JP2010044746A - 商品取引システムおよびコンピュータ - Google Patents

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Abstract

【課題】仲介店舗に消耗品を補充する。
【解決手段】購入者と販売者と仲介店舗のためのコンピュータが通信回線によって相互に接続された塗料購入システムにおいて、商品の見本を印刷装置にて印刷させる見本印刷手段と、前記商品を識別する識別情報を前記見本に印刷する情報印刷手段と、前記見本の印刷によって消費した消耗品を特定する消耗品データを前記印刷管理者のコンピュータに送信する消耗品データ送信手段と、前記見本に印刷された前記識別情報を前記販売者のコンピュータに送信する購入手段と、送信された前記識別情報に基づいて、指定された前記商品と前記見本を印刷した前記仲介店舗を特定する特定手段と、前記商品の対価の請求を前記購入者に対して行う請求手段と、前記消耗品データを受信し、前記見本の印刷によって消費した消耗品の補充を行う消耗品補充手段と、補充した消耗品の対価を前記販売者に請求する精算手段とを具備する。
【選択図】図15

Description

本発明は、商品取引システムおよびコンピュータに関し、特に見本を利用して商品を購入する商品取引システムおよびコンピュータに関する。
顧客が必要なときに必要なだけ印刷を要求し、その印刷に対して課金を行うオンデマンド印刷システムが提案されている(特許文献1、参照。)。この場合、顧客は印刷サービスの対価も含んだ形で印刷物そのものの代金を支払えばよく、印刷業者においては、当該代金によって印刷に要した資材やサービスのコストを吸収し、利益をあげることが可能であった。
特開2006−146687号公報
しかしながら、取引において印刷物が使用されるものの印刷物そのものが取引対象とならないような場合も考えられる。例えば、商品カタログなどはそのものが取引対象となるわけではない。このような場合、購入者から直接商品カタログに対する代金が支払われることはない。従って、商品カタログを印刷した際に消費した消耗品コストを、印刷業者が回収することができないという問題があった。また、消耗品の補充が適切に行われないことにより、消耗品の在庫がなくなるという問題もあった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、見本印刷の消耗品を補充可能な商品取引システムおよびコンピュータを提供する。
本発明は、購入者と販売者と仲介店舗と印刷管理者のためのコンピュータが通信回線によって相互に接続された商品取引システムであって、前記仲介店舗のコンピュータは、商品の見本を印刷装置にて印刷させる見本印刷手段と、前記商品を識別する識別情報を前記見本に印刷する情報印刷手段と、前記見本の印刷によって消費した消耗品を特定する消耗品データを前記印刷管理者のコンピュータに送信する消耗品データ送信手段を具備し、前記購入者のコンピュータは、前記見本に印刷された前記識別情報を前記販売者のコンピュータに送信する購入手段と、前記販売者のコンピュータは、送信された前記識別情報に基づいて、指定された前記商品と前記見本を印刷した前記仲介店舗を特定する特定手段と、
特定した前記商品の対価の請求を前記購入者に対して行う請求手段と、前記印刷管理者のコンピュータは、前記消耗品データを受信し、前記見本の印刷によって消費した消耗品の補充を行う消耗品補充手段と、補充した消耗品の対価を前記販売者に請求する精算手段とを具備することを特徴とする商品取引システムに関する。
塗料購入システムの全体構成図である。 コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。 塗料購入システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。 塗料購入システムが実行する全体の処理のフローチャートである。 初期設定処理のフローチャートである。 見本シート印刷処理のフローチャートである。 塗料指定用のUI画像の一例を示す図である。 印刷データを示す図である。 インデックステーブルを示す図である。 各画素のデータ構造を示す図である。 購入処理のフローチャートである。 購入用のUI画像の一例を示す図である。 納品精算処理のフローチャートである。 仲介店舗データベースSDBの一例を示す図である。 消耗品補充処理のフローチャートである。 インデックステーブル作成処理のためのソフトウェア構成を示す図である。 インデックステーブル作成処理のフローチャートである。 キャリブレーション処理のためのソフトウェア構成を示す図である。 キャリブレーション処理のフローチャートである。 カラーチャートの一例を示す図である。 分光反射率の偏差を説明するグラフである。 ヤコビ行列Jを算出する様子を示す模式図である。 プリンタの印刷方式を示す模式図である。 分光反射率データベースを示す図である。 分光ノイゲバウアモデルを示す図である。 セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルを示す図である。 変形例にかかる指定モジュールの構成を示す図である。 変形例にかかる指定処理のフローチャートである。 変形例にかかる重み関数を示す模式図である。 変形例にかかる指定処理のフローチャートである。 変形例にかかる領域指定画像の一例を示す図である。 変形例にかかるアプリケーションのソフトウェア構成を示す図である。 変形例にかかる絞り込み処理のフローチャートである。 変形例にかかる条件指定画像の一例を示す図である。 変形例にかかるインデックステーブルの一例を示す図である。 変形例にかかるパッチの別の表示例を示す図である。 変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示す図である。 変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示す図である。 変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示す図である。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
A.全体構成:
B.見本シート印刷処理:
C.購入処理:
D.納品精算処理:
E.消耗品補充処理:
F.インク量セットについて:
F1.インデックステーブル作成処理:
F2.キャリブレーション処理:
G.分光プリンティングモデル:
H.変形例:
H1.変形例1:
H2.変形例2:
H3.変形例3:
H4.変形例4:
H5.変形例5:
H6.変形例6:
H7.変形例7:
I.まとめ
A.全体構成
図1は、本発明の塗料取引システムおよび売上計上システムを構成するコンピュータおよびネットワークを模式的に示している。同図において、本発明は少なくとも塗料販売者のコンピュータ10と仲介店舗のコンピュータ20と塗料購入者のコンピュータ30とプリンタメーカーのコンピュータ40とから構成されており、これらが相互にインターネットINTを介して通信可能に接続されている。なお、プリンタメーカーが本発明の印刷管理者に相当する。本実施形態では各コンピュータ10,20,30,40がインターネットINTを介して接続されているが、通信回線の全部または一部に例えば有線/無線電話回線等の他の通信媒体(通信プロトコル)が介在していてもよい。また、塗料販売者のコンピュータ10はインターネットINTまたは図示しないLANを介して倉庫端末10Aと接続され、同様にプリンタメーカーのコンピュータ40もインターネットINTまたは図示しないLANを介して倉庫端末40Aと接続されている。
図2は、コンピュータ10,20,30,40のハードウェア構成の一例を示している。本実施形態のコンピュータ10,20,30,40は、ほぼ同様のハードウェア構成を有している。コンピュータ10,20,30,40は、CPU11,21,31,41とRAM12,22,32,42とROM13,23,33,43とハードディスクドライブ(HDD)14,24,34,44と通信インターフェイス(I/F)15,25,35,45とビデオインターフェイス(I/F)16,26,36,46と入力機器インターフェイス(I/F)17,27,37,47と汎用インターフェイス(I/F)28,48とバス19,29,39,49とから構成されている。CPU11,21,31,41は、ROM13,23,33,43とHDD14,24,34,44に記憶されたプログラムデータをRAM12,22,32,42に展開し、後述する処理や機能を実行させるための演算を行う。通信I/F15,25,35,45は、コンピュータ10,20,30,40をインターネットINTに接続するための仲介をなす。ビデオI/F16,26,36,46は、外部のディスプレイ16a,26a,36a,46aに映像を出力するための処理を実行する。入力機器I/F17,27,37,47は、外部のキーボード17a,27a,37a,47aやマウス17b,27b,37b,47bに対する操作を受け付け、当該操作に基づく信号をCPU11,21,31,41に伝達する。
仲介店舗のプリンタメーカーのコンピュータ20,40の汎用I/F28,48は、外部のプリンタ(印刷装置)28a,48aとコンピュータ20とを接続するためのインターフェイスを提供する。プリンタメーカーのコンピュータ40の汎用I/F48は、分光反射率計48bを制御するためのインターフェイスを提供する。なお、本実施形態において、プリンタメーカーのコンピュータ40に接続されたプリンタ48aと、仲介店舗のコンピュータ20に接続されたプリンタ28aは、同一の機種であり、プリンタ48aが標準機であるものとする。以上の構成要素11〜17,21〜28,31〜37,41〜48はバス19,29,39,49によって通信可能に接続されており、相互に通信を行うことにより構成要素11〜17,21〜28,31〜37,41〜48が連携した処理を行うことが可能となっている。なお、コンピュータ10,30においては、プリンタが接続されなくてもよい。仲介店舗は、おもに塗料販売の取り次ぎを行う仲介店舗であり、当該仲介店舗にコンピュータ20が設置されている。なお、仲介店舗のコンピュータ20と塗料購入者のコンピュータ30はそれぞれ単一のものを図示しているが、塗料販売者と仲介店舗と塗料購入者は多数存在し、それらに対応してコンピュータ20,30が多数備えられている。プリンタメーカーのコンピュータ40は、各仲介店舗のコンピュータ20に接続された各プリンタ28aを管理するための機能を提供する。
図3は、コンピュータ10,20,30,40にて実行されるソフトウェア構成と主要なデータを示している。まず、仲介店舗のコンピュータ20においては初期設定モジュールM0と指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3と消耗品データ送信モジュールM4とが実行されている。塗料購入者のコンピュータ30では購入モジュールM5が実行されている。塗料販売者のコンピュータ10においては、特定モジュールM6と納品モジュールM7と請求モジュールM8と支払モジュールM9とが実行されている。プリンタメーカーのコンピュータ40においては、消耗品補充モジュールM10と精算モジュールM11と使用管理モジュールM12とが実行されている。初期設定モジュールM0は、見本シート印刷処理を実行するための初期設定を実行し、具体的には見本シートSSを使用して取引を行う塗料販売者を指定するための処理を実行する。指定モジュールM1は、コンピュータ20が設置された仲介店舗に来店した塗料購入者による塗料の指定を受け付ける。仲介店舗においては、例えば塗料のサンプル(各塗料を塗布した木片やプラスチック片や石片など)が設置されており、塗料購入者が気に入った色や質感のサンプルの塗料を指定する。各サンプルには対応する各塗料固有の塗料番号(本発明の識別情報)が付されており、当該塗料番号をコンピュータ20に入力することにより、塗料の指定が受け付けられる。
見本印刷モジュールM2は、指定された塗料の塗料番号を取得し、当該塗料番号に対応付けられたインク量セットによって当該塗料の見本を印刷する。本実施形態のプリンタ28aは色材としてのC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)lc(ライトシアン)lm(ライトマゼンタ)インクを任意量の組み合わせで吐出可能なインクジェットプリンタであり、CMYKlclmインク量の組み合わせ(インク量セットφ)を指定することにより、プリンタ28aがインク量セットに応じた各インクのドット記録率を記録媒体上(本実施形態では光沢紙)において実現する。これにより、光沢紙上に任意の塗料に近似した色(分光反射率)を再現することができる。プリンタメーカーのコンピュータ40のHDD44には、本発明のデータベースとしてのインデックステーブルIDTが記憶されており、当該インデックステーブルIDTにおいては塗料番号とインク量セットとの対応関係が規定されている。
インデックステーブルIDTに規定されたインク量セットは、主にプリンタ28aの個体に依存するインク吐出特性のばらつきを解消し、理想的な標準機の出力特性に一致させるための微調整(後述するキャリブレーション処理)が考慮されている。情報印刷モジュールM3は、上述した塗料の見本に添えて塗料販売者と塗料番号と仲介店舗固有の仲介店舗番号(本発明の識別情報)を文字として印刷するための処理を実行する。消耗品データ送信モジュールM4は、見本を印刷することにより消費した消耗品としての光沢紙とCMYKlclm各インクの量を取得し、消費した消耗品の種類および量を特定する消耗品データをインターネットINTを介してプリンタメーカーのコンピュータ40に送信する。
塗料購入者のコンピュータ30において実行される購入モジュールM5は、所定のUI表示を行うことにより、塗料購入者が購入したい塗料を販売する塗料販売者と塗料番号と仲介店舗番号等の入力を受け付ける。塗料販売者のコンピュータ10において実行される特定モジュールM6は、購入モジュールM5によって送信された塗料番号と仲介店舗番号を取得し、塗料番号に基づいて購入対象の塗料を特定する。これにより、納品モジュールM7が、塗料購入者に納品する塗料を特定し、納品のための処理を実行することができる。請求モジュールM8は、特定モジュールM6によって購入内容が特定できると、当該購入内容に見合った代金を計算し、当該代金を塗料購入者に請求する処理を実行する。支払モジュールM9は、購入内容とともに仲介店舗番号を取得し、仲介店舗番号に基づいて購入された塗料の見本を印刷した仲介店舗を特定する。そして、特定した仲介店舗に対して見本を印刷したことについての代金を支払う処理を実行する。プリンタメーカーのコンピュータ40が実行する消耗品補充モジュールM10は、耗品データ送信モジュールM4から送信された消耗品データを受信し、当該消耗品データに基づいて仲介店舗に消耗品を補充する処理を実行する。使用管理モジュールM12は、仲介店舗のコンピュータ20における指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3と消耗品データ送信モジュールM4の実行を監視し、これらを実質的に機能させるためのライセンスデータLDを発行する。精算モジュールM11は、補充した消耗品の対価およびライセンスデータLDの対価を塗料販売者に請求する処理を実行する。
B.見本シート印刷処理
図4は、本発明の商品取引システムが実行する塗料取引処理の概略的な流れを示している。本実施形態においては、まず仲介店舗のコンピュータ20において見本シート印刷処理(ステップS100)を実行し、次に塗料購入者のコンピュータ30において購入処理(ステップS200)を実行し、さらに塗料販売者のコンピュータ10において納品精算処理(ステップS300)を実行する。ここでは、まず見本シート印刷処理(ステップS100)について説明する。以上の各処理を実行する前提として、初期設定処理(ステップS10)が予め実行されている。この初期設定処理とは、仲介店舗のコンピュータ20において見本シート印刷処理を実行するために必要な設定を、塗料販売者とコンピュータ10と仲介店舗のコンピュータ20とプリンタメーカーのコンピュータ40との間で行う処理である。ま
図5は、初期設定処理の流れを示している。ステップS11においては、見本シート印刷処理の実行に必要な初期設定モジュールM0と指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3と消耗品データ送信モジュールM4のインストールデータを、プリンタメーカーのコンピュータ40が実行する使用管理モジュールM12からインターネットINTを介して仲介店舗のコンピュータ20に送信する。ステップS12においては、仲介店舗のコンピュータ20に前記インストールデータがインストールされる。なお、すでに初期設定モジュールM0と指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3と消耗品データ送信モジュールM4がインストールされている場合には、ステップS11〜S12はスキップされる。
インストールが完了すると、ステップS13にて初期設定モジュールM0が起動し、初期設定用のUI画像をディスプレイ28aに表示させる。このUI画像においては、少なくとも当該仲介店舗についての情報(当該仲介店舗固有の仲介店舗番号や当該仲介店舗の名称や、塗料販売者から当該仲介店舗への支払い方法等)を入力するための表示と、取引対象とする塗料販売者を指定するための表示が設けられる。例えば、塗料販売者が複数存在しており、そのなかから取引相手として所望する塗料販売者を選択する。ステップS14においては、指定された塗料販売者と仲介店舗の情報をコンピュータ40の使用管理モジュールM12が受信する。そして、ステップS15において、使用管理モジュールM12が指定された塗料販売者のコンピュータ10に対し、仲介店舗の情報とともにライセンス料の支払い要求を送信する。このライセンス料とは、見本シート印刷処理の実行に必要な各モジュールM1〜M4を一定期間(例えば、1年。)使用するために許諾料を意味する。ステップS16においては、塗料販売者のコンピュータ10が仲介店舗固有の仲介店舗番号や名称や、塗料販売者から仲介店舗への支払い方法等の仲介店舗に関する情報を受信し、塗料販売者のコンピュータ10のHDD14に記憶された仲介店舗データベースSDBに登録する。
また、ステップS15において仲介店舗の情報とともにライセンス料の支払い要求を受信した塗料販売者のコンピュータ10においては、どの仲介店舗が取引を開始しようとしているかを把握することができ、当該仲介店舗のためにライセンス料の支払いを行うか否かを判断することができる。ステップS17においては、ライセンス料の支払いが完了したか否かをコンピュータ20の使用管理モジュールM12が判断し、完了している場合には仲介店舗のコンピュータ20に対してライセンスデータLDを送信する。ステップS19では、コンピュータ20のHDD24にライセンスデータLDが記憶される。なお、ライセンス料の支払いが完了したか否かは、例えば図示しない電子マネー決済サーバやクレジットカード決済サーバに接続し、ステップS15において送信した支払い要求に対応する決済が完了したか否かによって判断することができる。例えば、ステップS15の支払い要求において固有の請求書番号を指定し、当該請求書番号を特定した決済があったか否かによって判断することができる。ライセンスデータLDは、改竄できないように暗号化等されていることが望ましい。
図6は、見本シート印刷処理の流れを示している。見本シート印刷処理は、すでに上述した初期設定処理が完了した仲介店舗のコンピュータ20において実行され、具体的には指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3と消耗品データ送信モジュールM4によって実行される。ステップS110においては、指定モジュールM1がディスプレイ26aに対して所定のUI画像を表示させ、仲介店舗に来店した塗料購入者から塗料番号の指定を受け付ける。
図7は、UI画像の一例を示している。同図に示すように、UI画像においては、塗料販売者を選択するプルダウンメニューが設けられており、塗料を購入したい塗料販売者を選択することが可能となっている。仲介店舗は、複数の塗料販売者を対象に上述した初期設定処理を行っている場合もあり、その場合は複数の塗料販売者から所望の塗料を販売するものを選択することができる。さらに、当該UI画像においてはテキストボックスが設けられており、当該テキストボックスにキーボード27aを使用して塗料番号を入力することが可能となっている。上述したように、仲介店舗には塗料のサンプルが設置されており、各サンプルに記された塗料番号を塗料購入者が認識することが可能となっている。また、仲介店舗は複数の塗料販売者の塗料を取り扱っており、各塗料販売者ごとにサンプルが設置されており、塗料購入者はどの塗料販売者のどの塗料番号を購入したいかを決定することができる。
塗料購入者は、このようなサンプルのなかから気に入ったものを選択し、UI画像において塗料販売者を選択しつつ、当該サンプルに記された塗料番号をテキストボックスに入力する。さらに、UI画像においては、印刷用紙サイズと、レイアウトと、プリンタ28aの機体を指定するプルダウンメニューが設けられており、これらを指定することが可能となっている。例えば、A3の用紙に2種類の塗料について見本をレイアウトするように指定することができる。なお、本実施形態では、A4の用紙に1つの見本をレイアウトするように指定されたものとして説明する。UI画像においては印刷ボタンが設けられており、当該印刷ボタンのクリックを指定モジュールM1が受け付ける。印刷ボタンのクリックが受け付けられると、ステップS120において見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3が見本シートSSを印刷するための印刷データPDのレンダリングを開始する。
図8は印刷データPD(見本シートSS)を模式的に示している。印刷データPDは見本シートSSに対応した画像を示す画像データであり、ドットマトリクス状に配列した多数の画素によって構成されており、各画素が4バイト(8ビット×4)の情報を有している。印刷データPDの中央には、指定された塗料番号の塗料の見本を印刷するための見本領域SAが矩形状に設けられており、その下方に指定された塗料販売者と塗料番号と仲介店舗番号を示す文字列が生成されている。ステップS122では、まず情報印刷モジュールM3が見本領域SAの外側の枠状の領域についての画像データを印刷用紙サイズとレイアウトの指定に基づいて生成する。見本領域SAの外側の枠状の領域を構成する画素は、4バイトのうち3バイトを使用してRGB値を格納している。具体的には、8ビットのR値を格納するのに1バイトを使用し、8ビットのG値を格納するのに1バイトを使用し、8ビットのB値を格納するのに1バイトを使用し、残りの1バイトは使用しない状態とする。
例えば、見本領域SAの外側の枠状の領域を白で表す場合には、当該枠状の領域の各画素が(R,G,B)=(255,255,255)の情報を有するように印刷データPDが生成される。上述した塗料番号と仲介店舗番号を示す文字列を黒で表示する場合には、当該文字列に対応する画素が(R,G,B)=(0,0,0)の情報を有するように印刷データPDが生成される。次のステップS124においては、見本印刷モジュールM2が見本領域SAに属する画素を生成する処理を実行する。ステップS123においては、見本印刷モジュールM2がプリンタメーカーのコンピュータ40のHDD44に記憶されたインデックステーブルIDTにアクセスする。コンピュータ40のHDD44には多数のインデックステーブルIDTが記憶されており、そのなかから上述したUI画像によって指定された塗料販売者およびプリンタ28aの機体に対応するものにアクセスを試みる。
コンピュータ40のHDD44に記憶されたインデックステーブルIDTは、コンピュータ40にて実行されている使用管理モジュールM12によってアクセス制限がされており、有効なライセンスデータLDをともなったアクセス要求がなされない限り、アクセスが許可されない。ライセンスデータLDは、上述した初期設定処理によって発行されるものであり、指定された塗料販売者がライセンス料をプリンタメーカーに支払っていない限り、当該塗料販売者について発行されない。ここで、アクセスが許可されない場合にはエラー終了する。すなわち、指定された塗料販売者と当該仲介店舗との間で有効な初期設定(ライセンス料の支払)がなされていないとして、処理を終了させる。すなわち、有効なライセンスデータLDが提供されていない場合には、見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3が実質的に機能しないこととなる。一方、アクセスが許可された場合には、ステップS124において、見本印刷モジュールM2が見本領域SAに属する画素を生成する処理を実行する。
図9は、インデックステーブルIDTの一例を示している。このようにインデックステーブルIDTにおいては、塗料販売者(名前もしくは一意の番号)とプリンタ28aの機体番号と塗料番号とインデックスとCMYKlclmインク量の組み合わせを意味するインク量セットの対応関係が規定されている。また、各塗料番号には後述するターゲット分光反射率Rt(λ)が対応付けられている。なお、塗料番号とインデックスは双方とも固有のものである。本実施形態では、塗料番号とインデックスは個別のものとしたが、塗料番号としてインデックスを使用することも可能である。インデックステーブルIDTに規定されたインク量セットは当該塗料番号が対応付けられた塗料と同様の分光反射率特性を再現するものであるが、その詳細についてはインデックステーブル作成処理とキャリブレーション処理において説明する。ステップS124においては、まずインデックステーブルIDTを参照して、指定された塗料番号に対応するインデックスを取得する。そして、当該インデックスを見本領域SAに属する各画素に格納する。各画素においてインデックスを格納する領域は、見本領域SA外の画素においてRGB値を格納した3バイトを使用し、残りの1バイトにおいてインデックスを格納している旨を表すフラグを格納する。本実施形態においては、単一の塗料番号が指定されており、見本領域SAは単一の塗料番号に対応するインデックスを格納した一様な画素によって充填されることとなる。
図10は、各画素が有するデータ構造を模式的に示している。同図に示すように、見本領域SA外の画素においては3バイトを使用してRGB値を格納するのに対して、見本領域SA内の画素においては3バイトを使用してインデックスを格納しつつ残りの1バイトを使用してフラグを格納している。以上のようにして印刷データPDのレンダリングが完了すると、ステップS130において見本印刷モジュールM2が印刷データPDに対する色変換処理を実行する。まずステップS132において、印刷データPDの画素を取得し、当該画素に上述したフラグが添付されているか否かを判定する。そして、フラグが添付されていない場合には、HDD24に記憶された色変換テーブルLUTを参照して、当該画素に格納されたRGB値に対応するCMYKlclmのインク量セットに変換する(ステップS134)。具体的には、色変換テーブルLUTに定義された格子点の情報を利用して補間演算を行うことにより、RGB値に対応するインク量セットを取得する。なお、色変換テーブルLUTは、プリンタ28aにて通常の印刷物を印刷する際に参照されるルックアップテーブルであり。例えば2007−336198号公報の手法によって作成されている。当該手法によれば、再現色の階調性や、粒状性や、再現色の光源非依存性や、ガマットや、インクデューティが総合的に良好となる色変換テーブルLUTを作成することができる。
一方、フラグが添付されている場合には、インデックステーブルIDTを参照し、当該画素に格納されたインデックスに対応するインク量セットに変換する(ステップS136)。ステップS138においては、すべての画素について色変換が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはステップS132に戻り、次の画素を色変換する。以上の処理を繰り返して実行することにより、最終的にすべての画素がCMYKlclmのインク量セットを有する印刷データPDに色変換されることとなる。ステップS140においては、見本印刷モジュールM2が色変換された印刷データPDに対してハーフトーン処理を実行する。
ステップS130の色変換によって印刷データPDの全画素がインク量セットの画像データに変換されているため、ここでは一様にハーフトーン処理を行うことができる。例えばディザ法や誤差拡散法により、多階調のインク量セットを低階調化(単一サイズドットまたは複数サイズドットの吐出可否の階調)させる。さらに、ステップS150においては、ハーフトーン処理された印刷データPDをプリンタ28aが備える印刷ヘッドの各パスや各ノズルに割り振るラスタライズ処理を実行する。これにより、プリンタ28aが使用可能な印刷データPDが作成でき、ステップS160においてプリンタ28aが当該印刷データPDに基づいて印刷を実行させる。これにより予めプリンタ28aにセットされた光沢紙に見本シートSSを印刷することができる。
見本シートSSの見本領域SAは、インデックステーブルIDTにおいて指定された塗料番号に対応付けられたインク量セットに基づいてドットを形成することにより印刷され、塗料番号に対応する塗料と同様の分光反射率特性が実現できる。従って、塗料購入者は見本領域SAを見ることによって、実際に塗料を塗布した状態を確認することができる。見本シートSSの大きさは、プリンタ28aが印刷可能な印刷用紙のサイズとすることができ、上述したサンプルよりも大きい面積の見本領域SAによって塗料の状態を確認することができる。また、見本領域SAの下方には見本シートSSを印刷した仲介店舗固有の仲介店舗番号と、見本領域SAが形成された塗料固有の塗料番号が印刷されているため、塗料購入者はこれらの識別情報を読み取ることができる。
以上のようにして、見本シートSSが印刷できると、ステップS170において消耗品データ送信モジュールM4が見本シートSSの印刷につき消費した消耗品の量を特定する。プリンタ28aにおける消耗品の量は、プリンタ28aに出力した印刷データPDに基づいて特定できる。見本シートSSが印刷される光沢紙は、印刷データPDの一度の出力につき一枚消耗するため、指定された印刷用紙サイズ(A4)の光沢紙が一枚消耗したと特定することができる。見本シートSSの印刷につき消耗するCMYKlclmインクの量はハーフトーン処理後の印刷データPDが示す各インクの吐出回数を統計することにより得ることができる。1ショットの単位吐出インク量はプリンタ28aの印刷ヘッドの仕様によって特定可能であるため、吐出回数に単位吐出インク量を乗算することによりインク消耗量を特定することができる。
また、インクを貯留するインクタンクにおけるインク貯留量を検出するセンサを備えさせ、当該センサの計測値に基づいて消耗インク量を特定するようにしてもよい。以上のようにして特定した消耗品データを消耗品データ送信モジュールM4がプリンタメーカーのコンピュータ40に送信する(ステップS180)。この消耗品データには、上述した仲介店舗番号が格納されている。なお、本実施形態においては消耗品データ送信モジュールM4がコンピュータ20上で実行されるものを例示したが、プリンタ28aが当該機能を実行してもよい。すなわち、プリンタメーカーがプリンタ28aの製造時に消耗品データ送信モジュールM4に対応する機能をプリンタ28aに組み込んでおくようにしてもよい。
C.購入処理
上述した見本シート印刷処理によって印刷された見本シートSSを塗料購入者が自宅に持ち帰り、塗料を塗布したい場所に貼ったり置いたりして、塗料を塗布した場合の出来映えを確認することができる。このとき、実際に塗料を塗布したい場所に照射される光源下での見本領域SAの色を確認することができる。多くの場合、塗料購入者は複数の種類の塗料を購入候補としており、複数の塗料についての見本シートSSが印刷されることとなる。塗料購入者は、そのなかから気に入った見本シートSSを選び、当該見本シートSSに見本が印刷された塗料を購入するための購入処理をコンピュータ30にて実行させる。
図11は、購入処理の流れを示している。購入処理は購入モジュールM5によって実行される。購入モジュールM5は、プリンタメーカーのコンピュータ40からダウンロードしたインストールデータをコンピュータ30にインストールすることにより、実行可能な状態とされている。なお、購入モジュールM5は必ずしもコンピュータ30にインストールされている必要はなく、例えばプリンタメーカーのコンピュータ40や塗料販売者のコンピュータ10が購入モジュールM5の処理を実行し、コンピュータ30上で実行される汎用的なブラウザ等が塗料購入者とのインターフェイスを提供するようにしてもよい。ステップS210においては、購入モジュールM5がディスプレイ36aに購入用のUI画像を表示させ、塗料購入者の操作を受け付ける。
図12は、購入用のUI画像の一例を示している。このUI画像において、塗料販売者(名前もしくは一意の番号)と塗料購入者の個人情報(購入者コード、氏名、住所、納品住所)を入力するテキストボックスと、購入する塗料の塗料販売者を入力するテキストボックスと、塗料番号を入力するテキストボックスと、仲介店舗番号を入力するテキストボックスと、購入する塗料の数量を入力するテキストボックスと、請求方法等を入力するテキストボックスと、決定ボタンとが設けられている。ステップS220においては決定ボタンのクリックを検出し、決定ボタンがクリックされた時点で各テキストボックスに入力されたテキスト情報を取得する。そして、購入モジュールM5は、当該テキスト情報を含んだ購入データ(例えば、テキストデータやXMLデータ等。)を指定された塗料販売者のコンピュータ10に送信する(ステップS230)。むろん、送信の際に当該データの暗号化を行ってもよい。
D.納品精算処理
図13は、納品精算処理の流れを示している。納品精算処理は塗料販売者のコンピュータ10において実行され、具体的には特定モジュールM6と納品モジュールM7と請求モジュールM8と支払モジュールM9によって実行される。これらの各モジュールM6〜M9は、予めコンピュータ10にインストールされている。ステップS310においては、購入モジュールM5が送信した購入データを特定モジュールM6が受信する。特定モジュールM6は、購入データを常時受信可能な状態で待機し、受信された段階で納品精算処理を開始させる。ステップS320においては、特定モジュールM6が購入データから塗料番号と仲介店舗番号と購入数量と塗料購入者の個人情報と請求方法を特定する。
ステップS330において、ステップS320にて特定した情報に基づいて納品モジュールM7が納品処理を実行する。塗料販売者のコンピュータ10は、例えばLANやインターネットINTによって、塗料の倉庫に設置された倉庫端末10Aと接続されており、当該倉庫端末10Aに対して納品モジュールM7が納品する塗料とその数量と納品先住所を通知する。これにより、塗料購入者が所望する塗料が所望する数量だけ納品することが可能となる。むろん、電子的な手法によらず、コンピュータ10において納品用の伝票を作成し、倉庫に当該伝票を送付するようにしてもよい。
ステップS340においては、ステップS320にて特定した塗料番号と数量に基づいて、納品する塗料の代金を請求モジュールM8が算出する。具体的には、塗料販売者のコンピュータ10のHDD14には塗料番号と各塗料の単価を格納したデータベースが記憶されており、当該データベースを参照して納品する塗料の単価を取得し、当該単価に納品数量を乗算すればよい。さらに、配送料や税金等を加算することにより、塗料の購入によって生じる代金を計算することができる。次に、当該代金をステップS320にて特定した請求方法に従って課金する処理を実行する。例えば、インターネットINTを介して接続された図示しない電子マネー決済サーバやクレジットカード決済サーバに接続し、塗料の代金の請求データを送信する。以上の処理によって、塗料購入者に対しては、指定された数量の塗料を納品することができ、その代金も請求することができる。
次のステップS350においては、ステップS320にて特定した仲介店舗番号を取得し、当該仲介店舗番号に対応付けられた仲介店舗に対して所定の金額を支払う(計上する)支払処理を実行する。この支払処理においては、まず仲介店舗に支払う金額を算出する。ここで支払う金額は、塗料購入者が塗料を購入するのに利用された見本シートSSを印刷したことに対する対価に相当し、塗料販売者から見れば塗料の売上に貢献した謝礼金であるともとられることができる。さらに、仲介店舗を塗料の小売店であると捉えれば、仲介店舗の売り上げであるとも考えることができる。この金額の計算方法としては、種々の方法が採用しうるが、例えばステップS340にて塗料購入者に請求した代金に一定割合を乗じることにより算出してもよいし、当該代金から塗料の原価等を差し引いた額に一定割合を乗じることにより算出してもよい。このように、ステップS340にて塗料購入者に請求した代金に応じた金額とすることにより、塗料の売上に応じた金額を仲介店舗に支払うことができる。以上のようにして仲介店舗に支払う金額を算出すると、ステップS320にて特定した仲介店舗番号に対応付けられた仲介店舗に対して当該金額を支払う処理を行う。ここでは、当該仲介店舗について登録された支払い方法を仲介店舗データベースSDBから取得する。
図14は、仲介店舗データベースSDBの一例を示している。上述したとおり仲介店舗データベースSDBの各登録事項は、仲介店舗のコンピュータ20に見本シートSSを印刷するための各モジュールM1〜M4をインストールする際の初期設定処理において登録されるものである。仲介店舗データベースSDBにおいては、仲介店舗番号や仲介店舗の名称や仲介店舗に対する支払い方法等の対応関係が各仲介店舗について格納されている。そのため、ステップS320にて特定した仲介店舗番号に基づいて、仲介店舗の名称と支払い方法を特定することができ、納品した塗料の見本シートSSを印刷した仲介店舗に対する支払いを行うことができる。上述した塗料購入者に対する請求と同様に、インターネットINTを介して接続された図示しない電子マネー決済サーバやクレジットカード決済サーバに接続し、仲介店舗に対する支払いを行う要求を送信する。これにより、購入した塗料についての見本シートSSを印刷した仲介店舗に対して、当該見本シートSSを印刷したことについての対価を支払うことができる。
E.消耗品補充処理
図15は、消耗品補充処理の流れを示している。消耗品補充処理は、プリンタメーカーのコンピュータ40における消耗品補充モジュールM10によって実行される。上述した見本シート印刷処理においては見本シートSSを印刷するごとに、当該印刷につき消費した消耗品データをプリンタメーカーのコンピュータ40に送信している(ステップS180)。消耗品補充モジュールM10は、購入データを常時受信可能な状態で待機し、受信された段階で消耗品補充処理を開始させる。ステップS410においては、消耗品補充モジュールM10が消耗品データを受信する。ステップS420において、消耗品補充モジュールM10は消耗品データから仲介店舗番号とインク消耗量と光沢紙のサイズを特定する。本実施形態では、1枚の見本シートSSが印刷されるごとに消耗品データが送信されるため、光沢紙の消耗枚数(印刷用紙消耗量)は常に1枚である。ステップS430において、消耗品補充モジュールM10は、特定した仲介店舗について上述した仲介店舗データベースSDBに登録されたインク消耗量と印刷用紙消耗量を取得する。そして、消耗品データから得られたインク消耗量と印刷用紙消耗量を、仲介店舗データベースSDBに登録されたインク消耗量と印刷用紙消耗量に加算する。すなわち、消耗品データが受信されると、仲介店舗ごとにインク消耗量と印刷用紙消耗量を累積する。
ステップS440においては、累積されたインク消耗量と印刷用紙消耗量が所定の補充単位を超えていないかどうかを判定する。本実施形態では、消耗品データが受信されるごとに消耗品を補充するのではなく、インクと印刷用紙の消耗量の累積が一定の補充単位に達したときにインクと印刷用紙を補充するようにしている。例えば、インク消耗量の累積がインクカートリッジ5個(500%)に相当する量に達したとき、インクカートリッジ5個を補充するようにする。また、印刷用紙(光沢紙)の消耗量の累積が500枚に達したとき、印刷用紙を500枚補充するようにする。累積されたインク消耗量と印刷用紙消耗量が所定の補充単位を超えていると判定された場合には、当該補充単位に相当する量の消耗品を補充する(ステップS450)。プリンタメーカーのコンピュータ40は、例えばLANやインターネットINTによって、倉庫端末40Aと接続されており、当該倉庫端末40Aに対して消耗品補充モジュールM10が補充する消耗品とその数量と補充する仲介店舗の住所を通知する。
これにより、見本シートSSの印刷につき消費した消耗品を補充単位ずつ補充することができる。ステップS460においては、補充した消耗品について、仲介店舗データベースSDBに登録されたインク消耗量と印刷用紙消耗量を0にリセットする。このようにすることにより、仲介店舗において印刷用紙やインクなどの消耗品が不足することが防止できるとともに、仲介店舗に消耗品の負担がかかることが防止できる。また、実際に使用した量に基づいて補充することができるため、適量かつ適切な頻度で補充を行うことができる。また、補充単位を変えることによって補充頻度を調整することもできる。なお、本実施形態では、消耗品が所定の補充単位だけ発生した時点で、消耗品を補充するようにしたが、上述した支払処理において消耗品の実費を上乗せした金額を塗料販売者が仲介店舗に支払うようにしてもよい。
F.インク量セットについて
以上説明した見本シート印刷処理においては、予め作成されたインデックステーブルIDTに規定されたインク量セットに基づいて見本領域SAを印刷した。ここではインデックステーブルIDTを作成するためのインデックステーブル作成処理、および、一旦作成されたインデックステーブルIDTを補正するキャリブレーション処理について順次説明する。インデックステーブルIDTは、プリンタメーカーのコンピュータ40のHDD44に用意されるものであり、プリンタメーカーのコンピュータ40によって作成される。
F1.インデックステーブル作成処理
図16は、インデックステーブル作成処理を実行するプリンタメーカーのコンピュータ40のソフトウェア構成を示している。コンピュータ40は、インデックステーブル作成処理を行うためのソフトウェア構成として、ターゲット測定モジュールM11とインク量セット算出モジュールM12と分光予測モジュールM13とテーブル作成モジュールM14を実行している。ターゲット測定モジュールM11は、分光反射率計48bを使用して、各塗料を実際に塗布したサンプルの分光反射率をターゲット分光反射率Rt(λ)として測定する。なお、ここにおけるサンプルは上述したサンプル(各塗料を塗布した木片やプラスチック片や石片など)と同様のものである。このようなサンプルは、基本的に塗料を製造する塗料販売者によって作成され、インデックステーブルIDTの作成依頼とともにプリンタメーカーに送付される。例えば、塗料販売者が新規に取引に参加する場合には、すべてのサンプルをプリンタメーカーに送付することになるし、既に参加している塗料販売者が新たな塗料を開発した等の場合には、新たなサンプルのみをプリンタメーカーに送付すればよい。インク量セット算出モジュールM12は、ターゲット分光反射率Rt(λ)を再現可能なインク量セットを後述する分光プリンティングモデルを使用して算出する。テーブル作成モジュールM14は、インク量セット算出モジュールM12が算出したインク量セットを塗料番号との対応関係を規定したインデックステーブルIDTを作成する。
図17は、インデックステーブル作成処理の流れを示している。ステップS510においては、ターゲット測定モジュールM11が、対象の塗料を選択し、当該塗料について固有の塗料番号を生成する。例えば、塗料販売者は数千種類の塗料を扱っており、そのうち1つの塗料を選択する。ステップS520においては、選択した塗料のサンプルのターゲット分光反射率Rt(λ)を分光反射率計48bによって測定する。なお、ターゲット分光反射率Rt(λ)は、各波長区分(例えば10nm区切り。)における分光反射率R(λ)で構成されるベクトルである。ステップS530においては、インク量セット算出モジュールM12が分光予測モジュールM13を利用して前記ターゲット分光反射率Rtが再現可能なインク量セットの最適解を算出する。以下、CMYKlclmの任意のインク量セットをベクトルφ=(dC,dM,dY,dK,dlc,dlm)と表記するものとする。分光予測モジュールM13は、任意のインク量セットφを入力することにより、当該インク量セットφによってプリンタ48aが光沢紙に印刷を行った場合の分光反射率(以下、予測分光反射率Rs(λ)と表記。)を予測する。すなわち、下記の(1)式に示すように、分光予測モジュールM13は、インク量セットφを入力して予測分光反射率Rs(λ)を算出するための関数PM(φ)を提供する。
Figure 2010044746
インク量セット算出モジュールM12は、ターゲット分光反射率Rt(λ)と予測分光反射率Rs(λ)の差分D(λ)を各波長λについて算出し、各波長λごとに重みが課せられた重み関数w(λ)を当該差分D(λ)に乗算する。この値の二乗平均の平方根を評価値E(φ)として算出する。以上の計算を数式で表すと下記の(2)式のように表すことができる。
Figure 2010044746
前記の(2)式において、Nは波長λの区分数を意味する。前記の(2)式において、評価値E(φ)が小さければ小さいほど、各波長λにおけるターゲット分光反射率Rt(λ)と予測分光反射率Rs(λ)の差が少ないということができる。すなわち、評価値E(φ)が小さければ小さいほど、入力したインク量セットφによってプリンタ48bが印刷したときに光沢紙上にて再現される分光反射率R(λ)と、対応する塗料のサンプルから得られたターゲット分光反射率Rt(λ)が近似しているということができる。
さらに、インク量セットφによるプリンタ48aの再現色と、対応する塗料のサンプルが示す絶対的な色は、それぞれ光源の変動に応じて変動することとなるが、評価値E(φ)が小さくすることにより両者の色を相対的に一致させることができる。従って、評価値(φ)が小さくなるインク量セットφによれば、あらゆる光源において塗料が示す色と同等に知覚される印刷結果を得ることができるということができる。
また、本実施形態において、重み関数w(λ)は下記の(3)式のものを使用する。
Figure 2010044746

前記の(3)式においては、等色関数x(λ),y(λ),z(λ)を加算することにより、重み関数w(λ)が定義されている。なお、前記の(3)式の右辺全体に所定の係数を乗算して、重み関数w(λ)の値の範囲を正規化してもよい。等色関数x(λ),y(λ),z(λ)は、人間の視覚感度に応じたスペクトルを有しており、人間の視覚感度が敏感な波長域での分光反射率R(λ)を重視させることができる。例えば、人間の目に知覚されない近紫外波長域においてはw(λ)が0となり、当該波長域における差分D(λ)は評価値E(φ)の増大に寄与しないこととなる。
すなわち、必ずしも全可視波長域においてターゲット分光反射率Rt(λ)と予測分光反射率Rs(λ)との差が小さくなくても、人間の目に特に強く知覚される波長域においてターゲット分光反射率Rt(λ)と予測分光反射率Rs(λ)とが似ていれば、小さい値の評価値E(φ)を得ることができ、人間の目に知覚に即した分光反射率R(λ)の近似性の指標として評価値E(φ)を使用することができる。インク量セット算出モジュールM12は、インク量セットφを順次シフトさせながら、その都度、分光予測モジュールM13に予測分光反射率Rs(λ)を計算させ、評価値E(φ)を算出する。そして、評価値E(φ)を極小化させるインク量セットφの最適解を算出する。この最適解を算出する手法としては、様々な最適化手法を用いることができるが、例えば勾配法といった非線形最適化手法を用いることが望ましい。
以上のようにして、ステップS530にてターゲット分光反射率Rt(λ)が再現可能なインク量セットφが算出できると、テーブル作成モジュールM14は、ターゲット分光反射率Rt(λ)を測定したサンプルの塗料番号と、ターゲット分光反射率Rt(λ)と、算出したインク量セットφとを対応付けてインデックステーブルIDTに格納する(ステップS540)。ステップS550においては、すべての塗料を選択したか否かが判定され、選択していない場合にはステップS510に戻り、次の塗料を選択する。これにより、塗料を順次選択していくことができ、各塗料についてターゲット分光反射率Rt(λ)が再現可能なインク量セットφを算出し、各塗料の塗料番号とインク量セットφとの対応関係を格納したインデックステーブルIDTを作成することができる。最終的に作成されたインデックステーブルIDTはHDD44に記憶され、使用管理モジュールM12によるアクセス制限の対象とされる。なお、本実施形態では、インデックステーブルIDTに対するアクセス制限によってライセンス料が支払われていない仲介店舗での見本シートSSの印刷を制限するようにしたが、他の手法(例えば、見本印刷モジュールM2の機動制限等)によって見本シートSSの印刷の制限を行う場合にはインデックステーブルIDTを仲介店舗のHDD24に記憶させてもよい。
なお、インデックステーブルIDTを作成する際に、塗料販売者を識別する情報もインデックステーブルIDTに添付しておく。なお、以上においては塗料販売者が製造・販売する全塗料についてのインデックステーブルIDTを新たに作成する処理を説明したが、塗料販売者が製造・販売する塗料が追加する追加要求があった場合には既存のインデックステーブルIDTにおいて新たに塗料番号とインク量セットφとインデックスを追記することにより対応することができる。むろん、販売を終了したような塗料については、インデックステーブルIDTから塗料番号とインク量セットφとインデックスとを削除すればよい。従って、塗料販売者の塗料のラインナップが変更される場合でも、柔軟に対応することができる。なお、インデックステーブル作成処理や塗料の追加を行うにつき、その対価を塗料販売者に請求する処理を実行するモジュールを追加してもよい。なお、本実施形態では、塗料のサンプルそのものがプリンタメーカーに送付され、プリンタメーカーにて分光反射率が計測されるものとしたが、むろん塗料の分光反射率を塗料販売者が計測し、そのデータをプリンタメーカーに送信することにより、インデックステーブルIDTの作成要求または追加要求とするようにしてもよい。
上述したとおり、塗料販売者のコンピュータ10に接続された標準機としてのプリンタ48aと、仲介店舗のコンピュータ20に接続されたプリンタ28aは同一機種であり、同一のインク量セットφで印刷を行えば同一の印刷結果が得られることが理想的である。この理想を前提とすれば、プリンタ48aの分光反射率再現に基づいて作成されたインデックステーブルIDTによって、同様の分光反射率再現をプリンタ28aが得られることとなる。しかしながら、プリンタ28aの個体誤差や経時的誤差を完全に解消することはできず、これらの誤差を解消するためのキャリブレーション処理を実行し、インデックステーブルIDTを補正する必要がある。
F2.キャリブレーション処理
図18は、キャリブレーション処理を実行するコンピュータ10のソフトウェア構成を示している。コンピュータ10は、キャリブレーション処理を行うためのソフトウェア構成として、分光予測モジュールM13とパッチ測定モジュールM15と補正量算出モジュールM16とテーブル補正モジュールM17とを実行している。分光予測モジュールM13は上述したインデックステーブル作成処理と同様の処理を行う。パッチ測定モジュールM15は、仲介店舗のコンピュータ20に接続されたプリンタ28aにおいて印刷された各塗料についての補正用パッチの分光反射率(以下、補正用分光反射率Rc(λ)と表記する。)を分光反射率計48bによって測定する。補正量算出モジュールM16は、各塗料についてのターゲット分光反射率Rt(λ)と補正用分光反射率Rc(λ)とに基づいてインク量セットφの補正量を算出する。テーブル補正モジュールM17は、補正量算出モジュールM16が算出した補正量をインデックステーブルIDTに反映させる。
図19は、キャリブレーション処理の流れを示している。ステップS610においては、仲介店舗のコンピュータ20に接続されたプリンタ28aにおいて印刷された複数の補正用パッチについて分光反射率R(λ)を測定する。プリンタ28aにおけるインク吐出特性は経時的に変動しうるため、仲介店舗のコンピュータ20においては定期的にカラーチャートを印刷させ、当該カラーチャートを塗料販売者に送付する。
図20は、カラーチャートの一例を示している。カラーチャートにおいては、多数の矩形状の補正用パッチが行列状に配列されている。各補正用パッチは各塗料に対応しており、各補正用パッチの近くに塗料番号が印刷されている。仲介店舗のコンピュータ20に複数のプリンタ28aが接続されている場合には、そのいずれかを特定するための機体番号も印字される。仲介店舗のコンピュータ20におけるカラーチャートの印刷においては、HDD24に記憶されたインデックステーブルIDTの各塗料番号に対応するインデックスをフラグとともに格納した画素を補正用パッチに対応する位置に配置することにより印刷データPDを生成し、当該印刷データPDに基づいて印刷を実行させればよい。これにより、見本シートSSの見本領域SAと同様に、各補正用パッチをインデックステーブルIDTに規定されたインク量セットφで印刷させることができる。
ステップS620においては、HDD44からカラーチャートに印字されたプリンタ28aの機体に対応するインデックステーブルIDTを取得する。このインデックステーブルIDTに規定されたインク量セットφがキャリブレーション処理における補正対象となる。ステップS630においては、パッチ測定モジュールM15が補正用パッチを選択する。ステップS640においては選択された補正用パッチの塗料番号の入力を受け付け、インデックステーブルIDTにおいて当該塗料番号に対応付けられたターゲット分光反射率Rt(λ)を取得する。ステップS650においては、分光反射率計48bによって、選択された補正用パッチの補正用分光反射率Rc(λ)を測定する。ここで、ターゲット分光反射率Rt(λ)と補正用分光反射率Rc(λ)とが一致するのが理想的であるが、プリンタ28aの個体誤差や経時的誤差があるため、両者に差が生じることとなる。
図21は、ある塗料(塗料番号)についてのターゲット分光反射率Rt(λ)と補正用分光反射率Rc(λ)を対比して示している。同図に示すように、補正用分光反射率Rc(λ)がターゲット分光反射率Rt(λ)におおむね追従できているものの、全体的に低反射率側に補正用分光反射率Rc(λ)がシフトしている。例えば、プリンタ28aが吐出する各インクのインク量が経時的に増加した場合には、全体的に低反射率側に補正用分光反射率Rc(λ)がシフトすることとなる。ステップS660においては、補正量算出モジュールM16が補正用分光反射率Rc(λ)からターゲット分光反射率Rt(λ)を差し引くことにより、各波長の偏差ΔR(λ)を算出する。なお、偏差ΔR(λ)は、各波長区分の偏差ΔR(λ)で構成される下記の(4)式の偏差ベクトルΔRで表すことができる。
Figure 2010044746

なお、前記の(4)式において、ΔRaは波長区間λ=(a−5)〜(a+5)[nm]の間の平均の偏差ΔR(λ)を示している(aは可視波長における10nm周期の値)。補正量算出モジュールM16は、ステップS670において、選択した補正用パッチを印刷した際のインク量セットφ(インデックステーブルIDTに規定されたインク量セットφ)を取得し、当該インク量セットφ近傍の微小区間に関する予測分光反射率Rs(λ)のヤコビ行列Jを算出する。予測分光反射率Rs(λ)のヤコビ行列Jを算出する際には、任意のインク量セットφについて予測分光反射率Rs(λ)が算出可能な分光予測モジュールM13が利用される。ヤコビ行列Jは下記の(5)式によって表すことができる。
Figure 2010044746

前記の(5)式において、Rsaは波長区間λ=(a−5)〜(a+5)[nm]の間の平均の予測分光反射率Rs(λ)を示している。ヤコビ行列Jは、波長区間数(行)×インク数(列)の型を有する行列となる。
図22は、ヤコビ行列Jを算出する様子を示している。まず、インクセットのうちCインクに注目し、補正用パッチを印刷した際に使用したインク量dに対して微小量hを加減算した、インク量(d+h),(d−h)を算出する。そして、他のインクについては、補正用パッチを印刷した際に使用したインク量(d,d,d,dlc,dlm)を維持したままのインク量セットφ+h(d+h,d,d,dlc,dlm)およびインク量セットφ-h(d−h,d,d,dlc,dlm)を設定する。そして、インク量セットφ+h,φ-hをそれぞれ分光予測モジュールM13に入力することにより、分光プリンティングモデル(前記の(1)式)による予測分光反射率Rs +h(λ),Rs -h(λ)を算出(各波長区間の平均R s365,R s375,R s385・・・)する。ここで予測分光反射率Rs +h(λ),Rs -h(λ)の差分は、Cインク量の微小区間(d+h)〜(d−h)に対応する予測分光反射率Rs(λ)の変動量と考えることができる。従って、当該微小区間(d+h)〜(d−h)における予測分光反射率Rs(λ)の変動の線形性を仮定すると、{Rs +h(λ)−Rs -h(λ)}/2hにより、Cインクについての偏微分を得ることができる。以上の計算を各波長区間について同様に行うことにより、ヤコビ行列Jの一列目(Cインク成分)を得ることができる。MYKlclmインクに順次注目し、同様の計算を行うことにより、選択した補正用パッチを印刷したときのインク量セットφ近傍のヤコビ行列Jを得ることができる。
以上のようにして、ヤコビ行列Jが得られると、ステップS680にて、補正量算出モジュールM16が下記の(6)式によってインク量セットφの補正量ベクトルΔφ(ΔdC,ΔdM,ΔdY,ΔdK,Δdlc,Δdlm)を算出する。
Figure 2010044746

前記の(6)式においてJ-1はヤコビ行列Jの逆行列を意味しており、逆行列J-1の算出においては下記の(7)式に示す特異値分解を利用する。
Figure 2010044746

前記の(7)式において、まずヤコビ行列Jを行列U,Σ,VTに分解することにより、逆行列(擬似逆行列)J-1の算出を可能としている。なお、ヤコビ行列Jは、波長区間数(行)×インク数(列)の非正方の型を有する行列であるが、特異値分解により、波長区間数(行)×波長区間数(列)の行列Uと、インク数(行)×インク数(列)のVTと、波長区間数(行)×インク数(列)であって対角成分以外は0となる行列Σに分解される。さらに、行列Σの逆行列Σ-1は行列Σの対角成分を逆数とすることによって求めることができる。なお、処理の便宜上、逆数が所定の閾値よりも小さくなった場合には、当該逆数を0として扱うのが望ましい。
以上のようにしてインク量セットφの補正量ベクトルΔφが算出できると、補正量算出モジュールM16がステップS690において、補正用パッチを印刷した際に使用したもとのインク量セットφの各成分から補正量ベクトルΔφを下記の(8)式のように減算することにより、補正インク量セットφMを算出する。
Figure 2010044746

補正インク量セットφMが算出できると、ステップS700において、テーブル補正モジュールM17は、インデックステーブルIDTにおいて現在選択された塗料(塗料番号)に対応付けられたインク量セットφを補正インク量セットφMによって更新する。ステップS710においては、すべての塗料(塗料番号)を選択したか否かを判定し、すべて選択していない場合にはステップS610に戻り、次の塗料についてインク量セットφを補正する処理を実行する。すべての塗料が選択された場合には、すべてのインク量セットφが補正インク量セットφMによって更新されたインデックステーブルIDTを仲介店舗のコンピュータ20からアクセス可能とする。これにより、仲介店舗のコンピュータ20においては補正後のインデックステーブルIDTを用いて見本シートSSを印刷することが可能となる。このインデックステーブルIDTは、あくまでもカラーチャートを印刷したプリンタ28aの機体のみに有効であるため、カラーチャートに印字された機体番号を対応付けておく。これにより、実際に見本シートSSを印刷するように指定された機体に対応するインデックステーブルIDTを参照することができる。なお、キャリブレーション処理を行うにつき、その対価を塗料販売者に請求する処理を実行するモジュールを追加してもよい。
補正インク量セットφMに基づいて印刷した見本シートSSにおいては、上述した偏差ΔR(λ)を補償するような印刷を実現することができ、ターゲット分光反射率Rt(λ)を精度よく再現することができる。以下、その原理を、図21を用いて説明する。各補正用パッチを印刷した際に使用した補正対象のインク量セットφ近傍における分光プリンティングモデルによる予測分光反射率Rs(λ)傾き特性と、実際に補正用パッチを測定して得られる補正用分光反射率Rc(λ)の傾き特性は類似していると考えることができる。多くの場合、プリンタ28aの経時変化や個体差によって実際に印刷したときの補正用分光反射率Rc(λ)の絶対的な値はシフトするものの、近似するインク量セットφ間での相対的な変動特性は大きく変動しないと考えられるからである。また、微小区間における変動は線形的であると仮定できる。
図22に図示するように、ターゲット分光反射率Rt(λ)が実際に再現できる補正インク量セットφMは、補正用分光反射率Rc(λ)を通過する曲線(実線で図示)がターゲット分光反射率Rt(λ)を示す値となる。しなしながら、各補正用パッチを印刷した際に使用した補正対象のインク量セットφについてのみ補正用分光反射率Rc(λ)が得られているため、補正用分光反射率Rc(λ)は任意のインク量セットφについて得られていない。従って、この補正用分光反射率Rc(λ)に基づいてターゲット分光反射率Rt(λ)が実際に再現できる補正インク量セットφMを直接算出することができない。そのため、まず任意のインク量セットφについて予測分光反射率Rs(λ)を得ることが可能な分光プリンティングモデルに基づいて予測分光反射率Rs(λ)の曲線(破線で図示)を求める。そして、当該曲線において補正用パッチを印刷した際に使用した補正対象のインク量セットφ近傍での傾きを示すヤコビ行列Jを算出する。
上述したように破線で示した実際の補正用分光反射率Rc(λ)の曲線と、分光プリンティングモデルに基づく予測分光反射率Rs(λ)の曲線は、絶対的な値はシフトしているものの、相対的な変動特性は似ていると考えることができるため、実際の補正用分光反射率Rc(λ)の曲線も同様の傾きを有していると推定できる。このように実際の補正用分光反射率Rc(λ)の傾きが推定できれば、偏差ΔR(λ)と、当該偏差ΔR(λ)を補償するために必要な補正量ベクトルΔφと、傾きを示すヤコビ行列Jとの間には、前記の(6)式の線形関係が成立すると考えることができる。そして、前記の(6)式を補正量ベクトルΔφに関して解き、もとのインク量セットφから補正量ベクトルΔφを減算することにより、ターゲット分光反射率Rt(λ)が実際に再現できる補正インク量セットφMを得ることができる。なお、ヤコビ行列Jは複数の波長区間ごとの行成分で構成されるが、前記の(6),(7)式を解くことにより、各波長の偏差ΔR(λ)を最小二乗法的に減少させるような補正インク量セットφMを得ることができる。なお、以上においては本発明の思想を行列式による演算によって具体化したものを説明したが、前記の(5)〜(8)式と等価な演算を行うようにしてもよい。また、前記ヤコビ行列Jも必ずしも前記の(5)式によるものに限られず、前記ヤコビ行列Jと等価な数式や配列を使用して、前記の(6)〜(8)式と等価な演算を行うようにしてもよい。
G.分光プリンティングモデル
図23は、本実施形態のプリンタ28a(48a)の印刷方式を模式的に示している。プリンタ28aは、CMYKlclmのインクごとに複数のノズルNZ,NZ・・・を備えた印刷ヘッドHDを備えており、ノズルNZ,NZ・・・が吐出するCMYKlclmのインクごとのインク量を上述したインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)によって指定された量とする制御が印刷データPDに基づいて行われる。各ノズルNZ,NZ・・・が吐出したインク滴は印刷用紙上において微細なドットとなり、多数のドットの集まりによってインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)に応じたインク被覆率の印刷画像が印刷用紙上に形成されることとなる。
分光予測モジュールM13が使用する予測モデル(分光プリンティングモデル)は、本実施形態のプリンタ28aで使用され得る任意のインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)で印刷を行った場合の分光反射率R(λ)を予測分光反射率Rs(λ)として予測するための予測モデルであり、前記の(1)式の関数PM(φ)に相当する。分光プリンティングモデルにおいては、インク量空間における複数の代表点について実際にカラーパッチを標準機(プリンタ48a)によって印刷し、その分光反射率R(λ)を分光反射率計によって測定することにより得られた分光反射率データベースRDBを用意する。そして、この分光反射率データベースRDBを使用したセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)による予測を行うことにより、正確に任意のインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)で印刷を行った場合の分光反射率R(λ)を予測する。
図24は、分光反射率データベースRDBを示している。同図に示すように分光反射率データベースRDBはインク量空間(本実施形態では6次元であるが、図の簡略化のためCM面のみ図示。)における複数の格子点のインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)について実際に印刷/測定をして得られた分光反射率R(λ)が記述されたルックアップテーブルとなっている。例えば、各インク量軸を分割する5グリッドの格子点を発生させる。ここでは513個もの格子点が発生し、膨大な量のカラーパッチの印刷/測定をすることが必要となるが、実際にはプリンタ28aにて同時に搭載可能なインク数や同時に吐出可能なインクデューティの制限があるため、印刷/測定をする格子点の数は絞られることとなる。
さらに、一部の格子点のみ実際に印刷/測定をし、他の格子点については実際に印刷/測定を行った格子点の分光反射率R(λ)に基づいて分光反射率R(λ)を予測することにより、実際に印刷/測定を行うカラーパッチの個数を低減させてもよい。分光反射率データベースRDBは、プリンタ28aが印刷可能な印刷用紙ごとに用意されている必要がある。厳密には、分光反射率R(λ)は印刷用紙上に形成されたインク膜(ドット)による分光透過率と印刷用紙の反射率によって決まるものであり、印刷用紙の表面物性(ドット形状が依存)や反射率の影響を大きく受けるからである。次に、分光反射率データベースRDBを使用したセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルによる予測を説明する。
分光予測モジュールM13は、分光反射率データベースRDBを使用したセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルによる予測を実行する。この予測にあたっては、印刷用紙(本実施形態では光沢紙。)やインク量セットφを印刷条件として設定する。光沢紙を印刷用紙として予測を行う場合には、光沢紙にカラーパッチを印刷することにより作成した分光反射率データベースRDBが設定される。
分光反射率データベースRDBの設定ができると、インク量セット算出モジュールM12や補正量算出モジュールM16から出力されたインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)を分光プリンティングモデルに適用する。セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルは、よく知られた分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルとに基づいている。なお、以下の説明では、説明の簡略化のためCMYの3種類のインクを用いた場合のモデルについて説明するが、同様のモデルを本実施形態のCMYKlclmを含む任意のインクセットを用いたモデルに拡張することは容易である。また、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルについては、Color Res Appl 25, 4-19, 2000およびR Balasubramanian, Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization, J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999)を参照。
図25は、分光ノイゲバウアモデルを示す図である。分光ノイゲバウアモデルでは、任意のインク量セット(dc,dm,dy)で印刷したときの印刷物の予測分光反射率Rs(λ)は、以下の(9)式で与えられる。
Figure 2010044746
ここで、aiはi番目の領域の面積率であり、Ri(λ)はi番目の領域の分光反射率である。添え字iは、インクの無い領域(w)と、シアンインクのみの領域(c)と、マゼンタインクのみの領域(m)と、イエローインクのみの領域(y)と、マゼンタインクとイエローインクが吐出される領域(r)と、イエローインクとシアンインクが吐出される領域(g)と、シアンインクとマゼンタインクが吐出される領域(b)と、CMYの3つのインクが吐出される領域(k)をそれぞれ意味している。また、fc,fm,fyは、CMY各インクを1種類のみ吐出したときにそのインクで覆われる面積の割合(「インク被覆率(Ink area coverage)」と呼ぶ)である。
インク被覆率fc,fm,fyは、図25Bに示すマーレイ・デービスモデルで与えられる。マーレイ・デービスモデルでは、例えばシアンインクのインク被覆率fcは、シアンのインク量dcの非線形関数であり、例えば1次元ルックアップテーブルによってインク量dcをインク被覆率fcに換算することができる。インク被覆率fc,fm,fyがインク量dc,dm,dyの非線形関数となる理由は、単位面積に少量のインクが吐出された場合にはインクが十分に広がるが、多量のインクが吐出された場合にはインクが重なり合うためにインクで覆われる面積があまり増加しないためである。他の種類のMYインクについても同様である。
分光反射率に関するユール・ニールセンモデルを適用すると、前記(9)式は以下の(10a)式または(10b)式に書き換えられる。
Figure 2010044746

ここで、nは1以上の所定の係数であり、例えばn=10に設定することができる。前記の(10a)式および(10b)式は、ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を表す式である。
本実施形態で採用するセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)は、上述したユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルのインク量空間を複数のセルに分割したものである。
図26Aは、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルにおけるセル分割の例を示している。ここでは、説明の簡略化のために、CMインクのインク量dc,dmの2つの軸を含む2次元インク量空間でのセル分割を描いている。なお、インク被覆率fc,fmは上述したマーレイ・デービスモデルにてインク量dc,dmと一意の関係にあるため、インク被覆率fc,fmを示す軸と考えることもできる。白丸は、セル分割のグリッド点(「格子点」と呼ぶ)であり、2次元のインク量(被覆率)空間が9つのセルC1〜C9に分割されている。各格子点に対応するインク量セット(dc,dm)は、分光反射率データベースRDBに規定された格子点に対応するインク量セットとされている。すなわち、上述した分光反射率データベースRDBを参照することにより、各格子点の分光反射率R(λ)を得ることができる。従って、各格子点の分光反射率R(λ)00,R(λ)10,R(λ)20・・・R(λ)33は、分光反射率データベースRDBから取得することができる。
実際には、本実施形態ではセル分割もCMYKlclmの6次元インク量空間で行うとともに、各格子点の座標も6次元のインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)によって表される。そして、各格子点のインク量セットφ(dc,dm,dy,dk,dlc,dlm)に対応する格子点の分光反射率R(λ)が分光反射率データベースRDB(例えば光沢紙のもの)から取得されることとなる。
図26Bは、セル分割モデルにて使用するインク被覆率fcとインク量dcとの関係を示している。ここでは、1種類のインクのインク量の範囲0〜dcmaxも3つの区間に分割されており、各区間毎に0から1まで単調に増加する非線形の曲線によってセル分割モデルにて使用する仮想的なインク被覆率fcが求められる。他のインクについても同様にインク被覆率fm,fyが求められる。
図26Cは、図26Aの中央のセルC5内にある任意のインク量セット(dc,dm)にて印刷を行った場合の予測分光反射率Rs(λ)の算出方法を示している。インク量セット(dc,dm)にて印刷を行った場合の分光反射率R(λ)は、以下の(11)式で与えられる。
Figure 2010044746
ここで、(11)式におけるインク被覆率fc,fmは図26Bのグラフで与えられる値である。また、セルC5を囲む4つの格子点に対応する分光反射率R(λ)11,(λ)12,(λ)21,(λ)22は分光反射率データベースRDBを参照することにより取得することができる。これにより、(11)式の右辺を構成するすべての値を確定することができ、その計算結果として任意のインク量セットφ(dc,dm)にて印刷を行った場合の予測分光反射率Rs(λ)を算出することができる。波長λを可視波長域にて順次シフトさせていくことにより、可視波長域における予測分光反射率Rs(λ)を得ることができる。インク量空間を複数のセルに分割すれば、分割しない場合に比べて予測分光反射率Rs(λ)をより精度良く算出することができる。以上のようにして、分光予測モジュールM13がインク量セット算出モジュールM12や補正量算出モジュールM16の要請に応じて予測分光反射率Rs(λ)を予測することができる。
H.変形例
H1.変形例1
図27は、本変形例にかかる指定モジュールM1の構成を示している。本変形例においては、指定モジュールM1が色彩値特定モジュールM1aと光源取得モジュールM1bと塗料特定モジュールM1cとから構成されている。本変形例では、上述した実施形態のステップS110の代わりに、以下に説明する処理を実行することにより、塗料購入者から間接的に塗料の指定を受け付ける。
図28は、上述した実施形態のステップS110の代わりに実行する指定処理の流れを示している。ステップS111においては、色彩値特定モジュールM1aと光源取得モジュールM1bとが、UI画像を表示させ、塗料購入者から色彩値と観察光源の指定を受け付ける。ここでは、絶対色空間での色彩値の指定を受け付ける。例えば、CIELAB色空間やXYZ色空間における座標値に相当する色彩値の指定を塗料購入者から受け付ける。本実施形態では、XYZ色空間におけるXYZ値(3刺激値)によって色彩値の指定を受け付けるものとする。また、観察光源は、塗料購入者が塗料を塗る物が存在する環境における光源であり、本実施形態では屋外と屋内とが指定できるものとする。
塗料特定モジュールM1cは、ステップS111にて指定されたXYZ値を、同指定された観察光源にて実現する塗料を特定する(ステップS112)。図9に示したインデックステーブルIDTにおいては各塗料を測定することによって得られたターゲット分光反射率Rt(λ)が記憶されているため、指定された観察光源下で、どの塗料が指定された色彩値を有するかを特定することができる。なお、この時点においてもインデックステーブルIDTのアクセス制限が行われているため、ライセンス料の支払がなされた塗料販売者の塗料が特定されることとなる。具体的には、下記の(12)式によって、任意のターゲット分光反射率Rt(λ)が示すXYZ値を算出することができる。
Figure 2010044746
前記の(12)式において、P(λ)は指定された観察光源の分光エネルギーを示し、kは正規化のための係数を示している。屋外の分光エネルギーP(λ)として、例えばD65光源のものを使用することができる。一方、屋内の分光エネルギーP(λ)として、例えば蛍光灯のF11光源のものを使用することができる。D65光源とF11光源の分光エネルギーP(λ)は、大きく異なるスペクトルを有しており、算出されるXYZ値も異なる値となる。なお、本実施形態では、室内をF11光源として取り扱うが、さらに電球光源(A光源等)を詳細に指定できるようにしてもよい。
また、D65光源とF11光源の分光エネルギーP(λ)は標準化された既知のものであるため、予めHDD24に記憶しておくことができ、塗料特定モジュールM1cが読み出して使用することができる。塗料特定モジュールM1cは、インデックステーブルIDTに規定された各塗料のターゲット分光反射率Rt(λ)、および、指定された分光エネルギーP(λ)について前記の(12)式の計算を行い、各塗料についてXYZ値を算出する。そして、塗料購入者が指定したXYZ値と最も前記の(12)式による計算値が近くなる塗料を特定する。例えば、XYZ色空間におけるユークリッド距離によって最も近いか否かを判断することができる。このようにすることにより、塗料購入者が指定した観察光源において、塗料購入者が指定したXYZ値に最も近い色を示す塗料を得ることができる。
塗料購入者が希望する塗料が特定できると、以降は上述した実施形態の見本シート印刷処理のステップS120以降の処理を実行すればよい。これにより、塗料購入者が色彩値によって指定した塗料に近い分光反射率特性を有する見本領域SAを有する見本シートSSを印刷することができる。このようにすることにより、例えば各塗料のサンプルが設置されていないような仲介店舗においても本発明を実現することが可能となる。しかしながら、塗料購入者が色彩値によって自分が希望する色を認識することができればよいが、一般的には色彩値が馴染みの薄いものであり、指定するのが困難となることも予測される。そこで、次の変形例においては、より容易な色彩値の指定方法を示す。
H2.変形例2
前変形例においては、色彩値を直接指定したが、仲介店舗のコンピュータ20に本発明の画像入力装置としての測色機を接続し、当該測色機によって得られた測色値を上述した変形例の色彩値として使用するようにしてもよい。例えば、塗料購入者が自宅から持ち込んだ物を測色し、その測色値に基づいて見本シートSSを印刷する塗料を特定することができる。基本的には、前変形例の色彩値特定モジュールM1aが取得する色彩値を、測色値に置き換えるようにすればよい。ただし、塗料購入者が気に入った色の物として自宅から持ち込んだ物が、仲介店舗では光源の差によって気に入った色でなくなる場合も考えられる。さらに、塗料購入者が自宅で観察している光源とは、異なる光源で測色を行った結果、意図しない色の見本シートSSが印刷されることとなる。そのため、塗料購入者に当該物を観察していた光源の種類を指定させ、当該指定された光源にて測色を行うのが望ましい。測色機の代わりにスキャナを使用することも可能である。この場合、スキャナについてキャリブレーションが実行されていることが望ましい。なお、仲介店舗のコンピュータ20に分光反射率計を備えさせてもよい。この場合、単純に分光反射率が似た塗料を特定すればよく、光源の違いに配慮する必要はない。
H3.変形例3
図29は、本変形例にかかる指定モジュールM1の構成を示している。本変形例においても、指定モジュールM1が色彩値特定モジュールM1aと光源取得モジュールM1bと塗料特定モジュールM1cとから構成される。ただし、色彩値特定モジュールM1aが、さらにインターフェイスモジュールM1a1と領域指定モジュールM1a2と表示色取得モジュールM1a3とから構成されている。
図30は、上述した実施形態のステップS110の代わりに実行する指定処理の流れを示している。ステップS111においては、インターフェイスモジュールM1a1が起動する。インターフェイスモジュールM1a1は、常駐型のモジュールであり、コンピュータ20において図示しないOSが起動する際に、起動され、以降は常時動作を行っている。前記OSはマルチタスクOSであり、図28に図示したアプリケーションAPLが起動している際にも、インターフェイスモジュールM1a1はバックグラウンドで動作を行っている。インターフェイスモジュールM1a1は、他のアプリケーションAPLが動作を行っている際に、入力機器I/F27やキーボード27aに対する所定の操作(以下、呼出操作と表記する。)を監視する。
例えば、アプリケーションAPLとしてのブラウザが動作している際に、キーボード27aから呼出操作が受け付けられたことを監視する。例えばキーボード27aにおける単数または複数のキーが押し下げられたことを監視する。また、ディスプレイ26aの一部にアイコンを表示させ、当該アイコンに対するマウス27bのクリックを監視するようにしてもよい。ステップS112においては、前記呼出操作を検出し、検出された場合にはステップS113においてインターフェイスモジュールM1a1が領域指定モジュールM1a2を起動させる。すると、領域指定モジュールM1a2が領域指定のためのポップアップ画像をディスプレイ26aに表示させる。
図31は、ポップアップ画像の一例を示している。同図において、アプリケーションAPLとしてのブラウザがインターネットINT上にアップロードされたWEBページ(ブラウザがレンダリング可能なデータ)を閲覧している。このWEBページには、画像データが埋め込まれており、当該画像データが示す画像がブラウザによってディスプレイ26aに表示されている。ポップアップ画像は、ブラウザが表示する画像に重畳されて表示される。ポップアップ画像においては、領域指定ボタンとキャンセルボタンと、観察光源が屋外か屋内かを指定するチェックボックスが設けられており、ステップS114においては領域指定ボタンに対するマウス27bのクリックを検出する。同時に、ポップアップ画像において指定された観察光源を取得する。
領域指定ボタンに対するクリックが検出されると、ステップS115にて領域指定モジュールM1a2がマウス27bのドラッグ&ドロップによりディスプレイ26aにおける領域指定を受け付ける。図31においては、矩形の左上隅および右下隅をドラッグ&ドロップにより指定する様子が例示されている。むろん、指定される領域は矩形に限られず、円形や楕円であってもよいし、各種図形を選択できるようにしてもよい。図31の例では、ブラウザにより画像が表示されており、当該画像において領域を指定することができる。なお、ディスプレイ26aが本発明の画像出力装置に相当する。
ステップS116において、ディスプレイ26aにおいて指定された領域が示す平均的な色を表示色取得モジュールM1a3が取得する。ディスプレイ26aへ出力する表示画像データは、RAM22またはビデオI/F26のVRAMにバッファされており、当該表示画像データに基づいてディスプレイ26aにおいて指定された領域が示す平均的な色を取得する。本実施形態においては、バッファされた表示画像データの各画素がsRGB色空間のRGB値で表されている。表示色取得モジュールM1a3は、指定された領域に対応する画素を、表示画像データから抽出し、そのRGB値を平均することにより、指定された領域が示す平均的な色を取得する。
この平均的なRGB値はsRGB色空間において一定の色を意味するものであるが、実際にディスプレイ26aが表示している色(塗料購入者が見ている色)と一致するとは限らない。ディスプレイ26aはsRGB色空間のガマットとは異なる機器固有の色再現ガマットを有しており、これらのガマット間のマッピングを行う場合や、ディスプレイ26aの表示特性に応じた画像補正が行われることがあるからである。そのため、表示色取得モジュールM1a3は、テップS117において、ディスプレイ26aの(出力)ICCプロファイルを取得し、当該ICCプロファイルに基づいて実際にディスプレイ26aが表示している色を特定する。ICCプロファイルは、ディスプレイ26aに入力されるRGB値と実際にディスプレイ26aにて表示される色との対応関係を規定したプロファイルであり、予めHDD24に記憶されている。
例えば、見本シート印刷処理を実行するプログラムをインストールする際に、使用するディスプレイ26aの機種を指定することにより、対応するICCプロファイルがインターネットINTからダウンロードされるようにしてもよい。本実施形態では、指定された領域の平均的なRGB値に基づいて実際に表示される色が、ICCプロファイルに基づいてXYZ値として取得される。ところで、ディスプレイ26aの個体誤差や経時劣化により、ディスプレイ26aの表示特性がICCプロファイルから大きく外れる場合も考えられる。この場合、真に塗料購入者が視認して指定した色とは、ずれた色が特定されることとなる。そのため、ディスプレイ26aの表示色が現実にICCプロファイルが規定する色と一致するように、ディスプレイ26aについてのキャリブレーションが行われていることが望ましい。
以上によって、塗料購入者が所望するXYZ値と観察光源とが取得できたこととなり、以降は上述した変形例と同様に、当該観察光源において当該XYZ値を示す塗料を特定(ステップS119)し、見本シートSSを印刷していくことができる。一方、ステップS113において領域指定ボタンに対するマウス27bのクリックが検出されず、キャンセルボタンがクリックされた場合、または、所定時間何ら操作がされない場合にはポップアップ画像を消去し(ステップS118)、引き続き、所定の操作を監視する(ステップS112)。
本変形例においては、ブラウザ等のアプリケーションAPLがディスプレイ26aに表示する画像において気に入った色を塗料購入者が発見した段階で、当該気に入った色を領域指定によって指定することができる。従って、気に入った色の色彩値を把握する必要もないし、塗料のサンプルが仲介店舗に用意されている必要もない。例えば、多くの家の画像が含まれる住宅メーカーのWEBページを閲覧することにより、塗料購入者が家の屋根に塗る塗料を探すようなことも可能となる。なお、本変形例においてキャリブレーションが徹底されていない場合には、ディスプレイ26aの表示色が不正確となり、塗料購入者による色の指定も不正確となる。
そのため、ディスプレイ26aの表示色にばらつきがあることを考慮して、塗料購入者が所望するXYZ値に最も近い色を示す塗料のみならず、近い色を示す塗料を数個特定し、それのそれぞれについて見本シートSSを印刷するようにしてもよい。このようにすれば、ディスプレイ26aの表示色がずれていても、複数の見本シートSSから最も理想的なものを選択することができる。なお、アプリケーションAPLの種類はブラウザに限られず、例えばフォトビューワとすることにより塗料購入者が所持する任意の写真の気に入った色を指定することができる。すなわち、塗料購入者がデジタルスチルカメラやスキャナ等によって気に入った色の被写体を撮像し、その画像データを閲覧しながら対応する領域を指定することができる。従って、気に入った風景写真の色を再現可能な塗料を購入し、部屋などに塗布することも可能となる。また、デジタルスチルカメラによれば凹凸のある物体についても画像入力が可能である。むろん、ワープロやCG作成アプリケーションにおいても同様に気に入った色があれば指定することができる。しかしながら、デジタルスチルカメラが撮影した被写体の現実の色と、フォトビューワによってディスプレイ26aに表示されている被写体の色との間にずれが生じることも考えられる。塗料購入者が現在ディスプレイ26aに表示されている色の塗料を望む場合には当該ずれは問題とならないが、塗料購入者が被写体そのものの色の塗料を望む場合には意図とは異なる塗料について見本シートSSが印刷されることとなる。そのため、デジタルスチルカメラで撮影した画像の各画素が示す色彩値と、現実の被写体の測色値との対応関係を規定したプロファイルを用意するなどして、カラーマッチングを行うようにすることが望ましい。さらに、塗料購入者が気に入った色を示す領域を指定するのに好適な専用のアプリケーションAPLを提供することも可能である。
H4.変形例4
図32は、本変形例にかかるアプリケーションAPLの構成を示している。他のモジュールの構成は変形例3と同様である。すなわち、本変形例のアプリケーションAPLの実行中においても、呼出操作を行うことにより、当該アプリケーションAPLによってディスプレイ26aに表示される表示画像において領域を指定するためのポップアップ画像が表示されることとなる。アプリケーションAPLは、条件受付モジュールA1と絞り込みモジュールA2とパッチ表示モジュールA3とから構成されている。
図33は、アプリケーションAPLが実行する絞り込み処理の流れを示している。本処理の実行時においてもバックグラウンドでインターフェイスモジュールM1a1による呼出操作の監視が行われている。ステップS810においては、条件受付モジュールA1がディスプレイ26aに条件指定画像を表示させ、キーボード27aやマウス27bの操作を受け付ける。
図34は、条件指定画像の一例を示している。条件指定画像においては、塗料購入者が購入しようとする塗料の塗布対象を指定するためのプルダウンメニューが設けられている。具体的には、ここでは塗布対象が屋内と屋外のいずれかに設置される物であるか、塗布対象の材質、塗料が示す色の系統を指定することができる。また、塗料購入者に対して固有の購入者コードが割り当てられており、自身の購入者コードとともに、過去に購入した塗料に限定するか否かを指定することができる。ステップS820においては、絞り込みモジュールA2が指定された条件に適合する塗料を絞り込む。本変形例のインデックステーブルIDTには、各塗料についての絞り込みを行うための情報が格納されている。
図35は、本変形例のインデックステーブルIDTの一例を示している。インデックステーブルIDTには、各塗料が屋内用途であるか屋外用途であるかと、各塗料が塗布可能な材質と、各塗料の色の系統と、各塗料を過去に購入した塗料購入者の購入者コードが絞り込みのキーとして記憶されている。また、インデックステーブルIDTには、各塗料と色の相性のよい塗料が記憶されている。絞り込みモジュールA2は、塗料購入者が指定した各項目にマッチする塗料を前記の絞り込みのキーによって絞り込む。ここでもインデックステーブルIDTのアクセス制限が行われているため、ライセンス料の支払がなされた塗料販売者の塗料が絞り込まれることとなる。ステップS830においては、絞り込まれた塗料のパッチをパッチ表示モジュールA3がディスプレイ26aに表示する。絞り込まれた塗料のパッチを表示させるにあたっては、まず絞り込まれた塗料のターゲット分光反射率Rt(λ)に、設置箇所として指定された観察光源を適用して前記の(12)式の計算を行うことにより、XYZ値を算出する。そして、当該XYZ値と同等の色をディスプレイ26aに表示させることが可能なsRGB色空間のRGB値を上述したICCプロファイルを参照して特定する。
図36は、ステップS830において表示されるパッチの例を示している。同図において、絞り込まれた塗料が設置箇所として指定された観察光源下において示す色の矩形状のパッチがディスプレイ26aに複数配列されている。パッチ表示モジュールA3は、上述した手順によって特定したRGB値を有する画素を表示画像データにおいて矩形状にレイアウトし、ビデオI/F26に出力することにより、パッチをディスプレイ26aに表示させる。この時点で、塗料購入者が気に入った色のパッチを発見すれば、インターフェイスモジュールM1a1が監視する呼出操作を行うことにより、ポップアップ画像させ、当該気に入ったパッチを領域指定することができる。これにより、変形例3の処理が行われ、当該パッチが表された塗料についての見本シートSSを印刷させることができる。なおポップアップ画像においては、矛盾した観察光源が指定されないように制限してもよい。
一方、ステップS830において表示されるパッチは、マウス27bによってクリックすることが可能となっている。ステップS840においては、各パッチのクリックを受け付け、クリックされた場合には当該パッチと相性のよい塗料を絞り込みモジュールA2が絞り込む(ステップS850)。インデックステーブルIDTにおいては、各塗料について相性のよい塗料が記憶されているため、インデックステーブルIDTを使用して絞り込みを行うことができる。絞り込みが完了すると、ステップS830に戻り、絞り込まれた塗料のパッチを表示させる。このとき、最初に表示したパッチと対比可能となるように、新たなパッチを並列して表示する。この時点においても、塗料購入者が気に入った色のパッチを発見すれば、インターフェイスモジュールM1a1が監視する呼出操作を行うことにより、ポップアップ画像させ、当該気に入ったパッチを領域指定することができる。このように、塗料購入者が指定した条件によって該当する塗料を絞り込むことにより、よりスムーズな塗料の指定を行うことが可能となる。特に、過去に購入した塗料と同一の塗料の購入を希望する場合には、購入者コードを指定することにより、よりスムーズに塗料の指定を行うことができる。この場合も、パッチによって色を確認することができるため、指定間違いが起こることが防止できる。
なお、パッチの形状は単なる矩形に限られず、塗布対象物の形状(例えば、家の屋根の形状。)のパッチを表示するようにしてもよい。すなわち、絞り込みの条件を指定する際に、塗布対象物を具体的に指定するようにすれば、当該塗布対象物の形状のパッチを表示することも可能である。このようにすることにより、塗料購入者が塗布した状態をイメージしやすくすることができる。このような構成とした場合、ステップS840にて、いずれかのパッチがクリックされた場合には、隣接する物(例えば、家の屋根に対して家の壁。)の形状をしたパッチを相性のよい塗料のRGB値によって表示させるようにしてもよい。そして、双方のパッチを組み合わせて表示することにより、塗料購入者は見本シートSSを印刷させる塗料の組み合わせを、色と形状をイメージしつつ選択することができる。
なお、インデックステーブルIDTを塗料販売者のコンピュータ10のHDD14に記憶してもよい。インデックステーブルIDTを塗料販売者のコンピュータ10のHDD14にて管理することにより、塗料の新製品の追加等に柔軟に対応することができる。また、納品精算処理を行う都度、各塗料を購入した塗料購入者の購入者コードを書き加えるのが望ましく、塗料販売者のコンピュータ10のHDD14にてインデックステーブルIDTを管理するのが望ましい。さらに、本変形例のアプリケーションAPLは仲介店舗のコンピュータ20にて実行されることとしたが、塗料販売者のコンピュータ10が対応する処理を実質的に実行し、仲介店舗のコンピュータ20はブラウザ等を利用してユーザーインターフェイスのみを提供するようにしてもよい。
H5.変形例5
図37は、変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示している。本変形例においては、塗料購入者のコンピュータ30は備えられておらず、購入モジュールM5が仲介店舗のコンピュータ20にて実行されている。このようにすることにより、塗料購入者が見本シートSSを印刷し即座に購入を決定する場合や、一旦見本シートSSを自宅に持ち帰り再度仲介店舗に来て購入する場合に対応することができる。この場合、仲介店舗のコンピュータ20にバーコード読み取り装置を備えさせるようにし、見本シートSSに塗料販売者と塗料番号と仲介店舗番号をエンコードしたバーコードを印刷するようにすれば、塗料購入者等の入力の手間を省くことができる。
H6.変形例6
図38は、変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示している。本変形例においては、仲介店舗のコンピュータ20は備えられておらず、見本シート印刷処理を行う指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3が塗料購入者のコンピュータ30にて実行されている。すなわち、見本シートSSの印刷を塗料購入者のコンピュータ30によって行うようにしてもよい。この場合、塗料購入者は仲介店舗に行なかくて済む。本変形例では、見本シートSSの印刷にかかる手間や消耗品の負担は塗料購入者自身が負えばよいため、消耗品データ送信モジュールM4と支払モジュールM9と消耗品補充モジュールM10が実行されない。
H7.変形例7
図39は、変形例にかかる塗料購入システムのソフトウェア構成を示している。本変形例においては、仲介店舗のコンピュータ20は備えられておらず、見本シート印刷処理を行う指定モジュールM1と見本印刷モジュールM2と情報印刷モジュールM3が塗料販売者のコンピュータ10にて実行されている。すなわち、見本シートSSの印刷を塗料販売者のコンピュータ10によって行うようにしてもよい。本変形例では、見本シートSSの印刷にかかる手間や消耗品の負担は塗料販売者自身が負えばよいため、消耗品データ送信モジュールM4と支払モジュールM9と消耗品補充モジュールM10が実行されない。
I.まとめ
以上説明したように、本発明の商品取引システムでは、購入者と販売者と仲介店舗と印刷管理者のためのコンピュータが通信回線によって相互に接続される。そして、前記仲介店舗のコンピュータは、見本印刷手段と情報印刷手段と消耗品データ送信手段とを具備する。前記見本印刷手段は商品の見本を印刷装置にて印刷させ、前記情報印刷手段は前記商品を識別する識別情報を前記見本に印刷する。そして、前記消耗品データ送信手段は前記見本の印刷によって消費した消耗品を特定する消耗品データを前記印刷管理者のコンピュータに送信する。一方、前記購入者のコンピュータは、前記見本に印刷された前記識別情報を前記販売者のコンピュータに送信する購入手段を具備する。前記販売者のコンピュータは、特定手段と請求手段を具備する。この特定手段は、送信された前記識別情報に基づいて、指定された前記商品と前記見本を印刷した前記仲介店舗を特定する。前記請求手段は、特定した前記商品の対価の請求を前記購入者に対して行う。これにより、前記購入者と前記販売者との間での購入と代金の支払いが完了する。
さらに、前記印刷管理者のコンピュータに消耗品補充手段と精算手段とが備えられ、当該消耗品補充手段は前記消耗品データを受信し、前記見本の印刷によって消費した消耗品の補充を行う。そして、前記精算手段は、補充した消耗品の対価を前記販売者に請求する。このようにすることにより、前記仲介者に対して消耗品を補充し、その補充に要した費用を、前記商品の代金の支払いを前記購入者から受ける前記販売者に請求することができる。すなわち、前記販売者から見れば、前記消耗品の対価は前記商品を販売するのに要したコストであると考えることができ、当該コストを前記販売者がスムーズに負担することが可能となる。
本発明の商品は、印刷物としての見本によって表現可能なものであればよく、例えば塗料などはべた印刷した見本によって塗布面の状態を再現することができる。むろん、商品の写真を見本とする場合には、一般的な家庭用品や電機製品等の種々の見本を印刷することができる。このような見本を集合させたものが、いわゆる商品カタログであり、本発明によればカタログ印刷における消耗品コストをスムーズに精算することが可能なシステムを提供することができる。
前記見本を印刷させるための具体的手法として、前記商品と前記見本を印刷する際に前記印刷装置が使用する色材量との対応関係を規定したデータベースを予め用意しておき、このデータベースを参照することにより得られた前記色材量によって前記印刷装置に前記見本を印刷させるようにしてもよい。このデータベースは、前記印刷管理者と前記販売者と前記仲介者のいずれにおいて管理されてもよいが、商品の更新に柔軟に対応するために前記印刷管理者か前記販売者において管理されるのが望ましい。さらに、前記塗料に対応付けられた前記色材量が前記印刷装置の機体ごとに補正されるようにし、前記見本の再現精度の機体ばらつきを抑えるようにしてもよい。
さらに、前記仲介店舗のコンピュータにおいて少なくとも前記見本印刷手段と前記情報印刷手段を機能させるために必要なデータを提供し、その提供についての対価を前記販売者に請求する。このようにすることにより、前記印刷管理者が前記見本印刷手段と前記情報印刷手段を使用するためのライセンス料を得ることができる。さらに、前記消耗品補充手段が補充を行うにあたり、補充頻度が調整できるのが望ましい。そのため、前記仲介者において消費した消耗品の累計が所定の補充単位に達したとき、消耗品の補充を行うようにしてもよい。
さらに、本発明の好適な具体例として、前記見本を前記印刷装置にて印刷させる際に画像データを生成するにあたり、塗料の前記見本に対応する領域の画素については当該塗料を一意に特定する情報を格納させるようにする。一般的に印刷の際にレンダリングされる画像データは、印刷色を所定の色空間で特定する情報を有する画素で構成されるが、前記見本として再現すべき塗料の性質は色だけではない。具体的には、塗料の分光反射率やメタメリズムも再現すべきであり、画像データにおいて印刷色で前記見本を印刷する画素を表現した時点で、分光反射率やメタメリズムの情報が失われることとなる。そのため、レンダリングした画像データにおいても、前記見本に対応する領域の画素については、塗料そのものを特定可能な情報を格納させるようにする。一方、前記識別情報を記録する領域の画素については、通常通り印刷色を所定の色空間で特定する情報を格納すればよい。
さらに、本発明の技術的思想は、具体的なハードウェアシステムまたはシステムを構成するコンピュータにて具現化されるのみならず、そのシステムにて行われる方法としても具現化することができる。すなわち、上述したシステムが行う各手段に対応する工程を有する方法としても本発明を特定することができる。むろん、上述したシステムがプログラムを読み込んで上述した各手段を実現する場合には、当該各手段に対応する機能を実行させるプログラムや当該プログラムを記録した各種記録媒体においても本発明の技術的思想が具現化できることは言うまでもない。
10,20,30,40…コンピュータ、11,21,31,41…CPU、12,22,32,42…RAM、13,23,33,43…ROM、14,24,34,44…HDD、15,25,35,45…通信I/F、16,26,36,46…ビデオI/F、17,27,37,47…入力機器I/F、28,48…汎用I/F、19,29,39,49…バス、16a,26a,36a,46a…ディスプレイ、17a,27a,37a,47a…キーボード、17b,27b,37b,47b…マウス、M1…指定モジュール、M2…見本印刷モジュール、M3…情報印刷モジュール、M4…消耗品データ送信モジュール、M5…購入モジュール、M6…特定モジュール、M7…納品モジュール、M8…請求モジュール、M9…支払モジュール、M10…消耗品補充モジュール、M1a…色彩値特定モジュール、M1b…光源取得モジュール、M1c…塗料特定モジュール,INT…インターネット。

Claims (8)

  1. 購入者と販売者と仲介店舗と印刷管理者のためのコンピュータが通信回線によって相互に接続された商品取引システムであって、
    前記仲介店舗のコンピュータは、
    商品の見本を印刷装置にて印刷させる見本印刷手段と、
    前記商品を識別する識別情報を前記見本に印刷する情報印刷手段と、
    前記見本の印刷によって消費した消耗品を特定する消耗品データを前記印刷管理者のコンピュータに送信する消耗品データ送信手段を具備し、
    前記購入者のコンピュータは、
    前記見本に印刷された前記識別情報を前記販売者のコンピュータに送信する購入手段を具備し、
    前記販売者のコンピュータは、
    送信された前記識別情報に基づいて、指定された前記商品と前記見本を印刷した前記仲介店舗を特定する特定手段と、
    特定した前記商品の対価の請求を前記購入者に対して行う請求手段とを具備し、
    前記印刷管理者のコンピュータは、
    前記消耗品データを受信し、前記見本の印刷によって消費した消耗品の補充を行う消耗品補充手段と、
    補充した消耗品の対価を前記販売者に請求する精算手段とを具備することを特徴とする商品取引システム。
  2. 前記商品は塗料であることを特徴とする請求項1に記載の商品取引システム。
  3. 前記見本印刷手段は、前記商品と前記見本を印刷する際に前記印刷装置が使用する色材量との対応関係を規定したデータベースを参照することにより得られた前記色材量によって前記印刷装置に前記見本を印刷させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の商品取引システム。
  4. 前記印刷管理者のコンピュータは、
    前記データベースにおいて前記商品に対応付けられた前記色材量を、前記印刷装置の機体ごとに補正し、
    前記見本印刷手段は、
    当該補正した前記データベースを参照することを具備することを特徴とする請求項3に記載の商品取引システム。
  5. 前記印刷管理者のコンピュータは、
    前記仲介店舗のコンピュータにおいて少なくとも前記見本印刷手段と前記情報印刷手段を機能させるために必要なデータを提供し、その提供についての対価を前記販売者に請求することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の商品取引システム。
  6. 前記消耗品補充手段は、
    前記仲介者において消費した消耗品の累計が所定の補充単位に達したとき、消耗品の補充を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の商品取引システム。
  7. 前記見本印刷手段は、前記見本を前記印刷装置にて印刷させるにあたり印刷画像に対応する画像データを生成するとともに、当該画像データにおいて商品の前記見本に対応する領域の画素は当該商品を一意に特定する情報を有し、当該画像データにおいて前記識別情報を記録する領域の画素は印刷色を所定の色空間で特定する情報を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の商品取引システム。
  8. 仲介店舗のコンピュータと通信回線によって相互に接続された印刷管理者のコンピュータであって、
    前記仲介店舗のコンピュータが備える印刷装置により塗料の見本が印刷されたことにより消費された消耗品を特定する消耗品データに基づいて、前記見本の印刷によって消費した消耗品の補充を行う消耗品補充手段と、
    補充した消耗品の対価を請求する精算手段とを具備することを特徴とするコンピュータ。
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