http://www.mann.embl−heidelberg.de/Services/PeptideSearch/PeptideSearchIn−tro.html、ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/database/、および、http://donatello.ucsf.ed−u.において見出すことができる。米国特許第5,632,041、5,964,860、5,706,498、および、5,701,256号も、配列比較用のアルゴリスムまたは方法を記載している。他のデータベースの例としては、Genpeptデータベース、GenBankデータベース(Burks et al.(1990)Methods in Enzymology183:3−22に記載されている)、EMBLデータライブラリー(Kahn et al.(1990)Methods in Enzymology183:23−31に記載されている)、タンパク配列データベース(Barker et al.(1990)Methods in Enzymology183:31−49に記載されている)、SWISS−PROT(Bairoch et al.(1993)Nucleic Acids Res.,21:3093−3096、および、PIR−インターナショナル((1993)Protein Seg.Data Anal.5:67−192に記載されている)が挙げられる。ある実施態様では、本発明はまた、タンパクを特定する方法であって、プログラム操作可能なディジタルコンピュータを用いて、一つ以上のタンパク配列データベースを含むデータベースにアクセスすることを特徴とする方法を提供する。ある実施態様では、データベースはさらにエピトープ配列情報(すなわち、ディジタル抗体セットによって認識される小型認識エピトープの配列)も含む。別の局面で、本発明は、本明細書に記述されるタンパク特定法の内から任意に選ばれる方法において使用される、エピトープ配列情報を含むデータベースを提供する。
タンパクサンプルは、純粋タンパクを含んでもよく、または、別の実施態様では、実質的に純粋なタンパクを含んでもよい。タンパクサンプルは、本明細書に記述される各種供給源から調製されるタンパクサンプルであってよい。ある実施態様では、対象タンパク(例えば、細菌またはウィルスのタンパク)を含むことが疑われる試験サンプルから生成されたタンパク結合プロフィールを、参照サンプル(すなわち、コントロールサンプル)から生成されたタンパク結合プロフィールと比較し、これらプロフィール間の差を、前述のエピトープ結合およびエピトープ特定情報について分析し、対象タンパクを特定する。一つの例として、図3は、100種の異なるディジタル抗体から成る、一組のコンピュータシミュレーションセットを用いて、1種以上のウィルスタンパクを含むサンプル(パネルA)、および、コントロールサンプル(パネルB)から調製された、コンピュータシミュレーションによるタンパク結合プロフィールを示す。X軸は、100種のディジタル抗体のそれぞれに対応し、Y軸はタンパク結合量を表す。各バーは、各ディジタル抗体によっ
て結合されるタンパクの量に対応する。パネルCは、コントロールのタンパク結合プロフィールから、ウィルスサンプルのタンパク結合プロフィールを差し引いた後のタンパク結合プロフィールを示す。
(検出を含む方法)
本発明は、対象サンプル、例えば、細胞を含む、または、細胞から得られたサンプルの検出(診断を含む)、有無の決定、および/または、特定のための方法であって、その細胞は、例えば、前核細胞(例えば細菌、例えば病原性細菌)、真核細胞、哺乳類細胞(例えば、ガン細胞または前ガン細胞)であり、または、その他の感染、汚染、疾患および/または異常(ガンのタイプおよび/または段階の検出、または、前ガン細胞の特定を含む)の検出および/または、有無の診断のための方法を提供する。ある実施態様では、細胞は哺乳類(例えばヒト)のものである。別の実施態様では、細胞は非ヒト哺乳類(例えば、ウシ、ウマまたはイヌ)のものである。ある実施態様では、細胞は、ヒト、げっ歯類または霊長類のものである。
一般に、この方法は、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル、例えば、細胞、細菌および/またはウィルスを含むことが疑われるサンプル、または、細胞(例えば、ヒトのような哺乳類細胞)、細菌および/またはウィルスの有無の検出が望まれるサンプルのタンパク結合プロフィールの生成を含む。試験サンプルのタンパク結合プロフィールは、既知の細胞、細菌および/またはウィルスのタンパク結合プロフィールと、および/または、結合プロフィールのライブラリー、例えば、既知の細菌および/またはウィルスの結合プロフィールのライブラリーと比較される。試験結合プロフィールと、コントロール結合プロフィール(ある実施態様では、結合プロフィールライブラリーのメンバー(単複))の間に有意の類似性(一致を含む)が存在することは、対象サンプルの存在および/または特定内容を示す。一致が見られないことは、従来特定されていないサンプル、例えば、従来未確認の病原性微生物が存在することを、および/または、サンプル中にある特定の細菌および/またはウィルスが欠如することを示す可能性がある。本明細書で用いる場合、「不在(欠如)」とは、最小の、および/または、背景レベルの結合を含む。
従って、ある局面では、本発明は、対象サンプルの有無を決定する、および/または、特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、対象サンプルの有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、対象サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、本明細書に記述する方法の内から選ばれる任意の一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルにおける対象サンプルの有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
ある局面では、本発明は、試験サンプルにおける細胞、細菌またはウィルスの有無を決定する、および/または、特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述す
る複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、試験サンプルにおける前記細胞、細菌またはウィルスの有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、試験サンプルにおける細胞、細菌またはウィルスの有無を検出する、および/または、特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルにおける前記細胞、細菌またはウィルスの有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
別の局面で、本発明は、タンパクを特定する方法であって、前記方法は、試験タンパクのタンパク結合プロフィールを、参照タンパクのタンパク結合プロフィールと比較し、参照タンパクのタンパク結合プロフィールを参照タンパクの特定内容と相関させ、試験タンパクの特定内容をこの比較によって決定し、これらのタンパク結合プロフィールは、本明細書に記述する、タンパク結合プロフィール生成法の内から任意に選ばれる方法によってあらかじめ生成されたものであることを特徴とする方法を提供する。
病気の診断、迫っている健康危険の予知、保存食品・穀物の、起こりえる汚染監視、生物学的処理操作の調整、および、生物戦争を含めた環境汚染の察知においては、速やかで、正確な微生物特定が決定的に重要である。ある実施態様では、細菌および/またはウィルスは病原性である。別の実施態様では、細菌および/またはウィルスは非病原性である。さらに別の実施態様では、細菌および/またはウィルスは新規であり、従来確認されていた細菌および/またはウィルスの変異体である。
ある実施態様では、細菌のタイプ、サブタイプ、変異体、門、綱、目、族、属、および/または、種が特定される。従来技術でよく知られるように、微生物のタンパク発現を調べることは、一つの属の中の異なるメンバー間の関係や、異なる属のメンバーの間の進化上の関係を決定するのに有用なことがある。ある実施態様では、異なる種間の、および、異なる属のメンバー間の、役立つ程度の相同性および関連性を確立することが可能である。例えば、異なる微生物種のタンパク結合プロフィールを集め、比較し、その結果をデータベースに入力し、そのタンパク結合プロフィールに基づいて、樹枝状家族関係図を生成することが可能である。明らかなように、一旦一つの樹枝状家族関係図が確立されたならば、新規の微生物サンプルを、そのタンパク結合プロフィールに基づいて分類することが可能である。
さらに別の実施態様では、微生物株のタンパク結合プロフィールから、新規の表現型、例えば、化学的抵抗性、変化した病原性、または、ストレス、栄養制限または遺伝的操作に対する変化した反応を示す株が特定される場合があり、さらに、タンパク結合プロフィールを介してこれらの株同士を比較し、上記条件と関連するタンパクの相対量に相関させることが可能である。
別の実施態様では、試験サンプルの結合プロフィールと、既知のタンパク結合プロフィールとの間に著明な類似性および/または一致性の欠如していることから新規株または新
規変異体が特定されることがある。さらに別の実施態様では、その新規株/変異体を、その結合プロフィールの、他の結合プロフィールに対する類似の程度に基づいて分類することが可能である。
サンプルの調製、および例示のサンプルは本明細書に記載されおり、従来技術でもよく知られている。細菌および/またはウィルスを含むサンプルは、その供給源(例えば、個体、食物、空気、水、およびその他の環境サンプル)から取り出し、培養し、タンパクサンプルの調製前に、その細菌および/またはウィルスを増殖し、濃縮しおよび/または精製する(ある実施態様では、実質的に精製する)ことが可能であることが理解される。ある実施態様では、タンパクは、全体細胞抽出物から調製される。別の実施態様では、タンパクは、細胞内局在(例えば、膜および原形質)または、異なる物理的・機能的性質に基づいてあらかじめ分画することが可能である。タンパクはまた、培養体の上清から抽出することも可能である。ある実施態様では、ウィルスタンパクサンプルは、血清および/または血漿、および/または、その他の任意の適当な体液から調製される。
ある実施態様では、本発明の方法は、ガン細胞および/または組織の有無を決定する、および/または、特定するために、(ある実施態様では)ガンのタイプ、段階、および/または、分化の程度の検出(診断)を含めた特定のために使用される。
従って、ある局面では、本発明は、試験サンプルにおけるガン細胞または組織の有無を決定(診断)する、および/または、特定する(ガンのタイプおよび/またはガンの段階を特定する)方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールと、参照サンプルのタンパク結合プロフィールとを比較して、試験サンプルにおけるガン細胞または組織の有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
別の局面では、本発明は、試験サンプルにおけるガン細胞または組織の有無を検出する、および/または、特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、本明細書に記述する方法の内から選ばれる任意の一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルにおけるガン細胞または組織の有無および/または特定内容をその比較によって決定することを含む方法を提供する。
(サンプルの特性解明法)
タンパク結合プロフィールはサンプルの特性解明に使用することが可能であるが、この特性解明は、一般に、様々の供給源(例えば、様々の組織または細胞タイプ、病状、様々な処置を受けた細胞、または、様々の微生物)から得られたサンプルのタンパク結合プロフィールの比較による評価を含む。ある実施態様では、本法は、試験サンプルから生成されたタンパク結合プロフィールと、参照タンパク結合プロフィール(例えば、コントロールサンプルから生成されたタンパク結合プロフィール(単複)、または平均値)との、または、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる方法によって生成されたプロフィールのライブラリーとの比較を含む。
従って、ある局面では、本発明は、試験サンプル(対象サンプルを含むことが疑われる
)を特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、参照サンプルのタンパク結合プロフィールと比較して、試験サンプルの特性をその比較によって解明することを含む方法を提供する。
別の局面では、本発明は、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われる試験サンプル)を特定する方法であって、前記方法は、(a)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプルを接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、本明細書に記述する方法の内から任意に選ばれる一つの方法によって生成されるタンパク結合プロフィールのライブラリーと比較して、試験サンプルの特性をその比較によって解明することを含む方法を提供する。ある実施態様では、特性解明とは、サンプル中の細菌またはウィルスの分類を含む(例えば、門、綱、目、族、属、種、および/または、サブタイプ、変異体および/またはサブグループへの分類)。別の実施態様では、特性解明は、サンプル中の細胞の、例えば、ガン細胞または前ガン細胞への分類を含む。ある実施態様では、ガンのタイプ、段階、等級、および/または、その他の関連特徴が決定される。
(タンパク結合複合体の特性解明法およびスクリーニング法)
大抵の細胞機能にとっては特異的タンパク−タンパク相互作用が重要である。このタンパク−タンパク相互作用は、細胞外刺激によって変わることがよくある。細胞内のタンパク−タンパク相互作用を測定することは、相互作用の生理的重要性を裏付けるためにも、また、生理的な刺激(薬剤、またはその他の化学物質の使用による刺激を含む)に反応して細胞または微生物の中に起こる変化を特定するのにも役立つ。従って、ある局面で、本発明は、タンパク複合体の特性解明法を提供する。一般に、タンパク複合体の特性解明法は、タンパク複合体のタンパク結合プロフィールの生成法を含む。一般的概論として、タンパク複合体(例えば、受容体関連タンパク複合体、またはシグナル変換関連性タンパク複合体)は、従来技術で既知の方法を用いて調製され、変性されるか、または元の状態のままで精製され、タンパク結合プロフィールが、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる方法によって生成される。
単離されたタンパク複合体から生成されたタンパク結合プロフィールは、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる方法、例えば、サンプル(この場合、タンパク複合体を含むサンプル)の特性を解明する方法、および、サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法において使用されてもよい。
別の局面では、本発明は、化学的組成物がタンパク複合体内部の1種以上の相互作用を促進するか、および/または、変壊するかを定めるために、その化学的組成物を試験するのに用いることが可能である。タンパク複合体内部のタンパク−タンパク相互作用を促進および/または変壊する化学的組成物は、有用な製薬学的要素を構成する可能性がある。さらに、将来、複合体内部において、減少する、増加する、正常では存在するのに欠如する、または、正常では欠如するのに存在する成分(単複)の特性を明らかにし、および/または、特定することは、有望な薬剤目標に関する情報を提供する可能性がある。
細胞、または細胞集団を試験化学組成物と接触させ、タンパクをその細胞(単複)から調製し、かつ、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる方法を用いて、タンパク結合プロフィールを調製し、分析することが可能であることが考えられる。従って、あ
る局面では、本発明は、サンプルのタンパク組成を変更する化学的組成物のスクリーニング法であって、前記方法は、(a)試験サンプルを化学的組成物で処理すること、(b)本明細書に記述する複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組と、結合を可能とする条件下で、試験サンプル(または、試験サンプルから調製および/または濃縮および/または精製されるタンパク)を接触させること、(b)必要に応じて未結合タンパクを除去すること、(c)抗体に対するタンパクの結合を検出してタンパク結合プロフィールを生成すること、および、(d)前記化学組成物で処理した試験サンプルのタンパク結合プロフィールを、その化学組成物で処理されていない参照サンプルのタンパク結合プロフィールと比較して、化学的組成物の内容をその比較によって解明することを含む方法を提供する。
小型分子の化学的組成物のライブラリー、および他の収集物は従来技術でよく知られる。
ある実施態様では、機能的転写複合体(例えば、エストロジェン受容体複合体)、シグナル変換経路、細胞骨格組織(例えば、微小管高分子化)、ポリペプチドホルモン受容体−リガンド結合、複数サブユニット酵素複合体の組織化等を含む、様々な背景において、スクリーニング法は、あらゆるタンパク−タンパク相互作用を研究するために有用である。
ある実施態様では、タンパク複合体は、そのサイズまたは活性に基づいて、カラムクロマトグラフィーのような従来法によって単離される。別の実施態様で、DNA/RNA−結合タンパク複合体を分析しなければならない場合、その複合体の結合するDNA/RNA配列を用いて、そのタンパク複合体を単離することが可能である。
ある実施態様では、複合体のタンパクの内の一つは既知であるか、特定されている。次に、この既知/特定タンパクは、その結合する相手タンパクを単離する(釣り上げる)際の餌となることができる。理想的には、内在性タンパクは、例えば、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降を通じて、そのタンパクと結合相手の特異的分離を可能とする抗体または他の試薬が存在する場合、その餌となることが可能である。より一般的方法は、既知の、または特定されたタンパクにタグを付けることであって、そのタグに対して特異的な抗体またはリガンドによって簡単に認識される配列によって「タグ」することである。一般的アフィニティータグは従来技術で既知であり、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、His6、カルモジュリン結合ペプチド、ヘマグルチニン、myc、および、FLAGタグを含む。
(組成物)
別の局面で、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含む組成物を提供する。ある実施態様では、この組成物は、本明細書に記述される方法の内から任意に選ばれる方法(例えば、タンパク結合プロフィールを生成する方法)において使用される。ある実施態様では、この組成物は、複数のタンパク結合プロフィールを生成する方法(タンパク結合プロフィールのライブラリーを生成する方法を含む)において使用される。別の実施態様では、本発明は、本明細書にさらに詳述するように、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われているサンプル)の特性を解明する方法、試験サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法、細胞、細菌および/またはウィルスの特性を解明する方法、試験タンパクを特定する方法、タンパク複合体の特性解明、有無の検出、および/または、特定のための方法、および、スクリーニング法において使用される。
ある実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から
任意に選ばれる一組を有するタンパクの複合体を提供する。ある実施態様では、前記ディジタル抗体セットはアレイとして配置される。さらに別の実施態様では、抗体および/またはタンパクは標識される。ある実施態様では、抗体は、アレイのような固相または半固相表面に固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識抗体である。別の実施態様ではタンパクは標識される。さらに別の実施態様では、抗体とタンパクは標識される。ある実施態様では、本発明は、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組、サンプル、および、一組の競合ポリペプチドを含む組成物であって、前記競合ポリペプチドは、前記ディジタル抗体セット中の1種以上のディジタル抗体の認識アミノ酸配列(単複)を含むことを特徴とする組成物を提供する。ある実施態様では、競合ポリペプチドは標識される。
(キット)
本発明はまた、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含むキットを提供する。従って、ある実施態様では、本発明は、少なくとも約15種のディジタル抗体を含むキットであって、各ディジタル抗体は異なるエピトープに結合し、かつ、各ディジタル抗体は、連続する3個のアミノ酸、連続する4個のアミノ酸、または連続する5個のアミノ酸から成るエピトープに結合することを特徴とするキットを提供する。ある実施態様では、このキットは、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000個、またはそれを越える数の内から任意に選ばれる種類の抗体を少なくとも含む。別の実施態様では、このキットは、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。別の実施態様では、このキットは、連続する3個のアミノ酸(3マーエピトープとも呼ばれる)から成るエピトープを認識する、少なくとも約100種のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、このキットは、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約100個のディジタル抗体、および、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープ(4マーエピトープとも呼ばれる)を認識する、少なくとも約100個のディジタル抗体を含む。ある実施態様では、このキットは、連続する3個のアミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約100個のディジタル抗体、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約100個のディジタル抗体、および、連続する5個のアミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約100個のディジタル抗体を含む。別の実施態様では、このキットは、連続する4個のアミノ酸から成るエピトープを認識する、少なくとも約1000個のディジタル抗体を含む。抗体は、アレイのような固相または半固相の表面に、固定および/または結合(付着)されてもよい。ある実施態様では、キットはさらにラベル(例えば、タンパクを標識するのに使用されるラベル)を含む。さらに別の実施態様では、抗体は標識される。さらに別の実施態様では、キットは競合ポリペプチド(単複)を含む。一般に、競合ポリペプチド(単複)は、ディジタル抗体セットによって認識される1種以上の認識エピトープのアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、競合ポリペプチドは標識される。ある実施態様では、競合ポリペプチドはMAPである。
ある実施態様では、ディジタル抗体のキットさらに、本明細書に記述される複数の方法の内から任意に選ばれる方法(例えば、タンパク結合プロフィールのライブラリー生成法を含む、タンパク結合プロフィールの生成法)におけるディジタル抗体の使用に関する指令を含む。ある実施態様では、指令は、試験サンプル(例えば、対象サンプルを含むことが疑われているサンプル)の特性を解明する方法、試験サンプルの有無を検出する、および/または、特定する方法、細胞、細菌および/またはウィルスの特性を解明する方法、試験タンパクを特定する方法、タンパク複合体の特性解明、有無の検出、および/または、特定のための方法、および、スクリーニング法に関するものである。別の実施態様では、指令は、対象サンプル、例えば、細胞を含む、または、細胞から得られたサンプルの検出(診断を含む)、有無の決定、および/または、特定のための方法であって、その細胞
は、例えば、前核細胞(例えば細菌、例えば病原性細菌)、真核細胞(例えば、ガン細胞または前ガン細胞)であり、または、その他の感染、汚染、疾患および/または異常(ガンのタイプおよび/または段階の検出、または、前ガン細胞の特定を含む)の検出および/または、有無の診断のための方法に関するものである。本発明のキットに支給される指令は、典型的には、ラベルまたはパッケージの処方箋(例えば、キットに含まれる紙のシート)の上に書かれた指令であるが、機械で読み取り可能な指令(例えば、磁気または光学的保存ディスクに負荷される指令)も受容可能である。
ある実施態様では、キットは、ディジタル抗体のアレイであって、本明細書に記述される複数組のディジタル抗体の内から任意に選ばれる一組を含むアレイを含む。ある実施態様では、抗体は、アレイのような固相または半固相の表面に、固定(結合および/または付着)される。別の実施態様では、抗体は標識された抗体である。
さらに別の実施態様では、キットは、本明細書に記述される、複数のタンパク結合プロフィールのライブラリーの内から任意に選ばれるライブラリーを含む。
さらに別の実施態様では、キットはさらにラベルを含む。ある実施態様では、ラベルはタンパクを標識するためのものである。
さらに別の実施態様では、キットは、一組の競合ポリペプチドであって、前記ディジタル抗体のセット中の1種以上のディジタル抗体の認識アミノ酸配列(単複)を含むことを特徴とする一組の競合ポリペプチドを含む。ある実施態様では、この競合ポリペプチドは、標識競合ポリペプチド(単複)である。
本発明のキットは、適当なパッケージの下に供される。適当なパッケージとしては、バイアル、瓶、ジャー、屈曲性パッケージ(例えば、密封したマイラーまたはプラスチックバグ)等が挙げられるが、但しそれらに限定されない。キットは、必要に応じて追加の成分、例えば、バッファーおよび解説情報を提供してもよい。
(反応混合物および組成物)
(サンプル)
本明細書で使用する「サンプル」は、各種サンプルタイプおよび/または起源、例えば、血液および、生物起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、例えば、バイオプシー標本または組織培養、またはそれから得られた細胞、およびその子孫を含む。本定義はまた、その取得後何らかのやり方で操作されたサンプル、例えば、試薬による処理、可溶化、または、ある成分、例えばあるサブグループのタンパクの濃縮のように操作されたサンプルも含む。この「サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、また培養細胞、細胞上清、細胞分解物、血清、血漿、生物学的流体、および、例えば、サンプルを、それから細菌またはウィルスサンプルを増加する、濃縮する、および/または、実質的に精製するために(または、ある実施態様では、細菌および/またはウィルスを含むサンプルの量を増やすために)培養する場合に見られるように、上記の任意のものから得られる純粋な、または濃縮された細菌またはウィルスサンプルを含む。サンプルは、微生物、例えば、細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、カビ、真菌、植物、ヒトのような哺乳類を含む動物由来のものであってよい。サンプルは、単一細胞を、または単一細胞を越えるものを含んでいてもよい。
これらの細胞は、従来技術で既知の方法、例えば、分解、画分、アフィニティー精製を含む精製、FACS,レーザーキャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)、または、等密度遠心分離法によって調製することが可能である。ある実施態様では、細胞内微細分画法を用いて、細胞、または、細胞内分画、例えば、核、ミトコンドリア、ゴルジ器
官、小胞体、葉緑体、電子高および低密度膜、および、原形質の濃縮物を作成する。
一つの実施態様では、サンプルは、実質的に元のままのタンパク複合体を含む。ある実施態様では、このタンパク複合体は、例えば、核酸関連受容体(例えばエストロゲン受容体)、または、膜関連受容体(例えば上皮性成長因子受容体、IL−6受容体、ストレス/アポトーシス経路、キモカイン経路、MMP転写経路)、または、細胞サイクル経路から調製される、受容体関連タンパク複合体またはシグナル変換関連タンパク複合体である。
ある実施態様では、サンプルは、例えば、下記の病原性細菌を含む、または、から得られる(または、含むことが疑われる)。その病原性細菌とは、赤痢菌種、チフス菌、ネズミチフス菌、エルジニア・エンテロコリチカ、ペスト菌、コレラ菌、キャンピロバクター・イェユニ、ヘリコバクター・イェユニ、緑濃菌、インフルエンザ菌および百日咳菌(百日咳)、コレラ菌、および、大腸菌であって、下痢性大腸菌、腸凝集性大腸菌(EaagEC)、腸出血性大腸菌(EHEC)、腸侵入性大腸菌(EIEC)、腸病原性大腸菌(EPEC)および腸毒性大腸菌(ETEC)、尿路病原性大腸菌(UPEC)、および、新生児髄膜炎大腸菌(NMEC)を含む大腸菌である。その他の病原性細菌としては、炭疽菌、ボツリヌス菌、野兎病菌、類鼻疽菌、コクシエラ・ブルネッティ、ブルセラ菌種、鼻疽菌、ブドウ球菌、薬剤耐性ブドウ球菌、発疹チフスリケッチア、赤痢菌種、サルモネラ、リステリア菌、キャンピロバクター・イェユニ、および、エルジニア・エンテロコリチカが挙げられる。
別の実施態様では、サンプルは、ウィルス、例えばC型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、およびサイトメガロウィルスを含む、または、から得られる(または含むことが疑われる)。ウィルスはまた、食物および水媒介病原体、例えば、カルシウィルスおよびA型肝炎ウィルスであってもよい。対象となるべき他のウィルスとしては、大痘瘡(天然痘)およびその他のポックスウィルス、アレナウィルス(LCM、フニンウィルス、マチュポウィルス、グアナリトウィルス、ラッサ熱ウィルスを含む)、ブンヤウィルス(ハンタウィルス、リフトバレー熱ウィルスを含む)、フラウィルス(デング熱ウィルスを含む)、フィロウィルス(エボラウィルスおよびマルブルクウィルスを含む)、ダニ媒介熱ウィルス(クリミア−コンゴ出血熱ウィルスを含む)、ダニ媒介脳炎ウィルス、黄熱病ウィルス、インフルエンザウィルス、狂犬病ウィルス、西ナイルウィルス、ラクロスウィルス、カリフォルニア脳炎ウィルス、ヴェネズエラウマ脳脊髄炎ウィルス、東部ウマ脳脊髄炎ウィルス、西部ウマ脳脊髄炎ウィルス、日本脳炎ウィルス、および、キャサヌール森林ウィルスが挙げられるが、但しそれらに限定されない。
例えば、細菌および/またはウィルスを含むサンプルは、その供給源(例えば、個体、食物、空気、水、およびその他の環境サンプル)から取り出し、培養し、タンパクサンプルの調製前に、その細菌および/またはウィルスを増殖し、濃縮しおよび/または精製する(ある実施態様では、実質的に精製する)ことが可能であることが理解される。同様に、真核細胞、例えば、ガン細胞を、その天然の背景から取り出し、分析前に、インビトロで培養し、または、継代してもよいことが理解される。
ある実施態様では、サンプルは、哺乳類細胞(ある実施態様では、脊椎動物細胞)、例えば、ヒト、マウス、霊長類、または、げっ歯類から成る。ある実施態様では、細胞は、非ヒト哺乳類(ある実施態様では、非ヒト脊椎動物)のものである。
タンパクは、全体細胞抽出物から調製される。別の実施態様では、タンパクは、細胞内局在(例えば、膜および原形質)または、異なる物理的・機能的性質に基づいてあらかじめ分画することが可能である。タンパクはまた、培養体の上清から抽出することも可能で
ある。ある実施態様では、ウィルスタンパクサンプルは、血清および/または血漿、および/または、その他の任意の適当な体液から調製される。ある実施態様では、細菌および/またはウィルスを含むことが疑われている血清は、ディジタル抗体による分析前に、大型の血清タンパクを抜き取る。大型の血清タンパクを抜去する、減少する、および/または、除去する方法は従来技術でよく知られている。
サンプルをディジタル抗体のセットに接触させる前に、サンプルを、タンパクを変性させる、および/または、可溶化させる薬剤、例えば、界面活性剤(イオン性および非イオン性)、カオトロープおよび/または還元剤で処理してもよい。このような薬剤は従来技術で既知である。サンプルはまた加熱して、タンパクを変性させることも可能である。タンパクの変性により、タンパク表面の小型のエピトープが露出され、タンパクのディジタル抗体に対する結合が促進される。
別の実施態様では、サンプルを、最初に変性させることをせずに、直接ディジタル抗体に与える。例えば、生のままのタンパクの結合プロフィールを分析することによって、タンパク表面の小型エピトープを調べることが可能となるから、タンパクの3次元構造に関する情報が得られる。
(サンプルをディジタル抗体に接触させる)
抗体を、サンプル中のタンパクと接触させるための方法および条件は、従来技術でよく知られる。抗体は、サンプルに対して、一時に一つずつ、または、ディジタル抗体セットの内の数グループについて接触させてよい。ある実施態様では、接触は、連続的(継時的または反復的)であり、例えば、ある単一の、または一群の抗体がサンプルと接触させられ、分離され、第二の抗体、または二群の抗体がサンプルと接触させられ、分離され、これを繰り返す。別の実施態様では、接触は平行的であり、例えば、一群の抗体がサンプルと接触させられ、分離される。様々な群の抗体が連続的にサンプルに接触させられる場合のように、接触は、平行的と連続的の両方の形を取ってもよい。抗体のグループは、その組成が重複していてもよい(例えば、グループ1=抗体A,B,C,D;グループ2=抗体B,C,D,E、等)し、組成が異なっていてもよい。
一つの実施態様では、前記ディジタル抗体のセットは、サンプルと接触する前に、阻止剤と接触させられる。阻止剤は、非特異的結合部位をブロックし、背景信号を抑えることによって検出感度を上昇させるのに役立つ。
平行的接触を含むある実施態様では、ディジタル抗体は、個別に分離可能である、例えば、抗体を検出可能な個別のビーズに結合させることによって、個別に分離可能な結合相手を用いることによって、抗体を、例えば、多数ウェルプレートの異なるウェルに固定することによって、抗体アレイを用いることによって、個別に分離可能であることが望ましい。抗体によって結合される小型エピトープが既知である限り、ディジタル抗体による結合は、そのディジタル抗体によって結合されたタンパク(単複)のアミノ酸内容に関する情報を供給する。認識小型エピトープの知識が望まれる実施態様では、小型抗体を個別に分離する(各ディジタル抗体によって結合されるタンパクがそれぞれ分離されるように)のが便利であると思われる。しかしながら、必ずしもどの実施態様でも個別分離または分離性が要求されるわけではない。例えば、ディジタル抗体は、重複抗体組成、例えば、(1)抗体ABC、(2)抗体CDE、(3)抗体FGH、および、(4)抗体HIJのような重複組成を有する、2種以上の抗体から成る少量プール中に混合されてもよい。ある特定の小型エピトープの有無に関する情報は、特定グループ中の成員組成に基づいて推定される。
ある実施態様では、例えば、結合検出の正確度および/または結合強度を増すために、
適当なコントロールを含めることが可能である。例えば、そのようなコントロールとしては、その濃度がサンプル中で一定であることが既知であるタンパクにたいして特異的抗体を加えることが挙げられる。このコントロールタンパクの結合強度は同じであるから、次に存在するタンパク量を正規化することが可能である。
抗体を固定する(結合する)のに好適な固相支持体(および、固相支持体を、抗体を固定するのに好適なものとするための修飾)は従来技術でよく知られる。固相支持体の例としては、ビーズ(磁化ビーズを含む)、マイクロウェルプレート、および、タンパクマイクロアレイ(例えば、Zyomyx社所有の技術、例えば、米国特許第6,365,418号参照)が挙げられる。従って、例えば、シリカシェルに封入されたCdSe−CdSコア・シェルナノクリスタルは、生物分子に結合できるように簡単に誘導体形成させることが可能である。Bruchez et al.(1998)Science281:2013−2016.同様に、高い蛍光強度を持つ量子ドット(硫化亜鉛被覆セレン化カドミウム)が、超高感度生物学的検出に用いるために生体分子に共有的に結合されている。Warren and Nie(1998)Science281:2016−2018.蛍光標識ビーズは、Luminex and Quantum Dotから市販されている。抗体をこのような媒体に結合させる方法は従来技術においてよく知られる。例えば、Kennedy et al.(Clin.Chim.Acta70:1−31(1976))、および、Schurs et al.(Clin.Chim.Acta81:1−40(1977))を参照されたい(グルタールアルデヒド法、ペリオデート法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシニミドエステル法を含む結合技術を記述する、なお、これらの方法の全てを、引用することにより本明細書に含める)。
(プロテアーゼ切断剤との接触)
ある実施態様では、本発明の方法はさらに、サンプルをタンパク切断剤で処理し、ポリペプチド断片を生成する工程を含む。抗体−タンパク複合体からタンパクを分離する工程を含む実施態様では、サンプルをディジタル抗体に接触させる工程の前に、そのサンプルをタンパク切断剤によって処理することが可能である。
タンパク切断剤による処理は、タンパク切断断片(ポリペプチドのような)を生成し、これは、その後の、標本(単複)中のタンパクの量および内容特定に関する質量分析をやり易くさせる可能性がある。特に、タンパク切断剤による処理は、その分子量が25kDaを越えるタンパクの分析をやり易くする可能性がある。タンパク切断剤処理はまた、ディジタル抗体の、認識抗体に対する接触度および/または接触を促進する可能性がある。タンパク切断剤は従来技術でよく知られており、本明細書にもさらに詳述される。ある実施態様では、一つのタンパク切断剤が使用される。別の実施態様では、一つを越えるタンパク切断剤が使用される。タンパク切断剤による処理の条件は従来技術でよく知られている。
ポリペプチド切断剤はプロテアーゼであってもよい。ポリペプチド切断剤として使用が可能なプロテアーゼの例としては、キモトリプシン、トリプシン(アルギニン、リシン切断配列)、サーモリシン(フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン切断配列)、V8プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼGlu−C、エンドプロテイナーゼAsp−N,エンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼArg−C,エンドプロテイナーゼArg−N、ファクターXaプロテアーゼ、トロンビン、エンテロキナーゼ、V5プロテアーゼ、および、煙草エッチウィルスが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。本発明の方法において有用なプロテアーゼは、自己分解を防ぐために、遺伝子工学的に加工されても、および/または、化学的に修飾されてもよい。酵素的タンパク切断剤(例えばプロテアーゼ)は、ポリペプチド分断後、ポリペプチド分断産物からそのプロ
テアーゼの除去を促進するように修飾することが可能であることが理解される。このような修飾は従来技術で既知であり、(1)ビーズ結合(例えば、ラテックス、シリカ、または磁性ビーズ)プロテアーゼ、(2)ハプテン化プロテアーゼ、(3)プロテアーゼのアフィニティー除去(例えば、ビーズ結合抗プロテアーゼ抗体、または、ビーズ結合非分断性基質による)、および/または、(4)サイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
ポリペプチド分断剤はまた、ポリペプチドおよびペプチド結合を分断する化学物質および化合物、例えば、臭化シアン(メチオニン残基の所で分断する)、ヒドロキシラミン(AsnおよびGly残基の間で分断する)、および、酸性pH(Asp−Pro結合を分断することができる)を含んでもよい(例えば、Ausubel et al.,上記参照)。ポリペプチド分断剤の活性は、熱、プロテアーゼ阻害剤、金属キレート剤(例えば、EGTA、EDTA)等で処理することによって抑制することが可能である。
さらに別の実施態様では、フォスファターゼ(例えば、アルカリフォスファターゼ、酸性フォスファターゼ、タンパクチロシンフォスファターゼ、および、タンパクトレオニンフォスファターゼ等)、リパーゼ、およびその他の酵素を、タンパク分断剤として使用することが可能である。
(タンパク結合パターンの検出およびタンパク結合パターン同士の比較)
前記ディジタル抗体のセットに結合する、サンプル中のタンパクは、従来技術で既知の任意の手段によって検出することが可能である。ある実施態様では、タンパクは、従来技術で既知の任意の方法によって標識される。「標識」という用語は、分光光学的な、光化学的な、生化学的な、免疫化学的な、または化学的な手段によって検出可能な組成物を指す。例えば、標的タンパクを、1種以上の標的機能基で標識し、タンパク−抗体複合体を検出すること、および、比較サンプル中にそのような複合体の欠如することを比較によって明らかにすることの両方を実現可能としてもよい。標識機能基は、光化学的、分光光度的、生化学的、免疫化学的、化学的、光学的、電気的、バイオ電子的等の手段によって検出が可能な組成物を含む。例えば、有用なタンパク標識としては、32P、35S、蛍光染色料、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるもの)、ビオチン、ジオキシゲニン、または、それにたいして抗血清またはモノクロナール抗体が利用可能であるハプテンおよびタンパクが挙げられる。多種多様な標識および接合技術が知られており、科学的文献と特許文献の両方に広範に報告されており、かつ、タンパクの標識のために本発明に一般に応用が可能である。適当な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光性機能基、化学発光性機能基、磁気粒子等が挙げられる。標識剤は随意に、例えば、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、タンパク、または、アフィニティー基質のようなその他のポリマー、炭水化物、または、脂質を含む。標識タンパクの検出は、いくつかの方法−イムノブロッティング、放射性または生物発光マーカーの追跡を含む方法、または、サイズ、電荷またはアフィニティーに基づいて分子を追跡するその他の方法の内から任意に選ばれる方法によって行われてよい。使用される特定のラベルまたは検出可能な機能基、および特定のアッセイ法は、本発明を左右するほどの重要な局面ではない。検出可能な機能基は、検出可能な物理的または化学的性質を持つ物質であればどのようなものであってもよい。そのような検出可能なラベルは、ゲル、カラム、および固相基質の分野で十分に発達しており、一般に、このような方法で有用なラベルは、本発明にも適用が可能である。従って、ラベルは、分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または、化学的手段によって検出可能な組成物であればどのような組成物であってもよい。本発明において有用なラベルとしては、蛍光染料(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン等)、放射性ラベル(例えば、H、125I、35S、14C、または、32P)、酵素(例えば、LacZ、CAT、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、および、その他、マーカー遺伝子産物、またはELISAにおいて、一般に検出可能な酵素として使用
されるものが挙げられる。
蛍光ラベルは、単一の有機分子種に限定されず、無機分子、有機および/または無機分子の複数分子混合物、結晶、ヘテロポリマー等を含む。従って、例えば、シリカシェルに封入されたCdSe−CdSコア−シェルナノクリスタルは、生物分子に結合できるように簡単に誘導体形成させることが可能である。Bruchez et al.(1998)Science281:2013−2016.同様に、高い蛍光強度を持つ量子ドット(硫化亜鉛被覆セレン化カドミウム)が、超高感度生物学的検出に用いるために生体分子に共有的に結合されている。Warren and Nie(1998)Science281:2016−2018.
ラベルは、従来技術でよく知られる方法に従ってタンパクに直接または間接に結合される。タンパクに対してラベルを付着および/または結合する(共有的または非共有的に、直接的に、または間接的に、例えば、リンカーを介して)方法は従来技術でよく知られている。前述のように、多種多様のラベルの使用が可能であるが、ラベルの選択は、必要な感度、化合物の接合の容易さ、安定性要求、利用可能な装置配備、および、処分用設備に依存する。非放射性ラベルは間接的手段によって付着されることが多い。ある実施態様では、リガンド分子(例えば、ビオチン)がポリマーに共有的に結合される。次に、このリガンドは、内在的に検出可能な抗リガンド分子か、または、シグナルシステム、例えば、検出可能な酵素、蛍光化合物、または、化学発光化合物に共有的に結合される抗リガンド分子(例えば、ストレプトアビジン)に結合される。いくつかのリガンドおよび抗リガンドの使用が可能である。リガンドが、天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、チロキシンおよびコーティゾルを有する場合、そのリガンドは、標識された抗リガンド組み合わせて使用することが可能である。別に、任意のハプテンまたは抗原性化合物を抗体と組み合わせて用いることも可能である。
ラベルは、信号生成化合物に直接接合させる、例えば、酵素または蛍光体と接合させることも可能である。ラベルとして興味深い酵素は、主にヒドロラーゼ、特にフォスファターゼ、エステラーゼとグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、蛍光性緑色タンパク等が挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えば、ルミノールが挙げられる。
ある実施態様では、サンプルが標識される。別の実施態様では、抗体が標識される。さらに別の実施態様では、タンパクと抗体が標識される。ラベルを検出する手段は、当業者にはよく知られている。従って、例えば、ラベルが放射性ラベルである場合は、検出手段はシンチレーションカウンター、近接カウンター(シンチレーション流体を封入させたマイクロタイタープレート)、または、オートラジオグラフィーの場合のように写真フィルムを含む。ラベルが蛍光ラベルの場合は、適当な波長の光で蛍光色素を励起し、得られる蛍光を、例えば、顕微鏡検査、目視、写真フィルムで検出してもよいし、または、電荷結合デバイス(CCDS)または光増倍器等のような電子検出器を用いて検出してもよい。同様に、酵素標識は、その酵素に対する適当な基質を供給し、得られる反応産物を検出することによって検出することが可能である。最後に、簡単な比色性ラベルの場合は、単純にラベルに関連する色を観察することによって検出されることが多い。従って、各種ディップスティックアッセイでは、接合された金は多くの場合ピンクに見え、各種接合ビーズの外見はビーズの色となる。
ある実施態様では、従来技術でよく知られるように、検出のために競合イムノアッセイが用いられる。具体的に言うと、試験サンプルを、標識された小型エピトープペプチド(すなわち、アッセイで使用されるディジタル抗体セットの1種以上のメンバーによって認
識される1種以上の認識小型エピトープを含むポリペプチド)と混合し、ディジタル抗体に接触させる。次に、結合信号が検出可能となる。検出前に感度を上げるためにこの信号をさらに増幅することも可能である。この方法に有用なラベルは公知であり、化学発光分子、磁気ラベル、ビオチン等を含む。競合ポリペプチドの使用を含む実施態様では、タンパク結合プロフィールを生成する方法(および、タンパク結合プロフィールを使用する方法)は、一般に、ディジタル抗体のセットを、競合ポリペプチド(サンプルと併用して、および/または、サンプルと継時的に)と接触させることをさらに含む。
ある実施態様では、競合イムノアッセイにおいて複数エピトープ阻害剤(例えばMAP)が使用される。本明細書で用いる「複数エピトープ阻害剤」とは、複数のディジタル抗体エピトープを含む、合成ペプチドまたは、タンパク消化によって生成されたペプチドを指す。従って、これらの複数エピトープ阻害剤は、ディジタル抗体に対する結合においてタンパクサンプルと競合する。複数エピトープ阻害剤の使用は、競合イムノアッセイに必要とされるペプチドの数を減少させる。
別の実施態様では、ディジタル抗体は、固体表面に塗布または結合され、タンパク(サンプル由来のタンパク断片を含む)を抗体に接触させる前に、例えばビオチンによって標識し、タンパクを抗体と接触させ、未結合のタンパクを除去し、次に、ストレプトアビジンに接合させた酵素、蛍光染料および/またはナノクリスタルを用いて、ディジタル抗体に結合したタンパクを検出する。
別の実施態様では、競合アッセイを、例えば、ディジタル抗体を固体表面に塗布または結合し、サンプル由来のタンパク(例えばタンパク断片)と、1種以上の標識合成ペプチドを、一緒にまたは継時的にディジタル抗体に加えることによって実行する。各合成ペプチドは、使用される2種以上のディジタル抗体の結合エピトープを含み、これら合成ペプチドの混合物は、使用されるディジタル抗体全ての(ある実施態様では、使用されるディジタル抗体の実質的に全ての)エピトープを含む。この合成ペプチド混合物は、アレイのディジタル抗体に対する結合エピトープを含む、サンプルのタンパク(例えばタンパク断片)との結合をめぐって競合する。合成ペプチド(競合ペプチドとも呼ばれる)は、ナノクリスタル、酵素および/または蛍光染料を用いて標識することが可能である。ある実施態様では、ラベルは、ビオチンまたはアビジンまたはストレプトアビジンであることが可能で、その場合信号は、アビジン、ストレプトアビジンまたはビオチン接合酵素、蛍光染料またはナノクリスタルによって増幅され、競合結合の結果を表示するのに用いられる。図4は、ディジタル抗体アレイの例示の実施態様を示しており、競合ポリペプチドによる検出態様を記述する。
タンパク結合の検出によって生成されるデータは、適当なものであればどのような手段(例えば、視覚的に、コンピュータによって等)を用いても分析が可能である。一つの実施態様では、データは、プログラム可能なディジタルコンピュータを用いて分析される。データ分析は、信号の強度を測定する工程を含むことが可能である。強度は正規化し、何かの参照値に対して較正することも可能である。例えば、参照値は、結合の背景雑音であってもよい。別に、参照値は、コントロール抗体のタンパク結合強度であってもよい。
ある実施態様では、各ディジタル抗体の、サンプルのタンパクに対する結合の強度をディジタル化して一つの数字を生成してもよい。本明細書で使用する「ディジタル化」という用語は、結合信号をディジタルデータに変換する過程を指す。次に、各ディジタル抗体の結合強度を表す数字を順次通知して、そのサンプルに対するディジタル抗体の結合度を表す、複数数字列数値を生成することが可能である。別の実施態様では、結合プロフィールは、バーグラフと同様のグラフ表示によって表される。この実施態様では、バーグラフの各入口または位置はある特定のディジタル抗体を表し、「バー」の高さまたは幅は、結
合の有無、および/または、程度または強度を表す。このような数値またはグラフ表示を生成することによって、多数組のサンプルに関する情報が簡単に保存可能となる。さらに、二つの数値またはグラフ表示を比較することによって、対象とする二つのサンプルの違いの程度に関する情報が得られる。
タンパク結合プロフィールの比較は、都合のよいものであればどのような手段で実行してもよい。例えば、パターンの視覚的比較を実行して、異なるタイプの毒性と関連するパターンを決めることが可能である。さらに好都合なことに、前のセクションで論じたデータベースプログラムの一つを用いて、相関をコンピュータで実行することが可能である。相関は、神経ネットワークプログラムを用いコンピュータによって行うのが好ましい。タンパク結合プロフィールの深くは、従来技術で既知のいくつかの方法で実行することが可能である。通常、計算で得られたグラフを、例えば、ファイルフォルダー等に保存し、コントロールと比較した場合の、共通の発現パターン、および違いを視覚的に調べることが可能である。一方、好都合なことに、データはコンピュータに保存し、コンピュータに比較させることが可能である。
情報を保存し、比較するためには、標準データベースプログラム、例えば、Enterprise Data Management(サイベース社(Sybase,Inc.)、エメリービル(Emeryville)、カリフォルニア州)、または、オラクル8または9(Oracle8,9)(オラクル社(Oracle Corp.)、レッドウッドショアズ(Redwood Shores),カリフォルニア州)を使用することが可能である。別に、データは、例えば、パーテック社(Partek Inc.)(セントチャールズ(St.Charles)、ミズーリ州)から市販されている特別設計プログラムで、記録、または分析、またはその両方を行うことが可能である。
さらに、統合分析システム、例えば、質量分析器を販売する会社も結果を記録するための装置統合ソフトウェアを供給している。そのような会社としては、フィニガン社(Finnigan Corp.)(サンホセ(San Jose)、カリフォルニア州)、パーキンエルマー社(ノーウォーク(Norwalk),コネティカット州)、サイファージェン・バイオシステムズ社(Ciphergen Biosystems,Inc.)(パロアルト(Palo Alto)、カリフォルニア州)、および、ヒューレットパッカード社(Hewlett Packard Corp.)(パロアルト(Palo Alto),カリフォルニア州)が挙げられる。
好ましい実施態様では、データは記録し、神経ネットワーク技術を用いて分析することが可能である。神経ネットワークは、データ組におけるパターン認識のために特異的に設計された、複雑な非線形モデル化方程式である。このようなプログラムの一つとして、ワードシステムズグループ社(フレデリック(Frederick),メリーランド州)から市販されるNeuroShell Classifier(登録商標)がある。他にも神経ネットワークプログラムは、例えば、パーテック社(Partex,Inc.)、バイオコンプシステムズ社(BioComp Systems,Inc.)(レッドモンド(Redmond),ワシントン州)、および、ズィーソリューションズ・エルエルシー(Z Solutions,LLC)(アトランタ、ジョーシャ州)から市販されている。
(生物材料の預託)
下記の材料が、American Type Culture Collection,10801 University Boulevard,マナサス、バージニア州、米国(ATCC)に預託された。
Figure 2010054514
下記の実施例は、本発明を具体的に説明するために与えられるものであって、限定するために与えられるものではない。
(実施例1:ディジタル抗体の調製と特性解明)
多抗原性ペプチド(MAP)の形式を持つ5種の免疫化ペプチドが、表4に示すように設計された。これらの配列は組み合わせて、異なるMAPにおいて異なる位置に同じ配列が含められることを利用して、誘導抗体同士の交差反応性を評価するのにも用いられた。各免疫化ペプチドを用い、標準法により4匹のBalb/Cマウスを免疫化した。
Figure 2010054514
表4に対する注
ペプチドMAP1:HSLFHPEDTGQV、PSA由来、アミノ酸#79−89。KKTTNV:髄膜炎菌のOpaタンパク由来、公表された3マー抗体エピトープKTTを含む(Malorny,Morelli et al.1998)。
ペプチドMAP2:MAP1の別配列。
ペプチドMAP3:LTPKK、PSAのモチーフ1(Nagasaki,Watanabe et al.1999)。KKTTNVLTVPTNIPG:髄膜炎菌のOpaタンパク由来、二つの公表された3マー抗体エピトープKTTとNIP、および、一つの4マーエピトープTNIPを含む(Morelli et al.(1997)Mol Microbiol 25(6):1047−64)。
ペプチドMAP4:LTPKK、PSA由来、ペプチドMAP3の場合と同じ。LTQENQNRGTH:DNAStarコンピュータプログラムによって選択されたアルファ−1−ACTの免疫原性配列。IYNQ:髄膜炎菌のOpaタンパク由来、2マーエピトープIY、および、5マーエピトープTIYNQと7マーエピトープTPTIYNQ(Marelli et al.,同上)の内の4個のアミノ酸を含む。
ペプチドMAP5。TIYNTNIPG:髄膜炎菌のOpaタンパク(Marelli
et al.,同上)。LTQENQNRGTH:MAP4の場合と同じ。
2組のスクリーニングペプチドを設計した。すなわち、(1)免疫化ペプチド(表5に示す)と同じ配列を持つ、5種類のC末端ビオチニル化ペプチド、および、(2)5種類の免疫化ペプチドの全てをパニングする配列を持つ、43種類の10マービオチニル化ペプチド(表6に示す)である。
Figure 2010054514
Figure 2010054514
Figure 2010054514
標準的な免疫化期間の後、標準法を用いて各マウスから免疫血清を収集し、下記のようにELISAによって試験した。ELISAプレート(コーニング3369または類似のもの)を、100μl/ウェルまたは50μl/ウェルのストレプトアビジン(Sigmaカタログ番号S4762または類似のものを、50mM炭酸バッファーpH9.6に5μg/mlで溶解させたもの)でコートした。プレートを4℃で一晩、または室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを、PBS+0.05%Tween−20(PBSTバッファー)で3回洗浄した。洗浄後、プレートを、250μl/
ウェルのPBSTでブロックし、室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートした。PBSTを除去し、表5から選ばれた試験ビオチニル化ペプチド5μg/ml(PBSで希釈)を100μl/ウェルまたは50μl/ウェルで加えた。プレートを、室温で約30から60分インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBSTで3回洗浄した。次に、試験血清(すなわち、試験育成動物由来のもの)を100μlまたは50μl/ウェルで加え、室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートした。免疫反応性を定量するために、この血清は、通常、試験前に、1:500、1:2000、1:8000または1:32000に希釈した。インキュベーション後、プレートをPBSTにて3回洗浄した。抗体結合を検出するために、ヤギ抗マウスIgG(およびIgM)−HRP接合体(Jackson Immuno注文番号115−036−071、または類似のもの)の1:10,000希釈液を各ウェルに加えた。プレートを室温でさらに1時間インキュベートし、次にPBSTで5回洗浄した。HRP基質(Sigma Fast OPD、カタログ番号P−9187)を加え、室温暗黒中で30−60分インキュベートした。HRP反応が停止していない場合には、プレートを96ウェル比色検出器によってOD450で読み取った。別に、HRP反応を1.25M硫酸で停止させ、プレートをOD492で読み取った。
第1、2および3群から得られた12匹の試験育成動物を試験した。1および3群のマウスからは免疫反応は観察されなかったので、このマウスについてはこれ以上調べなかった。第2群の4匹のマウスは全て、スクリーニングペプチドPep2−0に対して強力な免疫反応を示した(>1:32,000)。さらに、第2群の4匹のマウスの内2匹(マウス#2−1と#2−4)から得られた免疫血清は、第1群および3群のために設計されたスクリーニングペプチドに対して、MAP2とMAP1/MAP3の間の配列相同性によって、交差反応性を示した。この結果は、マウス#2−1および#2−4に、このELISAアッセイに用いられた1種を超えるスクリーニング抗原の内部に存在する複数のそれぞれ別の小型エピトープを認識する抗体が発現していると考えるのが相応である。第1、2および3群マウスにおいて、3種全ての免疫化ペプチドの配列類をそれぞれ持つ23種の10マービオチニル化ペプチドに対し、#2−1および#2−4血清を試験して見たところ、この場合も広範な交差反応性が認められた。
第4−5群の8匹の試験育成動物をELISAによって試験した。第4群マウスは、関連スクリーニングペプチドPep4−0に対しては僅かな反応しか示さなかったが、一方、第3群のために設計されたスクリーニングペプチドPep3−0にたいして強力な交差反応性を示した。第4群のマウスは、Pep4−0とPep5−0の間には著明な配列相同性があるにも拘わらず、Pep5−0に対して実質的な交差反応性を示さなかった。これと対照的に、第5群の4匹のマウスの内3匹(マウス5−2、5−3、5−4)は、そのスクリーニングペプチドPep5−0と関連スクリーニングペプチドPep4−0の両方に対して明確な免疫反応性を示した。第5群の反応性マウスから得られた血清は、Pep3−0に対して、配列相同な5アミノ酸ブロックがあるにも拘わらず、実質的な交差反応性を示さなかった。第4および5群マウスに対し3種全ての免疫化ペプチドの配列類をそれぞれ持つ23種の10マービオチニル化ペプチドに対し、#5−2および#5−3血清を試験して見たところ、二つの広いが明瞭な反応パターンが示され、マッピングペプチドは第4および5群マウスに対する免疫化ペプチドの配列に渡っていた。
第2群マウスの#1と#4、および、5群マウスの#2と#3とは、表7と図2にまとめたように、最高の免疫反応を示した。ハイブリドーマ融合のためにこれらのマウスを選んだ。
Figure 2010054514
ハイブリドーマ融合のために、第2群のマウス#1と#4、および第5群のマウス#2と#3を選んだ。動物を屠殺し、リンパ節と脾臓を収集し、P3マウス骨髄腫細胞系統を融合相手として用い、B細胞ハイブリドーマ融合体を標準法を用いて形成した。融合体をプレートし、スクリーニング前に11〜14日間インキュベートした。
スクリーニングの第1ラウンドでは、第2および5群マウスから得たハイブリドーマを、対応するスクリーニングペプチド2−0および5−0を用い、ほとんど前述したやり方で96ウェルプレートにおいてELISAによって分析した。数回のスクリーニングラウンドの後、48種の陽性ハイブリドーマ系統が特定され、増幅と、エピトープマッピングを含めたさらに詳細な特性解明のために24ウェルプレートに移送された。この48種の陽性系統の内、33種は、MAP2免疫原物質を接種された第2群動物から得られ、一方、残りの15種は、第5群の動物由来であった。ハイブリドーマ系統の多くは(最大94%)、脾臓から収集されたB細胞の融合産物であった。48種のハイブリドーマ系統の内13種はIgGを発現し、25種はIgMを発現し、残りの10種のハイブリドーマ系統は、IgGとIgMの両方を発現するか、または、IgGとIgMのいずれをも発現せず、従って、IgAかIgEのいずれかを発現した。
スクリーニングの第2ラウンドでは、増幅のために選んだハイブリドーマを、関連スクリーニングペプチド(ペプチド2−0かペプチド5−0のどちらか)に対して再試験した。24ウェル増幅段階後に特性解明を行った48種のハイブリドーマの内13種が、スクリーニングペプチド2−0に対して配列特異的結合を示した。他のハイブリドーマは、非特異的に結合するか(すなわち、様々のオリゴヌクレオチド配列に結合した)、結合しなかったか(疑陽性、または、24ウェルプレートへの転送中およびそれに続く継代中におけるクローンの不安定性と特異性の喪失のいずれかを反映する)、または、BSAを含むコントロールウェルに結合した。
スクリーニングペプチド2−0に特異的に結合した13種のハイブリドーマについて、異なる3組の10マーのC末端ビオチニル化マッピングペプチド(ペプチド1−1から1−5、2−1から2−9、および3−1から3−9)(表6参照)を用いて、前述のようにELISAによってエピトープマッピングを行った。12種のハイブリドーマ系統の内
の10種が、単一マッピングペプチド2−1に対して最大反応性を示し、また、ハイブリドーマ2.03と2.11は、ペプチド2−1から2−3まで、ペプチド2−7から2−9までのマッピングペプチドから成る様々の重複マッピングペプチドの組に対して強力な結合を示した。これらのデータは、多くのハイブリドーマ系統において単一のマッピングペプチドに対して強い反応性のあることを示しているので、我々は、マッピングペプチドの固定(具体的に言うと、ビオチン−アビジン固定)に関連する立体配置的障害が、10マーの認識配列内部に存在するエピトープに対する抗体の結合を阻止し、そのためにELISAのエピトープマップの結果が偏るのではないかと考えた。上記から、我々は、競合結合アッセイを用いてエピトープ特異性の評価を行った。
ストレプトアビジンをコートした96ウェルプレートに付着させた2−0スクリーニングペプチドに対する抗体結合の抑制活性について個々のマッピングペプチドを評価した。この方式では、10マーマッピングペプチドは、ストレプトアビジンの結合ポケット内に繋がれていないので、この一連の13ハイブリドーマの内部に存在する反応性抗体との相互作用が立体配置的に妨げられることは無い筈である。ストレプトアビジン被覆96ウェルプレートに付着させた2−0スクリーニングペプチドを用い、標準法によって抑制実験を行い、10マーのマッピングペプチドを各ウェルに加えた。
この競合結合アッセイによって、13種のハイブリドーマの内10種によって認識されるエピトープが確定した。これらのハイブリドーマの内8種はエピトープPEDTGに対して特異的であり、ハイブリドーマ2.03はエピトープDTGに対して特異的であり、ハイブリドーマ2.11はエピトープKTTNを認識した。ハイブリドーマ2.31、1.02および2.12は、この競合抑制アッセイにおける識別性が低かった。ハイブリドーマ2.03(DA001−2.03とも呼ばれる)、2.04(DA001−2.04)および2.11(DA001−2.11とも呼ばれる)がATCCへ預託するために現在調製されている。この分析結果を表8にまとめた。
Figure 2010054514
以上、理解を明瞭にするために例示と実施例によって、本発明をやや詳細に説明してきたが、これらの説明と実施例は、本発明の範囲を限定するものと考えてはならない。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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