JP2010042424A - レーザ加工方法、レーザ加工装置、光学素子の製造方法、および光学素子 - Google Patents

レーザ加工方法、レーザ加工装置、光学素子の製造方法、および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】フェムト秒レーザ装置の制約が発生したり光学系が大型化したりすることなく、また材料内部への深さ位置の制約なく、アスペクト比の大きな改質層や加工部を材料内部または表面に加工する技術を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置50は、レーザ装置1と回折型レンズ3とを備える。レーザ加工装置50は10ピコ秒以下のパルス幅を有するレーザ光5(フェムト秒レーザ)を発する。回折型レンズ3はアパーチャ2を通過したレーザ光5を集光する。回折型レンズ3によって集光されたレーザ光5は加工対象材料8に照射される。回折型レンズ3の設計波長とフェムト秒レーザの中心波長とを異ならせて回折型レンズでの高収差性を積極的に活用することで、球面収差による長焦点深度化を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ加工方法、レーザ加工装置、光学素子の製造方法、および光学素子に関し、特に、パルス幅が10-15秒〜10-11秒の超短パルスレーザ光(以下、「フェムト秒レーザ」ともいう。)を加工対象材料の表面またはその内部に照射して当該材料を加工する技術に関する。
近年、リソグラフィ等のプロセスにより光学素子を製造する方法とは別に、フェムト秒レーザ光をガラスまたは高分子構造体等の光学材料内部に照射して、照射部の屈折率変化などを誘起することにより、たとえば回折光学素子または光導波路といった光学素子を光学材料の内部に加工する方法が知られている。この加工方法によると、光学材料に光学素子を直接製造できるので製造工程を短縮できるというメリットがある。また、光学材料内部に光学素子を形成するので光学素子を集積化できるというメリットがある。
この加工法を用いることにより、径に対して厚さあるいは深さが大きい、いわゆるアスペクト比が大きい改質や加工を行なうことがある。ここでは「厚さ」あるいは「深さ」とは、レーザ光の光軸方向(入射方向)に沿った改質領域(あるいは加工された領域)の長さであり、「径」とはその厚さ方向に直交する方向に沿った改質領域(あるいは加工された領域)の長さであると定義する。たとえばフェムト秒レーザ光により光学材料内部に屈折率変化を誘起させて回折光学素子を形成する加工法では、アスペクト比の大きい改質を行なうことによって屈折率が変化した改質部の厚さが大きくなる。これにより、回折光学素子の回折効率が高くなるという利点が得られる。
上記加工法においてアスペクト比を大きくするための方法として、特許文献1や特許文献2では、フェムト秒レーザの波長スペクトルと回折型レンズの波長分散とを利用することによって長焦点深度化を実現する方法が提案されている。これらの文献に提案される方法は、具体的にはフェムト秒レーザの波長に応じて回折型レンズの焦点位置が変わること、すなわち色収差を用いて長焦点深度化するものである。たとえば、特許文献2中に記載されている式(38)によれば、フェムト秒レーザの基準(中心)波長をΛ、パルス幅をΔt、波長Λに対する回折型レンズの焦点距離をF、光速をcとする場合に、焦点距離が変化する範囲ΔF(焦点深度)は、おおよそΔF=2×ln2×F×Λ/π/c/Δtと導かれる。
上記式から、焦点距離が変化する範囲ΔFを大きくするためには、フェムト秒レーザの基準(中心)波長Λを長くする、またはパルス幅Δtを短くする、または焦点距離Fを大きくする必要がある。前者2つの方法はレーザ発振器に関するものであるので、それらの方法を実現する際にレーザ装置の制約が生じる可能性が考えられる。後者の方法である焦点距離Fを大きくする方法は、特に改質径や加工径を微細にするために開口数を大きくする場合にはレンズ径を大きくしなければならないので、回折型レンズの製作が困難であるという問題および光学系が大型化するという問題がある。
また、特許文献1,2のいずれに記載のレーザ加工装置においても、回折型レンズの設計波長、すなわち集光性が最も良くなるように回折型レンズの輪帯設計を行なうときの波長と、入射するフェムト秒レーザの波長とは同じものとして設計されており、分散による色収差以外の収差は生じないことを意図して設計されている。特許文献1では、波長ごとにレーザ光の強度を変化および調整することによって改質厚を制御することが述べられているが、レーザ光の強度を変化および調整するための装置をレーザ装置の外部に設ける必要があるので加工装置の構成が複雑化するという問題が発生する。
また、上記加工法においてアスペクト比を大きくするための別の方法として、非特許文献1では、高開口の対物レンズで材料内部深くにフェムト秒レーザを集光することで球面収差を大きくし、プラズマ発光領域(フィラメント長)をフェムト秒レーザの光軸方向に長くすることが述べられている。非特許文献1には、たとえば対物レンズの開口数が0.40、集光する深さ位置が材料表面から3.1mm内部である場合にはフィラメント長が145μm程度であることが説明されている。また、非特許文献2では、材料内部に集光する深さ位置に応じて形成される導波路のアスペクト比が変化すること、具体的には、集光位置が深くなるにつれてアスペクト比が大きくなることが球面収差の影響によるものであることが述べられている。非特許文献2には、たとえば、対物レンズの開口数が0.5、集光する深さ位置が材料表面から2.1mm内部である場合には、短軸が3μm、長軸が12μmの楕円形の屈折率変化領域が形成されることが説明されている。
しかしながら、非特許文献1あるいは非特許文献2に記載された方法によりアスペクト比を大きくするためには深さ位置をより大きくする必要がある。したがってアスペクト比の大きな改質層を任意の深さ位置に形成できないといった制約、あるいは、加工対象である光学材料自体の厚みが大きくなるといった制約が生じるという問題がある。また、非特許文献1および非特許文献2に示されている改質・加工厚は10数μm程度と短く、改質厚を長くしたいという要求に対して十分な長さを得るには至っていない。なお非特許文献1あるいは非特許文献2に記載の方法は、改質部を主として光導波路に活用するために、その改質部が略円形状化するよう、材料内部への深さ位置によって生じる球面収差を外部光学系によって補正するものである。
特開2005−262290号公報 特開2006−142342号公報 Q.Sun et al,"Effect of spherical aberration on the propagation of a tightly focused femtosecond laser pulse inside fused silica", J.Opt.A:Pure Appl.Opt.7,pp655-659(2005) D.LIU et al,"Influence of focusing depth on the microfabrication of waveguides inside silica glass by femtosecond laser direct writing",Appl.Phys.A84,pp257-260(2006)
本発明は、このような従来の問題点を鑑み、フェムト秒レーザ装置の制約が発生したり光学系が大型化したりすることなく、また材料内部への深さ位置の制約なく、アスペクト比の大きな改質層や加工部を材料内部または表面に加工する技術を提供することを目的とする。
本発明は要約すれば、レーザ加工方法であって、パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを回折型レンズによって加工対象材料の表面および内部のいずれかに集光させることにより、加工対象材料を加工する工程と、加工する工程に先立って、フェムト秒レーザの中心波長Λと回折型レンズの設計波長λとを設定する工程とを備える。設定する工程は、回折型レンズの最内郭の輪帯に入射するフェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、回折型レンズの最外郭の輪帯に入射したフェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、フェムト秒レーザの中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、フェムト秒レーザの中心波長Λに従って定められる比較対象レンズの焦点深度よりも焦点距離f1と焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように、中心波長Λと設計波長λとの波長差の絶対値を設定する工程を含む。
好ましくは、波長差の絶対値を設定する工程は、中心波長Λを設計波長λよりも小さく設定する。
好ましくは、レーザ加工方法は、フェムト秒レーザの回折に寄与する回折型レンズの輪帯数を制御する工程をさらに備える。
好ましくは、輪帯数を制御する工程は、回折型レンズへのフェムト秒レーザの入射範囲を制御する。
好ましくは、輪帯数を制御する工程は、フェムト秒レーザが通過する開口部の径を可変に構成されたアパーチャを用いて輪帯数を所定数に制御する。
好ましくは、輪帯数を制御する工程は、フェムト秒レーザのビーム径を空間的に変化させるビームエキスパンダを用いて輪帯数を所定数に制御する。
好ましくは、加工する工程は、フェムト秒レーザを加工対象材料の内部に集光させることにより加工対象材料の内部に改質領域を形成する。レーザ加工方法は、フェムト秒レーザの光軸方向に沿う改質領域の長さを改質領域の厚さLと定義し、光軸方向に直交する方向に沿う改質領域の長さを改質領域の径φと定義し、L/φを改質領域のアスペクト比と定義すると、フェムト秒レーザのエネルギを制御することによりアスペクト比を制御する工程をさらに備える。
好ましくは、アスペクト比を制御する工程は、アスペクト比が100以上となるようにフェムト秒レーザのエネルギを制御する。
好ましくは、アスペクト比を制御する工程は、径φが2μm以下かつアスペクト比が100以上となるようにフェムト秒レーザのエネルギを制御する。
好ましくは、加工対象材料は、高分子構造体およびガラスを含む光学材料である。
好ましくは、加工する工程は、光学材料の内部に回折光学素子を形成する。
本発明の他の局面に従うと、レーザ加工装置であって、10-15秒〜10-11秒のパルス幅を有するフェムト秒レーザを発するレーザ装置と、フェムト秒レーザを加工対象材料の表面または内部に集光させるための回折面を含む回折型レンズとを備える。加工対象材料に入射するフェムト秒レーザの中心波長Λおよび回折型レンズの設計波長λの波長差の絶対値は、回折型レンズの最内郭の輪帯に入射するフェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、回折型レンズの最外郭の輪帯に入射したフェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、フェムト秒レーザの中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、フェムト秒レーザの中心波長Λに従って定められる比較対象レンズの焦点深度よりも焦点距離f1と焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように定められる。
好ましくは、フェムト秒レーザの中心波長Λは、回折レンズの設計波長λよりも小さい。
好ましくは、フェムト秒レーザの回折に寄与する回折型レンズの輪帯数を調整可能に構成された輪帯数制御装置をさらに備える。
好ましくは、輪帯数制御装置は、回折型レンズへのフェムト秒レーザの入射範囲を制御する。
好ましくは、輪帯数制御装置は、フェムト秒レーザが通過する開口部の径を可変に構成されたアパーチャである。
好ましくは、輪帯数制御装置は、フェムト秒レーザのビーム径を空間的に変化させるビームエキスパンダである。
好ましくは、レーザ加工装置は、フェムト秒レーザを加工対象材料の内部に集光させることにより加工対象材料の内部に改質領域を形成する。レーザ装置は、フェムト秒レーザの光軸方向に沿う改質領域の長さを改質領域の厚さLと定義し、光軸方向に直交する方向に沿う改質領域の長さを改質領域の径φと定義し、L/φを改質領域のアスペクト比と定義すると、アスペクト比が所望の条件を満たすように調整されたエネルギを有するフェムト秒レーザを発する。
好ましくは、フェムト秒レーザは、アスペクト比が100以上となるように調整されたエネルギを有する。
好ましくは、フェムト秒レーザは、径φが2μm以下かつアスペクト比が100以上となるように調整されたエネルギを有する。
好ましくは、加工対象材料は、高分子構造体およびガラスを含む光学材料である。
好ましくは、レーザ加工装置は、光学材料の内部に光学素子を形成する。
本発明のさらに他の局面に従うと光学素子の製造方法であって、パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを回折型レンズによって光学材料の表面および内部のいずれかに集光させることにより、光学材料を加工する工程と、加工する工程に先立って、フェムト秒レーザの中心波長Λと回折型レンズの設計波長λとを設定する工程とを備える。設定する工程は、回折型レンズの最内郭の輪帯に入射するフェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、回折型レンズの最外郭の輪帯に入射したフェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、フェムト秒レーザの中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、フェムト秒レーザの中心波長Λに従って定められる比較対象レンズの焦点深度よりも焦点距離f1と焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように、中心波長Λと設計波長λとの波長差の絶対値を設定する工程を含む。
本発明のさらに他の局面に従うと光学素子であって、上記の光学素子の製造方法により製造される。
好ましくは、光学材料は、フェムト秒レーザが光学材料の内部に集光することにより形成された改質領域を含む。フェムト秒レーザの光軸方向に沿う改質領域の長さを改質領域の厚さLと定義し、光軸方向に直交する方向に沿う改質領域の長さを改質領域の径φと定義し、L/φを改質領域のアスペクト比と定義すると、アスペクト比は100以上である。
好ましくは、径φは、2μm以下である。
好ましくは、光学素子は、光学材料の内部に形成された回折光学素子を含む。
本発明によれば、フェムト秒レーザ光を集光するためのレンズとして回折型レンズを用いるとともに、回折型レンズの設計波長と入射するフェムト秒レーザの波長とを異ならせる。回折型レンズの設計波長とフェムト秒レーザの入射波長との差を大きく設定することによって、簡易で小型の光学系により球面収差を大きくすることができる。この球面収差を積極的に活用することによって改質径が略一定のまま改質厚の大きな加工が可能になる。これにより、装置制約や材料内部への深さ制約を受けることなく改質層および加工部のアスペクト比を大きくすることが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則として繰返さないものとする。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るレーザ加工装置50の構成を示した図である。図1を参照して、レーザ加工装置50は、レーザ装置1と、アパーチャ2と、回折型レンズ3と、ステージ4と、NDフィルタ(減光フィルタ)11と、アッテネータ12と、電磁シャッター13とを備える。
レーザ装置1は、レーザ媒質としてたとえばチタン・サファイア結晶を含み、10ピコ秒以下(具体的には10-15〜10-11秒)のパルス幅を有するレーザ光5を発する。以下ではレーザ光5を「フェムト秒レーザ」とも呼ぶことにする。レーザ光5はパルス光であるが図1ではレーザ光5の軌跡を連続的に示す。
NDフィルタ11およびアッテネータ12はフェムト秒レーザのエネルギ(パルスエネルギ)を調整するためのものである。電磁シャッター13は、加工対象材料8において所望の加工・改質パターンを得るためのものである。本実施の形態では、電磁シャッター13の開閉によってフェムト秒レーザの照射とステージ4の駆動とを同期させる。
アパーチャ2は、レーザ装置1から発せられたレーザ光5を通過させるための開口部を有する。レーザ光5が開口部を通過することにより、回折型レンズ3の入射するレーザ光5のビーム径が調整される。本実施の形態では、ビーム径としてレーザ光学の分野で一般的に使用される1/e(eは自然対数の底)ビーム径を用いることにする。1/eビーム径とは光強度が1/e(約0.135)倍まで低下する半径方向の距離である。
回折型レンズ3はアパーチャ2を通過したレーザ光5を集光する。回折型レンズ3の少なくとも1面には、レーザ光5を集光するための回折パターンが形成されている。すなわち回折パターンはレーザ光5の入射面6およびレーザ光5の出射面7のいずれか一方または両方に形成される。回折型レンズ3に形成される回折パターンについては後に詳細に説明する。
回折型レンズ3によって集光されたレーザ光5は加工対象材料8に照射される。本実施の形態では加工対象材料8の内部をレーザ光5により加工または改質する。照射部9は加工対象材料8の内部におけるレーザ光5の照射領域であり、加工または改質の対象となる領域である。
加工対象材料8はステージ4上に載置される。ステージ4はたとえば可動ステージである。可動ステージの移動可能方向は特に限定されるものではないが、加工位置や加工領域の形状の自由度を高める観点からは、ステージ4が3次元方向に移動可能であることが好ましい。
レーザ加工装置50は、フェムト秒レーザを回折型レンズ3で加工対象材料8の表面および内部のいずれかに集光させることにより、加工対象材料8を加工する装置である。レーザ加工装置50の用途は特に限定されるものではなく、たとえば金型の微細加工、各種材料(たとえばポリマー、ガラス、金属等)の穴あけあるいは切断等の加工に用いることができる。
また加工対象材料8の種類も特に限定されるものではないが、たとえば加工対象材料8を光学材料とすることにより、レーザ加工装置50を光学素子の製造装置として用いることができる。たとえばガラスあるいは高分子構造体といった光学材料の内部にフェムト秒レーザを照射することにより、光学材料内部の照射部では、たとえば屈折率が変化するといった改質が生じる。フェムト秒レーザが照射された領域の屈折率が変化することで、たとえば回折光学素子または光導波路を有する光学素子を製造することができる。
またレーザ加工装置50が製造可能な光学素子は回折光学素子または光導波路に限定されずフォトニック結晶あるいは光メモリであってもよい。ただし以下ではレーザ加工装置50を回折光学素子の製造装置として用いた形態を説明する。
図2は、図1に示したレーザ加工装置50による光学素子の製造をより具体的に説明する図である。図2を参照して、加工対象材料8としての光学材料の内部にレーザ光5が照射される。これにより照射部9では改質が生じる。ステージ4が静止し、かつレーザ光5も走査されていない状態では、照射部9(改質部分)はレーザ光の光軸Zの方向に沿って細長く(略1次元状に)形成される。ステージ駆動機構10がステージ4をY方向に移動させることで、改質部分を二次元方向(Y−Z方向)に広げることができる。二次元の領域を有する改質部分を以下では「改質層」と呼ぶことにする。ステージ駆動機構10がステージ4をX方向に移動させてレーザ光5の照射およびステージ4のY方向の移動を繰返すことにより、複数の改質層が形成される。これにより光学材料の内部に回折光学素子が製造される。
回折光学素子を形成するためのレーザ光5の走査方法はステージ4を移動させる方法に限定されない。光学系を用いてレーザ光5をX方向およびY方向に走査してもよいし、ステージの移動4と光学系によるレーザ光5の走査とを組み合わせてもよい。
本実施の形態では、レーザ光5の光軸Zの方向(レーザ光5の入射方向)に垂直な方向の改質層(改質領域)の長さを改質径φと定義し、レーザ光5の光軸Zの方向の改質層(改質領域)の長さを改質厚Lと定義し、L/φを改質層のアスペクト比と定義する。アスペクト比が大きい改質または加工を行なうことによって、屈折率が変化した改質部の厚さが大きくなる。これによって回折光学素子の回折効率を高くすることができる。
本実施の形態では、レーザ光5を集光するために回折型レンズを用いる。回折型レンズは形状において通常の平凸レンズ(屈折型レンズ)と異なるが集光という意味においては屈折型レンズと同等の機能を有する。以下、図3および図4を参照しながら回折型レンズについて詳説する。図3は、屈折型レンズの形状および回折型レンズの形状の模式図である。図4は、フェムト秒レーザの波長スペクトルを示した図である。
図3を参照して、線aは屈折型レンズの厚みを示している。屈折型レンズの厚みはレンズの中央において最も大きく、レンズの中央から周辺に向かうにつれて小さくなる。レンズ半径方向の座標をrとし、屈折型レンズの中心からrだけ離れた部分のレンズの厚み(物理的長さ)をh(r)とし、レンズの屈折率をnとする。物理的長さがh(r)である場合、屈折率nの媒質を進む光の光路長は真空を進む光の光路長よりも(n−1)×h(r)だけ長くなり、屈折率nの媒質を通る光の位相は、α(r)だけ遅くなる。1波長分で2πだけ位相が増えるので、レンズ通過後に光に加わる位相α(r)は、式(1)のように表わされる。
ここで、λ0はフェムト秒レーザの基準(中心)波長である。図4に示すようにフェムト秒レーザはλ0を中心波長として波長スペクトル広がりΔλを有する。Δλは中心波長λ0が大きいほど大きくなるが、たとえば中心波長λ0が800nmである場合にはΔλは10nm程度である。
図3に戻り、式(1)に示した位相α(r)は2πm(mは自然数)だけずれても同じである。このことを利用して屈折型レンズの形状を元に位相2πmの段差を設けたものがフレネルレンズである。すなわちα(r)=−2πmとなる半径rmの円により、屈折型レンズ面を同心円状に区切り、その部分の厚みをλ/(n−1)だけ減らしたレンズがフレネルレンズである。
線bは、フレネルレンズの径方向の厚みを示している。フレネルレンズは同心鋸歯縞状のレンズである。同心縞の傾斜部分(線bにおける斜線部分に相当)を「輪帯」と呼ぶことにする。なお本実施の形態ではフレネルレンズの最内郭の輪帯b1を中央の凸部の次の傾斜面と定義する。線bを示す関数をhf(r)とすると、hf(r)は、たとえば式(2)のように表される。
ここで、関数mod(a,b)は、aをbで割った場合の余りを表し、mはフレネルレンズの次数、h0はベースとなるレンズの厚みを表わす。フレネルレンズは位相2πmの段差を利用した回折型レンズの1つであり、波長λ0の単色光レーザでは屈折レンズと同じ振る舞いをする。
フレネルレンズだけではなく、光が通過する時の位相変化が0とπの2値のみをとるように設計されたレンズ(バイナリレンズ)も回折型レンズの一種である。線cは、バイナリレンズの厚みを示す。本実施の形態ではバイナリレンズの最内郭の輪帯c1を、中央の凸部の次の凸部と定義する。線cを示す関数をhb(r)とするとhb(r)はたとえば式(3)のように表される。
ここで関数int(A)は、Aの小数値を切り捨てて整数値にするための関数である。 式(4)に示すように、これらの回折型レンズは波長λが変化すると波長λに反比例して焦点距離Fが変化する。
ここでf0はフェムト秒レーザの中心波長λ0によって定まる焦点距離であり、式(4)は回折型レンズの波長分散を表している。一方、屈折型レンズの場合、材料分散による焦点距離の波長依存性が現れる。この時、屈折型レンズおよび回折型レンズの波長分散による焦点距離変動率Δr,ΔFは、それぞれ次の(5)式および(6)式に従う。
ここで、nは中心波長における屈折率、Δλは波長変動量、Δnは波長変動に伴う屈折率変動量である。すなわち、焦点距離変動率ΔFは、フェムト秒レーザの中心波長λ0および波長変動量Δλに依存する。
図4に示したように、フェムト秒レーザは波長スペクトル広がりを持つ。パルス幅(半値全幅)をΔtとすると、このパルスが取りうる最小の波長スペクトル幅(半値全幅)Δλは、おおよそ(7)式に従って表される。
ここでcは光速を表す。なお、以下では特に断らない限り、波長スペクトル幅は半値全幅のことを表す。(7)式より、パルス幅が短くなるほど波長スペクトルが広がることが分かる。よってフェムト秒レーザのパルス幅が短い程、回折型レンズが受ける波長分散の影響は大きくなる。
屈折型レンズでは波長分散の影響が小さいためフェムト秒レーザが入射しても焦点距離の変化は小さいが、回折型レンズでは焦点距離が波長による影響を受けるため波長スペクトル内の種々の波長が光軸上のある範囲で焦点を結ぶ。すなわち回折型レンズでは軸上色収差が発生する。したがって回折型レンズでは屈折型レンズに比べて焦点深度を大きくすることが可能となる。回折型レンズの焦点距離が変化する範囲ΔF(すなわち焦点深度)は、(4)式と(7)式とから以下の(8)式に従って表わされる。
(8)式は、回折型レンズの設計波長λすなわち集光性が最も良くなるように回折型レンズの輪帯設計を行なうときの波長と、回折型レンズに入射するフェムト秒レーザの中心波長λ0とが同じ場合における、焦点距離の変化の範囲を示している。
フェムト秒レーザ光により光学材料内部に回折光学素子を形成する加工法においては改質層のアスペクト比ができるだけ大きいことが好ましい。このためには焦点距離および焦点距離の変化する範囲(焦点深度)をできるだけ長くすることが好ましい。
図5は、フェムト秒レーザの波長スペクトルおよび回折型レンズの波長分散を利用することにより高アスペクト比を得る方法を示した図である。この方法はたとえば特開2006−142342号公報に開示された方法である。
この方法では回折型レンズの設計波長すなわち集光性が最も良くなるように回折型レンズの輪帯設計を行なうときの波長と、フェムト秒レーザの基準(中心)波長とは略等しく設定される。図5を参照して、回折型レンズ3Aの設計波長はフェムト秒レーザの基準(中心)波長と等しい。レーザ光5は、(7)式に従う波長スペクトル幅を有しているので回折型レンズ3Aが受ける波長分散の影響により焦点距離が変化する。これにより長焦点深度化が実現される。図中の実線および破線等により示す光線の軌跡は、波長スペクトル幅に含まれる波長の違いにより焦点距離が変化することを示している。焦点距離の変化する範囲は上記の(8)式によって求められるΔFに等しい。なお以下では、図5の回折型レンズ3A(すなわち設計波長がフェムト秒レーザの入射波長Λに等しい回折型レンズ)と回折型レンズ3とを適宜比較することにより回折型レンズ3を説明する。
図6は、実施の形態1による高アスペクト比を得る方法を示した図である。図6を参照して、本実施の形態では、回折型レンズ3の設計波長と異なる基準(中心)波長を有するレーザ光5(フェムト秒レーザ)を回折型レンズ3によって集光させる。本実施の形態では、回折型レンズ3の設計波長とフェムト秒レーザの中心波長とを異ならせて回折型レンズでの高収差性を積極的に活用することで、球面収差(レンズの光の入射位置に応じた焦点距離の変動)による長焦点深度化を実現する。これにより焦点距離の変化する範囲Δfを上記の(8)式によって求められるΔFより大きくすることができる。
図7は、実施の形態1における回折型レンズ3の設計波長とフェムト秒レーザの中心波長との関係を示した図である。以後の説明においては回折型レンズの設計波長とフェムト秒レーザの中心波長との識別が容易になるよう、フェムト秒レーザの中心波長をΛと示すことにする。
図7を参照して、本実施の形態では、フェムト秒レーザの中心波長Λと回折型レンズ3の設計波長λとの差の絶対値|Λ−λ|が、Λ=λであるときのフェムト秒レーザの波長スペクトル広がりΔλ(半値全幅)より大きくなるように波長Λおよびλを選択する。波長差の絶対値|Λ−λ|がΔλ以下である場合には、回折型レンズの焦点距離の変化する範囲は色収差により定まる範囲に制限される。本実施の形態では波長差の絶対値|Λ−λ|をΔλより大きく設定することにより、焦点距離の変化範囲に対する色収差の影響を小さくするとともに、球面収差による長焦点深度化を実現する。
図8は、図7に示したフェムト秒レーザの中心波長Λと回折型レンズ3の設計波長λとの関係をより詳しく説明する図である。図8を参照して、回折型レンズ3に入射するレーザ光5は、回折型レンズ3の最内郭の輪帯31により焦点距離f1の位置で集光され、回折型レンズ3の最外郭の輪帯32により、焦点距離f2の位置で集光される。
なお、回折型レンズ3の設計波長をλとし、設計波長λに対する回折型レンズ3の焦点距離をfとすると、回折型レンズ3の中心Oからm番目の輪帯の半径rmは、以下の(9)式に従って示される。
上記(9)式は、mが大きくなるほど輪帯の間隔(周期)が小さくなることを表わしている。
図8に示すΔfは焦点距離f1,f2の差の絶対値(=|f1−f|)である。本実施の形態では、焦点距離f1,f2のうち長い方の値が、入射するフェムト秒レーザの中心波長Λと設計波長とが同じである回折型レンズ(図5の回折型レンズ3Aにおいて、その設計波長が回折型レンズ3Aに入射するフェムト秒レーザの中心波長Λに等しい場合に相当)の焦点距離Fに等しい場合に、Δfが(8)式で表されるΔF以上となる波長差|Λ−λ|を持つように回折型レンズの設計波長λと、フェムト秒レーザの中心波長Λとを選択する。これにより球面収差を利用した長焦点深度化が可能になる。
波長差|Λ−λ|が上記の条件を満たすのであれば、フェムト秒レーザの中心波長Λは図7に示すように回折型レンズ3の設計波長λに対して短くても長くてもよい。ただし(4)式に示すように波長が短くなるほど焦点距離が長くなる。したがってフェムト秒レーザの中心波長Λは回折型レンズ3の設計波長λより短いことが好ましい。これによって焦点距離をより長くすることができるので、焦点距離f1,f2の差の絶対値(=|f1−f|)も長くできる。したがって光学材料に形成される改質層の厚さを大きくできる。
図9は、フェムト秒レーザの中心波長Λが回折型レンズ3の設計波長λより短い場合における、球面収差によるフェムト秒レーザの光線挙動を示した図である。図9を参照して、破線は、設計波長λを有する回折型レンズ3に、中心波長がλであるレーザ光5Aが入射したときの光線挙動を示す。この場合の焦点距離はfとなる。実線は、設計波長λの回折型レンズ3に中心波長Λ(<λ)を有するレーザ光5が入射したときの光線挙動を示す。焦点距離f2は上記回折型レンズの最外郭の輪帯にレーザ光5が入射したときの焦点距離を示し、焦点距離f1は上記回折型レンズの最内郭の輪帯にレーザ光5が入射したときの焦点距離を示す。
回折型レンズ3に入射するレーザ光5,5Aの光軸Zと回折型レンズ3により曲げられた光線とのなす角度をθとする。輪帯の周期をdとすると、dsinθ=λの関係から輪帯の周期が小さくなるレンズ外側の光ほどθが小さくなるので、その光は光軸Zに対してより外側(回折型レンズ3に対してより遠く)で集光する。つまり焦点距離f2は焦点距離f1より大きくなる。最内郭(1番目)の輪帯に入射したレーザ光5の焦点距離f1は、回折型レンズ3の設計波長λと等しい中心波長を有するレーザ光5Aが回折型レンズ3に入射した場合の焦点距離fよりもやや大きくなる。dsinθ=λとの関係において周期dが変わらず、かつλ>Λであることから、最内郭の輪帯に入射したレーザ光5の回折角は最内郭の輪帯に入射したレーザ光5Aの回折角より小さくなる。このためf<f1となる。
図10は、図9に示した光学系により光学材料内部に集光されるレーザ光5の光線挙動を示した図である。図10を参照して、光学材料(加工対象材料8)に入射するレーザ光5は大気と光学材料との界面において屈折する。大気の屈折率と光学材料の屈折率との差により球面収差が生じるが、この球面収差は回折型レンズ3による球面収差をさらに拡大させる。したがって、大気中における焦点距離の変化範囲はΔfであるが、光学材料内部における焦点距離の変化範囲Δf'は、光学材料の屈折率nとΔfとの積と同等以上になる。
図11は、フェムト秒レーザの中心波長Λが回折型レンズ3の設計波長λより長い場合における、球面収差によるフェムト秒レーザの光線挙動を示した図である。図11を参照して、破線は、設計波長λを有する回折型レンズ3に、中心波長がλであるレーザ光5Aが入射したときの光線挙動を示す。この場合の焦点距離はfとなる。実線は、設計波長λの回折型レンズ3に中心波長Λ(>λ)を有するレーザ光5が入射したときの光線挙動を示す。焦点距離f2は上記回折型レンズの最外郭の輪帯にレーザ光5が入射したときの焦点距離を示し、焦点距離f1は上記回折型レンズの最内郭の輪帯にレーザ光5が入射したときの焦点距離を示す。
上記したdsinθ=λの関係から、輪帯の周期が小さくなるレンズ外側の光ほどθが大きくなるので、その光は光軸Zに対してより内側(回折型レンズ3に対してより近く)で集光する。つまり焦点距離f2は焦点距離f1より小さくなる。この場合、最内郭(1番目)の輪帯に入射したレーザ光5の焦点距離f1は、回折型レンズ3の設計波長λと等しい中心波長を有するレーザ光5Aが回折型レンズ3に入射した場合の焦点距離fよりもやや小さくなる。dsinθ=λとの関係において周期dが変わらず、かつλ<Λであることから、最内郭の輪帯に入射したレーザ光5の回折角は最内郭の輪帯に入射したレーザ光5Aの回折角より大きくなる。このためf>f1となる。
図12は、図11に示した光学系により光学材料内部に集光されるレーザ光5の光線挙動を示した図である。図12を参照して、大気の屈折率と光学材料の屈折率との差により球面収差は回折型レンズ3による球面収差を補正する。したがって大気中における焦点距離の変化範囲はΔfであるが、光学材料内部では焦点距離の変化範囲Δf'は光学材料の屈折率nとΔfとの積と同等以下になる。図10および図12から、フェムト秒レーザの中心波長Λを回折型レンズ3の設計波長λより短くすることによって、光学材料内における焦点距離をより長くすることができることが分かる。
図13は、実施の形態1によるレーザ加工方法を説明するフローチャートである。図9を参照して、まず、ステップS1では、フェムト秒レーザの中心波長Λおよび回折型レンズの設計波長λが決定される。このステップS1では、焦点距離f1,f2のうち長い方の値が、入射するフェムト秒レーザの中心波長Λと設計波長とが同じである回折型レンズ(図5の回折型レンズ3Aにおいて、その設計波長が回折型レンズ3Aに入射するフェムト秒レーザの中心波長Λに等しい場合に相当)の焦点距離Fに等しい場合に、Δf(=|f1−f|)が(8)式で表されるΔF以上となる波長差|Λ−λ|を持つように回折型レンズの設計波長λと、フェムト秒レーザの中心波長Λとが選択される。たとえば、フェムト秒レーザの中心波長Λが固定されている場合には、その波長Λに応じた設計波長λを有する回折型レンズが選択される。一方、回折型レンズを自由に選択できずかつフェムト秒レーザの中心波長Λが可変であれば、回折型レンズの設計波長に応じてフェムト秒レーザの中心波長Λが選択される。
ステップS2では、フェムト秒レーザの照射条件が設定される。照射条件とは、たとえばフェムト秒レーザのパルスエネルギ、繰返し周波数等を含むがこれらに限定されるものではない。パルスエネルギを制御することによって改質層のアスペクト比を制御することが可能になる。これにより、改質層の厚さを大きくしたり改質層の径を小さくしたりすることができる。
たとえば改質層のアスペクト比が100以上となるようにパルスエネルギが制御される。また、たとえば改質径は2μm以下でありかつ改質層のアスペクト比が100以上となるようにパルスエネルギが制御される。改質層のアスペクト比が100以上であることが好ましい理由としては、回折光学素子の回折効率が高くなるので、光利用効率が高くなるためである。また、改質径が2μm以下であることが好ましい理由としては、周期が微細化することにより回折角が大きくなり、波長分解能が高まることや高開口のレンズを形成できることなどの利点が得られるためである。
ステップS3では、フェムト秒レーザの照射による材料の加工が行なわれる。光学素子を製造する場合には、光学材料にフェムト秒レーザを照射して照射部を加工または改質することにより光学素子が製造される。
なお、ステップS1,S2の処理の順序は、図9に記載した通りに限定されるものではなく逆の順序でもよい。またステップS3の処理に先立って、さらに処理が追加されてもよい。また、コンピュータがプログラムを実行させることによって、図9に示した処理が実行されてもよい。この場合には、図9に示した処理をコンピュータに実行させるために、ユーザが必要に応じてコンピュータに情報を入力してもよい。
このように本発明は改質厚を大きくするための方法として、球面収差を積極的に活用することに着眼したものである。本実施の形態では、その具体的実現手段として、回折型レンズの設計波長とフェムト秒レーザの基準(中心)波長とを異ならせる。これによって簡易かつ小型の光学系で大きな球面収差を生じさせることができる。通常では球面収差が発生すると集光性が悪くなるために均一な径での改質や加工を行なうことはできないと考えられる。本実施の形態によれば球面収差が生じていても略均一な微細径を保ったまま長改質厚の改質層を実際に加工できる。この点については以下の実施例により詳細に示す。
本実施の形態に係るレーザ加工方法を回折光学素子の製造方法として用いた場合、改質厚を長くできるため高い回折効率の素子を得ることができる。また厚みの自在な回折光学素子を材料内部の任意の位置に製造することが可能となる。
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2に係るレーザ加工装置50Aの構成を示した図である。図14を参照して、レーザ加工装置50Aは、アパーチャ2に代えてビーム径制御装置14を備える。この点においてレーザ加工装置50Aは、レーザ加工装置50と相違するがレーザ加工装置50Aの他の部分の構成は、レーザ加工装置50の対応する部分の構成と同様である。
ビーム径制御装置14は、レーザ光5のビーム径を所望の大きさに制御する。たとえば、ビーム径制御装置14としては開口部の径を調整可能な光学絞り(アパーチャ)を用いることができる。またビーム径制御装置14として、ビームエキスパンダを用いてもよい。ビーム径制御装置14が回折型レンズ3に入射するフェムト秒レーザのビーム径を空間的に変化させることにより、回折型レンズ3のレーザ光の入射範囲が制御される。すなわちフェムト秒レーザの回折(集光)に寄与する回折型レンズ3の輪帯数が制御される。これにより、光学材料内部にフェムト秒レーザを照射して改質層を形成する場合において、改質径を変えることなく改質厚を変える(制御する)ことができる。
実施の形態2によるレーザ加工方法を説明するフローチャートは図13のフローチャートと同様である。回折型レンズ3の輪帯数を制御する処理はたとえば図13のステップS2の処理に含まれるが、ステップS2の処理とは別の処理としてステップS3の処理の前に実行されてもよい。また、上記のように、ステップS3以前の処理の順序は特に限定されるものではない。
図14に示した構成では、回折型レンズ3に入射するフェムト秒レーザのビーム径を制御することにより回折型レンズにおいて回折に寄与する輪帯数を制御する。ただし、回折に寄与する輪帯数を制御する方法としては、上記の方法に限定されない。たとえばレンズ中央部に遮蔽板を設けたり、アキシコンレンズ(円錐レンズとも呼ばれる)を複数枚設けたりすることによって回折型レンズ3の表面におけるフェムト秒レーザの強度分布をリング状に形成してもよい。
実施の形態2によれば、レーザ加工装置が複雑化することなく、また材料内部への深さによって改質厚を制御する必要なく、簡易な光学系でアスペクト比を容易に制御することが可能になる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。また、以下では、回折型レンズの設計波長、回折型レンズに入射するフェムト秒レーザの中心波長を、それぞれ「設計波長」および「入射波長」と呼ぶ場合もある。
実施例1〜5は、実施の形態1に係るレーザ加工装置50に以下の条件を適用したものである。実施例1〜5においては回折型レンズおよびフェムト秒レーザの条件を以下に示すように共通とした。
(1)回折型レンズには、設計波長635nm、直径4mm、焦点距離4mm、石英ガラス製のフレネルゾーンプレートを用いた。
(2)回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、レーザビーム径7mm(1/e値)とした。また回折型レンズの前に5.5mm径のアパーチャを設置し、このアパーチャを通過したフェムト秒レーザを回折型レンズで集光して材料に照射した。
(実施例1)
本実施例では、加工対象の光学材料として、ポリメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名アクリライト(登録商標)、型式#000)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが5mmであった。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長400nm、パルス幅120fs(fs;フェムト秒を示す)、繰返し周波数1kHzとし、回折型レンズへの入射エネルギを10μJとした。材料内部の集光深さ位置を材料表面から1mmとし、フェムト秒レーザを1mm/sの速度で走査して、周期が2μm、かつ一辺が1mmの回折格子を作製した。
図15は、実施例1の条件に従うフェムト秒レーザ照射を行なうことにより光学材料内部に形成された改質層の透過光学顕微鏡による全体観察像を示した図である。図15を参照して、改質層の水平方向の長さ(図2におけるY方向の長さに相当)は1mm、改質層の改質厚(図2におけるZ方向に相当)は700μmであった。図16は、図15に示した改質層の一部分Aの拡大観察像を示す図である。図16を参照して、改質層の部分拡大像における一辺の長さは160μmであった。改質径は略1μmであった。この結果から、アスペクト比は700/1=700と求められた。
図15および図16に示されるように、上記した条件に従うフェムト秒レーザの照射により微細かつ長改質厚の屈折率変化改質加工ができた。本試料をフェムト秒レーザの照射後70℃で1日間加熱処理を行なうことにより、ブラッグ1次回折効率は82.5%となった。これにより周期2μmで高効率な回折格子の加工が可能であることが分かった。
本実施例の条件によって得られる長改質厚について考察した結果を述べる。波長635nm、焦点距離4mm、レンズ径4mm(半径2mm)で回折型レンズの輪帯設計を行なった場合、(9)式から、最内郭の輪帯の半径は0.071mmであり、その周期は71.27μmと求められた。同様に(9)式から、最外郭の輪帯の半径は2.000mmであり、その周期は1.42μmと求められた。なお、最外郭の輪帯の半径はレンズの半径に等しいものとした。
この回折型レンズに中心波長400nmのフェムト秒レーザを入射した場合、最内郭の輪帯による焦点距離f1は6.350mm、最外郭の輪帯による焦点距離f2は6.812mm、その差Δfは|6.812−6.350|=462μmとなった。これは空気(屈折率1)中でのΔfであるため、材料内部(屈折率1.49)でのΔf’(図10参照)を考えた。最内郭の輪帯による集光位置(すなわち焦点距離)が材料表面から深さ1mmである場合には、最外郭の輪帯による集光位置は材料表面から深さ1.726mmの位置になるので、Δf’=1.726−1.000=726μmとなった。
実際の改質厚は図15に示されるように700μm程度であったが、この値は、後述の比較例1での色収差による改質厚計算値との乖離が大きいことから、回折型レンズによって生成された球面収差による長焦点化距離の影響を受けたものと考察された。
本実施例による球面収差は、特に、設計波長と入射波長との差を235nmとするとともに、設計波長635nmに対して入射波長を400nmと小さくしたことによる球面収差であるものと考察された。式(7)によれば中心波長が400nm、パルス幅が120fsであるフェムト秒レーザの波長スペクトル広がりは2nm程度であるが、本実施例における設計波長と入射波長との差はこれより大きいことが分かった。本実施例においては、設計波長に対して入射波長が短いが、この場合においては材料内部に集光することによる材料屈折率の影響が焦点距離を更に長くする方向に働く点で有効であることを確認できた。
(比較例1)
実施例1における波長スペクトルと回折型レンズの分散、すなわち色収差による効果を算出するために、設計波長を入射波長と同じ400nmとし、パルス幅を120fsとし、焦点距離を実施例1での長い方の値である6.812mmとした。この場合の焦点距離の変化する範囲、すなわちΔFを(8)式に従い算出した。ΔFは以下に示すように33μmとなった。
ΔF=2×ln2×(6.812×10-3)×(0.4×10-6)/π/(3×108)/(120×10-15)=33μm
材料内部にフェムト秒レーザが集光した場合、材料屈折率(1.49)によって集光位置が変化する(図10参照)。この点を考慮して材料内部でのΔFであるΔF’を算出した。ΔF’は33×1.49=49μmとなった。
色収差の作用ではΔF’が50μm弱となることから、ΔF’は実施例1による実加工形状の改質厚(700μm)の説明ができない程度に乖離していることが分かった。実施例1および比較例1との比較結果から、実施例1に示される長改質厚は球面収差の影響によるものと考察された。さらに、実施例1および比較例1によれば、同じ焦点距離のレンズを用いても色収差では得られない長改質厚効果が得られることが分かった。
なお、フェムト秒レーザの波長スペクトルと回折型レンズの波長分散とによって、実施例1と同程度の焦点距離の変化する範囲(すなわち700μm)を得るためには、上記のΔF’を14倍程度大きくする必要があるため、この場合の焦点距離が97.3mmにあることが分かった。また、開口数を同じ程度にしようとすると最外郭の輪帯周期が1.42μmとなるため、開口数が0.28程度になることが分かった。これらからレンズ径は57mm(半径28.5mm)であると求められた。以上の考察により、比較例1によれば実施例1に比べて回折型レンズが大型化する上にレンズ作製も困難になることが分かった。
(実施例2)
本実施例では、加工対象の光学材料として、ポリメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名アクリライト(登録商標)、型式#000)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが5mmであった。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長400nm、パルス幅120fs、繰返し周波数1kHzとし、回折型レンズへの入射エネルギを25μJとした。材料内部の深さ位置を材料表面から1mmおよび3mmとし、フェムト秒レーザを1mm/s速度で走査して、周期が10μmかつ一辺が1mmの回折格子を作製した。
この結果、深さ位置が1mmの場合も3mmの場合も改質厚は850μm程度であり、ほとんど違いは見られなかった。すなわち、本実施例の条件によれば、材料内部の深さ位置によらず大きな改質厚を得ることが可能であることが分かった。また、深さ位置が深くなるにつれて改質厚が長くなったりすることや改質厚が大きく変動することがないことも分かった。これらから、改質厚が長くなるという作用は、材料内部にフェムト秒レーザが集光することで生じる球面収差による影響・作用が主要因ではなく、回折型レンズの球面収差による影響・作用であるということを合わせて確認できた。
(実施例3)
本実施例では、加工対象の光学材料として、ポリメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名アクリライト(登録商標)、型式#000)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが5mmであった。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長800nm、パルス幅120fs、繰返し周波数1kHzとし、回折型レンズへの入射エネルギを1.2μJとした。材料内部の深さ位置を材料表面から1mmとし、フェムト秒レーザを1mm/sの速度で走査して、周期が2μm、かつ一辺が1mmの回折格子を作製した。
図17は、実施例3の条件に従うフェムト秒レーザ照射を行なうことにより光学材料内部に形成された改質層の透過光学顕微鏡による全体観察像を示した図である。図17を参照して、改質径は略1μmであり、改質厚は120μmであった。この結果から、アスペクト比は120と求められた。図17に示すように、本実施例の条件に従うフェムト秒レーザ照射を行なうことにより微細かつ長改質厚の加工ができた。本試料を照射後70℃で1日間加熱処理を行なうことにより、ブラッグ1次回折効率は7.8%となり、周期2μmの回折格子の加工が可能であることが分かった。
次に本実施例の条件によって得られる改質厚を考察した結果について述べる。回折型レンズに中心波長800nmのフェムト秒レーザを入射した場合、最内郭の輪帯による焦点距離f1は3.174mm、最外郭の輪帯による焦点距離f2は2.933mm、その差Δfは|2.933−3.174|=241μmとなった。これは空気(屈折率1)中でのΔfであるため、材料内部(屈折率1.49)でのΔf’(図12参照)を考えた。最外郭の輪帯による集光位置が材料表面から深さ1mmである場合には、最内郭の輪帯による集光位置は材料表面から深さ1.252mmの位置になるので、Δf’=252μmとなった。
実際の改質厚は図17に示すように120μm程度であったが、この値は、後述の比較例2での色収差による改質厚計算値では説明できない程度の改質厚となっていたことから、回折型レンズによって生成された球面収差による長焦点化距離の影響を受けたものと考察された。
本実施例による球面収差は、特に、設計波長と入射波長との差を165nmとし、かつ設計波長635nmに対し、入射波長を800nmと大きくしたことによる球面収差であるものと考察された。式(7)によれば中心波長が800nm、パルス幅が120fsであるフェムト秒レーザの波長スペクトル広がりは8nm程度であるが、本実施例における設計波長と入射波長との差はこれより大きいことが分かった。本実施例においては、設計波長に対して入射波長が長いが、この場合においては、材料内部に集光することによる材料屈折率の影響が焦点距離を短くする方向に働くことが確認できた。
(比較例2)
実施例3における波長スペクトルと回折型レンズの分散、すなわち色収差による効果を算出するために、設計波長を入射波長と同じ800nmとし、パルス幅を120fsとし、焦点距離を実施例3での長い方の値である3.174mmとした。この場合の焦点距離の変化する範囲、すなわちΔFを(8)式に従い算出した。ΔFは以下に示すように29μmとなった。
ΔF=2×ln2×(3.174×10-3)×(0.8×10-6)/π/(3×108)/(120×10-15)=29μm
材料内部にフェムト秒レーザが集光した場合、材料屈折率(1.49)によって集光位置が変化する(図12参照)。この点を考慮して材料内部でのΔFであるΔF’を算出した。ΔF’は29×1.49=43μmとなった。
色収差の作用では、ΔF’は40μm強となることから、ΔF’は、実施例3による実加工形状の改質厚(120μm)の説明ができない程度に乖離していることが分かった。実施例3および比較例2の比較結果から、実施例3に示される長改質厚は球面収差の影響によるものと考察された。さらに、実施例3および比較例2から、同じ焦点距離のレンズを用いても色収差では得られない長改質厚効果が得られることが確認できた。
(比較例3)
本比較例では、加工対象の光学材料として、ポリメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名アクリライト(登録商標)、型式#000)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが5mmであった。レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長800nm、パルス幅120fs、繰返し周波数1kHzとした。
本比較例では、上記の回折型レンズに代えて開口数0.4の対物レンズ(オリンパス社製、商品名LMPlanFL、倍率20倍)を用いた。対物レンズへのフェムト秒レーザの入射エネルギを0.32μJとし、材料内部の深さ位置を材料表面から4.5mmとし、フェムト秒レーザを1mm/sの速度で走査して、周期10μmの加工を複数回実施した。この結果、改質厚50μmの改質層を得ることができた。
本比較例では集光する深さ位置を材料表面から4.5mmとしているため、材料内部に集光することによる球面収差で生じるΔfは230μmと計算された。しかし、実加工の改質厚は50μmしか得ることができなかった。実施例3ではΔf’の計算値252μmに対して実加工値が120μmであったのに対し、比較例3ではΔfの計算値230μmに対して実加工値が50μmであった。実施例3と比較例3との比較結果から、計算値では同じ程度の球面収差であっても、屈折型レンズで球面収差を付与するより回折型レンズで球面収差を付与したほうが、実加工の改質厚を計算値に近づけることができるとともに長改質厚化できるという効果を有することが分かった。
(実施例4)
実施例4では、加工対象の光学材料として、ポリメタクリレートに代えてシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン社製、商品名ZEONEX(登録商標)、型式480)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mmで、厚さが2mmであった。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長400nm、パルス幅120fs、繰返し周波数1kHzとし、回折型レンズへの入射エネルギを15μJとし、材料内部の深さ位置を材料表面から1mmとし、フェムト秒レーザを1mm/sの速度で走査して、周期が2μm、かつ一辺が1mmの回折格子を作製した。この結果、改質径が略1μmで改質厚が800μmの微細かつ長改質厚の加工ができた。この結果から、アスペクト比は800と求められた。また、本試料を照射後100℃で1日間加熱処理を行なうことにより、ブラッグ1次回折効率は84.7%となり、周期2μmで高効率な回折格子の加工が可能であることが分かった。
実施例4から、設計波長と入射波長とを異ならせて回折型レンズの球面収差を生じさせることで改質厚を長くすることができるという作用効果は高分子材料の種類によらないものであることが確認できた。
(実施例5)
実施例5では、加工対象の光学材料として、光学ガラスの一種であるBK7(ホウケイ酸クラウン光学ガラス)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが3mmであった。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長800nm、パルス幅120fs、繰返し周波数1kHzとし、回折型レンズへの入射エネルギを4.5μJとした。材料内部の深さ位置を材料表面から1mmとし、フェムト秒レーザを0.3mm/sの速度で走査して、周期が2μmかつ一辺が1mmの回折格子を作製した。この結果、改質径が略1μm、かつ改質厚が215μmの微細かつ長改質厚の加工ができた。この結果から、アスペクト比は215と求められた。この時のブラッグ1次回折効率は76.5%であり、周期2μmの回折格子の加工が可能であることが分かった。
実施例5から、設計波長と入射波長とを異ならせて回折型レンズの球面収差を生じさせることで改質厚を長くすることができるという作用効果はガラスに対しても有効であることが分かった。この結果、上記作用効果は材料種によるものではないことが分かった。
(実施例6)
実施例6は、実施の形態2に係るレーザ加工装置50Aに以下の条件を適用したものである。実施例6では、回折型レンズとして、直径が8mm、輪帯設計波長が1000nm、設計波長に対する焦点距離4mm、石英ガラス製のフレネルゾーンプレートを用いた。回折型レンズに入射するフェムト秒レーザは、中心波長800nm、レーザビーム径14mm(1/e2値)とした。フェムト秒レーザを回折型レンズで集光して材料に照射した。加工対象の光学材料としてポリメタクリレート(三菱レイヨン社、アクリライト(登録商標)、型式#000)を用いた。光学材料の大きさは、一辺が10mm、厚さが5mmであった。回折型レンズへの入射パルスエネルギを12μJとし、材料内部の深さ位置を材料表面から1mmとし、フェムト秒レーザを1mm/sの速度で走査した。回折型レンズの前にはフェムト秒レーザのビーム径を制御するビーム径制御装置としてアパーチャを配置した。アパーチャ径を8mm、4mm、2mm、1mmと変化させるとともに、アパーチャ径ごとに周期5μmの加工を複数回実施した。
この結果、アパーチャ径が8mmのときには改質厚が330μmとなった。アパーチャ径が4mmのときには改質厚が260μmとなった。アパーチャ径2mmのときには改質厚が120μmとなった。アパーチャ径が1mmのときには改質厚が70μmとなった。このように、いずれのアパーチャ径でも改質径が一定(略1μm)となる加工ができた。
実施例6から、設計波長と入射波長とを異ならせることにより球面収差を生成する回折型レンズは、回折型レンズに入射するフェムト秒レーザの入射範囲、言い換えれば、回折型レンズにおいて、フェムト秒レーザの回折(集光)に寄与する輪帯数を制御することにより、改質径を略一定に保ちつつ改質厚を制御することが可能であることが分かった。さらに、本実施例では、ビーム径制御装置としてアパーチャのような簡易な構成を有するものを用いても改質厚を制御できることが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施の形態1に係るレーザ加工装置50の構成を示した図である。 図1に示したレーザ加工装置50による光学素子の製造をより具体的に説明する図である。 屈折型レンズの形状および回折型レンズの形状の模式図である。 フェムト秒レーザの波長スペクトルを示した図である。 フェムト秒レーザの波長スペクトルおよび回折型レンズの波長分散を利用することにより高アスペクト比を得る方法を示した図である。 実施の形態1による高アスペクト比を得る方法を示した図である。 実施の形態1における回折型レンズ3の設計波長とフェムト秒レーザの中心波長との関係を示した図である。 図7に示したフェムト秒レーザの中心波長Λと回折型レンズ3の設計波長λとの関係をより詳しく説明する図である。 フェムト秒レーザの中心波長Λが回折型レンズ3の設計波長λより短い場合における、球面収差によるフェムト秒レーザの光線挙動を示した図である。 図9に示した光学系により光学材料内部に集光されるレーザ光5の光線挙動を示した図である。 フェムト秒レーザの中心波長Λが回折型レンズ3の設計波長λより長い場合における、球面収差によるフェムト秒レーザの光線挙動を示した図である。 図11に示した光学系により光学材料内部に集光されるレーザ光5の光線挙動を示した図である。 実施の形態1によるレーザ加工方法を説明するフローチャートである。 実施の形態2に係るレーザ加工装置50Aの構成を示した図である。 実施例1の条件に従うフェムト秒レーザ照射を行なうことにより光学材料内部に形成された改質層の透過光学顕微鏡による全体観察像を示した図である。 図15に示した改質層の一部分Aの拡大観察像を示す図である。 実施例3の条件に従うフェムト秒レーザ照射を行なうことにより光学材料内部に形成された改質層の透過光学顕微鏡による全体観察像を示した図である。
符号の説明
1 レーザ装置、2 アパーチャ、3,3A 回折型レンズ、4 ステージ、5,5A レーザ光、6 入射面、7 出射面、8 加工対象材料、9 照射部、10 ステージ駆動機構、11 NDフィルタ、12 アッテネータ、13 電磁シャッター、14 ビーム径制御装置、31,32,b1,c1 輪帯、50 レーザ加工装置、50A レーザ加工装置、a〜c 線、F,f1,f2 焦点距離、S1〜S3 ステップ、Z 光軸。

Claims (27)

  1. パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを回折型レンズによって加工対象材料の表面および内部のいずれかに集光させることにより、前記加工対象材料を加工する工程と、
    前記加工する工程に先立って、前記フェムト秒レーザの中心波長Λと前記回折型レンズの設計波長λとを設定する工程とを備え、
    前記設定する工程は、
    前記回折型レンズの最内郭の輪帯に入射する前記フェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、前記回折型レンズの最外郭の輪帯に入射した前記フェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、前記焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λに従って定められる前記比較対象レンズの焦点深度よりも前記焦点距離f1と前記焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように、前記中心波長Λと前記設計波長λとの波長差の絶対値を設定する工程を含む、レーザ加工方法。
  2. 前記波長差の絶対値を設定する工程は、前記中心波長Λを前記設計波長λよりも小さく設定する、請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記レーザ加工方法は、
    前記フェムト秒レーザの回折に寄与する前記回折型レンズの輪帯数を制御する工程をさらに備える、請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記輪帯数を制御する工程は、前記回折型レンズへの前記フェムト秒レーザの入射範囲を制御する、請求項3に記載のレーザ加工方法。
  5. 前記輪帯数を制御する工程は、前記フェムト秒レーザが通過する開口部の径を可変に構成されたアパーチャを用いて前記輪帯数を所定数に制御する、請求項3または4に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記輪帯数を制御する工程は、前記フェムト秒レーザのビーム径を空間的に変化させるビームエキスパンダを用いて前記輪帯数を所定数に制御する、請求項3または4に記載のレーザ加工方法。
  7. 前記加工する工程は、前記フェムト秒レーザを前記加工対象材料の内部に集光させることにより前記加工対象材料の内部に改質領域を形成し、
    前記レーザ加工方法は、
    前記フェムト秒レーザの光軸方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の厚さLと定義し、前記光軸方向に直交する方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の径φと定義し、L/φを前記改質領域のアスペクト比と定義すると、前記フェムト秒レーザのエネルギを制御することにより前記アスペクト比を制御する工程をさらに備える、請求項1に記載のレーザ加工方法。
  8. 前記アスペクト比を制御する工程は、前記アスペクト比が100以上となるように前記フェムト秒レーザのエネルギを制御する、請求項7に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記アスペクト比を制御する工程は、前記径φが2μm以下かつ前記アスペクト比が100以上となるように前記フェムト秒レーザのエネルギを制御する、請求項8に記載のレーザ加工方法。
  10. 前記加工対象材料は、高分子構造体およびガラスを含む光学材料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
  11. 前記加工する工程は、前記光学材料の内部に回折光学素子を形成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
  12. 10-15秒〜10-11秒のパルス幅を有するフェムト秒レーザを発するレーザ装置と、
    前記フェムト秒レーザを加工対象材料の表面または内部に集光させるための回折面を含む回折型レンズとを備え、
    前記加工対象材料に入射する前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λおよび前記回折型レンズの前記設計波長λの波長差の絶対値は、前記回折型レンズの最内郭の輪帯に入射する前記フェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、前記回折型レンズの最外郭の輪帯に入射した前記フェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、前記焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λに従って定められる前記比較対象レンズの焦点深度よりも前記焦点距離f1と前記焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように定められる、レーザ加工装置。
  13. 前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λは、前記回折レンズの設計波長λよりも小さい、請求項12に記載のレーザ加工装置。
  14. 前記フェムト秒レーザの回折に寄与する前記回折型レンズの輪帯数を調整可能に構成された輪帯数制御装置をさらに備える、請求項12または13に記載のレーザ加工装置。
  15. 前記輪帯数制御装置は、前記回折型レンズへの前記フェムト秒レーザの入射範囲を制御する、請求項14に記載のレーザ加工装置。
  16. 前記輪帯数制御装置は、前記フェムト秒レーザが通過する開口部の径を可変に構成されたアパーチャである、請求項14または15に記載のレーザ加工装置。
  17. 前記輪帯数制御装置は、前記フェムト秒レーザのビーム径を空間的に変化させるビームエキスパンダである、請求項14または15に記載のレーザ加工装置。
  18. 前記レーザ加工装置は、前記フェムト秒レーザを前記加工対象材料の内部に集光させることにより前記加工対象材料の内部に改質領域を形成し、
    前記レーザ装置は、
    前記フェムト秒レーザの光軸方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の厚さLと定義し、前記光軸方向に直交する方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の径φと定義し、L/φを前記改質領域のアスペクト比と定義すると、前記アスペクト比が所望の条件を満たすように調整されたエネルギを有する前記フェムト秒レーザを発する、請求項12に記載のレーザ加工装置。
  19. 前記フェムト秒レーザは、前記アスペクト比が100以上となるように調整されたエネルギを有する、請求項18に記載のレーザ加工装置。
  20. 前記フェムト秒レーザは、前記径φが2μm以下かつ前記アスペクト比が100以上となるように調整されたエネルギを有する、請求項18に記載のレーザ加工装置。
  21. 前記加工対象材料は、高分子構造体およびガラスを含む光学材料である、請求項12〜20のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
  22. 前記レーザ加工装置は、前記光学材料の内部に回折光学素子を形成する、請求項12〜21のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
  23. パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを回折型レンズによって光学材料の表面および内部のいずれかに集光させることにより、前記光学材料を加工する工程と、
    前記加工する工程に先立って、前記フェムト秒レーザの中心波長Λと前記回折型レンズの設計波長λとを設定する工程とを備え、
    前記設定する工程は、
    前記回折型レンズの最内郭の輪帯に入射する前記フェムト秒レーザの焦点距離をf1とし、前記回折型レンズの最外郭の輪帯に入射した前記フェムト秒レーザの焦点距離をf2とすると、前記焦点距離f1およびf2のうちのいずれか長いほうが、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λを設計波長として有する回折型レンズである比較対象レンズの焦点距離に等しく、かつ、前記フェムト秒レーザの前記中心波長Λに従って定められる前記比較対象レンズの焦点深度よりも前記焦点距離f1と前記焦点距離f2との差の絶対値が大きくなるように、前記中心波長Λと前記設計波長λとの波長差の絶対値を設定する工程を含む、光学素子の製造方法。
  24. 請求項23に記載の光学素子の製造方法により製造された、光学素子。
  25. 前記光学材料は、前記フェムト秒レーザが前記光学材料の内部に集光することにより形成された改質領域を含み、
    前記フェムト秒レーザの光軸方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の厚さLと定義し、前記光軸方向に直交する方向に沿う前記改質領域の長さを前記改質領域の径φと定義し、L/φを前記改質領域のアスペクト比と定義すると、前記アスペクト比は100以上である、請求項24に記載の光学素子。
  26. 前記径φは、2μm以下である、請求項25に記載の光学素子。
  27. 前記光学素子は、前記光学材料の内部に形成された回折光学素子を含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の光学素子。
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