JP3855563B2 - レーザ装置およびレーザ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は精密穴あけ加工のようなレーザ加工に用いるレーザ装置およびそれに用いられるレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は、特開平10-223946号公報に示された従来のレーザ装置を示す構成図である。図19において、1はレーザ発振器、2はレーザ発振器1から発生したレーザビーム、3はレーザビーム2のビーム強度分布を模式的に示したもの、55はビーム強度分布を制御する機能をもつ非球面レンズ、120は非球面レンズ55によりレーザビーム2の強度分布が設計強度分布に変換される位置6aにおけるビームプロファイル、110は非球面レンズ後に配置されたコリメート光学系である。14は強度分布を適当に成形されたレーザビームにより例えば穴あけのような加工をされる加工対象である。
【0003】
図20は図19の非球面レンズ55の動作原理を説明する図である。図20において、非球面レンズの均一な収束性球面曲率成分の収束パワーをP+、ビーム強度分布に比例する局所的な発散性曲率成分のパワーをP-(r)、非球面レンズ位置でのビーム強度分布をD1(r)、収束性曲率成分に対応する焦点位置におけるビーム強度分布をD2(r)、同焦点位置からビームの収束位置までの距離をf'(r)とすると、
f+=1/P+、f(r)=1/(P+-P-(r))、f'(r)=M(r)f(r)として、非球面レンズの構成から、
P-(r)=KD1(r) (Kは比例定数)
ビーム強度比の幾何学的関係から、D2(r)=D1(r)/M(r)
とあらわすことができ、
M(r)=f'(r)/f(r)=(f(r)-f+)/f(r)=P-(r)/P+
の関係から、
D2(r)=D1(r)/M(r)=(P-(r)/K)/(P-(r)/P+)=P+/K (rに依存しない。)
が成り立つ。すなわち、局所的発散パワーP-(r)が非球面レンズ位置のビーム強度分布D1(r)に比例していれば、非球面レンズからf+の位置でのビーム強度分布D2(r)は均一となる。この関係は任意のKについて成り立ち、Kの値を変えると均一ビームの得られる位置(f+)でのビーム断面径が変わる。
図19のように構成されたレーザ装置においては、レーザ発振器1より発生されたレーザビーム2は、3のようなビーム強度分布をもつ。非球面レンズ55を通過した後のレーザビームは設計された所定の位置6aにおいて、120のようなトップハット形状の均一なビーム強度分布を持つ。位置6aにおいて一定のビーム強度分布を持つレーザビーム120はコリメート光学系110により適当なサイズに変換され加工対象14上へ転写され穴あけ等の用途に用いられる。使用されるビームはビーム断面全体において均一な強度分布をもつトップハット形状である。
【0004】
さらに、特開平10-153750号公報には、図21に示すように、レーザビームの強度分布をトップハット状に変換する非球面レンズ55の前に、ビーム径を調整するためのコリメートレンズ等の光学素子130を挿入し、発振器からのレーザビーム径が変わった場合でも非球面レンズ55に入射するビーム径が変化しないように調整し、ビーム強度分布の変換が設計通り行われるようにする技術が記載されている。この公報にはまた、非球面レンズの後方に位相補正素子100を設けて、非球面レンズにより強度分布変換したときに乱れる位相を補正する技術も記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のレーザ装置における光学系は、ある半径内で強度が均一な強度分布(トップハット状)のレーザビームを発生し、使用することを目的としている。例えば、スルーホール加工等では、ある半径内で強度が均一な強度分布(トップハット状)のビームを加工に用いた場合、熱影響により目的とする品質の加工穴が得られない場合があった。
【0006】
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、加工に用いた場合に熱影響の小さい加工を行うことができるビーム強度分布を得ること、その他、加工に適したビーム強度分布を得ること、また、発生させたビームを実用に適したビーム径、位相分布に制御し、かつ上述のようなビーム形状を長時間、安定に保つことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るレーザ装置は、レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるものである。
【0012】
さらに、この発明に係るレーザ装置は、レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上であるものである。
【0014】
また、半径 r が所定値 a 1 以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径 r が所定値 a 1 を超え、 a 1 より大きな値として設定されている所定値 a 2 以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であるものである。
【0018】
また、この発明に係るレーザ加工方法は、レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工するものである。
【0019】
また、この発明に係るレーザ加工方法は、レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工するものである。
【0020】
また、半径 r が所定値 a 1 以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径 r が所定値 a 1 を超え、 a 1 より大きな値として設定されている所定値 a 2 以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す概略図である。図1において、1はレーザ発振器、2はレーザ発振器から発生したレーザビーム、5はビーム強度分布変換光学素子としての非球面レンズ、3は非球面レンズ5に入射する前のレーザビーム強度分布、6はレーザビーム2の強度分布が非球面レンズ5の作用により設計強度分布に変換される位置(以後、ビーム強度分布形成位置という)、4はビーム強度分布形成位置6におけるビーム強度分布を示す。なお、3および4で示す強度分布は、中心軸を対称軸とする回転対称分布を有し、図に示した一次元の図形は、実際の強度分布を、回転対称軸を含む平面で切った際に現れる断面を示したものである。
【0026】
図1において、レーザ発振器1から発生したレーザビーム2は、非球面レンズ5へ入射し、ビーム強度分布形成位置6上で所望の強度分布に変換され利用される。ビーム強度分布形成位置6上に形成されるビーム強度分布は、周囲に強い強度を有する凹字状の分布であり、ビーム断面全体で強度分布が一様平坦なトップハット形状ではない。
【0027】
非球面レンズ5およびその動作機構について説明する。図2は、非球面レンズ5の動作機構を説明するために示した、非球面レンズ5入射前(位置Aとする)のビーム強度分布3と非球面レンズ通過後のビームが、目的とするビーム強度分布4が形成されるビーム強度分布形成位置6へ伝播する様子を示した図である。図2において非球面レンズ位置のビーム強度分布3をI1(r)、ビーム強度分布形成位置6のビーム強度分布4をI2(u)とする。r、uはそれぞれ、ビームの中心軸からの距離である。I1(r)、I2(u)は共通の中心軸cをもつ軸対象なビーム強度分布であり、非球面レンズへの入射ビームの位置Aにおける位相分布は平坦(コリメートビーム)と仮定する。計算例として、非球面レンズ入射前のビーム強度分布I1(r)(ガウス分布、I1(r)=exp(-2r2/w2))が、凹字状のビーム(I2(u)=I0, (0<u<a1)、I2(u)=I1, (a1<u<a2))へ変換される場合を考える。以下では、非球面レンズ5がビームに与える位相分布式を導出する。図2の矢印のように、ビームが位置rから位置u(r)へ伝播するとき、波面がビーム進行方向に対して直交していることから、非球面レンズ5透過後のビーム位相の変化率は、
【数1】
(1)
(k=2π/λ、zは位置Aとビーム強度分布形成位置6の間の距離)
で与えられる。
【0028】
今、非球面レンズ5とビーム強度分布形成位置6間を伝播中にビームが交差しない(raがuaへ移り、rbがubへ移る場合、ra<rbなら、必ずua<ub)と仮定すると、非球面レンズ5における中心から半径rまでのビーム強度の積分
【数2】
と、ビーム強度分布形成位置6における中心から半径u(r)までのビーム強度の積分
【数3】
の間には、
【数4】
(2)
の関係が成り立つ。レーザビーム断面内の全ビーム強度の和が強度変換前と強度変換後で等しいことから、
【数5】
から、
【数6】
(3)
が成り立つ。
【0029】
非球面レンズ5入射前の位置Aにおいて、中心からr1までの範囲のビームが、ビーム強度分布形成位置6における0<u<a1へ伝播し、位置Aのr1<rの範囲のビームがビーム強度分布形成位置6のa1<u<a2の範囲へ伝播すると仮定すると、
【数7】
(4)
の関係が成り立ち(4)よりr1が求まる。以下では、r>r1の範囲と、r<r1の範囲を分けて位相分布を導出する。
【0030】
(a)r<r1(I2(u(r))=I0,(u<a1))の範囲の位相分布
(2)より、
【数8】
【数9】
(5)
であり、(5)を(1)へ代入して両辺を積分すると、r<r1の位相分布は、
【数10】
(r<r1) (6)となる。
【0031】
(b)r>r1(I2(u(r))=I1,(a1<u<a2))の範囲の位相分布
(2)より、
【数11】
【数12】
であり、
【数13】
(7)
となる。
【0032】
(7)を(1)へ代入して両辺を積分すると、r>r1の位相分布は、
【数14】
(r>r1) (8)
となる。
【0033】
以上をまとめると、非球面レンズ透過後のビーム位相分布は、
【数15】
(r<r1) (6)
【数16】
(r>r1) (8)
で与えられる。ただし、ここで、r1は、
【数17】
(4)
で与えられる。
【0034】
(5)より求まるu(r1)と(7)より求まるu(r1)とが一致する。つまり、位相分布の傾きdΦ/drに不連続点がなく、位相分布Φに変曲点なく、図2に示したような強度分布を与えるような非球面レンズを形成できる。また、上記においては、所定位置のビーム強度分布を、ビーム断面内において、ビーム強度が中心からの距離に応じて、2段階に別れる場合に限って示したが、ビーム断面内をより多い領域に区切って設計することもできる。
【0035】
すなわち、レーザビーム光路上の所定の位置におけるレーザビーム強度分布I(r)が、
I(r)=f1(r)(r<a1)、I(r)=f2(r)(a2>r>a1>0)、・・・I(r)=fn(r)(an>r>an-1、n=2以上の自然数、f1(r)・・・fn(r)のうち2つ以上は異なる関数)
(9)
となるよう変換する非球面レンズを設計することができる。ここで、ビームの外周、すなわちanは、設計上はそれより外部にはビームが存在しないビーム半径で定義できる。しかし、後述のように、実際にはanより外側にも少しエネルギーが存在することが多いため、anは例えばビームの全エネルギーの90%以上が含まれるビーム半径と定義することが好ましい。
【0036】
非球面レンズを製作する際、レンズ形状に変曲点がなければ安価で精度の良い非球面レンズに加工ができる。上記に示したような非球面レンズは、位相分布に変曲点がないため安価で容易に製作が可能である。
【0037】
また、上記の実施例においては、凹字状のビームへの変換の例を示したが、変換された後のビーム強度分布形状は、図1や、図3の(a)に示した凹字状のビームに限るものではなく、図3(b)に示したビーム強度分布に曲面を含むものでもよいし、図3(c)に示したビーム強度分布に傾斜を含むものも形成可能である。また、図3(d)のような凸字形状のビームへの変換も可能である。すなわち、上記(9)式におけるfi(r)は様々な関数とすることができる。
【0038】
図2においては、ガウス分布型の強度分布から凹字を回転させた、ビーム周辺部が強度が強い分布への変換を例にとって説明したが、それ以外の強度分布、位相分布のビームを入射ビームとして用いた場合には、強度分布については、I1(r)を入射ビームに合わせて変えてやれば良く、入射ビーム強度分布はガウス分布に限るものではない。しかしながら、レーザ発振器の一般的な性質として、ガウス分布型の強度分布を持つレーザビームを出力させた場合に、ビーム断面全体で位相が一様なビームを発生し易い。加えて、入射ビームをガウス分布のビームとすることにより、より安定な、設計通りの分布が得やすい。また、図2においては、位相分布が一様平坦である場合について説明を示したが、位相分布が平坦でない場合は、非球面レンズ入射前のビーム位相分布を平坦に補正する位相分布を非球面レンズの設計に加えてやれば、上記の例と同じように所望のビーム強度分布を所定の位置で形成できるように非球面レンズを設計することができる。
【0039】
図4〜8に実際の計算例を示す。ここで、非球面レンズ入射ビームのパラメータは波長355nmで、図4に示すように位相分布が一様、強度分布はガウス分布
(I1(r)=exp(-2r2/w2)、w=3mm)
である。
【0040】
図5、6は内径0.3mm、外径0.5mmの円環状の強度分布を有するビームが非球面レンズの150mm先の位置に実現されるよう設計した場合の計算結果である。図5は上記に説明した方法で設計した非球面レンズ透過後のビーム強度分布と位相分布である。強度分布については図4と変化ないが、位相分布は非球面レンズの作用を受けている。図6は非球面レンズから150mm先に形成されたビームの強度と位相の計算結果である。リップルの他は、ほぼ、設計どおりの強度分布を与える計算結果となっている。
【0041】
図7に、半径0〜0.3mmの範囲での強度分布I0に対して、半径0.3〜0.5mmの範囲の強度I1が、I1=3I0、となり、半径0.5mm以上にはビームが存在しない凹字状の強度分布を有するビームが非球面レンズの150mm先の位置に実現されるよう設計した場合のビームの強度と位相の計算結果を示す。リップルの他は、ほぼ、設計どおりの強度分布を与える計算結果となっている。
【0042】
図8に、半径0〜0.3mmの範囲での強度分布I0に対して、半径0.3〜0.5mmの範囲の強度I1が、I0=3I1、となり、半径0.5mm以上にはビームが存在しない凸字状の強度分布を有するビームが非球面レンズの150mm先の位置に実現されるよう設計した場合の、ビームの強度と位相の計算結果を示す。リップルの他は、ほぼ、設計どおりの強度分布を与える計算結果となっている。
【0043】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2を示す概略図である。図9において、5はビーム強度分布を変換する機能をもつ非球面レンズ、7はマスク、4および4bはそれぞれマスク透過前とマスク透過後のビーム強度分布を模式的に示したものである。8はレンズであり、9は加工対象14上のビーム強度分布を模式的に示したものである。
【0044】
図9のように構成されたレーザ装置においては、レーザ発振器1から発生したレーザビーム2は非球面レンズ5によって、マスク7の位置に4のような強度分布を形成する。4の強度分布は、マスク7によって外周部が切り取られ、実際に使用されるビーム強度分布4bとなる。また、レンズ8によりマスク7の位置の強度分布はそのまま、加工対象14上へ集光転写される。もちろん単に転写、あるいは集光されるように設計することもできる。
【0045】
図9のように構成されたレーザ装置においては、ビームの形状を非球面レンズ5だけでなく、マスク7によっても制御している。そのため、非球面レンズによって整形されたビームの真円度をさらに高めることができる。また、マスク7位置のビーム形状、強度分布をそのまま、加工対象14上へ転写しているため、マスク入射前のビーム形状に関わらず、安定した形状のビームを加工対象上へ照射できる。また、レーザ発振器1からのビーム位相分布、強度分布が変化したことによって、4で示すマスク入射前の強度分布が変化した場合でもマスク7が存在することによって、実際に使用されるビーム強度分布4bのビーム強度分布、ビーム径を安定に保つことが可能である。ここで、ビームの強度分布形状は4で示したものに限るものではないのは言うまでもない。
【0046】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3を示す構成図である。図10において、10は位相補正素子、11は拡大縮小転写光学系、である。また、4cは位相補正素子10の位置でのビーム強度分布を、12、12aはそれぞれマスク7透過前、透過後のビーム強度分布を模式的に示したものである。
【0047】
図10のように構成されたレーザ装置においては、レーザビーム2は非球面レンズ5により、位相補正素子10の位置で4cのような強度分布を持つよう強度分布変換される。ビーム拡大縮小転写光学系11はいわゆるズームレンズのように転写倍率を可変できるものであり、位相補正素子10の位置で位相分布を実用に適した一様な位相分布に変換された後、ビーム拡大縮小転写光学系11によりマスク7上へ適当な大きさに転写される。転写されたビームはマスク7によりマスク通過前のビーム強度分布12からマスク透過後のビーム強度分布12aへと変換され、レンズ8により加工対象上に、9aに示したビーム強度分布へ集光転写される。
【0048】
図10のように構成されたレーザ装置においては、位相補正光学素子10を非球面レンズ5の後に配置したことによって、非球面レンズにより生じた位相の歪、乱れを含む位相分布を、一様な位相分布等の実用上に適した位相分布に変換することができるため、非球面レンズ透過後のビームの取扱いが容易である。なお、位相補正後の位相分布は、一様な位相分布に限るものではない。また、ビーム拡大縮小転写光学素子11を配置したことにより、ズームレンズのようにビーム径を変化させて、マスク7上にビーム径を変化させつつ、転写することができるため、マスク7のサイズを変える等により、ワーク上のビーム径をビーム強度分布の形状を変えることなく変化させることができる。
【0049】
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4を示す構成図である。図11において13はビーム径を変更する機能を持つズームレンズ等の光学素子である。また、4dは位相補正素子10の位置でのビーム強度分布を示す。
【0050】
図11のように構成されたレーザ装置においては、レーザビーム2はビーム径変更光学素子13を通過し適当なサイズに変更された後、非球面レンズ5に入射する。非球面レンズ5に入射したレーザビームは位相補正素子10上に、ビーム断面全面で平坦でないビーム強度分布を持つビームに変換され、ビーム拡大縮小転写光学素子11により、マスク7上に転写されるとともにビーム径を変更される。7上のビームはマスク通過前のビーム強度分布12bからマスク通過後のビーム強度分布12cへと、マスク7によって整形され、レンズ8によってマスク上へ9bで示すような強度分布で転写される。
【0051】
図11のように構成されたレーザ装置においては、非球面レンズ前にビーム径を制御するズームレンズ等のビーム径変更光学素子13を配置したことによって、非球面レンズ5に入射するレーザビームのビーム径を変化させることができる。一般にビーム強度分布を変換する機能をもつ非球面レンズは入射するビーム径が変化すると、形成するビーム強度分布が変化することが知られている。図11のように構成されたレーザ装置においては、レーザ発振器1から発生するビーム2のビーム径が安定しない場合等、ビーム2のビーム径が変化する場合に、ビーム径変更光学素子13によって5へ入射するビーム径を一定に制御することができ、実際に使用するビームの強度分布を安定化することができる。
【0052】
実施の形態5.
図12は本発明の実施の形態5を示す構成図である。この実施の形態は上記で説明した実施の形態1から4までのレーザ装置によるレーザビームで加工対象を加工する実施の形態である。図12において、14はスルーホール(貫通)穴明け加工される加工対象の加工された断面を示すもので、141は穴あけされ除去された部分を示す。99は実施の形態4までに説明したように、非球面レンズを通過して凹字状に強度分布を変換されたビームを、例えばレンズで加工対象14上に転写した場合のビーム強度分布を模式的に示したものである。
【0053】
レーザ加工は、レーザビームが照射された箇所が短い時間に蒸発、除去されることにより加工される。図13(a)はレーザビーム強度とレーザ加工速度の関係を模式的に示したものだが、図13(a)に示すように、レーザビーム強度がある一定値以上に達してレーザ加工速度が飽和する特性を示すまでは、レーザビーム照射密度が高いほど、加工速度は速くなる。また、図13(b)は加工対象に対するレーザビーム全照射エネルギーと加工穴のテーパー、穴の拡がりといった熱影響による加工品質の劣化の関係を模式的に示したものである。加工品質の軸は、上方が加工品質が良い、すなわち加工穴形状の劣化が少ないことを示す。全照射エネルギーが大きくなると、加工穴の形状の劣化が大きくなる。
【0054】
図12に示した穴あけ加工においては、ビームの強度分布を制御して加工に必要な加工穴周辺部分にレーザビーム強度が集中するようにしたため、従来のようにトップハット状の、ビームの中央部にもビーム周辺部と同じ強度を有する均一なビームで加工する場合に比較して、全エネルギーが同じ場合には、加工に要する時間を短くすることができる。また、同じ時間で加工する場合、従来に比べて、加工対象に照射されるレーザビームの全エネルギーを小さくすることができる。
【0055】
ここで、a2をビームの全エネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径、周辺部のa1<r<a2におけるビーム強度がI1で一定、および、中央部のr<a1におけるビーム強度がI2で一定、すなわち、(9)式において、n=2であり、f1(r)=I1、f2(r)=I2であって、I2>1.5*I1であるような凹字状の強度分布であれば上記効果が発揮できる。また、I2>3*I1であるような凹字状の強度分布であればより好ましい。以上の場合、3a1>a2であればより効果が発揮できる。
【0056】
さらに、ビーム強度が一定ではなくとも、周辺部(a1<r<a2)エネルギーと中央部(r<a1)エネルギーの比が、上記のように周辺部にエネルギーが集中した強度分布になるようにした場合、すなわち、ビームの半径a1の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるようにすれば同様に効果を良好に発揮できる。また、E1/E2<a1 2/(3*(a2 2-a1 2))となるようにすればより好ましい。これらの場合、r=a1近傍でビーム強度分布I(r)がrに依存して急激に変化していることが好ましい。さらに、3a1>a2であればより効果が発揮できる。
【0057】
また、周辺部のビーム強度の最大値を中央部のビーム強度の最大値の1.5倍以上、すなわち、(9)式において、n=2であり、f1(r)とf2(r)は、1.5*max(f1(r)(0<r<a1))<max(f2(r)(a2>r>a1>0))となる関数(maxは領域中の最大値を表す。)であっても同様に効果を発揮できる。この場合も、3a1>a2であればより効果が発揮できる。
【0058】
上記により、加工点での発熱量、加工時間を減らすことができ、テーパーの少ない加工、横壁のきれいな加工等の、高品質加工が高速にできる。また、図12は穴あけ加工を例にとって実施例を説明したが、加工用途として穴あけ加工に限るものでなく、レーザビーム断面内の加工に必要な部分のビーム強度を高く、それ以外の部分のビーム強度を低くして、高品質、高速の加工を行う目的で、その他の加工に用いてもよい。例えば、99のような形状のビームを走査することによって、高品質、高速の溝掘り加工や切断を行っても良い。
【0059】
図12においては、例として凹字型のビームを用いた場合を示したが、環状のビーム、すなわちビーム中央部にエネルギーがないビームを用いてもよい。すなわち、図3の(b)や(c)等のビーム強度分布をもつビームを用いてもよい。
【0060】
実施の形態6.
図14は本発明の実施の形態6を説明する図である。この実施の形態は本発明のレーザ装置によるレーザビームで加工対象を加工する他の実施の形態である。図14において、140は材質の異なる2層の部材141、142が積層された加工対象で、例えば積層プリント基板である。一般に、レーザ加工においては、材質ごとに、熱伝導率、レーザ光の吸収率、加工閾値(加工が開始するのに必要なビーム強度(ピークパワー密度、平均パワー密度、パルス光を用いた場合はパルスエネルギー密度))、エッチレート(パルスビームで加工を行った場合のレーザビーム1パルスあたりの材料除去深さ)が異なる。また、このようなパラメータはレーザ光の波長と加工材料の組み合わせに依存する。波長400nm以下の紫外光を用いた場合を例にとると、具体的には、加工されやすい材料としてはガラスエポキシ系材料、ポリイミド、エポキシ系材料等の樹脂が挙げられ、加工されにくい材料としては銅のような金属材料が挙げられる。
【0061】
レーザ加工が進みやすい材料(レーザビームの吸収率が高く、加工閾値が低く、エッチレートが高い材料)とレーザ加工が進みにくい材料(レーザビームの吸収率が低く、加工閾値が高く、エッチレートが低い材料)を組み合わせてスルーホールを形成する加工を行った場合には、レーザビームの強度分布を図14の9eに示したような凹字状のものとしたり、中央部にエネルギーがほとんど存在しない環状として制御性よく高品質で高速の加工を行うのが好ましい。
【0062】
図14において、901は、従来用いられていた非球面レンズを通過して形状をトップハット状に制御された加工対象140上のビーム強度分布を模式的に示したものである。この場合には図に示すようにレーザ加工が進みやすい材料141の部分で穴径が広がる等、加工品質の劣化が大きくなる。これに対し、本発明の、非球面レンズを通過して形状を9eで示す凹字状の強度分布にしたビームで加工した場合、図のように、レーザ加工が進みやすい材料141の部分の加工品質の劣化が小さい。
【0063】
レーザビームの強度分布を9eで示したような凹字状のものとしたり、環状とした場合に、高品質の加工が行える理由を以下に説明する。図15(a)は材料141、142への照射レーザビーム強度と加工速度の関係を模式的に示したものである。上述のように同じレーザビーム強度で比較すると、142より141の方が加工速度が速い。図15(b)は加工穴1個についてのレーザビーム全照射エネルギーと加工品質の関係を模式的に示したものである。加工品質の値が大きい、すなわち縦軸の上方ほど、テーパーや、穴の拡がり等の加工形状の熱影響による劣化が少ないことを示す。
【0064】
図で示すように、材料141も142もエネルギーが大きいビームで加工するほど、熱影響の大きい、加工形状の劣化の大きい加工となっており、同じレーザビーム照射エネルギーで比較した場合、材料141の方が加工されやすいため加工形状の劣化も大きい。加工速度の異なる材料を組み合わせて積層構造とした場合、従来用いられていた、強度分布をが一様平坦なトップハット状のビームやレーザ発振器から取り出したそのままの強度分布のビームを加工に用いると、材料142を加工する時間が長くかかるため、材料142を加工する間に、大きなエネルギーを照射し過ぎて141の加工品質の劣化が進んでしまい、所望の加工品質を得ることが難しい場合があった。また、材料142を加工する加工閾値に達するだけのエネルギーを持つレーザビームを照射すると、材料141が加工されすぎてしまい、加工穴が拡がる等の加工品質の劣化が起こる場合があった。このような場合、凹字状のビームを加工に用いると、材料142の加工にかかる時間を短縮することができるため、142を加工している間に起こる材料141での加工品質の劣化を小さいものとすることができる。このような加工の高速化、高品質化はビーム断面の周辺部の強度が高いビーム強度分布とすれば達成できる。従って、図3の(b)や(c)のような強度分布を用いても良い。
【0065】
実施の形態7.
図16は本発明の実施の形態7を説明する図である。図16は、数種類のビーム強度分布をもつビームを用いてスルーホール加工をした場合のビーム形状と加工穴を模式的に示したものであり、901は従来行われていた一様平坦な(トップハット)ビーム強度分布をもつビームを大きな径を持つ穴空けに適用した場合のビーム強度分布とそのビームによる加工穴を模式的に示したもの、9fは本発明による環状のビームを用いて加工を行った際のビーム強度分布と加工穴形状を模式的に示したもの、902は、従来行われていた、小さく集光したビームを円状に回転させてスルーホール加工を行った際のビーム強度分布と加工穴を模式的に示したものである。
【0066】
図16において、従来用いられていた901のようなビームを用いて加工を行った場合は、ビームの単位面積あたりの強度が足りないために、加工速度が遅くなったり、加工開始閾値に達しないために加工ができないことがあった。また、従来用いられていた902のようなビームを円状に回転させて加工を行った場合(トレパニング加工とも呼ばれる)においては、加工速度を一定以上に上げることができず、また、ビームと光学素子のアライメントが複雑で熟練を要し、レーザ装置のメンテナンス等で一旦装置の設定を変えると、再度、加工を開始するまで長い時間が必要とされ、生産性を大きく低下させていた。一方、本発明による9fのように中央部にエネルギーのない環状のビームを用いて加工を行うと、大口径の穴でもビーム周辺部の加工に必要な部分にだけ集中してビームが照射されるため、面倒なアライメントが必要なく、なおかつ速い加工速度が実現できる。また、加工閾値の高い加工対象に対しても加工を行うことが可能である。また、加工速度が上がるため、高品質な加工が可能である。
【0067】
実施の形態8.
図17は本発明の実施の形態8を示す概略図である。図において2はレーザ発振器より発生したレーザビーム、51はビーム強度分布変換光学素子であるホログラム素子、8、11はレンズ、14は加工対象である。図中、レンズ11の下に示すのは、ホログラム素子を出射したレーザビームの、レンズ11上でのビーム強度分布であり、その右横の図はA−A断面でのビーム強度分布である。
【0068】
レーザ発振器より発生したレーザビーム2はホログラム素子51を通過することにより分割されるとともに進行方向が変わる。この時、レンズ11上でビーム全体として図に示すような円環状のビームを形成するように、分割されたビームの進行方向が変わるようホログラムを設計しておくと、これまでの実施の形態で述べてきた、非球面レンズで得た中央部にエネルギーがほとんどない円環状の強度分布と同じようなビーム強度分布が得られることになる。このようにして形成された円環状のビームはレンズ11でコリメートされ、さらにレンズ8で加工対象上に集光される、あるいは集光転写される。従って、図12の99や、図14の9eで示すのと同様、周辺部の強度が強いビームとして加工対象上に照射され、加工対象を良質に加工することができる。また、ホログラム素子の場合、入射ビームの強度分布が歪んでいても、さらには、入射ビームの位置や角度が少しずれても、確実に周辺部の強度が強いビームが得られる。
【0069】
なお、図17においては、ホログラム素子によって分割されたビームがレンズ11上で一重の円環状に並ぶ場合について示したが、複数の円環状に並ぶように、すなわち円環全体の幅が広くなるようホログラムを設計してもよい。この場合、より安定な加工が行なえる。
【0070】
実施の形態9.
図18は本発明の実施の形態9を示す概略図である。ここでは、ビーム強度分布変換光学素子として、多数のマイクロレンズの集まりであるフライアイレンズ52を用いている。フライアイレンズ52によりフライアイレンズ52に入射するレーザビーム22を、レンズ11上での径方向のビーム強度分布が図中レンズ11の下に示すような、円環状の強度分布になるように変換する。すなわち、フライアイレンズ52は、入射したビームを各マイクロレンズが順次円環の位置に集光するようなマイクロレンズの組み合わせになっている。なお、フライアイレンズ52に入射するビームはガウス分布のビームでもよいが、ビーム径がフライアイレンズと同等の径を有するトップハット状の均一なビームが望ましい。レンズ11以降は実施の形態8と同様にして加工対象14上に集光照射されて、周辺強度が強いビームにより加工対象を良質に加工することができる。また、フライアイレンズの場合、入射ビームの位置が少しずれても確実に周辺強度が強いビームが得られるという効果もある。
【0071】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0072】
この発明に係るレーザ装置は、レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるようにしたので、加工に適したビーム強度分布を安価で単純な構成で提供できる。
【0077】
さらに、この発明に係るレーザ装置は、レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上であるので、安価で単純な構成で、レーザ発振器から発したレーザビームを光路上の所定の位置において、加工に適した、ビーム断面の周辺部にエネルギーが偏ったレーザビーム強度分布に変換できるものを提供できる。
【0078】
また、半径 r が所定値 a 1 以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径 r が所定値 a 1 を超え、 a 1 より大きな値として設定されている所定値 a 2 以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であるようにしたので、安価で単純な構成で、レーザ発振器から発したレーザビームを、光路上の所定の位置において、加工に適した、ビーム断面の周辺部にエネルギーが偏ったレーザビーム強度分布に変換できるものを提供できる。
【0082】
また、この発明に係るレーザ加工方法は、レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工するようにしたので、高品質で高速の加工を提供できる。
【0083】
また、この発明に係るレーザ加工方法は、レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工するようにしたので、高品質で高速の加工を提供できる。
【0084】
また、半径 r が所定値 a 1 以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径 r が所定値 a 1 を超え、 a 1 より大きな値として設定されている所定値 a 2 以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であるようにしたので、高品質で高速の加工を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるレーザ装置を示す概略図である。
【図2】 半発明の実施の形態1における非球面レンズの機能説明のための図である。
【図3】 本発明において形成可能なビーム形状の例を示した図である。
【図4】 本発明の実施の形態1のレーザ装置による、非球面レンズ入射前のビーム強度分布と位相分布の計算値を示したものである。
【図5】 本発明の実施の形態1のレーザ装置による、非球面レンズ通過直後のビーム強度分布と位相分布の計算値の一例を示したものである。
【図6】 本発明の実施の形態1のレーザ装置による、ビーム強度分布形成位置でのビーム強度分布と位相分布の計算値の一例を示したものである。
【図7】 本発明の実施の形態1のレーザ装置による、ビーム強度分布形成位置でのビーム強度分布と位相分布の計算値の他の一例を示したものである。
【図8】 本発明の実施の形態1のレーザ装置による、ビーム強度分布形成位置でのビーム強度分布と位相分布の計算値のさらに他の一例を示したものである。
【図9】 本発明の実施の形態2によるレーザ装置を示す概略図である。
【図10】 本発明の実施の形態3によるレーザ装置を示す概略図である。
【図11】 本発明の実施の形態4によるレーザ装置を示す概略図である。
【図12】 本発明の実施の形態5を説明する図である。
【図13】 図12の加工対象の加工状態を模式的に示した図である。
【図14】 本発明の実施の形態6を説明する図である。
【図15】 図14の加工対象の加工状態を示す図である。
【図16】 本発明の実施の形態7および従来のレーザ加工装置による加工を説明する図である。
【図17】 本発明の実施の形態8によるレーザ装置の要部を示す概略図である。
【図18】 本発明の実施の形態9によるレーザ装置の要部を示す概略図である。
【図19】 従来例のレーザ装置を示す概略図である。
【図20】 従来例のレーザ装置の動作を説明する図である。
【図21】 従来例の他のレーザ装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 レーザ発振器
2 レーザビーム
3 ビーム強度分布変換光学素子への入射ビーム強度分布
4、4a、4b、4c、4d ビーム強度分布形成位置でのビーム強度分布
5、55 ビーム強度分布変換光学素子としての非球面レンズ
51 ビーム強度分布変換光学素子としてのホログラム素子
52 ビーム強度分布変換光学素子としてのフライアイレンズ
6、6a ビーム強度分布形成位置
7 マスク
14、140 加工対象
Claims (6)
- レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となることを特徴とするレーザ装置。
- レーザビームを発生するレーザ発振器と、前記発生したレーザビームが入射する、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズとを備え、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布が、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上であることを特徴とするレーザ装置。
- 半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であることを特徴とする請求項2に記載のレーザ装置。
- レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの、全ビームエネルギーの90%のエネルギーが含まれる円の半径をa2として、半径a1(a1<a2)の円内に含まれるエネルギーをE1、半径a1の円から半径a2の円の間に含まれるエネルギーをE2とした場合、E1/E2<a1 2/(1.5*(a2 2-a1 2))となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工することを特徴とするレーザ加工方法。
- レーザ発振器から発生したレーザビームを、ビームの位相分布変換によりビーム強度分布を変換するビーム強度分布変換手段である非球面レンズに入射し、この非球面レンズからの出射レーザビームの強度分布を、当該出射レーザビーム光路上のビーム強度分布形成位置における前記出射レーザビームの光軸に垂直な面上で、前記光軸と前記垂直な面との交点を中心として回転対称であり、前記交点を中心としたときの半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値に対して、前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度の最大値が1.5倍以上となるように変換した後、当該変換後のレーザビームを照射して加工対象物を加工することを特徴とするレーザ加工方法。
- 半径rが所定値a1以下の領域内での前記出射レーザビーム強度、及び前記半径rが所定値a1を超え、a1より大きな値として設定されている所定値a2以下である領域内での前記出射レーザビーム強度が、各領域内において一定値であることを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工方法。
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