JP2010043290A - 環状オレフィン系開環重合体およびその製造方法並びにその架橋重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
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一方、最近において、環状カーボナート構造を有する化合物は、これを開環重合または開環架橋したときに体積膨張が生じるものであることが見出され、このような環状カーボナート構造を有する化合物を用いた種々の重合体または架橋重合体が提案されている(例えば特許文献1乃至特許文献4参照。)。
本発明の他の目的は、架橋反応による体積収縮がないまたは小さい新規な架橋重合体を提供することにある。
本発明の環状オレフィン系開環重合体の製造方法によれば、環状カーボナート構造を有する環状オレフィン化合物を開環重合するため、重合による体積収縮がないまたは小さく、しかも、架橋させたときにも体積収縮がないまたは小さい環状オレフィン系開環重合体を確実に製造することができる。
本発明の架橋重合体は、上記の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位が開環架橋されてなるため、架橋反応による体積収縮がないまたは小さいものである。
本発明の架橋重合体の製造方法によれば、上記の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位を開環架橋するため、架橋反応による体積収縮がないまたは小さい架橋重合体を確実に製造することができる。
本発明の環状オレフィン系開環重合体は、上記化学式(1)で表される構造単位(以下、「特定の構造単位(1)」という。)を繰り返し単位として有するものである。これらの特定の構造単位(1)は、いずれも環状カーボナート部位を有するものである。
本発明の環状オレフィン系開環重合体においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される、ポリスチレン換算数平均分子量(以下、単に「数平均分子量」という。)Mnが1.0×103 〜1.0×106 であることが好ましく、分子量分布(Mw/Mn)が1〜10であることが好ましい。
この単量体の開環重合を行うための開環重合触媒としては、上記化学式(3)で表されるルテニウム触媒(以下、「特定のルテニウム触媒」という。)、特定のルテニウム触媒のP(CPy)3 がPCy3 で置換された触媒、WCl6 とアルキルアルミニウムとから形成される触媒、MoCl6 とアルキルアルミニウムとから形成される触媒などを用いることができ、これらの中では、特定のルテニウム触媒が好ましい。
重合触媒の使用割合は、目的とする環状オレフィン系開環重合体の分子量、その他の重合条件を考慮して適宜選択されるが、用いられる単量体の総量に対して0.001〜1モル%であることが好ましい。この割合が過小である場合には、重合反応が十分に進行せず、或いは、目的とする開環重合体を得るために長い時間を要するため、好ましくない。一方、この割合が過大である場合には、得られる開環重合体は分子量が低いものとなりやすいため、好ましくない。
また、単量体の開環重合における他の条件としては、重合温度が例えば−20〜100℃、重合時間が例えば0.1〜100時間である。
他の構造単位を得るための単量体としては、特定の環状オレフィン化合物(1)以外の環状オレフィン化合物(以下、「他の環状オレフィン化合物」という。)を用いることができ、その具体例としては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどが挙げられる。
環状オレフィン系開環重合体における他の構造単位の割合は、単量体換算で全構造単位の80%以下であることが好ましい。
本発明の架橋重合体は、上記の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位を開環架橋反応させることによって得られるものであって、例えば下記化学式(4)で表される構造単位を有するものである。
開始剤の使用割合は、用いられる環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位の総量に対して0.01〜10モル%であることが好ましい。
また、環状オレフィン系開環重合体の開環架橋反応は、通常、適宜の反応溶媒中で行われる。かかる重合溶媒としては、用いられる環状オレフィン系開環重合体を溶解することができ、かつ、開環架橋反応を阻害しないものであれば種々のものを用いることができ、その具体例としては、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどが挙げられる。反応溶媒中における環状オレフィン系開環重合体の濃度は、当該環状オレフィン系開環重合体を形成する単量体換算で、例えば0.01〜10Mである。
このようにして得られる架橋重合体は、上記の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位が開環架橋されてなるため、架橋反応による体積収縮がないまたは小さいものである。
また、以下の実施例において、各種の分析および測定は、下記の装置を使用した。
(1)IR分析:日本分光(株)製 FT/IR−470Plus
(2)乾式密度計:島津製作所(株)製 Micromeritics Gas Pycnometer Accupyc
(3)熱重量分析:SEIKO TG/DTA6200
(4)示差走査熱量計:SEIKO DSC6200
ジクロロメタン中に、特定の環状オレフィン化合物(1)を濃度が1Mとなるよう溶解すると共に、特定のルテニウム触媒を特定の環状オレフィン化合物(1)の総量に対して1モル%となる割合で添加し、25℃、24時間の条件で特定の環状オレフィン化合物(1)の開環重合を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、特定の構造単位(1)からなる環状オレフィン系開環重合体であると同定された。IR分析のチャートを図1に示す。収率は88%であった。得られた環状オレフィン系開環重合体を「開環重合体(1a)」とする。
また、乾式密度計によって開環重合体(1a)の密度を測定し、当該開環重合体(1a)の密度および特定の環状オレフィン化合物(1)の密度から、開環重合による体積変化率を算出した。また、開環重合体(1a)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)および示差走査熱量計によるガラス転移温度の測定を行った。以上、結果を表1に示す。
特定のルテニウム触媒の使用割合を1モル%から5モル%に変更したこと以外は実施例1と同様にして特定の環状オレフィン化合物(1)の開環重合を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、特定の構造単位(1)からなる環状オレフィン系開環重合体であると同定された。収率は91%であった。得られた環状オレフィン系開環重合体を「開環重合体(2a)」とする。
また、乾式密度計によって開環重合体(2a)の密度を測定し、当該開環重合体(2a)の密度および特定の環状オレフィン化合物(1)の密度から、開環重合による体積変化率を算出した。また、開環重合体(2a)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)および示差走査熱量計によるガラス転移温度の測定を行った。以上、結果を表1に示す。
ジクロロメタン中における特定の環状オレフィン化合物(1)の濃度を1Mから0.5Mに変更したこと以外は実施例1と同様にして特定の環状オレフィン化合物(1)の開環重合を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、特定の構造単位(1)からなる環状オレフィン系開環重合体であると同定された。収率は78%であった。得られた環状オレフィン系開環重合体を「開環重合体(3a)」とする。
また、乾式密度計によって開環重合体(3a)の密度を測定し、当該開環重合体(3a)の密度および特定の環状オレフィン化合物(1)の密度から、開環重合による体積変化率を算出した。
また、開環重合体(3a)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)および示差走査熱量計によるガラス転移温度の測定を行った。以上、結果を表1に示す。
ニトロメタン中に、実施例1で得られた開環重合体(1a)を、単量体換算で濃度が1Mとなるよう溶解すると共に、ScOTf3 を開環重合体(1a)における環状カーボナート部位の総量に対して1モル%となる割合で添加し、60℃、24時間の条件で開環重合体(1a)の開環架橋反応を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、開環重合体(1a)の架橋重合体であると同定された。IR分析のチャートを図2に示す。収率は42%であった。この架橋重合体を「架橋重合体(1b)」とする。
また、乾式密度計によって架橋重合体(1b)の密度を測定し、当該架橋重合体(1b)の密度および開環重合体(1a)の密度から、開環架橋反応による体積変化率を算出した。また、架橋重合体(1b)について、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)を行った。以上、結果を表2に示す。
実施例1で得られた開環重合体(1a)の代わりに実施例2で得られた開環重合体(2a)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして開環重合体(2a)の開環架橋反応を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、開環重合体(2a)の架橋重合体であると同定された。収率は20%であった。この架橋重合体を「架橋重合体(2b)」とする。
また、乾式密度計によって架橋重合体(2b)の密度を測定し、当該架橋重合体(2b)の密度および開環重合体(2a)の密度から、開環架橋反応による体積変化率を算出した。また、架橋重合体(2b)について、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)を行った。以上、結果を表2に示す。
実施例1で得られた開環重合体(1a)の代わりに実施例3で得られた開環重合体(3a)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして開環重合体(3a)の開環架橋反応を行った。
得られた生成物についてIR分析を行ったところ、開環重合体(3a)の架橋重合体であると同定された。収率は76%であった。この架橋重合体を「架橋重合体(3b)」とする。
また、乾式密度計によって架橋重合体(3b)の密度を測定し、当該架橋重合体(3b)の密度および開環重合体(3a)の密度から、開環架橋反応による体積変化率を算出した。また、架橋重合体(3b)について、熱重量分析法による10%重量減少温度の測定(窒素ガス雰囲気)を行った。以上、結果を表2に示す。
また、表2の結果から明らかなように、実施例4〜6に係る架橋重合体は、いずれも開環架橋反応による体積収縮がなくまたは小さく、熱劣化が少なくて熱安定性に優れたものであることが確認された。
Claims (6)
- 請求項1に記載の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位が開環架橋されてなることを特徴とする架橋重合体。
- 請求項1に記載の環状オレフィン系開環重合体における環状カーボナート部位を開環架橋反応させる工程を有することを特徴とする架橋重合体の製造方法。
- 開環架橋の開始剤として、CH3 OTfまたはSc(OTf)3 からなるカチオン系開始剤を用いることを特徴とする請求項5に記載の架橋重合体の製造方法。
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