JP2010053354A - 新規高分子化合物及び該新規高分子化合物を有する蛍光プローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 低pHで蛍光強度が増大する新規高分子化合物及び該新規高分子化合物を有する蛍光プローブを提供すること。
【解決手段】 疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、前記高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規高分子化合物及び該新規高分子化合物を有する蛍光プローブに関する。
腫瘍や炎症などの病変部位を検出することは、生物学、医学、とりわけ臨床検査分野及び体内画像診断領域において、極めて重要な課題である。このような検出を高感度かつ高精度で行うために、病変部位を特異的に高感度に検出する分子プローブが求められている。
一方、腫瘍や炎症などの病変部位と、正常組織との環境の相違点として、pHが挙げられる。すなわち、腫瘍や炎症部位(pH5〜6程度)では正常組織(pH7.4程度)に比べて低いpHを示すことが知られている。また、悪性度の高い腫瘍の一部では、pH5.5程度まで低下しているものも知られている。そこで、pH応答性のある化合物が腫瘍や炎症などを検出することのできる分子プローブの候補として期待されている。
pH応答性のある化合物として、特許文献1には、pH応答性のある蛍光色素をpH応答性のないポリマーに結合させた蛍光性高分子インジケーターが開示されている。また、特許文献1では、このインジケーターの周辺環境を高pH環境から低pH環境へと変化させていくと、低pH領域(pH5付近)で蛍光強度が小さくなることが示されている。
特許文献2では、増粘剤、安定剤として用いられるポリカルボン酸の定量分析などを行うための蛍光標識化ポリカルボン酸として、アニリノナフタレンで蛍光標識したポリカルボン酸が開示されている。この蛍光標識化ポリカルボン酸を用いると、周辺環境が高pHから低pHへと変化することにより、ポリカルボン酸同士が会合するため、会合体の内側に疎水性の高い領域が形成され、そこにアニリノナフタレンが取り込まれて蛍光発光が起こると考えられる。
さらに、特許文献3では、膜蛋白質の抽出手段などに用いることができる両親媒性重合体として、ポリグルタミン酸を有する第1の側鎖とアニリノナフタレンを有する第2の側鎖を有するポリマーが開示されている。
特公平2−25138号公報 特開2001−278914号公報 特許第2884063号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインジケーターは、pHが下がることによって蛍光強度が小さくなる。そのため、このインジケーターを低pH部位の検出に用いようとすると、pHが低いことに起因する蛍光強度の減少とインジケーターの喪失あるいはインジケーターと夾雑物の相互作用などに起因する蛍光強度の減少とを区別することが困難である。したがって、低pH部位を正確に検出しづらいという問題があると考えられる。
また、特許文献2の蛍光標識化ポリカルボン酸では、主に会合によって疎水性の高い領域が形成されるため、低pH領域に応答性があるものの、十分な蛍光強度が得られないという問題があると考えられる。さらに、特許文献2の蛍光標識化ポリカルボン酸は、ビニルポリマーを骨格としており、生体内での代謝、排泄の観点から、生体内利用には限界がある。
また、特許文献3に記載の両親媒性重合体は、pH8〜9で最大蛍光波長が変化するため、悪性度の高い腫瘍(pH5.5程度)と正常部位(pH7.4程度)とを区別することはできないと考えられる。
そこで本発明は上記問題に鑑み、pH5.5程度の環境に置かれたときの方がpH7.4程度の環境に置かれたときに比べて、蛍光強度が増大し、かつ高い蛍光強度を発生する新規高分子化合物及び該新規高分子化合物を有する蛍光プローブを提供することを目的とする。
本発明は、疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、前記高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物である。
また、本発明の第二は、疎水環境感受性蛍光色素と、ポリアミノ酸と、を有する高分子化合物であって、前記ポリアミノ酸の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物である。
また、本発明の第三は疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、pH7.4において前記高分子化合物の二次構造がヘリックスである確率が、pH5.5においてヘリックスである確率よりも高いことを特徴とする高分子化合物である。
また、本発明の第四は、疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、前記高分子化合物の二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化する結果、pHが5.5における前記高分子化合物の蛍光強度が、pHが7.4における前記高分子化合物の蛍光強度よりも大きいこと、を特徴とする高分子化合物である。
本発明の高分子化合物及び蛍光プローブは、悪性度の高い腫瘍部位(pH5.5程度)の正確な検出に用いることができる。
(a)本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN1ならびにアニリノナフタレンスルホン酸の10%血清含有PBS中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ、(b)本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN1ならびにアニリノナフタレンスルホン酸の水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ 本発明の高分子化合物の一例であるPGA−NRの水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ 本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN−Gelの水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ 本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN1、アニリノナフタレンスルホン酸、ならびにLysoSensorTM Blue DND−167のPBS中における蛍光強度の血清濃度依存性を示すグラフ (a)本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN2、3の水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ、(b)本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN4の水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ、(c)本発明の高分子化合物の一例であるPGA−AN5、6の水中における蛍光強度のpH依存性を示すグラフ 本発明の高分子化合物の一例であるPGA−ANの水中における中性−酸性領域の蛍光強度比を示すグラフ 様々な色素の、DMF中とPBS中における蛍光強度の比を示すグラフ
本発明を実施するための最良の形態について以下に説明する。
本発明は、疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、前記高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物である。
ここで、「高分子化合物」とは、ポリアミノ酸、糖鎖などの天然高分子や合成高分子などを有する化合物を意味する。なお本発明の高分子化合物は重量平均分子量(Mw)が1000以上である化合物、と定義する。また、前記高分子化合物は、前記高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がるものであればどのようなものでもよい。なお、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化することを以下「ヘリックス転移」という。
また、別の本発明は、疎水環境感受性蛍光色素と、ポリアミノ酸と、を有する高分子化合物であって、前記ポリアミノ酸の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物である。
なお、「pHが低下する」とは、本発明の高分子化合物の周囲のpHがアルカリ性から酸性の向きへと変化することを意味する。
また、後述する本発明のメカニズムに基づいて理論的に考察すると、本発明の高分子化合物は、pH5.5においてヘリックス構造をとる確率がpH7.4でヘリックス構造をとる確率より大きければよい。ただし、その確率の差は有意な(化合物群として観察した場合に検出可能な)ものでなければならない。たとえば、pH5.5においてヘリックス構造をとる確率がx%であってpH7.4でヘリックス構造をとる確率がy%である場合、xがyよりも5以上大きければ、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化しているといってよい。
本発明の高分子化合物がヘリックス構造やランダムコイル構造をとっていることを確認するためには、当該技術分野で知られている様々な手法、例えば円偏光二色性(CD;Circular Dichroism)測定、赤外線吸収スペクトル測定、蛍光測定、核磁気共鳴(NMR;Nuclear Magnetic Resonance)スペクトル分析法、中性子散乱、質量スペクトル分析法などを用いる。例えば、紫外部のCDスペクトルの測定により、αヘリックス構造、β構造、ランダムコイル構造の存在や含率を評価できる。具体的には、ポリアミノ酸溶液のCDスペクトルでは、αヘリックス構造は208nmと222nmに負の極大、192nmに正の極大を示し、ランダムコイル構造では200nm近傍のみに負の極大を示すため、CDスペクトルから二次構造の解析が可能である。
別の手法として、ポリアミノ酸の赤外線吸収スペクトルでは、波数が1500〜1700cm−1の範囲にペプチド結合の吸収帯が存在しており、1600〜1700cm−1のアミドI、1500〜1550cm−1のアミドIIの振動帯が二次構造評価に用いられる。αヘリックス構造では1650cm−1と1546cm−1に、ランダムコイル構造では1655cm−1と1535cm−1に吸収帯が存在する。これらの吸収を観察する事で、二次構造の解析が可能である。CDスペクトル測定はポリアミノ酸溶液を使用するが、赤外線吸収スペクトル測定では、粉末やフィルム状のサンプルの測定も可能である。
ここで「高分子化合物が疎水環境感受性蛍光色素を有する」とは、高分子化合物の有する基の一部が疎水環境感受性蛍光色素によって置換されていることを意味する。なお、本発明において、疎水環境感受性蛍光色素とは、血清や水などの媒体中で、当該色素の周囲が親水環境から疎水環境へと変化したとき、蛍光強度が増大する色素、と定義する。また、本発明の疎水環境感受性蛍光色素は、色素自身の運動性が高い状態から低い状態へと変化したときに、蛍光強度が増大するものが望ましい。
ここで、「高分子化合物がポリアミノ酸を有する」とは、当該高分子化合物がポリアミノ酸またはポリアミノ酸誘導体のうちいずれかを含むことを意味する。なお、本発明においてポリアミノ酸とは、10個以上のアミノ酸がペプチド結合によって連なった化合物と定義する。そして、ポリアミノ酸誘導体とは、ポリアミノ酸の一部あるいは該ポリアミノ酸の有する基の一部が置換された高分子化合物と定義する。
例えば、ポリアミノ酸誘導体としては、ヒドロキシアルキルアミノ基、スルホアルキルアミノ基、あるいはステアロイル基を側鎖に持つポリグルタミン酸やポリアスパラギン酸、カルボキシル基を部分修飾されたポリリジンなどが挙げられる。また、ポリアミノ酸誘導体の主鎖基本骨格の繰り返し単位は、アミノ酸以外のモノマーからなる高分子との共重合体であってもよい。共重合体である場合には、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーあるいはグラフトコポリマーであってもよい。
本発明の高分子化合物を用いて悪性度の低い腫瘍や炎症部位等も含めて(正常でない部位を)数多く検出しようとした場合、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化するpHは、5.7以上とすることが好ましく、6.0以上とすることがさらに好ましい。一方、本発明において、正常部位中の若干pHの低下した領域がノイズとして検出されないようにするという観点からは、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化するpHは、6.9未満とすることが好ましく、6.5未満とすることがより好ましい。
(pH変化検出のメカニズム)
本発明の高分子化合物を用いたpH変化の検出は、当該高分子化合物が検体中に存在する検出対象(たとえば、pH5.5程度の低pH部位)に近づくことによって、高分子化合物の周囲のpHが低下し、前記高分子化合物から発せられる蛍光強度が大きくなることを利用して行われる。より具体的には次のようなメカニズムを利用して行う。
まず、本発明の高分子化合物が検出対象に近づくと、当該高分子化合物の周囲のpHが低下する。このpH低下によって前記高分子化合物の二次構造の変化(ヘリックス転移)、さらには、前記高分子化合物同士の会合や凝集が起こるため、少なくとも一部の疎水環境感受性蛍光色素の周囲に疎水環境が形成され、さらに色素自身の運動性が低下する。それにより、色素から発せられる蛍光強度が大きくなる。つまり、pH低下を蛍光強度の増加として検出することができる。また、本発明の高分子化合物は、ヘリックス転移に伴う会合や凝集によって見かけの分子量が増加し、拡散速度が低下するため、低pH領域に留まりやすくなる。
例えば、生体内の腫瘍や炎症などの酸性部位を検出したい場合、高分子化合物としては、疎水環境感受性蛍光色素と、ポリグルタミン酸とを有する高分子化合物を好適に用いることができる。ポリグルタミン酸は、生理的pH領域(pH7.4程度)ではランダムコイル状態で水溶性であるが、低pH領域ではヘリックス転移(コンフォメーションの変化)を起こし、ヘリックス構造へと変化する。そして、さらに低いpHになると水に不溶になる。すなわち、生理的pH領域で疎水環境感受性蛍光色素は多数の水分子と接触する親水環境におかれる上、色素自身が高い運動性を持つ結果、当該色素からの蛍光強度は低く抑えられる。一方、低pH領域ではポリグルタミン酸がヘリックス構造をとり、さらにヘリックス同士の会合や凝集が起こる。その結果、疎水環境感受性蛍光色素はヘリックス構造内部や会合体内部などに形成される疎水環境に置かれ、さらに、色素自身の運動が束縛される結果、蛍光強度が増加し、pH低下を検出可能となる。つまり、腫瘍や炎症部位(pH5〜6)では、正常部位(pH7.4程度)に比べて蛍光強度が大きくなるので、腫瘍や炎症部位などの病変部位を蛍光強度の増大として検出可能である。
なお、「疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がる」ことは、当該技術分野で知られている様々な手法、例えば蛍光測定、核磁気共鳴スペクトル分析法などの手法で確かめる事ができる。蛍光測定では、まず、対象となる疎水環境感受性蛍光色素を様々な極性の溶媒、例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、メタノール、クロロホルム、ヘキサンなどに溶解させ、それぞれの蛍光変化の溶媒依存性を観察する。例えば、疎水環境感受性蛍光色素がアニリノナフタレンである場合、ヘキサンのような疎水性溶媒中では蛍光波長が短波長側にシフトして蛍光強度が増大し、水のような親水性溶媒中では蛍光波長が長波長側にシフトして蛍光強度が減少することが観察できる。
次に、疎水環境感受性蛍光色素が結合したポリアミノ酸の蛍光強度の測定を行う。ここで得られた蛍光強度とあらかじめ測定された蛍光強度の変化の溶媒依存性から、ポリアミノ酸に結合している疎水環境感受性蛍光色素の周囲の親水性、疎水性を評価する事ができる。例えば、アニリノナフタレンが結合したポリアミノ酸の蛍光強度が増加している場合、アニリノナフタレンの周囲の疎水性が上がっていることを示し、蛍光強度が減少している場合、アニリノナフタレン周囲の疎水性が下がっていることを示す。またNMRスペクトル分析法では、該色素の運動性の低下に伴うNMR信号ピークのブロードニングを観察する事で、該色素の周囲の疎水性を評価する事ができる。すなわち、該色素周囲の疎水性が上がると、疎水性相互作用により互いに集まり、色素の運動性が低下するため、該色素からのNMR信号のピークはよりブロードになる。
また、本発明の高分子化合物としては、検体中において、前記高分子化合物の周囲がpH7.4程度のときに比べてpH5.5程度のときの方が蛍光強度が大きくなるものを用いることができる。なお、検体として例えば、血清、水などが挙げられる。
以上を踏まえた上で、本発明の高分子化合物の好適な実施形態について説明する。
(ポリアミノ酸)
本発明の高分子化合物がポリアミノ酸を有する場合、ポリアミノ酸は、周囲のpHが低下した場合、pHが5.5以上7.4未満で二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化するものであることが好ましい。したがって、ポリアミノ酸は、周囲のpHが5.5以上7.4未満のときに疎水基に、pHが7.4以上のときに親水基になるような基を有することが好ましい。このような基の例として、カルボキシル基が挙げられる。また、アミノ基、グアニジノ基、フェニル基、イミダゾール基、リン酸基、チオール基、スルホン基などの解離基を含んでいても良い。これらの基は、高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がるように、種類及び含率を適宜選択することができる。
ポリアミノ酸としては、これらの基のいずれかを有する、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニン、チロシン、リシンのホモポリマーを含むことが好ましく、特にはグルタミン酸のホモポリマー、アスパラギン酸のホモポリマーを含むものが好ましい。なお、ポリアミノ酸は上記のホモポリマーを複数含んでいてもよい。また、ポリアミノ酸は、周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がるものであればよい。したがって、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニン、チロシンなどを構成要素とするランダムポリマー、ブロックコポリマー、グラフトポリマーなどでもよい。
さらに、ポリアミノ酸は、pHが変化することで二次構造が変化するものが好ましく、その数平均重合度が20〜1000であることが、水溶性かつ低粘性という点から好ましい。数平均重合度が20未満の場合、ポリアミノ酸の二次構造変化が生じにくくなると同時に色素の周囲に疎水環境が形成されにくくなると考えられる。
さらに、本発明の高分子化合物および蛍光プローブを生体内で利用する場合は、生体内に存在する酵素により分解可能で、生体に対する毒性がなく、抗原性がないものが好ましい。この観点から、ポリアミノ酸として特に好ましいのは、生体適合性がよく、pH5.5以上7.4未満の範囲でヘリックス転移を起こす、重合度163〜434の範囲にあるポリグルタミン酸である。
以上で挙げたアミノ酸は生分解性の点から通常はL体が好ましいが、D体またはL体とD体の混合物でもよく、非天然アミノ酸でもよい。また、血中における化合物の半減期を延長する目的で、非天然アミノ酸もしくはD体アミノ酸残基を積極的に高分子化合物に導入することも可能である。
さらに本発明の高分子化合物に、抗体、断片化抗体、レセプター結合分子などを結合させてもよい。この場合、ターゲットをより特異的に検出することが可能となる。
以上に挙げたポリアミノ酸は多数市販されており、当業者が適宜のものを容易に入手し利用できる。なお、ポリアミノ酸は、逐次的なペプチド液相合成法あるいはペプチド固相合成法、またはN−カルボン酸無水物(NCA)法などにより容易に合成することが可能である。
(疎水環境感受性蛍光色素)
本発明において疎水環境感受性蛍光色素とは、先に定義したものである。なお、本発明における疎水環境感受性蛍光色素はpH応答性を有しないものであることが好ましい。なぜなら、本発明の高分子化合物の有するポリアミノ酸がpH応答性を有しているため、疎水環境感受性蛍光色素がpH応答性を有してしまうと、本発明の高分子化合物が所望のpH範囲で応答性を示すようにするための調整が難しくなるからである。さらに、本発明の高分子化合物を蛍光プローブとして生体内で用い、かつ生体外から蛍光を観察する場合、疎水環境感受性蛍光色素はその吸収波長および発光波長が近赤外領域にあるものを選択することが望ましい。一方、本発明の高分子化合物を蛍光プローブとして生体内で用い、生体内観察あるいは観察対象を生体外に取り出して観察を行う場合は、紫外可視光領域に吸収、発光波長を有する疎水環境感受性蛍光色素でも良い。
(ソルバトフルオロクロミック色素)
疎水環境感受性蛍光色素の中で、蛍光強度が顕著に増大するものとしてソルバトフルオロクロミック色素が知られている。実施例で後述するように、本発明においてソルバトフルオロクロミック色素は、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中の蛍光強度がPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中の蛍光強度に対して20倍以上の色素、と定義する。
なお、ソルバトフルオロクロミック色素としては、例えば、アニリノナフタレン、ナイルレッド、ダンシル(ジメチルアミノナフタレンスルホン酸)、ニトロベンゾオキサジアゾール(NBD)、ピレンまたはそれらの誘導体が挙げられる。これらの中では、下記の式(1)で示されるアニリノナフタレン誘導体、もしくは式(2)で示されるナイルレッド誘導体が好ましい。その中でも、アニリノナフチルマレイミドやヒドロキシル基修飾ナイルレッド(DEAHB:9−Diethylamino−2−hydroxy−5H−benz[a]phenoxazin−5−one)を用いることが特に好ましい。なお、式(1)および式(2)中のRはマレイミド基、ヒドロキシル基などの結合活性基を示す。
Figure 2010053354
Figure 2010053354
(疎水環境感受性蛍光色素の結合)
疎水環境感受性蛍光色素は、疎水環境感受性蛍光色素が結合していない高分子化合物の有する基の一部に、従来周知のカップリング反応によって結合させることができる。例えば、前記基がカルボキシル基の場合は、カルボキシル基と反応性を示すアミノ基、チオール基あるいはヒドロキシル基などを有する色素をカップリングさせることができる。前記基がアミノ基の場合には、アミノ基と反応性を示すカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシスクシンイミド基、アルデヒド基、チオール基、イソチオシアネート基、グリシジル基などを有する色素をカップリングさせることができる。前記基がヒドロキシル基やチオール基の場合には、それらの基と反応性を示すカルボキシル基、スルホン酸基、ハロゲン、ジスルヒド、マレイミド基などを有する色素をカップリングさせることができる。
また、高分子化合物と疎水環境感受性蛍光色素との結合は直接結合に限らず、適宜スペーサー分子を介して結合していてもよい。スペーサー分子としてはアルカンジチオール、アルカンジアミンなどの二官能性短鎖アルカン、二官能性オリゴエチレンオキシド鎖や酸無水物を利用できる。一般的には、スペーサー分子の末端の基を前記高分子化合物の有する基と、スペーサー分子のもう一方の末端の基を色素の有する基とそれぞれ結合させればよい。前記高分子化合物と疎水環境感受性蛍光色素間の結合や、スペーサー分子の種類は上記のものに限定されることはなく、種々の利用可能な結合方法及びスペーサーから当業者が適宜選択できることは言うまでもない。なお、本発明の高分子化合物は、生体内で利用する場合、水溶性であることが好ましいため、前記式(1)、(2)の疎水環境感受性蛍光色素は、高分子化合物全体の重合度に対して0.0005〜0.03の割合で導入されていることが好ましい。
(末端残基)
前記高分子化合物の末端に結合する残基は、pH変化の検出性能を妨げないものであればどのようなものでもよい。例えば、当該高分子化合物を合成するときに用いる重合開始剤やキャップ剤などによって決まる基が結合していてもよい。なお、高分子化合物がポリアミノ酸を有する場合、ポリアミノ酸のN末端については、例えば、−H、−OCH、−COCHなどが考えられる。そして、C末端については、例えば、−NH、−OH、−NH(CHCH(ただし、Zは2乃至5の正整数)などが考えられる。
(好ましい高分子化合物の例)
本発明の高分子化合物の特に好ましい実施形態の例として、下記の一般式(3)と(4)に示されるものが挙げられる。下記例はそれぞれ、ポリグルタミン酸にアニリノナフチルマレイミド、ヒドロキシル基修飾ナイルレッドを導入したものである。なお、数平均重合度(m+n)は50〜1000の範囲にあり、色素修飾率n/(m+n)は0.0005〜0.03の範囲にある。
Figure 2010053354
Figure 2010053354
(ハイドロゲル化)
本発明の高分子化合物は、分子間架橋によりハイドロゲル化したものであってもよい。具体的には、多官能性の架橋剤を用いて、当該高分子化合物が有する疎水環境感受性蛍光色素以外の基同士を結合することでハイドロゲル化することができる。この結合は、上述の、高分子化合物と疎水環境感受性蛍光色素との結合方法と同様にして実施することができる。架橋剤としてはジアミン化合物、ジオール化合物、ジグリシジルエーテルなどが用いられる。また、実施例にて後述するが、公知の方法にしたがって本発明の高分子化合物をナノサイズのハイドロゲル粒子に成形してもよい。例えば、逆ミセルをナノサイズの反応場として利用した成形方法により、ナノサイズのハイドロゲル粒子が得られることが知られている。架橋反応や架橋剤の種類は上記のものに限定されることはなく、種々の利用可能な架橋反応及び架橋剤から当業者が適宜選択できる。本発明の高分子化合物のナノゲル粒子は、タンパク質などの夾雑物と色素の接触を抑制し、かつEPR効果による高い腫瘍滞留性を実現できるpH応答性蛍光プローブとしての応用が期待できる。
(本発明の高分子化合物の用途)
本発明の高分子化合物の好適な用途は、疾病に関連した異常なpH変化を検出する蛍光プローブである。より具体的には、炎症や腫瘍の部位(pH5〜6程度)におけるpH低下の蛍光センシングを可能とする蛍光プローブである。より好ましくは、悪性度の高い腫瘍部位(pH5.5程度)における、pH低下の蛍光センシングを可能とする蛍光プローブである。もっとも、本発明のプローブの適用対象はこれらの疾患に限定されることはない。
さらに、本発明の高分子化合物は、細胞内輸送やタンパク分解機構を理解するための、蛍光プローブとして有用である。具体的には、細胞内エンドソーム内の酸性環境を検出し、エンドサイトーシスを追跡することが可能とする蛍光プローブである。このようなプローブは、細胞生物学分野における応用が期待できる。
本発明の高分子化合物の一例として、ポリグルタミン酸を用いる例示化合物ならびに調製方法を以下の実施例に示した。従って、これらの方法を参照することで、さらに出発原料、反応試薬、反応条件などを適宜修飾ないし改変することにより、所望の蛍光プローブを容易に調製可能である。なお、本発明の高分子化合物の製造方法は下記実施例に記載された方法に限定されるものではない。
(実施例1)
(高分子化合物の合成)
(実施例1−1)
(ポリ−L−グルタミン酸のスクシンイミド化)
ポリ−L−グルタミン酸(PGA;Mw41000、ペプチド研究所)のナトリウム塩1gを100mLの蒸留水に溶解させ、塩酸を滴下しながら撹拌し、脱塩PGAを析出させた。得られた脱塩PGAはアセトンで十分に洗浄し、エーテル洗浄後、真空乾燥させた。次に、洗浄、乾燥したPGA(150mg)を、1mlの無水DMSOに溶解させ、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS;13.5mg)と、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC;22.2mg)を加えた後、一晩室温にて振とうした。仕込み比において、全COOHに対して10%スクシンイミド化させている。反応後、未反応のEDC、NHSおよびEDCの反応後生成物である1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)尿素を除去するために無水アセトンを用いて再沈させた。その後、遠心分離を行い、デカンテーションによってさらに2回洗浄してから、へキサン洗浄、エーテル置換し、減圧乾燥することでスクシンイミド化PGAを得た。
(実施例1−2)
(スクシンイミド化PGAへのアニリノナフチルマレイミドの修飾)
上記実施例1−1に従って調製したスクシンイミド化PGA(150mg)を、無水DMSO(5mL)に溶解させた。その溶液にN−(1−アニリノナフチル−4−)−マレイミド(アニリノナフチルマレイミド:ANM)(21mg)と6−アミノ−1−ヘキサンチオール(11mg)を混合し、一晩撹拌したDMSO溶液1.5mLを加え、遮光下室温で一晩攪拌した。反応溶液を、アセトンを用いて再沈させ、デカンテーションによってさらに2回洗浄してから、へキサン洗浄、エーテル置換後、減圧乾燥することでアニリノナフチルマレイミド修飾PGA(PGA−AN1)136mgを得た(収率90%)。得られたPGA−AN1のアニリノナフチル(AN)基の吸光度(350nm)測定より、PGAの全COOHに対するAN基の修飾率(n/n+m)は0.006であることが確認された。得られたPGA−AN1の構造式を式3に示す。式中、mは316、nは1.9であった。
同様にして、(実施例1−1)に従って調製した分子量の異なるスクシンイミド化PGAに対してもアニリノナフチルマレイミドの修飾を行った(PGA−AN2ならびにPGA−AN3)。また、アニリノナフチルマレイミド量を約5倍の量を導入した系も行った(PGA−AN4)。さらに、6−アミノ−1−ヘキサンチオールの替わりに11−アミノ−1−ウンデカンチオールを用いる系も行った(PGA−AN5ならびにPGA−AN6)。表1に合成したPGA−AN1〜6の分子量、重合度、AN修飾率、リンカーアルキル鎖長を示した。
Figure 2010053354
(実施例1−3)
(スクシンイミド化PGAへの9−Diethylamino−2−hydroxy−5H−benz[a]phenoxazin−5−oneの修飾)
上記実施例1−1に従って調製したスクシンイミド化PGA(150mg)を、無水DMSO(5mL)に溶解させ、その溶液にナイルレッド誘導体9−Diethylamino−2−hydroxy−5H−benz[a]phenoxazin−5−one(DEAHB)20mgを混合し、遮光下室温で一晩攪拌した。反応溶液を、アセトンに再沈させ、デカンテーションによってさらに2回洗浄してから、へキサン洗浄、エーテル置換後、減圧乾燥することでDEAHB修飾PGA(PGA−NR)116mgを得た(収率76%)。得られたPGA−NRのDEAHB基の吸光度(600nm)測定より、PGAの全COOHに対するDEAHB基の修飾率は0.002であることが確認された。得られたPGA−NRの構造式を式4に示す。式中、mは317、nは0.6であった。
(実施例1−4)
(ハイドロゲル粒子の作製)
PGA−AN1 10mgを蒸留水1mLに溶解させ、その溶液に架橋剤としてエチレングリコールグリシジルエーテル(EGDGE)0.1mLを添加した。これに直ちに、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の0.05Mのn−ヘキサン溶液を200mL添加し、超音波照射後、室温で5日間撹拌した。次いで、エバポレーターにて溶媒を除去した後、一晩真空乾燥させた。アセトン/メタノール(9/1)で3回洗浄し、エーテル置換後、真空乾燥させPGA−AN1のハイドロゲル粒子PGA−AN−Gelを得た。得られたPGA−AN−Gelを水に分散後、0.45ミクロンのフィルターを通して濾過した。動的光散乱(DLS)測定により、直径約100nmの粒子が形成されていることを確認した。
(実施例2)
(高分子化合物の評価)
(実施例2−1)
(PGA−ANの水中における蛍光強度のpH依存性測定)
PGA−AN1水溶液(1mg/mL)1mLを石英セルに入れ、室温で蛍光測定を行った。pHの調整には6NのHClと6NのNaOHを用いた。励起波長は350nm、蛍光強度は440〜470nmに出現する最大蛍光波長の値を測定した。PGA−AN1水溶液のpHを変化させたときの蛍光強度変化を図1(b)中に黒丸で示す。pHを下げるにつれて、蛍光強度の増加が観察された。一方、pH7以上では蛍光強度は変化しなかった。また、pH3以下においてプローブの沈殿が見られた。pH4における蛍光強度はpH7.4の時と比較して約10倍増加した。図1(b)の中に、比較例として、色素単独、すなわちアニリノナフタレンスルホン酸の水中における蛍光強度のpH依存性を測定した結果をプロットした。図1(b)から明らかなように、蛍光強度のpH依存性は観測されなかった。以上の結果より、疎水環境感受性蛍光色素であるアニリノナフチル基をポリグルタミン酸の有する基に導入した蛍光プローブPGA−AN1はpH7.4未満において蛍光強度が増加するため、生理的pH7.4からのpH低下を検出できるプローブとして利用できることがわかった。
同様にして、蛍光プローブPGA−AN2〜6についても蛍光強度のpH依存性測定を行った。PGA−AN2、3の結果を図5(a)に、PGA−AN4の結果を図5(b)に、PGA−AN5、6の結果を図5(c)に示す。いずれにおいても、pHが下がるにつれて、蛍光強度の増大が観察された。図6には、PGA−AN1〜6の水中におけるpH7とpH5での蛍光強度比、ならびにpH7とpH4での蛍光強度比を示した。図6から、PGA−AN4、5、6に比べ、PGA−AN1、2、3は高い蛍光強度比を示すことがわかった。分子量、AN修飾率、PGA骨格とAN基の間のアルキルリンカーの長さなどが酸性領域における二次構造の変化に影響していることが考えられる。
(実施例2−2)
(PGA−NRの水中における蛍光強度のpH依存性測定)
実施例2−1と同様にして、PGA−NR水溶液(1mg/mL)の蛍光測定を行った。励起波長は550nmで、蛍光強度は600〜660nmに出現する最大蛍光波長の値を測定した。PGA−NR水溶液のpHを変化させたときの蛍光強度変化を図2に示す。pHを下げるにつれて、蛍光強度の増加が観察された。一方pH7以上では蛍光強度は変化しなかった。また、pH4における蛍光強度はpH7.4と比較して約2.4倍に増加した。なお、DEAHBは水に不溶であったため、色素単独の蛍光測定は行えなかった。以上の結果より、ソルバトフルオロクロミック色素であるナイルレッド誘導体をポリグルタミン酸の有する基に導入した高分子化合物PGA−NRは、pH7.4未満において蛍光強度が増加するため、生理的pH7.4からのpH低下を検出できる蛍光プローブとして利用できることがわかった。また、PGA−ANに比べ、励起波長ならびに蛍光波長がより長波長側(550nm以上)であり、細胞や生体組織中における蛍光プローブとしての利用性が高いことがわかった。
(実施例2−3)
(PGA−AN−Gelの水中における蛍光強度のpH依存性測定)
実施例2−1と同様にして、PGA−AN−Gel水溶液(1mg/mL)の蛍光測定を行った。励起波長は350nm、蛍光強度は440〜470nmに出現する最大蛍光波長の値を測定した。PGA−AN−Gel水溶液のpHを変化させたときの蛍光強度変化を図3に示す。pHを下げるにつれて、蛍光強度の増加が観察された。pH3における蛍光強度はpH7.4と比較して約1.6倍に増加した。以上の結果より、PGA−ANをナノサイズでハイドロゲル化した蛍光プローブは、ハイドロゲル化していない蛍光プローブと同様に、生理的pH7.4からのpH低下を検出できる蛍光プローブとして利用できることがわかった。
(実施例2−4)
(PGA−AN1の10%血清中における蛍光強度のpH依存性測定)
実施例2−1と同様にして、PGA−AN1の10%ウシ胎児血清(FCS)含有リン酸緩衝生理水(PBS)(プローブ濃度1mg/mL)における蛍光測定を行った。励起波長は350nmで、蛍光強度は440〜470nmに出現する最大蛍光波長の値を測定した。PGA−AN1溶液のpHを変化させたときの蛍光強度変化を図1(a)中に黒丸で示す。pHを下げるにつれて、蛍光強度の増加が観察された。一方pH7以上では蛍光強度は変化しなかった。pH4.6以下においてプローブの沈殿が見られた。pH5における蛍光強度はpH7と比較して約4倍増加した。図1(a)中に、比較例として、色素単独、すなわちアニリノナフタレンスルホン酸の蛍光強度のpH依存性を白丸でプロットした。図1(a)から明らかなように、蛍光強度のpH依存性は観測されなかった。以上の結果より、ソルバトフルオロクロミック色素であるアニリノナフチル基をポリグルタミン酸側鎖に導入した高分子化合物PGA−AN1は10%血清中においてもpH応答機能を維持する蛍光プローブとして用いることができることが示された。
(実施例2−5)
(PGA−AN1の蛍光強度の血清濃度依存性評価)
PGA−AN1と血清タンパクとの相互作用を、PGA−AN1の蛍光強度の血清濃度依存性を測定することで評価した。低分子プローブとして、色素単独、すなわちアニリノナフタレンスルホン酸を比較のため用いた。さらに、低分子pH応答性プローブとして、酸性化されるとpH依存的に蛍光強度が上昇するLysoSensorTM Blue DND−167(インビトロジェン社製;励起波長373nm、蛍光波長425nm)を比較のために用いた。各プローブ溶液を0、10、100%FCSのPBS溶液に添加し、十分混合した後、蛍光強度を測定した。図4には、それぞれ無血清PBS溶液中の蛍光強度で規格化された蛍光強度とFCS濃度の関係をプロットした。低分子プローブでは血清濃度の増加に伴い、蛍光強度が上昇した。これはプローブが血清タンパクと疎水性相互作用などにより結合し、その結果、蛍光強度が増加したものと思われる。一方、PGA−AN1では100%FCS中においても著しい蛍光強度の変化は見られなかったことから、骨格のPGAが色素と血清タンパクとの相互作用を抑制していることが示された。以上の結果より、本発明の蛍光プローブにおいて、骨格のポリペプチドは、pH応答性ならびに色素−タンパク質間相互作用の抑制という2つの役割を有することが示された。
(実施例3−1)
(本発明におけるソルバトフルオロクロミック色素の定義)
アニリノナフタレン誘導体である、アニリノナフタレンスルホン酸マグネシウム(ANS)、アニリノナフチルマレイミド(ANM)、及びナイルレッド誘導体である、ナイルレッド(NR)、9−Diethylamino−2−hydroxy−5H−benz[a]phenoxazin−5−one(NROH)、及びCy5、Cy5.5、LysoSensorTM Blue DND−167(LS)の7種の蛍光色素をDMFあるいはPBSに溶解させ、それらの蛍光強度を測定した。全ての色素は、0.3〜1mMのDMSO溶液をストック溶液とし、これをPBSまたはDMFで1000倍希釈することで測定サンプルとした。サンプル濃度はANSは3μM、ANM、NR、NROH,Cy5、LSは1μM、Cy5.5は0.6μMとした。各色素における、励起波長ex/蛍光波長emDMF,emPBSは、ANS(ex350/em468,em520)、ANM(ex350/em456,em520)、NR(ex550/em622,em660)、NROH(ex550/em616,em659)、Cy5(ex650/em677,em665)、Cy5.5(ex678/em710,em690)、LS(ex373/em439,em429)とした。なお、emDMFはDMF中の色素の蛍光波長、emPBSはPBS中の色素の蛍光波長を表す。また、以上の励起波長、蛍光波長の値の単位は全てnmである。結果を図7に示す。図から明らかなように、本発明のソルバトフルオロクロミック色素は、DMF中の蛍光強度がPBS中の蛍光強度に対して20倍以上の色素であることがわかる。

Claims (8)

  1. 疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、前記高分子化合物の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物。
  2. 疎水環境感受性蛍光色素と、ポリアミノ酸と、を有する高分子化合物であって、前記ポリアミノ酸の周囲のpHが低下した場合に、pHが5.5以上7.4未満の範囲で、二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化し、前記疎水環境感受性蛍光色素の周囲の疎水性が上がること、を特徴とする高分子化合物。
  3. 前記ポリアミノ酸がポリグルタミン酸であることを特徴とする請求項2に記載の高分子化合物。
  4. 前記疎水環境感受性蛍光色素が、ソルバトフルオロクロミック色素であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  5. 前記ソルバトフルオロクロミック色素が、アニリノナフタレン、ナイルレッド、ダンシル、ニトロベンゾオキサジアゾール、ピレンまたはそれらの誘導体のいずれかであること、を特徴とする請求項4に記載の高分子化合物。
  6. 生体の病変部位を検出するための蛍光プローブであって、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を有することを特徴とする蛍光プローブ。
  7. 疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、
    pH7.4において前記高分子化合物の二次構造がヘリックスである確率が、pH5.5においてヘリックスである確率よりも高いことを特徴とする高分子化合物。
  8. 疎水環境感受性蛍光色素を有する高分子化合物であって、
    前記高分子化合物の二次構造がランダムコイルからヘリックスへと変化する結果、
    pHが5.5における前記高分子化合物の蛍光強度が、
    pHが7.4における前記高分子化合物の蛍光強度よりも大きいこと、を特徴とする高分子化合物。
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