ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)キャリブレーション管理システムの全体構成:
(2)各装置の詳細な構成および動作:
(2−1)カラーチャート印刷装置:
(2−2)キャリブレーションデータ作成装置:
(2−3)キャリブレーション装置:
(2−4)キャリブレーションデータ出力装置:
(3)まとめおよび各種応用例:
(1)キャリブレーション管理システムの全体構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかるキャリブレーション管理システム100の概略構成を示している。同図において、本発明のカラーチャート作成装置およびキャリブレーションデータ作成装置の中核を構成するパーソナルコンピュータ(PC)10が備えられており、同PC10に対して測色機30と3台のプリンタP1,P2,P3が通信可能に接続されている。PC10および測色機30と3台のプリンタP1,P2,P3は、それぞれUSBインターフェイスによって接続されている。また、PC10には、各プリンタP1,P2,P3ごとにプリンタドライバ(PTDRV)D1,D2,D3がインストールされており、各PTDRV D1,D2,D3ごとに使用する色変換テーブル(LUT)12c,12c,12c・・・が管理されている。
各LUT12c,12c,12c・・・には、PC10が画像データの取り扱いに採用するRGB系色座標値と、プリンタP1,P2,P3が備えるインクセットに対応する色空間上の色座標値の対応関係が規定されており、同LUT12c,12c,12c・・・を参照することによりRGB系色座標値によって表現された画像データをプリンタP1,P2,P3のインクセットに対応した色座標値によって表現された画像データに色変換することができる。これにより、プリンタP1,P2,P3においては各インクごとのインク吐出量を特定することができ、上記色変換後の画像データに基づいて印刷を実行することができる。プリンタP1,P2,P3が採用するインクセットは、CMY(シアン−マゼンタ−イエロー)やCMYK(シアン−マゼンタ−イエロー−ブラック)等であってもよいし、これらにlclmlk(ライトシアン−ライトマゼンタ−ライトブラック)等の淡色インクが加えられてもよい。
図2は、本キャリブレーション管理システムにおいて行われる処理の流れを概略的に示している。キャリブレーションを行うにあたり、まず最初にカラーチャート50の印刷を行う。カラーチャート50の印刷は、PC10がプリンタP1,P2,P3のいずれかと協働して行う。その意味で、PC10とプリンタP1,P2,P3とは、本発明のカラーチャート作成装置に相当する。PC10において、カラーチャート50の印刷を行うにあたり、プリンタP1,P2,P3の指定や印刷モード等の印刷条件の指定を行うことが可能であり、これらの印刷条件に対応したLUT12c,12c,12c・・・を使用して色変換を行いつつ、プリンタP1,P2,P3のいずれかにてカラーチャート50の印刷を実行させる。図1に示すように、カラーチャート50は矩形状のカラーパッチ(色見本)50aが行列状に複数配列されたシートである。また、PC10はプリンタP1,P2,P3にカラーチャート50の印刷を実行させるとともに、その際に適用した印刷条件情報を格納する印刷条件情報ファイル12bを生成する。
乾燥も含めカラーチャート50の作成が完了すると、PC10は測色機30を使用してカラーチャート50を測色する。PC10は、カラーチャート50を測色することにより得られた各カラーパッチの測色値と予め用意された基準値とを比較する。そして、カラーチャート50に形成されたカラーパッチの基準に対する色ずれを特定し、同色ずれを補償するためのキャリブレーションデータ12dを作成する。この意味で、PC10と測色機30は本発明のキャリブレーションデータ作成装置に相当する。キャリブレーションデータ12dは、補正データ12d2と、上記印刷条件情報が格納された印刷条件情報データ12d1とから構成されている。この補正データ12d2には、LUT12cに記述された色変換後の色座標値を、上記色ずれが補償されるように再変換する補正値が格納されている。なお、印刷条件情報データ12d1は、PC10が取得した印刷条件情報ファイル12bに基づいて生成される。
以上のようにしてキャリブレーションデータ12dが作成されると、PC10は同キャリブレーションデータ12dの補正データ12d2とLUT12c,12c,12c・・・との対応付けを行う。すなわち、対応付けが行われたLUT12cを使用して色変換を行った色変換後の色座標値については、さらに補正データ12d2によって再変換が行われ修正されることとなる。この意味で、PC10は本発明のキャリブレーション装置に相当する。対応付けをする際に、対応付ける対象のLUT12cをユーザーの選択とキャリブレーションデータの印刷条件情報データ12d1に基づいて特定する。
これにより、PC10に備えられた多数のLUT12c,12c,12c・・・からカラーチャート50の印刷に使用した印刷条件情報に対応したものを選択し、そのLUT12cに補正データ12d2を対応づけることができる。また、PC10はキャリブレーションデータ12dを他の機器等に出力(エクスポート)することが可能となっており、出力したキャリブレーションデータ12dも印刷条件情報データ12d1と補正データ12d2とから構成されている。そして、同様にエクスポートしたキャリブレーションデータ12dを使用して、PC10や他のコンピュータに備えられたLUT12cの変換後の色座標値を修正することが可能となっている。
以上説明したキャリブレーション管理システムにおいては、カラーチャート50を印刷し、同カラーチャート50の色ずれに基づいて作成された補正データ12d2によってLUT12cによる色変換結果を修正する。これにより、修正後はカラーチャート50の色ずれが発生しないように印刷を行わせることができ、元の画像データに忠実な印刷を実現することが可能となる。
(2)各装置の詳細な構成および動作:
(2−1)カラーチャート印刷装置:
図3は、キャリブレーション管理プログラムの全体構成を模式的に示している。同図において、キャリブレーションの管理を行うためのアプリケーションプログラムとしてコンピュータ10にインストールされたキャリブレーション管理プログラムAは、カラーチャート印刷モジュールA1とキャリブレーションデータ作成モジュールA2とキャリブレーションモジュールA3とキャリブレーションデータ出力モジュールA4とから構成されている。さらに、各モジュールA1〜A4は、それぞれ複数のモジュールA1a,A1b・・・から構成されている。
カラーチャート印刷モジュールA1はカラーチャート50を印刷する際に演算処理部11にて実行されるモジュールであり、キャリブレーションデータ作成モジュールA2はキャリブレーションデータを作成する際に実行されるモジュールである。また、キャリブレーションモジュールA3はキャリブレーションデータを用いてインク吐出量の補正を行う際に演算処理部11にて実行されるモジュールであり、キャリブレーションデータ出力モジュールA4はキャリブレーションデータを複製してエクスポートする際に演算処理部11にて実行されるモジュールである。
図4は、カラーチャート50を印刷する際のPC10の内部構成を示している。コンピュータ10はCPU,RAM等のハードウェアを使用して演算処理を実行する演算処理部11とデータを蓄積するHDD12とを備えている。同図において、キャリブレーション管理プログラムのカラーチャート印刷モジュールA1が演算処理部11にて実行されており、プリンタP1〜P3およびディスプレイ40およびキーボードとマウスからなる入力機器45とがそれぞれ図示しないインターフェイスを介して接続されている。また、各プリンタP1〜P3ごとにPTDRV D1〜D3がインストールされている。なお、図示および説明の省略のためプリンタP1に対応するPTDRV D1のみを説明するが、他のPTDRV D2,D3も同様の構成とされている。また、キャリブレーション管理プログラムAの各モジュールA1〜A4は、図示しないAPIを介してPTDRV D1〜D3と相互にデータの授受を行っている。
カラーチャート印刷モジュールA1を構成するUI部A1aは、ディスプレイ40に対して所定のUI画像を表示させ、入力機器45によって行われるユーザーの入力を受け付ける。一方、プリンタP1〜P3の監視を行う制御部D1dは、各プリンタP1〜P3の機種情報と機体情報と搭載インクセット情報等を取得する。印刷条件情報取得部A1bは、UI部A1aにて受け付けた入力情報と制御部D1dが取得した機種情報等を印刷条件情報として取得する。なお、UI部A1aから入力される印刷条件情報は、カラーチャート50を印刷するプリンタP1〜P3の指定情報と、プリンタP1〜P3にて印刷を行う際の解像度情報と、カラーチャート50を印刷する印刷用紙情報と、カラーチャートの種類を特定するカラーチャート番号と、インクセット情報とから構成される。厳密には、プリンタP1〜P3ごとにインストールされたPTDRV D1〜D3の指定によってプリンタP1〜P3の指定情報が入力される。
解像度情報はユーザーが印刷モードを指定することにより間接的に特定され、例えば印刷モードをフォトモードに設定すると印刷解像度が1440dpiに設定される。印刷用紙情報は、普通紙や光沢紙等の特定を行うための情報である。インクセット情報はカラーチャート50を印刷する際に吐出するインク種の組合せを指定する情報である。以上のような印刷条件情報を受け付けることが可能なUI画像をUI部A1aがディスプレイ40に対して出力する。そして、このUI画像にしたがってUI部A1aが入力機器45からの入力を受け付け、印刷条件情報取得部A1bが所要の情報を取得する。
一方、制御部D1dが取得するプリンタP1〜P3についての機種情報はプリンタP1〜P3の製造モデル名であり、機体情報はプリンタP1〜P3に対して固有に付けられた機体シリアル番号であり、搭載インクセット情報はプリンタP1〜P3に現在搭載されているインクセットを示す情報である。各PTDRV D1〜D3には、プリンタP1〜P3の製造モデル名や機体シリアル番号を記憶したり、PTDRV D1〜D3のステータスを取得したりする制御部D1dが設けられており、印刷条件情報取得部A1bは同制御部D1dから機種情報と機体情報と搭載インクセット情報とを取得することができる。印刷条件情報ファイル作成部A1cは、以上のようにして取得された印刷条件情報を入力し、同印刷条件情報を格納した印刷条件情報ファイル12bを作成し、HDD12に記憶させる。
カラーチャート50を印刷するプリンタとしてプリンタP1が指定された場合、PTDRV D1を構成する色変換部D1aは、印刷条件情報を取得するとともに、同印刷条件情報に基づいてLUT12cを選択する。プリンタP1〜P3の製造モデルによってインク吐出特性が異なるため、各製造モデルごとに異なるLUT12c,12c,12c・・・が設けられる。同様に、印刷モード(印刷解像度)や印刷用紙によってインクを受容できる上限が異なるため、印刷モードや印刷用紙にごとに異なるLUT12c,12c,12c・・・が設けられる。むろん、インクセットによって色変換後の座標系が異なるため、インクセットに応じて異なるLUT12c,12c,12c・・・が設けられる。
このように、多数設けられたLUT12c,12c,12c・・・から、印刷条件情報取得部A1bが取得した印刷条件情報に適合したLUT12cを選択する。すなわち、印刷条件情報における解像度情報と印刷用紙情報と機種情報とインクセット情報に適合したLUT12cが選択される。そして、このLUT12cを参照して、色変換部D1aはHDD12に記憶されたカラーチャートデータ12aを色変換する。カラーチャートデータ12aはカラーチャート50がRGB階調を有する多数の画素データで表現された画像データであり、色変換部D1aが色変換を行うことによりプリンタP1のインクセットの階調を有する多数の画素データで表現された画像データに変換される。例えば、プリンタP1に搭載されたCMYKlclmlkのインクセットによってカラーチャート50の印刷を行うよう指定された場合には、CMYKlclmlk座標系の座標値(各階調)で表現された画像データが生成される。なお、カラーチャート50を印刷するプリンタとしてプリンタP2,P3が指定された場合には、PTDRV D2,D3が備える色変換部にて同様の色変換が行われる。
カラーチャート50を印刷するプリンタとしてプリンタP1が指定された場合、ハーフトーン処理部D1bは色変換後の画像データに対してハーフト−ン処理を実行する。このハーフトーン処理では、各画素についてプリンタP1〜P3がインク滴を吐出させるか否かを特定した中間データを生成する。この中間データにおいては、色変換後の階調が大きければ大きいほど、インク滴を吐出させる画素の割合が多くなる。逆に、色変換後の階調が小さければ小さいほど、インク滴を吐出させる画素の割合が少なくなる。印刷データ生成/出力部D1cは、ハーフトーン処理後の中間データをプリンタP1〜P3が備える各インクノズルでのインク滴吐出順に並べる等の処理を行った印刷データを生成し、プリンタP1〜P3に対して出力する。
この結果、プリンタP1〜P3においては、カラーチャート50を印刷することができる。中間データにおいてインク滴を吐出させる画素の割合が多いほど、各インクノズルにおける吐出頻度が高くなり、結果として通算のインク吐出量が大きくなる。すなわち、色変換後の階調に応じたインク量が吐出される。この意味で、LUT12c,12c,12c・・・が本発明のインク量テーブルに相当するということができる。なお、カラーチャート50を印刷するプリンタとしてプリンタP2,P3が指定された場合には、PTDRV D2,D3が備えるハーフトーン処理部と印刷データ生成/出力部にて同様の処理が行われる。
図5は、以上の構成において行われるカラーチャート印刷処理の流れを示している。図6は、UI部A1aがディスプレイ40に表示させるUI画像の一例を示している。図5のステップS100において、UI部A1aがディスプレイ40においてUI画像を表示させ、入力機器45によって行われるユーザーの入力を受け付ける。
図6において、プリンタP1〜P3のいずれかを指定する選択ボックスと、インクセットを指定するための選択ボックスと、インクセットを指定するための選択ボックスと、印刷用紙(メディア)を指定するための選択ボックスと、印刷モード(印刷解像度)を指定するための選択ボックスと、カラーチャート番号を指定するための選択ボックスとが設けられており、それぞれプルダウンメニュー方式で選択することが可能となっている。これらの各選択ボックスにて選択が行われると、印刷実行ボタンがクリックされ、同選択した内容が確定される。
ステップS110においては、UI画像上において指定された入力情報を取得する。すなわち、印刷条件情報取得部A1bがUI部A1aを介して、印刷条件情報のうちプリンタP1〜P3の指定情報と解像度情報と印刷用紙情報とカラーチャート番号とインクセット情報を取得する。ステップS120においては、印刷条件情報取得部A1bが制御部D1dからUI画像上において指定されたプリンタP1〜P3についての機種情報と機体情報と搭載インクセット情報とを取得する。このとき、ユーザーが指定したインクセット情報と、指定されたプリンタP1〜P3に搭載された搭載インクセット情報とが相違している場合には、警告を発するようにしてもよい。ステップS150においては、印刷条件情報ファイル作成部A1cが印刷条件情報を取得し、同印刷条件情報を格納した印刷条件情報ファイル12bを作成し、HDD12に記憶させる。
図7は、印刷条件情報ファイル12bを模式的に示している。同図において、印刷条件情報ファイル12bには、当該印刷条件情報ファイル12bのファイル名と機種情報と機体情報とインクセット情報と印刷用紙情報と解像度情報とカラーチャート番号と印刷日時とが格納されている。次に、指定されたプリンタP1のPTDRV D1の色変換部D1aが、ステップS140において指定されたカラーチャート番号に対応したカラーチャートデータ12aを取得する。そして、色変換部D1aは、ステップS150において解像度情報と印刷用紙情報と機種情報とインクセット情報に適合したLUT12cを選択し、同LUT12cを参照してカラーチャートデータ12aを色変換する。
ステップS160,S170においては、ハーフトーン処理部D1bと印刷データ生成/出力部D1cが順次処理を行い、指定されたプリンタP1に対して印刷データを出力する。このように、演算処理部11がカラーチャート印刷モジュールA1を実行することによりユーザーが指定した印刷条件にしたがったカラーチャート50を印刷することができ、このときのPC10とプリンタP1〜P3がカラーチャート印刷装置を構成する。
以上説明したカラーチャート印刷装置においては、ユーザーがカラーチャート50を印刷する際に指定した印刷条件情報を印刷条件情報ファイル12bに格納して記憶させている。このように、予め印刷条件情報ファイル12bを用意しておくことにより、後に詳述するキャリブレーションデータ作成装置における各カラーチャート50の印刷条件情報の管理を容易に実現させることが可能となる。
(2−2)キャリブレーションデータ作成装置:
図8は、キャリブレーションデータ作成処理を実行する際のPC10の内部構成を示している。同図において、キャリブレーション管理プログラムのキャリブレーションデータ作成モジュールA2が演算処理部11にて実行されており、HDD12には予め作成された印刷条件情報ファイル12bが複数記憶されている。キャリブレーションデータ作成モジュールA2を構成するUI部A2aは、キャリブレーションデータ作成処理を実行するためのUI画像をディスプレイ40に対して出力する本発明の画像出力手段を構成する。さらに、UI部A2aは一覧表示部A2bと印刷条件情報表示部A2cと本選択部A2dとから構成されている。
一覧表示部A2bはHDD12に記憶された印刷条件情報ファイル12bをリストアップし、これらの概要を上記UI画像において一覧表示する。また、一覧表示部A2bは、同一覧表示において印刷条件情報ファイル12bの仮選択を受け付ける。印刷条件情報取得部A2eは、一覧表示部A2bが仮選択を受け付けた印刷条件情報ファイル12bを取得し、同印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報を取得する。そして、印刷条件情報表示部A2cは、印刷条件情報取得部A2eが取得した印刷条件情報を上記UI画像において表示させる。
本選択部A2dは、上記UI画像において印刷条件情報ファイル12bの確定的な選択を受け付ける。また、印刷条件情報取得部A2eは、本選択部A2dが選択を受け付けた印刷条件情報ファイル12bを取得し、同印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報を取得し、キャリブレーションデータ作成部A2fに出力する。キャリブレーションデータ作成部A2fは補正データ作成部A2hから補正データを取得するとともに、本選択された印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報を印刷条件情報取得部A2eから取得する。そして、同取得した補正データ12d2と印刷条件情報12d1とを格納したキャリブレーションデータ12dを作成し、HDD12に記憶させる。
測色機30は、カラーチャート50を撮像素子に対して走査させ、同カラーチャート50に形成された各カラーパッチ50aの測色を順次行う。各カラーパッチ50aの測色結果は、L*a*b*色空間の座標値として出力され、同L*a*b*値を測色結果取得部A2gが取得する。一方、sRGBデータ変換部A2iは各カラーパッチ50aの色に対応したsRGB値を取得して、所定の変換式により同sRGB値に対応した基準L*a*b*座標値を算出する。
そして、補正データ作成部A2hは、測色機30から実測により得られた各カラーパッチ50aのL*a*b*座標値と、sRGBデータ変換部A2iにて算出した各カラーパッチ50aの理想的な基準L*a*b*座標値とを比較する。そして、実測のL*a*b*座標値と理想的な基準L*a*b*座標値との偏差を取得し、この偏差を補償するための補正データ12d2を生成する。
図9は、以上の構成において行われるキャリブレーションデータ作成処理の流れを示している。図10は、UI部A2aがディスプレイ40に表示させるUI画像の一例を示している。図9のステップS200において、UI部A2aがディスプレイ40においてUI画像を表示させ、入力機器45によって行われるユーザーの入力を受け付ける。図10において、UI画像には矩形状の第一の表示エリアが設けられ、同第一の表示エリアにおいてHDD12に記憶された印刷条件情報ファイル12bのファイル名が一覧表示されている。すなわち、一覧表示部A2bがHDD12に記憶された印刷条件情報ファイル12bをリストアップし、これらのファイル名を第一の表示エリアにおいて一覧表示している。
この第一の表示エリアにおいてマウスポインタによって各ファイル名を指し示すことにより、一覧表示部A2bはファイル名が指し示された印刷条件情報ファイル12bを仮選択されたものと認識する。そして、一覧表示部A2bは仮選択された印刷条件情報ファイル12bのファイル名を色反転表示させる。仮選択された印刷条件情報ファイル12bについては、印刷条件情報取得部A2eが当該印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報を取得する。そして、印刷条件情報表示部A2cが、印刷条件情報取得部A2eが取得した印刷条件情報をUI画像における第二の表示エリアに表示させる。
図10においては、ファイル名が"□○○△"の印刷条件情報ファイル12bが仮選択されており、図7に示した当該印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報が第二の表示エリアに表示されている。また、第一の表示エリアの最下部には"新規ファイル作成"と表示された欄が設けられており、同欄についてもマウスポインタにて選択することにより仮選択でき、反転表示が可能となっている。ステップS210においては、UI画像に表示された決定ボタンの入力を受け付け、このとき第一の表示エリアにて仮選択されているものを本選択部A2dが本選択されたものとして受け付ける。第二の表示エリアにて印刷条件情報の内容が表示されている印刷条件情報ファイル12bを本選択することができるため、正確に印刷条件情報ファイル12bを選択できる。
なお、通常、カラーチャート50には、機種情報と機体情報とインクセット情報と印刷用紙情報と解像度情報とカラーチャート番号と印刷日時が印字されているため、測色機30にセットしたカラーチャート50の印字情報と第二の表示エリアにて表示された印刷条件情報の内容を比較することによりユーザーが適切な選択を行うことができる。一方、カラーチャート50の印字情報に適合する印刷条件情報ファイル12bがなく、"新規ファイル作成"と表示された欄が本選択された場合には、ステップS215において印刷条件情報ファイル12bの新規作成を行う。
図11は、印刷条件情報ファイル12bを新規に作成するために表示されるUI画像の一例を示している。同図において、機種情報と機体情報とインクセット情報と印刷用紙情報と解像度情報とカラーチャート番号と印刷日時とをそれぞれ指定するための入力ボックスが設けられている。このようにすることにより、印刷条件情報ファイル12bが予めHDD12に記憶されていない場合にも、測色を行うカラーチャート50についての印刷条件情報を登録することができる。なお、カラーチャート50を印刷したプリンタが接続されたコンピュータが測色を行うコンピュータと異なる場合や、印刷条件情報ファイル12bが消失してしまった場合に、印刷条件情報ファイル12bを新規に作成することとなる。また、通常、カラーチャート50には、機種情報と機体情報とインクセット情報と印刷用紙情報と解像度情報とカラーチャート番号と印刷日時が印字されているため、印字された情報をユーザーが読み取って各項目を入力することができる。
一方、ステップS210にていずれかの印刷条件情報ファイル12bが本選択された場合には、ステップS220にて本選択された印刷条件情報ファイル12bが格納する印刷条件情報を印刷条件情報取得部A2eが取得する。ステップS230においては、測色機30が、同測色機30にセットされたカラーチャート50の測色を行う。測色結果取得部A2gは測色機30による測色結果を取得する。すなわち、実測による各カラーパッチ50aのL*a*b*座標値が取得され、同L*a*b*座標値が補正データ作成部A2hに出力される。
ステップS240においては、補正データ作成部A2hがsRGBデータ変換部A2iにて算出した各カラーパッチ50aの理想的な基準L*a*b*座標値を取得する。そして、ステップS260においては、補正データ作成部A2hが実測のL*a*b*座標値と、基準L*a*b*座標値との偏差を取得し、この偏差を補償するための補正データ12d2を生成する。
図12は、補正データ12d2を表にして示している。同図において、補正データ12d2は色変換後の色座標値と、同色座標値を修正した修正値との対応関係を規定したテーブルである。このテーブルは、各インクごとに設けられており、例えば色変換後のCMYインクの階調"CMY"が修正値"C*M*Y*"に修正されることを意味している。
ステップS260においては、キャリブレーションデータ作成部A2fが補正データ12d2と、ステップS220にて取得した印刷条件情報とを取得し、補正データ12d2に印刷条件情報データ12d1が添付されたキャリブレーションデータ12dを作成する。キャリブレーションデータ12dのファイル名は、添付する印刷条件情報データ12d1の情報元となった印刷条件情報ファイル12bのファイル名がそのまま適用されるものとする。そして、ステップS270にて、キャリブレーションデータ12dをHDD12に記憶させ、キャリブレーションデータ作成処理を終了させる。印刷条件情報データ12d1には図7に示す印刷条件情報ファイル12bと同様に印刷条件情報が記述されている。このように、演算処理部11がキャリブレーションデータ作成モジュールA2を実行することによりキャリブレーションデータ12dを作成することができ、このときのPC10と測色機30がキャリブレーションデータ作成装置を構成する。
以上説明したキャリブレーションデータ作成装置において、キャリブレーションデータを作成するにあたり、予めカラーチャート印刷装置において作成された印刷条件情報ファイル12bが利用される。従って、カラーチャート50に印字された情報をユーザーが登録することなく、同カラーチャート50の測色結果に基づいて作成された補正データ12d2と、同カラーチャート50の印刷条件情報とが関連付けられたキャリブレーションデータ12dを作成することができる。特に、キャリブレーションデータ12dを作成するにあたり、印刷条件情報ファイル12bの一覧を第一の表示エリアにて参照しつつ、同第一の表示エリアにて仮選択された印刷条件情報ファイル12bに格納された印刷条件情報の内容を第二の表示エリアにおいて確認することができる。これにより、測色を行おうとしているカラーチャート50を印刷した際の印刷条件情報が格納された印刷条件情報ファイル12bを容易に選択することができ、補正データ12d2と印刷条件情報との対応付けを正確に行うことができる。
(2−3)キャリブレーション装置:
図13は、キャリブレーション処理を実行する際のPC10の内部構成を示している。同図において、キャリブレーション管理プログラムのキャリブレーションモジュールA3が演算処理部11にて実行されており、HDD12には予め作成されたキャリブレーションデータ12dが複数記憶されている。キャリブレーションモジュールA3を構成するUI部A3aは、キャリブレーション処理を実行するためのUI画像をディスプレイ40に対して出力する本発明の画像出力手段を構成する。さらに、UI部A3aは一覧表示部A3bと印刷条件情報表示部A3cと本選択部A3dとから構成されている。
一覧表示部A3bはHDD12に記憶されたキャリブレーションデータ12dをリストアップし、これらの概要を上記UI画像において一覧表示する。また、一覧表示部A3bは、同一覧表示においてキャリブレーションデータ12dの仮選択を受け付ける。印刷条件情報取得部A3eは、一覧表示部A3bが仮選択を受け付けた印刷条件情報データ12d1を取得し、同印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を取得する。印刷条件情報表示部A3cは、印刷条件情報取得部A3eが取得した印刷条件情報を上記UI画像において表示させる。また、UI部A3aは上記UI画像において、キャリブレーションを行うPTDRV D1〜D3の指定を受け付ける。PTDRV D1〜D3はプリンタP1〜P3に対応しているため、プリンタP1〜P3に対してキャリブレーションを行うかが指定されることとなる。
本選択部A3dは、上記UI画像においてキャリブレーションデータ12dの確定的な選択を受け付ける。また、印刷条件情報取得部A3eは、本選択部A3dが選択を受け付けたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1を取得し、同印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を判定部A3fに出力する。判定部A3fはUI部A3aが指定を受け付けたPTDRV D1〜D3が取得したキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報において使用するLUT12c,12c,12c・・・を絞り込む。そして、キャリブレーション部A3gは、判定部A3fが絞り込んで特定したLUT12cと、本選択部A3dが選択を受け付けたキャリブレーションデータ12dの補正データ12d2とを対応付ける。すなわち、判定部A3fが特定したLUT12cにて色変換を行った後の色座標値を、当該補正データ12d2を使用して修正するように関連付けを行う。
図14は、以上の構成において行われるキャリブレーション処理の流れを示している。図15は、UI部A3aがディスプレイ40に表示させるUI画像の一例を示している。図14のステップS300において、UI部A3aがディスプレイ40においてUI画像を表示させ、入力機器45によって行われるユーザーの入力を受け付ける。図15において、UI画像には矩形状の第一の表示エリアが設けられ、同第一の表示エリアにおいてHDD12に記憶されたキャリブレーションデータ12dのファイル名が一覧表示されている。すなわち、一覧表示部A3bがHDD12に記憶されたキャリブレーションデータ12dをリストアップし、これらのファイル名を第一の表示エリアにおいて一覧表示している。
この第一の表示エリアにおいてマウスポインタによって各ファイル名を指し示すことにより、一覧表示部A3bはファイル名が指し示されキャリブレーションデータ12dを仮選択されたものと認識する。そして、一覧表示部A3bは仮選択されたキャリブレーションデータ12dのファイル名を色反転表示させる。仮選択されたキャリブレーションデータ12dについては、印刷条件情報取得部A3eが当該キャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を取得する。そして、印刷条件情報表示部A3cは、印刷条件情報取得部A3eが取得した印刷条件情報をUI画像における第二の表示エリアに表示させる。図15においては、ファイル名が"□○○△"のキャリブレーションデータ12dが仮選択されており、各印刷条件情報が第二の表示エリアに表示されている。
ステップS310においては、UI部A3aがインストールされているPTDRV D1〜D3を検出し、同検出されたPTDRV D1〜D3をUI画像の右欄のプルダウンメニューにリストアップさせる。ステップS320においては、UI部A3aがUI画像の右欄においてキャリブレーションを行うプリンタP1〜P3(PTDRV D1〜D3)の指定を受け付ける。これにより、ステップS310において検出したPTDRV D1〜D3を選択することができる。次にステップS330において、本選択部A3dがUI画像にて適用ボタンのクリックを検出し、同クリックが検出されているときに仮選択されているキャリブレーションデータ12dが本選択されたものと認識する。すなわち、第二の表示エリアにて印刷条件情報が表示されているキャリブレーションデータ12dについて本選択を行うことができる。キャリブレーションデータ12dが本選択されるとステップS340にて判定部A3fがキャリブレーション可否判定処理を実行する。
図16は、キャリブレーション可否判定処理の流れを示している。同図において、ステップS341では、判定部A3fがステップS330にて本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を取得する。ステップS342では、判定部A3fがステップS320にて選択されたPTDRV D1〜D3について調査する。具体的には、ステップS320にて選択されたPTDRV D1〜D3によって制御されるプリンタP1〜P3の機種情報や機体情報をPTDRV D1〜D3の制御部D1d・・から取得する。さらに、ステップS320にて選択されたPTDRV D1〜D3が使用するLUT12c,12c,12c・・・についての情報をPTDRV D1〜D3の色変換部D1a・・から取得する。
すなわち、選択されたPTDRV D1〜D3の色変換部D1a・・がそれぞれどの印刷条件において、どのLUT12c,12c,12c・・・を使用するかという情報を取得する。ここで、選択されたPTDRV D1〜D3が使用可能なインクセットについては、そのインクセットを使用して印刷を行う際に色変換部D1a・・が参照するLUT12cが必ず存在するということができる。また、選択されたPTDRV D1〜D3が印刷可能な印刷用紙については、その印刷用紙に印刷を行う際に色変換部D1a・・が参照するLUT12cが必ず存在するということができる。さらに、選択されたPTDRV D1〜D3が印刷可能な印刷解像度については、その印刷解像度で印刷を行う際に色変換部D1a・・が参照するLUT12cが必ず存在するということができる。
図17は、ステップS342よる調査結果の一例を表にして示している。なお、同図においてはステップS320にてプリンタP1(PTDRV D1)が選択されたときの例を示している。このように、PTDRV D1が印刷可能な印刷条件が特定され、各印刷条件に対して使用される各LUT12c1〜12c8が特定されている。このように、PTDRV D1が印刷可能な印刷条件ついては必ず対応するLUT12cが用意されており、ステップ342では選択されたPTDRV D1〜D3にて実現可能な印刷条件と、使用されるLUT12c1〜12c8との対応関係が調査される。
ステップS343においては、判定部A3fがステップS330にて本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された機種情報と、ステップS320にて選択されたPTDRV D1〜D3によって制御されるプリンタP1〜P3の機種情報とが一致するかどうかを判定する。ステップS344においては、判定部A3fがステップS330にて本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された機体情報と、ステップS320にて選択されたPTDRV D1〜D3によって制御されるプリンタP1〜P3の機体情報とが一致するかどうかを判定する。そして、ステップS343,S344において一致しないと判定された場合には、キャリブレーション不可と判定し、ステップS320に戻る。
すなわち、キャリブレーションを行おうと選択したPTDRV D1〜D3が制御するプリンタP1〜P3が、本本選択されたキャリブレーションデータ12dを作成する際にカラーチャート50を印刷したプリンタP1〜P3と一致しない場合には、図14のステップS320に戻りキャリブレーションデータ12dあるいはPTDRV D1〜D3の選択を再度受け付けるようにしている。一方、ステップS343,S344において一致すると判定された場合には、判定部A3fがステップS345を実行させる。ステップS345においては、選択したPTDRV D1〜D3が使用できるインクセットのなかに、本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と合致するものがあるかどうかが判定される。なお、選択したPTDRV D1〜D3がどのインクセットを使用可能であるかは、図17に示すようにステップS342にて予め調査されている。
さらに、ステップS346においては、選択したPTDRV D1〜D3が印刷できる印刷解像度のなかに、本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された解像度情報と合致するものがあるかどうかが判定される。なお、選択したPTDRV D1〜D3がどの印刷解像度にて印刷可能であるかは、図17に示すようにステップS342にて予め調査されている。さらに、ステップS347においては、選択したPTDRV D1〜D3が印刷できる印刷用紙のなかに、本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された印刷用紙情報と合致するものがあるかどうかが判定される。なお、選択したPTDRV D1〜D3がどの印刷用紙に印刷可能であるかは、図17に示すようにステップS342にて予め調査されている。
以上説明したステップS345〜S347において、合致しないと判定された場合には、キャリブレーション不可と判定し、ステップS320に戻る。すなわち、選択したPTDRV D1〜D3が制御するプリンタP1〜P3が、本本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と解像度情報と印刷用紙情報に対応するLUT12cを有していないとして、図14のステップS320に戻りキャリブレーションデータ12dあるいはPTDRV D1〜D3の選択を再度受け付けるようにしている。
一方、ステップS345〜S347において合致すると判定された場合には、選択したPTDRV D1〜D3が制御するプリンタP1〜P3が、本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と解像度情報と印刷用紙情報のもとで印刷を行うことができるということができる。いいかえれば、ステップS345〜S347を行うことにより、本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と解像度情報と印刷用紙情報に対応するLUT12cが用意されていることが保証される。
ステップS348においては、本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と解像度情報と印刷用紙情報に対応するLUT12cを特定する。ステップ342において、選択されたPTDRV D1〜D3にて実現可能な印刷条件と使用されるLUT12cとの対応関係が図17のように調査されているため、本選択されたキャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納されたインクセット情報と解像度情報と印刷用紙情報に対応するLUT12cを特定することができる。例えば、図15にて仮選択されているキャリブレーションデータ12dに対しては、図17に示す表からLUT12c7が絞り込まれる。ステップS348にてLUT12cが特定されると、キャリブレーション可と判定し、図14のステップS360を実行する。
ステップS360においては、キャリブレーション部A3gが本選択されたキャリブレーションデータ12dと、ステップS348にて特定したLUT12cとの対応付けを行う。すなわち、ステップS348にて判定部A3fが特定したLUT12cによって色変換を行った後の階調を、当該補正データ12d2を使用して修正するように関連付けを行う。これにより、以降当該LUT12cを使用して印刷を行う場合には、補正データ12d2を考慮したインク吐出量にて印刷を行うことができる。このように、演算処理部11がキャリブレーションモジュールA3を実行することによりインク吐出量の修正することができ、このときのPC10がキャリブレーション装置を構成する。なお、LUT12cによって色変換を行った後の階調を補正データ12d2を使用してさらに修正するように関連付けを行うため、実質的には補正データ12d2に基づいてLUT12cの修正を行っていることとなる。むろん、補正データ12d2に基づいてLUT12cに記述された値自体を書き換えるようにしてもよい。
以上説明したキャリブレーション装置において、キャリブレーションを行うにあたり、キャリブレーションデータ作成装置にて作成されたキャリブレーションデータ12dが利用される。このキャリブレーションデータ12dには、補正データ12d2と、同補正データ12d2を作成するために測色されたカラーチャート50の印刷条件が格納された印刷条件情報データ12d1が関連付けられて記憶されているため、同印刷条件情報データ12d1に基づいて修正対象のLUT12cを絞り込むことができる。さらに、キャリブレーションデータ12dを選択するにあたり、キャリブレーションデータ12dの一覧を第一の表示エリアにて参照しつつ、同第一の表示エリアにて仮選択されたキャリブレーションデータ12dに格納された印刷条件情報の内容を第二の表示エリアにおいて確認することができる。これにより、どのプリンタのどの印刷条件について修正を行おうとしているかを容易に把握することができる。
(2−4)キャリブレーションデータ出力装置:
図18は、キャリブレーションデータ出力処理を実行する際のPC10の内部構成を示している。同図において、キャリブレーション管理プログラムのキャリブレーションデータ出力モジュールA4が演算処理部11にて実行されており、HDD12には予め作成されたキャリブレーションデータ12dやLUT12cの修正に使用されているキャリブレーションデータ12dが複数記憶されている。キャリブレーションデータ出力モジュールA4を構成するUI部A4aは、キャリブレーションデータ出力処理を実行するためのUI画像をディスプレイ40に対して出力する。さらに、UI部A4aは一覧表示部A4bと印刷条件情報表示部A4cと本選択部A3dとから構成されている。これらの構成および動作は、キャリブレーションモジュールA3のUI部A3aと同様であるため詳細な説明は省略する。
キャリブレーションデータ出力モジュールA4は、キャリブレーションデータ出力部A4fを有している。キャリブレーションデータ出力部A4fは、本選択部A3dが確定的な選択を受け付けたキャリブレーションデータ12dを外部機器等に出力する処理を担当する。このとき、キャリブレーションデータ12dに印刷条件情報データ12d1と補正データ12d2とが含まれた状態のまま、キャリブレーションデータ12dを出力する。キャリブレーションデータ12dの出力先は、磁気ディスクや光学ディスク等の各種記録メディアであってもよいし、各種通信回線上の外部機器であってもよい。例えば、各種記録メディアに保存する場合には、キャリブレーションデータ出力部A4fがキャリブレーションデータ12dを保存に適したデータ形式に変換する。また、各種通信回線に配布する場合には、キャリブレーションデータ出力部A4fがキャリブレーションデータ12dを適切な通信プロトコルに準じたデータ形式に変換する。
図19は、以上の構成において行われるキャリブレーションデータ出力処理の流れを示している。図20は、UI部A4aがディスプレイ40に表示させるUI画像の一例を示している。図19のステップS400において、UI部A4aがディスプレイ40においてUI画像を表示させ、入力機器45によって行われるユーザーの入力を受け付ける。図20において、UI画像には矩形状の第一の表示エリアが設けられ、同第一の表示エリアにおいてHDD12に記憶されたキャリブレーションデータ12dのファイル名が一覧表示されている。すなわち、一覧表示部A4bがHDD12に記憶されたキャリブレーションデータ12dをリストアップし、これらのファイル名を第一の表示エリアにおいて一覧表示している。これらのキャリブレーションデータ12dは、実際にLUT12cの修正に使用されているものであってもよいし、使用されていないものであってもよい。
第一の表示エリアにおいてマウスポインタによって各ファイル名を指し示すことにより、一覧表示部A4bはファイル名が指し示されキャリブレーションデータ12dを仮選択されたものと認識する。そして、一覧表示部A4bは仮選択されたキャリブレーションデータ12dのファイル名を色反転表示させる。仮選択されたキャリブレーションデータ12dについては、印刷条件情報取得部A4eが当該キャリブレーションデータ12dの印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を取得する。そして、印刷条件情報表示部A4cは、印刷条件情報取得部A4eが取得した印刷条件情報をUI画像における第二の表示エリアに表示させる。
ステップS410においては、UI部A3aがUI画像の右欄においてキャリブレーションデータ12dの出力先のパスと、保存ファイル名の指定を受け付ける。次にステップS420において、本選択部A4dがUI画像にて出力ボタンのクリックを検出し、同クリックが検出されているときに仮選択されているキャリブレーションデータ12dが本選択されたものと認識する。すなわち、第二の表示エリアにて印刷条件情報が表示されているキャリブレーションデータ12dについて本選択を行うことができる。キャリブレーションデータ12dが本選択されるとステップS430にてキャリブレーションデータ出力部A4fが本選択されたキャリブレーションデータ12dを所定のデータ形式に変換しつつ、ステップS410にて指定された出力先に指定されたファイル名でキャリブレーションデータ12dを出力する。このように、演算処理部11がキャリブレーションデータ出力モジュールA4を実行することによりキャリブレーションデータ12dを出力することができ、このときのPC10がキャリブレーションデータ出力装置を構成する。
以上説明したキャリブレーションデータ出力装置において、出力するキャリブレーションデータ12dを選択するにあたり、キャリブレーションデータ12dの一覧を第一の表示エリアにて参照しつつ、同第一の表示エリアにて仮選択されたキャリブレーションデータ12dに格納された印刷条件情報の内容を第二の表示エリアにおいて確認することができる。これにより、どのプリンタのどの印刷条件について修正が可能なキャリブレーションデータ12dであるかを認識しつつ、出力するキャリブレーションデータ12dの選択を行うことができる。
以上のようにして外部に出力したキャリブレーションデータ12dを他のコンピュータにおいて取り込むことにより、他のコンピュータにおいて同キャリブレーションデータ12dを使用してキャリブレーションを行うことができる。すなわち、他のコンピュータにおいても、図15のUI画像を利用して当該取り込んだキャリブレーションデータ12dを本選択し、図14と図16と同様な処理にてキャリブレーションを実行させることができる。従って、取り込んだキャリブレーションデータ12dを使用してキャリブレーションを行う場合であっても、どのプリンタのどの印刷条件について修正を行おうとしているかを容易に把握することができる。
(3)まとめおよび各種応用例:
図2において、カラーチャート50を測色するということは、カラーチャート印刷処理においてカラーチャート50を印刷する際に使用したLUT12cの評価を行っているということができる。そして、この評価結果に基づいて補正データ12d2がキャリブレーションデータ作成処理において作成され、キャリブレーション処理では同補正データ12d2を使用してLUT12cの修正が行われる。そのため、カラーチャート印刷処理において使用したLUT12cと、キャリブレーション処理において修正されるLUT12cとが対応したものである必要がある。すなわち、双方のLUT12cが同一のPTDRVによって同一の印刷条件に対応したものである必要がある。
そこで、カラーチャート印刷処理においては、カラーチャート50を印刷する際の印刷条件情報を格納した印刷条件情報ファイル12bを生成し、キャリブレーションデータ作成処理においては印刷条件情報ファイル12bから取得した印刷条件情報をキャリブレーションデータ12dに印刷条件情報データ12d1として添付している。従って、キャリブレーション処理においてキャリブレーションデータ12dを使用するにあたっては、印刷条件情報データ12d1に格納された印刷条件情報を絞り込みのキーとして修正対象のLUT12cを特定することが可能となっている。
これにより、カラーチャート印刷処理において使用したLUT12cと、キャリブレーション処理において修正されるLUT12cとを対応させることができ、適正なキャリブレーションを実現することができる。また、エクスポートしたキャリブレーションデータ12dについても、同様に印刷条件情報データ12d1が添付されるため、同キャリブレーションデータ12dを用いてキャリブレーション処理をするときも修正対象のLUT12cを適正に絞り込むことが可能となっている。
また、キャリブレーションデータ作成処理とキャリブレーション処理とキャリブレーションデータ出力処理において、処理対象の候補ファイルを一覧化するとともに、同一覧化されたファイルが有する印刷条件情報の内容を個別に表示することが可能となっている。従って、ユーザーが各ファイルの印刷条件情報の内容を参照しつつ所望のファイルを一覧のなかから選択することができる。
以上説明した実施形態において、PC10においてカラーチャート印刷処理とキャリブレーションデータ作成処理とキャリブレーション処理とキャリブレーションデータ出力処理とが全て実現されるものを例示した。しかしながら、以上の処理を必ずしも単一の装置にて全て行う必要はなく、各処理を分散させることにより、種々の有用な用途に使用することができる。以下、その応用例について説明する。
図21は、本発明の一応用例の全体構成を示している。同図において、プリンタP1をローカルで接続するプリンタサーバ10Sと、クライアントPC10A,10B,10Cが相互にLAN接続されている。クライアントPC10Aにおいては、測色機30が接続されており、プリンタP1を制御可能なプリンタドライバ(PTDRV)と同PTDRVが色変換に使用する複数のLUTが備えられている。また、クライアントPC10Aには、カラーチャート印刷モジュールA1とキャリブレーションデータ作成モジュールA2とキャリブレーションモジュールA3とキャリブレーションデータ出力モジュールA4とがインストールされている。
これにより、クライアントPC10Aのカラーチャート印刷モジュールA1がPTDRVを使用して、プリンタサーバ10Sのスプーラを経由しつつカラーチャートをプリンタP1にて印刷することができる。そして、クライアントPC10Aにおいてキャリブレーションデータ作成モジュールA2がカラーチャートの測色を行い、キャリブレーションデータを作成する。さらに、キャリブレーションモジュールA3がキャリブレーションデータを使用してLUTの修正を行う。キャリブレーションデータに格納された印刷条件情報に基づいて修正対象のLUTを適正に特定することができる。これにより、プリンタサーバ10Sにて印刷を行った場合の色再現性を向上させることができる。
ここまでは、前実施形態と同様であるが、本応用例においてはクライアントPC10B,10Cが接続されており、それぞれクライアントPC10Aと同じPTDRVおよびLUTがインストールされている。従って、クライアントPC10B,10Cからもプリンタサーバ10Sのスプーラを経由してプリンタP1にて印刷することができる。このような構成において、クライアントPC10B,10Cにて個別にキャリブレーションデータを作成することは非常に面倒である。
そこで、クライアントPC10Aのキャリブレーションデータ出力モジュールA4によってキャリブレーションデータをLANを経由して他のクライアントPC10B,10Cにエクスポートしている。そして、各クライアントPC10B,10CにインストールされたキャリブレーションモジュールA3がエクスポートされたキャリブレーションデータを使用してLUTを修正することができる。このようにすることにより、クライアントPC10B,10Cにて個別にキャリブレーションデータを作成することなく色精度を向上させることができる。むろん、キャリブレーションデータには印刷条件情報が含まれるため、各クライアントPC10B,10Cにおいても同印刷条件情報を絞り込みのキーとして適正なLUTを修正対象とすることができる。本応用例を利用することにより、多くのコンピュータがプリンタを共有して使用する環境において、各コンピュータから印刷される印刷品質を一様に向上させることができる。
図22は、さらに別の応用例を示している。同図において、クライアントPC10A,10B,10Cはそれぞれ遠隔に設置されインターネットを経由して接続されている。クライアントPC10Aには、測色機30が接続されており、キャリブレーションデータ作成モジュールA2とキャリブレーションデータ出力モジュールA4とがインストールされている。一方、他のクライアントPC10B,10Cには、それぞれプリンタP1,P2が接続されており、それぞれカラーチャート印刷モジュールA1とキャリブレーションモジュールA3とがインストールされている。これによりクライアントPC10B,10CはそれぞれプリンタP1,P2を使用してカラーチャートを印刷することができるとともに、その印刷の際の印刷条件情報ファイルを生成することができる。
クライアントPC10B,10Cのユーザーは印刷条件情報ファイルを測色機30を備えるクライアントPC10Aにインターネットを経由して送信するとともに、カラーチャートをクライアントPC10Aのユーザーに郵送等によって送付する。クライアントPC10Aにおいては、キャリブレーションデータ作成モジュールA2がクライアントPC10B,10Cにて作成された印刷条件情報ファイルとカラーチャートの測色結果に基づいてキャリブレーションデータを作成することができる。キャリブレーションデータを作成するにあたっては、プリンタP1,P2の機種情報と機体情報がUI画像に表示されるため、キャリブレーションデータの印刷条件情報と補正データの対応関係が損なわれることが防止される。
クライアントPC10Aが作成したキャリブレーションデータは、インターネットを経由してクライアントPC10B,10Cにエクスポートされ、同クライアントPC10B,10CのキャリブレーションモジュールA3がエクスポートされたキャリブレーションデータを使用してLUTの修正を行う。この場合も、キャリブレーションデータには印刷条件情報が含まれるため、各クライアントPC10B,10Cにおいても同印刷条件情報を絞り込みのキーとして適正なLUTを修正対象とすることができる。本応用例を利用することにより、測色機を所持していない小規模のユーザーが個々にプリンタを使用する環境において、クライアントPC10Aのように測色機を有する者がキャリブレーションデータを配布し、各コンピュータから印刷される印刷品質を向上させることができる。
例えば、プリンタの製造業者や販売業者がクライアントPC10Aを管理し、一般ユーザーにキャリブレーションデータを配布するサービスを行うようにしてもよい。さらに、各クライアントPC10B,10Cに接続されたプリンタP1,P2の印刷物の色がそれぞれ基準値に近づくため、各クライアントPC10B,10CのプリンタP1,P2を使用して印刷した印刷物の色を統一させることができる。従って、印刷業者の本店で測色機30が接続されたクライアントPC10Aを管理し、支店に対してキャリブレーションデータを配布するようにすれば、本店と複数の支店の間で同様の色の印刷物を印刷することが可能となる。
10…コンピュータ,11…演算処理部,12…HDD,12a…カラーチャートデータ,12b…印刷条件情報ファイル,12c…LUT,12d…キャリブレーションデータ,12d1…印刷条件情報データ,12d2…補正データ,30…測色機,40…ディスプレイ,45…入力機器,50…カラーチャート,100…キャリブレーション管理システム,A…キャリブレーション管理プログラム,A1…カラーチャート印刷モジュール,A1a…UI部,A1b…印刷条件情報取得部,A1c…印刷条件情報ファイル作成部,A2…キャリブレーションデータ作成モジュール,A2a…UI部,A2b…一覧表示部,A2c…印刷条件情報表示部,A2d…本選択部,A2e…印刷条件情報取得部,A2f…キャリブレーションデータ作成部,A2g…測色結果取得部,A2h…補正データ作成部,A2i…sRGBデータ変換部,A3…キャリブレーションモジュール,A3a…UI部,A3b…一覧表示部,A3c…印刷条件情報表示部,A3d…本選択部,A3e…印刷条件情報取得部,A3f…判定部,A3g…キャリブレーション部,A4…キャリブレーションデータ出力モジュール,A4a…UI部,A4b…一覧表示部,A4c…印刷条件情報表示部,A4d…本選択部,A4e…印刷条件情報取得部,A4f…キャリブレーションデータ出力部,D1〜D3…PTDRV,D1a…色変換部,D1b…ハーフトーン処理部,D1c…印刷データ生成/出力部,D1d…制御部,P1〜P3…プリンタ