JP2010048312A - 配管継手構造および配管継手方法 - Google Patents

配管継手構造および配管継手方法 Download PDF

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有礼 清水
Kenji Maeda
研二 前田
Atsushi Abei
淳 安部井
Takashi Ono
高志 小野
Norihiro Ishikawa
徳宏 石川
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Abstract

【課題】曲線部分と直線部分とを有するソケットを用いて、所望のかしめ強度および加工簡素化を達成することができる配管継手構造および配管継手方法を提供する。
【解決手段】エバポレータ1は、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11と、入口配管14および出口配管15と、筒状のソケット12と、平板状の連結プレート13と、を含み、ソケット12の連結部121は、直線状の直線部分72と円弧状の曲線部分71とを有し、直線部分72と仮想直線L1とが成す角度θ2は、曲線部分71と仮想直線L1とが成す角度θ1より大きい。
【選択図】図4

Description

本発明は、配管と配管とが連結される配管継手構造、および配管と配管とを連結する配管継手方法に関する。
従来の技術の熱交換器では、その内部を流れる流体の流体出入口を形成する流体出入口部材を設け、この流体出入口部材に、流体の導入用配管および流体の導出用配管を接合している。接合する方法は、たとえばろう付けによって接合する方法とかしめ加工によって接合する方法とがある(たとえば特許文献1参照)。
特開平8−159688号公報
前述したろう付けによって配管を接合する場合、熱交換器が車両用のときは熱交換器に一体接合される配管部分の長さが車種毎のバリエーションによって種々変更される。したがってろう付け設備および熱交換器の気密検査装置は、車種毎のバリエーションに対応する必要がある。これによって、たとえば最大長さの配管にも対応できるようにろう付け設備を大型化する必要があり、製造設備費が高くなるという問題がある。
また前述したかしめ加工によって配管を接合する場合、確実に接合するためにかしめ部を90度まで曲げる必要がある。このように90度まで曲げる場合、一度に90度の曲げ加工ではかしめ部が座屈するので、複数回にわけて段階的に曲げ加工する必要がある。したがって加工のサイクルタイムが長くなり、かつ2回にわけて曲げ加工するために設備が複雑化および大型化し、製造設備費が高くなるという問題がある。さらに複数本の配管と複数本の配管とをかしめ部によって接合する場合、1つのかしめ部によってかしめるためにはかしめ部は曲線部分および直線部分を有するような形状となる場合がある。このような曲線部分を有する形状のかしめ部は、かしめるときにしわなどが発生するので特にかしめ加工が困難である。
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、曲線部分と直線部分とを有するソケットを用いて、所望のかしめ強度および加工簡素化を達成することができる配管継手構造および配管継手方法を提供することを目的とする。
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、第1の配管(10,11)と、
第2の配管(14,15)と、
第1の配管の端部に、一端部が接合される筒状のソケット(12)と、
第2の配管の外周面部に接合され、ソケットの内方に嵌合される平板状の連結プレート(13)と、を含み、
ソケットの他端部は、直線状の直線部分(72)と円弧状の曲線部分(71)とを有する環状の連結部(121)であり、
直線部分と曲線部分は、連結プレートが嵌合した状態で、連結プレートの表面部に向かって傾斜し、連結プレートの動きを規制する形状であり、
直線部分と連結プレートの厚み方向に延びる仮想直線(L1)とが成す角度(θ2)は、曲線部分と仮想直線とが成す角度(θ1)より大きいことを特徴とする配管継手構造を特徴とする。
請求項1に記載の発明に従えば、第1の配管に接合されるソケットをいわゆるかしめることによって、第2の配管に接合される連結プレートにソケットを接合する。これによって第1の配管と第2の配管とが連結される。ソケットの連結部は、直線部分と仮想直線とが成す角度は、曲線部分と仮想直線とが成す角度より大きい。このようにソケットがいわゆる非円形状、たとえば楕円状および長円状であり、直線部分と曲線部分とで連結プレートに接合させるための傾斜角度が異なる。曲線部分は大きく傾斜させるためには、しわなどの発生を防止するために段階的に傾斜させる必要があるが、本発明のように曲線部分の傾斜角度を小さくすることによって、一度の加工で座屈することなく、曲線部分を傾斜させることができる。また直線部分を大きい角度にすることによって、直線部分が連結プレートに与える押圧力を大きくすることができる。これによってソケットを連結プレートに強固に連結することができる。
また請求項2に記載の発明は、直線部分と仮想直線とが成す角度は、40度以上90度以下であり、
曲線部分と仮想直線とが成す角度は、0度以上60度未満であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明に従えば、このような角度に設定することによって、直線部分および曲線部分を座屈させることなく、一度の工程で傾斜させることができる。
さらに請求項3に記載の発明は、直線部分と仮想直線とが成す角度は、70度であり、
曲線部分と仮想直線とが成す角度は、50度であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明に従えば、このような角度に設定することによって、直線部分および曲線部分を座屈させることなく、一度の工程で傾斜させ、かつ所望の強度を達成することができる。
さらに請求項4に記載の発明は、第1の配管は、複数であり、
第2の配管は、第1の配管と同数であり、
ソケットは、各第1の配管を一体化し、
連結プレートは、各第2の配管を一体化することを特徴とする。
請求項4に記載の発明に従えば、直線部分および曲線部分を有するソケット内に複数の配管を配置して、複数の配管同士を連結させることができる。
さらに請求項5に記載の発明は、第2の配管とソケットとの間に設けられるシール部材(16,17)をさらに含み、
第1の配管および第2に配管は、流体が流通することを特徴とする。
請求項5に記載の発明に従えば、シール部材を用いることによって、流体が流通する配管同士を連結しても、流体が連結部から流出することを防止することができる。
さらに請求項6に記載の発明は、前述の配管継手構造を含み、
第1の配管および第2の配管は、冷媒が流通することを特徴とする熱交換器である。
請求項6に記載の発明に従えば、前述の効果を達成することができる熱交換器を実現することができる。
さらに請求項7に記載の発明は、第1の配管の端部と第2の配管の端部とを組付ける配管継手方法であって、
第1の配管の端部に、筒状のソケットの一端部を接合する工程と、
第2の配管の外周面部に平板状の連結プレートを接合する工程と、
連結プレートをソケットの内方に嵌合する工程と、
ソケットの他端部であって、直線状の直線部分と円弧状の曲線部分とを有する環状の連結部を、連結プレートが嵌合した状態で、連結プレートの表面部に向かって傾斜させてかしめるかしめ工程とを含み、
かしめ工程では、直線部分と連結プレートの厚み方向に延びる仮想直線とが成す角度は、曲線部分と仮想直線とが成す角度より大きいことを特徴とする配管継手方法である。
請求項7に記載の発明に従えば、かしめ工程にて、第1の配管に接合されるソケットをいわゆるかしめることによって、第2の配管に接合される連結プレートにソケットを接合する。これによって第1の配管と第2の配管とが連結される。ソケットの連結部は、直線部分と仮想直線とが成す角度は、曲線部分と仮想直線とが成す角度より大きい。このようにソケットがいわゆる非円形状、たとえば楕円状であり、直線部分と曲線部分とで連結プレートに接合させるための傾斜角度が異なる。曲線部分は大きく傾斜させるためには、しわなどの発生を防止するために段階的に傾斜させる必要があるが、本発明のように曲線部分の傾斜角度を小さくすることによって、一度の加工で座屈することなく、曲線部分を傾斜させることができる。また直線部分を大きい角度にすることによって、直線部分が連結プレートに与える押圧力を大きくすることができる。これによってソケットを連結プレートに確実に連結することができる。また一度のかしめ工程で連結部を傾斜させ、配管同士を組付ることができるので、組付工数の低減が図れる。したがって生産性を向上することができる。
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図13を用いて説明する。第1実施形態は、本発明を車両空調用冷凍サイクルの蒸発器であるエバポレータ(熱交換器)1に適用した実施形態である。図1は、エバポレータ1の概略構成を示す部分断面図である。図2は、エバポレータ1の左側面図である。
エバポレータ1は、チューブ3とフィン4とを交互に配置して積層したコア2、コア2の上端に配置される上タンク6、コア2の下端に配置される下タンク7、およびコア2の左右端でフィン4を支持するサイドプレート8を含む。エバポレータ1は、コア2、上タンク6および下タンク7が前後方向(図2の紙面の左右方向)に2列にわたって配列されている。このようなエバポレータ1に送風機(図示せず)によって前後方向に空気を送ると、複数のチューブ3内を流通する冷媒(流体)とコア2を通過する空気とが熱交換し、冷却された空気が冷風として車室内に送風される。
以下、前後方向とは、送風機によって送風される空気流れの風上側から風下側への方向である。図1では、紙面の厚み方向が前後方向となる。また前後方向に直交する方向であって、チューブ3が延びる方向を上下方向(図1の紙面の上下方向)と称する。また前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向(図1の左右方向)と称する。
上タンク6には、後列の左端に冷媒の入口部61が配置され、前列の左端に冷媒の出口部62が配置されている。上タンク6の入口部61には、第1の配管として機能する入口側冷媒流路10が接合される。また上タンク6の出口部62には、第1の配管として機能する出口側冷媒流路11が接合される。これら冷媒流路10,11の末端にはソケット12が接合される。上タンク6は、上側左後タンク6A、上側右後タンク6B、上側左前タンク6C、および上側右前タンク6Dを含む。上側左後タンク6Aは、入口部61に連通する。上側右後タンク6Bは、上側左後タンク6Aと左右方向で隣接する。上側左前タンク6Cは、出口部62に連通する。上側右前タンク6Dは、上側左前タンク6Cと左右方向で隣接する。
下タンク7は、後列側に配置された下側後タンク7Aと、前列側に配置された下側前タンク7Bとを含む。下側後タンク7Aおよび下側前タンク7Bは、上タンク6と各チューブ3で連結されている。チューブ3は、偏平矩形筒状に形成される。各チューブ3の両端が上タンク6と下タンク7に接合されて循環流路として構成されている。
前述のように上タンク6および下タンク7が前後2列で配置されていることので、複数のチューブ3は、前後左右列の全4群に分割される。冷媒は、入口部61から上側左後タンク6A内に流入され、各チューブ3を介して、下側後タンク7A、上側右後タンク6B、上側右前タンク6D、下側前タンク7B、および上側左前タンク6Cの順に流れ、上側左前タンク6Cから出口部62を通ってエバポレータ1の外に流出する。
チューブ3、上タンク6および下タンク7は、別体で形成されたものを組み付けて、それぞれをろう付けすることによって一体的に構成されている。上タンク6には、チューブ3の一端が差し込まれる矩形孔(チューブ孔)63が流路方向である上下方向に沿って複数並設して形成され、その矩形孔63から突き出したチューブ3の突出部3aと上タンク6の下壁64とがろう付けによって固着される。サイドプレート8の上端は、上タンク6の内方に向かってL字状に形成され、上タンク6の端部より内方の位置において、上タンク6内に突出する突出部8aが、サイドプレート8に形成されている。サイドプレート8の突出部8aと上タンク6の下壁64とがろう付けによって固着される。また下タンク7においても、チューブ3の突出部3a、およびサイドプレート8の突出部8aは、上タンク6と同様に、下タンク7の上壁65とろう付けによって固着されている。
入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11は、流路の一端が、図2に示すように、上タンク6の上側左後タンク6A、上側左前タンク6Cのそれぞれに接続され、チューブ3と平行に下方に向かって延設するとともに、コア2の中間位置から前方に屈曲している。入口側冷媒流路10の末端および出口側冷媒流路11の末端には、ソケット12が接合される。
エバポレータ1の入口側冷媒流路10には、ソケット12を介して第2の配管である入口配管14が固定される。出口側冷媒流路11には、ソケット12を介して第2の配管である出口配管15が固定される。したがって複数の第1の配管である入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11と、複数の第2の配管である入口配管14および出口配管15とは、ソケット12を介して互いに固定される。入口配管14は、流入(入口)側の冷媒配管であって、冷凍サイクル装置(図示せず)の膨張弁(図示せず)の流出側に接続され、その膨張弁で減圧された冷媒がエバポレータ1に向かって流れる。出口配管15は、流出(出口)側の冷媒配管であって、エバポレータ1で蒸発された冷媒が冷凍サイクル装置の圧縮機(図示せず)の吸入側に流出するように接続される。これら入口配管14および出口配管15は、アルミニウムから形成されている。
次に、配管継手構造に関して説明する。配管継手構造は、入口配管14および出口配管15と入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11とを連結する構造である。図3は、エバポレータ1における配管継手構造の全体構成を示す断面図である。図4は、入口配管14および出口配管15がソケット12に固定された形態を示す断面図である。図5は、ソケット12に固定された形態を示す平面図である。図6は、図4の切断面線V−Vから見て示す断面図である。図7は、図4の切断面線VI−VIから見て示す断面図である。先ず、入口配管14および出口配管15に関して説明する。
入口配管14および出口配管15は、図3に示すように、一端が連結プレート13によって連結され、他端がジョイント20によって連結されている。このジョイント20は、外部の冷媒配管(図示せず)を着脱容易に接続する接続ジョントであって、入口配管14および出口配管15がろう付けにより接合されている。
入口配管14および出口配管15は、先端側が円筒状に形成された挿入筒部22,23と、挿入筒部22,23の基幹部(根元)に径外方向へ突出する円環状のバルジ部(ビード部)18,19が形成されている。挿入筒部22,23には、座金24,25とOリング16,17とがそれぞれ外嵌されている。座金24,25は、ワッシャー状に形成されて、バルジ部18,19とOリング16,17との間に配置されている。
座金24,25は、Oリング16,17の外周縁と、ソケット12に形成され後述するる第2の内周部123a,123bの内周面とが当接されるシール面の防食性能を向上するための犠牲腐食材である。言い換えると、座金24,25は、Oリング16,17の外周縁の近傍に配設され、かつシール面よりも座金24,25の方が腐食し易いような材料で形成されている。Oリング16,17は、シール部材である。
連結プレート13は、バルジ部18,19の内側、即ちバルジ部18,19のOリング16,17が装着される側の反対側の面に当接するように配設されている。連結プレート13は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板材を用いて、外形形状がソケット12の内方に嵌合可能な形状、本実施の形態では長円状に形成され、その厚み方向に貫通する貫通孔13a,13bが形成されている。
貫通孔13a,13bは、連結プレート13の長辺方向の一端側と他端側に形成されている。貫通孔13a,13bは、入口配管14および出口配管15の位置決めを行うとともに、入口配管14および出口配管15を一体化する。貫通孔13a,13bは、それぞれの配管14,15の配管径よりも僅かに大径で形成されている。各配管14,15を各貫通孔13a,13bにそれぞれ挿入して、配管14,15を拡管させることにより、連結プレート13と2つの配管14,15とが固定される。
次に、ソケット12に関して説明する。ソケット12は、筒状に形成され、たとえばアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板材を用いて、絞り加工などのプレス成形によって形成されている。ソケット12には、図3に示すように、入口配管14および出口配管15の先端側を挿入する入口側挿入孔12aおよび出口側挿入孔12bと連結部121とが形成されている。
連結部121は、ソケット12の他端部であって、ソケット12の先端側に形成され、入口配管14および出口配管15のバルジ部18、19の一端面が当接するように形成されている。連結部121は、連結プレート13の外形に対応する環状、本実施の形態では長円状に形成された端部である。連結部121は、連結プレート13の外周縁を包み込むようにかしめることにより、入口配管14および出口配管15をソケット12に固定させる。具体的には、入口配管14および出口配管15を、ソケット12の入口側挿入孔12aおよび出口側挿入孔12bに挿入した後に、連結部121をかしめて連結プレート13の縁に固定させている。
入口側挿入孔12aおよび出口側挿入孔12bは、ソケット12の一端部に所定の取付ピッチを隔てて形成されており、それぞれ略同心円状に設けられた第1の内周部122a,122b、第2の内周部123a,123b、および第3の内周部124a,124bと、これら軸方向に隣り合うこれら各内周部122a〜124bの端縁同士を連続させる第1の連続部125a,125bおよび第2の連続部126a,126bとが形成されている。
第1の連続部125a,125bは、これらの内周面とバルジ部18,19の外形が当接するように形成されている。第1の内周部122a,122bおよび第1の連続部125a,125bは、バルジ部18,19の外形を挿嵌するように形成されている。
第2の内周部123a,123bは、第1の内周部122a,122bよりも僅かに小径に形成されている。この第2の内周部123a,123bは、この内周面と座金24,25およびOリング16,17の外周面とが当接しシール面を構成するように形成されている。したがって第2の内周部123a,123bは、座金24,25およびOリング16,17の外形を挿嵌するように形成されている。
第3の内周部124a,124bは、第2の内周部123a,123bよりも更に小径に形成されている。したがって第3の内周部124a,124bは、最も小径の内周部である。具体的には、第3の内周部124a、124bは、入口配管14および出口配管15の挿入筒部22,23に密着するように形成されている。したがって第3の内周部124a,124bは、挿入筒部22,23の外形を挿嵌するように形成されている。
また第3の内周部124a,124bの一端側(図3における下方側)には、第4の内周部127a,127bが形成されている。第4の内周部127a,127bは、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11の一端が接合される円周部127a,127bである。この第4の内周部127a,127bの外周が、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11の一端に形成された挿入溝(図示せず)に嵌合するように形成されている。第4の内周部127a,127bは、接合部の剛性を向上させるとともに、挿入溝への接合性を高めるために、第3の内周部124a,124bよりも大径に形成されている。
ソケット12は、前述したように、第4の内周部127a,127bの外周が入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11の一端に接合されることで、エバポレータ1とろう付け接合により一体的に製造することができる。
次に、配管継手方法について簡単に説明する。ソケット12は、前述したように、エバポレータ1に接合される入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11を含めて各部材と一体的に組み付けられている。入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11の末端に、ソケット12の第4の内周部127a,127bの外周を嵌め合わせ、たとえばエバポレータ1の各部材とともに仮組み付けされた状態で炉中ろう付けによって、エバポレータ1およびソケット12が一体的に接合される。
次の工程では、ソケット12、入口側冷媒流路10、および出口側冷媒流路11がろう付けで接合されたエバポレータ1が、炉中ろう付け工程から入口配管14および出口配管15を組み付ける配管組み付け場所に搬送される。配管組付け場所では、まず、貫通孔13a,13bが形成された連結プレート13と、先端側に円筒状の挿入筒部22,23を形成して、後端側にジョイント20を接合によって一体化した状態の入口配管14および出口配管15とを用意する。
次の工程では、挿入筒部22,23を、連結プレート13の貫通孔13a,13bにそれぞれ挿入し、入口配管14および出口配管15の内周を拡管させて所定の位置に連結プレート13を固定する(図3参照)。この工程により、入口配管14と出口配管15とが一体化される。
次の工程では、連結プレート13が配設された入口配管14および出口配管15の先端側、即ち挿入筒部22,23の基幹部(根元)に、バルジ加工によってバルジ部18,19を形成する。この工程により、連結プレート13の一端面がバルジ部18,19に当接される。バルジ部18,19の先端側に、座金24,25とOリング16,17とをそれぞれ外嵌する。これによって挿入筒部22,23の外周に座金24,25とOリング16,17とが装着される。
次の工程では、挿入筒部22,23に座金24,25およびOリング16,17を装着した状態の入口配管14および出口配管15を、図3に示す矢印方向に変位させて、ソケット12の入口側挿入孔12aおよび出口側挿入孔12bに挿入する。
次のかしめ工程では、ソケット12の連結部121を連結プレート13の外周縁を包み込むように全周に渡ってかしめる。このかしめ工程により、入口配管14および出口配管15がソケット12に固定される。このような組付け方法により、連結プレート13およびジョイント20で一体化された入口配管14と出口配管15とをソケット12に固定することができる。
次に、前述したかしめ工程に関してさらに説明する。図8は、かしめ工程にて用いられるかしめ用型70の平面図である。図9は、かしめ用型70の正面図である。図10は、かしめ用型70の背面図である。図11は、図8の切断面線X−Xから見て示す断面図である。図12は、かしめ角度とかしめ保持力との関係の一例を示すグラフである。図13は、かしめ角度を決定するためのシミュレーションを示す図である。かしめ工程では、図8〜図11に示すかしめ用型70を用いて、連結プレート13の表面部を押さえるように連結部121を連結プレート13の表面部に向かって斜め内側に傾斜するようにかしめる。
連結プレート13は長円状であるので、かしめられる連結部121は円弧状の曲線部分71と直線状の直線部分72とがある。したがってかしめ用型70は、曲線部分71をかしめる曲線かしめ部分73と、直線部分72をかしめる直線かしめ部分74とを有する。かしめ工程によってかしめられるかしめ角度は、図4〜図7に示すように、曲線部分71より直線部分72が大きくなるように設定される。かしめ角度とは、かしめ工程前の連結部121(図3参照)をかしめ工程にて傾斜(図4参照)させた角度である。したがってかしめ角度は、ソケット12の連結部121が連結プレート13の厚み方向である前後方向の延びる仮想直線L1と成す角度である。曲線部分71のかしめ角度θ1は、曲線部分71の曲率、連結プレート13の板厚および曲線部分71の高さ寸法などによって決定される。直線部分72のかしめ角度θ2は、連結プレート13の板厚および直線部分72の高さ寸法などによって決定される。
図12では、縦軸はかしめ保持力を示し、横軸は曲線部分71のかしめ角度θ1を示す。図12に示すように、かしめ角度θ1が大きくになるに従って、かしめ保持力が大きくなる。かしめ保持力は、かしめられた部分に働く接触反力の大きさである。したがってかしめ保持力が大きくなるように曲線部分71のかしめ角度θ1は設定される。
図13では、連結プレート13の曲線部分71におけるかしめ工程のFEM(有限要素法)によるシミュレーション結果の一例を示す。図13に示すように、曲線部分71のかしめ角度θ1を5つの角度(45度,50度,55度,60度,70度)に設定した場合のシミュレーション結果では、曲線部分71のかしめ角度θ1が60度以上となると、かしめる部分に座屈が発生する。曲線部分71は円弧状であるので(図5参照)、一度に60度以上のかしめ角度θ1でかしめると、いわゆるしわよせが発生する。したがって一度のかしめ工程では、曲線部分71のかしめ角度θ1を60度未満にする必要がある。このように曲線部分71のかしめ角度θ1は、0度以上60度未満、好ましくは30度以上40度以下に設定される。本実施の形態では一度でかしめ工程ができるように、図9に示すように、曲線部分71のかしめ角度θ1は50度に設定される。かしめ用型70は、このようなかしめ角度θ1となるように、曲線かしめ部分73が設計される(図9参照)。
直線部分72のかしめ角度θ2は、前述したように曲線部分71のかしめ角度θ1より大きくなるように設定される。直線部分72では、前述したように曲線部分71におけるしわよせが発生しにくいので、一度に大きなかしめ角度θ2でかしめることができる。また直線部分72でも曲線部分71と同様に、かしめ角度θ2が大きくになるに従って、かしめ保持力が大きくなる。したがってかしめ保持力が大きくなるように直線部分72のかしめ角度θ2は設定される。直線部分72のかしめ角度θ2は、40度以上90度以下、好ましくは60度以上70度以下に設定される。本実施の形態では、一度でかしめ工程ができるように、直線部分72のかしめ角度θ2は70度に設定される。かしめ用型70は、このようなかしめ角度θ2となるように、直線かしめ部分74が設計される(図11参照)。
以上説明したように本実施の形態のエバポレータ1では、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11に接合されるソケット12をいわゆるかしめることによって、入口配管14および出口配管15に接合される連結プレート13にソケット12を接合する。これによって入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11と入口配管14および出口配管15とが連結される。ソケット12の連結部121は、直線部分72と仮想直線L1とが成す角度は、曲線部分71と仮想直線L1とが成す角度より大きい。このようにソケット12がいわゆる非円形状、本実施の形態では長円状であり、直線部分72と曲線部分71とで連結プレートに接合させるための傾斜角度が異なる。曲線部分71は大きく傾斜させるためには、しわなどの発生を防止するために段階的に傾斜させる必要があるが、本実施の形態のように曲線部分71の傾斜角度を小さくすることによって、一度の加工で座屈することなく、曲線部分71を傾斜させることができる。また直線部分72を大きい角度にすることによって、直線部分72が連結プレートに与えるかしめ保持力(押圧力)を大きくすることができる。これによってソケット12を連結プレート13に強固に連結することができる。
また前述した配管継手方法では、かしめ用型70を用いた一度のかしめ工程にて、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11に接合されるソケット12をかしめることによって、入口配管14および出口配管15に接合される連結プレート13にソケット12を接合する。このように一度のかしめ工程で連結部121を傾斜させて、入口側冷媒流路10および出口側冷媒流路11と入口配管14および出口配管15とを組付ることができるので、組付工数の低減が図れる。したがって生産性を向上することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
前述の第1実施形態では、ソケット12の連結部121の形状は長円状であるが、長円状に限ることはなく、直線部分72と曲線部分71とを含む形状、たとえば楕円状、タマゴ形状であってもよく、角が円弧状の多角形であってもよく、これらを組み合わせた形状であってもい。
また前述の第1実施形態では、本発明を車両空調用冷凍サイクルのエバポレータ1に適用させたが、エバポレータ1に限るものではなくそれに類する他の熱交換器にも適用できるものである。また、熱交換器に限らず、2本の配管と2本の配管とを連結する配管継手構造に本発明を適用させても良い。さらに、1本または3本以上の第1の配管と、第1の配管と同数の第2の配管とを連結する配管継手構造に本発明を適用させても良い。
エバポレータ1の概略構成を示す部分断面図である。 エバポレータ1の左側面図である。 エバポレータ1における配管継手構造の全体構成を示す断面図である。 入口配管14および出口配管15がソケット12に固定された形態を示す断面図である。 ソケット12に固定された形態を示す平面図である。 図4の切断面線V−Vから見て示す断面図である。 図4の切断面線VI−VIから見て示す断面図である。 かしめ用型70の平面図である。 かしめ用型70の正面図である。 かしめ用型70の背面図である。 図8の切断面線X−Xから見て示す断面図である。 かしめ角度とかしめ保持力との関係の一例を示すグラフである。 かしめ角度を決定するためのシミュレーションを示す図である。
符号の説明
1…エバポレータ(熱交換器)
10…入口側冷媒流路(第1の配管)
11…出口側冷媒流路(第1の配管)
12…ソケット
13…連結プレート
14…入口配管(第2の配管)
15…出口配管(第2の配管)
16,17…Oリング(シール部材)
71…曲線部分
72…直線部分
121…連結部

Claims (7)

  1. 第1の配管(10,11)と、
    第2の配管(14,15)と、
    前記第1の配管の端部に、一端部が接合される筒状のソケット(12)と、
    前記第2の配管の外周面部に接合され、前記ソケットの内方に嵌合される平板状の連結プレート(13)と、を含み、
    前記ソケットの他端部は、直線状の直線部分(72)と円弧状の曲線部分(71)とを有する環状の連結部(121)であり、
    前記直線部分と前記曲線部分は、前記連結プレートが嵌合した状態で、前記連結プレートの表面部に向かって傾斜し、前記連結プレートの動きを規制する形状であり、
    前記直線部分と前記連結プレートの厚み方向に延びる仮想直線(L1)とが成す角度(θ2)は、前記曲線部分と前記仮想直線とが成す角度(θ1)より大きいことを特徴とする配管継手構造。
  2. 前記直線部分と前記仮想直線とが成す角度は、40度以上90度以下であり、
    前記曲線部分と前記仮想直線とが成す角度は、0度以上60度未満であることを特徴とする請求項1に記載の配管継手構造。
  3. 前記直線部分と前記仮想直線とが成す角度は、70度であり、
    前記曲線部分と前記仮想直線とが成す角度は、50度であることを特徴とする請求項2に記載の配管継手構造。
  4. 前記第1の配管は、複数であり、
    前記第2の配管は、第1の配管と同数であり、
    前記ソケットは、前記各第1の配管を一体化し、
    前記連結プレートは、前記各第2の配管を一体化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の配管継手構造。
  5. 前記第2の配管と前記ソケットとの間に設けられるシール部材(16,17)をさらに含み、
    前記第1の配管および前記第2に配管は、流体が流通することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の配管継手構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の配管継手構造を含み、
    前記第1の配管および前記第2の配管は、冷媒が流通することを特徴とする熱交換器。
  7. 第1の配管の端部と第2の配管の端部とを組付ける配管継手方法であって、
    前記第1の配管の端部に、筒状のソケットの一端部を接合する工程と、
    前記第2の配管の外周面部に平板状の連結プレートを接合する工程と、
    前記連結プレートを前記ソケットの内方に嵌合する工程と、
    前記ソケットの他端部であって、直線状の直線部分と円弧状の曲線部分とを有する環状の連結部を、前記連結プレートが嵌合した状態で、前記連結プレートの表面部に向かって傾斜させてかしめるかしめ工程とを含み、
    前記かしめ工程では、前記直線部分と前記連結プレートの厚み方向に延びる仮想直線とが成す角度は、前記曲線部分と前記仮想直線とが成す角度より大きいことを特徴とする配管継手方法。
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