JP2010041754A - 電動機及びこの電動機が備える巻線押え部材の装着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 積層鉄心のスロット内に位置した回転子巻線の巻線層の表面と積層鉄心が有した磁極歯の張り出し部との間のスペースの大きさに拘らず、このスペースに適合させて巻線押え部材を配設できる電動機を提供する。
【解決手段】 回転子15の回転による遠心力で、回転子巻線22が巻き付けられた積層鉄心17のスロット17cから回転子巻線22が突出することを防止する巻線押え部材23を備えた電動機を前提とする。巻線押え部材23を弾性変形可能な絶縁材料とする。この巻線押え部材23を、弾性変形させた状態で、スロット17c内に位置された回転子巻線22の巻線層表面22aと、積層鉄心17が有した磁極歯17aの張り出し部17cとの間のスペースSに充填されるように配設したことを特徴としている。
【選択図】 図2
【解決手段】 回転子15の回転による遠心力で、回転子巻線22が巻き付けられた積層鉄心17のスロット17cから回転子巻線22が突出することを防止する巻線押え部材23を備えた電動機を前提とする。巻線押え部材23を弾性変形可能な絶縁材料とする。この巻線押え部材23を、弾性変形させた状態で、スロット17c内に位置された回転子巻線22の巻線層表面22aと、積層鉄心17が有した磁極歯17aの張り出し部17cとの間のスペースSに充填されるように配設したことを特徴としている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、回転子の回転による遠心力で、回転子巻線が巻き付けられた積層鉄心のスロットから回転子巻線が突出することを防止する巻線押え部材を備えた電動機に関するとともに、前記巻線押え部材を積層鉄心に装着する方法に関する。
従来、アーマチュアコアをなす積層鉄心にそのスロットを通って巻き付けられたアーマチュアコイル(回転子巻線)が、回転子の回転による遠心力で、回転子の周面に開放されたスロットの開口から突出することを防止するために、スロット内に楔(巻線押え部材)を挿入し、この楔によりアーマチュアコイルを外側から押える技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
楔は、絶縁性を有する繊維を固めてブロック化したもので、断面がほぼ四角形の角柱状に形成されている。この楔の幅はスロットの開口の幅より広い。それにより、積層鉄心のティース(磁極歯)がその先端に有したオーバーハング部(張り出し部)に楔が引掛かるので、回転子の回転による遠心力で楔がスロットの開口より突出することが防止されるようになっている。
特開2006−60980号公報(段落0002,0019,0020,0025,0026、図6−図7)
積層鉄心に巻き付けられる回転子巻線の線径の太さにより電動機の効率を変えることができることは知られている。つまり、電動機の効率は、太い回転子巻線を使用するほど向上され、この逆に細い回転子巻線を使用するほど低下する。そのため、積層鉄心を共通に使用した上で、これに巻き付けられる回転子巻線の太さを変更(巻線仕様の変更)することで効率が異なる電動機を製造できる。
この変更が行われた場合、積層鉄心のスロット内に位置した回転子巻線の巻線層の表面の位置が回転子巻線の線径に応じて異なるので、楔が挿入されるスペースの大きさが変化する。具体的には、楔が挿入されるスペースは、スロット内に位置した回転子巻線の巻線層表面と、スロットを相互間に形成した積層鉄心の隣接した磁極歯の張り出し部との間に形成される。このため、スペースの巻線層表面と磁極歯の張り出し部との間の距離が、回転子巻線の線径に応じて変更される。
巻線仕様が変更された場合に、特許文献1に記載された一定厚みの楔を前記スペースに挿入すると、このスペースに対して楔の厚みに過不足を生じることがある。
楔の厚みが前記スペースに対して薄過ぎる場合には、スペースに対する楔の保持力が低下する。このため、巻線処理及び楔の装着が完了した後、これらの保持性能を高めるワニス処理を実施するドリップ工程に至るまでの間の取扱いにおいて、スペースに挿入された楔が脱落することある。
この逆に、前記スペースに対して楔の厚みが厚過ぎる場合には、この楔をスロットが延びる方向に沿って前記スペースに挿入し難くなるとともに、巻線層表面が楔で強く擦られて傷付けられる可能性が高められて巻線間等での絶縁性が低下することがある。
こうした不具合についての対処としては、種々の厚みの楔を予め用意して置いて、その中から巻線仕様の変更に適合する楔を選択して使用することが考えられる。しかし、この場合には、在庫管理が複雑になるとともに、巻線仕様の変更に応じてそれに合った楔を選択使用するための工程変更が必要となり、したがって、コスト高となるので実際的ではない。
本発明の目的は、積層鉄心のスロット内に位置した回転子巻線の巻線層の表面と積層鉄心が有した磁極歯の張り出し部との間のスペースの大きさに拘らず、このスペースに適合させて巻線押え部材を配設できる電動機及びこの電動機が備える巻線押え部材の装着方法を提供することにある。
本発明は、回転子の回転による遠心力で、回転子巻線が巻き付けられた積層鉄心のスロットから回転子巻線が突出することを防止する巻線押え部材を、弾性変形可能な絶縁材料とし、スロット内に位置された回転子巻線の巻線層の表面と、積層鉄心が有した磁極歯の張り出し部との間のスペースに、前記巻線押え部材を、弾性変形させた状態で充填されるように配設したことを特徴としている。
本発明によれば、積層鉄心のスロット内に位置された回転子巻線の巻線層の表面と積層鉄心が有した磁極歯の張り出し部との間のスペースの大きさに拘らず、このスペースに適合させて巻線押え部材を配設できる。
図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1中符号1は図示しない電気掃除機の掃除機本体に内蔵されて吸塵用の送風動作を営む電動送風機を示している。この電動送風機1は、電動機フレーム2、固定子11、回転子15、一対のブラシ装置8、ファン31、ディフューザ34、及びファンカバー38等を備えている。電動機フレーム2、固定子11、回転子15、及び一対のブラシ装置8は、整流子電動機をなす電動機部Mを形成している。
金属製の電動機フレーム2は、フレーム本体3と、通気孔を有するフレーム端面板4を連結して形成されている。フレーム本体3は有底円筒状に形成され、その開口縁3aは、外側に折れ曲がって張り出していて、かつ、円環状をなしている。フレーム端面板4はフレーム本体3の開口を横切っていて、その両端部が開口縁3aにねじ止めされている。フレーム端面板4の長手方向中央部に形成された軸受支え部4aに軸受5が収容されている。フレーム本体3の端壁3bは、フレーム本体3の開口と反対側に位置していて、この端壁3bの中央部に軸受支え部3cが形成され、この軸受支え部3cに軸受6が収容されている。
固定子11は、平面的に見た外形形状が略四角な固定子鉄心と、これに巻き付けられた固定子巻線を有している。固定子11は、その四隅をフレーム本体3の円筒形周壁の内面に圧接させて電動機フレーム2内に固定されている。固定子鉄心の外面とこれに対向した前記円筒形周壁の内面との間にフレーム内風路12(図1に一つのみ図示する)が形成されている。このフレーム内風路12の下流側、つまり、固定子11と端壁3bとの間に位置して円筒形周壁に複数の排気孔13(図1に一つのみ図示する)が開けられている。
図1から図3に示すように回転子15は、回転子軸16と、電機子コアをなす積層鉄心17、一対の絶縁端板18,19と、整流子20と、複数のスロット絶縁部材21と、電機子巻線をなす複数本の回転子巻線22、複数の巻線押え部材23とを備えている。
積層鉄心17は、同一形状で同じ大きさの鉄心板を所定枚数積層するとともに結合して略円柱状に形成されている。積層鉄心17はその周方向に沿って一定間隔毎に磁極歯17aを有している。これら磁極歯17aの先端部に、この磁極歯17aの両側に一体に突出する張り出し部17bが設けられていて、それにより、各磁極歯17aは図4に示すように略T字状をなしている。
積層鉄心17は、その周面および積層方向両端に夫々開放されるとともに回転子15を軸方向に見た場合に略U字形状をなす複数のスロット17cを有している。これらスロット17cは、積層鉄心17の周方向に隣接する磁極歯17a間に形成されている。各磁極歯17a及び各スロット17cは積層鉄心17の中心に対して放射状に設けられている。積層鉄心17の周面に開放された各スロット17cの開放端は、磁極歯17aの張り出し部17bにより狭められている。それにより、回転子15の周面に開放されたスロット17cの開口の幅A(図4参照)が規定されている。
絶縁端板18,19は硬質合成樹脂等の絶縁材料製であり、積層鉄心17の両端に連続して配設されている。これらの絶縁端板18,19は、図2及び図3に示すように積層板部18a,19a、及びこれらの中央部に一体に突設された円筒形の軸部18b,19bとから形成されている。
積層板部18a,19aは積層鉄心17の端面に重なる部位である。これら積層板部18a,19aは、その周部に各スロット17cに連続する溝18c,19cを複数有している。溝18c,19cは、略U字形状をなし、その深さは各スロット17cの深さと同じであり、それにより、溝18c,19cの曲がった底面と各スロット17cの曲がった底面とは、回転子の15の半径方向(放射方向)に関して高さ位置に差がなく、回転子15の軸方向に面一に連続している。したがって、積層板部18a,19aは前記鉄心板と略同形状をなしている。尚、溝18c,19cを相互間に形成して積層板部の周部に形成された磁極歯重なり部は、前記張り出し部17bに重なる部位を有していないが、前記張り出し部17bに重なる部位を有してT字形状に形成されていてもよい。
回転子軸16は、積層鉄心17の中央部及びこの積層鉄心17の両端に連続して配設された絶縁端板18,19の軸部18b,19bに圧入され、これらを貫通して設けられていて、積層鉄心17及び絶縁端板18,19を支持している。
整流子20は回転子軸16の一端部に固定されている。この整流子20は、スロット17cと同数の整流子片20aを有している。
各スロット絶縁部材21は電気絶縁材料例えばポリエステル樹脂で形成されている。これらスロット絶縁部材21は、図4に示すように略U字形状に曲げられている。スロット絶縁部材21は、スロット17c及びその両端に夫々連続された溝18c,19cの内面を覆って各スロット17cの内側に配設されている。スロット絶縁部材21の開き側の縁21aは、図4に示すように磁極歯17aが有した張り出し部17bの根元に接触ないしは近接しており、それによって遠心力によるスロット絶縁部材21の放射方向への動きが妨げられるようになっている。
各回転子巻線22は、その両端を整流子20の整流子片20aに接続するとともに、これら両端部間を対応する位置のスロット絶縁部材21及び溝18c,19cの内側を通って積層鉄心17及び積層板部18a,19aに巻き付けられている。回転子巻線22と積層鉄心17との間の電気絶縁は、これら回転子巻線22と積層鉄心17との間に介在されたスロット絶縁部材21が担っている。
回転子巻線22は、スロット17c全体を埋めて巻き付けられておらず、スロット17c内に位置する巻線層の表面(以下巻線層表面と称する。)22aと、磁極歯17aが有した張り出し部17bの根元との間に所定の絶縁距離B(図4参照)、より具体的には沿面距離を確保して巻き付けられている。前記所定の絶縁距離Bは回転子巻線22に対する印加電圧に応じて設定されるものであって、例えば印加電圧が100Vである場合の絶縁距離Bは、0.8mm以上とすることが好ましく、印加電圧が200V〜240Vである場合の絶縁距離Bは、2.5mm以上とすることが好ましい。こうした絶縁距離Bの設定により、巻線層表面22aと張り出し部17bの根元との間を確実に電気絶縁することができる。
以上のように回転子巻線22が巻き付けられたことにより、巻線層表面22aと張り出し部17bとの間にはスペースS(図4に代表して一箇所のみ示す。)が設けられている。このスペースSは、回転子15の径方向に関して回転子15の周面に開放されたスロット17cの開口に連続しているとともに、回転子15の軸方向に関して積層鉄心17の両端に開放されている。更に、スペースSには、スロット絶縁部材21の縁21a側の部位が夫々臨んでいる。
各巻線押え部材23は図2及び図4に示すようにスロット17cの開口を間に置いて対向した張り出し部17bと巻線層表面22aとの間に配設されて、弾性変形された状態でスペースSの夫々に充填されるように設けられている。これら巻線押え部材23は、弾性変形が可能な絶縁材料、例えば絶縁性を有する繊維が混ぜられたゴムを硫化処理により固められたバルカナイズドファイバー(Vulcanized Fiber)で作られている。巻線押え部材23は、バルカナイズドファイバーをリボン状に形成した素材23a(図3参照)を用いて、この素材23aを例えば二つ折りして形成されている。
即ち、リボン状の素材23aの長さLは、少なくとも積層鉄心17の長さの整数倍、好ましくは積層鉄心17の長さとこの鉄心両端に重ねられた積層板部18a,19aの厚みの合計寸法の整数倍例えば2倍としてあるとともに、素材23aの幅はスロット17cの開口の幅Aより広い。
この素材23aを、その長手方向と直交する方向に延びる折り曲げ部23bを形成して折り曲げることによって、例えば重なり合うように相対向する第1の片部23cと第2の片部23dを有した巻線押え部材23が形成されている。この巻線押え部材23は、折り曲げ部23bを中心に弾性変形することができる。素材23aの厚みは前記絶縁距離Bの整数分の一、例えば二分の一としてある。これにより、巻線押え部材23の第1の片部23cと第2の片部23dが接触した状態でも、この巻線押え部材23によって最小の絶縁距離B例えば0.8mmを確保できるようになっている。
この巻線押え部材23は、巻線された積層鉄心17の一端側から他端に向けてスペースSにこれが延びる方向に沿って挿入することで、スペースSに配置されている。この場合、巻線された回転子巻線22の巻線層表面22aを均して平らにする工程を経た後に、スペースSに巻線押え部材23を挿入することが好ましい。更に、この挿入においては、折り曲げにより丸まっている折り曲げ部23bを先頭にしてスペースSに巻線押え部材23を挿入するとよい。こうすることは、スペースSに挿入される巻線押え部材23により巻線層表面22aが傷付けられないようにする上で、より好ましい。
巻線押え部材23がスペースSに挿入配置された状態は図2及び図4に示されていて、折り曲げ部23bでの弾性変形により、第1の片部23cが巻線層表面22aに弾性的に接しているとともに、第2の片部23dがスペースSに臨んだ一対の張り出し部17bに弾性的に接している。
以上のように一定厚みの巻線押え部材23が弾性変形された状態でスペースSに充填されるように挿入されているので、巻線仕様の変更によりスペースSの絶縁距離Bが変更された場合でも、この絶縁距離Bに応じて巻線押え部材23が弾性変形するので、スペースSに対して過不足がないように巻線押え部材23を配置できる。
即ち、巻線仕様の変更でスペースSの絶縁距離Bが広げられた場合、巻線押え部材23の折り曲げ部23bが、第1の片部23cと第2の片部23dとの間を広げるように弾性変形して、巻線層表面22aに対する第1の片部23cの弾性的接触と張り出し部17bに対する第2の片部23dの弾性的接触が保持される。このため、スペースSに対する巻線押え部材23の保持力が維持される。したがって、巻線処理及び巻線押え部材23の装着が完了した後、これらの保持性能を高めるワニス処理を実施するドリップ工程に至るまでの間の取扱いにおいて、スペースSに挿入された巻線押え部材23が脱落することを防止できる。
又、巻線仕様の変更でスペースSの絶縁距離Bが狭められた場合、巻線押え部材23の折り曲げ部23bが、第1の片部23cと第2の片部23dとの間を狭めるように弾性変形して、巻線層表面22aに対する第1の片部23cの弾性的接触と張り出し部17bに対する第2の片部23dの弾性的接触が夫々強められる。このため、スペースSに対する巻線押え部材23の保持力が維持される。しかも、絶縁距離Bが狭められたスペースSに巻線押え部材23が挿入される際、折り曲げ部23bでの弾性変形により第1の片部23cと第2の片部23dとの間が狭められるので、スペースSに巻線押え部材23を挿入し難くなることが抑制されとともに、それに伴い巻線層表面22aが巻線押え部材23に強く擦られて傷付けられることも抑制できる。
以上のように積層鉄心17のスロット17c内に位置した回転子巻線22の巻線層表面22aと積層鉄心17が有した磁極歯17aの張り出し部17bとの間のスペースSが、巻線仕様の変更に伴い変化されても、それに拘らず、厚み一定の巻線押え部材23をスペースSに過不足がないように適合させて配設できる。したがって、種々の厚みの巻線押え部材23を予め用意して置いて、その中から巻線仕様の変更に適合する巻線押え部材23を選択して使用する必要がなくなる。これにより、在庫管理が複雑になることがないとともに、巻線仕様の変更に応じてそれに合った巻線押え部材23を選択使用するための工程変更も必要がなくなる。したがって、コストが高くなることを伴うことなく巻線押え部材23を装着できる。
又、以上のように回転子軸16に、回転子巻線22が絶縁して巻かれた積層鉄心17、及び回転子巻線22の巻線端末が接続された整流子20が取付けられた回転子15は、その回転子軸16を軸受5,6に回転自在に支持させることによって、図1に示すように固定子11の内側を貫通して電動機フレーム2に取付けられている。この取付けによって、整流子20が、積層鉄心17と軸受6との間に配設される。これとともに、回転子軸16は軸受5及び軸受支え部4aを貫通して電動機フレーム2の外部に突出されている。
前記一対のブラシ装置8は、図1に示すようにフレーム本体3に対して電気絶縁されて取付けられていて、フレーム本体3を半径方向に貫通して設けられている。これらのブラシ装置8が有したカーボンブラシ8aはコイルばね8bによって整流子20に押付けられている。
前記ファン31、ディフューザ34、及びファンカバー38はファン部Fを形成している。
詳しくは、図1に示すようにファン31は、回転子軸16の電動機フレーム2外に突出された軸端部に、これに螺合されたナットにより固定されている。ファン31は、その前面シュラウドの中央部に吸気口31aを有し、かつ、周面に吐出し口31bを有した遠心型のものである。吐出し口31bから吐出された気流を静圧化して電動機フレーム2のフレーム内風路12に案内するディフューザ34は、ファン31と電動機フレーム2との間に配置されていて、フレーム端面板4及びフレーム本体3の開口縁3aにねじ止めされている。ファンカバー38はその周部を電動機フレーム2の開口縁3aに嵌合して取付けられていてディフューザ34の周部及びファン31を覆っている。ファンカバー38はその中央部に吸気口31aに対向する吸込み口38aを有している。
前記構成の電動送風機1は、その電動機部Mへの通電により、回転子15とともにファン31を高速で回転させることができる。それにより、気流が、吸込み口38a、ファン31、ディフューザ34、フレーム内風路12、及び排気孔13を、この記載順に流通して、電気掃除機の吸塵用の送風動作が営まれる。
電動機部Mへの通電により、回転子15が高速で回転されるに伴い回転子巻線22には遠心力が作用する。回転子巻線22はワニス処理されているが、これだけで前記遠心力に耐えて回転子巻線22がスロット17cの開口外に突出しようとすることを完全に防止することは困難である。しかし、既述のように各スロット17cの夫々には巻線押え部材23が収容されていて、これらの巻線押え部材23は、磁極歯17aが有した張り出し部17bにスロット17c側から引っ掛かって支持されている。そのため、遠心力により回転子巻線22がスロット17cの開口外に突出することを、巻線押え部材23をストッパとして確実に防止できる。したがって、電動機部Mは高速で回転するのに適している。
図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ構成には第1実施形態の該当構成と同一符号を付してその説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、スペースSに充填されるように配設された巻線押え部材の構成である。
即ち、第2実施形態では、巻線押え部材23が複数個所例えばニ箇所に折り曲げ部23bを有していて、巻線押え部材23はその素材23a(図3参照)を三つ折りして形成されている。そのため、素材23aには、その展開状態での長さLが、積層鉄心17の長さと積層板部18a,19aの厚みの合計寸法の3倍の長さであり、又、厚みが絶縁距離B(図4参照)の三分の一である素材23aが使用されている。そして、三つ折りされた巻線押え部材23は第1の片部23cと第2の片部23d間に第3の片部23eを有している。この第3の片部23eの一端は張り出し部17cに接した第1の片部23cに一方の折り曲げ部23bを介して連続し、第3の片部23eの他端は巻線層表面22aに接した第2の片部23dに他方の折り曲げ部23bを介して連続している。以上説明した点以外の構成は図5に図示されない構成を含めて第1実施形態と同じである。
したがって、この第2実施形態においても第1実施形態で既に説明した理由により本発明の課題を達成できる。即ち、積層鉄心17のスロット17c内に位置した回転子巻線22の巻線層表面22aと積層鉄心17が有した磁極歯17aの張り出し部17cとの間のスペースSの大きさに拘らず、このスペースSに適合させて巻線押え部材23を配設できる。
しかも、第2実施形態では、三つ折りされた巻線押え部材23の両端に弾性変形が可能な折り曲げ部23bが夫々設けられているとともに、これらの間に第3の片部23eが斜めに配設されることで、第1の片部23cが巻線層表面22aに面接触し易いとともに、第2の片部23dが張り出し部17cに面接触し易い利点がある。
なお、巻線押え部材23として、折り曲げ部が2箇所ではなく3箇所以上の折り曲げ部23bを設けて形成されたものを使用することも可能である。更に、同じ厚みの素材を用いて折り曲げられる巻線押え部材23であって、この巻線押え部材23がスペースSの大きさに適合するようにその折り曲げ部23bの数を選定して折り曲げられた巻線押え部材23を使用することも可能である。
図6を参照して本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ構成には第1実施形態の該当構成と同一符号を付してその説明を省略する。第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、スペースSに充填されるように配設された巻線押え部材の構成である。
即ち、巻線押え部材23はその厚み方向に弾性変形ができるように形成されている。この第3実施形態では、ベース部23fと弾性変形部23gとで巻線押え部材23が作られている。ベース部23fは、バルカナイズドファイバーや硬質合成樹脂等からなり、弾性変形部23gより薄い。弾性変形部23gは、スポンジのように弾性変形をすることができる電気絶縁性の発泡体からなり、ベース部23fに接着されている。弾性変形部23gはその厚み方向に弾性変形することができ、これが最大に圧縮された場合にも、その厚みとベース部23fの厚みとにより、最小限必要とされるスペースSの絶縁距離B(図4参照)が確保されるようになっている。
巻線押え部材23は、弾性変形部23gを圧縮させながらスペースSに挿入して配置される。この挿入を容易にするために、図6に示したように巻線押え部材23の長手方向の少なくも挿入先頭側の端を斜面にすることが好ましい。なお、図6中符号Fは自由状態での巻線押え部材23の厚み、符号GはスペースSに装着された状態での巻線押え部材23の厚みを夫々示しており、F>Gの関係にある。
この第3実施形態においても、巻線仕様の変更で、積層鉄心17のスロット17c内に位置した回転子巻線22の巻線層表面22aと積層鉄心17が有した磁極歯17aの張り出し部17cとの間のスペースSの大きさが変わった場合でも、そのスペースSの大きさに拘らず、このスペースSに適合させて巻線押え部材23を配設できる。なお、巻線押え部材23は弾性変形が困難で磁極歯17aが有した張り出し部17cに支持されるベース部23fを有しているので、この巻線押え部材23をストッパとして、遠心力により回転子巻線22がスロット17cの開口外に突出することを確実に防止できる。
なお、本発明は電動送風機陽の電動機部としての実施に制約されるものではなく、電動機単体として実施できる。
M…電動機部(整流子電動機)、11…固定子、15…回転子、17…積層鉄心、17a…磁極歯、17b…張り出し部、17c…スロット、21…スロット絶縁部材、22…回転子巻線、22a…巻線層表面、23…巻線押え部材、23a…素材、23b…折り曲げ部、S…スペース
Claims (3)
- 固定子の内側に配設される回転子が、先端部両側に張り出し部を有してT字形状をなした複数の磁極歯、及び隣接した前記磁極歯間に形成されて前記回転子の周面に開口されたスロットを複数有する積層鉄心と、この鉄心に前記スロットの内面を覆って取付けられた複数のスロット絶縁部材と、この絶縁部材の内側を通って前記積層鉄心に巻き付けられた回転子巻線と、この回転子巻線の前記スロット内に位置する巻線層の表面と前記張り出し部との間のスペースに配設された巻線押え部材とを備える電動機において、
前記巻線押え部材が弾性変形可能な絶縁材料からなり、この巻線押え部材が弾性変形された状態で前記スペースに充填されるように配設されていることを特徴とする電動機。 - 前記巻線押え部材が、前記スロットの開口の幅より広い幅を有したリボン状の素材をこの素材の長手方向と直交する方向に延びる折り曲げ部を形成して折り曲げられていて、前記折り曲げ部での弾性変形により前記巻線押え部材が、前記張り出し部と前記巻線層表面とに弾性的に接して前記スペースに配設されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
- 固定子の内側に配設される回転子が、先端部両側に張り出し部を有してT字形状をなした複数の磁極歯、及び隣接した前記磁極歯間に形成されて前記回転子の周面に開口されたスロットを複数有する積層鉄心と、この鉄心に前記スロットの内面を覆って取付けられた複数のスロット絶縁部材と、この絶縁部材の内側を通って前記積層鉄心に巻き付けられた回転子巻線と、この回転子巻線の前記スロット内に位置する巻線層の表面と前記張り出し部との間のスペースに配設された巻線押え部材とを備える電動機であって、
前記巻線押え部材を弾性変形可能な絶縁材料製とし、この巻線押え部材の弾性変形を伴って前記積層鉄心の一端側から他端に向けて前記スペースに前記巻線押え部材を挿入することにより、この巻線押え部材を弾性変形させた状態で前記スペースに充填されるように装着することを特徴とする巻線押え部材の装着方法。
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JP2008198701A JP2010041754A (ja) | 2008-07-31 | 2008-07-31 | 電動機及びこの電動機が備える巻線押え部材の装着方法 |
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---|---|---|---|---|
CN102107356A (zh) * | 2011-01-21 | 2011-06-29 | 株洲高新技术产业开发区壹星科技有限公司 | 一种永磁半直驱风力发电机转子磁极盒装配方法及工装 |
DE102011000949A1 (de) | 2010-02-26 | 2011-12-15 | Denso Corporation | Steuervorrichtung für eine drehende elektrische Maschine |
WO2014024023A2 (en) | 2012-08-07 | 2014-02-13 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Rotor of rotary electric machine |
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2008
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