JP2010040933A - 半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光領域からの排熱を効率的に行うことが可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】半導体レーザ素子10は、基板11表面の中央の領域S1にのみ、発光領域Eを含む半導体層12が形成された構造を有している。すなわち、半導体層12は、発光領域Eとその近傍の領域のみによって形成されている。半導体層12の上面の少なくとも一部と基板11表面の領域S2とを覆うように絶縁膜13が形成され、この絶縁膜13と半導体層12の上部を覆うように、p側電極14が設けられている。基板11の裏面側には凹部11aが形成され、この凹部11aには、n側電極15および埋め込み層16が埋め込まれている。
【選択図】図1
【解決手段】半導体レーザ素子10は、基板11表面の中央の領域S1にのみ、発光領域Eを含む半導体層12が形成された構造を有している。すなわち、半導体層12は、発光領域Eとその近傍の領域のみによって形成されている。半導体層12の上面の少なくとも一部と基板11表面の領域S2とを覆うように絶縁膜13が形成され、この絶縁膜13と半導体層12の上部を覆うように、p側電極14が設けられている。基板11の裏面側には凹部11aが形成され、この凹部11aには、n側電極15および埋め込み層16が埋め込まれている。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板上に半導体層を積層してなる半導体レーザ素子に関する。
一般に、各種応用機器に用いられる半導体レーザは、図13に示したように、ガリウム砒素(GaAs)などよりなる基板101の表面に、発光領域を含む半導体層102、絶縁膜103およびp側電極104が積層されると共に、基板101の裏面にn側電極105が形成された構造を有している。このような半導体レーザでは、発光領域Eが形成された側を下にして、ヒートシンク200などの放熱部材に半田層201を介して設置することにより、発光領域から発生する熱の排出を行うジャンクションダウン型の実装がなされることが多い。
ところが、このような半導体レーザでは、基板101として用いられるガリウム砒素の熱抵抗が大きいため、基板101内部(図13中の経路J2,J3)よりも、ジャンクションの直下(図13中の経路J1)から排出される割合が大きい。このような構造において、放熱性をより向上させたい場合には、基板101側の経路J2,J3の熱抵抗を低減させることが考えられる。
そこで、特許文献1には、図14に示したように、基板101の内部を、裏面側からn側電極106や金属層107によって埋め込むようにした構造が提案されている。また、これにより、基板101の内部が熱伝導率の高い金属によって置換され、発光領域Eで発生した熱が基板101内部の金属層107を通って、すなわち経路J2,J3を通って伝導し易くなる。
しかしながら、上記特許文献1の構造では、以下のような問題がある。特許文献1における半導体層102は、例えば図15に示したように、基板101の側から順に、バッファ層1021、n型クラッド層1022、n型ガイド層1023、活性層1024、p型ガイド層1025、p型下部クラッド層1026およびエッチングストップ層1027を積層した構造となっている。このような半導体層102上に、p型上部クラッド層1028、中間層1029およびキャップ層1030が積層されている。すなわち、半導体層102は、基板101の全面にわたって形成されている。このため、半導体層102の熱伝導率が非常に小さいため、経路J2,J3の熱抵抗が大きく、経路J2,J3の排熱が少ないという問題があった。従って、半導体レーザの放熱性については改善の余地があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光領域からの排熱を効率的に行うことが可能な半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明の半導体レーザ素子は、基板と、基板上に形成された第1の領域及び第2の領域と、基板の表面側に形成された第1の電極と、基板の裏面側に形成された第2の電極とを備え、第1の領域には、発光領域を含む半導体層が形成されているものである。
本発明の半導体レーザ素子では、基板表面の第1および第2の領域のうち、第1の領域に発光領域を含む半導体層が形成されていることにより、発光領域およびこの近傍から発生した熱のうち、第1電極側に排出される熱は、そのまま基板表面の第1の領域において、第1電極を通過して外部へ排出される。一方、基板側に放出された熱は、基板内部を伝導したのち、基板表面の第2の領域を通り、外部へ排出される。
本発明の半導体レーザ素子によれば、基板表面の第1および第2の領域のうち、第1の領域に発光領域を含む半導体層を設けるようにしたので、発光領域から発生した熱を排出させる経路として、第1の領域において第1電極を通って外部へ排出される経路だけでなく、基板内部を伝導したのちに第2の領域を通って外部へ排出される経路についても確保し易くなる。よって、発光領域からの排熱を効率的に行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ素子10の概略構成を表す断面斜視図である。図2は、図1の半導体レーザ素子10の一部を拡大して表したものである。半導体レーザ素子10は、基板11表面の中央において共振器方向に延在する領域(第1領域)S1にのみ半導体層12が形成された構造を有している。言い換えると、基板11表面において領域S1の両側に隣接する領域(第2領域)S2には、半導体層が形成されていない。半導体層12の上面の一部は、共振器方向に延在するリッジ(帯状導波路)12aを形成しており、このリッジ12aに対向しない部分と基板11表面の領域S2とは絶縁膜13により覆われている。半導体層12の上には、リッジ12aおよび絶縁膜13を覆うように、p側電極14が設けられている。基板11の裏面側にはn側電極15が設けられている。
基板11は例えばn型GaAsから構成されており、基板11表面において、共振器方向に直交する方向の長さ(幅)が、例えば100μm〜5000μmとなっている。このうち、領域S1の幅は、半導体層12の発光領域Eの幅d0の両端に幅d1、例えばd1=5μm〜50μm程度を加えた大きさとする。なお、発光領域Eの幅d0は、リッジ12aの幅に対応する。すなわち、基板11上において、領域S1に形成された半導体層12は、発光領域Eとその近傍の領域のみによって形成されている。
基板11の裏面には、凹部11aが形成されており、基板11は裏面側から内部がくり抜かれた構造となっている。この凹部11aに、n側電極15および埋め込み層16が埋め込まれている。
半導体層12は例えばAlGaInP系の半導体から構成されている。この半導体層12のリッジ12aの延在方向における両端には、互いに対向する一対のへき開面(図示せず)が設けられている。これら一対のへき開面にはそれぞれ反射膜(図示せず)が形成されおり、発光領域Eの一方のへき開面に対応する領域からレーザ光が射出されるようになっている。
ここで、図2を参照して、半導体層12の具体的な構成について述べる。半導体層12は、基板11の側から、例えばバッファ層121、n型クラッド層122、n型ガイド層123、活性層124、p型ガイド層125、p型下部クラッド層126、エッチングストップ層127、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130をこの順に積層したものである。この半導体層12のうち、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130が、リッジ12aを形成している。
n型クラッド層122は例えばn型AlInPやn型AlGaInPから構成され、n型ガイド層123は、例えばn型AlGaInPから構成されている。これら各層のn型不純物としては、例えばケイ素(Si)またはセレン(Se)などが挙げられる。
活性層124は、例えばアンドープのGaInPから構成されている。この活性層124のうちリッジ12aに対向する領域が発光領域Eとなる。発光領域Eは、リッジ12aの底部(p型上部クラッド層128の底部)と同等の大きさのストライプ幅を有している。
p型ガイド層125は例えばp型AlGaInPから構成され、p型下部クラッド層126は、例えばp型AlInPから構成され、p型上部クラッド層128は、例えばp型AlInPから構成されている。これら各層のp型不純物としては、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)などが挙げられる。
絶縁膜13は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、二酸化ケイ素(SiO2 )または窒化ケイ素(SiN)などにより構成されている。
p側電極14は、例えば、チタン(Ti)層、白金(Pt)層および金(Au)層を半導体層12の側からこの順に積層したものであり、半導体層12のリッジ12aが形成されている領域と電気的に接続されている。
n側電極15は、例えば、金層、金とゲルマニウム(Ge)との合金層および金層を基板11の側からこの順に積層したものである。このn側電極15は、基板11の裏面に設けられた凹部11aの内壁に沿って形成されており、基板11と電気的に接続されている。基板11の裏面側には、n側電極15の上から凹部11aの空隙を埋め込むように、埋め込み層16が設けられている。
埋め込み層16は、基板11の構成材料よりも熱伝導率の大きな材料、例えば金や銅(Cu)などの金属により構成されている。
上記半導体レーザ素子10は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、図3(A)に示したように、基板11の表面の全面にわたって半導体層12を成膜し、リッジ12aを形成する。具体的には、まず、基板11の表面に、それぞれ上述した材料よりなるバッファ層121、n型クラッド層122、(n型)ガイド層123、活性層124、(p型)ガイド層125、p型下部クラッド層126、エッチングストップ層127、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130を順に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により形成する。続いて、エッチングストップ層127を用いたエッチングを行い、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130の一部を選択的に除去し、底面の幅がd0のリッジ12aを形成する。これにより、半導体層12に幅d0の発光領域Eが形成される。
次いで、図3(B)に示したように、基板11表面の全面にわたって形成された半導体層12のうち端部の領域S2に対応する部分を、例えば塩酸系のエッチャントにより選択的に除去する。これにより、半導体層12の発光領域Eおよびその近傍領域以外の部分が除去され、基板11表面の中央の領域S1にのみ半導体層12が形成される。
続いて、図4(A)に示したように、形成した半導体層12および基板11表面の領域S2を覆うように絶縁膜13を形成し、エッチングや公知のリソグラフィ技術を用いてリッジ12aに対応する部分を除去する。こののち、形成した絶縁膜13および半導体層12のリッジ12aを覆うように、p側電極14を形成する。
次いで、図4(B)に示したように、基板11の裏面側を研削して、基板11を所望の厚み、例えば50μm〜200μm程度に整える。
続いて、図5(A),(B)に示したように、基板11の裏面側に凹部11aを形成する。なお、図5(B)は、基板11を裏面側からみた図である。このような凹部11aは、例えば、レジストやハードマスク(SiO2)を用いてパターニングしたのち、エッチングを施すことにより、裏面側から基板11の内部を除去することにより形成する。但し、この際、基板11の半導体層12に対向する部分(凹部11aの底部)は、n側電極15との電気的接続のために所定の厚みd11、例えば10μmだけ残すようにする。また、基板11の各側部を所定の厚みd12、例えば20μmだけ残すことが望ましい。これは、基板11のへき開性を利用することでチップ分割を行い易くするためである。また、基板11の各側部に厚みを残すことで、n側電極15とのオーミック接続を確保することができる。
次いで、図6に示したように、基板11裏面の凹部11aの内壁に沿って、上述した材料よりなるn側電極15を成膜する。こののち、このn側電極の上から凹部11aを埋め込むように、上述した材料よりなる埋め込み層16を、例えばめっきにより形成する。最後に、リッジ12aの長さ方向における両端をへき開し、それぞれのへき開面に反射鏡膜を形成する。以上により、図1に示した半導体レーザ素子10を完成する。
次に、上記半導体レーザ素子10の作用、効果について説明する。
半導体レーザ素子10では、p側電極14とn側電極15との間に所定の電圧が印加されると、半導体層12において、リッジ12aにより電流狭窄され、活性層124に電流が注入される。これにより、発光領域Eにおいて電子−正孔再結合による発光が生じ、この発光光が、図示しない一対の反射鏡膜により反射され、その間を往復することにより増幅されて、レーザビームとして外部に射出される。
このようなレーザ発振に伴って、半導体層12の発光領域Eおよびその近傍(以下、単に発光領域Eという)では発熱が生じる。以下、発光領域Eから発生した熱の排出経路について、図7(A)〜(C)を参照して説明する。但し、図7(A)は、従来の半導体レーザ素子構造における排熱の様子について模式的に表すものである。なお、図7(A)に示した半導体レーザ素子は、図13に示したものと同様の構造のものである。また、図7(B)は、本実施の形態の半導体レーザ素子10において、基板11に埋め込み層16を形成しなかった場合の排熱の様子について模式的に表すものである。図7(C)は、本実施の形態の半導体レーザ素子10の排熱の様子について模式的に表すものである。なお、図7(A)〜(C)では、p側電極を下にして図示している。また、表1は、半導体レーザの主な構成要素の熱伝導率[W/mK]について例示したものである。
図7(A)に示したように、従来の構造では、従来発光領域Eから発生した熱のうち、p側電極104の側に放出された熱は、そのままp側電極104を伝導して外部へ排出される(経路J1)。一方、基板101側へ放出された熱は、基板101の内部を通ったのち半導体層102を経て、絶縁膜103およびp側電極104へと順に到達する(経路J2,J3)。ところが、このとき、表1からもわかるように、基板101の熱伝導率が54.1W/mK、半導体層102の熱伝導率が10W/mK以下と小さいため、経路J2,J3での熱抵抗が大きくなってしまう。このため、発光領域Eで発生した熱の排出は、その大部分が経路J1によって行われていた。
これに対し、本実施の形態では、図7(B)に示したように、基板11表面の中央の領域S1にのみ半導体層12が形成され、その両側端部の領域S2では半導体層が除去されていることにより、発光領域Eから基板11側へ放出された熱は、経路J2,J3において半導体層12を通過することなく、絶縁膜13およびp側電極14へ順に到達する。上記したように、半導体層12の熱伝導率は、半導体レーザ素子の構成要素の中で最も小さいものであるから、この半導体層12が経路J2,J3中に形成されていないことによって、経路J2,J3における熱抵抗が低減する。よって、発光領域Eで発生した熱は、経路J1だけでなく、経路J2,J3によっても外部へ排出され易くなる。
また、本実施の形態では、図7(C)に示したように、基板11の裏面に凹部11aが形成され、この凹部11aを埋め込むようにn側電極15および埋め込み層16が設けられ、埋め込み層16は、基板11よりも熱伝導率の大きな金属材料などにより構成されている。上記したように、基板11の熱伝導率は、半導体層12に次いで小さいものであるから、この基板11内部が埋め込み層16によって置換されることによって、経路J2,J3における熱抵抗がより低減する。
以上のように、本実施の形態では、基板11表面の中央の領域S1にのみ発光領域Eを含む半導体層12が形成されると共に、領域S1の両側の領域S2には半導体層が形成されないようにしたので、発光領域Eから発生した熱を排出させる経路として、領域S1に対向するp側電極14を経て外部へ排出させる経路J1だけでなく、発光領域Eから基板11側へ伝導させたのち領域S2に対向するp側電極14を経て外部へ排出させる経路J2,J3を確保し易くなる。よって、発光領域Eからの排熱を効率的に行うことが可能となる。これにより、半導体レーザ素子10における放熱性が向上して、従来に比べ低温での駆動が可能となり、半導体レーザ素子10の特性が向上する。例えば、半導体層12を構成するAlGaInP系の材料は、クラッドとのエネルギーギャップ(ΔEg)が小さいため、キャリアのオーバフローによって温度特性が悪くなり、この結果、E−O(電気−光)変換効率が低下し易い。このため、同じ光出力を得るためには、より多くの電流が必要となると共に、発熱量も多くなってしまう。この点、本実施の形態のように、低温での駆動が可能となれば、E−O変換効率が良好となるため、駆動電流が小さくなり、素子の寿命特性が向上する。
次に、上記半導体レーザ素子10の実装例について説明する。
図8は、半導体レーザ素子10をヒートシンク20上に半田層21を介して実装した場合の一例を表すものである。このように、半導体レーザ素子10は、例えば発光領域Eの形成されている側をヒートシンク20上に向けて接合した、いわゆるジャンクションダウン型の実装手法に好適に用いられる。
ヒートシンク20は、半導体レーザ素子10から排出された熱を放散させるものであり、例えばCu(銅)から構成されている。半田層21は、半導体レーザ素子10をヒートシンク20に直接接合するものであり、例えばAuSnなどにより構成されている。
半導体レーザ素子10は、例えば次のようにしてヒートシンク20へ実装することができる。まず、例えば蒸着法により、ヒートシンク20上に半田層21を形成する。続いて、半田層21の上に半導体レーザ素子10をp側電極14を下にして載せたのち、半導体レーザ素子10側から圧力をかけると共に、半田層21の融点を超える程度までヒートシンク20の側から昇温することにより、ヒートシンク20と半導体レーザ素子10とを接着する。これにより、半導体レーザ素子10をヒートシンク20へ実装することができる。なお、半導体レーザ素子10とヒートシンク20との間に、サブマウントを設けるようにしてもよい。
上記半導体レーザ素子10は、次のような半導体レーザアレイ1,2に適用することができる。
図9は、半導体レーザアレイ1を、ヒートシンク20上にサブマウント23を介してジャンクションダウンにより実装したものである。半導体レーザアレイ1は、複数の半導体レーザ素子10を並列に配置したものである。すなわち、基板10の表面において、領域S1と領域S2とが交互に並列して配置され、各領域S1に半導体層12がそれぞれ形成されている。基板11の裏面には、凹部11a、n側電極15および埋め込み層16が、各半導体レーザ素子10それぞれに対して、別個に設けられている。サブマウント23と半導体レーザ素子10との間、およびサブマウント23とヒートシンク20との間には、それぞれ半田層22および半田層24が形成されている。サブマウント23は、例えば窒化アルミニウム(AlN)などにより構成され、半田層22,24は、例えばAuSnやインジウム(In)などにより構成されている。このような構成により、いずれの位置においても、半導体レーザアレイ1を切り出すことができる。
図10は、半導体レーザアレイ2を、ヒートシンク20上にサブマウント23を介してジャンクションダウンにより実装したものである。半導体レーザアレイ2は、基板11−1の表面において、領域S1と領域S2とが交互に並列して配置され、各領域S1に半導体層12がそれぞれ形成されている。基板11の裏面には、複数の半導体層12に共通して、一つの凹部11−1aが形成されており、この凹部11−1aを埋め込むように、n側電極25および埋め込み層26が設けられている。このような構成により、上記半導体レーザアレイ1よりも、埋め込み層26の体積が大きくなるため、放熱性が向上する。
次に、上記半導体レーザ素子10の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
図11は、変形例1に係る半導体レーザ素子の一部を拡大したものである。本変形例では、半導体層27の層構成以外は、上記実施の形態の半導体レーザ素子と同様の構成となっている。半導体層27は、基板11の側から、例えばバッファ層131、n型クラッド層122、n型ガイド層123、活性層124、p型ガイド層125、p型下部クラッド層126、エッチングストップ層127、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130をこの順に積層したものである。この半導体層27のうち、上記実施の形態と同様に、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130が、リッジ27aを形成している。
図11は、変形例1に係る半導体レーザ素子の一部を拡大したものである。本変形例では、半導体層27の層構成以外は、上記実施の形態の半導体レーザ素子と同様の構成となっている。半導体層27は、基板11の側から、例えばバッファ層131、n型クラッド層122、n型ガイド層123、活性層124、p型ガイド層125、p型下部クラッド層126、エッチングストップ層127、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130をこの順に積層したものである。この半導体層27のうち、上記実施の形態と同様に、p型上部クラッド層128、中間層129およびキャップ層130が、リッジ27aを形成している。
本変形例では、上記半導体層27のうち、最も下層のバッファ層131については、基板11表面の領域S1および領域S2を含む全域にわたって形成されている。このバッファ層131よりも上の各層については、上記実施の形態と同様、領域S1にのみ形成されている。バッファ層131は、上記実施の形態のバッファ層121と同様の材料および厚みによって構成されている。
このように、半導体層27のうち、バッファ層121については、基板11表面の領域S1だけでなく領域S2を覆うように形成されていてもよい。これは、バッファ層121の厚みが他の層に比べて小さいため、このバッファ層121については基板11表面の全域にわたって形成されていても、経路J2,J3における熱抵抗にさほど大きな影響を与えないと考えられるためである。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、半導体層が形成される領域S1を基板の中央に配置した構成、あるいは基板上に領域S1と領域S2とを交互に配置した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されず、領域S1と領域S2とが基板表面において隣接して設けられていればよい。
また、上記実施の形態等では、基板11の裏面に矩形状の平面形状を有する凹部を形成した構成を例に挙げて説明したが、凹部の平面形状はこれに限定されず、他の形状、例えば多角形、円形、楕円形などであってもよい。
また、上記実施の形態等では、半導体レーザアレイ1において、複数の半導体層12のそれぞれに対して別個の凹部11aを設けて、各凹部11aにn側電極15および埋め込み層16を形成するようにしたが、必ずしも各半導体層12に対応させて凹部を形成する必要はない。凹部は、半導体層12の位置に拘らず、基板の裏面のいずれの位置に形成してもよい。また、半導体レーザアレイ2において、複数の半導体層12に対して共通の凹部11−1aを一つ設けた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、いくつかの半導体層12の組に対して一つの凹部を設けるようにしてもよい。すなわち、凹部の個数は特に限定されない。
また、上記実施の形態等では、基板11の裏面に凹部11aを設け、この凹部11aに埋め込み層16を形成した構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、基板11の裏面には凹部11aを形成しなくともよい。また、基板11の裏面に凹部11aを設け、この凹部11aに埋め込み層16を形成しない構成としてもよい。これらのような場合であっても、半導体層12が、基板上の一部領域にのみ設けられた構成となっていれば、本発明と同等の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態等では、半導体レーザ素子10をヒートシンクに対して実装する際に、発光領域Eが形成されている側をヒートシンクに対向させて接合したジャンクションダウン型の構造を例に挙げて説明したが、これに限定されず、図12に示したように、n側電極15(図12には図示せず)の側に半田層31を介してヒートシンク20に接合したジャンクションアップ型の実装手法にも適用することが可能である。
また、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、上記実施の形態では、GaAsよりなる基板11上にMOCVD法によりAlGaInP系化合物半導体よりなる半導体層20を形成する場合について説明したが、半導体層20は、MBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシー)法などにより形成してもよい。
1,2…半導体レーザアレイ、10…半導体レーザ素子、11,11−1…基板、11a,11−1a…凹部、12,27…半導体層、12a,27a…リッジ、13…絶縁膜、14…p側電極、15,25,28,30…n側電極、16,26,29…埋め込み層、20…ヒートシンク、21,22,24,31…半田層、23…サブマウント、E…発光領域、J1,J2,J3…経路、SI,S2…領域。
Claims (13)
- 基板と、
前記基板上に形成された第1の領域及び第2の領域と、
前記基板の表面側に形成された第1の電極と、
前記基板の裏面側に形成された第2の電極とを備え、
前記第1の領域には、発光領域を含む半導体層が形成されている
半導体レーザ素子。 - 前記半導体層は、前記基板の側から順に、第2導電型クラッド層、活性層および第1導電型クラッド層を有する
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第1導電型クラッド層の一部が帯状導波路を形成する
請求項2に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2の領域は、前記第1の領域の両側にそれぞれ設けられている
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記基板上において、前記半導体層の少なくとも一部と前記第2の領域とは絶縁膜により覆われている
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第1電極は、前記半導体層の少なくとも一部と前記絶縁膜とを覆うように形成されている
請求項5に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第1電極の側に、放熱部材が設けられている
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記基板の裏面に凹部が設けられ、
前記凹部には、前記基板よりも熱伝導率の大きな埋め込み層が形成されている
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2電極は、前記基板と前記埋め込み層との間に、前記基板の凹部に沿って設けられている
請求項8に記載の半導体レーザ素子。 - 前記基板の表面に、前記第1の領域と前記第2の領域とが交互に並列して配置され、各第1の領域に前記半導体層がそれぞれ形成されている
請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記基板の裏面に凹部が設けられ、
前記凹部には、前記基板よりも熱伝導率の大きな埋め込み層が形成されている
請求項10に記載の半導体レーザ素子。 - 前記凹部は、前記第1の領域ごとに設けられている
請求項11に記載の半導体レーザ素子。 - 前記凹部は、各第1の領域に共通して設けられている
請求項11に記載の半導体レーザ素子。
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