JP2010053375A - 鉄合金材用化学研磨剤および研磨鉄合金材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリ等の不均質部分を除去し、均一な表面を形成することができる鉄合金材用化学研磨剤、これを用いて効率よく研磨、表面処理して均一な表面を有する研磨鉄合金材の製造方法、ならびに均一な表面を有する研磨鉄合金材を提供する。
【解決手段】硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなる鉄合金材用化学研磨剤により、鉄合金材、特にクロム鋼、クロムモリブデン鋼のような低合金鋼材の表面を研磨し、均一な表面を有する研磨鉄合金材を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄を主成分とする鉄合金材の表面を研磨するための鉄合金材用化学研磨剤、特にクロム鋼、クロムモリブデン鋼のような低合金鋼材の研磨に好適な鉄合金材用化学研磨剤、およびこれらを用いる研磨鉄合金材の製造方法、ならびに得られた研磨鉄合金材に関する。
航空機、自動車のエンジン、化学装置等の構成部材、その他産業構造物に使用される鋼材、合金鋼材などの各種鉄合金材は、切削加工、機械加工、プレス加工、注型加工等の加工を行った際に加工痕やバリ等の不均質部分が残る。また鋳物材、押出品等の加工前の鉄合金材にも、多孔表面やバリ等の不均質部分が存在する。これらの鉄合金材をそのまま製品化すると、各種の機能障害や性能低下をきたすため、製品化する前に不均質部分を取り除く必要がある。従来、これら加工痕やバリ等の不均質部分を取り除く方法として、機械研磨やブラスト等の物理的方法が採用されているが、複雑な構造の部材内部のように物理的な外力が及ばない部材には適用できないという問題があった。
そのため最近では、化学的研磨によって前記目的を達成する方法が行われるようになった。特許文献1(特開2005−126807)には、鉄を主成分とする鉄合金の表面を処理するための酸性水溶液として、少なくともリン酸、硝酸および硫酸を含み、当該酸性水溶液全体におけるリン酸の濃度が20〜90重量%、硝酸の濃度が0.5〜9.9重量%、硫酸の濃度が1〜9.9重量%である鉄を主成分とする鉄合金の化学研磨剤が提案されている。そして特許文献1では、鉄を主成分とする鉄合金としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、炭素鋼等が挙げられている。
特許文献1では、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、炭素鋼等のすべての合金に適用できると記載されているが、ステンレス鋼の不動態化膜の除去について説明され、実施例ではフェライト・マルテンサイト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼について試験が行われている。しかしこのうち上記組成のリン酸、硝酸および硫酸を含む化学研磨剤で研磨できるのは、クロムを含み、ニッケルを含まないフェライト・マルテンサイト系ステンレス鋼のみであり、クロムおよびニッケルを含むオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、上記組成のリン酸、硝酸および硫酸を含む化学研磨剤では研磨できず、上記組成に加えてさらに塩酸のほか、溶解促進剤としてチオ尿素を配合した化学研磨剤で研磨することが必要であることが示されている。
特許文献1で研磨の対象とされているのは、クロム、ニッケル、モリブデン等の合金元素の添加量が10重量%以上の高合金鋼である。クロムの添加量が10.5重量%以上の場合、クロムの不動態化膜が形成されることにより耐食性となり、ステンレス鋼としての機能が出るとされており、ニッケル、モリブデン等の他の合金元素がさらに加わることにより、耐食性が改善されるとされている。このような耐食性材料の研磨では、耐食性の原因となる不動態化膜の除去が重要であるため、腐食性を有する他の鋼材の研磨とは異なる機構によるものと解される。また特許文献1において、クロムおよびニッケルを含むオーステナイト系ステンレス鋼の場合に用いられた塩酸は、ステンレス鋼の肌荒れを招くものとされている。
合金元素の添加量が少ない鉄合金である低合金鋼、例えばクロムおよびモリブデンを含むクロムモリブデン鋼の表面を上記特許文献1に示された化学研磨剤で研磨しても、十分な研磨、表面処理を行うことはできない。クロムモリブデン鋼、その他の低合金鋼は硬度、靭性、加工性、熱処理(焼き入れ)性、その他の特性に優れ、高合金鋼であるステンレス鋼とは異なる加工材料として広く用いられているが、加工に伴う加工痕やバリ等の不均質部分を除去し、均一な表面を形成することのできる化学研磨剤および表面研磨方法が要望されている。
さらに鉄合金材の鋳物材は、表面がポーラス構造を有するために、化学研磨により不均一な粗面になりやすく、化学研磨の採用が困難な材料とされてきたが、特許文献1その他の化学研磨剤を用いても、均質な粗度を有する表面を得ることができないという問題点があった。
特開2005−126807
本発明の課題は、このような従来技術の問題点を解消し、一般的な材料を用い、簡単な操作で鉄合金材を効率よく研磨、表面処理して、加工痕やバリ等の不均質部分を除去し、均一な表面を形成することができる鉄合金材用化学研磨剤、これを用いて効率よく研磨、表面処理して均一な表面を有する研磨鉄合金材の製造方法、ならびに均一な表面を有する研磨鉄合金材を提供することである。
本発明は次の鉄合金用化学研磨剤、研磨鉄合金材の製造方法、ならびに研磨鉄合金材である。
(1) 鉄合金材の表面を研磨するための化学研磨剤であって、硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなることを特徴とする鉄合金材用化学研磨剤。
(2) 鉄合金材が、鉄を主成分とする低合金鋼材である上記(1)記載の化学研磨剤。
(3) 硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなる化学研磨剤により、鉄合金材の表面を研磨することを特徴とする研磨鉄合金材の製造方法。
(4) 鉄合金材が、鉄を主成分とする低合金鋼材である上記(3)記載の方法。
(5) 化学研磨剤により鉄合金材の表面を研磨した後、キレート剤を含有するリンス液と接触させて、表面に付着したスマットを除去する上記(3)または(4)記載の方法。
(6) 鉄合金材をリンス液に浸漬し、超音波を照射する上記(5)記載の方法。
(7) 上記(3)ないし(6)のいずれかに記載の方法により製造された研磨鉄合金材。
本発明で研磨の対象とする鉄合金材は、鉄を主成分とし、クロム、ニッケル、モリブデン等の他の金属その他の合金元素を含む合金材である。このような鉄合金材としては、合金元素の添加量に応じて、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼などに分類され、それぞれの合金元素の種類とも関連して、異なる特性が得られ、異なる用途に用いられるが、本発明で研磨の対象とする鉄合金材としては、特に合金元素の合計量が5重量%未満の低合金鋼材、中でも合金元素としてクロムおよびモリブデンの合計量が5重量%未満のクロムモリブデン鋼が対象として適している。
合金元素としては、例えばクロム、モリブデン、ニッケルなど、鉄合金に特定の特性を付与する元素があげられる。低合金鋼材の合金元素の下限値はISOで決められているが、例えばクロムは0.3重量%、モリブデンは0.08重量%、ニッケルは0.3重量%等である。低合金鋼の好ましい例として、鉄を主成分とし、クロム0.90〜1.20重量%を含むクロム鋼、ならびに鉄を主成分とし、クロム0.90〜1.20重量%、およびモリブデン0.15〜0.25重量%を含むクロムモリブデン鋼のほか、ニッケルを含むニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼などがあげられる。
クロムモリブデン鋼は、クロム0.90〜1.20重量%を含むクロム鋼にさらにモリブデン0.15〜0.25重量%を添加したものである。クロムモリブデン鋼には、炭素、ケイ素、マンガン等は含まれることが多いが、ニッケルは含まれない。通常は炭素0.13〜1.43重量%、ケイ素0.15〜0.35重量%、マンガン0.60〜0.90重量%、リン0.030未満、イオウ0.030未満、ニッケル0.25重量%未満とされる。このようなクロムモリブデン鋼はJIS規格があり、SCM415、SCM420、SCM435、SCM440、SCM455などがあり、それぞれ焼入れ可能なものはこれらの符号の末尾にHを付加して表示される。
本発明で研磨の対象とする鉄合金材は、上記の材質からなる鉄合金材のワークを切削加工、機械加工、プレス加工、注型加工等の加工を行った際に加工痕やバリ等の不均質部分が残る部材、あるいは鋳物材、押出し材等として得られ、表面がポーラス構造、その他の不均質構造を有する部材など、化学研磨により、均一な表面を形成する材料がある。
本発明の化学研磨剤は、硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなる。本発明の好ましい化学研磨剤は、硝酸20〜25重量%、リン酸8〜25重量%、硫酸8〜25重量%、および水40〜45重量%を含む酸水溶液からなる。上記各成分の配合割合は、硝酸、リン酸、硫酸および水の4成分の割合として表示されており、これらの4成分の合計が100重量%となるように、上記の範囲内で各成分の配合割合を選ぶ。
本発明の化学研磨剤は、他の成分を添加しなくても、上記4成分の配合により効果的に研磨合金材の化学研磨を行って、均一な表面を有する研磨合金材の製品を得ることができるが、上記4成分に加えて、非イオン界面活性剤や陰イオン界面活性剤等の界面活性剤、過酸化水素等の溶解促進剤などの他の添加剤を添加してもよい。
本発明の研磨鉄合金材の製造方法では、前記鉄合金材のワークを、前記硝酸、リン酸および硫酸を含む水溶液からなる化学研磨剤で化学研磨を行う。表面処理を行う鉄合金材のワークは、鉄合金の板、ブロック等の塊を切断、切削、塑性加工、溶接等の機械加工その他の加工を行ったものである。このような加工を経たワークは、加工に伴うバリ、加工痕、変形、表面変質等の不均質部分が生じるため、加工されたワークを上記の化学研磨剤で化学的な研磨処理を行うことにより、バリ、加工痕、変形、変質表面等の不均質部分を除去し、均一な表面を有する研磨鉄合金材の製品を得る。
上記化学研磨剤による化学研磨処理は、上記のワークを化学研磨剤と接触させることにより、不均質部分を化学的に反応させて研磨、表面処理を行う。これによりワークの表面が溶解して、バリ、変形、変質表面等の不均質部分が除去され、均一な表面を有する研磨鉄合金材の製品が得られる。ワークと化学研磨剤の接触は、ワークを化学研磨剤の溶液に浸漬し、必要により化学研磨剤を攪拌する方法が一般的であるが、化学研磨剤を循環しながらスプレーする方法などでもよい。反応温度は15〜30℃、通常は常温(室温)でよく、必要により冷却または加熱して一定の温度に維持するのが好ましい。反応時間はワークの性状、表面処理剤の組成、濃度等により変わるが、目的とする研磨状態が得られるのに必要な時間とすることができ、通常は数分から十数分、好ましくは1〜10分程度とすることができる。
上記の化学研磨処理において、鉄合金材の研磨速度(エッチングレート)は一般的には1〜10μm/分、好ましくは、2〜10μm/分とすることができる。どれだけ表面を研磨すればバリが除去できるかは、バリの大きさに左右されるが、従来の知見から平均研磨量として5〜20μm研磨すれば、バリの除去は可能とされる。このため最大20μmの研磨を1〜10分程度(2〜10μm/分)で研磨できる速度が、生産性を考慮した妥当な研磨速度となるが、本発明の化学研磨剤を用いる化学研磨処理により、この程度の研磨速度で化学研磨を行うことができる。
また研磨後の金属表面の状態は、所望の粗度を超えない範囲の均質で平滑な仕上がり面が要求される。特に鉄合金材においては、化学研磨によって表面粗度が大きくなりやすく、平滑な金属表面を得るのが難しい。所望の表面粗度は、対象となる部材の種類によってさまざまであるが、Rz粗度で10μm以下であることが一つの目安となるが、本発明の化学研磨剤を用いる化学研磨処理により、この程度の表面粗度の研磨鉄合金材を製造することができる。
本発明では、鉄合金部材の表面を上記の化学研磨剤で化学研磨した後、キレート剤を含有するリンス液に接触させて部材表面に付着したスマット(炭素または金属酸化物からなる黒色の異物)を除去することにより、さらに均一な表面を有する研磨鉄合金材を製造することができる。鉄合金部材の表面を上記の化学研磨剤で化学研磨すると、部材表面に黒色のスマットが残存し、そのままでは製品の品質を確保できない場合には、これを除去するために、後処理としてキレート剤を添加したリンス液に研磨鉄合金材を接触させて処理することにより、スマットを除去して製品の品質を向上させることができる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸等のポリアミノカルボンサン類、クエン酸、グリコール酸等の有機カルボン酸類を用いることができる。これらのキレート剤の添加濃度は通常0.1〜5重量%で、水、好ましくは純粋に添加してリンス液を調製する。鉄合金材と接触させるときのリンス液の温度は15〜40℃、通常は常温(室温)、接触時間は1〜5分間で、スマット除去を行うことができる。
鉄合金材とリンス液を接触させる方法としては、ワークをリンス液に浸漬し、必要により攪拌する方法が一般的であるが、リンス液を循環しながらスプレーする方法などでもよい。鉄合金材をリンス液に浸漬する際、リンス液に超音波を照射するのが好ましい。リンス液に超音波を照射することにより、スマットの脱離速度を加速することができる。
本発明の鉄合金材用化学研磨剤は、硝酸、リン酸、硫酸および水を特定の割合で含有する酸水溶液からなるので、鉄合金材を化学研磨することにより、一般的な材料を用い、簡単な操作で鉄合金材を効率よく研磨、表面処理して、加工痕やバリ等の不均質部分を除去し、均一な表面を形成することができる。
本発明の研磨鉄合金材の製造方法は、上記の化学研磨剤を用いて鉄合金材の表面を研磨することにより、鉄合金材を効率よく研磨、表面処理して、均一な表面を有する高品質の研磨鉄合金材を製造することができる。
本発明の研磨鉄合金材は、上記の方法で製造されるため、均一な表面を有する高品質の研磨鉄合金材が得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明の研磨液は、市販の濃硝酸、濃リン酸および濃硫酸を用い、それぞれ所定の濃度となるように秤り取り、水と混合して調製する。このとき水に酸を注入して酸水溶液を形成するように混合するのが好ましく、特に水に硝酸を注入し、続いて他の酸を注入するのが好ましく、必要により冷却を行う。
研磨対象物の鉄合金材は、防錆油や機械油等が塗布または残留している場合があるので、研磨前にあらかじめ市販の脱脂洗浄剤や有機溶剤等により、油分を除去するのがよい。油分を除去した研磨対象物を、前記研磨液に所定の時間浸漬して化学研磨を施す。このとき浸透性を向上する等の目的で、界面活性剤、その他の添加剤を適宜添加することも可能である。化学研磨後、水洗槽に浸漬またはシャワー水洗等により研磨液を洗い流した後、別に準備したリンス液槽に所定時間浸漬してスマットを除去する。このときリンス液槽に超音波発生装置を装備して超音波照射するのが好ましい。リンス工程を終了したら、再度水洗して熱風乾燥もしくはオーブン乾燥等の手段により乾燥して全処理工程を終了し、研磨鉄合金材を製造する。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。以下の実施例および比較例において、%は重量%である。
また研磨速度は、研磨前後の肉厚をマイクロメーターで計測し、次の(1)式により算出した。(1)式中、2で割るのは、両面を研磨しているためである。
研磨速度(μm/分)=
{研磨前肉厚(μm)−研磨後肉厚(μm)}÷研磨時間(分)÷2 ・・・・(1)
研磨速度の評価は、2〜10μm/分を○(良好)、1〜2μm/分未満を△(遅いが使用可能)、1μm未満または10μm/分以上のものは×(研磨不可)とした。
表面粗度は、触針式の粗度計((株)ミツトヨ製サーフテストSJ−400)により測定したRzの値とした。
表面状態の評価は、研磨後の表面仕上がり状態を顕微鏡によりミクロ観察し、鏡面なものを◎、変色、孔食、荒れがない(微量な)ものを○(良好)、変色、孔食、荒れが少ないものを△、変色、孔食、荒れが目立つものを×、変色、孔食、荒れが多いものと変化がないものを××とした。
総合評価は、上記研磨速度と表面状態の評価から研磨が可能かを判断したもので、◎(研磨優秀)>○(研磨良好)>△(研磨可)>×(研磨不良)>××(研磨不可)とした。
〔実施例1〜7、比較例1〜11〕:
表1〜5に示す化学研磨液を準備し、第1の試験片として、クロムモリブデン鋼のSCM435H材(以下、H材という:円形平板、表面積49.2cm)を1個当り500mLの化学研磨液に浸漬し、また第2の試験片として、クロムモリブデン鋼のSCM420材(以下、S材という:円柱形、表面積7.0cm)を1個当り200mLの化学研磨液に浸漬し、それぞれ室温で5分間研磨処理を行った。研磨処理後、1%クエン酸水溶液からなるリンス液に浸漬し、5分間超音波処理を行った。得られた研磨試験片について、研磨速度と研磨後の表面仕上がり状態を評価した。研磨後の表面仕上がり状態は顕微鏡によるミクロ観察とともに、数値指標として、表面粗度を測定し良否を判定した。そして上記研磨速度と表面状態の評価から総合評価を行った。試験の結果を表1〜5に示す。
Figure 2010053375
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表1〜5において、比較例1〜3の結果から明らかなように、3種類の酸を単独で用いた場合、1μm/分以上の研磨速度が得られるのは硝酸単独の場合のみであり、硝酸が必須成分であることが分かる。しかし硝酸単独の研磨液では研磨後の表面粗度が大きく、品質を確保できない。そして比較例4、6のように硝酸にリン酸のみを配合した場合、および比較例5のように硝酸に硫酸のみを配合した場合は、十分な研磨速度は得られるものの、研磨後の材料の表面状態が荒れる傾向にあり、化学研磨剤として好ましくない。
これに対して実施例1〜7のように、硝酸にリン酸および硫酸の両者を配合すると、研磨速度および表面状態ともに満足できる結果を得ることができ、表面の平滑化を促進する研磨液成分として、リン酸および硫酸の配合が必須となることが分かる。リン酸および硫酸は、それぞれ単独では鉄合金材を化学研磨する作用を有しないが、硝酸と配合することにより重要な機能を果たしていることが分かる。
ここで、各試験の結果から、3種酸成分の配合において、それぞれの成分の適正濃度を見ると、比較例7、8から、硝酸が8重量%の場合は、研磨速度が遅くなるとともに研磨後の表面状態が悪くなる傾向にあり、比較例9から、硝酸濃度が30重量%の場合は、研磨後の表面状態が悪くなる傾向が著しいが、実施例1〜7から硝酸15〜25重量%で良好な研磨が行えることが分かる。リン酸については、比較例5のリン酸無添加の場合と、実施例6のリン酸4重量%添加の場合の対比から、4〜25重量%の配合範囲で適用可能である。硫酸については、硝酸とリン酸が適正濃度範囲にある条件下で、7〜25重量%の配合範囲で良好な結果が得られる。
比較例11は、特許文献1の実施例に記載された研磨液(表5の組成に加えてさらに非イオン性界面活性剤を0.1重量%含む)を用いて、同条件で研磨を行った例、比較例10は、特許文献1の化学研磨液の硝酸の上限に近いが、範囲外の組成(非イオン性界面活性剤を0.1重量%含まない)の化学研磨液を用いて、同条件で研磨を行った例であり、いずれも有効な研磨を行うことができなかった。
〔実施例9〕:
クロムモリブデン鋼のSCM420材の鋳物材で構成される自動車エンジン用ポンプ部品を試料として、本発明の研磨液を用いて化学研磨を行った。本試料は、従来、人手作業で時間をかけてバリを取り除いていたもので、加工痕の除去はなされていなかったものである。研磨前の油分除去工程を行った後に研磨工程とリンス工程を行い、各工程の間ならびにリンス工程後に水洗工程を行った。
研磨工程研磨液は実施例4と同じ硝酸:25重量%、リン酸:8重量%、硫酸:25重量%、水:42重量%の研磨液により、試験片1個当り2Lの化学研磨液に浸漬し、研磨液温度:20℃、研磨時間:3分で研磨処理を行った。リンス工程は1重量%クエン酸水溶液からなるリンス液により、リンス液温度:20℃、リンス時間:5分で、超音波照射して実施した。その結果、加工痕は除去されて平滑面が得られ、バリも完全に除去され、表面粗度(Rz)は10μm未満であった。
上記各実施例および比較例の結果より、従来の研磨液で研磨できなかった低合金鋼の研磨が、各実施例の研磨液を用いる研磨により、均一表面が形成でき、優れた研磨鉄合金材の製造が可能であることが分かる。
鉄を主成分とする鉄合金材の表面を研磨するための鉄合金材用化学研磨剤、特にクロム鋼、クロムモリブデン鋼のような低合金鋼材の研磨に好適な鉄合金材用化学研磨剤、およびこれらを用いる研磨鉄合金材の製造方法として利用可能である。

Claims (7)

  1. 鉄合金材の表面を研磨するための化学研磨剤であって、硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなることを特徴とする鉄合金材用化学研磨剤。
  2. 鉄合金材が、鉄を主成分とする低合金鋼材である請求項1記載の化学研磨剤。
  3. 硝酸15〜25重量%、リン酸4〜25重量%、硫酸7〜25重量%および水40〜60重量%を含む酸水溶液からなる化学研磨剤により、鉄合金材の表面を研磨することを特徴とする研磨鉄合金材の製造方法。
  4. 鉄合金材が、鉄を主成分とする低合金鋼材である請求項3記載の方法。
  5. 化学研磨剤により鉄合金材の表面を研磨した後、キレート剤を含有するリンス液と接触させて、表面に付着したスマットを除去する請求項3または4記載の方法。
  6. 鉄合金材をリンス液に浸漬し、超音波を照射する請求項5記載の方法。
  7. 請求項3ないし6のいずれかに記載の方法により製造された研磨鉄合金材。
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