A.印刷システム:
A1.印刷システムの構成:
図1は、本実施形態の印刷システムPSを示す説明図である。印刷システムPSは、構成要素として、プリンタープロバイダーPPと、メディアベンダーMVと、印刷設定ベンダーPSVと、印刷業者PCa,PCbと、印刷業者PCaの営業所PCaoと、印刷業者PCaの子会社PCasと、管理サーバーSvと、注文者OPを含む。印刷業者PCaの子会社PCasを印刷業者PCasとも表記する。
プリンタープロバイダーPPは、プリンターを製造し外部に供給する会社である(図1の下段右部参照)。具体的には、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定ベンダーPSV、メディアベンダーMV、印刷業者PCa,PCb、印刷業者PCaの営業所PCao、および印刷業者PCaの子会社PCasにおいて使用されるプリンター200,300を提供する。プリンター200,300は、インクジェットプリンターである。
プリンタープロバイダーPPが製造したプリンター200は、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて印刷物を量産するために使用される。印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて使用されるプリンター200を、それぞれ「プリンター200a,200b,200as」と表記する(図1の下段左部参照)。
プリンタープロバイダーPPが製造したプリンター200は、印刷設定ベンダーPSV、メディアベンダーMV、プリンタープロバイダーPPおよび管理サーバーSvにおいて印刷設定情報Ipsを生成するために使用される。印刷設定ベンダーPSVにおいて使用されるプリンター200を、「プリンター200psv」と表記する。メディアベンダーMVにおいて使用されるプリンター200を、「プリンター200v」と表記する。プリンタープロバイダーPPにおいて使用されるプリンター200を、「プリンター200pp」と表記する。管理サーバーSvにおいて使用されるプリンター200を、「プリンター200s」と表記する(図1の上段右部、上段中央部、および下段右部参照)。
プリンター200a,200b,200as,200psv,200v,200pp,200sは、同一の機種のプリンターである。本明細書において、プリンター200a,200b,200as,200psv,200v,200pp,200sを区別せずに表記する場合には、「プリンター200」と表記する。プリンター200は、プリンター200が生成した印刷物における印刷の状態を測定するためのセンサーを備える。プリンター200は、具体的には、印刷物に付された色を測色するための分光測色器と、印刷物上に形成された画像を撮影するためのデジタルスチルカメラと、を備える。
プリンタープロバイダーPPが製造したプリンター300は、印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて、印刷見本を生成するために使用される(図1の中段左部参照)。
プリンタープロバイダーPPは、コンピューター100ppと、表示装置115ppと、入力装置116ppと、プリンター200ppと、有している(図1の下段右部参照)。コンピューター100ppは、プリンター200ppを制御する。コンピューター100ppは、プロセッサーであるCPU111pp、ROM112pp、およびRAM113ppを備える。本明細書において、「RAM」は、半導体メモリーと、固定ディスクとを含む。
コンピューター100ppには、プリンター200ppを制御するためのプログラム、ならびに印刷設定ベンダーPSV、メディアベンダーMVおよび印刷業者PCa,PCbとの間の対価Pcv,Pcr,Pcr2,Pcp1,Pcp2を管理するためのプログラムがインストールされている。コンピューター100ppにおいては、ハードウェア資源としてのCPU111pp、RAM113pp、およびROM112ppと、制御プログラムとが協働する。具体的には、CPU111ppが、ROM112ppまたは固定ディスクであるRAM113ppに記憶されたコンピュータープログラムを、半導体メモリーであるRAM113ppにロードして実行することによって、様々な機能を実現する。CPU111ppが取得または生成した情報は、RAM113ppに格納される。
メディアベンダーMVは、様々な種類の印刷媒体MDを製造し外部に供給する会社である(図1の上段右部参照)。図1においては、メディアベンダーMVは、一つの構成要素として描かれている。しかし、実際には、メディアベンダーMVは、同様の機能を奏し互いに競争関係にある複数の企業である。
印刷媒体MDは、ロールされた長尺の媒体と、シート状の媒体とを含む。メディアベンダーMVは、印刷業者PCa,PCb,PCasならびに印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて使用される印刷媒体MDを提供する。メディアベンダーMVが製造した印刷媒体MDは、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて印刷物を量産するために使用される(図1の中央部参照)。メディアベンダーMVが製造した印刷媒体MDは、印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて印刷見本を生成するために使用される(図1の中段左部参照)。
同じ画像データに基づいて印刷が行われた場合であっても、使用されるプリンターの機種、使用される印刷媒体MD、プリンターにおいて使用される印刷モードなどの組み合わせにより、印刷媒体上に表現される印刷結果の外観は異なる。なお、「印刷媒体MD」は、異なる種類の印刷媒体を含む総称である。
メディアベンダーMVは、コンピューター100vと、表示装置115vと、入力装置116vと、プリンター200vと、有している(図1の上段右部参照)。コンピューター100vは、プリンター200vを制御する。コンピューター100vは、プロセッサーであるCPU111v、ROM112v、およびRAM113vを備える。
コンピューター100vには、プリンター200vを制御するためのプログラムがインストールされている。コンピューター100vにおいては、ハードウェア資源としてのCPU111v、RAM113v、およびROM112vと、制御プログラムとが協働する。具体的には、CPU111vが、ROM112vまたは固定ディスクであるRAM113vに記憶されたコンピュータープログラムを、半導体メモリーであるRAM113vにロードして実行することによって、様々な機能を実現する。CPU111vが取得または生成した情報は、RAM113vに格納される。
印刷設定ベンダーPSVは、プリンター200と印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルを提供する。具体的には、印刷設定ベンダーPSVは、様々な種類のプリンター200と様々な種類の印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルを含む印刷設定情報Ipsを生成し、外部に供給する会社である(図1の中段右部参照)。図1においては、印刷設定ベンダーPSVは、一つの構成要素として描かれている。しかし、実際には、印刷設定ベンダーPSVは、同様の機能を奏し互いに競争関係にある複数の企業である。
印刷設定ベンダーPSVは、メディアベンダーMV、印刷業者PCa,PCb,PCasならびに印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて印刷の際に使用される印刷設定情報Ipsを提供する。印刷設定ベンダーPSVが生成した印刷設定情報Ipsは、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて、印刷物を量産するために使用される(図1の中央部参照)。印刷設定ベンダーPSVが生成した印刷設定情報Ipsは、印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて、印刷見本を生成するために使用される(図1の中段左部参照)。
印刷設定ベンダーPSVは、コンピューター100psvと、表示装置115psvと、入力装置116psvと、プリンター200psvと、有している(図1の中段右部参照)。コンピューター100psvは、プリンター200psvを制御する。コンピューター100psvは、プロセッサーであるCPU111psv、ROM112psv、およびRAM113psvを備える。
コンピューター100psvには、プリンター200psvを制御するためのプログラムがインストールされている。コンピューター100psvにおいては、ハードウェア資源としてのCPU111psv、RAM113psv、およびROM112psvと、制御プログラムとが協働する。具体的には、CPU111psvが、ROM112psvまたは固定ディスクであるRAM113psvに記憶されたコンピュータープログラムを、半導体メモリーであるRAM113psvにロードして実行することによって、様々な機能を実現する。CPU111psvが取得または生成した情報は、RAM113psvに格納される。
印刷業者PCa,PCbは、印刷物を生成する会社である(図1の下段左部参照)。印刷業者PCa,PCbは、注文者OPから印刷物PMを製造するジョブJbの依頼を受けて(図1の下段中央部参照)、プリンター200a,200bおよびプロファイルを使用して、印刷媒体MDに印刷を行う。印刷業者PCaは、自らが保持するプリンター200aによる印刷に加えて、印刷業者PCaの子会社である印刷業者PCasが保持するプリンター200asによる印刷によって、注文者OPから依頼された印刷物PMを生成することができる。
印刷業者PCaは、コンピューター100aと、表示装置115aと、入力装置116aと、プリンター200aと、有している。コンピューター100aは、プリンター200aを制御する。コンピューター100aは、プロセッサーであるCPU111a、ROM112a、およびRAM113aを備える。
コンピューター100aには、プリンター200aを制御するためのプログラムがインストールされている。コンピューター100aにおいては、ハードウェア資源としてのCPU111a、RAM113a、およびROM112aと、制御プログラムとが協働する。具体的には、CPU111aが、ROM112aまたは固定ディスクであるRAM113aに記憶されたコンピュータープログラムを、半導体メモリーであるRAM113aにロードして実行することによって、様々な機能を実現する。CPU111aが取得または生成した情報は、RAM113aに格納される。
印刷業者PCbは、コンピューター100bと、表示装置115bと、入力装置116bと、プリンター200bと、有している。印刷業者PCbにおいて、コンピューター100b、表示装置115b、入力装置116b、およびプリンター200bが奏する機能は、印刷業者PCaにおいて、コンピューター100a、表示装置115a、入力装置116a、プリンター200aが奏する機能と同じである。印刷業者PCb,PCas、ならびに営業所PCaoが有する構成において、印刷業者PCaが有する構成と対応する構成は、それぞれ末尾の「a」に代えて、「b」、「as」、「ao」を付して示す。
印刷業者PCasは、印刷物を生成する会社である。印刷業者PCasは、親会社である印刷業者PCaから印刷物を製造するジョブJbの依頼を受けて、プリンター200asを使用して、印刷媒体MDに印刷を行う(図1の下段左部参照)。印刷業者PCasは、コンピューター100asと、表示装置115asと、入力装置116asと、プリンター200asと、有している。印刷業者PCasにおいて、コンピューター100as、表示装置115as、入力装置116as、およびプリンター200asが奏する機能は、印刷業者PCaにおいて、コンピューター100a、表示装置115a、入力装置116a、プリンター200aが奏する機能と同じである。
営業所PCaoは、印刷業者PCaの営業所である(図1の中段左部参照)。営業所PCaoにおいては、印刷業者PCaの担当者と注文者OPによる打合せが行われ、印刷業者PCaに依頼されるジョブJbの内容が特定される。具体的には、印刷業者PCaの担当者と注文者OPによる打合せにおいて、プリンター300によって生成された印刷見本によって、印刷業者PCaに依頼されるジョブJbの内容が特定される。
営業所PCaoは、コンピューター100aoと、表示装置115aoと、入力装置116aoと、プリンター300と、有している。営業所PCaoにおいて、コンピューター100ao、表示装置115ao、入力装置116ao、およびプリンター300が奏する機能は、印刷業者PCaにおいて、コンピューター100a、表示装置115a、入力装置116a、プリンター200aが奏する機能と同様である。
営業所PCaoにおいて使用されるプリンター300の機種と、印刷業者PCa,PCasにおいて印刷物の量産のために使用されるプリンター200a,200asの機種とは、異なっている。営業所PCaoにおいて使用される印刷媒体MDと、印刷業者PCa,PCasにおいて使用される印刷媒体MDとは、本実施形態においては、同一である。営業所PCaoは、印刷業者PCaからプリンター300および印刷媒体MDの供給を受ける。
管理サーバーSvは、プリンタープロバイダーPPと、メディアベンダーMVと、印刷設定ベンダーPSVと、印刷業者PCa,PCbと、印刷業者PCaの営業所PCaoと、印刷業者PCaの子会社PCasと、の間で情報を送受信できるコンピューターシステムである(図1の上段中央部参照)。管理サーバーSvは、プリンタープロバイダーPP、メディアベンダーMV、印刷設定ベンダーPSVと、印刷業者PCa,PCb、印刷業者PCaの営業所PCao、および印刷業者PCaの子会社PCasと、ネットワークを介して接続されている。管理サーバーSvは、プリンタープロバイダーPP、メディアベンダーMV、印刷設定ベンダーPSVと、印刷業者PCa,PCb、印刷業者PCaの営業所PCao、および印刷業者PCaの子会社PCasから得た情報を処理し、記憶する。
管理サーバーSvは、コンピューター100sと、表示装置115sと、入力装置116sと、プリンター200sと、有している。管理サーバーSvにおいて、表示装置115s、入力装置116s、およびプリンター200sが奏する機能は、印刷業者PCaにおいて、表示装置115a、入力装置116a、プリンター200aが奏する機能と同じである。管理サーバーSvは、プリンター200s以外に、プリンタープロバイダーPPから提供される様々な機種のプリンターを備えている。
コンピューター100sは、印刷業者PCaにおいてコンピューター100aが奏する機能に加えて、印刷設定ベンダーPSVのコンピューター100psvと、メディアベンダーMVのコンピューター100vと、印刷業者PCa,PCb,PCasのコンピューター100,100b,100asと、営業所PCaoのコンピューター100aoとの間で、情報を送受信する機能を奏する。
コンピューター100sは、プロセッサーであるCPU111s、ROM112s、およびRAM113sを備える。コンピューター100sには、上述の情報の送受信を行うためのプログラム、およびプリンター200sを制御するためのプログラムが、インストールされている。コンピューター100sにおいては、ハードウェア資源としてのCPU111s、RAM113s、およびROM112sと、制御プログラムとが協働する。具体的には、CPU111sが、ROM112sまたは固定ディスクであるRAM113sに記憶されたコンピュータープログラムを、半導体メモリーであるRAM113sにロードして実行することによって、様々な機能を実現する。CPU111sが取得または生成した情報は、RAM113sに格納される。
A2.印刷システムにおける処理:
(1)印刷設定情報の生成およびアップロード:
プリンタープロバイダーPPは、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTを用意し、印刷設定ベンダーPSVに、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTを提供する(図1の下段右部参照)。プロファイル作成ツールPMTは、プリンター200,300による印刷を行う際に使用されるプロファイルを作成するためのソフトウェアである。プロファイル作成ツールPMTは、具体的には、コンピューター100psvのCPU111psvにおいて実行される。プロファイルについては、後に説明する。
印刷設定ベンダーPSVは、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTとを使用して、プリンター200psvとメディアベンダーMVが製造する様々な種類の印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルを作成する。プロファイルは、印刷データに基づいて、印刷媒体MDに印刷を行う場合に、プリンター200psvが最も望ましい色再現を行うための色変換の情報を含む。印刷設定ベンダーPSVは、そのプロファイルを含む印刷設定情報Ipsを作成し、管理サーバーSvに記憶させるために、管理サーバーSvに印刷設定情報Ipsを送信する(図1の上段中央部参照)。
このような処理は、メディアベンダーMVが提供する印刷媒体MDの種類ごとに行われる。その結果、管理サーバーSvには、プリンターと印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルをそれぞれ含む1以上の印刷設定情報Ipsが記憶される。印刷設定ベンダーPSVは、管理サーバーSvに記憶させる印刷設定情報Ipsの数に応じた対価Pcvを、プリンタープロバイダーPPに支払う(図1の下段右部参照)。具体的な対価Pcvの支払いの処理は、管理サーバーSvを介して行われる。
このような処理を行うことにより、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定ベンダーPSVが印刷システムPSを活用した程度に応じた対価Pcvを得ることができる。印刷設定ベンダーPSVは、プリンタープロバイダーPPに支払う対価Pcvの増加に応じて、印刷システムPSを活用して印刷業者PCa,PCb,PCasによる印刷媒体MDの利用の促進を、より図ることができる。その結果、プリンタープロバイダーPPから得られる報酬Pcrが増加する。このため、印刷設定情報Ipsの数の増加に応じた対価Pcvの増加は、印刷設定ベンダーPSVにとって大きな負担と感じられにくい。
印刷設定ベンダーPSVは、管理サーバーSvに印刷設定情報Ipsを送信する処理において、印刷業者PCa,PCb,PCasのうち、管理サーバーSvからその印刷設定情報Ipsをダウンロードすることができる1以上の印刷業者を指定して、印刷設定情報Ipsを送信する処理を実行することができる。管理サーバーSvは、記憶している印刷設定情報Ipsであって、ダウンロードすることができる印刷業者が指定されて印刷設定ベンダーPSVから送信された印刷設定情報Ipsについては、指定された印刷業者のみにダウンロードを認める(図1の中段左部参照)。
たとえば、特別なインクを使用するための印刷設定情報Ipsの生成を印刷業者PCaから依頼された印刷設定ベンダーPSVは、その特別なインクに応じた印刷設定情報Ipsを生成して、ダウンロードできる印刷業者として印刷業者PCaおよび印刷業者PCaの子会社PCasのみを指定して、管理サーバーSvに印刷設定情報Ipsを送信する。そして、管理サーバーSvは、その印刷設定情報Ipsについては、印刷業者PCaおよび印刷業者PCaの子会社PCasのみにダウンロードを認める。印刷設定ベンダーPSVが、特別な印刷媒体に対応した印刷設定情報Ipsの生成を印刷業者PCaから依頼された場合にも、印刷設定ベンダーPSVおよび管理サーバーSvは、同様の処理を行うことができる。
このような処理を行うことにより、印刷設定ベンダーPSVは、印刷設定ベンダーPSVとの間で特定の関係にある1以上の印刷業者のみに対して、印刷設定情報Ipsを提供することができる。指定された1以上の印刷業者は、他の印刷業者が使用できない印刷設定情報Ipsを利用することができる。
なお、以上で説明した印刷設定ベンダーPSVによって行われる処理は、印刷媒体MDを製造する会社であるメディアベンダーMVによって行われてもよい。すなわち、メディアベンダーMVが、プリンタープロバイダーPPから、プリンター200vとプロファイル作成ツールPMTの提供を受けて、印刷設定情報Ipsを生成してもよい(図1の上段右部参照)。
また、以上で説明した印刷設定ベンダーPSVによって行われる処理は、プリンタープロバイダーPPによっても行われる。プリンタープロバイダーPPが、プリンター200ppとプロファイル作成ツールPMTとを使用して、プリンター200ppと、メディアベンダーMVまたはプリンタープロバイダーPPが提供する様々な種類の印刷媒体MDと、の組み合わせに応じたプロファイルを作成する。プリンタープロバイダーPPは、そのプロファイルを含む印刷設定情報Ipsを作成し、管理サーバーSvに記憶させるために、管理サーバーSvに印刷設定情報Ipsを送信する(図1の下段右部参照)。このような処理は、メディアベンダーMVまたはプリンタープロバイダーPPが提供する印刷媒体MDの種類ごとに行われる。
図2は、管理サーバーSvに記憶される印刷設定情報Ipsの構成を示す説明図である。印刷設定情報Ipsは、対象とするプリンターの機種の情報1010、対象とする印刷媒体の種類の情報1020、対象とするプリンターにおいて使用されるべきインクの種類の情報1030、対象とするプリンターにおいて使用されるべき印刷モードの情報1040、対象とするプリンターにおける媒体の送り速度を含むプリンターの動作設定パラメーターの情報1050、対象とするプリンターのプロファイルの情報1060を含む。
印刷設定情報Ipsは、さらに、印刷設定情報Ipsを作成した作成者を表す作成者ID1110、印刷設定情報Ipsを作成した際の作成方法の情報1120、および印刷設定情報Ipsを使用して印刷を行った場合の印刷結果の品質を表す品質レベル情報1130を含む。これら作成者ID1110、作成方法の情報1120、品質レベル情報1130は、具体的には、プロファイル1060内に含まれるタグとして、印刷設定情報Ipsに含まれている。
印刷モードの情報1040によって特定される印刷モードは、プリンターの動作モードである。印刷モードごとに、(i)プリンターの全ノズルのうち印刷において使用されるノズル、(ii)副走査送り量、(iii)印刷における印刷パス数、(iv)印刷媒体上に形成されるインクドットの解像度、などが設定されている。「印刷パス数」は、印刷媒体上の1行のラスタラインを形成する際に行われる主走査の回数である。インクドットの「解像度」は、単位長さ、たとえば、1インチ当たりに形成し得るインクドットの数である。
「主走査」とは、印刷において繰り返される印刷媒体と印刷ヘッドとの相対送りであって、印刷媒体が印刷ヘッドと向かい合う位置に搬送される際の送り方向とは垂直な方向に沿って実行される、相対送りである。一部のプリンターにおいては、印刷に際して、主走査が行われない。「副走査」とは、印刷において繰り返される印刷媒体と印刷ヘッドとの相対送りであって、印刷媒体が印刷ヘッドと向かい合う位置に搬送される際の送り方向と平行な方向に沿って実行される、相対送りである。一部の印刷モードにおいては、副走査送り量は、一定値であり、他の印刷モードにおいては、副走査送り量は、実行の順番が定められた複数の量の組み合わせである。主走査と副走査により、印刷ヘッドのノズルが印刷媒体に対して様々な位置に配され、印刷媒体の様々な位置にインク滴が吐出される。
プリンターの動作設定パラメーターの情報1050には、プリンターにおける媒体の搬送速度に加えて、プリンターについて想定されている使用環境の温度の上限値、そのプリンターに供給される印刷媒体の滑りやすさ、プリンターにおいて印刷時に印刷媒体を押圧する力の大きさ、プリンターにおいて印刷時に印刷媒体にかける張力の大きさが、含まれる。
作成者ID1110は、印刷設定情報Ipsの作成者を表す。印刷設定情報Ipsの作成者は、印刷設定情報Ipsの作成に際して使用されたプロファイル作成ツールPMTのライセンシーである(図1の中段右部参照)。作成者ID1110は、プロファイル作成ツールPMTが印刷設定情報Ipsを生成する際に、プロファイル作成ツールPMTによって自動的に印刷設定情報Ipsに格納される。作成者IDは、プロファイル作成ツールPMTが印刷設定ベンダーPSVに提供された際に、あらかじめプロファイル作成ツールPMT内に格納されている。
作成者IDは、プロファイル作成ツールPMTの提供を受ける印刷設定ベンダーPSVごとに異なっている。すなわち、作成者IDは、プロファイル作成ツールPMTの使用を許諾された印刷設定ベンダーPSVと、1対1に対応づけることができる。印刷設定ベンダーPSVの従業員である作業者個人ごとに、作成者IDを割り当てることもできる。管理サーバーSvから印刷設定情報Ipsをダウンロードした印刷業者PCa,PCb,PCasは、印刷設定情報Ips内の作成者ID1110に基づいて、印刷設定情報Ipsの作成者を知ることができる(図1の下段左部参照)。
品質レベル情報1130は、印刷結果についての色再現精度、色再現範囲、階調特性、粒状性、およびインク滲みの評価値を含む。品質レベル情報1130を作成するために、印刷設定ベンダーPSVは、以下の処理を行う。
印刷設定ベンダーPSVは、プリンター200psvを使用して、印刷媒体MDに、カラーチャートの印刷を行う。カラーチャートの印刷データは、プリンター200を制御するアプリケーションソフトウェアにあらかじめ格納されている。
印刷設定ベンダーPSVは、カラーチャートの印刷結果をプリンター200psvのセンサーで測定して、センサーの出力に基づいて、印刷結果についての評価値を決定する。具体的には、分光測色器の出力に基づいて、色再現精度、色再現範囲、階調特性が評価される。デジタルスチルカメラの出力に基づいて、粒状性とインク滲みが評価される。センサーの出力に基づいて決定された各項目の評価値が、品質レベル情報1130として、印刷設定情報Ipsに格納される。
「色再現精度」は、ターゲットとなる色彩値のデータによって印刷が指示された場合に、実際に印刷物上で再現された色の測色値と、その色彩値との色の差に基づいて評価される。
「階調特性」は、グラデーションの再現性である。たとえば、濃度が一定量ずつ減少するように色データが作成されている一連のパッチを含むカラーチャートのデータにしたがって印刷が行われた場合、その印刷に使用されたプロファイルの「階調特性」は、以下のように評価される。印刷結果としての一連のパッチにおいて、色データにおいては、明度が減少しているべきパッチの組み合わせであるにもかかわらず、印刷結果において明度が減少していないパッチの組み合わせが1以上存在する場合には、そのようなパッチの組み合わせの数に応じて、プロファイルの「階調特性」の評価は低下する。
すなわち、色データにおいて明度が減少している複数の色について、印刷結果において明度が単調減少していない場合には、プロファイルの「階調特性」の評価は低下する。色データにおいて明度が増加している複数の色について、印刷結果において明度が単調増加していない場合には、プロファイルの「階調特性」の評価は低下する。この評価において、印刷結果における明度の単調減少または単調増加の曲線は、上に凸のカーブであってもよいし、下に凸のカーブであってもよいし、線形であってもよい。なお、「階調特性」は、ある色から他の色、たとえば、黄色から赤色への、推移のグラデーションについても、同様に評価されることができる。
「階調特性」にはリニア性が含まれる。「リニア性」とは、入力となるインク量のデータの変化に対して、印刷媒体上に表された色彩の変化が、線形に近いことの指標である。
印刷設定情報Ipsは、管理サーバーSvにインストールされている印刷設定情報Ipsを管理するためのアプリケーションソフトウェアによらなければ、改変することができないように構成されている。たとえば、情報1110、1120,1130を含む印刷設定情報Ipsが格納する情報の少なくとも一部は、専用のアプリケーションソフトウェアによらなければ、他の情報と区別することができない状態で、印刷設定情報Ipsに格納されている。その結果、第三者による印刷設定情報Ips内の情報の改ざんが防止される。
印刷設定情報Ipsは、暗号化されている。このため、印刷設定情報Ipsは、管理サーバーSvにインストールされている印刷設定情報Ipsを管理するためのアプリケーションソフトウェア、または印刷業者PCa,PCb,PCasに提供される印刷設定情報Ipsを利用してプリンター200で印刷を行うためのアプリケーションソフトウェアによらなければ、利用することができない。
印刷設定ベンダーPSVは、管理サーバーSvに印刷設定情報Ipsをアップロードすると、または印刷設定情報Ipsをアップロードするのに先立って、印刷設定情報Ipsの生成の際にプリンター200psvで使用した印刷媒体MDのサンプルを、管理サーバーSvに送付する。
なお、以上で説明した印刷設定ベンダーPSVによって行われる処理は、メディアベンダーMVおよびプリンタープロバイダーPPによっても行われる。
(2)印刷設定情報の確認および記憶:
図3は、管理サーバーSvにおける印刷設定情報Ipsの確認および記憶の処理を示すフローチャートである。管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから印刷設定情報Ipsを受信すると、印刷設定情報Ipsの内容を確認する処理を行う(図1の上段中央部参照)。
図3のステップS110において、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷設定情報Ipsの作成方法に関する条件を満たすか否かを判断する。
印刷設定情報Ipsが作成方法に関する条件を満たさない場合には、たとえば、(i)印刷設定情報Ipsが印刷設定ベンダーPSVにライセンスされた正規のプロファイル作成ツールPMTで作成されていない場合、(ii)印刷設定情報Ipsが正規のプロファイル作成ツールPMTで作成されているが、あらかじめ定められた手順を経て作成されていない場合、が含まれる。ステップS110の判定は、印刷設定情報Ipsに含まれている作成方法の情報1120などの、プロファイル1060のタグに格納されている履歴の情報に基づいて行うことができる(図2参照)。
印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、印刷設定情報Ipsの生成方法に関する条件を満たす場合には、処理はステップS120に進む。印刷設定情報Ipsが作成方法に関する条件を満たさない場合には、処理はステップS170に進む。
ステップS170において、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsを記憶せず、印刷設定情報Ipsが管理サーバーSvに記憶されなかった旨の通知を、印刷設定情報Ipsを送信した印刷設定ベンダーPSVに対して行う。その際、印刷設定情報Ipsが管理サーバーSvに記憶されなかった理由も、印刷設定ベンダーPSVに通知される。
ステップS120において、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷結果に関する条件を満たすか否かを判断する。なお、ステップS110において判定される印刷設定情報Ipsの生成方法に関する条件と、ステップS120において判定される印刷結果に関する条件とを、まとめて「登録条件」と呼ぶ。
ステップS120において、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから送信された印刷設定情報Ipsにしたがって、プリンター200sでカラーチャートの印刷を行う。カラーチャートの印刷データは、プリンター200を制御するアプリケーションソフトウェアにあらかじめ格納されている。
印刷においては、管理サーバーSvが保持している様々な機種のプリンターのうち、印刷設定情報Ipsに格納されているプリンターの機種の情報1010に一致する機種のプリンターが使用される。印刷設定ベンダーPSVから受領した様々な印刷媒体MDのサンプルのうち、印刷設定情報Ips内の印刷媒体の種類の情報1020に対応する印刷媒体MDが使用される。印刷設定情報Ips内のインクの種類の情報1030に一致する種類のインクが使用される。印刷設定情報Ips内の印刷モードの情報1040に一致する印刷モードが使用される。印刷設定情報Ips内の動作設定パラメーターの情報1050に基づいて、プリンターの動作設定が行われる。印刷設定情報Ips内のプロファイルの情報1060にしたがって、色変換が行われる。
管理サーバーSvは、カラーチャートの印刷結果をプリンター200sのセンサーで測定して、センサーの出力に基づいて、印刷結果の品質に関する評価値を決定する。評価値の決定方法は、印刷設定ベンダーPSVにおいて、印刷結果の評価値を決定する際の方法と同じである。
各評価値のすべてが、印刷設定情報Ipsに格納されている品質レベル情報1130の内容と一致しており、それぞれあらかじめ定められた基準範囲内にある場合は、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷結果に関する条件を満たす、と判断する。そうではない場合は、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷結果に関する条件を満たさない、と判断する。
なお、上記評価値が、印刷設定情報Ipsに格納されている品質レベル情報1130の内容と異なっていても、そのずれ量が、それぞれあらかじめ定められた許容範囲内にある場合は、その評価値は、印刷設定情報Ipsに格納されている品質レベル情報1130の内容と一致しているものとして扱われる。
印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、印刷結果に関する条件を満たす場合には、処理は、ステップS150に進む。印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷結果に関する条件を満たさない場合には、処理は、ステップS130に進む。
ステップS130において、管理サーバーSvは、印刷設定情報Ipsを修正して、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成できるか否かを判断する。たとえば、ステップS120で決定した印刷結果の品質に関する評価値が、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsに格納されている品質レベル情報1130の内容と一致していないが、それぞれあらかじめ定められた基準範囲内にある場合は、管理サーバーSvは、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成できると判断する。ステップS120で決定した印刷結果の品質に関する評価値のいずれかが、あらかじめ定められた基準範囲内にない場合は、管理サーバーSvは、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成できないと判断する。
印刷設定情報Ipsを修正して、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成できない場合には、処理は、ステップS170に進む。印刷設定情報Ipsを修正して、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成できる場合には、処理は、ステップS140に進む。
ステップS140において、管理サーバーSvは、印刷設定情報Ipsを修正して、印刷結果に関する条件を満たす印刷設定情報Ipsを生成する。たとえば、ステップS120で決定した印刷結果の品質に関する評価値が、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsに格納されている品質レベル情報1130の内容と一致していないが、それぞれあらかじめ定められた基準範囲内にある場合は、管理サーバーSvは、以下の処理を行う。すなわち、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報Ipsのうち、品質レベル情報1130の各評価値を、ステップS120で決定した印刷結果の品質に関する評価値に書き替えて、新たな印刷設定情報Ipsを生成する(図2参照)。
ステップS120,S130,S140の処理は、管理サーバーSvが行ってもよいし、管理サーバーSvから印刷設定情報Ipsを転送された他の機関または組織が行ってもよい。ステップS120,S130,S140の処理を行う他の機関または組織は、プリンタープロバイダーPP(図1の中段右部参照)であってもよいし、プリンタープロバイダーPP以外の機関または組織であってもよい。ただし、ステップS120,S130,S140の処理を行うプリンタープロバイダーPP以外の機関または組織は、ステップS120,S130,S140の処理を行う資格を、プリンタープロバイダーPPによって認証された機関または組織である。ステップS120,S130,S140の処理を管理サーバーSv以外の機関または組織が行う場合には、その機関または組織は、印刷設定ベンダーPSVから、印刷設定情報Ipsの生成の際にプリンター200psvで使用した印刷媒体MDのサンプルを、送付される。
ステップS150において、管理サーバーSvは、印刷設定情報IpsをRAM113sに記憶する。ステップS140の処理を経ずにステップS150の処理に至った場合には、管理サーバーSvは、印刷設定ベンダーPSVから受信した印刷設定情報IpsをRAM113sに記憶する。ステップS140の処理を経てステップS150の処理に至った場合には、管理サーバーSvは、ステップS140で生成された印刷設定情報IpsをRAM113sに記憶する。その後、処理は終了する。
このような処理を行うことにより、管理サーバーSvから印刷業者PCa,PCb,PCasに提供される印刷設定情報Ipsの品質を、制御することができる。
(3)印刷設定情報Ipsのダウンロードおよび印刷:
印刷業者PCaは、印刷業者PCaにおいて印刷に使用されるプリンター200aと印刷媒体MDとの組み合わせに応じた印刷設定情報Ipsを、管理サーバーSvからダウンロードする(図1の中段左部参照)。印刷業者PCaは、プリンター200aを制御するソフトウェアに、印刷設定情報Ipsに基づく設定を行い、印刷を行う。
より具体的には、印刷業者PCaにおいて印刷に使用される(i)プリンター200aの機種、(ii)印刷媒体MDの種類、および(iii)インクの種類に応じた印刷設定情報Ipsを、印刷業者PCaは、管理サーバーSvからダウンロードする。一方、印刷業者PCaにおいて、ダウンロードされた印刷設定情報Ipsが含む印刷媒体の種類の情報1020にしたがって、印刷に使用される印刷媒体が選択されてもよい。印刷設定情報Ipsが含むインクの種類の情報1030にしたがって、印刷に使用されるインクが選択されてもよい(図2参照)。
印刷業者PCaにおいては、印刷設定情報Ipsが含む印刷モードの情報1040にしたがって、印刷の際に使用される印刷モードが選択される(図2参照)。印刷設定情報Ipsが含む動作設定パラメーターの情報1050にしたがって、印刷の際に使用される設定パラメーターが設定される。印刷設定情報Ipsが含むプロファイルの情報1060を使用して、印刷に使用される画像データの色変換が行われる。各処理は、プリンター200aを制御するためのプログラムがインストールされているコンピューター100aによって、実行される。
印刷設定情報Ipsに格納されている(i)印刷設定情報Ipsの作成者の作成者ID1110、(ii)作成方法の情報1120、(iii)印刷結果の品質を表す品質レベル情報1130については(図2参照)、印刷業者PCaが有するプリンター200aを制御するためのアプリケーションソフトウェアは、読み取り、表示装置115aに表示することができる。このため、印刷業者PCaは、色変換に先立って、それらの情報の内容を確認することができる。
印刷業者PCaによって生成された印刷物PMは、注文者OPに納品される(図1の下段中央部参照)。注文者OPは、印刷業者PCaに印刷物PMの対価Pcp0を支払う。
印刷業者PCbおよび印刷業者PCasも、同様の処理を行って、プリンター200b,200asで印刷を行うことができる。なお、印刷業者PCasは、管理サーバーSvからの印刷設定情報Ipsのダウンロードに代えて、印刷業者PCaから印刷設定情報Ipsを受け取ってもよい(図1の下段左部参照)。
印刷業者PCa,PCb,PCasは、プリンター200a,200b,200asを制御するソフトウェアに、印刷設定情報Ipsに基づく設定を行い、印刷を行うことにより、以下のような利益を得ることができる。すなわち、印刷業者PCa,PCb,PCasは、印刷設定ベンダーPSVやプリンタープロバイダーPPが(i)プリンター200a,200b,200asの機種、(ii)印刷媒体MDの種類、(iii)インクの種類、(iv)印刷モード、および(v)設定パラメーターを決定して、印刷設定情報Ipsを作成した際に達成した高い品質を有する印刷物を、生成することができる。また、印刷業者PCa,PCb,PCasは、自ら試行錯誤してプリンター200a,200b,200asの設定を行う場合に比べて、短時間でプリンター200a,200b,200asの設定を行うことができる。
管理サーバーSvは、複数の印刷設定情報Ipsを記憶している(図1の上段中央部参照)。管理サーバーSvは、印刷設定情報Ipsごとに、印刷業者PCa,PCbによってダウンロードされた回数を測定し、コンピューター100sのRAM113sに記憶している。管理サーバーSvは、印刷業者PCa,PCbから要求に従って印刷設定情報Ipsを印刷業者PCa,PCbに送信するたびに、印刷設定情報Ipsごとに記憶しているダウンロード回数を、1回、増やす。印刷設定情報Ipsごと測定されているダウンロード回数の情報を、集合的にNiとして図1に示す。ダウンロード回数Niは、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとにクリアされ、初めから再びカウントされる。
管理サーバーSvは、複数の印刷設定情報Ipsのうち、一部の印刷設定情報Ipsについては、あらかじめ定められた条件を満たす印刷業者のみにダウンロードを許可することができる。
たとえば、印刷システムPSにおいて、印刷業者は、料金の異なる異なるレベルの契約をシステム管理者と結ぶことができ、一部の印刷設定情報Ipsについては、あるレベル以上の契約を結んでいる印刷業者についてのみ、管理サーバーSvはダウンロードを認めてもよい。そして、管理サーバーSvは他の一部の印刷設定情報Ipsについては、有償の契約を結んでいない印刷業者に対しても、ダウンロードを認めてもよい。
ある印刷設定情報Ipsについては、所有するプリンター200がネットワークに接続されている印刷業者についてのみ、管理サーバーSvはダウンロードを認めてもよい。
各印刷業者におけるプリンター200による印刷の後の工程の種類に応じて、管理サーバーSvはダウンロードを認めてもよい。たとえば、印刷媒体に印刷を行った後、印刷面に透明または半透明な樹脂シートを貼付し、ラミネート加工を行う印刷業者については、印刷設定ベンダーPSVは、そのような工程を実施しない印刷業者向けの印刷設定情報Ipsとは異なる印刷設定情報Ipsを用意することができる。そして、管理サーバーSvは、そのようなラミネート加工を前提とした印刷設定情報Ipsについては、印刷後にラミネート加工を行うことを管理サーバーSvにあらかじめ登録している印刷業者についてのみ、ダウンロードを認めてもよい。
一方、ラミネート加工用の記録媒体がRFID(Radio Frequency IDentifier)やQRコード(登録商標)を備えており、RFIDやQRコードから読み取った情報を、印刷業者が管理サーバーSvに送信することにより、ラミネート加工用の印刷設定情報Ipsをダウンロードできるようになってもよい。ラミネート加工は、耐光性および耐擦性の向上を目的として行われる。
このような処理を行うことにより、印刷業者に対して、その印刷業者に適した印刷設定情報のみをダウンロードできるように、印刷システムを運用することができる。
管理サーバーSvに記憶されている複数の印刷設定情報Ipsは、ダウンロードの対価が互いに異なる複数種類の印刷設定情報Ipsを含む。また、管理サーバーSvに記憶されている複数の印刷設定情報Ipsは、印刷結果の品質(図2の1130参照)が互いに異なる複数種類の印刷設定情報Ipsを含む。印刷業者PCa,PCbは、(i)個別の印刷設定情報Ipsのダウンロードの対価、(ii)印刷設定情報Ipsの印刷結果の品質(図2の1130参照)、(iii)その印刷業者が管理サーバーSvからダウンロードした印刷設定情報Ipsの数、および(iv)ダウンロードした各印刷設定情報Ipsの使用期間に応じた対価Pcp1を、プリンタープロバイダーPPに支払う(図1の中央部参照)。
個別の印刷設定情報Ipsのダウンロードの対価は、印刷設定情報Ipsごとに異ならせることができる。また、個別の印刷設定情報Ipsのダウンロードについて、対価が求められない印刷設定情報Ipsが用意されてもよい。
印刷設定情報Ipsの印刷結果の品質に応じた対価の支払いの態様としては、品質が高いほど、高い料金が支払われる形態を採用することができる。ダウンロードできる印刷設定情報Ipsの印刷結果の品質の区分を設け、あらかじめ支払われた対価に応じて、ダウンロードできる印刷設定情報Ipsの印刷結果の品質の区分が定められている態様とすることもできる。
ダウンロードした印刷設定情報Ipsの数に応じた対価の支払いの態様としては、ダウンロード数が多いほど、高い料金が支払われる形態を採用することができる。ダウンロードできる印刷設定情報Ipsの数の区分を設け、あらかじめ支払われた対価に応じて、ダウンロードできる印刷設定情報Ipsの数の上限が定められている態様とすることもできる。
使用期間に応じた対価の設定としては、ダウンロード後、一定の試用期間については、印刷設定情報Ipsの無償の使用が認められ、一定の試用期間が経過した後は、使用の対価が求められるような設定とすることができる。また、印刷設定情報Ipsを一定期間、たとえば1ヶ月間使用する度に、その対価が求められるような設定とすることができる。
このような処理を行うことにより、プリンタープロバイダーPPは、印刷業者PCa,PCbが印刷システムPSを活用する内容に応じた対価Pcp1を得ることができる。印刷業者PCa,PCbは、プリンタープロバイダーPPに支払う対価Pcp1の増加に応じて、より印刷システムPSを活用して印刷を行うことができる。このため、(i)ダウンロードの対価、(ii)印刷結果の品質、(iii)ダウンロードした印刷設定情報Ipsの数、(iv)印刷設定情報Ipsの使用期間に応じた対価Pcp1の変動は、印刷業者PCa,PCbにとって大きな負担と感じられにくい。
印刷業者PCaは、ダウンロードした印刷設定情報Ipsを使った印刷の量に応じた対価Pcp2を、プリンタープロバイダーPPに支払う(図1の中央部参照)。印刷の量は、印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200aによる印刷において使用された印刷媒体MDの量Vmで評価することができる。印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200aによる印刷において使用された印刷媒体MDの量Vmを、「媒体消費量Vm」と表記する。対価Pcp2の計算方法については、以下で説明する。
このような処理を行うことにより、プリンタープロバイダーPPは、印刷業者PCa,PCb,PCasが印刷システムPSを活用した程度に応じた対価Pcp2を得ることができる。印刷業者PCa,PCbは、プリンタープロバイダーPPに支払う対価Pcp2の増加に応じて、より印刷システムPSを活用して印刷を行うことができる。このため、印刷の量の増加に応じた対価Pcp2の増加は、印刷業者PCa,PCbにとって大きな負担と感じられにくい。
印刷業者PCaは、印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200aによる印刷において使用されたインクの量Viを、測定する。以下、印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200aによる印刷において使用されたインクの量Viを、「インク消費量Vi」と表記する。インク消費量Viは、プリンター200a,200bにおいて行われたインク滴の吐出の回数で計数することができる。プリンター200を制御するソフトウェアは、インク滴の吐出の回数を数えることができる。
インク消費量Viは、媒体消費量Vmのインクタンクにおいて減少したインクの量で計数することもできる。ただし、インクは、プリンター200のノズルのクリーニングにおいても消費されるため、インクの減少量よりもインク滴の吐出の回数の方が、より印刷業者PCa,PCbが得た印刷物の量を正確に反映する。
インク消費量Viは、その印刷において使用された印刷設定情報Ipsと対応づけられて、コンピューター100aのRAM113aに格納される。印刷設定情報Ipsと対応づけられたインク消費量Viは、印刷業者PCaから管理サーバーSvに送信される(図1の中段左部参照)。
管理サーバーSvは、インク消費量Viを印刷業者PCa,PCb,PCasごとに集計して、インク集計量Viaとして、コンピューター100sのRAM113sに格納する。インク集計量Viaは、印刷業者PCa,PCbからプリンタープロバイダーPPに支払われる対価Pcp2の計算に使用される。
管理サーバーSvは、インク消費量Viを印刷設定情報Ipsごとに集計して、インク集計量Vibとして、コンピューター100sのRAM113sに格納する。インク集計量Via,Vibは、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとにクリアされ、初めから再び集計される。
印刷業者PCaは、使用した印刷媒体の量Vmaに応じた対価Pcp3を、メディアベンダーMVに支払う(図1の中央部参照)。具体的な対価Pcp3の支払いの処理は、管理サーバーSvを介して行われる。このような処理を行うことにより、メディアベンダーMVは、印刷業者PCaが使用した印刷媒体MDの量に応じた対価Pcp3を得ることができる。対価Pcp3の計算方法については、以下で説明する。
印刷業者PCaは、印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200aによる印刷において使用された印刷媒体MDの量Vmを、測定する。印刷媒体MDがロールされた長尺の媒体である場合は、印刷媒体MDの量は、使用された印刷媒体MDの長さで評価することができる。印刷媒体MDがシート状の媒体である場合は、印刷媒体MDの量は、使用された印刷媒体MDの枚数で評価することができる。
使用された印刷媒体MDの量Vmは、その印刷において使用された印刷設定情報Ipsと対応づけられて、コンピューター100aのRAM113aに格納される。印刷設定情報Ipsと対応づけられた媒体消費量Vmは、印刷業者PCaから、管理サーバーSvに送信される(図1の中段左部参照)。
管理サーバーSvは、媒体消費量Vmを印刷業者PCa,PCbごとに集計して、媒体集計量Vmaとして、コンピューター100sのRAM113sに格納する。媒体集計量Vmaは、印刷業者PCa,PCbからメディアベンダーMVに支払われる対価Pcp3の計算に使用される。媒体集計量Vmaは、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとにクリアされ、初めから再び集計される。
管理サーバーSvは、媒体消費量Vmを印刷設定情報Ipsごとに集計して、媒体集計量Vmbとして、コンピューター100sのRAM113sに格納する。媒体集計量Vmbは、プリンタープロバイダーPPから印刷設定ベンダーPSVに支払われる報酬Pcrの計算に使用される。報酬Pcrは、価値の高い印刷設定情報Ipsを生成したことに対して支払われる報酬である。なお、本明細書において報酬Pcrを、他の対価とまとめて、「対価Pcr」と呼ぶこともある。
プリンタープロバイダーPPは、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとに、管理サーバーSvから、媒体集計量Vmbを取得する。媒体集計量Vmbは、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて各印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200a,200bによる印刷の実績を表す。
プリンタープロバイダーPPは、印刷設定情報Ipsごとの媒体集計量Vmbに基づいて、報酬Pcrを決定する。プリンタープロバイダーPPは、各印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに、報酬Pcrを支払う(図1の中段右部参照)。
印刷業者PCbおよび印刷業者PCasについても、同様の処理が行われて、対価Pcp1~Pcp3,Pcrの支払いが行われる。
このような処理を行うことにより、印刷業者PCa,PCb,PCasに頻繁に利用され、印刷業者PCa,PCbにとって使用価値のある印刷設定情報Ipsを作成するインセンティブを、印刷設定ベンダーPSVに与えることができる。その結果、印刷業者PCa,PCbにとって使用価値のある、高品質な印刷を実現可能な印刷設定情報Ipsが、印刷設定ベンダーPSVによって、生成される。その結果、高品質な印刷設定情報Ipsを使用して、プリンタープロバイダーPPが製造するプリンター200によって、高品質な印刷が行われることとなるため、プリンタープロバイダーPPが製造するプリンター200およびプリンタープロバイダーPPのブランド価値が高められる。
本実施形態においては、印刷において使用された印刷媒体MDの量である媒体集計量Vmbに基づいて、印刷設定情報Ipsについて、印刷設定ベンダーPSVに支払われる報酬Pcrが、決定される。このため、管理サーバーSvから印刷設定情報Ipsがダウンロードされた回数Niに基づいて報酬Pcrが決定される態様に比べて、報酬Pcrが印刷業者PCa,PCb,PCasにおける実際の利用実績を反映して決定されやすい。
たとえば、管理サーバーSvから印刷設定情報Ipsがダウンロードされたにもかかわらず、その印刷設定情報Ipsが実際の印刷に使用されない場合も考えられる。印刷設定ベンダーPSVと印刷業者PCaまたは印刷業者PCbが共謀して、印刷に使用しない印刷設定情報Ipsのダウンロードを多数行った場合には、印刷設定ベンダーPSVは、プリンタープロバイダーPPから不当な報酬Pcrを得ることになる。しかし、本実施形態においては、媒体集計量Vmbに基づいて、印刷設定ベンダーPSVに支払われる報酬Pcrが、決定される。このため、そのような不正を防止することができる。
(4)効果:
本実施形態によれば、プリンター200a,200b,200asを制御するソフトウェアに印刷設定情報Ipsを設定するまでの処理に、カラーチャートサンプルの郵送を含む態様に比べて、以下のような利点がもたらされる。すなわち、印刷業者PCa,PCb,PCasは、印刷に使用するプリンター200a,200b,200asと印刷に使用する印刷媒体MDとの組み合わせに応じた印刷設定情報Ipsを、短時間で入手することができる。
印刷設定情報Ipsの生成をメディアベンダーMVが行う場合には、メディアベンダーMVは、自身が製造する印刷媒体MDに対して最適な印刷を行うことができる印刷設定情報Ipsを、印刷媒体MDの購入者である印刷業者PCa,PCbに用意することができる。このため、メディアベンダーMVは、印刷媒体に対して最適な印刷を行うことができる印刷設定情報Ipsを提供していないメディアベンダーに比べて、自らが製造する印刷媒体MDを使用することの利点を、強化することができる。
本実施形態によれば、プリンタープロバイダーPPは、自身が提供するプリンター200を使用して適切な印刷を行うことができる印刷設定情報Ipsを、プリンターの使用者である印刷業者PCa,PCbに用意することができる。このため、プリンタープロバイダーPPは、プリンターを使用して適切な印刷を行うことができる印刷設定情報Ipsを提供していないプロバイダーに比べて、自らが提供するプリンターを使用することの利点を、強化することができる。
本実施形態によれば、プリンタープロバイダーPPのプリンター200を使用して高品質の印刷物を短時間で得ることができる印刷業者PCa,PCb,PCasは、継続的にプリンター200を使用し、さらに、プリンターの更新に際して、再びプリンタープロバイダーPPのプリンターを購入する可能性が高い。このため、本実施形態によれば、プリンタープロバイダーPPは、プリンターおよびインクの販売を通じて、継続的に利益を得ることができる。
本実施形態におけるプリンタープロバイダーPPを「第1プロバイダー」とも呼ぶ。メディアベンダーMVを「第2プロバイダー」とも呼ぶ。印刷設定ベンダーPSVを「第3プロバイダー」とも呼ぶ。印刷業者PCa,PCb,PCasを「クライアント」とも呼ぶ。管理サーバーSvを「記憶部」とも呼ぶ。プリンター200psvを「プロバイダープリンター」とも呼ぶ。プリンターの動作設定パラメーター1050を「設定パラメーター」とも呼ぶ。
B.印刷システムにおける要素技術:
(1)カラーマネジメントシステムの仕組み:
図4は、図1の印刷システムPSで利用されるカラーマネジメントシステムの例を示す説明図である。このカラーマネジメントシステムは、製品用プリンター200、目標プリンター300、およびRIP(Raster Image Processor:ラスターイメージプロセエッサー)400によって実現される。
目標プリンター300は、目標となる色である目標色CTを表現した印刷物を形成するターゲット装置である。印刷システムPSにおいては、印刷業者PCaの営業所PCaoにおいて、印刷見本を生成するために使用されるプリンター300である(図1の下段右部参照)。
目標プリンター300は、目標プリンター300が使用する各インクの階調値の組み合わせを含む色データCMYKを受け取って、色データCMYKにしたがって、特定の色を再現する印刷を行う。目標プリンター300が使用するインクは、目標プリンター300用のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクである。色データCMYKは、目標プリンター300で使用されるCMYKの各インクの階調値を座標軸とするCMYK色空間内の座標を表す。
本実施形態においては、目標プリンター300がある色データCMYKにしたがって、印刷を行った結果、形成された印刷物が表している色が、色合わせにおける目標色CTとなる(図4の上段中央部参照)。目標色CTは、1枚のシート上の異なる場所に再現された、複数の色の集合である。ただし、以下では、技術の理解を容易にするため、目標色CTのうちの1色に着目して説明を行う。目標色CTは、目標プリンター300が形成した印刷物を測色器で測色することによって得られるCIE L*a*b*色空間の座標値(L*a*b*値)によって、特定できる。目標色CTのCIE L*a*b*色空間の座標値を、図4において、LabTとして示す(図4の上段右部参照)。本明細書では、L*a*b*色空間をLab色空間とも表記する。L*a*b*値をLab値とも表記する。
目標色CTは、目標プリンター300で使用されるCMYKの各インクの階調値を座標軸とするCMYK色空間内の座標を表す色データCMYKによっても、特定しうる。ただし、色データCMYKは、目標プリンター300で使用されるCMYKの各インクの色に依存する。目標色CTを印刷物上で表現した際の色データCMYKを、色データCMYKinと呼ぶ(図4の中段左部参照)。
製品用プリンター200は、目標プリンター300が形成した印刷物の色を再現する際に使用されるインクジェットプリンターである。印刷システムPSにおいては、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて、印刷物を量産するために使用されるプリンター300である(図1の下段左部参照)。
製品用プリンター200は、製品用プリンター200が使用する各インクの階調値の組み合わせを含む色データcmykを受け取って、色データcmykにしたがって、特定の色を再現する印刷を行う。製品用プリンター200が使用するインクは、製品用プリンター200用のシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)のインクである。色データcmykは、製品用プリンター200で使用されるcmykの各インクの階調値を座標軸とするcmyk色空間内の座標を表す。
RIP(Raster Image Processor)400は、目標プリンター300用の色データCMYKinを受け取って、色データCMYKinを製品用プリンター200の色データcmykに変換して、製品用プリンター200に供給することができる(図4の中段左部参照)。目標プリンター300用の色データCMYKinが変換されて生成された製品用プリンター200用の色データcmykを、色データcmykpと呼ぶ(図4の中段右部参照)。
RIP400は、Pantone(登録商標)カラーライブラリーにおける色名を受け取って、その色名に基づいて、製品用プリンター200の色データcmykを生成して、製品用プリンター200に供給することができる(図4の下段左部参照)。すなわち、RIP400は、目標色CTを表す色名を受け取って、その色名に基づいて、製品用プリンター200の色データcmykpを生成して、製品用プリンター200に供給することができる。
目標色CTを表す色データCMYKinまたは目標色CTを表す色名の情報を含み、RIP400に入力されるデータを、印刷原稿データD0と呼ぶ(図4の中段左部参照)。
RIP400は、入力プロファイル610と、出力プロファイル620と、カラーライブラリー640と、を有する。カラーライブラリー640は、Pantone(登録商標)カラーライブラリーである。
入力プロファイル610は、目標プリンター300で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。具体的には、入力プロファイル610は、目標プリンター300のインク色CMYKの色空間における座標と、PCS(Profile Connection Space:プロファイル接続空間)としてのLab色空間における座標と、の対応関係を保持している。
出力プロファイル620は、製品用プリンター200で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。具体的には、出力プロファイル620は、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間における座標と、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標と、の対応関係を保持している。入力プロファイル610および出力プロファイル620は、ICCプロファイルのデータフォーマットにしたがって作成されている。
印刷原稿データD0において、目標色CTが色データCMYKinで特定されている場合、RIP400は、以下の処理を行う。RIP400は、入力プロファイル610を参照して、印刷原稿データD0の色データCMYKinを、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間で特定された色のデータである色データLabS1に変換する(図4の中段左部参照)。
印刷原稿データD0において、目標色CTがPantone(登録商標)カラーライブラリーにおける色名で特定されている場合、RIP400は、以下の処理を行う。RIP400は、カラーライブラリー640を参照して、色名に基づいて、Lab色空間で特定された色のデータである色データLabsを生成する(図4の中段左部参照)。
RIP400は、出力プロファイル620を参照して、色データLabsを、色データcmykpに変換する(図4の中段右部参照)。
以上の処理により、製品用プリンター200は、目標プリンター300が印刷した目標色CTに近い色を、製品用プリンター200用のシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)のインクで、再現することができる。
なお、図4の例では、RIP400は、入力プロファイル610および出力プロファイル620を有している。しかし、RIP400は、入力プロファイル610および出力プロファイル620に代えて、または入力プロファイル610および出力プロファイル620とともに、デバイスリンクプロファイル630を保持していてもよい。デバイスリンクプロファイル630は、目標プリンター300のインク色CMYKの色空間における座標と、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標と、の対応関係を保持している。RIP400は、デバイスリンクプロファイル630を参照して、印刷原稿データD0の色データCMYKinを、色データcmykpに変換することができる。
RIP400において、入力プロファイル610および出力プロファイル620に代えて、デバイスリンクプロファイル630が参照される場合にも、製品用プリンター200は、目標プリンター300が印刷した目標色CTに近い色を、製品用プリンター200用のシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)のインクで、再現することができる。
なお、出力プロファイル620およびデバイスリンクプロファイル630は、標準的な印刷媒体を想定して、作成されてもよい。しかし、本実施形態の印刷システムPSにおいては、出力プロファイル620としてのプロファイル1060は、印刷媒体MDごとに用意される(図1の上段右部および図2の1060参照)。
(2)プロファイルの構造:
図5は、ICCプロファイル500の構造を模式的に示す図である。ICCプロファイルは、カラーマネジメントにおいて、インターナショナル・カラー・コンソーシアム (International Color Consortium)の公表した標準に従い、色に関わる入出力機器や色空間を特徴付ける一連のデータである。図4に示す入力プロファイル610および出力プロファイル620は、ICCプロファイルのデータフォーマットにしたがって作成されている。ICCプロファイル500は、プロファイルヘッダー510と、タグテーブル520と、エレメントデータ530とを含む。
タグテーブル520は、1以上のタグ521を含む。各タグ521は、エレメントデータ530内のデータと関連づけられている。1以上のタグ521は、ICCプロファイル500をカスタマイズするためのプライベートタグ523を含むことができる。エレメントデータ530は、PCS(プロファイル接続空間)と機器従属色空間(device dependent colorspace)との間で色データを変換するための色変換テーブルを格納している。
1以上のタグ521のうち、A2Bxタグ(xは0、1、または2)は、目標プリンター300のCMYK色空間や製品用プリンター200のcmyk色空間などの機器従属色空間の色データを、Lab色空間の色データに変換するための色変換テーブルと関連づけられている。B2Axタグ(xは0、1、または、2)は、Lab色空間の色データを、機器従属色空間の色データに変換するための色変換テーブルを含んでいる。
A2B0タグおよびB2A0タグは、知覚的(Perceptual)な色変換を行うための色変換テーブルと対応づけられている。知覚的な色変換は、色の階調の再現を重視した色変換である。知覚的な色変換は、主に、色域の広い写真画像の変換に用いられる。
A2B1タグおよびB2A1タグは、相対的で測色的(Media-Relative Colorimetric)な色変換、または、絶対的で測色的(Absolute Colorimetric)な色変換を行うための色変換テーブルと対応づけられている。測色的な色変換は、測色値に忠実な変換である。測色的な色変換は、主に、正確な色の一致が求められるデジタルプルーフの色校正出力用の変換に用いられる。
A2B2タグ、およびB2A2タグは、彩度重視(Saturation)の色変換を行うための色変換テーブルと対応づけられている。彩度重視の色変換は、色味の正確さよりも色の鮮やかさ重視する変換である。彩度重視の色変換は、主に、ビジネスグラッフィクスでのグラフ表示等の変換に用いられる。
(3)プロファイルの調整:
RIP400において、入力プロファイル610および出力プロファイル620が参照される場合においても、デバイスリンクプロファイル630が参照される場合においても、プロファイルが含む誤差、色測定における誤差、プリンターの変動などにより、製品用プリンター200において、目標色CTに十分近い色が再現できない場合がある。また、入力機器としての目標プリンター300が再現可能な色空間のすべてについて、出力機器としての製品用プリンター200で、適切な色を再現する必要はなく、目標プリンター300が再現可能な色空間の一部についてのみ、製品用プリンター200で適切な色を再現できればよい場合もある。そのような場合は、入力プロファイル610、出力プロファイル620、および/またはデバイスリンクプロファイル630を調整することにより、製品用プリンター200の再現色をさらに目標色CTに近づけることができる。
プロファイルを調整する際には、入力プロファイル610、出力プロファイル620、およびデバイスリンクプロファイル630のうち調整対象である1以上のプロファイルの指定と、調整対象のプロファイルの色空間において調整対象の色を表すデータと、調整によって調整対象の色をその色に近づけるべき目標色を表すデータとが、コンピューター上の入力インターフェイスを介して入力される。コンピューター上の入力インターフェイスについては、後に説明する。
出力プロファイル620が調整される場合、以下の処理が行われる。色データcmykpにしたがって製品用プリンター200で生成された印刷物が測色されて、色データLabpが生成される(図4の下段右部参照)。PCSとしてのLab色空間で特定された色データLabs(図4の中央部参照)と、製品用プリンター200の印刷物を測色して得られた色データLabpと、の色差が計算される。この色差が少なくなるように、出力プロファイル620が調整される。
入力プロファイル610が調整される場合、以下の処理が行われる。色データcmykpにしたがって製品用プリンター200で生成された印刷物が測色されて、色データLabpが生成される(図4の下段右部参照)。目標プリンター300の印刷物を測色して得られ、目標色CTを表す色データLabT(図4の上段右部参照)と、製品用プリンター200の印刷物を測色して得られた色データLabpと、の色差が計算される。この色差が少なくなるように、入力プロファイル610が調整される。
デバイスリンクプロファイル630が調整される場合は、入力プロファイル610が調整される場合と同様に、色データLabT(図4の上段右部参照)と、製品用プリンター200の印刷物を測色して得られた色データLabpと、の色差が少なくなるように、デバイスリンクプロファイル630が調整される。
たとえば、プロファイルが含む誤差が調整される場合には、コンピューター上の入力インターフェイスにおいて、入力プロファイル610、出力プロファイル620、またはデバイスリンクプロファイル630のいずれかが指定されて、コンピューター上で調整処理が行われ得る。
製品用プリンター200で生成された印刷物の色を目標色CTに近づける色校正が行われる場合には、入力プロファイル610および出力プロファイル620が指定されて、コンピューター上で調整処理が行われ得る。RIP400が、入力機器と出力機器の同じ組み合わせについて、入力プロファイル610および出力プロファイル620とともに、デバイスリンクプロファイル630を保持している場合には、色校正が行われる場合に、出力プロファイル620およびデバイスリンクプロファイル630が指定されて、コンピューター上で調整処理が行われてもよい。
また、製品用プリンター200で生成された印刷物の色を目標色CTに近づける色校正が行われる場合には、調整対象として、以下の座標値を、コンピューター上の入力インターフェイスにおいて指定されることができる:入力機器としての目標プリンター300のインク色CMYKの色空間における座標値、出力機器としての製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標値、および/またはPCSとしてのLab色空間における座標値。プロファイル中の指定された座標値が、コンピューターを介して調整される。
入力プロファイル610、出力プロファイル620、および/またはデバイスリンクプロファイル630のある出力値が異なる値に変更された場合、調整された出力値に対応する入力値の近傍にある入力値に対応する出力値も、同時に調整される。ある出力値が異なる値に変更されたことによる再現色の階調性が低下する事態を防止するためである。ある出力値が異なる値に変更された場合に、同時に出力値が調整される入力値の範囲である調整範囲が、コンピューター上の入力インターフェイスによって、指定されることができる。ある出力値が異なる値に変更された場合に同時に出力値が調整される入力値の範囲が指定されることにより、ある出力値が異なる値に変更された場合に影響を受ける範囲が制御される。
入力プロファイル610、出力プロファイル620、および/またはデバイスリンクプロファイル630が調整される際に、目標色がPCS(プロファイル接続空間)で指定されていない場合には、PCSで表現された色データLabに変換して、対象のファイルを調整することができる。
入力プロファイル610、出力プロファイル620、および/またはデバイスリンクプロファイル630が調整される際に、コンピューター上の入力インターフェイスを介して、レンダリングインテントの指定を受け取り、指定されたレンダリングインテントにしたがってプロファイルの調整が行われてもよい。レンダリングインテントは、「知覚的」(Perceptual)、「相対的測色的」(Media-Relative Colorimetric)、「絶対的測色的」(Absolute Colorimetric)、および「彩度重視」(Saturation)を含む。
(4)プロファイルを調整するためのユーザーインターフェイス画面:
図6は、プロファイルが調整される際にコンピューターの画面上に表示されるユーザーインターフェイス画面800の例を示す図である。ユーザーインターフェイス画面800(以下、「UI画面800」と表記する)は、入力プロファイル選択欄811、出力プロファイル選択欄812、デバイスリンクプロファイル選択欄813、調整対象プロファイル指定欄820、調整対象色空間選択欄830、目標受付領域840、調整データ選択欄845、調整範囲指定欄850、インテント指定欄860、および調整実施ボタン870を有している。
選択欄811~813は、色変換に使用するプロファイルを指定するための欄である。入力プロファイル選択欄811は、入力プロファイル610が色変換に使用される場合に、ユーザーが、RAM113v(図1の上段右部参照)に記憶されている入力プロファイル610の中から色変換に使用される入力プロファイルを選択し、指定するための欄である。入力プロファイル610を色変換に使用しない場合、入力プロファイル選択欄811は空欄となる。
出力プロファイル選択欄812は、出力プロファイル620が色変換に使用される場合に、ユーザーが、RAM113vに記憶されている出力プロファイル620の中から色変換に使用される出力プロファイルを選択し、指定するための欄である。出力プロファイル620を色変換に使用しない場合、出力プロファイル選択欄812は空欄となる。
デバイスリンクプロファイル選択欄813は、デバイスリンクプロファイル630が色変換に使用される場合に、ユーザーが、RAM113vに記憶されているデバイスリンクプロファイル630の中から色変換に使用されるデバイスリンクプロファイルを選択し、指定するための欄である。デバイスリンクプロファイル630を色変換に使用しない場合、デバイスリンクプロファイル選択欄813は空欄である。
選択欄811~813を介して指定され、色変換に使用される1以上のプロファイルが、調整対象のプロファイルの候補となる。
調整対象プロファイル指定欄820は、調整対象となるプロファイルを指定するための欄である。調整対象プロファイル指定欄820においては、選択欄811~813において色変換に使用するプロファイルとして指定されたプロファイルの中から一つのプロファイルが選択される。図6の例においては、入力プロファイル選択欄811において入力プロファイルが指定され、出力プロファイル選択欄812において出力プロファイルが指定され、デバイスリンクプロファイル選択欄813は、デバイスリンクプロファイルが指定されていない。このため、調整対象プロファイル指定欄820においては、入力プロファイルまたは出力プロファイルのみが選択可能である。図6の例においては、入力プロファイルが調整対象のプロファイルとして選択されている。
調整対象色空間選択欄830は、調整対象となるプロファイルが対応づけている二つの色空間のうち、調整対象とする色空間を指定するための欄である。図6の例においては、調整対象プロファイル指定欄820において、調整対象となるプロファイルとして、入力プロファイルが選択されている。このため、調整対象色空間選択欄830においては、目標プリンター300のCMYK色空間を指定するための「入力データ」と、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間を指定するための「PCS値」と、のいずれかを選択可能である。図6の例においては、Lab色空間が調整対象とする色空間として選択されている。
なお、調整対象プロファイル指定欄820において、調整対象として出力プロファイルが選択されている場合は、調整対象色空間選択欄830においては、PCSとしてのLab色空間を指定するための「PCS値」と、製品用プリンター200のcmyk色空間を指定するための「出力データ」と、のいずれかを選択可能である。調整対象としてデバイスリンクプロファイルが選択されている場合は、調整対象色空間選択欄830においては、「入力データ」と、「PCS値」と、「出力データ」と、のいずれかを選択可能である。
調整データ選択欄845は、調整の内容を、色空間の座標における値すなわち目標値で指定するか、相対値すなわち現在の値からの改変量で指定するか、を指定するための欄である。調整データ選択欄845においては、「絶対値」または「相対値」が選択可能である。図6の例においては、相対値が選択されている。調整データ選択欄845における選択に応じて、目標受付領域840における改変内容の指定のための表示が変更される。
目標受付領域840は、調整対象の色P0と、調整対象の色P0の改変内容T0とを指定するための欄である。目標受付領域840において、調整対象の色P0は、目標プリンター300のインク色CMYKの色空間における座標値、またはPCSとしてのLab色空間における座標値で指定される。目標受付領域840において、調整対象の色P0の改変内容T0は、Lab色空間の座標における目標値、またはLab色空間の座標における調整対象の色P0の値からの改変量で指定される。図6の例では、調整データ選択欄845において「相対値」が選択されていることから、調整対象の色P0の改変内容T0は、Lab色空間の座標における調整対象の色P0の値からの改変量で指定される。
調整範囲指定欄850は、調整対象のプロファイルのうち調整範囲を指定するための欄である。調整範囲指定欄850において、ユーザーは、指定された改変内容T0に応じて調整される範囲である調整範囲を色空間全体にするか、調整範囲として色空間全体の一部を指定するか、を選択可能である。より具体的には、調整範囲指定欄850においては、「入力空間全域」と「半径」を選択可能である。図6の例においては、調整範囲指定欄850において、調整範囲を色空間全体にする「入力空間全域」の選択がなされている。
なお、調整範囲指定欄850において、色空間全体の一部を指定「半径」の選択がなされた場合、目標受付領域840において、PCSとしてのLab色空間における半径を入力する欄が表示される。Lab色空間において、調整対象の色P0を中心として、指定された半径の球の内側にある色空間の階調値が、調整対象の色P0について指定された改変内容T0に応じて調整される。
インテント指定欄860は、レンダリングインテントを指定するための欄である。インテント指定欄860においては、「Perceptual」(知覚的)、「Relative Colorimetric」(相対的測色的)、または「Saturation」(彩度重視)を選択可能である。インテント指定欄860において「Perceptual」(知覚的)が選択された場合には、調整後の色変換テーブルとして、知覚的な色変換を行うための色変換テーブルが生成される(図5のA2B0タグおよびB2A0タグ参照)。インテント指定欄860において「Relative Colorimetric」(相対的測色的)が選択された場合には、調整後の色変換テーブルとして、相対的測色的な色変換を行うための色変換テーブルが生成される(図5のA2B1タグおよびB2A1タグ参照)。インテント指定欄860において「Saturation」(彩度重視)が選択された場合には、調整後の色変換テーブルとして、彩度重視な色変換を行うための色変換テーブルが生成される(図5のA2B2タグおよびB2A2タグ参照)。図6においては、指定インテントとして「Perceptual」が指定されている。
(5)目標プリンターの印刷結果を目標とする製品用プリンターの印刷結果の調整:
図7は、目標プリンターの印刷結果を目標とする製品用プリンターの印刷結果の調整の処理を示す説明図である。図7の例においては、出力プロファイル620は、B2Aテーブル621とA2Bテーブル622とを備えている(図7の中央部参照)。
B2Aテーブル621は、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間における座標を、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標に変換するためのテーブルである。
A2Bテーブル622は、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標を、PCSとしてのLab色空間における座標に変換するためのテーブルである。A2Bテーブル622による変換は、製品用プリンター200に、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間において特定されている色データに従った印刷を行わせた場合に、製品用プリンター200が形成する印刷物の色を、シミュレーションすることに相当する。
入力プロファイル610(図7の中段左部参照)は、A2Bテーブル611を備えている。入力プロファイル610が備えるA2Bテーブル611は、目標プリンター300のインク色CMYKの色空間における座標を、PCSとしてのLab色空間における座標に変換するためのテーブルである。図7においては、技術の理解を容易にするためえ、A2Bテーブル611の図示を省略する。
図7の例においては、製品用プリンター200で生成される印刷物の色が、目標プリンター300で生成された印刷物の色である目標色CTに近づくように、出力プロファイル620のB2Aテーブル621の出力階調値が調整される(図7の中央部参照)。
まず、目標プリンター300用の色データCMYKinが変換されて生成された製品用プリンター200用の色データcmykpを、色調整ベクトルΔcmykの初期値で改変する。色調整ベクトルΔcmykの初期値によって改変された後の製品用プリンター200用の色データcmykpを、色データcmykppと呼ぶ(図7の下段左部参照)。
なお、複数の色調整ベクトルΔcmykの初期値が、用意される。そして、複数の色調整ベクトルΔcmykの初期値のうち、印刷結果に関する目的関数を最小にする色調整ベクトルΔcmykが選択される。その後、選択された色調整ベクトルΔcmykに基づいて、次の処理において使用される色調整ベクトルΔcmykが決定される。このような処理を繰り返すことにより、最適な色調整ベクトルΔcmykbが決定される。
色調整ベクトルΔcmykによって改変された色データcmykppを出力プロファイル620のA2Bテーブル622で変換することにより、Lab色空間の色データLabS3が得られる(図7の下段右部参照)。Lab色空間の色データLabS3は、色データcmykppに従った印刷を行わせた場合に、製品用プリンター200が形成する印刷物の色を表す。
一方、目標プリンター300用の色データCMYKinが変換されて生成された製品用プリンター200用の色データcmykpを、出力プロファイル620のA2Bテーブル622で変換することにより、Lab色空間の色データLabS2が得られる(図7の下段右部参照)。Lab色空間の色データLabS2は、色データcmykpに従った印刷を行わせた場合に、製品用プリンター200が形成する印刷物の色を表す。色データLabS2に、ユーザーによって指定された、調整対象の色P0の改変内容T0を表す色調整ベクトルΔLabT-pを加えることにより、目標とする色を表す色データLabSTが得られる(図7の中段右部、および図6のP0,T0参照)。
色調整ベクトルΔcmykの初期値によって改変された色データcmykppに従って印刷を行わせた場合に、製品用プリンター200が形成する印刷物の色の色データLabS3(図7の下段右部参照)と、目標とする色を表す色データLabST(図7の中段右部参照)と、の色差ΔE00が、それぞれの色調整ベクトルΔcmykの初期値について、計算される。色調整ベクトルΔcmykの各初期値について得られる色差ΔE00が、色調整ベクトルΔcmykの各初期値がもたらす印刷結果と、理想的な色調整ベクトルΔcmykiがもたらす印刷結果との差である。
複数の色調整ベクトルΔcmykのうち、色差ΔE00の2乗を構成要素として含む目的関数の値が最も小さい色調整ベクトルΔcmykの初期値が、色調整ベクトルΔcmykの複数の初期値の中から、選択される。そして、選択された色調整ベクトルΔcmykの初期値に基づいて、次の処理で使用される複数の色調整ベクトルΔcmykが、生成される。以下、同様の処理が繰り返され、最適な色調整ベクトルΔcmykbが決定される。
目標プリンター300用の色データCMYKinが入力プロファイル610および出力プロファイル620のB2Aテーブル621によって変換されて生成された製品用プリンター200用の色データcmykp(図7の中段右部参照)を、最適な色調整ベクトルΔcmykbで調整することにより、以下の効果が得られる。すなわち、製品用プリンター200で生成される印刷物の色を、目標プリンター300で生成された印刷物の色である目標色CTに近づけることができる。最適な色調整ベクトルΔcmykbによって、出力プロファイル620のB2Aテーブル621の出力階調値が調整される(図7の中央部参照)。
(6)製品用プリンター同士の印刷結果の調整:
図8は、製品用プリンター同士の印刷結果の調整の処理を示す説明図である。ここまでの説明では省略していたが、製品用プリンター200においてシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)に加えて、他の色のインクが使用される場合には、以下の処理が行われる。すなわち、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせで色が表現されている色データcmykpは、色分版テーブル750を使用して、製品用プリンター200において使用される5色以上のインクの色の各階調値の組み合わせで色が表現されている色データINKに変換される(図8の中段右部参照)。製品用プリンター200は、色データINKに従って印刷を行う。図8において、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせで色が表現されている色データを色データcmykp0で表す。製品用プリンター200,201において使用される5色以上のインクの色の各階調値の組み合わせで色が表現されている色データを、色データINK0,INK1で表す。
同一の色データcmykp0にしたがって、同一の機種の製品用プリンター200,201で印刷が行われても、製品用プリンター200の印刷結果において再現される色と、製品用プリンター201の印刷結果において再現される色とが、異なる場合がある。そのような場合には、以下のような処理によって、印刷結果において再現される色が統一される。
一つの製品用プリンター200が、基準プリンター200として定められる。他の製品用プリンター201は、調整対象である対象プリンター201として定められる。対象プリンター201の印刷結果PA1において再現される色であって、色データLabpで特定される色が、基準プリンター200の印刷結果PA0において再現される色であって、色データLabTで特定される色に近づくように、対象プリンター201に投入される色データが調整される。
具体的には、RIP400から出力された色データcmykp0が、キャリブレーション用のデバイスリンクプロファイル700が有するデバイスリンクテーブル701によって、色データcmykp1に変換される(図8の中央部参照)。色データcmykp1は、色データcmykp0に比べて、基準プリンター200の印刷結果PA0において再現される色により近い色が、対象プリンター201において再現される色データである。なお、基準プリンター200の印刷結果PA0において再現される色は、色データLabTによって特定される。対象プリンター201の印刷結果PA1において再現される色は、色データLabpによって特定される。
デバイスリンクテーブル701は、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせを入力値とし、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせを出力値とする、テーブルである。デバイスリンクテーブル701は、以下のように生成される。
まず、元テーブル711が用意される。元テーブル711は、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせを入力値とし、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせを出力値とする、テーブルである。元テーブル711において、出力値の各階調値の組み合わせは、入力値の各階調値の組み合わせと同じである。すなわち、元テーブル711による変換は、恒等変換である。
デバイスリンクテーブル701は、元テーブル711の出力値を改変することにより、生成される。対象プリンター201で生成される印刷物の色が、基準プリンター200で生成された印刷物の色である目標色CTに近づくように、元テーブル711の出力階調値の改変量Δcmykが決定される。
A2Bテーブル641が用意される。A2Bテーブル641は、対象プリンター201のインク色cmykの色空間における座標を、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間における座標に変換するためのテーブルである。A2Bテーブル641による変換は、対象プリンター201のインク色cmykの色空間において特定されている色データに従った印刷を、対象プリンター201に行わせた場合に、対象プリンター201が形成する印刷物の色を、シミュレーションすることに相当する。
A2Bテーブル641は以下のように生成される。カラーチャートを印刷させるためのcmyk色空間における色データを、対象プリンター201に投入して、カラーチャートCH1を印刷させる。カラーチャートCH1の各色のパッチPA1について、測色を行い、測色値Labpを得る(図8の下段右部参照)。各パッチPA1の測色値Labp(L,a,b)を、各パッチPA1のcmyk色空間における基本色の階調値の組み合わせ(c,m,y,k)と対応づけることにより、A2Bテーブル641が生成される。
差異データ650が用意される。差異データ650は、基準プリンター200が再現する色と、対象プリンター201が再現する色と、の差を、Lab色空間において表すデータである。差異データ650は以下のように生成される。カラーチャートを印刷させるためのcmyk色空間における同一の色データを、基準プリンター200と対象プリンター201に投入して、それぞれカラーチャートCH0,CH1を印刷させる。そして、カラーチャートCH0,CH1の対応するパッチPA0,PA1について、測色を行い、測色値LabT,Labpを得る(図8の上段右部および下段右部参照)。
測色値LabT,Labpの差(ΔL,Δa,Δb)を、パッチPA0またはPA1のcmyk色空間におけるシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の4色の各階調値の組み合わせと対応づける処理を、カラーチャートCH0,CH1の各パッチについて行うことにより、差異データ650が生成される。その結果、生成される差異データ650は、cmyk色空間における基本色の階調値の組み合わせを入力とし、Lab色空間における色差を出力とするテーブルである。基準プリンター200が表現する色と対象プリンター201が表現する色との差を、ΔLabT-pと表記する。
その後、図7で説明した手法と同様の手法で、元テーブル711の出力階調値の改変量の最適値Δcmykbが決定される。ただし、出力プロファイル620のA2Bテーブル622(図7の下段中央部参照)に代えて、対象プリンター201のシミュレーターとして機能するA2Bテーブル641(図8の下段中央部参照)が使用される。
より具体的には、以下の処理が行われる。出力プロファイル620のB2Aテーブル621の出力色データcmykpは、元テーブル711を暫定的な改変量Δcmykで改変して得られた暫定的なデバイスリンクテーブル701によって、変換された後に(図7の中央部参照)、A2Bテーブル641に投入される。A2Bテーブル641は、対象プリンター201のシミュレーターとして機能する。
元テーブル711を改変した改変量Δcmykの評価として、A2Bテーブル641の出力の評価が行われる(図7の下段右部のLabS3およびΔE00参照)。そのような処理が、複数の暫定的な改変量Δcmykについて行われる。そして、印刷結果に関する目的関数を最小にする改変量Δcmykが選択される。選択された改変量Δcmykに基づいて、次の処理に使用される複数の改変量Δcmykが生成される。そのような処理が繰り返されることにより、元テーブル711の出力階調値の改変量の最適値Δcmykbが決定される。
元テーブル711の出力階調値の改変量の最適値Δcmykbによって、元テーブル711の出力階調値が改変されて、デバイスリンクテーブル701が生成される(図8の中央部参照)。
この態様においては、Lab色空間における座標を、製品用プリンター200のインク色cmykの色空間における座標に変換するためのB2Aテーブル621を調整するのではなく、B2Aテーブル621の出力値を改変するデバイスリンクテーブル701を設けることによって、対象プリンター201によって再現される色が、基準プリンター200によって再現される色に近づけられる。すなわち、調整のための処理は、cmyk色空間において行われている。このため、PCS(プロファイル接続空間)としてのLab色空間と、プリンター用のcmyk色空間との間の変換における、両空間の間のガマットマッピングによる影響を受けることなく、色調整を行うことができる。その結果、cmyk色空間において特定された同じ色データを受け取って色を再現する対象プリンター201と基準プリンター200において再現される色を、高い精度で近づけることができる。
なお、RIP400において、デバイスリンクテーブル701は、B2Aテーブル621とは独立に保持されてもよいし、デバイスリンクテーブル701に基づいて出力値が改変されたB2Aテーブル621が保持されてもよい。
(7)色変換テーブルの作成処理:
図9は、色変換テーブルとしてのB2Aテーブル621および色分版テーブル750を作成する処理を示すフローチャートである(図7の中央部および図8の621と750参照)。図9に示す処理は、メディアベンダーMVのコンピューター100vよって、印刷設定情報Ipsの中のプリンターのプロファイルの情報1060を生成する際に、実行される(図1の上段右部および図2の620参照)。尚、図2の印刷設定情報Ipsの中のプリンターのプロファイルの情報1060には、出力プロファイル620の記載のみとしているが、色分版テーブル750を含めても良い。
B2Aテーブル621および色分版テーブル750(図7の中央部および図8の621と750参照)の作成処理においては、PCSとしてのLab色空間における階調値の組み合わせに対応する、cmyk色空間における階調値の組み合わせが決定される。本明細書においては、PCSとしてのLab色空間における階調値の組み合わせを、「格子点」とも呼ぶ。cmyk色空間における階調値を、「インク量」とも呼ぶ。
ステップS11においては、初期設定として、ユーザーの操作に応じて、インク量の使用制限が設定される。
ステップS12においては、ユーザーの操作に応じて、特定の格子点におけるインク量が設定される。
ステップS13においては、インク量を決定する対象となる1つの格子点である対象格子点が、選択される。対象格子点を選択する方法としては、特開2011-223345号公報に記載された公知の技術を用いることができる。以下で処理の概要を説明する。
色変換テーブルのある座標軸方向に沿って、N個(Nは2nで表される整数。nは正の整数)の格子点があるものとする。それらN個の格子点は、座標軸の方向に沿った並びの順に格子点番号(1~N)を有しているものとする。それらの格子点には、以下の処理に従って、処理番号が付される。
まず、1番の格子点に処理順番として1が付され、N番の格子点に処理順番として2が付される。その後、処理順番が決定済みの隣り合う格子点の組み合わせのうち、もっとも格子点番号の差が大きい1組の格子点が選択され、その1組の格子点の中点の格子点に、次の処理順番が割り当てられる。なお、もっとも格子点番号の差が大きい格子点の組み合わせが複数ある場合には、もっとも小さい格子点番号の格子点を含む組み合わせが選択される。このような処理により、各格子点に処理番号が付される。
ステップS13においては、座標軸方向に沿って並ぶ格子点であって、インク量が決定されていない格子点のうち、最も処理順番が小さい格子点が、対象格子点として、選択される。
ステップS20においては、対象格子点について、仮想色彩値が決定される。仮想色彩値は、具体的には、cmyk色空間における各インク色の階調値である。色変換テーブルの頂点にある格子点を含む一部の格子点については、以下で述べる方法とは異なる方法で、あらかじめ仮想色彩値が決定される。色変換テーブルの頂点にある格子点とは、色変換テーブルの色空間における各座標軸についての階調値の最大値または最小値の組み合わせで、座標が特定される格子点である。
色変換テーブルの内の対象格子点の両側においてそれぞれ対象格子点に最も近い位置にある二つの格子点については、処理順番にしたがって、すでに仮想色彩値が決定されている。それらの両側の格子点の仮想色彩値を使用して、対象格子点の仮想色彩値が決定される。具体的には、仮想色彩値、より具体的には、cmykのいずれかの階調値を出力とする3次スプライン関数であって、それら仮想色彩値が既知の2個の格子点と、仮想色彩値が未確定の対象格子点と、を結ぶ3次スプライン関数が作成される。その3次スプライン関数の2次微分値の2乗和が最小となるように、対象格子点の仮想色彩値が決定される。
ステップS30においては、ユーザーによって指定されたインク量使用制限の範囲内で色再現範囲が最大となるよう、一部の対象格子点の仮想色彩値が改変される。
ステップS40においては、対象格子点に対応するインク量の合計を最大化する処理が行われる。この処理により、たとえば、ブラックのインク量の一部が、シアン、マゼンタ、イエロのインク量の組み合わせに置き換えられる。その結果、印刷結果の粒状性が改善される。
ステップS50においては、インク量階調性が最良となるように、対象格子点に対応するインク量が決定される。色変換テーブルの頂点にある格子点を含む一部の格子点については、以下で述べる方法とは異なる方法で、あらかじめインク量が決定されている(S12参照)。
対象格子点の両側においてそれぞれ対象格子点に最も近い位置にある二つの格子点については、処理順番にしたがって、すでにインク量が決定されている。それらの両側の格子点のインク量を使用して、対象格子点のインク量が決定される。具体的には、インク量を出力とする3次スプライン関数であって、それらインク量が既知の2個の格子点と、インク量が未確定の対象格子点と、を結ぶ3次スプライン関数が作成される。その3次スプライン関数の2次微分値の2乗和が最小となるように、対象格子点のインク量が決定される。その結果、インク量階調性が最良となるように、対象格子点に対応するインク量が決定される。
ステップS14においては、色変換テーブルの内のすべての格子点について、インク量が決定されたか否かが判定される。インク量が決定されていない格子点が存在する場合には、処理は、ステップS13に戻る。すべての格子点について、インク量が決定された場合には、処理は終了する。
以上の処理により、色変換テーブルとしてのB2Aテーブル621および色分版テーブル750を生成することができる(図7の中央部および図8の621と750参照)。
図9に示す色変換テーブルの作成方法では、複数の格子点を結ぶ3次スプライン関数を用いて、その2次微分値の2乗和が最小となるよう、仮想色彩値が決定される。また、複数の格子点を接続する3次スプライン関数を用いて、その2次微分値の2乗和を最小にするように、各格子点のインク量の組み合わせが決定される。このため、印刷結果の色彩値の階調性と、インク量の階調性の向上を両立させた印刷が実現できる。
また、本実施形態の色変換テーブルの作成方法を用いれば、色変換テーブルを予め作成することができるだけでなく、印刷条件が変わるたびに、色変換テーブルを再作成することもできる。
C.他の実施形態:
C1.他の形態1:
(1)上記実施形態においては、プリンター200は、印刷物に付された色を測色するための分光測色器と、印刷物上に形成された画像を撮影するためのデジタルスチルカメラと、を備える。しかし、印刷設定情報を生成する際に使用されるプリンターは、分光測色器とデジタルスチルカメラの少なくと一方を備えない態様とすることができる。たとえば、メディアベンダーMVは、別途、印刷結果の品質を決定するためのセンサーを用意してもよい。そのようなセンサーは、プリンタープロバイダーPPがメディアベンダーMVに貸与してもよい。
(2)上記実施形態においては、品質レベル情報1130は、印刷結果についての色再現精度、色再現範囲、階調特性、粒状性、およびインク滲みの評価値を含む(図2参照)。しかし、品質レベル情報は、色再現精度、色再現範囲、階調特性、粒状性、およびインク滲みの評価値のうちの少なくとも一部を含まない態様とすることもできる。品質レベル情報は、印刷結果についての他の評価値を含むこともできる。
(3)上記実施形態においては、ラミネート加工用の記録媒体がRFID(Radio Frequency IDentifier)やQRコード(登録商標)を備えている。そして、RFIDやQRコードから読み取った情報を、管理サーバーSvに送信することにより、印刷業者PCa,PCbは、ラミネート加工用の印刷設定情報Ipsをダウンロードできるようになる。しかし、このような処理は、ラミネート加工用の記録媒体用の印刷設定情報Ipsに限らず、様々な記録媒体について作成された印刷設定情報Ipsにも、適用することができる。そのような態様においては、印刷設定情報Ipsの選択の際の印刷媒体の種類の指定は、自動的に行われることができる。
(4)上記実施形態においては、印刷業者は、プリンター200を制御するソフトウェアに、印刷設定情報Ipsに基づく設定を行い、印刷を行う。しかし、印刷設定情報Ipsに基づく設定は、プリンターに対して直接行われてもよい。また、印刷設定情報Ipsに基づく設定は、プリンターおよびプリンターを制御するソフトウェアの両方に、行われてもよい。
(5)図1においては、メディアベンダーMV、印刷業者PCa,PCb,PCas、営業所PCao、プリンタープロバイダーPPおよび管理サーバーSvが有するコンピューター100a,100b,100as,100ao,100pp,100s,100v,100psvは、それぞれ一つの筐体を持つコンピューターとして描かれている。しかし、これらのコンピューターのぞれぞれは、ネットワークで接続された複数のコンピューターで実現されていてもよい。また、一つのコンピューターが、コンピューター100a,100b,100as,100ao,100pp,100s,100v,100psvのうちの複数のコンピューターの機能を実現してもよい。
(6)上記実施形態においては、印刷設定情報Ipsの作成やアップロードを含む印刷設定ベンダーPSVによって行われる処理は、メディアベンダーMVおよびプリンタープロバイダーPPによっても行われる(図1の下段右部参照)。しかし、メディアベンダーMVおよびプリンタープロバイダーPPの一方または両方は、印刷設定ベンダーPSVによって行われる処理を行わない態様とすることもできる。
(7)上記実施形態においては、印刷設定情報Ipsの作成やアップロードを含む処理は、印刷設定ベンダーPSV、メディアベンダーMVおよびプリンタープロバイダーPPによって行われる(図1の右部参照)。しかし、印刷設定ベンダーPSVは、印刷設定情報Ipsの作成やアップロードを含む処理を行わない態様とすることもできる。
(8)上記実施形態においては、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定ベンダーPSVに、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTを提供する(図1の中段右部参照)。この提供の態様は、プリンタープロバイダーPPから印刷設定ベンダーPSVへの、直接的な、または代理店を介した、販売または貸与(ライセンスの供与を含む)とすることができる。また、この提供の態様は、市場を介した、販売または貸与とすることができる。
上記実施形態においては、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定ベンダーPSVに、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTを提供する(図1の中段右部参照)。しかし、印刷設定ベンダーPSVにプリンター200psvを提供する主体と、メディアベンダーMVにプロファイル作成ツールPMTを提供する主体とは、異なっていてもよい。すなわち、プリンタープロバイダーPPが、印刷設定ベンダーPSVにプリンター200psvを提供し、プリンタープロバイダーPPとは異なるツールベンダーが、印刷設定ベンダーPSVにプロファイル作成ツールPMTを提供してもよい。
(9)上記実施形態においては、ダウンロード回数Ni、インク集計量Vib,Via、媒体集計量Vma,Vmbは、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとにクリアされ、初めから再びカウントされる。そして、インク集計量Vib,Via、媒体集計量Vma,Vmbは1ヶ月ごとに対価または報酬の計算に使用される。しかし、これらの測定値は、1週間、3ヶ月、6ヶ月など、他の期間で測定されてもよい。また、これらの測定値は、互いに異なる機関で測定されてもよい。
(10)上記実施形態においては、印刷業者PCaのコンピューター100aは、インク消費量Vi、媒体消費量Vmを、管理サーバーSvにアップロードする(図1の中央部参照)。印刷業者のコンピューターは、さらに他の情報を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。
印刷業者PCaのコンピューター100aは、印刷業者PCaが所有するプリンターの稼働率および稼働時間を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。印刷業者PCaのコンピューター100aは、印刷業者PCaが所有するプリンターの稼働予定時間を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。このような態様においては、注文者OPは、管理サーバーSvにアクセスして、各印刷業者のプリンターの稼働予定時間、稼働率などを確認して、ジョブJbを各印刷業者に割り当てることができる。
印刷業者PCaのコンピューター100aは、印刷媒体MDの種類ごとのプリンター200aへの装着率を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。印刷業者PCaのコンピューター100aは、たとえば、1ヶ月や半年などの単位時間当たりの印刷媒体MDの種類ごとの消費率を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。印刷業者PCaのコンピューター100aは、ロット間の印刷結果の品質のばらつきのデータ、および注文者OPから得たジョブJbの評価結果のデータを、管理サーバーSvにアップロードすることができる。
このような態様においては、管理サーバーSvは、それらのデータをメディアベンダーMVに提供することができる。メディアベンダーMVは、印刷媒体MDの種類ごとのプリンター200aへの装着率や消費率に基づいて、印刷媒体MDの種類ごとの生産計画をたてることができる。メディアベンダーMVは、ロット間の印刷結果の品質のばらつきのデータ、および注文者OPから得たジョブJbの評価結果のデータに基づいて、印刷媒体MDの品質管理を行うことができる。
印刷業者PCaのコンピューター100aは、印刷物PMをプリンター200aのセンサーで測定して得られたセンサーデータ、およびインクごとの印刷における使用量を、管理サーバーSvにアップロードすることができる。プリンター200aの各ノズルの駆動回数および各駆動により吐出された液滴の種類の情報を、プリンター200aから得ることにより、コンピューター100aは、インクごとの印刷における使用量を計算することができる。
このような態様においては、管理サーバーSvは、それらのデータをプリンタープロバイダーPPに提供することができる。プリンタープロバイダーPPは、インクごとの印刷における使用量に基づいて、対価Pcp2(図1の下段右部参照)を計算することができる。このような処理を行うことにより、ノズルのクリーニングや、印刷開始前のインクの予備吐出で消費される消費されるインクなど、印刷業者PCaに直接的な利益をもたらしていないインク消費を除いて、対価Pcp2を決定することができる。
プリンタープロバイダーPPは、センサーデータおよびインクごとの印刷における使用量に基づいて、適切なタイミングで、印刷業者PCaのプリンター200aのメンテナンスサービスの提供を行うことができる。プリンタープロバイダーPPは、センサーデータを考慮して、プリンターの生産および新たなプリンターの設計を行うことができる。
管理サーバーSvは、印刷設定情報Ipsごとのダウンロード量を、プリンタープロバイダーPPに提供することができる。プリンタープロバイダーPPは、印刷設定情報Ipsごとのダウンロード量に基づいて、対価Pcv(図1の中段右部参照)を計算することができる。このような処理を行うことにより、実績に基づいて、適切に対価Pcvを設定することができる。
(11)上記実施形態においては、図3のステップS120において、管理サーバーSvは、プリンター200sでカラーチャートの印刷を行う。管理サーバーSvは、カラーチャートの印刷結果をプリンター200sのセンサーで測定して、センサーの出力に基づいて、印刷結果の品質に関する評価値を決定する。しかし、管理サーバーSvは、カラーチャートの印刷および測定を行わない態様とすることもできる。
そのような態様においては、印刷設定ベンダーPSVが、印刷設定情報Ipsの管理サーバーSvへの送信に先立って、管理サーバーSvに送信しようとする印刷設定情報Ipsにしたがって、プリンター200psvでカラーチャートの印刷を行う。印刷の方法は、図3のステップS120における方法と同じである。
印刷設定ベンダーPSVは、カラーチャートの印刷結果をプリンター200psvのセンサーで測定して、センサーの出力に基づいて、印刷結果の品質に関する評価値を決定する。評価値の決定方法は、管理サーバーSvにおいて、印刷結果の評価値を決定する際の方法と同じである。印刷設定ベンダーPSVは、印刷結果の評価値を、管理サーバーSvに送信しようとする印刷設定情報Ipsに含める。
図3のステップS120において、管理サーバーSvは、印刷設定情報Ipsに含まれている印刷結果の評価値に基づいて、印刷設定情報Ipsが、あらかじめ定められた印刷結果に関する条件を満たすか否かを判断する。このような態様においては、管理サーバーSvに、印刷を行うためのオペレーターを配置する必要がない。また、印刷設定ベンダーPSVは、印刷設定情報Ipsの生成の際にプリンター200psvで使用した印刷媒体MDのサンプルを、管理サーバーSvに送付する必要がない。
(12)上記実施形態においては、ラミネート加工用の記録媒体がRFIDやQRコード(登録商標)を備えている態様について、説明した。しかし、ラミネート加工を行うことが想定されていない記録媒体についても、RFIDやQRコード(登録商標)を備える態様とすることができる。そのような態様についても、RFIDやQRコードから読み取った情報を、印刷業者が管理サーバーSvに送信することにより、その記録媒体用に設けられた印刷設定情報Ipsをダウンロードできるようにすることができる。
(13)上記実施形態においては、プリンタープロバイダーPPが、印刷業者PCa,PCbにおいて印刷設定情報Ipsに基づいて行われた印刷の実績に基づいて決定される報酬Pcrを、その印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに支払う(図1の下段右部参照)。しかし、印刷の実績に基づいて決定される報酬は、メディアベンダーMVによって、印刷設定ベンダーPSVに支払われてもよい。すなわち、メディアベンダーMVが、印刷業者PCa,PCbにおいて印刷設定情報Ipsに基づいて行われた印刷の実績に基づいて決定される報酬Pcr2を、その印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに支払ってもよい(図1の上段右部参照)。さらに、印刷の実績に基づいて決定される報酬Pcr,Pcr2は、プリンタープロバイダーPPおよびメディアベンダーMVの両方から、印刷設定ベンダーPSVに支払われてもよい。
メディアベンダーMVから支払われる報酬Pcr2の計算は、メディアベンダーMVによって行われることもでき、プリンタープロバイダーPPまたは管理サーバーSvによって行われることができる。また、プリンタープロバイダーPPから支払われる報酬Pcrの計算は、プリンタープロバイダーPPに代えて、管理サーバーSvによって行われることができる。
(14)上記実施形態においては、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定ベンダーPSVに、プリンター200psvとプロファイル作成ツールPMTを提供する(図1の中段右部参照)。そして、印刷設定ベンダーPSVは、プリンター200psvとメディアベンダーMVが製造する様々な種類の印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルを作成する。しかし、プリンタープロバイダーPPが、プリンター200ppを備え、プリンター200ppとプロファイル作成ツールPMTとを使用して、プリンター200ppとメディアベンダーMVが製造する様々な種類の印刷媒体MDとの組み合わせに応じたプロファイルを作成する態様とすることもできる。
この態様においては、メディアベンダーMVが、印刷業者PCa,PCbにおいて印刷設定情報Ipsに基づいて行われた印刷の実績に基づいて決定される報酬Pcr2を、その印刷設定情報Ipsを作成したプリンタープロバイダーPPに支払うことができる(図1の上段右部参照)。
C2.他の形態2:
上記実施形態においては、印刷設定情報Ipsは、以下の情報を含む(図2参照):対象とするプリンターの機種の情報1010、対象とする印刷媒体の種類の情報1020、対象とするプリンターにおいて使用されるべきインクの種類の情報1030、対象とするプリンターにおいて使用されるべき印刷モードの情報1040、対象とするプリンターにおける媒体の送り速度を含むプリンターの動作設定パラメーターの情報1050、対象とするプリンターのプロファイルの情報1060。
しかし、印刷設定情報Ipsは、これらのうちの少なくとも一部を含まない態様とすることもできる。ただし、印刷設定情報Ipsは、対象とするプリンターの機種の情報1010、対象とする印刷媒体の種類の情報1020、および対象とするプリンターにおいて使用されるべきインクの種類の情報1030を含むことが好ましい。
C3.他の形態3:
上記実施形態においては、プリンタープロバイダーPPは、印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに、媒体集計量Vmbに基づいて決定される報酬Pcrを、支払う(図1の上段中央部および上段右部参照)。媒体集計量Vmbは、印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200a,200bによる印刷において使用された印刷媒体MDの量である。しかし、印刷設定ベンダーPSVに支払われる報酬Pcr,Pcr2は、他の方法で決定されてもよい。
(1)印刷設定情報Ipsごとに集計されたインク集計量Vib(図1の上段中央参照)も、印刷業者PCa,PCbにおいて各印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200a,200bによる印刷の実績を表す。このため、以下のような態様を採用することもできる。
プリンタープロバイダーPPとメディアベンダーMVの一方は両方は、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとに、管理サーバーSvから、インク集計量Vibを取得する。プリンタープロバイダーPPは、印刷設定情報Ipsごとのインク集計量Vibに基づいて、報酬Pcr,Pcr2を決定する。そして、プリンタープロバイダーPPは、その報酬Pcr,Pcr2を、印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに、支払う。
この態様においても、管理サーバーSvからのダウンロードされた回数Niに基づいて印刷設定ベンダーPSVに支払われる報酬Pcr,Pcr2が決定される態様に比べて、報酬Pcr,Pcr2が印刷業者PCa,PCbにおける実際の利用実績を反映して決定されやすい。なお、報酬Pcr,Pcr2は、それぞれ媒体集計量Vmbとインク集計量Vibの両方に基づいて、決定されることもできる。
(2)印刷設定情報Ipsごと測定されているダウンロード回数Niも、印刷業者PCa,PCbにおいて各印刷設定情報Ipsに基づく設定が行われたクライアントプリンター200a,200bによる印刷の実績を表す。このため、以下のような態様を採用することもできる。
プリンタープロバイダーPPとメディアベンダーMVの一方は両方は、一定期間ごと、たとえば1ヶ月ごとに、管理サーバーSvから、印刷設定情報Ipsごとに測定されているダウンロード回数Niを取得する。プリンタープロバイダーPPは、印刷設定情報Ipsがダウンロードされた回数Niに基づい、報酬Pcr,Pcr2を決定する。そして、プリンタープロバイダーPPは、その報酬Pcr,Pcr2を、印刷設定情報Ipsを作成した印刷設定ベンダーPSVに、支払ってもよい。
印刷設定情報Ipsがダウンロードされた回数Niは、管理サーバーSvにおいて測定される。このため、印刷業者PCa,PCb,PCasにおいて使用された印刷媒体MDの量Vmやインクの量Viを管理サーバーSvが受信し、それらを集計して得られる媒体集計量Vmbおよびインク集計量Vibに比べて、容易に把握できる。このため、対価Pcrを決定する処理が容易である。
D.さらに他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、プリンターを提供する第1プロバイダーと、印刷媒体を提供する第2プロバイダーと、プリンターと印刷媒体との組み合わせに応じたプロファイルを提供する第3プロバイダーと、前記プリンターおよび前記プロファイルを使用して前記印刷媒体に印刷を行う1以上のクライアントと、情報を処理し記憶する記憶部とが、ネットワークを介して接続されている印刷システムが提供される。前記第1プロバイダーは、前記第3プロバイダーに、プロバイダープリンターと、ソフトウェアとしてのプロファイル作成ツールと、を提供する。前記第3プロバイダーは、前記プロバイダープリンターと前記プロファイル作成ツールとを使用して、前記プロバイダープリンターと印刷媒体との組み合わせに応じたプロファイルを含む印刷設定情報を作成し、前記印刷設定情報を前記記憶部に記憶させるために、前記記憶部に前記印刷設定情報を送信する処理を、前記第2プロバイダーが提供する1以上の印刷媒体について実行する。前記クライアントは、前記クライアントにおいて印刷に使用されるクライアントプリンターと前記印刷に使用される印刷媒体との組み合わせに応じた前記印刷設定情報を、前記記憶部からダウンロードし、前記クライアントプリンターを制御するソフトウェアまたは前記クライアントプリンターに、前記印刷設定情報に基づく設定を行って、前記印刷を行う。前記第1プロバイダーと前記第2プロバイダーのいずれか一方または両方は、前記クライアントにおいて前記印刷設定情報に基づく設定が行われた前記クライアントプリンターによって行われた前記印刷の実績に基づいて決定される報酬を、前記印刷設定情報を作成した前記第3プロバイダーに支払う。
このような態様とすることにより、クライアントに頻繁に利用され、クライアントにとって使用価値のある印刷設定情報を作成するインセンティブを、第3プロバイダーに与えることができる。その結果、クライアントにとって使用価値のある、高品質な印刷を実現可能な印刷設定情報が、第3プロバイダーによって、生成される。また、報酬が印刷の実績に基づいて決定されるため、報酬を公正に定めることができる。
(2)上記形態の印刷システムにおいて、前記印刷設定情報は、対象とするプリンターの機種、対象とする印刷媒体の種類、前記対象とするプリンターにおいて使用されるインクの種類、前記対象とするプリンターにおいて使用される印刷モード、前記対象とするプリンターにおける媒体の送り速度を含む前記プリンターの設定パラメーター、および前記対象とするプリンターの前記プロファイルを含む、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、クライアントは、クライアントプリンターを制御するソフトウェアまたはクライアントプリンターに、印刷設定情報に基づく設定を行い、印刷を行うことにより、第3プロバイダーが(i)クライアントプリンターの機種、(ii)印刷媒体の種類、(iii)インクの種類、(iv)印刷モード、および(v)前記設定パラメーターを指定して、プロファイルを作成した際に想定した品質を有する印刷物を得ることができる。
(3)上記形態の印刷システムにおいて、前記クライアントは、前記印刷設定情報に基づく設定が行われた前記クライアントプリンターによる前記印刷において使用された前記印刷媒体の量を、測定し、前記第1プロバイダーと前記第2プロバイダーの前記いずれか一方または両方は、前記印刷設定情報を作成した前記第3プロバイダーに、前記印刷設定情報に基づく設定が行われた前記クライアントプリンターによる前記印刷において使用された前記印刷媒体の量に基づいて決定される前記報酬を、支払う、態様とすることもできる。
このような態様においては、印刷において使用された印刷媒体の量に基づいて、第3プロバイダーに支払われる報酬が、決定される。このため、記憶部からのダウンロードされた回数に基づいて第3プロバイダーに支払われる報酬が決定される態様に比べて、報酬がクライアントにおける実際の利用実績を反映して決定されやすい。
(4)上記形態の印刷システムにおいて、前記クライアントは、前記印刷設定情報に基づく設定が行われた前記クライアントプリンターによる前記印刷において使用されたインクの量を、測定し、前記第1プロバイダーと前記第2プロバイダーの前記いずれか一方または両方は、前記印刷設定情報を作成した前記第3プロバイダーに、前記印刷設定情報に基づく設定が行われた前記クライアントプリンターによる前記印刷において使用されたインクの量に基づいて決定される前記報酬を、支払う、態様とすることもできる。
このような態様においては、印刷において使用されたインクの量に基づいて、第3プロバイダーに支払われる報酬が、決定される。このため、記憶部からのダウンロードされた回数に基づいて第3プロバイダーに支払われる報酬が決定される態様に比べて、報酬がクライアントにおける実際の利用実績を反映して決定されやすい。
(5)上記形態の印刷システムにおいて、前記記憶部は、前記印刷設定情報ごとに、前記クライアントによってダウンロードされた回数を、測定し、前記第1プロバイダーと前記第2プロバイダーの前記いずれか一方または両方は、前記印刷設定情報を作成した前記第3プロバイダーに、前記印刷設定情報がダウンロードされた前記回数に基づいて決定される前記報酬を、支払う、態様とすることもできる。
このような態様においては、報酬が、印刷設定情報がダウンロードされた回数に基づいて決定される。印刷設定情報がダウンロードされた回数は、記憶部を使用することにより、クライアントにおいて使用された印刷媒体の量に比べて、容易に把握できる。このため、印刷媒体の量に基づいて報酬が決定される態様に比べて、報酬を決定する処理が容易である。
本開示は、印刷システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、印刷処理方法や、印刷媒体の提供方法、対価の提供方法、報酬の提供方法、それらの方法を実現するコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
上述した本開示の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本開示の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本開示の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本開示の独立した一形態とすることも可能である。