JP2010044869A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】付加的なピストン装置等を設けることなく、燃料電池の燃料ガス流路に溜まった水を排出する。
【解決手段】発電運転中に、水素ガス供給装置50から燃料電池14に供給される水素ガスを、水素供給弁46を閉弁することで一旦遮断し、所定圧力まで下がったら再び開弁することでアノード圧力Pに作動圧変動を生じさせ、これにより供給排出口30、32間に差圧ΔPを発生させる。差圧ΔPにより、燃料ガス流路24に溜まった水が排出される。
【選択図】図1
【解決手段】発電運転中に、水素ガス供給装置50から燃料電池14に供給される水素ガスを、水素供給弁46を閉弁することで一旦遮断し、所定圧力まで下がったら再び開弁することでアノード圧力Pに作動圧変動を生じさせ、これにより供給排出口30、32間に差圧ΔPを発生させる。差圧ΔPにより、燃料ガス流路24に溜まった水が排出される。
【選択図】図1
Description
この発明は、燃料ガス流路内の水素ガスと酸化剤ガス流路内の酸化剤ガスを反応させて発電を行う燃料電池の発電安定性を向上させる燃料電池システムに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜(固体高分子電解質膜)の両側にそれぞれアノード電極(燃料極)及びカソード電極(酸化剤極)を設けた電解質膜・電極構造体を、一対のセパレータによって挟んで保持することで、アノード電極とセパレータとの間に燃料ガス流路が形成される一方、カソード電極とセパレータとの間に酸化剤ガス流路が形成される。
燃料電池は、通常、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んで保持して構成される燃料電池セルを、複数積層させて一体化させたスタック構造として使用されている。
燃料電池において、燃料ガス流路を介してアノード電極に供給された燃料ガス、例えば、水素含有ガスは、電極触媒上で水素イオン化され、適度に加湿された電解質膜を介してカソード電極へと移動し、その移動の間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。カソード電極には、酸化剤ガス流路を介して酸化剤ガス、例えば、空気等の酸素含有ガスが供給されているために、このカソード電極において、水素イオン、電子及び酸素ガスが反応して水が生成される。水は、カソード側からの逆拡散等を原因として燃料ガス流路に浸透する。また、カソード側からアノード側には酸化剤ガス中の窒素も浸透する。
水が過多状態になると、水詰まりにより燃料ガス流路の出口が閉塞し、閉塞すると発電が不安定になる。また、燃料ガス流路内に窒素が増加してくると発電が不安定になる。
そのため、燃料電池システムでは、燃料ガス流路の出口側に設けられた燃料ガス排出口の下流側に、放出弁(パージ弁という。)を設け、燃料電池システムの発電中に、パージ弁を定期的に開弁し、燃料ガス流路の入口側に設けられた燃料ガス供給口と燃料ガス排出口との間での差圧を大きくして、水を排水するとともに窒素を燃料電池システム外に排出することで水詰まりを解消し、燃料ガス流路内での水素ガスの拡散性を向上させ、発電を安定に維持するようにしている。
しかしながら、パージ弁を開弁する際には、水素ガスも同時に排出されるため、燃費が悪化する。燃費の悪化を回避するために、開弁の頻度をなるべく少なくすることが好ましい。
特許文献1には、アノード排ガスを内部に止めて運転する燃料電池において、燃料ガス流路に連通するピストン機構を設け、ピストンを往復駆動することで、燃料ガス流路内に圧力変動を発生させ、この圧力変動により、燃料ガス流路における生成水を拡散させ、水素ガスの拡散性の低下を防止する技術が開示されている。
しかしながら、燃料電池システムにピストン機構を設けると、装置が大型化し、コストも高くなる。その上、ピストン機構を作動させるのに電力などの動力が消費され、燃費も悪化する。
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであって、燃料電池システムにピストン機構等の付加的な装置を設けることなく、燃料ガス流路内の水詰まり等、水が溜まった状態を解消し、燃料ガス流路内での水素ガスの拡散性を向上させることを可能とする燃料電池システムを提供することを目的とする。
この発明に係る燃料電池システムは、燃料電池が水素ガスと酸化剤ガスを反応させて発電を行う。前記燃料電池に、水素ガス供給装置から前記水素ガスを供給する。差圧発生部は、前記水素ガス供給装置を制御して、前記燃料電池に供給される前記水素ガスの流量を制御し、前記燃料電池の前記水素ガスの供給排出口間で差圧を発生させる。
この場合、前記燃料電池に水が溜まっているかどうかを判定する貯留判定部をさらに備え、前記貯留判定部が水が溜まっていると判定したとき、前記差圧発生部が前記差圧を発生させることが好ましい。
また、前記燃料電池の発電状態が安定か不安定かを判定する発電状態判定部をさらに備え、前記発電状態判定部が前記発電状態が不安定であると判定したとき、前記貯留判定部が前記燃料電池に水が溜まっていると判定することが好ましい。
さらに、前記貯留判定部は、前記燃料電池システムのシステム停止時に、水が溜まっていると判定することが好ましい。
さらにまた、前記貯留判定部は、前記燃料電池システムのシステム停止後、所定のソーク時間が経過した後の再起動時に水が溜まっていると判定することが好ましい。
さらにまた、前記燃料電池の前記水素ガスの前記排出口の下流側に前記水素ガスを放出するパージ弁をさらに設け、前記差圧発生部は、前記水素ガスの差圧を発生させる際、前記パージ弁も開弁してより大きな差圧を発生させることが好ましい。
さらにまた、前記水素ガス供給装置は、水素ガス貯留器と、水素ガス供給弁とからなり、前記差圧発生部は、前記燃料電池に前記水素ガスが供給されているとき、前記水素ガス供給弁を所定時間閉弁した後開弁し、前記燃料電池の前記水素ガスの供給排出口間で差圧を発生させることが好ましい。
さらにまた、前記燃料電池の前記供給口と前記水素ガス供給装置との間に圧力センサをさらに設け、前記差圧発生部は、前記圧力センサにより検出された圧力値の変化に基づき、前記差圧の発生を終了させることが好ましい。
この発明によれば、水素ガス供給装置を制御して、燃料電池の燃料ガスの供給排出口間で水素ガスの差圧を発生させるようにしているので、燃料電池システムにピストン機構等の付加的な装置を設けることなく、発生した差圧(作動圧変動)により燃料ガス流路内の水詰まり等、水が溜まった状態を解消し、燃料ガス流路内での水素ガスの拡散性を向上させることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池システム10が適用された燃料電池車両12の概略構成図を示す。
この燃料電池車両12は、基本的には、燃料電池14と、この燃料電池14の出力を補助するとともに燃料電池14の発電電力等により充電される蓄電装置(バッテリという。)16と、主負荷である走行駆動用のモータ18と、エアコンプレッサ20等の補機と、これらを制御する制御装置70とから構成される。
燃料電池14は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んで保持して構成される燃料電池セルを、複数積層させて一体化させたスタック構造になっている。各燃料電池セルは、電解質膜(固体高分子電解質膜)・電極構造体を挟んで保持する金属のセパレータとを備える。一方のセパレータの電解質膜・電極構造体のカソード電極に対向する面には、酸化剤ガス流路22が形成される。他方のセパレータの電解質膜・電極構造体のアノード電極に対向する面には、燃料ガス流路24が形成される。
各燃料電池セルの電圧(セル電圧)Vsは、電圧センサ26により測定(検出)される。
燃料電池14には、この燃料電池14の燃料ガス流路24を通じてアノード電極に燃料ガス、例えば水素(H2)ガスを供給するための水素供給口30と、燃料電池14の燃料ガス流路24から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを排出するための水素排出口32と、燃料電池14の酸化剤ガス流路22を通じてカソード電極に、酸化剤ガス、例えば酸素(O2)を含む空気(エア)を供給するための空気供給口34と、酸化剤ガス流路22から未使用の酸素を含む空気を燃料電池14から排出するための空気排出口36とが設けられている。
水素供給口30には、水素供給流路38が連通される。この水素供給流路38には、水素供給流路38内(水素供給口30)のガスの圧力(アノード圧力)Pを検出(測定)する圧力センサ40とエゼクタ42が設けられる。
エゼクタ42は、高圧水素を貯留する水素ガス貯留器44(水素タンク)から水素供給弁46を通じて供給される水素ガスを、水素供給流路38及び水素供給口30を通じて燃料電池14に供給するとともに、燃料電池14で使用されなかった未使用の水素ガスを含む排ガスを水素排出口32に連通する水素循環流路48から吸引して燃料電池14に再供給する。水素ガス貯留器44と水素供給弁46とにより水素ガス供給装置50が構成される。なお、水素ガス貯留器44とエゼクタ42との間に、適宜、水素ガスの供給圧力を調整する圧力レギュレータが設けられる。
水素循環流路48には、アノード電極に溜まった水やカソード電極から電解質膜を透過してアノード電極に混入した窒素ガスを含む燃料ガスを水素パージ流路52、希釈ボックス60及び排出流路62を介して外部(外気・大気)に排出することで発電安定性を確保するため、通常発電運転時に適宜開放されるパージ弁54が設けられる。
一方、空気供給口34には、空気供給流路56が連通され、この空気供給流路56には、大気から吸気口64を通じて吸気される空気を圧縮して燃料電池14の酸化剤ガス流路22に供給するエアコンプレッサ用モータと一体となったエアコンプレッサ20が接続される。
また、空気排出口36には、エアコンプレッサ20から空気供給流路56及び空気供給口34を通じて燃料電池14の酸化剤ガス流路22に供給される空気の圧力を調整するための背圧制御弁66が設けられ、燃料電池14の空気排出口36は、この背圧制御弁66を介し空気排出流路68、希釈ボックス60及び排出流路62を通じて大気に連通している。
希釈ボックス60は、パージ弁54及び水素パージ流路52を通じて供給される燃料ガス(排ガス)を空気排出流路68から供給される酸化剤ガスにより希釈して外部に排出する機能を有する。水素供給弁46、パージ弁54は、それぞれオンオフ弁である。
制御装置70は、燃料電池車両12に収められた燃料電池システム10の前記水素供給弁46やパージ弁54等の開閉、背圧制御弁66等の開度調整、モータ18の制御、エアコンプレッサ20等の補機の制御、蓄電装置16の充放電制御等を含め、全ての動作を制御する。
燃料電池14の発電電流Iと発電電圧からなる電力は、制御装置70により制御される電圧制御ユニット(VCU)72を介してモータ18及びバッテリ16に供給される。
制御装置70は、コンピュータにより構成され、各種入力に基づき制御装置70内のメモリに記憶しているプログラムを実行することで各種機能を実現する機能手段(機能部)として動作する。
この実施形態において、制御装置70は、水素ガス供給装置50を制御して、燃料電池14の燃料ガス流路24の供給排出口間(水素供給口30と水素排出口32間)で水素ガスの差圧を発生させる差圧発生部74、燃料電池14の燃料ガス流路24内に水が溜まっているかどうかを判定する貯留判定部76、及び燃料電池14の発電状態が安定か不安定かを判定する発電状態判定部78等として機能する。
制御装置70には、各セル電圧Vsを検出する電圧センサ26、燃料電池車両12(燃料電池システム10)を起動し停止するためのイグニッションスイッチ80(起動スイッチ)等が接続される。
なお、図1において、太い実線は電力線を示し、細い一点鎖線は信号線(制御線)を示す。また、二重線は、配管を示している。
基本的には以上のように構成される燃料電池システム10の通常発電運転時には、水素ガス貯留器44から水素供給弁46を通じて供給される水素ガスが、エゼクタ42を介し水素供給流路38を通じて燃料電池14の水素供給口30に供給される。
水素供給口30に供給された燃料ガスは、燃料電池14内部の各燃料電池セルを構成する燃料ガス流路24に沿ってアノード電極に供給されアノード電極に沿って移動後、水分を含む未使用の水素ガスを含む排ガスが水素排出口32から排出されて水素循環流路48に送られる。
水素循環流路48に排出された排ガスは、エゼクタ42の吸引作用下に、水素供給流路38の途上に戻された後、再度、燃料電池14内に燃料ガスとして供給される。この燃料ガスは、水分を含むガス、すなわち加湿ガスになっている。なお、通常発電運転時には、パージ弁54は閉弁されている。
一方、吸気口64から取り込まれた空気は、エアコンプレッサ20から圧縮空気として空気供給流路56を通じて空気供給口34に供給される。供給された空気、すなわち酸化剤ガスは、空気供給口34から各燃料電池セルを構成する酸化剤ガス流路22に沿ってカソード電極に供給され、カソード電極に沿って移動後、未使用の空気を含む排ガスが、空気排出口36から背圧制御弁66を介し空気排出流路68に排出される。
これにより、各燃料電池セルでは、アノード電極に供給される燃料ガスである水素と、カソード電極に供給される酸化剤ガス中の酸素とが反応して発電が行われる。発電電力は、モータ18の負荷要求に応じVCU72を通じてモータ18に供給される。また、余剰の発電電力は、VCU72を通じてバッテリ16に蓄電される。さらに、モータ18の回生電力は、VCU72を通じてバッテリ16に蓄電される。
ここで、発電状態が一定時間以上継続されると、カソード電極側で発生した生成水が電解質膜、アノード電極を透過して燃料ガス流路24側に伝達され、燃料ガス流路24内に貯留される。
燃料ガス流路24内に水が過多状態になると、水詰まりにより燃料ガス流路24の出口が閉塞し、閉塞すると発電が不安定になる。また、酸化剤ガス流路22から透過してきた窒素が燃料ガス流路24内に増加してくると発電が不安定になる。
そのため、燃料電池システム10では、上述したように、燃料ガス流路24の出口側に設けられた水素排出口32の下流側にパージ弁54を設けており、燃料電池システム10の発電中に、定期的にパージ弁54を開弁して、燃料ガス流路24の入口側(上流側)に設けられた水素供給口30と燃料ガス流路24の出口側(下流側)に設けられた水素排出口32との間での差圧を大きくして、燃料ガス流路24(燃料電池14)から水を排出するとともに窒素を排出することで、水詰まり等を解消し、燃料ガス流路24内での水素ガスの拡散性を向上させて発電を安定に維持するように構成している。
図2は、燃料電池システム10の燃料ガス循環系82の模式図である。各セルに燃料ガス流路24が形成されている。
パージ弁54を開弁することによって、燃料ガス循環系82から外部に水素ガスが排出されることから、この排出分を補うために、水素ガス供給装置50から水素ガスが供給される。このため、通常発電運転時より燃料ガス流路24内に多くの水素ガスが流れることになってストイキが上昇し、各燃料ガス流路24の供給排出口30、32間に差圧ΔPが発生し易くなる。
ここでストイキは、エゼクタ42の吸引効率を示す指標であり、水素ガス供給装置50から供給されるエゼクタ42内部のノズルから噴出する水素流量、すなわち水素消費流量をQaとし、エゼクタ42内部のデフューザから燃料電池14に供給される水素流量、すなわち水素供給全流量をQtとした場合、比Qt/Qaにより定義される。この場合、水素循環流路48に連通するエゼクタ42の復流室から前記デフューザに吸引される水素復流流量をQbとするQt=Qa+Qbとなるから、ストイキは(Qa+Qb)/Qaと定義される。この定義から、ストイキ値が大きいほど吸引効率が大きいということが分かる。
つまり、パージ弁54を開弁することで、燃料ガス流路24を流通するガス流量が増加することから、圧力損失が増加し、結果として排水性が向上する。なお、図2中、一点鎖線で囲った拡大図に示すように、燃料ガス流路24内の水にかかる力Fは、水素供給口30と水素排出口32との間の差圧をΔP、燃料ガス流路24の断面積をSとすると、F=ΔP×Sで表されることが分かる。すなわち、差圧ΔPが大きいほど水にかかる力Fが大きくなり、排水性が向上するようになる。
差圧ΔPが発生するメカニズムについて、さらに説明すれば、セル内で水素が消費されると、水素排出口32での圧力が低下する。すなわち、気体の状態方程式P=mRT/V(P:圧力、m:物質量、R:気体定数、T:絶対温度、V:体積)から物質量mが減少すれば圧力Pが減少するので差圧ΔPが発生する。
また、ガスの圧力損失(ガスと壁面との摩擦、絞り等)は、流量に比例することからガス流量が増加すると、圧力損失が増加し、差圧ΔPが発生する。
このようにパージ弁54を開弁することで差圧ΔPを発生させ、燃料ガス流路24内の水分を排出することができる。しかし、上述したように、パージ弁54を開弁すると水素ガスが廃棄されるため、燃費が低下する。また、パージ弁54を開弁した場合には、希釈ボックス60により水素ガスを希釈して廃棄するために希釈ボックス60内に供給する空気の流量を増加させるが、その際にエアコンプレッサ20の駆動音が大きくなり燃料電池車両12の商品性が低下する場合がある。したがって、パージ弁54の開弁による差圧ΔPの発生は、燃費の悪化、商品性の低下が懸念され限界がある。
また、図3に示すように、同一の発電電流I[A]に対する差圧ΔP[kPa]は、通常発電時の差圧ΔP=ΔPoよりパージ時における差圧ΔP=ΔPo+ΔPp(ΔPpは、差圧増分)の方が大きくなるが、低負荷領域では、水素ガスの流量が少ないために、発生する差圧ΔPが小さく排水性が悪化し易い。このため、低負荷領域では、定期的なパージ弁54の開弁により差圧ΔPを大きくしても、排水が不十分な場合があり、排水が不十分な場合には発電が不安定に陥る。
パージによる増分差圧ΔPpは、個々の燃料電池14により異なるが、例えば、ΔPp≒1[kPa]程度の値になる。
そこで、パージ弁54の開弁(パージ処理という。)によらないで差圧ΔPを発生させるこの発明の実施形態に係る特有の技術について、図4を参照して説明する。
燃料電池14の発電中において圧力センサ40により検出される200[kPa]程度のアノード圧力P1が水素供給口30でかかっている時点t0において水素供給弁46を閉弁すると、時点t0〜t1に示すように、発電による水素の消費によってアノード圧力Pが圧力P1から急激に低下する。そして、アノード圧力Pが所定圧力P2になった時点t1において、水素供給弁46を再び開弁するとアノード圧力Pは時点t1〜t2の間でもとのアノード圧力P1にもどる。
このとき、燃料ガス流路24の水素供給口30と水素排出口32との間で図4の時点t1〜t2に示すようにピーク値が1[kPa]程度のパルス状の差圧ΔPが発生する。この実施形態において、時点t1〜t2の間の差圧ΔPの発生期間は、1秒程度の時間になっている。
つまり、アノード圧力P(作動圧)を短時間に変動させると、パージよる増分差圧ΔPpと同程度の差圧ΔPを発生させることができることが分かる。上記の所定圧力P2は、差圧ΔPを発生させることができる圧力値であり、個々の燃料電池システム10毎に予め定めることができる。所定圧力P2は、圧力センサ40を通じて制御装置70によりリアルタイムに取り込むことができる。
次に、この図4を参照して説明した作動圧変動による差圧ΔPの発生技術を適用した図1例の燃料電池システム10の動作について、図5のフローチャート及び図6、図7のタイムチャートを参照しながら説明する。
アノード圧力Pが一定、例えば、図4に示すアノード圧力P1が水素供給口30にかかっていて発電電流Iが一定の通常発電中のステップS1において、制御装置70の発電状態判定部78は、定期的に(一定時間毎に)燃料電池14の発電状態が安定か不安定化を判定する。
発電状態判定部78による判定処理は、例えば、電圧センサ26により測定されるセル電圧Vsが閾値以上低下したときに発電状態が不安定と定める。より具体的には、平均セル電圧から最低セル電圧を減算した差電圧(電圧低下幅)が、予め確認しておいた所定の閾値を上回る値となったときに発電状態が不安定と定める。
発電状態判定部78が燃料電池14の発電状態が不安定であると判定したとき、貯留判定部76は、燃料ガス流路24に水が溜まっている(水詰まり等が発生している)と判定する。
水が溜まっていると判定したとき、貯留判定部76は、差圧発生部74に対して、ステップS2〜S4までの差圧ΔPの発生処理(作動圧変動処理Sα)を促す。
ステップS1において発電状態が不安定と判定されたとき、ステップS2において、差圧発生部74は、水素供給弁46を閉弁する(図6中、時点t10)。
次いで、ステップS3において、差圧発生部74は、圧力センサ40により検出されるアノード圧力Pがアノード圧力P1から所定圧力(ここでは、図4のアノード圧力P1からアノード圧力P2まで)下がったかどうかを確認する。
アノード圧力Pがアノード圧力P2まで低下したことを確認したとき(図6中、時点t11)、差圧発生部74は、ステップS4において、水素供給弁46を再び開弁する(図6中、時点t11)。
ステップS2〜S4までの一連の操作により、時点t11〜t12までの間で作動圧変動処理Sαがなされ所望の差圧ΔP(図4参照)が発生し、この差圧ΔPにより、図2を参照して説明したように、燃料ガス流路24内の水分が水素排出口32から水素循環流路48に排出される。
なお、燃料ガス流路24内から水素排出口32を通じて水素循環流路48に排出された水は、実際上、水素循環流路48に設けられた図示しないキャッチタンク(水捕捉容器)に貯留され、このキャッチタンクが満量近くなった場合にドレイン弁(不図示)が開弁され、キャッチタンクからドレイン弁及び希釈ボックス60を通じて外部に排出される。
燃料ガス流路24内の水分が排出されたかどうかを確認するために、ステップS5において、ステップS1と同一の処理により発電状態判定部78で発電状態を判定する。
ステップS5において、発電状態が安定であると判定したときステップS1の定期的発電状態判定処理にもどる。
その一方、作動圧変動処理Sαにより差圧ΔPを発生してもステップS5の発電状態判定結果が、燃料電池14の発電電流Iが少ない等の低負荷領域(図3参照)での動作中などにより水分を排出しきらず、不安定のままとなった場合には、さらに差圧ΔPを大きくするために、ステップS6〜S8において、差圧発生部74は、ステップS6の処理(上述したステップS2の水素供給弁46の開弁処理、ステップS3のアノード圧力(作動圧)Pが所定アノード圧力P2まで下がったかどうかを確認し、ステップS4のアノード圧力Pが所定アノード圧力P2まで下がったときの水素供給弁46の開弁処理からなる作動圧変動処理Sα)を行った直後に、ステップS7においてパージ弁54を開弁し、ステップS8においてパージ弁54を閉弁する。
図7のタイムチャートは、パージ弁54の開弁、閉弁タイミングを示している。パージ弁54は、図4に示した差圧ΔPが発生する期間(図7中、時点t11〜t12)中の時点ta〜tb間で短時間開く、そうすると図4に示した差圧ΔPがパージ処理の効果に加えて作動圧変動処理Sαによる効果によりさらに振幅が大きくされ増圧{ΔP(合成アノード圧力差圧)←ΔPo(もともと存在する通常発電時の差圧)+ΔPp(パージ処理による差圧)+ΔP(作動圧変動処理Sαによる差圧)}される。これにより、低負荷領域での動作中であっても燃料ガス流路24に溜まっている水分を確実に排出することができる。
以上説明したように、上述した実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料ガス流路24内の水素ガスと酸化剤ガス流路22内の酸化剤ガスを反応させて発電を行う燃料電池14と、水素ガスを燃料電池14に供給する水素ガス供給装置50と、水素ガス供給装置50を制御して、燃料電池14に供給される水素ガスの流量を制御し、燃料電池14の燃料ガス流路24の供給排出口30、32間で差圧ΔPを発生させる差圧発生部74と、を備える。
このように、水素ガス供給装置50を制御して、燃料電池14の燃料ガス流路24の供給排出口30、32間で水素ガスの差圧ΔP(パルス状の差圧)を発生させるようにしているので、燃料電池システム10にピストン機構等の付加的な装置を設けることなく、発生した差圧ΔPにより燃料ガス流路24内の水詰まり等、水が溜まった状態を解消し、燃料ガス流路24内での水素ガスの拡散性を向上させることができる。すなわち、作動圧変動による差圧ΔPの発生だけで効率的に発電不安定を解消することができる。
この場合、燃料電池14の燃料ガス流路24内に水が溜まっているかどうかを判定する貯留判定部76をさらに備え、差圧発生部74は、貯留判定部76が水が溜まっていると判定したとき、水素ガス供給装置50を制御して、燃料電池14の燃料ガス流路24の供給排出口30、32間で差圧ΔPを発生させる。
なお、貯留判定部76は、発電状態判定部78が、燃料電池14の発電状態が安定か不安定かを判定し、不安定であると判定した場合に、水が溜まっていると判定するようにしてもよい。
また、貯留判定部76は、イグニッションスイッチ80がオフ状態とされた燃料電池システム10のシステム停止時に、水が溜まっていると判定することで、システムの完全停止前に差圧発生部74を動作させ、発電運転時に溜まった滞留水を排出することができる。
さらに、貯留判定部76は、燃料電池システム10のシステム停止後、所定のソーク時間経過後の再起動時に水が溜まっていると判定することで、再起動時に差圧発生部74を動作させることでソークによって溜まった結露水を排出することができる。なお、所定のソーク時間は、外気温、燃料電池14の負荷状態等から予め定めることができる。例えば、外気温が低いときには、溜まっている水が氷結する可能性があるので、所定のソーク時間を短くする。
上述した実施形態では、燃料電池14の燃料ガス流路24の水素排出口32の下流側に水素ガスを放出するパージ弁54をさらに設けているので、差圧発生部74は、水素ガスの差圧ΔPを発生させる際、作動圧発生処理Sαと略同時にパージ弁54を短時間開弁してより大きな差圧ΔPを発生させることができる。このようにしてより高い差圧ΔPを得ることが可能となり、より広い運転領域(負荷領域)で発電安定性を確保することができる。
ここで、水素ガス供給装置50は、水素ガス貯留器44と、水素供給弁46とから構成され、従来技術のようなピストン機構を付加する必要がないので、コストを上昇させることなく、コンパクトな形状を保持しながら発電不安定を解消することができる。
燃料電池14の燃料ガス流路24の水素供給口30と水素ガス供給装置50との間に圧力センサ40を設けているので、差圧発生部74は、圧力センサ40により検出されたアノード圧力Pの変化に基づき、差圧ΔPの発生を終了させることができる。アノード圧力Pを直接測定することにより作動圧変動(圧力変動)を把握することができるので、より確実に発電安定性を得ることができる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…燃料電池システム 12…燃料電池車両
14…燃料電池 24…燃料ガス流路
30…水素供給口 32…水素排出口
40…圧力センサ 50…水素供給装置
70…制御装置 74…差圧発生部
76…貯留判定部 78…発電状態判定部
14…燃料電池 24…燃料ガス流路
30…水素供給口 32…水素排出口
40…圧力センサ 50…水素供給装置
70…制御装置 74…差圧発生部
76…貯留判定部 78…発電状態判定部
Claims (8)
- 水素ガスと酸化剤ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、
前記水素ガスを前記燃料電池に供給する水素ガス供給装置と、
前記水素ガス供給装置を制御して、前記燃料電池に供給される前記水素ガスの流量を制御し、前記燃料電池の前記水素ガスの供給排出口間で差圧を発生させる差圧発生部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池に水が溜まっているかどうかを判定する貯留判定部をさらに備え、
前記貯留判定部が水が溜まっていると判定したとき、前記差圧発生部が前記差圧を発生させる
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項2記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の発電状態が安定か不安定かを判定する発電状態判定部をさらに備え、
前記発電状態判定部が前記発電状態が不安定であると判定したとき、前記貯留判定部が前記燃料電池に水が溜まっていると判定する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項2又は3記載の燃料電池システムにおいて、
前記貯留判定部は、
前記燃料電池システムのシステム停止時に、水が溜まっていると判定する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記貯留判定部は、
前記燃料電池システムのシステム停止後、所定のソーク時間が経過した後の再起動時に水が溜まっていると判定する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の前記水素ガスの前記排出口の下流側に前記水素ガスを放出するパージ弁をさらに設け、
前記差圧発生部は、前記水素ガスの差圧を発生させる際、前記パージ弁も開弁してより大きな差圧を発生させる
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記水素ガス供給装置は、水素ガス貯留器と、水素ガス供給弁とからなり、
前記差圧発生部は、前記燃料電池に前記水素ガスが供給されているとき、前記水素ガス供給弁を所定時間閉弁した後開弁し、前記燃料電池の前記水素ガスの供給排出口間で差圧を発生させる
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の前記供給口と前記水素ガス供給装置との間に圧力センサをさらに設け、
前記差圧発生部は、前記圧力センサにより検出された圧力値の変化に基づき、前記差圧の発生を終了させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008206033A JP2010044869A (ja) | 2008-08-08 | 2008-08-08 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2008206033A Withdrawn JP2010044869A (ja) | 2008-08-08 | 2008-08-08 | 燃料電池システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010232167A (ja) * | 2009-03-03 | 2010-10-14 | Japan Aerospace Exploration Agency | 燃料電池システム |
JP2012178281A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Seiko Instruments Inc | 燃料電池 |
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JP2016095985A (ja) * | 2014-11-13 | 2016-05-26 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム及びその制御方法 |
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-
2008
- 2008-08-08 JP JP2008206033A patent/JP2010044869A/ja not_active Withdrawn
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