JP2010053477A - 炭素繊維織物および繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents

炭素繊維織物および繊維強化プラスチックの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
繊維強化プラスチックに成形したときに、優れた力学特性(特に、湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度など)を発現し、かつ、生産性にも優れた炭素繊維織物の製造方法、および得られた炭素繊維織物を用いた繊維強化プラスチックの製造方法を提供する。
【解決手段】
炭素繊維糸条、および、前記炭素繊維糸条より総繊度が細繊度でかつ紡糸時に直接付着された、接着成分を必須成分として含有する表面処理剤が付着した補助繊維糸条からなる炭素繊維織物の製造方法であって、前記補助繊維糸条がコア部に連続して巻き取られたパッケージ中において、連続した補助繊維糸条のパッケージ巻始側に位置する表面処理剤の付着量が過多な非製品部と、パッケージ巻終側に位置する表面処理剤の付着量が実質的に一定の製品部とが存在し、前記パッケージの重量を製織中にモニタリングすることによりによりパッケージ内の非製品部と製品部とを判別して、前記の補助繊維糸条の製品部のみを用いて製織する炭素繊維織物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維織物の製造方法および繊維強化プラスチックの製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、繊維強化プラスチックに成形したときに、優れた力学特性(特に、湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度など)を発現し、かつ、生産性にも優れた炭素繊維織物の製造方法および繊維強化プラスチックの製造方法に関するものである。
従来から、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化プラスチック(以下、FRPと呼称することがある。)は、優れた力学特性および軽量化の要求特性を満たすことから主に航空・宇宙用途やスポーツ用途等に用いられてきた。これらFRPの代表的な成形方法として、オートクレーブ成形法、レジン・トランスファー・モールディング法(RTM法)および真空注入成形法(VaRTM法)等が知られている。
オートクレーブ成形法では、例えば、一方向に配列した強化繊維群にマトリックス樹脂を予め含浸させたプリプレグを、成形型に積層し、必要に応じてバッグ材で覆い、それをオートクレーブで加熱・加圧してFRPを成形する。このオートクレーブ成形法は、プリプレグを用いることにより、ボイドが少なくきわめて信頼性の高いFRPが得られる利点があることから、航空機部材の成形等に好ましく使われている。
一方、生産性に優れているFRPの代表的な成形法としては、後者のRTM法やVaRTM法等が挙げられる。これらの成形法では、マトリックス樹脂が含浸されていないドライな複数枚の強化繊維基材を成形型の中に配置し、これに低粘度の液状マトリックス樹脂を注入することにより、強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させてFRPを成形する。この場合、ドライな状態でも取り扱いが可能な強化繊維基材として、例えば、織物等の基材を用いる必要がある。通常の織物は、強化繊維糸条を経緯二方向に配した織組織を有する。そのため、たて糸とよこ糸の交錯点で強化繊維糸条に屈曲(クリンプ)が発生するが、このクリンプによる強化繊維の真直性が低下するため、織物は一般的にプリプレグに比べ力学特性に劣るものであった。
そこで従来、応力が集中するような屈曲を有しない扁平な強化繊維マルチフィラメント糸を一方向に互いに並行かつシート状に引き揃えてなる糸条群のシート面の両側に、強化繊維マルチフィラメント糸と交差するよこ方向補助糸群が位置し、それらよこ方向補助糸群と、それらの強化繊維マルチフィラメント糸と並行するたて方向補助糸群とが織組織をなして糸条群を一体に保持している一方向性補強織物が提案されている(特許文献1参照。)。この提案のような織組織を有することにより、強化繊維糸条のクリンプを低減し、得られるFRPの力学特性を向上できる旨の記載がある。また別に、特許文献2、3には、強化繊維糸条であるたて糸よりも細い補助繊維糸条をよこ糸として用いることが提案されており(特許文献2および特許文献3参照。)、これにより、得られるFRPの力学特性を向上させることができる旨の記載がある。
しかしながら、力学特性、特に湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度の発現のためには、強化繊維糸条よりも細い補助繊維糸条を用いて織組織するという物理的なアプローチだけでなく、強化繊維糸条はいうまでもなく補助繊維糸条においてもマトリックス樹脂との優れた接着性、すなわち適切な表面処理による化学的なアプローチも重要となる。それにも関わらず、前記の特許文献1〜3には、特に化学的なアプローチに相当する補助繊維糸条に関する表面処理に関する提案が一切見られない。
一方、細い補助繊維糸条、例えばガラス繊維糸条(紡糸したストランドに撚加工したもの)においては、通常はマトリックス樹脂との接着性を向上させる表面処理剤は、織物の生産性(製織性)を低下させる。そのため、表面処理剤は、織物に製織された後、すなわち織組織された後に付着される。補助繊維糸条が製織される前には、製織性や取扱性のみを向上させ、接着性をむしろ低下させる集束剤(糊剤)が紡糸時に付着されている。そして、織物に製織された後にその集束剤(糊剤)を除去(脱油処理)して、改めて接着性を向上させる表面処理剤が付着されている(非特許文献1参照。)。しかしながら、仮に表面処理剤を補助繊維糸条の紡糸時に直接付着させた場合、ガラス繊維糸条を巻き取る際の遠心力により、その長手方向に表面処理剤の付着量にムラ(マイグレーション、パッケージの芯側と表側との差)が発生し、安定した付着量の補助繊維糸条が得られないという問題があった。この表面処理剤の付着量のムラは、補助繊維糸条を連続して巻き取った場合、連続した補助繊維糸条のパッケージ巻始側ではある一定量で付着量が安定しているが、パッケージ巻終側で付着量が著しく過多となる。もちろん、補助繊維糸条を例えば撚加工などで巻き返した場合は、パッケージ巻始側で表面処理剤の付着量が著しく過多となり、パッケージ巻終側である一定量で安定した付着量となる。
このような問題は、特に総繊度が10texより小さい、または、単繊維直径が7μmより小さい細いガラス繊維糸条においてより顕著となり、表面処理剤の付着量がパッケージの芯側と表側とで大きく異なってしまうという問題があった。このようなパッケージを用いた場合は、適正な表面処理剤の付着量の部分のみを使用するように用いた補助繊維糸条の長さを測長する必要があるが、解舒不良や打込時の糸切れ等の製織トラブルにより測長がずれて適正な部分の判別が困難となり、織物の量産性を大きく損なっていた。また、表面処理剤の付着量が過多な部分を、例えば撚加工などで巻き返した際に廃棄して、適正量の部分のみ巻き返す方法も採ることができるが、巻き返し作業が繁雑になり、かつ、回数も増えることから生産性や製造コストの面で問題となっていた。
すなわち、上記のようにこれまで提案された技術では、FRPに成形したときに、優れた力学特性、特に湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度を発現し、かつ、生産性にも優れた強化繊維織物は得られていなかったのである。すなわち、従来技術により得られた強化繊維織物は、特に補助繊維糸条において接着性が十分でなく、適切な表面処理が施されておらず、FRPにおいて本来の力学的特性が発揮できないばかりか、仮に表面処理剤が付着された補助繊維糸条を用いた場合には強化繊維織物の生産性に劣っていたのである。
特開平07−243149号公報 特開昭59−209847号公報 特開2005−022396号公報 機能材料(2007年9月号)、vol27、No.9、35〜49頁
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、繊維強化プラスチックに成形したときに、優れた力学特性(特に、湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度など)を発現し、かつ、生産性にも優れた炭素繊維織物の製造方法、および得られた炭素繊維織物を用いた力学特性に優れた繊維強化プラスチックの製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成せんとするものであって、本発明の炭素繊維織物の製造方法は、炭素繊維糸条および前記炭素繊維糸条より総繊度が細繊度でかつ紡糸時に直接付着された、接着成分を必須成分として含有する表面処理剤が付着した補助繊維糸条からなる炭素繊維織物の製造方法であって、前記補助繊維糸条がコア部に連続して巻き取られたパッケージ中において、連続した補助繊維糸条のパッケージ巻始側に位置する表面処理剤の付着量が過多な非製品部と、パッケージ巻終側に位置する表面処理剤の付着量が実質的に一定の製品部とが存在し、前記パッケージの重量を製織中にモニタリングすることによりによりパッケージ内の非製品部と製品部とを判別して、前記補助繊維糸条の製品部のみを用いて製織することを特徴とする炭素繊維織物の製造方法である。
本発明の炭素繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の助繊維糸条はガラス繊維糸条であり、その総繊度は1〜10texの範囲内でその単繊維直径は3〜6μmの範囲内であり、前記の表面処理剤に接着成分としてシランカップリング剤が含まれていることである。
本発明の炭素繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の非製品部の表面処理剤の付着量は1.5重量%を超え15重量%未満であり、かつ、製品部の表面処理剤の付着量は0.1〜1.5重量%の範囲内である。
本発明の炭素繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維糸条をたて糸とし、前記の補助繊維糸条をよこ糸として用い、かつ、前記の補助繊維糸条をよこ糸として打ち込む際に、前記パッケージ重量の変化を、センサーで検知して前記補助繊維糸条の供給を自動的に停止することである。
本発明の炭素繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のセンサーで検知した後、前記の補助繊維糸条の供給を自動的に停止する動作と連動して、別途用意している補助繊維糸条の供給を開始することである。
また、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法は、前記のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法により得られた炭素繊維織物とマトリックス樹脂とで構成される繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記のマトリックス樹脂と前記の補助繊維糸条とを用いて補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が53〜65%の試験片を成形したとき、前記の試験片がJIS−K7078(1991)「炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法」に規定される方法による、常温乾燥環境下での層間せん断強度が85MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温環境下での層間せん断強度が35MPa以上である補助繊維糸条とマトリックス樹脂とを組み合わせて繊維強化プラスチックを得ることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法である。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法の好ましい態様によれば、前記の試験片がJIS−K7074(1988)「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に規定される方法による、90°方向の常温乾燥環境下での曲げ強度が70MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温環境下での曲げ強度が30MPa以上である補助繊維糸条とマトリックス樹脂とを組み合わせて繊維強化プラスチックを得るものである。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法の好ましい態様によれば、前記のマトリックス樹脂はエポキシ樹脂であり、前記の表面処理剤と前記マトリックス樹脂とが相溶するものを選択して用いることである。
本発明においては、紡糸時に表面処理剤が直接付着された、接着成分を必須成分として含有する補助繊維糸条が用いられるため、同一パッケージ内に、連続した補助繊維糸条のパッケージ巻始側に位置する表面処理剤の付着量が過多な非製品部と、パッケージ巻終側に位置する表面処理剤の付着量が実質的に一定の製品部とが含まれている。本発明によれば、このようなパッケージの補助繊維糸条を用いる場合においても、前記のパッケージの重量を製織中にモニタリングすることにより、パッケージ内の非製品部と製品部とを判別することができる。そのため、補助繊維糸条を用いた炭素繊維織物を優れた生産性で製織することができる。本発明の製造方法で得られた炭素繊維織物は、補助繊維糸条に表面処理剤が付着されているので、FRPに成形した場合に優れた力学的特性を発現することができる。
本発明による上記の効果は、補助繊維糸条がガラス繊維糸条であり、その総繊度が1〜10texの範囲内でその単繊維直径が3〜6μmの範囲内であり、前記の表面処理剤に接着成分としてシランカップリング剤が含まれている場合においてより高く発現される。また、炭素繊維糸条をたて糸に用い、補助繊維糸条をよこ糸に用いた一方向性織物において、本発明による上記の効果は最大限に発揮される。
また、本発明によれば、繊維強化プラスチックスにおいて、特定の層間せん断強度(好ましくは90°方向の3点曲げ強度)を発現する補助繊維糸条とマトリックス樹脂とを組み合わせて成形するので、優れた力学特性を発現するFRPを得ることができる。
本発明による上記の効果は、マトリックス樹脂がエポキシであり、かつ、マトリックス樹脂と相溶性する表面処理剤を補助繊維糸条に付着させている場合において最大限に発現される。
本発明で製造される炭素繊維織物は、炭素繊維糸条と、その炭素繊維糸条より総繊度が細繊度でかつ紡糸時に直接付着された、接着成分を必須成分として含有する表面処理剤が付着した補助繊維糸条からなるものである。本発明では、この炭素繊維織物を製織するにあたり、補助繊維糸条として、補助繊維糸条がコア部に巻き取られたパッケージ中において、表面処理剤の付着量が過多な非製品部と、表面処理剤の付着量が実質的に一定の製品部とが存在するパッケージの補助繊維糸条を用いる。前記パッケージの補助繊維糸条を用いる場合においても、その補助繊維糸条のパッケージ重量を製織中にモニタリングすることにより、パッケージ内の非製品部と製品部との判別が容易に可能となり、前記のとおり非製品部と製品部とを判別して、補助繊維糸条の製品部のみを用いて製織するところに本発明の最大の特徴がある。本発明によれば、パッケージの巻姿に関わらず、非製品部と製品部とを確実に判別することが可能となる。
次に、本発明で用いられる補助繊維糸条の巻姿について、図面を用いて説明する。図1は、本発明で用いられる補助繊維糸条のパッケージの一実施態様を示す概略縦断面図である。
図1において、パッケージ10に関して、パッケージ10の巻芯に配置される非製品部1aがコア部3aの一部(図1では下部側)のみを用いた巻姿であり、かつ、パッケージ10の表層に配置される製品部2aがコア部3aの全長を用いた巻姿で巻き取られている。このように非製品部1aと製品部2aが異なるように巻き取られている巻姿すると、製品部2aを使用して順に補助繊維糸条を解舒していき、非製品部1a近くに到達すると、コア部3aの一部が露出してくるとともに、パッケージ10の巻姿の形態が変化する。図1において、鍔部4aは、コア部3aの一部を構成する鍔部ものであり、パッケージ10を据え置くための土台となる役割を主に果たすものであるが、巻姿によってはパッケージ10の巻崩れを抑制する役割も果たすものである。
このコア部3aが露出する範囲、または、パッケージ10の巻姿の形態の変化により、パッケージ10内の製品部2aと非製品部1aとを判別することも可能であるが、本発明のように、パッケージ10の重量を製織中にモニタリングし、パッケージ10内の非製品部1aと製品部2aとを判別すると、より確実に非製品部1aと製品部2aとを判別することが可能となる。
図2は、本発明で用いられる補助繊維糸条のパッケージの他の一実施態様を示す概略縦断面図である。
図2において、図1と別の観点からは、パッケージ20に関して、非製品部1bと製品部2bとが区別されずに連続してコア部3bの全長を用いた巻姿で巻き取られている。このような巻姿すると、製品部2bを使用して順に補助繊維糸条を解舒していき、非製品部1b近くに到達しても、コア部3bの一部が露出してくることなく、また、パッケージ20の巻姿の形態も変化しない。このコア部3bが露出する範囲、または、パッケージ20の巻姿の形態の変化では、パッケージ20内の製品部2bと非製品部1bとを判別することが不可能となる。本発明では、図2のこのようなパッケージ20を用いた場合でも、パッケージ20の重量を製織中にモニタリングし、パッケージ20内の非製品部1bと製品部2bとを判別することを可能とするところに本発明の最大の特徴がある。
本発明において、パッケージの重量を製織中にモニタリングする手段としては、例えば、ロードセル、電子天秤やマット式重量センサー等の重量センサー、および圧力センサーなどで重量を検知することが可能となる。中でも、簡易に製織に適用できるセンサーとして、ロードセルが挙げられる。このように、パッケージの重量を製織中にセンサーで検知が可能であると、製織を無人で行うことができ、炭素繊維織物を効率よく、すなわち生産性高く製造することができる。
本発明において、パッケージの重量を製織中にモニタリングし、パッケージ内の非製品部と製品部とを判別するには、補助繊維糸条を製造する際に予め製品部の長さを測定し、それを重量換算して予め製品部の重量を算出しておく。より具体的には、補助繊維糸条のパッケージについて、補助繊維糸条の長さと表面処理剤の付着量との関係を予め取得し、製品部の長さを把握して製品部の長さを事前に決定しておく。より好ましくは、複数の補助繊維糸条のパッケージについて前記関係を取得し、付着量のバラツキを含めて製品部の長さを事前に決定しておく。前記の製品部の重量は、製品部の繊度に長さを乗じることにより簡便に算出することができる。そして、パッケージの重量を製織中にモニタリングし、パッケージの重量から製品部の重量の減量度合いを関知して、パッケージ内の非製品部と製品部とを判別することができる。
本発明の炭素繊維織物の製造方法において、炭素繊維糸条をたて糸に用い、補助繊維糸条をよこ糸として打ち込んで炭素繊維織物を製造する場合、前記パッケージ重量の変化を、前記センサーで検知し、非製品部が炭素繊維織物に打ち込まれないように、自動的に補助繊維糸条の供給を停止することが好ましい。また、炭素繊維織物を更に生産性高く製造するためには、前記センサーで検知して自動的に補助繊維糸条の供給を停止し、その停止動作と連動して、別途用意された補助繊維糸条のパッケージの製品部から補助繊維糸条を供給する、すなわち打ち込みを開始することが好ましい。このような態様すると、無人での運転期間をより長くとることができ、炭素繊維織物の生産性を更に高めることが可能となる。
本発明で用いられる補助繊維糸条は、炭素繊維糸条より総繊度が細繊度の糸条である。補助繊維糸条としては、例えば、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維およびポリビニルアルコール繊維等)、金属繊維およびセラミック繊維等からなる糸条が挙げられ、これらの糸条を組み合わせて用いることもできる。中でも、たて糸の炭素繊維糸条と組み合わせて用いるにあたって、力学特性、コストおよび熱収縮率などの総合的なバランスに優れたガラス繊維糸条を用いることが好ましい。
補助繊維糸条の総繊度は、炭素繊維糸条の総繊度より細繊度であればよいが、炭素繊維糸条と補助繊維糸条との交錯点での屈曲(クリンプ)を小さくして炭素繊維糸条の特性を最大限に発現させるために、補助繊維糸条の総繊度は、炭素繊維糸条の総繊度の1/5以下であることが好ましく、より好ましくは1/10以下である。補助繊維糸条は細ければ細いほど好ましいが、製織時における補助繊維糸条の糸切れの面からは1/1000以上であることが好ましい。
その具体的な総繊度は、用いられる炭素繊維糸条および補助繊維糸条の種類や、炭素繊維織物の織物目付により異なる。例えば、総繊度が800texの炭素繊維糸条を用いて炭素繊維目付が200g/mの織物を製織する場合、補助繊維糸条の好ましい総繊度は1〜10texの範囲であり、より好ましくは2〜8texの範囲内である。また、例えば補助繊維糸条がガラス繊維糸条である場合には、その総繊度が200texを超える太繊度のロービング(またはダイレクトロービングと呼称される場合がある)態様のものには相当しない。
また、補助繊維糸条の上記の総繊度の上記の範囲内にする場合、補助繊維糸条は単繊維直径を3〜6μmの範囲内とし、フィラメント数を少なくし過ぎないようにすることが好ましい。この場合の炭素繊維糸条の総繊度を400〜4,000texの範囲内とするのが好ましい。また、炭素繊維糸条の単繊維直径を補助繊維糸条の単繊維直径よりも太く、かつ、5〜10μmの範囲内とするのが好ましい。かかる繊度の範囲内であると、本発明の効果である優れた力学特性を容易に発現することができる。
本発明で用いられる補助繊維糸条は、連続したフィラメントであることが好ましい。連続したフィラメントを用いることにより、製織する工程で優れた製織性と工程通過性を発現することができる。もちろん、補助繊維糸条は、紡績糸等の不連続の短繊維からなる糸条であってもよい。短繊維である場合は、繊維長が3mm未満である場合は紡績工程には優れるが、3〜50mmの範囲内である場合、補強効果をある程度発現することができる。
また、本発明で用いられる補助繊維糸条は、撚加工されている糸条(ヤーンと呼称される場合がある)であることが好ましい。補助繊維糸条は、炭素繊維糸条よりも細繊度とする観点からは、上述の総繊度のように細繊度の糸条が好ましいが、更に撚加工されていると、細繊度の補助繊維糸条であっても製織時のガイド等の通過性、レピア把持性およびエアジェット飛走性などに優れており、製織性に優れた態様となる。好ましい撚数は0.1〜2ターン/25mmであり、より好ましくは0.5〜1.5ターン/25mmの範囲内である。
本発明で用いられる表面処理剤は、
(a)溶媒または分散媒が水である樹脂溶液(ソリューション:溶媒中に溶質が溶けあっている液体)、
(b)乳濁液(エマルジョン:液体である分散質が分散媒中に分散している液体)<または
(c)懸濁液(サスペンジョン:固体である分散質が分散媒中に分散している液体)の態様で補助繊維糸条に付着されることが好ましい。
上記の樹脂溶液、乳濁液または懸濁液の溶質または分散質である表面処理剤を補助繊維糸条に付着するために、液状の樹脂溶液、乳濁液または懸濁液が好ましく用いられる。上述のとおり、樹脂溶液、乳濁液または懸濁液の溶質または分散質である表面処理剤は、少なくとも接着成分を必須成分として含み、好ましくはさらに皮膜形成成分(塗れ性向上成分)を含むものである。
本発明で用いられる表面処理剤は、補助繊維糸条がガラス繊維糸条である場合には、「機能材料(2007年9月号)、vol27、No.9、35〜49頁」に記載されている、製織性や取扱性のみを向上させる目的のデンプン等の集束剤(糊剤)とは異なるものである。このような集束剤は、マトリックス樹脂との接着性をむしろ低下させる傾向があり、後述する接着性の向上を意図する本発明で用いられる表面処理剤とは区別される。
具体的には、溶媒または分散媒を含む集束剤においてデンプン系の糊成分を3重量%以上、かつ、油系(植物油や鉱物油等)の平滑成分を2重量%以上含んでおらず、次の接着成分を必須成分とする処理剤を、好ましくはさらに皮膜形成成分(塗れ性向上成分)を必須成分とする処理剤を、本発明における表面処理剤とする。前記の皮膜形成成分は、マトリックス樹脂との塗れ性を向上させる成分として機能させることがより好ましい。
接着成分としては、補助繊維糸条と後述のマトリックス樹脂との接着性を向上させるものである。補助繊維糸条がガラス繊維糸条である場合には、接着成分としてクロム系カップリング剤や非クロム系のシランカップリング剤が含まれていることが好ましい。環境の問題からは非クロム系のシランカップリング剤を含むことが好ましい。非クロム系のシランカップリング剤としては、具体的には、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシラン、スルフィドシラン、ビニルシラン、アリルシラン、フェニルシラン、アルキルシラン、アルコキシシラン、イミダゾールシラン、メタクリルシランなどが挙げられる。これらの他にも、補助繊維糸条がポリエステル繊維やポリアミド繊維等の合成繊維を用いる場合には、接着成分としてブロックイソシアネートやレゾルシノール等が含まれていることが好ましい。これら接着成分は、補助繊維糸条の種類によって適宜使い分けることができる。
また、皮膜形成成分(塗れ性向上成分)としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などを用いることができ、後述のマトリックス樹脂との相溶性などの各目的により適宜選択されるものである。場合によっては、前記接着成分と同じ機能を果たす場合がある。
このような皮膜形成成分(塗れ性向上成分)は、補助繊維糸条の製織性の観点からは、補助繊維糸条を製織する製織環境、すなわち常温(23℃)で固体のものであることが好ましい。皮膜形成成分(塗れ性向上成分)が常温固体のものであると、製織時の補助繊維糸条のベトツキの効果を最小限にすることができ、補助繊維糸条のパッケージからの解舒性を高めることができる。このような観点からは、皮膜形成成分(塗れ性向上成分)は溶媒に溶解または分散媒に分散している状態で常温固体であることが好ましい。この場合、樹脂溶液または懸濁液を用いることが好ましい。常温で液体のものであると、液状であるが故に前記のベトツキの原因となり易いが、選択する樹脂の種類によっては前記のベトツキを最小限に抑制できる場合もある。
熱硬化性樹脂の皮膜形成成分(塗れ性向上成分)としては、例えばエポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ベンゾオキサジン、アクリルおよび酢酸ビニル等の樹脂が挙げられる。このような熱硬化性樹脂は、後述のマトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合に優れた相溶性を発現し、FRPに成形したときに力学特性や表面平滑性に優れたFRPが得易い。
熱可塑性樹脂の皮膜形成成分(塗れ性向上成分)としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルホルマール、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトンおよびポリエーテルエーテルケトン等の樹脂が挙げられる。乳化剤を用いずに水を溶媒または分散媒とすることができるとい観点から、特に、ポリアミドおよびポリエステルをもちいることが好ましい。他の樹脂では乳化剤が必要となる場合が多いからである。但し、後述のマトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合には、上記の熱硬化性樹脂を皮膜形成成分(塗れ性向上成分)とした場合よりも外観品位に劣る場合が多いため、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合に好ましいといえる。また、ゴムの皮膜形成成分(塗れ性向上成分)としては、例えば、ビニルピリジン系、NBR、SBR、BRおよびCR等のラテックスなどが挙げられる。
本発明で用いられる補助繊維糸条の表面処理剤の付着量は、0.1〜1.5重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1重量%の範囲内であり、さらに好ましくは0.3〜0.8重量%の範囲内である。付着量が0.1重量%未満では表面処理剤を付着させた効果が希薄になり、1.5重量%を超えると得られるFRP中において過剰に表面処理剤が投入されることになり、得られるFRPの力学特性を損なう場合がある。
表面処理剤の付着量は、その長手方向に付着量のムラ(マイグレーション、パッケージの芯側と表側との差)が発生し易く、安定した付着量の補助繊維糸条が得られない場合がある。このような背景により、補助繊維糸条において、表面処理剤の付着量が1.5重量%を超える箇所が補助繊維糸条の同一パッケージ内に存在する場合がある。このような箇所が、炭素繊維織物の中に混入させることは好ましくない。このような観点から、表面処理剤の付着量が1.5重量%を超える箇所を、パッケージ内で非製品部として扱うことが好ましい。逆に、付着量が0.1〜1.5重量%の範囲内である箇所を、製品部として扱うことが好ましい。このような観点から、非製品部の表面処理剤の付着量は、1.5重量%を超えるものであり、製品部の表面処理剤の付着量は、0.1〜1.5重量%の範囲内であることが好ましい。
本発明で用いられる炭素繊維糸条としては、高い力学特性を発揮するFRPが得られるという観点から、繊維直径が5〜10μmのポリアクリルニトリル系繊維で、引張強度が3〜7GPaで、引張弾性率が200〜500GPaのマルチフィラメントであることが好ましい。このような炭素繊維糸条は、一般に総繊度が大きくなるほど製造コストが安価であり低コストの織物基材を提供できることから、本発明に用いられる炭素繊維糸条は、その総繊度が400〜4,000texの太繊度糸であることが好ましい。総繊度が4,000texを超える太繊度の炭素繊維糸条となると、糸幅を均一に拡げない限り繊維分散が均一な炭素繊維織物が得られ難いという問題があり、力学特性を十分に発揮させる炭素繊維織物を得ることが難しい場合がある。この場合の炭素繊維糸条のフィラメント数を6,000〜60,000の範囲内とするのが好ましい。
本発明の炭素繊維織物の製造方法は、炭素繊維糸条および補助繊維糸条からなる炭素繊維織物の製造方法であって、好ましくは次の(A)〜(C)の工程を経て製織される。次に、各工程について順に説明する。
(A)引出工程
本工程は、たて糸を織機に導く工程である。たて糸に炭素繊維糸条を用い、よこ糸に補助繊維糸条を用いる場合は、炭素繊維糸条を各ボビンから解舒して引き揃えて、直接織機に導いて製織することが好ましい。各ボビンの炭素繊維糸条を、一旦、整経または部分整経(ビーミング)してから、シート状のたて糸群を引き揃えて織機に導くと、特に、総繊度が400〜4,000texである太繊度の炭素繊維糸条を用いた場合、各炭素繊維糸条での厚みムラが発生し易いため糸条間に糸長の差が生じる場合が多い。上記問題は、整経または部分整経を行わずに、各ボビンから炭素繊維糸条をそれぞれ引き揃えて直接織機に導き製織することによって解消される。
また、本工程において、たて糸に炭素繊維糸条を用いる場合は、たて糸を横取りして解舒撚を混入させずに織機に導くことが好ましい。前記のとおり、たて糸である炭素繊維糸条を無撚で導くことにより、例えば扁平率20〜200の範囲内の扁平状炭素繊維糸条を用いた場合でも、開口率が5%未満の炭素繊維織物を容易に得ることができる。
本発明における扁平率とは、炭素繊維糸条を平面で見た際の糸条厚と糸条幅との除の百分率で表される。実際の測定では、用いられる炭素繊維糸条を1m毎に均等間隔に5箇所取り出し、取り出した糸条の糸条厚をダイヤルゲージで、糸条幅をノギスでそれぞれ読みとり算出する(n=5の平均値)。また、本発明における開口率とは、炭素繊維織物を平面で見た際の炭素繊維糸条が存在しない空隙部の面積と検査面積との除の百分率にて表される。このとき、炭素繊維糸条でない補助繊維糸条は空隙部として扱う。実際の測定では、15cm×15cmの正方形(検査面積225cm)を幅方向に均等間隔に5枚切り取り、切り取ったものの空隙部の面積を光学顕微鏡でそれぞれ読みとり算出する(n=5の平均値)。
(B)織成工程
本工程は、よこ糸をたて糸と交錯させて織物を織成する工程である。よこ糸とたて糸との交錯には、例えばシャトル織機、レピア織機、ニードル織機、ウォータージェット織機、エアジェット織機および三次元用特殊織機などの織機を用いることができる。例えば、よこ糸に補助繊維糸条を用い、たて糸に炭素繊維糸条を用いる場合は、エアジェット織機が特に好ましく用いられる。逆に、よこ糸に炭素繊維糸条を用い、たて糸に補助繊維糸条を用いる場合は、シャトル織機またはレピア織機が特に好ましく用いられる。
たて糸とよこ糸を交錯させる織組織としては、平織、綾織、繻子織、それらの組み合わせおよび変化組織などが挙げられる。
織物形態としては、炭素繊維糸条をたて糸とし補助繊維糸条をよこ糸とする一方向性織物または多方向性織物、補助繊維糸条をたて糸とし炭素繊維糸条をよこ糸とする一方向性織物または多方向性織物、および炭素繊維糸条または補助繊維糸条にて織物平面方向(X、Y方向)を配列し、織物厚み方向(Z方向)に補助繊維糸条を配列した三次元織物などを製織することができる。中でも、扁平率20〜200の範囲内の扁平状炭素繊維糸条をたて糸とし、炭素繊維糸条よりも細繊度である補助繊維糸条をよこ糸とする一方向性織物であることが好ましい。扁平率20〜200の範囲内の扁平状炭素繊維糸条を用いることにより、織物の交錯点におけるクリンプを最小限にすることができ、力学特性に優れたFRPを得ることができる。特に、前記のクリンプを最小限にして炭素繊維糸条の真直性を高めるという観点からは、一方向性織物の中でも、炭素繊維糸条および補助繊維糸条をたて糸とし補助繊維糸条をよこ糸とし、たて糸の補助繊維糸条とよこ糸の補助繊維糸条とが織組織を構成している一方向性ノンクリンプ織物であることが好ましい。一方向性織物における補助繊維糸条の織密度は、織物の形態安定、炭素繊維糸条との交差または交錯箇所の影響の最小限化のため、0.3〜6本/cmであることが好ましい。より好ましい織密度は1〜4本/cmである。
本工程において、よこ糸に炭素繊維糸条を用いる場合は、よこ糸を横取りして解舒撚を混入させずに杼口に打ち込むことが好ましい。前記のとおり、よこ糸である炭素繊維糸条を無撚で打ち込むことにより、扁平率20〜200の範囲内の扁平状炭素繊維糸条を用いた場合でも、開口率が5%未満の炭素繊維織物を容易に得ることができる。
(C)巻取工程
本工程は、織物を巻き取って巻物にする工程である。本発明で得られる炭素繊維織物は、その開口率は5%未満であることが好ましい。開口率が5%以上であると、本発明の課題であるFRPに成形したときにFRPにおいて樹脂リッチ部分を形成することとなり、外観品位、特に表面平滑性に優れるものが得られ難いだけでなく、軽量性、耐久性(疲労強度)、耐環境性などに劣る場合がある。開口率は、低ければ樹脂リッチ部分を最小限に抑制でき表面平滑性に優れるFRPを得やすいが、成形方法によっては含浸性を損なう場合がある。そのため、開口率は0.5〜3%の範囲内であることが特に好ましい態様である。
本発明のFRPの製造方法は、上述した製造方法により得られた炭素繊維織物と、マトリックス樹脂とで構成されるFRPにおいて、用いられる補助繊維糸条とマトリックス樹脂として、次の指標(1)を満たすものを組み合わせて用いることが好ましい。
指標(1):マトリックス樹脂と補助繊維糸条とを用いて補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が53〜65%の試験片を成形する。前記の試験片は、JIS−K7078(1991)「炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法」に規定される方法による、常温(23℃)乾燥環境下での層間せん断強度が85MPa以上であり、かつ、湿熱処理後(72℃温水中に14日間浸漬)の高温(82℃)環境下での層間せん断強度が35MPa以上のものである。層間せん断強度は高ければ高い方が好ましいが、通常は常温乾燥環境下では300MPa以下であり、湿熱処理後の高温環境下では150MPa以下であることが一般的である。
本指標(1)を満たすということは、補助繊維糸条とマトリックス樹脂とが優れた接着性、すなわち適切な表面処理がされていることを意味する。すなわち、本指標(1)を満たす、表面処理剤が付着した補助繊維糸条とマトリックス樹脂との組み合わせを用いることにより、得られるFRPの力学特性、特に湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度を高く発現することができるのである。
用いられる補助繊維糸条とマトリックス樹脂として、次の指標(2)も満たすものを組み合わせて用いることが、さらに好ましい態様である。
指標(2):マトリックス樹脂と補助繊維糸条とを用いて補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が53〜65%の試験片を成形する。前記の試験片は、JIS−K7074(1988)「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に規定される方法による、90°方向の常温乾燥環境下での曲げ強度が70MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温環境下での曲げ強度が30MPa以上のものである。層間せん断強度と同様に、90°方向の曲げ強度も高ければ高い方が好ましいが、通常は常温乾燥環境下では260MPa以下であり、湿熱処理後の高温環境下では130MPa以下であることが一般的である。
本指標(2)を満たすということは、前記の指標(1)と同様に、補助繊維糸条とマトリックス樹脂とが優れた接着性、すなわち適切な表面処理がされていることを意味する。すなわち、本指標(2)を満たす、表面処理剤が付着した補助繊維糸条とマトリックス樹脂との組み合わせを用いることにより、より確実に、得られるFRPの力学特性、特に湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度を、更に高く発現することができるのである。
本発明で製造される繊維強化プラスチックにおいて、前記の表面処理剤と前記のマトリックス樹脂とが相溶するものを選択して用いることが好ましい。表面処理剤とマトリックス樹脂との組み合わせを適切に選択することにより、両者を相溶させることができ、その組み合わせを選択して用いることにより、FRPに成形したときに力学特性に優れたものとすることができる。
本発明における相溶とは、表面処理剤を10重量%、マトリックス樹脂を90重量%配合したモデル的な樹脂組成物を、FRPの成形条件と同じ熱履歴を与えて硬化または固化させたものを、DSC(示差走査熱量計)を用いてJIS K7121(1987)「プラスチックの転移温度測定方法」に従って絶乾状態で20℃/minの昇温速度にて測定し、マトリックス樹脂をFRPの成形条件と同じ熱履歴を与えて硬化または固化させたもののTgと同一でなく、得られたガラス転移温度Tgが1つであることを指す。
マトリックス樹脂は、表面処理剤と同様に、本発明の課題を解決するものであり、成形性と力学特性の面から熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の課題を容易に解決できるという観点から、エポキシ、フェノール、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、シアネートエステルおよびビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく用いられる。さらに、エラストマー、ゴム、硬化剤、硬化促進剤および触媒等を添加した樹脂も使用することができる。中でも、航空機や自動車等の輸送機器の構造部材で要求される非常に高い力学特性を達成するためにはエポキシ樹脂が、また高い耐熱性を達成するためにはビスマレイミド樹脂が好ましく、とりわけエポキシ樹脂が好ましく用いられる。なお、マトリックス樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ABS、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、それらの組み合わせ等の熱可塑性樹脂も用いることもできる。
マトリックス樹脂を炭素繊維織物に含浸させてFRPを成形する方法としては、炭素繊維織物に予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグ(ホットメルト法、ウェット法など)を用いたオートクレーブ成形法、炭素繊維織物でプリフォームを形成してキャビティ(雄型と雌型とが金型である両面型で形成されるもの、雄型または雌型の一方が金型でもう一方がバッグフィルムなどの柔軟型である片面型で形成されるものなど)内で直接マトリックス樹脂を含浸させるRTM法、VaRTM法、RFI法(レジン・フィルム・インフュージョン成形法)、および人手でマトリックス樹脂を炭素繊維織物に含浸させるハンドレイアップ法などが挙げられる。中でも、生産性に優れ、低コスト化が容易なRTM法またはVaRTM法が好ましく用いられる。
(実施例1)
たて糸に、炭素繊維糸条(JIS R7601に沿って測定された引張強度4,900MPa、引張弾性率234GPa、総繊度800tex、フィラメント数12,000本、単繊維直径7μm、撚数0ターン/m、扁平率70の扁平状炭素繊維糸条)を用い、よこ糸に、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条1(総繊度4.2tex、0.4ターン/cm)を用いて、たて糸密度が2.5本/cm、よこ糸密度が3本/cmである一方向性織物1(炭素繊維目付200g/m)を製織した。
上記のガラス繊維糸条1として、図1に示す形態、すなわち、ガラス繊維糸条1がコア部3aに巻き取られたパッケージ10中において、表面処理剤の付着量が0.8重量%を超える非製品部1aと、表面処理剤の付着量が0.2〜0.8重量%で実質的に一定の製品部2aとが存在し、非製品部1aがコア部3aの一部のみを用いた巻姿で、製品部2aがコア部3aの全長を用いた巻姿で、非製品部1aと製品部2aとの巻姿が異なるように、巻き取られたものを用いた。表面処理剤としては、接着成分としてシランカップリング剤を含むものを用いた。次に、詳細な工程を記載する。
(A)引出工程:炭素繊維糸条をたて糸とし、各ボビンから横取り解舒して引き揃えて、整経せずに織機に導いて製織した。炭素繊維糸条として、扁平率70の扁平状の炭素繊維糸条を用いた。
(B)織成工程:補助繊維糸条を製造する際に予め製品部の長さ100千mを測定し、繊度4.2texを乗じて製品部の重量が420gであることを算出しておいたパッケージを用いた。よこ糸の打込において、ガラス繊維糸条1のパッケージ内の非製品部と製品部とを、前記のパッケージ重量をロードセルにより製織時にモニタリングすることにより、パッケージの重量の減量度合いを関知して、判別して、ガラス繊維糸条1の製品部のみを用いて、レピア織機にて打ち込み、たて糸と交錯させて一方向性織物を織成した。また、よこ糸のパッケージを交換する際には、パッケージ重量の変化を、ロードセルで検知してパッケージの重量の減量度合いが製品部の重量に達したら自動的に補助繊維糸条の供給を停止し、この停止動作と連動して別途用意していたもう1つのガラス繊維糸条1のパッケージから、よこ糸の供給を開始した。
(C)巻取工程:織物を巻き取って巻物にした。
得られた一方向性織物1は、特によこ糸のパッケージを無人でかつ織機を停台することなく交換することが可能であり、優れた量産性で製織することが可能であった。また、炭素繊維糸条よりも細繊度の補助繊維糸条を用いているので、後述の得られたFRP−2において力学特性(湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度)を発現することができた。さらに、一方向性織物1の開口率は4%と、低く抑えることができ、後述の得られたFRP−2において優れた外観品位を示した。
(実施例2)
よこ糸に、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条2(繊度1.7tex、0.4ターン/cm)を用いた点、ガラス繊維糸条2として、図2に示す形態、すなわち、ガラス繊維糸条2がコア部3bに巻き取られたパッケージ20中において、表面処理剤の付着量が1重量%を超える非製品部1bと、表面処理剤の付着量が0.5〜1重量%で実質的に一定の製品部2bとが存在し、非製品部1bおよび製品部2bがコア3bの全長を用いた巻姿で、巻き取られたものを用いた点、(B)織成工程のよこ糸の打込において、ガラス繊維糸条2のパッケージ内の非製品部と製品部とを、前記パッケージ重量を製織時にモニタリングすることにより、コアと製品部との合計重量の範囲内を判別して、ガラス繊維糸条2の製品部のみを用いて、エアジェット織機にて打ち込んだ点、としたこと以外は、実施例1と同様にして一方向性織物2を得た。
得られた一方向性織物2は、実施例1と同様によこ糸のパッケージを無人でかつ織機を停台することなく交換することが可能であり、優れた量産性で製織することが可能であった。また、炭素繊維糸条よりも格段に細繊度の補助繊維糸条を用いているので、後述の得られたFRP−4において力学特性(湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度)を発現することができた。さらに、一方向性織物2の開口率は3%と、実施例1よりも若干小さく抑えることができ、後述の得られたFRP−4において優れた外観品位を示した。
(実施例3)
マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂1と、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条1とを用いて、補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が60%のFRP−1を成形した。具体的には、補助繊維糸条をループ状に枷に巻き付け一方向に配列させ、雄型と雌型とでの金型で形成されたキャビティ内に配置し、エポキシ樹脂1(180℃硬化タイプ)を含浸させ、1.5℃/分で180℃の温度まで昇温し、180℃の温度に到達後120分間保持して硬化させ、2.5℃/分で60℃の温度まで降温してFRP−1を得た。前記のFRP−1から試験片を切り出して、JIS−K7078(1991)「炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法」に規定される方法に従って層間せん断強度を測定した結果、常温乾燥環境下で100MPa、湿熱処理後の高温環境下で46MPaと、高い値であった。
また、前記のFRP−1から試験片を切り出して、JIS−K7074(1988)「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に規定される方法に従って90°方向の曲げ強度を測定した結果、常温乾燥環境下で85MPa、湿熱処理後の高温環境下で38MPaと、高い値であった。
更に、実施例1で得られた一方向性織物1を一方向に配列し、エポキシ樹脂1を含浸させた、炭素繊維糸条の体積含有率が56%のFRP−2を成形した。具体的には、所定寸法に裁断した一方向織物を同じ方向に6枚積層してプリフォームを得、雄型と雌型とでの金型で形成されたキャビティ内に配置し、エポキシ樹脂1をRTM法で含浸させ、1.5℃/分で180℃の温度まで昇温し、180℃の温度に到達後120分間保持して硬化させ、2.5℃/分で25℃の温度まで降温してFRP−2を得た。前記FRP−2から試験片を切り出して、SACMA(Suppliers of Advanced Composite Materials Association)−SRM−1R−94「Compressive Properties of Oriented Fiber-Resin Composites」に規定される方法に従って0°方向の圧縮強度を測定した結果、常温乾燥環境下で1310MPa、湿熱処理後の高温環境下で1000MPaと、高い圧縮強度を発現した。
(実施例4)
実施例3と同様にして、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂2(180℃硬化タイプ)と、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条2とを用いて、補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が60%のFRP−3を成形した。前記FRP−3から試験片を切り出して、JIS−K7078(1991)「炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法」に規定される方法に従って層間せん断強度を測定した結果、常温乾燥環境下で94MPa、湿熱処理後の高温環境下で48MPaと、実施例3と同等の高い値であった。
また、前記のFRP−3から試験片を切り出して、JIS−K7074(1988)「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に規定される方法に従って90°方向の曲げ強度を測定した結果、常温乾燥環境下で91MPa、湿熱処理後の高温環境下で40MPaと、実施例3より僅かに高い値であった。
更に、実施例3と同様にして、実施例2で得られた一方向性織物2を一方向に配列し、エポキシ樹脂2を含浸させた、炭素繊維糸条の体積含有率が56%のFRP−4を成形した。前記のFRP−4から試験片を切り出して、SACMA(Suppliers of Advanced Composite Materials Association)−SRM−1R−94「Compressive Properties of Oriented Fiber-Resin Composites」に規定される方法に従って0°方向の圧縮強度を測定した結果、常温乾燥環境下で1390MPa、湿熱処理後の高温環境下で1010MPaと、実施例3と同等以上の高い圧縮強度を発現した。
ガラス繊維糸条2の表面処理剤とエポキシ樹脂2とを1/9の割合で混合して樹脂の注型板を作製し、FRP−4と同じ熱履歴を与えて硬化させたもののTgは、エポキシ樹脂2のTg(190℃)よりも低く、かつ、Tgは1つしか示さなかったため、両者は相溶しているといえる。
(比較例1)
よこ糸に、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条3(デンプン糊剤および植物油をそれぞれ10および2.5重量%含むデンプン系集束剤、繊度34tex、0.4ターン/cm)を用いた点、ガラス繊維糸条3として、ガラス繊維糸条3がコアに巻き取られたパッケージ中において、表面処理剤の付着量が0.4〜0.8重量%で実質的に一定の製品部のみが存在し、製品部がコアの全長を用いた巻姿で、巻き取られたものを用いた点、(B)織成工程のよこ糸の打込において、ガラス繊維糸条3のパッケージ内の製品部のみを判別せずに用いた点、としたこと以外は、実施例1と同様にして一方向性織物3を得た。
得られた一方向性織物3は、非製品部と製品部とを判別する必要がないため、特によこ糸のパッケージを無人でかつ織機を停台することなく交換することが可能であり、優れた量産性で製織することが可能であった。しかしながら、ガラス繊維糸条3では表面処理剤でなく集束剤を用いているので、後述の得られたFRP−6において力学特性(湿熱処理後の高温環境下の圧縮強度)の発現が充分でなかった。さらに、一方向性織物1の開口率は6%と、低く、後述の得られたFRP−6において外観品位が劣った。
(比較例2)
実施例3と同様にして、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂1と、補助繊維糸条としてガラス繊維糸条3とを用いて、補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が60%のFRP−5を成形した。前記のFRP−5から試験片を切り出して、JIS−K7078(1991)「炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法」に規定される方法に従って層間せん断強度を測定した結果、常温乾燥環境下で92MPa、湿熱処理後の高温環境下で測定不能なレベルで10MPa以下と、特に湿熱処理後の高温環境下において大幅に低い値であった。
また、前記のFRP−5から試験片を切り出して、JIS−K7074(1988)「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に規定される方法に従って90°方向の曲げ強度を測定した結果、常温乾燥環境下で76MPa、湿熱処理後の高温環境下で25MPa以下と、特に湿熱処理後の高温環境下において大幅に低い値であった。
更に、実施例3と同様にして、比較例1で得られた一方向性織物3を一方向に配列し、エポキシ樹脂2を含浸させた、炭素繊維糸条の体積含有率が56%のFRP−6を成形した。前記FRP−6から試験片を切り出して、SACMA(Suppliers of Advanced Composite Materials Association)−SRM−1R−94「Compressive Properties of Oriented Fiber-Resin Composites」に規定される方法に従って0°方向の圧縮強度を測定した結果、常温乾燥環境下で1290MPa、湿熱処理後の高温環境下で810MPaと、実施例3、4に比べて、湿熱処理後の高温環境下において圧縮強度が低下した。
ガラス繊維糸条3の表面処理剤とエポキシ樹脂1とを1/9の割合で混合して樹脂の注型板を作製し、FRP−6と同じ熱履歴を与えて硬化させたもののTgは、エポキシ樹脂1のTg(185℃)よりも低くかったが、かつ、エポキシ樹脂1のTgを含め、複数のTgを示したため、両者は相溶してないといえる。
(比較例3)
(B)織成工程のよこ糸の打込において、よこ糸の長さを測長して、ガラス繊維糸条2のパッケージ内の非製品部と製品部を判別した点、としたこと以外は、実施例2と同様にして一方向性織物4を得た。一方向性織物4の製織時に、パッケージの解舒不良や打込時のガラス繊維糸条の糸切れ等のトラブルにより測長がずれてしまい、パッケージを使い切る前に非製品部と製品部との判別が困難となった。そのため、自動でよこ糸を交換することができず、織機を停台して人手でパッケージ重量をその都度測定し、規定重量になった時点で次のパッケージに交換せざるえなかった。すなわち、織物の量産性に大きく劣った。
図1は、本発明で用いられる補助繊維糸条のパッケージの一実施態様を示す概略縦断面図である。 図2は、本発明で用いられる補助繊維糸条のパッケージの他の一実施態様を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1a、1b:非製品部
2a、2b:製品部
3a、3b:コア部
4a、4b:鍔(コア部の一部)
10、20:補助繊維糸条のパッケージ

Claims (8)

  1. 炭素繊維糸条および前記炭素繊維糸条より総繊度が細繊度でかつ紡糸時に直接付着された、接着成分を必須成分として含有する表面処理剤が付着した補助繊維糸条からなる炭素繊維織物の製造方法であって、前記補助繊維糸条がコア部に連続して巻き取られたパッケージ中において、連続した補助繊維糸条のパッケージ巻始側に位置する表面処理剤の付着量が過多な非製品部と、パッケージ巻終側に位置する表面処理剤の付着量が実質的に一定の製品部とが存在し、前記パッケージの重量を製織中にモニタリングすることによりによりパッケージ内の非製品部と製品部とを判別して、前記補助繊維糸条の製品部のみを用いて製織する炭素繊維織物の製造方法。
  2. 補助繊維糸条がガラス繊維糸条であり、その総繊度が1〜10texの範囲内でその単繊維直径が3〜6μmの範囲内であり、表面処理剤に接着成分としてシランカップリング剤が含まれている請求項1記載の炭素繊維織物の製造方法。
  3. 非製品部の表面処理剤の付着量が1.5重量%を超え15重量%未満であり、かつ、製品部の表面処理剤の付着量が0.1〜1.5重量%の範囲内である請求項1または2記載の炭素繊維織物の製造方法。
  4. 炭素繊維糸条をたて糸とし、補助繊維糸条をよこ糸として用い、かつ、前記補助繊維糸条をよこ糸として打ち込む際に、パッケージ重量の変化を、センサーで検知して前記補助繊維糸条の供給を自動的に停止する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  5. センサーで検知した後、補助繊維糸条の供給を自動的に停止する動作と連動して、別途用意している補助繊維糸条の供給を開始する請求項4記載の炭素繊維織物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法により得られた炭素繊維織物とマトリックス樹脂とで構成される繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記マトリックス樹脂と補助繊維糸条とを用いて補助繊維糸条を一方向に配列した体積含有率が53〜65%の試験片を成形したとき、前記試験片が、常温乾燥環境下での層間せん断強度が85MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温環境下での層間せん断強度が35MPa以上である補助繊維糸条とマトリックス樹脂とを組み合わせて繊維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチックの製造方法。
  7. 試験片が、90°方向の常温乾燥環境下での曲げ強度が70MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温環境下での曲げ強度が30MPa以上である補助繊維糸条とマトリックス樹脂とを組み合わせて繊維強化プラスチックを得る請求項6記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  8. マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であり、表面処理剤と前記マトリックス樹脂とが相溶するものを選択して用いる請求項6または7記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010053476A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Toray Ind Inc 炭素繊維織物および繊維強化プラスチックの製造方法
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