JP2010049974A - X線発生装置及びx線管の駆動方法 - Google Patents

X線発生装置及びx線管の駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目標値となるX線管電流までの立ち上がり時間を短縮し、X線撮影を速やかに行うことができるX線発生装置を提供する。
【解決手段】X線管の陽極に管電圧を印加する高電圧回路と、X線管のフィラメントに最大定格付近に設定したフィラメント電流を流してフィラメントを予備加熱する予備加熱制御回路と、予備加熱を開始して所定時間経過後に作動し、X線管の管電圧を目標電圧値に制御する管電圧制御回路と、X線管の管電圧の増加によりX線管の管電流が目標電流値に到達したときに、予備加熱制御回路に代わってフィラメント電流を制御し、管電流を目標電流値に制御する管電流制御回路と、X線管の管電圧及び管電流が目標値に到達して所定時間経過後に管電圧及び管電流の供給を停止する制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、医用X線撮影装置に使用するX線発生装置に係り、撮影準備期間を短縮したX線発生装置及びX線管の駆動方法に関する。
従来、医用X線撮影装置では、X線管から発生したX線を被検体に照射し、被検体を透過したX線をX線検出器で検出し、検出した画像データを処理して診断用画像を得ている。或いは被検体を透過したX線をフィルムに直接撮影するようにしている。
一般に、X線発生装置は二極管構造のX線管を有している。X線管は、陰極と陽極間に直流高電圧(管電圧)を印加するとともに、陰極をフィラメント電流で加熱して熱電子を放出させ、フィラメントから放出された熱電子を陽極のターゲット上に集束させることでX線を放射するものである。ターゲット(陽極)はタングステンが用いられ、陰極から放出された熱電子は陽極電圧によって加速され、熱電子流としてターゲットに衝突する。
またX線発生装置では、X線管の陽極に印加する管電圧を制御する管電圧制御回路や、フィラメント電流を制御してX線管電流(管電流)を制御する管電流制御回路を設け、さらにフィラメントを予備加熱する回路を設けている。フィラメントの予備加熱回路は、管電流の立ち上がりを早くするために設けてあり、フィラメントに過大な負荷を与えない程度の予備加熱電流を所定時間流し、その後、管電圧を印加する方法が一般的に採用されている。
このように、フィラメントの予備加熱を行い、その後、管電圧を印加する方法は、例えば非特許文献1に記載されている。
図9は、従来のX線管の駆動方法を説明するタイミングチャートである。図9において、タイミングt0でX線照射のスイッチがオンされると、フィラメントの予備加熱制御が開始され、フィラメントに電流を流し熱電子を溜める。このときフィラメント電流は一定になるよう制御される。
そして予め設定した時間が経過すると、タイミングt1でフィラメント予備加熱制御回路に代わって管電流制御回路が動作を開始し、同時に管電圧制御回路も動作を開始する。これによりX線管に高電圧がかかり、フィラメントに溜まった熱電子が飛び出しX線管の陰極から陽極へX線管電流が流れる。
管電流制御回路は、X線管電流を目標値に近づけ一定となるよう制御してフィラメント電流を流し続け、管電圧制御回路も目標値の電圧になるよう管電圧を制御する。こうして目標値に到達した時点(タイミングt2)で予め設定した管電圧および管電流条件でのX線撮影が行われる。X線の照射時間は操作部で設定され、設定した時間が経過すると全ての制御回路が停止しタイミングt3で動作を終了する。
図10は、X線管のフィラメントの予備加熱電流と、X線管電圧、X線管電流のそれぞれの波形を示し、縦軸は電流及び電圧を表し、横軸は時間を表している。従来のX線管の駆動方法では、フィラメントの予備加熱時に長い時間(例えば2秒間)フィラメント電流を流すため、あまり多くの電流を流すとフィラメントに負担がかかり、X線管のフィラメントの寿命が短くなる不具合が生じる。このため、予備加熱時のフィラメント電流は低く抑える必要がある。
図10において、斜線部は予備加熱制御期間を示している。予備加熱制御期間を終了して、時間t1でX線管電流及びX線管電圧の制御に切り替わると、X線管電流及びX線管電圧は徐々に上がっていく。このときフィラメントの予備加熱によりX線管内には空間電荷が形成される。この領域内では、X線管電圧の増加に伴いX線管電流も増加する。しかし最初の予備加熱時のフィラメントの熱電子量が不足すると、図10で示すようにX線管電流が目標値に到達するまでに時間を要する。時間t2は、X線管電流が目標値に到達した時間を表している。
したがって、予備加熱制御期間(t0−t1)及びX線管電流が目標値に達するまでの期間(t1−t2)が長くなる傾向にあり、スイッチオンしてから予め設定された管電圧および管電流条件でのX線が照射されるまでに3秒以上の時間がかかっていた。このため診断に適した画像を得るには、X線撮影時間が長くなるという問題があった。また被検体の心臓等、動きのある部位を撮影するときに、撮影のタイミングが遅れて正確な画像が撮れないことがある。またX線管電流が目標値に達するまでの間もX線は出ているため、被検体が余分な被曝を蒙ることがあった。
また撮影をタイミングよく実行するため、レディスイッチとX線照射スイッチを設けた例もある。この例では、レディスイッチをオンしてフィラメントを予備加熱し、予備加熱が終了した時点でレディランプを点灯させ、その後、適度なタイミングでX線照射スイッチを押してX線を照射するようにしている。しかしながら、レディスイッチをオンしてから実際にX線が照射されるまでに時間がかかるし、操作が複雑になっていた。
「放射線機器学(1)」1990年コロナ社発行
従来のX線発生装置では、X線管のフィラメントの予備加熱期間及びX線管電流が目標値に達するまでの期間が長いためX線撮影時間が長く、被検体の心臓等、動きのある部位を撮影するときに撮影のタイミングが遅れて正確な画像が撮れないという問題点があった。また被検体が余分な被曝を蒙ることがあった。
本発明は、上記事情に鑑み、目標値となるX線管電流までの立ち上がり時間を短縮し、X線撮影を速やかに行うことができるX線発生装置及びX線管の駆動方法を提供することを目的とする。
本発明のX線発生装置は、X線管の陽極に管電圧を印加する高電圧回路と、前記X線管のフィラメントに、フィラメント電流の最大定格付近に設定したフィラメント電流を流して前記フィラメントを予備加熱する予備加熱制御回路と、前記予備加熱を開始して所定時間経過後に作動し、前記X線管の管電圧を目標電圧値に制御する管電圧制御回路と、前記X線管の管電圧の増加により前記X線管の管電流が目標電流値に到達したときに、前記予備加熱制御回路に代わって前記フィラメント電流を制御し、前記管電流を目標電流値に制御する管電流制御回路と、前記X線管の管電圧及び管電流が目標値に到達して所定時間経過後に前記管電圧及び管電流の供給を停止する制御部と、を具備したことを特徴とする。
また本発明のX線管の駆動方法は、X線管のフィラメントに、フィラメント電流の最大定格付近に設定したフィラメント電流を流して前記フィラメントを予備加熱し、前記予備加熱を開始して所定時間経過後に管電圧制御回路を動作させ、前記X線管の管電圧を目標電圧値に制御し、前記X線管の管電圧の増加により前記X線管の管電流が目標電流値に到達したときに前記予備加熱に代えて管電流制御回路を動作させ、前記フィラメント電流を制御して前記管電流を目標電流値に制御し、前記X線管の管電圧及び管電流が目標値に到達して所定時間経過後に前記管電圧及び管電流の供給を停止することを特徴とする。
本発明によれば、X線照射の操作スイッチをオンしてから所望のX線を出力するまでの時間を短くしてX線撮影を速やかに行うことができ、心臓など被検体の動きのある部位を撮影する際にタイミングよく撮影することができる。また所望のX線管電流に達するまでの時間を短縮することができるため、被検体は余分な被曝を防ぐことができる。
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明のX線発生装置10の全体の構成を示すブロック図である。X線発生装置10は、高電圧回路11及びX線管12を有している。高電圧回路11は、例えば主電源の直流電圧をX線管の使用範囲内での管電圧まで昇圧する回路である。尚、主電源としては、バッテリー電源、或いは、商用交流電源などの交流電圧を整流・平滑する電源回路が使用される。
X線管12は、陽極13とフィラメント(陰極)14を有し、陽極13とフィラメント14間に高電圧回路11からの直流高電圧(管電圧)が印加される。以下の説明ではX線管の陽極に印加する電圧をX線管電圧又は管電圧と呼び、X線管を流れる電流をX線管電流又は管電流と呼ぶ。
またフィラメント14にフィラメント電流を供給するため、直流電源15、インバータ回路16、フィラメントトランス17を設けている。直流電源15は、商用交流電源からの交流電圧を整流・平滑して直流電源電圧を得る電源回路、或いはバッテリー電源を用いると良い。
インバータ16は、直流電源15からの直流電源電圧を高周波の交流電圧に変換するもので、半導体スイッチング素子161を含んでいる。インバータ回路16の出力端は、フィラメントトランス17の一次巻線に接続され、二次巻線をフィラメント14に接続している。
さらに、X線発生装置10は、操作部18、管電圧制御回路19、管電流制御回路20及び予備加熱制御回路21を備えている。操作部18は、電源スイッチ、X線照射の操作スイッチ等を有し、さらにCPUを含む制御部181を有する。操作スイッチは操作者によって操作され、制御部181は操作スイッチの操作に応答して各回路を制御する。また操作部18は、被検体の撮影部位によってX線管12の管電圧、管電流を設定し、各部位毎に撮影に適した管電圧、管電流をX線管12に供給するように指令する。
管電圧制御回路19は、高電圧回路11を制御してX線管12の陽極に印加する管電圧(Vp)を制御する。また管電流制御回路20は、X線管12の管電流(Ip)を制御するものであり、検出回路22、比較回路23、駆動回路24を含む。検出回路22はX線管12の管電流を検出する。比較回路23は、操作部18から与えられた目標電流値と検出回路22で検出した電流値を比較し、その比較結果(積分値)に応じて駆動回路24を制御する。駆動回路24は、X線管12の管電流が目標電流値になるようにインバータ16のスイッチング素子161を駆動し、フィラメント電流(If)を制御する。
また予備加熱制御回路21は、基準電圧を発生する基準電圧源25と、比較回路26と、駆動回路27を含む。予備加熱制御回路21は、予備加熱期間(後述)にフィラメント14にフィラメント電流を供給するものであり、操作部18からの指示に基づいて基準電圧源25から一定の基準電圧を出力し、比較回路26内部の電圧と基準電圧とを比較することにより、駆動回路27に一定の信号を与える。
駆動回路27は、予備加熱時にフィラメント14の電流が所定の電流値になるように、インバータ16のスイッチング素子161を駆動し、フィラメント電流を制御する。この予備加熱時のフィラメント電流は、X線管12のフィラメント電流の最大定格付近に設定されており、基準電圧源25の基準電圧を選択することで任意に設定することができる。例えばフィラメント電流の最大定格が3[A]であるとすれば、それに近い電流(例えば2.9[A]程度)に設定され、これにより短時間で空間電荷を形成することできる。
次に、図2を参照して本発明のX線発生装置10の動作を説明する。図2は、X線撮影のスタートからX線発生動作を終了するまでの動作を示すフローチャートである。
図2のスタートステップS1においてX線照射の操作スイッチがオンされると、ステップS2では、予備加熱制御回路21によってフィラメント14の予備加熱の制御を開始する。次のステップS3では、予め設定した時間が経過したか否かを判別し、設定した時間に到達するとステップS4に進む。ステップS3で設定した時間は、操作部18によって決められ、例えば0.2秒以内に設定している。
ステップS4以降はX線の照射期間であり、ステップS4では、X線管電圧の制御を開始し、管電圧制御回路19によって管電圧を制御する。管電圧制御回路19が動作し始めると、X線管12に高電圧が印加される。このときX線管電流はX線管電圧が増加すると共に上昇し、操作部18で定めた目標値に向かう。X線管電流は、X線管電圧が目標電圧値に達するよりも前に目標電流値に到達する。
ステップS5では、X線管電流が目標電流値に到達したか否かを判断し、目標電流値に達すると、ステップS6において予備加熱制御回路21から管電流制御回路20による制御に切り替わる。これにより管電流は、目標電流値になるように制御される。そして少し遅れてX線管電圧が目標値に到達する。
こうして、X線管電圧の制御が開始されると、X線管12からX線が照射される。X線の照射時間は、操作部18で設定され、設定した照射時間が経過すると制御回路19,20は直ちに動作を停止し、ステップS7で動作を終了する。
図3は、本発明のX線管の駆動方法を説明するタイミングチャートである。図3において、タイミングt0でX線照射の操作スイッチがオンされると、予備加熱制御回路21が動作し、フィラメント14にフィラメント電流を流し、熱電子を溜める。このときフィラメント電流は一定になるよう制御され、X線管12のフィラメント電流の最大定格付近までフィラメント電流を流す。予備加熱開始t0から所定の時間を過ぎると、タイミングt1で管電圧制御回路19が動作を開始する。このとき、X線管12はフィラメント予備加熱の状態を続けているため、X線管電流はX線管電圧が増加するにつれ上昇し、3/2乗則に従って上昇する。
X線管電流がタイミングt2で目標電流値に到達すると、予備加熱制御回路21から管電流制御回路20の制御に切り替わり、少し遅れてX線管電圧が目標電圧値に到達する。その後、X管電流及びX線管電圧は、管電流制御回路20及び管電圧制御回路19によって目標値を保つように制御される。
X線管電圧制御が始まる時間(タイミングt1)からがX線照射の始まりであり、照射期間は操作部18で設定する。決められたX線照射期間を過ぎると、タイミングt3で直ちに制御回路19.20が停止し、全ての動作を終了する。
図4は、予備加熱電流、X線管電流、X線管電圧のそれぞれの波形を示している。図4において、時間t0でX線照射の操作スイッチがオンされると、予備加熱制御回路26が動作を開始しフィラメント14に予備加熱電流を流す。このときX線管12にはフィラメント電流の最大定格電流付近に設定したフィラメント電流が流れるため、フィラメントから発生した熱電子が空間電荷を溜めることになる。
次に操作スイッチの操作から所定時間t1を過ぎると管電圧制御回路19が動作を開始し、X線管12の管電圧を立ち上げる。このときフィラメント電流は、フィラメント予備加熱の状態を続けているため、X線管電流はX線管電圧が増加するにつれ3/2乗則に従って上昇する。このため、X線管電流は早い立ち上がりを実現することができる。
X線管電流が完全に立ち上がるまでX線管12は、空間電荷制限状態を維持し、X線管電流は、X線管12の特性によりX線管電圧よりも早い時間(タイミングt2)で目標値に到達する。目標電流値に到達すると、予備加熱制御回路21から管電流制御回路20の制御に切り替わり、少し遅れてX線管電圧が目標電圧値に到達する。
その後X管電流及びX線管電圧は、管電流制御回路20及び管電圧制御回路19によって目標値を保つように制御されるから、X線管電圧が目標電圧値に到達した以降のX線管電流及びX線管電圧は一定となり、予め設定された管電圧および管電流条件でX線が照射される。
図4の斜線部は予備加熱制御期間を示している。予備加熱制御期間は、フィラメント電流の最大定格付近までフィラメント電流を流すため、非常に短い時間(例えば0.2秒以内)に設定しており、また、X線管電流及びX線管電圧が目標値に到達するまでの時間も従来に比べて1/10以下に短縮することができる。したがって実際のX線撮影の準備期間をほぼゼロに短縮することができる。最大定格付近までフィラメント電流を流してもその期間は非常に短時間であるため、フィラメント14の寿命が縮まることを回避することができる。
次に、上記した本発明のX線発生装置10の動作を、図5〜図8の特性図を参照して補足説明する。
図5は、X線管12の特性図であり、縦軸に管電流Ip、横軸に管電圧Vpを表し、フィラメント電流Ifを変化させた時のIp−Vp特性を示している。X線管12には、陰極の温度によって熱電子量が決まる温度制限領域Aと、管電圧によって管電流が制限される空間電荷制限領域Bが存在する。温度制限領域Aは、管電流Ipが管電圧Vpの影響をほとんど受けない状態にあり、管電流Ipは主にフィラメントから発生された熱電子の量に依存する。
空間電荷制限領域Bは、フィラメントから発生した熱電子が空間電荷を形成するため、管電流Ipは管電圧Vpのみに依存する。空間電荷制限状態(B)における管電流Ipは、(1)式で示すように3/2乗則で求められる。但し、Gは電極構造によって定まる比例定数である。
Figure 2010049974
しかしながら、実際のX線管の動作は上述した2つの状態だけでは説明ができない部分がある。そこでX線管と同じ特性を有する二極管(5Y3GT)を用いて詳細な特性を測定した結果、図6、図7、図8で示す特性が得られた。
図6は、管電流Ipと管電圧Vpの関係を示す特性図であり、縦軸は管電流Ip、横軸は管電圧Vpを表し、フィラメント電流Ifが変化した時のIp−Vp特性を示している。
図7は、管電流Ipとフィラメント電流Ifの関係を示す特性図であり、縦軸は管電流Ip、横軸はフィラメント電流Ifを表し、管電圧Vpが変化した時のIp−If特性を示している。
さらに図8は、管電圧Vpとフィラメント電流Ifの関係を示す特性図であり、縦軸は管電圧Vp、横軸はフィラメント電流Ifを表し、管電流Ipが変化した時のVp−If特性を示している。
これらの図から、管電流Ipが管電圧Vpとフィラメント電流If双方の影響を受ける状態(図6〜図8の点線で示す領域C)が存在していることが分かる。即ち、温度制限領域Aと空間電荷制限領域Bの中間に混在領域Cがある。X線撮影に用いる一般的なX線管は、この混在領域Cで動作することも確認している。
予備加熱したX線管12に管電圧Vpを印加したときの立ち上がり特性は図5で示したように、(1)式を満たしながら立ち上がっており、空間電荷制限状態(B)にある。これにより、管電流Ipは早い立ち上がりを実現することができる。一方、温度制限領域Aにおいてもフィラメント温度の上昇に伴い管電流Ipが増加するが、管電流Ipの立ち上がりは非常に緩やかである。
したがって管電流Ipが立ち上がるまで空間電荷制限状態(B)を維持するには、十分な熱電子を放出し、温度制限状態(A)に入らないようにする必要がある。また管電圧Vpの印加と同時に空間電荷制限領域Bを形成するためには、フィラメントを十分に予備加熱する必要がある。
予備加熱時間tp後に発生する熱電子の電流密度Jsは、(2)式で求められる。
但し、Ifpはフィラメント予備加熱電流、Rはフィラメントの抵抗値[Ω]である。
Figure 2010049974
(2)式から、十分な予備加熱を行うには、フィラメント予備加熱電流Ifpを大きくするか、予備加熱時間tpを長くする必要があるが、予備加熱時間tpを長くすると、前述したようにX線照射の操作スイッチをオンしてから実際にX線撮影が行われるまでの時間が長くなってしまう。
そこで、上記した点を考慮して本発明では、先ずフィラメント予備加熱電流Ifpを大きくする方法を採っている。また、その後もフィラメント電流を流し続けることで空間電荷制限状態(B)を維持するようにしている。そして、空間電荷制限状態を維持している状態で管電圧制御回路19が作動し、目標電圧値になるまでX線管12に高電圧を印加するようにしている。
このとき、X線管電流は3/2乗則にしたがって立ち上がり、希望する目標電流値に到達したときに管電流制御回路20が作動し、目標電流値を維持するように制御する。その後、X線管電圧も目標電圧値に到達し、以降、目標電圧値を維持する。
こうして本発明のX線発生装置では、X線管の特性を最大限に生かしてX線管を駆動することにより、X線管電流の目標電流値までの立ち上げ時間を大幅に短縮し、短時間でX線管電流及びX線管電圧を立ち上げることができる。
したがって、X線照射の操作スイッチをオンしてから所望のX線を出力するまでの時間が短くなるため、X線撮影をしたいときに素早く撮影することが可能となる。特に被検体の心臓等、動きのある部位を撮影したり、動物など動きの激しい被検体を撮影する場合にタイミングよく撮影することができる。またX線管電流の立ち上がりが早く、所望のX線管電流に達するまでの時間を短縮することができるため、被検体は余分な被曝を防ぐことができる。
また本発明のX線発生装置は、バッテリーや商用交流電源を利用することができるため、ポータブル型のX線発生装置に適している。しかも予備加熱制御回路21は、基準電圧源25の電圧と比較回路26内の電圧を比較する構成であるため、フィードバック回路を必要とせず、回路構成が簡単になる。したがって回路基板を小型化することができ装置全体を小型化できるため、ポータブル型のX線発生装置により一層適した構造といえる。
また、ポータブル型に限らず医療機関等に据え付けられたX線撮影装置にも使用できることは言うまでもない。尚、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
本発明のX線発生装置の一実施形態を示すブロック図。 本発明のX線発生装置の動作を説明するフローチャート。 本発明のX線発生装置の動作を説明するタイミングチャート。 本発明のX線発生装置の動作を説明する電流/電圧波形図。 X線管の特性を説明する管電流−管電圧特性図。 X線管の特性を補足説明する管電流−管電圧特性図。 X線管の特性を補足説明する管電流−フィラメント電流特性図。 X線管の特性を補足説明する管電圧−フィラメント電流特性図。 従来のX線発生装置の動作を説明するタイミングチャート。 従来のX線発生装置の動作を説明する電流/電圧波形図。
符号の説明
10…X線発生装置
11…高電圧回路
12…X線管
13…陽極
14…フィラメント
15…直流電源
16…インバータ回路
161…スイッチング素子
17…フィラメントトランス
18…操作部
181…制御部
19…管電圧制御回路
20…管電流制御回路
21…予備加熱制御回路
22…検出回路
23…比較回路
24…駆動回路
25…基準電圧源
26…比較回路
27…駆動回路

Claims (5)

  1. X線管の陽極に管電圧を印加する高電圧回路と、
    前記X線管のフィラメントに、フィラメント電流の最大定格付近に設定したフィラメント電流を流して前記フィラメントを予備加熱する予備加熱制御回路と、
    前記予備加熱を開始して所定時間経過後に作動し、前記X線管の管電圧を目標電圧値に制御する管電圧制御回路と、
    前記X線管の管電圧の増加により前記X線管の管電流が目標電流値に到達したときに、前記予備加熱制御回路に代わって前記フィラメント電流を制御し、前記管電流を目標電流値に制御する管電流制御回路と、
    前記X線管の管電圧及び管電流が目標値に到達して所定時間経過後に前記管電圧及び管電流の供給を停止する制御部と、
    を具備したことを特徴とするX線発生装置。
  2. 前記予備加熱制御回路は、前記X線管のフィラメントに前記フィラメント電流の最大定格付近のフィラメント電流を所定時間流し、前記X線管内に熱電子を溜めて空間電荷制限状態を維持し、
    前記管電圧制御回路は、前記X線管が前記空間電荷制限状態を維持しているときに前記管電圧の制御動作を開始し、
    前記X線管の管電圧が目標電圧値に到達する前に前記管電流が目標電流値に到達するようしたことを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  3. X線照射の操作スイッチを備え、
    前記制御部は、前記操作スイッチの操作に応答して前記予備加熱制御回路を制御し前記フィラメントを予備加熱するとともに、前記操作スイッチの操作を基準にして前記管電圧の制御開始時間及び前記管電圧と管電流の停止時間を設定することを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  4. X線管のフィラメントに、フィラメント電流の最大定格付近に設定したフィラメント電流を流して前記フィラメントを予備加熱し、
    前記予備加熱を開始して所定時間経過後に管電圧制御回路を動作させ、前記X線管の管電圧を目標電圧値に制御し、
    前記X線管の管電圧の増加により前記X線管の管電流が目標電流値に到達したときに前記予備加熱に代えて管電流制御回路を動作させ、前記フィラメント電流を制御して前記管電流を目標電流値に制御し、
    前記X線管の管電圧及び管電流が目標値に到達して所定時間経過後に前記管電圧及び管電流の供給を停止することを特徴とするX線管の駆動方法。
  5. X線照射の操作スイッチを有し、
    前記操作スイッチの操作に応答して前記フィラメントに前記フィラメント電流の最大定格付近のフィラメント電流を所定時間流し、前記X線管内に熱電子を溜めて空間電荷制限状態とし、
    前記操作スイッチの操作を基準にして、前記X線管が前記空間電荷制限状態を維持しているときに前記管電圧の制御動作を開始するとともに、前記X線管の管電流及び管電圧が目標値に到達したあとに前記管電圧及び管電流の供給を停止することを特徴とする請求項4記載のX線管の駆動方法。
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