JP2010041270A - 無線機、通信システムおよび通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが異なる場合にも同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが等しい場合と同様な伝送制御方法を実施することができる無線機を得ること。
【解決手段】複数のアンテナを備える無線機であって、送信信号にアンテナごとの所定のウエイトを乗じたウエイト乗算後信号を対応するアンテナに出力する信号送信処理手段(スイッチ12,送信増幅器13,信号送信部14,送信制御部15)を備え、1本以上のアンテナからウエイト乗算後信号を送信してから所定の時間間隔が経過した後に、前記信号送信済みのアンテナ以外のアンテナを含むアンテナから、ウエイト乗算後信号を送信する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信において複数アンテナを用いて信号を送信する無線機、通信システムおよび通信方法に関する。
近年、高速無線通信への需要は高く、高速な無線通信伝送技術が必要とされている。そのため、最近では送受信機が複数アンテナを用いて高速信号伝送を行うMIMO(Multi Input Multi Output)技術が広く研究されている。
たとえば、下記非特許文献1には、無線送受信機がそれぞれ複数アンテナを備えるMIMOチャネル環境では、一方の無線機Aが送信ビームを形成して信号を送信し、他方の無線機Bが、受信した信号の応答ベクトルを用いて送信ビームのウエイトを決定することにより、高効率な信号伝送制御を行う技術が開示されている。
下記非特許文献1に記載の技術では、無線機Aが複数アンテナを用いて送信ビームを形成して信号送信する。そして、他方の無線機Bがその応答ベクトルを測定し、その応答ベクトルを用いて送信ビームのウエイトを決定する。このように、無線機Aと無線機Bの間で適切な送信ビーム形成を行うようにすれば、システム制御を効率化することができる。
また、複数アンテナを備えた無線機であっても、送信回路および送信増幅器を一式しか備えない構成もある。一般に、受信増幅器に対して送信増幅器は高価である場合が多い。このため、受信回路は複数アンテナと同数または一部であっても多数備える一方、送信回路または送信増幅器を複数アンテナのうちの一部(たとえば1つ)のみに備える無線機は多く存在する。たとえば、送信回路または送信増幅器を1つしか備えない場合に、複数アンテナの中から1アンテナを選択して信号を送信する技術が、たとえば、下記特許文献1および特許文献2で開示されている。
これらの文献に記載の技術では、複数アンテナの中から送信に適した1アンテナを選択して信号送信を行う。しかし、単一アンテナから信号を送信するため送信ビーム形成は行えない。
特開2005−323203号公報 国際公開第2005/083907号パンフレット 原,平,関口,"複数の送受信ビーム形成を用いるMIMOシステムのウエイト制御法",IEICE Trans. on Commun..,vol.J86-B,no.12,pp.2460-2474,Dec. 2003.
しかしながら、上記従来の技術によれば、無線機が複数アンテナから同時に信号送信できる場合に送信ビーム形成を行うことができる。そのため、1アンテナからしか信号を送信できない場合には、送信ビーム形成を利用できず、その結果、送信ビームを用いたシステム制御が困難になる、という問題があった。
特に、無線機が送信ビームを用いてパイロット信号を送信し、他方の無線機がその受信応答を用いて送信ビーム制御を行う場合には、送信ビームを用いたパイロット信号の送信が重要となる。しかし、1アンテナからしか送信できない無線機では、このような制御が困難となる。
また、同時受信可能なアンテナ数Xと同時送信可能なアンテナ数Yとは無線機によってさまざまな値となる。このようにさまざまなXおよびYの値に対して、それぞれ制御方法を規定してそれを実行できるようにすると、システム構成が複雑となる。従って、Y<同時Xの場合にも、Y=Xの場合と同様なシステム制御方法により伝送制御を行うことができる構成が望ましい。しかし、従来技術ではY<Xの場合にY=Xの場合と異なる制御方法により送信ビーム形成を行っている、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが異なる場合にも同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが等しい場合と同様な伝送制御方法を実施することができる無線機、通信システムおよび通信方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数のアンテナを備える無線機であって、送信信号にアンテナごとの所定のウエイトを乗じたウエイト乗算後信号を、対応するアンテナに出力する信号送信処理手段、を備え、前記信号送信処理手段は、1本以上のアンテナから前記ウエイト乗算後信号を送信してから所定の時間間隔が経過した後に、前記ウエイト乗算後信号を送信済みのアンテナ以外のアンテナを含む1本以上のアンテナから、前記ウエイト乗算後信号を送信することを特徴とする。
この発明によれば、実際に同時使用可能なアンテナ数より多い数のアンテナを用いて送信ビームを形成した仮想的な状態を想定し、その状態のウエイトを同様となるよう、各信号にウエイトを乗算して各アンテナからそれぞれ異なる時刻で信号を送信するようにしたので、同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが異なる場合にも同時受信可能なアンテナ数と同時送信可能なアンテナ数とが等しい場合と同様な伝送制御方法を実施することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる無線機、通信システムおよび通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる無線機1の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の無線機1は、アンテナ11−1,11−2と、スイッチ12と、送信増幅器13と、信号送信部14と、送信制御部15と、を備えている。また、送信制御部15は、送信信号に乗じるウエイトを算出するウエイト制御部16を備えている。無線機1は、無線機2と無線通信を行っていることとし、本実施の形態では、無線機1が送信側の装置として動作し、無線機2が受信側の装置として動作する場合について説明する。
本実施の形態の送信制御部15は送信に用いるアンテナの切り替え指示を行うなどの送信制御を行う。また、信号送信部14は、送信信号を生成して、後述のように送信制御部15のウエイト制御部16が算出したウエイトを送信信号に乗じたのちに信号増幅器13に出力する。信号増幅器13は出力された送信信号を増幅してスイッチ2経由でアンテナ11−1またはアンテナ11−2に出力する。本実施の形態の送信増幅器13と信号送信部14と送信制御部15で一式の信号送信処理部を構成すると考えることができ、無線機1のスイッチ12は、この信号送信処理部と接続するアンテナをアンテナ11−1とアンテナ11−2との間で切り替えるスイッチである。
本実施の形態では、アンテナを2本備えるが、送信増幅器13と信号送信部14は、一式しか備えていないため、ある時刻に同時送信可能なアンテナ数は1である。なお、アンテナの数および送信増幅器13と信号送信部14の数は、これに限らず、同時送信可能なアンテナ数Yが無線機1の備える全アンテナ数Zより少なければ、YおよびZはどのような数であってもよい。
図2,図3は、本実施の形態の制御信号の交信の手順を示すチャート図である。図2は、無線機1が信号送信に用いるアンテナの識別番号であるアンテナ番号を無線機1が決定して通知する手順の例を示し、図3は、無線機1が信号送信に用いるアンテナの識別番号であるアンテナ番号を、無線機2が決定して無線機1に通知する手順の例を示している。無線機1と無線機2の間でアンテナ番号を認識しあうことができれば、どちらの手順を採用してもよい。
まず、図2に示す手順について説明する。無線機1は、自機が時刻t1およびt2で信号送信に用いるアンテナ番号を無線機2に通知する(ステップS11)。つぎに、無線機1は、時刻t1で、ステップS11で通知した、時刻t1のアンテナ番号に対応するアンテナを用いてウエイト制御部16が算出したウエイトを乗じた信号を送信する(ステップS12)。具体的には、無線機1の送信制御部16が、図示しない受信機能部を用いて受信した通知を受け取り、その通知に基づいてアンテナ番号に対応するアンテナと送信増幅部15とを接続するようスイッチ12に対して指示を行い、スイッチ12によるアンテナ切り替えが完了したのちに、ウエイト制御部16で算出されたウエイトを乗じた信号を送信する。そして、無線機1は、時刻t2で、ステップS11で通知した、時刻t2のアンテナ番号に対応するアンテナを用いてウエイトを乗じた信号を送信する(ステップS13)。なお、信号に乗じるウエイトは、適用する制御方法に基づいて適切に決定されることとする。
つぎに、図3に示す手順について説明する。無線機2は、無線機1が時刻t1およびt2で信号送信に用いるアンテナ番号を指定する(ステップS21)。つぎに、無線機1は、時刻t1で、ステップS21で指定された、時刻t1のアンテナ番号に対応するアンテナを用いてウエイトを乗じた信号を送信する(ステップS22)。そして、無線機1は、時刻t2で、ステップS21で指定された、時刻t2のアンテナ番号に対応するアンテナを用いてウエイトを乗じた信号を送信する(ステップS23)。
図4は、本実施の形態で無線機1が送信する信号と対応アンテナの関係を示す図である。図4に示すように、無線機1は、時刻t1では、ウエイトv1を乗じた信号をアンテナ11−1から送信し、時刻t2では、ウエイトv2を乗じた信号をアンテナ11−2から送信する。なお、時刻t1とt2は異なる時刻とする。また、ウエイトv1、v2は適用する制御に応じてさまざまな値として決定される値で、後述のようにアンテナ11−1,11−2から信号を同時送信した仮想的な場合に送信ビーム20を形成した場合のウエイトと等しい値とする。このとき、無線機2で、時刻t1で受信される受信信号R1(p),t2で受信される受信信号R2(p)はそれぞれ以下の式(1)で表される。
R1(p)=h1・v1・s(p)+z1(p)
R2(p)=h2・v2・s(p)+z2(p) …(1)
ここで、s(p)は送信信号とし、それぞれ時刻t1,t2でのp番目の受信シンボルとし、h1,h2はそれぞれ送信アンテナ11−1,11−2からの複素伝搬利得とし、z1(p),z2(p)は、それぞれ時刻t1、t2の無線機2での雑音成分を示すこととする。
図5は、無線機2が無線機1からの信号を受信する際の受信処理方法を説明するための図である。図5に示すように、無線機2は、時刻t1での受信信号R1(p)と時刻t2での受信信号R2(p)を合成する。このとき、合成信号(R1(p)+R2(p))は以下の式(2)で表される。
R1(p)+R2(p)
=(h1・v1+h2・v2)s(p)+{z1(p)+z2(p)}
=vThs(p)+{z1(p)+z2(p)}
h=[h1 h2]T
v=「v1 v2」T …(2)
ここで、h,vはベクトルであり、Tは転置を表す。合成信号の成分のうち、vThs(p)は無線機1が送信信号s(p)にウエイトv1,v2をそれぞれ乗じて乗じた結果をそれぞれ2アンテナから同時に送信する(すなわち、送信ビーム形成を行う)仮想的な状態で無線機2が受信する受信信号に等しい。従って、本実施の形態では、無線機2は、図4の右側に示した図のように、無線機1が、時刻t(tは任意)で、2アンテナで送信ビーム20の形成を行った仮想的な場合と同等の環境を得ることができる。なお、ここでは、2つの時刻t1,t2での信号送信について説明したが、信号送信の時刻を増やせば、無線機1の備えるアンテナ数Zが3以上の場合にも同じ原理を適用できる。その結果、Y<Zの場合にも、Y=Zの場合と同様の制御を行うことが可能となる。その結果、Yの値に関わらず統一的なシステム制御を行うことが可能となる。
同様に、Y<Xの場合にも、Y=Xの場合と等価な制御が可能となる。その結果、統一的なシステム制御を行うことが可能となる。
以上をまとめると、本実施の形態では、無線機1が時刻ごとにアンテナを変更して信号s(p)にウエイトを乗じて送信し、無線機2が異なる時刻での受信信号を合成する。その結果、無線機2は、仮想的に送信ビーム形成を行った場合と同等の信号を求めることができる。
なお、ウエイトは通常複素数として表記され、振幅成分と位相成分を含む。従って、「ウエイトを乗じる」とは、振幅調整または位相調整を行うことと等価である。なお、ウエイト乗算に際して、ある1つのアンテナでのウエイトをv1=1とし、他のアンテナのウエイトをv1に対する相対的なウエイトとしても構わない。
また、上述の説明ではアンテナ11−1とアンテナ11−2から同じ信号s(p)を送信するようにしたが、アンテナ11−1とアンテナ11−2からそれぞれパターンの異なる既知信号s1(p),s2(p)を送信するようにしてもよい。この場合、図2または図3で説明した制御信号の交信の手順と同様に、無線機1または無線機2が時刻t1,t2での信号送信に用いる既知信号のパターンを決定し、それぞれ他方に通知する。
無線機1が時刻t1に既知信号s1(p)を送信し、時刻t2に既知信号s2(p)を送信する場合、受信信号R1(p),R2(p)はそれぞれ以下の式(3)で表される。
R1(p)=h1・v1・s1(p)+z1(p)
R2(p)=h2・v2・s2(p)+z2(p) …(3)
このとき、無線機2は、既知信号s1(p),s2(p)を用いて以下の式(4)で示す合成信号を生成することができる。
R1(p)s1(p)*+R2(p)s2(p)*
=(h1・v1+h2・v2)+{z1(p)s1(p)*+z2(p)s2(p)*
=vTh+{z1(p)s1(p)*+z2(p)s2(p)*} …(4)
ここで、*は複素共役を表す。この合成信号は、雑音成分を除くと、仮想的に無線機1がウエイトv1,v2に基づいた送信ビームを用いて信号送信した場合に無線機2で得られる受信信号の応答係数に等しい。なお、ここでは、無線機2が1アンテナを備える場合について説明したが、無線機2が複数アンテナを備える場合には、無線機1が同様にして信号の応答ベクトルを取得できる。
このように、本実施の形態では、無線機1が、実際に同時使用可能なアンテナ数より多い数のアンテナを用いて送信ビームを形成した仮想的な状態を想定し、その状態のウエイトを同様となるよう、各信号にウエイトを乗算して各アンテナからそれぞれ異なる時刻で信号を送信する。その結果、無線機2はその仮想的な状態の送信ビームに対する応答ベクトルを求めることができる。この応答ベクトルを用いると、無線機1は送信ビームを用いて制御信号を送信したり、送信ビームを用いてデータを送信したりする伝送制御に対応することが可能となる。このように、本実施の形態を用いると、無線機の利用可能な送信アンテナ数に制約のある環境で、制約された数より多くのアンテナを用いてビーム形成を行った場合と等価な状態を構築でき、同時送信できるアンテナの数に制約の無い場合と同様の制御方法を適用することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる無線機の実施の形態2のアンテナの使用例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態の無線機1aは、実施の形態1と同様の構成を有する。ただし、実施の形態1では、無線機1は、アンテナが2本かつ送信増幅器が1つである場合について説明したが、本実施の形態では、無線機1aが、アンテナを3本(アンテナ11−1〜11−3)備え、送信増幅器を2つ(送信増幅器13−1,13−2)備える場合(同時送信可能なアンテナの数Yが2の場合)について説明する。無線機2の構成については、実施の形態1と同様である。
まず、図6に示すように無線機1はある時刻t1で、ウエイトv1を乗じた信号をアンテナ11−1から送信し、同時にウエイトv2を乗じた信号をアンテナ11−2から送信する。送信ビーム21が生成されることになる。また、時刻t2(≠t1)ではアンテナ11−3からウエイトv3を乗じた信号を送信する。このとき、無線機2が、時刻t1で受信する受信信号R1(p),t2で受信する受信信号R2(p)は、それぞれ以下の式(5)で表される。
R1(p)=h1・v1・s(p)+h2・v2・s(p)+z1(p)
R2(p)=h3・v3・s(p)+z2(p) …(5)
ここで、h1,h2,h3は、それぞれ無線機1のアンテナ11−1,11−2,11−3と無線機2とのアンテナの間の複素伝搬利得係数を示す。無線機2では、以下の式(6)に示すように合成信号を得ることができる。
R1(p)+R2(p)
=(h1・v1+h2・v2+h3・v3)s(p)+{z1(p)+z2(p)}
=vThs(p)+{z1(p)+z2(p)}
h=[h1 h2 h3]T
v=[v1 v2 v3]T …(6)
このように、Y=2の場合に、無線機1が3アンテナを用いて送信ビーム22を形成(ウエイトを乗じて同時送信)した場合と同等の環境を得ることができる。
また、一部のアンテナが、時刻t1、t2の両方で信号送信を行う場合にも同様に合成信号を得ることができる。図7は、時刻t1、t2の両方で信号送信を行うアンテナ含む場合のアンテナの使用例を示す図である。図7の例では、無線機1aは、ある時刻t1でウエイトv1を乗じた信号をアンテナ11−1から送信し、同時にウエイト0.5×v2を乗じた信号をアンテナ11−2から送信する(送信ビーム21aが形成される)。また、時刻t2(≠t1)ではウエイト0.5×v2を乗じた信号をアンテナ11−2から送信し、ウエイトv3を乗じた信号をアンテナ11−3から送信する(送信ビーム21bが形成される)。
このとき、無線機2が、時刻t1で受信する受信信号R1(p),t2で受信する受信信号R2(p)は、それぞれ以下の式(7)で表される。
R1(p)=h1・v1・s(p)+0.5・h2・v2・s(p)+z1(p)
R2(p)=0.5・h2・v2・s(p)+h3・v3・s(p)+z2(p)
…(7)
そして、無線機2では、以下の式(8)で示すように送信ビーム22に対応する合成信号を得ることができる。
R1(p)+R2(p)
=(h1・v1+(0.5+0.5)h2・v2+h3・v3)s(p)
+{z1(p)+z2(p)}
=vThs(p)+{z1(p)+z2(p)} …(8)
従って、図7に示すように、1つのアンテナ(アンテナ11−2)が時刻t1,t2の両方で信号を送信する場合にも、ウエイトの1/2ずつを乗じて信号を送信するようにすれば、無線機2では図6と同じ合成信号を得ることができる。また、t1,t2でアンテナ11−2に乗じるウエイトは、1/2ずつに限らず、時刻t1,t2に対応するウエイトを加算した値が図6のウエイトと同一となるようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、同時利用可能なアンテナ数が2の場合に、無線機1が備えるすべてのアンテナを用いて送信ビームを送信した場合と同等の仮想状態を構築できるようにウエイトを乗じて信号の送信を行うようにした。このため、無線機2では、無線機1がすべてのアンテナを用いて送信ビームを生成して送信した場合と同等の合成信号を得ることができる。このため、同時利用可能なアンテナ数が2の場合も実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態1および実施の形態2で示した原理に基づけば、無線機1の同時利用アンテナ数Yが3以上の場合にも、Y<Zより少ない場合に、本発明の仮想送信ビームを同様に適用することができる。
実施の形態3.
図8は、本発明にかかる無線機の実施の形態3のアンテナの使用例を示す図である。本実施の形態の無線機1bは、実施の形態1の信号送信部14を信号送信部18に替え、合成部19を追加しているが、無線機1bは無線機1と同様である。無線機2の構成については、実施の形態1と同様である。
実施の形態1および2では、無線機は1つの送信アンテナからは1つの信号を送信したが、本実施の形態では、複数の信号を多重して1アンテナから送信することができる構成とする。
図8に示すように、信号送信部18は、送信する信号ごとにそれぞれウエイトを乗算し、合成部19に出力する。合成部19は、信号送信部18から出力されたウエイト乗算後の各信号を合成し、送信増幅器13に出力する。
まず、無線機1bでは、ある時刻t1で、信号送信部18が出力したウエイトv11を乗じた送信信号s1(p)とウエイトv12を乗じた送信信号s2(p)を合成部19が合成してアンテナ11−1から送信する。また、ある時刻t2では、ウエイトv21を乗じた信号s1(p)とウエイトv21を乗じた信号s2(p)を合成してアンテナ11−2から送信する。
このとき、無線機2が、時刻t1で受信する受信信号R1(p),t2で受信する受信信号R2(p)は、それぞれ以下の式(9)で表される。
R1(p)=h1{v11・s1(p)+v12・s2(p)}+z1(p)
R2(p)=h2{v21・s1(p)+v22・s2(p)}+z2(p)
…(9)
また、このとき、無線機2での合成信号は以下の式(10)で表される。
R1(p)+R2(p)=v1Ths1(p)+v2Ths2(p)
+{z1(p)+z2(p)}
h=[h1 h2]T
v1=[v11 v21]T
v2=[v12 v22]T …(10)
ここで、=v1Ths1(p)+v2Ths2(p)は仮想的に無線機1bが送信信号s1(p)をウエイトベクトルv1の送信ビーム23で送信し、送信信号s2(p)をウエイトベクトルv2の送信ビーム24で同時に送信した場合の受信信号に等しい。したがって、送信信号s1(p),s2(p)について、時刻t1での送信では、ウエイトベクトルv1およびv2の1番目の要素に対応するv11,v12をそれぞれ乗じ、時刻t2での送信では、ウエイトベクトルv1およびv2の2番目の要素に対応するv21,v22をそれぞれ乗じるようにすれば、アンテナ11−1,11−2から2つの送信ビーム23,24によってs1(p),sp(2)がそれぞれ送信された場合と同等の合成信号が得られることになる。
このように、本実施の形態では、複数の信号を多重した信号を1アンテナから送信する場合にも、ある時刻に信号送信できるアンテナ数よりも多いアンテナ数を用いた送信ビームを形成した仮想的な状態を生成できる。このため、実施の形態1に比べ多くの信号または制御情報を無線機1bから無線機2に効率的に送信できる。
実施の形態4.
図9は、本発明にかかる無線機の実施の形態4のパイロット信号構成の一例を示す図である。本実施の形態の無線機の構成は、実施の形態1の無線機1、実施の形態2の無線機1aまたは実施の形態3の無線機1bと同様であり、無線機2の構成も実施の形態1と同様である。以下の説明では、無線機1を例に説明するが、無線機1を無線機1aまたは無線機1bに置き換えた場合も同様である。
実施の形態1〜3で示した信号送信方法を開始してから無線機2が合成信号を求めて伝送制御を行うまでの処理は、速やかに行うことが望ましい。これは、時間が経過するほど伝搬路変動が多くなるため、時刻t1,t2で送信された信号を受信した際の状態と、これらの信号から実施の形態1〜3で述べたように合成信号(仮想的に形成する送信ビーム)を求め、その合成信号に基づいて得られる制御情報を用いて無線機1(無線機1aまたは無線機1bでもよい)が伝送制御を行うときの状態が異なり、伝送制御の誤差が大きくなるためである。
従って、本実施の形態では、無線機1は、あるアンテナから信号を送信した後、使用する時間を切り替え、次の時間シンボルで切り替えた後のアンテナから信号を送信する。このように、連続した時間シンボルを用いて各アンテナから信号を送信することにより、短い時間で仮想的な送信ビームの生成に必要な信号送信を行うことができる。したがって、信号送信時間内での伝搬路変動が小さい可能性が高く、良い精度で仮想的な送信ビーム形成を行うことができる。
図9では、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式での信号送信に本実施の形態のパイロット信号構成を適用した一例を示す図である。図9に示すように、無線機1は連続するOFDMシンボルで各アンテナから順次パイロット信号を送信している。この例では、アンテナが4つ(アンテナ11−1〜11−4)ある場合を示し、パイロット信号31,32,33,34は、それぞれアンテナ11−1,11−2,11−3,11−4から送信されるパイロット信号を示している。このように連続シンボルを利用して信号送信を行うことで伝搬路変動の影響を抑えつつ無線機1の仮想送信ビーム形成を行うことができる。各パイロット信号は、図9に示すようにGI(ガードインターバル)とシンボルで構成される。
図10は、OFDMA方式での信号送信に本実施の形態のパイロット信号構成を適用した別の一例を示す図である。図10の例では、無線機1は図9の例よりも短い時間単位を持つ連続OFDMシンボルを用いて、各送信アンテナからのパイロット信号送信を行っている。このように、通常のデータ信号のシンボル時間よりも短い時間を持つショートOFDMシンボルを用いて本発明の信号送信を行うと、より伝搬路変動の影響を小さくできる。その結果、高精度な仮想送信ビーム形成を行うことが可能となる。なお、ショートOFDMシンボルは従来のOFDMA方式で一般に用いられており、ショートOFDMシンボルに関する処理については、従来の一般的な技術を用いればよい。
なお、本実施の形態では、以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3と同様である。
このように、本実施の形態では、連続した時間シンボルで仮想的な送信ビームを生成するためのパイロット信号を送信するようにした。このため、伝搬路変動の影響を抑え、高精度な仮想送信ビーム形成を行うことができる。また、ショートOFDMシンボルを用いて連続したシンボルでパイロット信号送信を行うと、さらに、伝搬路変動の影響を抑えることができる。
実施の形態5.
図11は、本発明にかかる実施の形態5の通信システムの構成例を示す図である。図の左側には、従来技術の通信システムを示し、右側に本実施の形態の通信システムを示している。パイロット信号構成の一例を示す図である。本実施の形態では、実施の形態1〜4で示した仮想的な送信ビームを通信システム制御に適用した例について説明する。
図11では、左側に従来技術の通信システムを示している。このような従来技術の例として、たとえば、「原,平,関口,”複数の送受信ビーム形成を用いるMIMOシステムのウエイト制御法”,IEICE Trans. on Commun.,vol.J86-B,no.12,pp.2460-2474,Dec. 2003」がある。
この文献に書かれている従来技術に基づくと、無線機102は、MIMOチャネルでパイロット信号25を各アンテナから送信する。無線機101は、MIMOチャネルの伝搬測定を行った後に、希望する受信ビーム形成を行う。さらに、無線機101は、受信ビーム形成に用いたウエイトを用いて送信ビーム26を形成し、無線機102に向けてパイロット信号を送信する。無線機102では、パイロット信号の応答ベクトルを無線機101へ信号送信する際の送信ビーム27の形成に利用する。しかし、この従来技術では、無線機101が送信ビームを形成する必要があるが、無線機101に、同時利用可能な送信アンテナ数に制約のある場合に、所望の送信ビームを形成できない場合がある。
したがって、本実施の形態の通信システムでは、このような伝送制御を行う場合に、無線機101の替わりに、無線機1cを備え、無線機102の替わりに無線機2を備えることとする。無線機1cは、実施の形態1〜3で説明した無線機1、1aまたは1bのいずれかと同様とする。ただし、アンテナと同数の、受信増幅器(図示せず)を有することとし、受信に関しては、自機が備えているすべてのアンテナで同時受信することが可能であるとする。このような構成として、実施の形態1〜3で示した仮想送信ビーム形成によってパイロット信号を送信する。その結果、無線機2はその応答ベクトルを把握できる。
図12は、本実施の形態の無線伝送制御の手順の一例を示すフローチャートである。まず、無線機1c(制御信号の送信側)は、他の無線機からの希望信号,干渉信号の到来状況を把握し、その状況に適した受信ビームのウエイトを算出する(ステップS31)。このとき、受信に関しては、上述のとおりすべてのアンテナで受信可能であることから、ウエイトの算出方法としては、これらのアンテナで受信した希望信号,干渉信号に基づいた通常の算出方法で算出すればよい。
つぎに、無線機1cは、無線機2(制御信号の受信側)へ制御信号を送信する際に適用したい送信ビームの送信ウエイトを、受信時のアンテナが送信時にも同様に利用できるという仮定に基づき算出する(ステップS32)。ただし、実際には、送信時に同時利用可能なアンテナ数は限られており、実際に所望する送信ビームを形成できない。したがって、本実施の形態では、無線機1cは、実施の形態1〜3で示したのと同様にアンテナごとに順番に制御信号を送信することで仮想送信ビームを生成する(ステップS33)。たとえば、時刻t1でアンテナ11−1から制御信号を送信し、時刻t2でアンテナ11−2から制御信号を送信し、時刻t3でアンテナ11−3から制御信号を送信する。
そして、無線機2は、ステップS33で送信された各時刻の信号を実施の形態1〜3と同様に合成し、合成した信号に基づいて応答ベクトルを求める(ステップS34)。
このような制御に基づけば、従来の無線伝送制御技術を、送信するアンテナ数に制約がある環境にも適用できる。すなわち、本実施の形態の方法を用いることにより、従来技術の適用範囲を広げることができる。
また、図13は本実施の形態の無線伝送制御の異なる一例を示す図である。たとえば、「Y.Hara,K.Oshima,”Pilot-based CSI feedback in TDD/MIMO systems with cochannel interference”,VTC2006 Fall,Sep. 2006.」に記載されている従来技術に基づくと、無線機はMIMOチャネルで周辺の干渉を測定した後に、干渉の影響を考慮した送信ビーム形成を行い、通信相手の無線機に対してパイロット信号の送信を行う。通信相手の無線機では、パイロット信号の応答に基づいてパイロット信号を送信した無線機の周辺の干渉状況を把握できる。したがって、通信相手の無線機は、パイロット信号の送信元の無線機へ信号送信する際に、パイロット信号の応答を用いて干渉の影響を考慮して送信ビーム形成を最適化して送信する。
この従来技術では、パイロット信号の送信元の無線機が送信ビームを形成する必要があるが、無線機に、同時利用可能な送信アンテナ数に制約のある場合に、所望の送信ビームを形成できない場合がある。したがって、図13の例では、無線機1dが仮想送信ビームを形成する。無線機1dは、無線機1cに白色化フィルタ30を追加するが、それ以外は、無線機1cと同様である。
無線機1dでは、周辺の干渉状況を測定した後、測定結果に基づいて白色化フィルタ30が干渉雑音成分を白色化する白色化フィルタ係数を算出する。なお、周辺の干渉状況の測定については、受信信号に基づいて一般的な方法で算出すればよい。さらに、無線機1dの信号送信部は、白色化フィルタ係数に基づいて各アンテナに対するウエイトを決定し、各アンテナから対応するウエイトを乗算したパイロット信号を実施の形態1〜3と同様にそれぞれ異なる時刻で送信する。無線機2では、受信したパイロット信号を実施の形態1〜3と同様に合成し、合成した信号に基づいて応答ベクトルを求める。
このような制御に基づけば、従来の無線伝送制御技術を同時送信可能なアンテナ数に制約がある環境にも適用できる。すなわち、本実施の形態の方法を用いることにより、従来技術の適用範囲を広げることができる。
なお、本実施の形態では、パイロット信号の構成については特に制約はないこととしたが、実施の形態4で説明したフレーム構成を用いて本実施の形態の無線機1cおよび無線機1dがパイロット信号を送信するようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、伝送制御を行う通信システムに実施の形態1〜3で説明した仮想ビーム形成を適用するようにした。
以上のように、本発明にかかる無線機、通信システムおよび通信方法は、無線通信において複数アンテナを用いて信号を送信する通信システムに有用であり、特に、同時送信可能アンテナの数に制約がある無線機に適している。
本発明にかかる無線機の実施の形態1の機能構成例を示す図である。 本実施の形態の制御信号の交信の手順を示すチャート図である。 本実施の形態の制御信号の交信の手順を示すチャート図である。 本実施の形態で無線機1が送信する信号と対応アンテナの関係を示す図である。 受信処理方法を説明するための図である。 本発明にかかる無線機の実施の形態2のアンテナの使用例を示す図である。 時刻t1、t2の両方で信号送信を行うアンテナ含む場合のアンテナの使用例を示す図である。 本発明にかかる無線機の実施の形態3のアンテナの使用例を示す図である。 本発明にかかる無線機の実施の形態4のパイロット信号構成の一例を示す図である。 OFDMA方式での信号送信に実施の形態4のパイロット信号構成を適用した別の一例を示す図である。 本発明にかかる実施の形態5の通信システムの構成例を示す図である。 実施の形態5の無線伝送制御の手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態5の無線伝送制御の異なる一例を示す図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d,2 無線機
11−1〜11−4 アンテナ
12 スイッチ
13 送信増幅器
14 信号送信部
15 送信制御部
16 ウエイト制御部
20,21,21a,21b,22,23,24,26,27 送信ビーム
25,31,32,33,34 パイロット信号
30 白色フィルタ

Claims (15)

  1. 複数のアンテナを備える無線機であって、
    送信信号にアンテナごとの所定のウエイトを乗じたウエイト乗算後信号を、対応するアンテナに出力する信号送信処理手段、
    を備え、
    前記信号送信処理手段は、1本以上のアンテナから前記ウエイト乗算後信号を送信してから所定の時間間隔が経過した後に、前記ウエイト乗算後信号を送信済みのアンテナ以外のアンテナを含む1本以上のアンテナから、前記ウエイト乗算後信号を送信することを特徴とする無線機。
  2. 前記ウエイト乗算後信号を同時に送信するアンテナの数を1本とすることを特徴とする請求項1に記載の無線機。
  3. 前記ウエイト乗算後信号を同時に送信するアンテナの数を2本以上とすることを特徴とする請求項1に記載の無線機。
  4. 前記送信信号を2以上の異なる信号を多重した信号とすることを特徴とする請求項1に記載の無線機。
  5. 多重前の信号ごとに個別のウエイトを乗じることを特徴とする請求項4に記載の無線機。
  6. 前記ウエイトを受信信号に基づいて決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線機。
  7. 前記受信信号を干渉信号とすることを特徴とする請求項6に記載の無線機。
  8. 前記所定の時間間隔を1シンボル時間とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の無線機。
  9. 前記1シンボル時間を通常のデータ送信の1シンボル時間より短い時間とすることを特徴とする請求項8に記載の無線機。
  10. 前記所定の時間間隔の経過前に前記ウエイト乗算後信号を送信するアンテナと、前記所定の時間間隔の経過後に前記ウエイト乗算後信号を送信するアンテナと、を前記ウエイト乗算後信号の送信先の無線機に通知することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の無線機。
  11. 前記所定の時間間隔の経過前に前記ウエイト乗算後信号を送信するアンテナの指定と、前記所定の時間間隔の経過後に前記ウエイト乗算後信号を送信するアンテナの指定と、を含む制御信号を前記ウエイト乗算後信号の送信先の無線機から受信し、前記制御信号に基づいて送信するアンテナを設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の無線機。
  12. 前記1〜11のいずれか1つに記載の無線機から送信された送信信号を受信し、
    異なる時間に受信した前記送信信号を合成して合成信号を生成する受信処理部、
    を備えることを特徴とする無線機。
  13. 前記合成信号に基づいて送信ビームを形成することを特徴とする請求項12に記載の無線機。
  14. 請求項1〜11のいずれか1つに記載の無線機と、
    請求項12また13に記載の無線機と、
    を備えることを特徴とする通信システム。
  15. 複数のアンテナを備える無線機における通信方法であって、
    送信信号にアンテナごとの所定のウエイトを乗じたウエイト乗算後信号を、対応するアンテナに出力する信号送信処理ステップと、
    1本以上のアンテナから前記ウエイト乗算後信号を送信する第1の送信ステップと、
    前記第1の送信ステップの実行から所定の時間間隔が経過した後に、前記ウエイト乗算後信号を送信済みのアンテナ以外のアンテナを含む1本以上のアンテナから、前記ウエイト乗算後信号を送信する第2の送信ステップと、
    を含むことを特徴とする通信方法。
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