JP2010040816A - 有機el装置および有機el装置の製造方法、ならびに電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素の領域以外への駆動電流の流出を抑え、画素間のクロストークのない有機EL装置を提供すること。
【解決手段】有機EL装置100は、複数の画素2が配置された基板10を有し、画素2は、基板10上に形成された画素電極24と、画素電極24上に形成された正孔注入輸送層32と、正孔注入輸送層32上に積層された発光層34と、発光層34上に形成された共通電極36と、を備え、正孔注入輸送層32のうち、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aの比抵抗は、第1の部分32a以外の第2の部分32bの比抵抗よりも低いことを特徴とする。正孔注入輸送層32は導電性ポリマーを含む材料で形成されており、正孔注入輸送層32のうち、第1の部分32aにおける導電性ポリマーの分子は、第2の部分32bにおける導電性ポリマーの分子よりも整列して配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL装置および有機EL装置の製造方法、ならびに電子機器に関する。
有機エレクトロルミネセンス装置(以下有機EL装置と呼ぶ)は、陽極と、少なくとも正孔注入輸送層と発光層とを含む有機機能層と、陰極とが積層された構成を有している。有機機能層を形成する方法として、有機溶剤を含む溶媒に有機機能層の形成材料を溶解または分散させた機能液を基板上に配置した後、機能液から溶媒を乾燥させることにより、基板上に有機機能層として定着させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような有機機能層の形成方法において、正孔注入輸送層を形成する際に、正孔注入輸送層の形成材料に添加される溶媒が有機溶剤を含んでいると、溶媒が有機溶剤を含んでいない場合に比べて、形成された正孔注入輸送層の電気抵抗が低下する、すなわち正孔注入輸送層の導電性が向上することが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、および特許文献4参照)。
特開2004−127897号公報 特開2005−146259号公報 特開2007−280622号公報 特開2007−529608号公報
ところで、正孔注入輸送層の導電性が向上すると、発光層における発光輝度が向上する反面、正孔注入輸送層において発光させようとする画素の領域以外に駆動電流が流出(リーク)することがある。このようなリーク電流が流れると、画素の領域以外の部分に位置する発光層が意図せずに発光してしまう所謂クロストークが発生するという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、複数の画素が配置された基板を有し、前記複数の画素のうちの1つの画素である第1の画素は、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された正孔注入輸送層と、前記正孔注入輸送層上に積層された発光層と、前記発光層上に形成された第2の電極と、を備え、前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の電極に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分の比抵抗は、前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の部分以外の第2の部分の比抵抗よりも低いことを特徴とする。
この構成によれば、正孔注入輸送層のうち、第1の部分よりも第2の部分の方が比抵抗が高い。このため、正孔注入輸送層のうち、比抵抗が低い第1の部分からは発光層に良好に正孔が注入されるが、比抵抗が高い第2の部分からは発光層にほとんど正孔が注入されない。したがって、発光層のうち、第1の部分に平面的に重なる部分は発光するが、第2の部分に平面的に重なる部分は実質的に発光に寄与しない。この結果、有機EL装置において、第1の画素の領域以外へ駆動電流が流出することによる画素間のクロストークを抑えることができる。
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記正孔注入輸送層は導電性ポリマーを含む材料で形成されており、前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の部分における前記導電性ポリマーの分子は、前記第2の部分における前記導電性ポリマーの分子よりも整列して配置されていてもよい。
この構成によれば、正孔注入輸送層に含まれる導電性ポリマーの分子は、第1の部分において、第2の部分よりも整列して配置されている。分子配列の規則性が高いと、分子配列に規則性を持たない場合に比べて、正孔または電子の移動度が大きくなる。したがって、正孔注入輸送層において、導電性ポリマーの分子が整列して配置されていると、整列して配置されていない場合に比べて導電性が高くなる。これにより、正孔注入輸送層のうち第1の部分の比抵抗は、第2の部分の比抵抗よりも低くなる。
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記導電性ポリマーを含む材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物を含んでいてもよい。
この構成によれば、正孔注入輸送層の形成材料がポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物を含むので、この材料にエチレングリコール系等の有機溶剤が添加されると、正孔注入輸送層において分子が整列して配置される。したがって、正孔注入輸送層のうち第1の部分に選択的に有機溶剤を添加することで、第1の部分の導電性を選択的に向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に係る有機EL装置であって、隔壁をさらに備え、前記複数の画素は前記隔壁によって囲まれた領域内に配置され、前記正孔注入輸送層は、前記隔壁によって囲まれた領域に形成され、前記複数の画素に共通に設けられていてもよい。
この構成によれば、隔壁によって囲まれた領域に正孔注入輸送層を形成することで、第1の画素の領域内における正孔注入輸送層の層厚のムラが抑えられるので、第1の画素の領域内でより均一な発光が得られる。また、このように複数の画素間に亘って正孔注入輸送層が形成された構成において、第1の画素の領域以外への駆動電流の流出による画素間のクロストークを抑えることができる。
[適用例5]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、電子機器は画素間のクロストークが抑えられた有機EL装置を備えているので、優れた表示品質を有する電子機器を提供できる。
[適用例6]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、前記第1の電極上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程と、前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の電極に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分に選択的に有機溶剤を配置する溶剤配置工程と、前記正孔注入輸送層上に発光層を形成する工程と、前記発光層上に第2の電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、正孔注入輸送層のうち、第1の部分に選択的に有機溶剤を配置することで、第1の部分の比抵抗を、第1の部分以外の第2の部分の比抵抗よりも低くすることができる。これにより、正孔注入輸送層のうち、比抵抗が低い第1の部分からは発光層に良好に正孔が注入されるが、比抵抗が高い第2の部分からは発光層にほとんど正孔が注入されない。したがって、発光層のうち、第1の部分に平面的に重なる部分は発光するが、第2の部分に平面的に重なる部分は実質的に発光に寄与しない。この結果、有機EL装置において、第1の画素の領域以外へ駆動電流が流出することによる画素間のクロストークを抑えることができる。
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記正孔注入輸送層形成工程では、前記正孔注入輸送層の形成材料は導電性ポリマーを含み、前記溶剤配置工程では、前記有機溶剤としてエチレングリコール系の溶剤を用いてもよい。
この構成によれば、正孔注入輸送層の形成材料に含まれる導電性ポリマーの分子が、エチレングリコール系等の有機溶剤が添加されることにより、第1の部分で整列して配置される。したがって、正孔注入輸送層において、導電性ポリマーの分子が整列して配置された第1の部分では、第2の部分に比べて導電性が高くなる。これにより、正孔注入輸送層のうち第1の部分の比抵抗を第2の部分の比抵抗よりも低くすることができる。
[適用例8]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記溶剤配置工程では、液滴吐出法により前記有機溶剤を配置してもよい。
この構成によれば、インクジェット法等の液滴吐出法を用いることで、第1の部分に容易かつ的確に有機溶剤を配置することができる。
[適用例9]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記正孔注入輸送層形成工程の前に、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程をさらに備え、前記第1の電極形成工程では、前記基板上に複数の前記第1の電極を形成し、前記隔壁形成工程では、前記複数の前記第1の電極を囲むように前記隔壁を形成し、前記正孔注入輸送層形成工程では、液滴吐出法により前記正孔注入輸送層の材料を前記隔壁によって囲まれた領域に選択的に配置し、前記複数の前記第1の電極上に共通に前記正孔注入輸送層を形成してもよい。
この構成によれば、隔壁によって囲まれた領域に正孔注入輸送層を形成することで、第1の画素の領域内における正孔注入輸送層の層厚のムラが抑えられるので、第1の画素の領域内でより均一な発光が得られる。また、このように複数の画素間に亘って正孔注入輸送層が形成された構成において、第1の画素の領域以外への駆動電流の流出による画素間のクロストークを抑えることができる。
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する図面において、構成をわかりやすく示すため、構成要素の膜厚や寸法の比率等は適宜異ならせてある。
(第1の実施形態)
<有機EL装置>
まず、第1の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的構成を示すブロック図である。
有機EL装置100は、図1に示すように、基板10を基体として備えている。基板10上には、複数の画素が配置されている。複数の画素のうちの1つの画素である第1の画素を、画素2と呼ぶ。本実施形態では、基板10上には画素2が複数配置されているものとする。
画素2は、スイッチング用TFT(薄膜トランジスタ)11,12と、保持容量13と、陽極として機能する第1の電極としての画素電極24と、陰極として機能する第2の電極としての共通電極36と、有機機能層30と、を備えている。有機機能層30は、順に積層された正孔注入輸送層32(図2参照)と、発光層34(図2参照)とで構成されている。画素電極24と、共通電極36と、有機機能層30と、によって有機EL素子8が構成される。有機EL素子8では、正孔注入輸送層32から注入される正孔と、共通電極36から注入される電子とが、有機機能層30の発光層34で再結合することにより発光が得られる。
基板10上には、さらに、データ線駆動回路14と、走査線駆動回路15と、X軸方向に沿って延びる複数の走査線16と、Y軸方向に沿って延びる複数の信号線17と、信号線17に並列に延びる複数の電源線18と、が設けられている。なお、X軸は画素2の行方向を示し、Y軸は画素2の列方向を示している。走査線駆動回路15には走査線16が接続されており、走査線16を介して走査信号がスイッチング用TFT11のゲート電極に供給される。
一方、データ線駆動回路14には信号線17が接続されており、スイッチング用TFT11がオン状態になると、信号線17を介して供給される画像信号が保持容量13に保持され、この保持容量13の状態に応じてスイッチング用TFT12のオン・オフ状態が決まる。そして、スイッチング用TFT12を介して電源線18に電気的に接続したとき、電源線18から画素電極24に駆動電流が流れ、さらに有機機能層30を通じて共通電極36に電流が流れる。有機機能層30の発光層34は、画素電極24と共通電極36との間に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
次に、図2および図3を参照して、有機EL装置100の構造を説明する。図2は、第1の実施形態に係る有機EL装置100の概略構成を示す断面図である。詳しくは、図3のA−A’線に沿った部分断面図である。図3は、第1の実施形態に係る有機EL装置100を模式的に示す平面図である。詳しくは、図2に示す封止層38側から見たときの平面図である。なお、図2では、画素電極24を駆動するためのスイッチング用TFT12を有するTFT素子部20と回路層22とを示すが、それ以外の素子、配線、接続部等の詳細は省略する。また、図3では、平面的な位置関係の説明に必要な構成要素以外は図示を省略する。
図2に示すように、有機EL装置100は、基板10と、TFT素子部20と、回路層22と、画素電極24と、絶縁層26と、隔壁28と、有機機能層30と、共通電極36と、封止層38と、を備えている。有機EL装置100は、例えば、有機機能層30から発した光が基板10側に射出されるボトムエミッション方式である。
基板10は、透光性を有する材料からなる。透光性を有する材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等があげられる。
TFT素子部20は、基板10上に、画素2に対応して設けられている。TFT素子部20は、図示しないが、半導体膜と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、ドレイン電極と、ソース電極とを備えている。半導体膜には、ソース領域と、ドレイン領域と、チャネル領域とが形成されている。半導体膜は、ゲート絶縁層に覆われている。ゲート電極は、ゲート絶縁層を間に挟んで半導体膜のチャネル領域に重なるように位置している。
回路層22は、ゲート電極を覆う層間絶縁層と、ドレイン電極とソース電極とを覆う層間絶縁層とを含んでいる。ドレイン電極は、層間絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して、半導体膜のドレイン領域に導電接続されている。ソース電極は、同様にコンタクトホールを介して、半導体膜のソース領域に導電接続されている。
画素電極24は、回路層22上に、画素2の領域に対応して形成されている。画素電極24は、透光性導電材料からなり、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。画素電極24は、回路層22に設けられたコンタクトホールを介してTFT素子部20に電気的に接続されている。画素電極24の表面には、O2プラズマ処理等の親液化処理が施されていてもよい。
絶縁層26は、回路層22上に形成されている。絶縁層26は、画素2に対応した開口部26aを有している。絶縁層26は、開口部26aの周囲に沿って画素電極24の周縁部に所定幅で乗り上げるように形成されている。絶縁層26は、画素電極24よりも高い親液性を有していることが好ましい。ここで、「親液性が高い」とは、機能液との接触角が相対的に小さいことを指す。絶縁層26が画素電極24よりも高い親液性を有していることにより、隔壁28内に配置された機能液を、絶縁層26の表面に沿って良好に濡れ広がらせることができる。絶縁層26は、例えばSiO2等の無機酸化物からなる。絶縁層26の材料は、SiN等の無機窒化物やTiO2等の金属酸化物であってもよい。絶縁層26の表面には、O2プラズマ処理等の親液化処理が施されていてもよい。絶縁層26の膜厚は、例えば50nm〜200nm程度である。
隔壁28は、絶縁層26上に形成されている。隔壁28は開口部28aを有しており、開口部28a内に複数の開口部26aが配置されている。隔壁28は、例えばアクリル樹脂等の有機材料からなる。隔壁28の表面は、高い撥液性を有していることが好ましい。ここで、「撥液性が高い」とは、機能液との接触角が相対的に大きいことを指す。隔壁28が開口部28a内に配置された機能液に対して高い撥液性を有することにより、機能液が隔壁28から溢れ出すのを防止する仕切部材としての機能を良好に果たすことができる。隔壁28は、フッ素系樹脂等の撥液性を有する材料で構成されていてもよい。隔壁28の表面には、CF4プラズマ処理等の撥液化処理が施されていてもよい。隔壁28の膜厚は、例えば1μm〜3μm程度である。
ここで、画素2の平面的な位置関係を、図3を参照して説明する。画素2は、有機EL装置100において、有機EL素子8により実質的に発光する部分である。後述するが、有機EL素子8において、正孔注入輸送層32のうちの第1の部分32aが、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置しており、第1の部分32aに平面的に重なる部分が実質的に発光に寄与する。換言すれば、正孔注入輸送層32の第1の部分32aによって画素2の領域が規定されている。画素2の領域の形状は、例えば、円形である。画素2の領域の形状は、楕円形、長方形、またはその他の形状であってもよい。
画素電極24は、画素2の領域と略同一形状であり、画素2の領域よりも一回り大きな領域を有している。絶縁層26の開口部26aは、画素2の領域と略同一の形状および大きさであり、画素2の領域に平面的に重なっている。隔壁28は、複数の画素2の領域を共通して囲むように形成されている。すなわち、複数の画素2の領域は、隔壁28によって囲まれた領域内に配置されている。隔壁28の開口部28aは、長辺と短辺とを有している。画素2の領域は、例えば、開口部28aの長辺に沿った方向に2列に、それぞれ略等ピッチで配置されており、それぞれの列は長辺に沿った方向に互いに略半ピッチずれるように配置されている。
図2に戻って、有機機能層30は、隔壁28の開口部28a内、すなわち隔壁28によって囲まれた領域に形成され、複数の画素2に共通に設けられている。有機機能層30は、画素電極24と絶縁層26との上に位置している。有機機能層30は、正孔注入輸送層32と発光層34とで構成されている。正孔注入輸送層32と発光層34とは、液滴吐出法により形成されており、例えばインクジェット法を用いて、それぞれの形成材料を含む機能液を開口部28a内に吐出することにより形成される。
正孔注入輸送層32は、導電性ポリマーを含む材料で形成されている。正孔注入輸送層32の材料は、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸(以下PSSと呼ぶ)を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(以下PEDOTと呼ぶ)等のポリチオフェン誘導体である。
正孔注入輸送層32のうち、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aは、正孔注入輸送層32が形成された後に、選択的にエチレングリコール系の有機溶剤が添加された部分である。正孔注入輸送層32のうち、第1の部分32aの比抵抗は、正孔注入輸送層32のうち、第1の部分32a以外の部分である第2の部分32bの比抵抗よりも低くなっている。第1の部分32aの比抵抗は、例えば1Ωcm〜10Ωcm程度であり、第2の部分32bの比抵抗は、例えば5kΩcm程度である。
正孔注入輸送層32におけるPEDOTの分子の配列状態を、図4を参照して説明する。図4は、PEDOTの分子の配列状態を模式的に示す図である。詳しくは、図4(a)は第1の部分32aにおけるPEDOTの分子の配列状態を模式的に示しており、図4(b)は第2の部分32bにおけるPEDOTの分子の配列状態を模式的に示している。
図4(a)に示すように、PEDOTの分子32mは、例えば、扁平な形状を有しており、この扁平な面が画素電極24(または絶縁層26)の表面に対してある程度の角度をなすように位置している。第1の部分32aにおいては、PEDOTの分子32mは、扁平な面同士が互いに略平行になるように整列しており、略均一な密度で配置されている。第1の部分32aにおいて、正孔は、互いに対向するPEDOTの分子32mの扁平な面を貫くように、画素電極24の表面に略平行に移動する。したがって、第1の部分32aにおいて、電流は、図4(a)に矢印で示すように画素電極24の表面に略平行な方向に流れる。
一方、図4(b)に示すように、第2の部分32bにおいては、PEDOTの分子32mは様々な方向を向いて配置されており、密度がばらついている。このような正孔注入輸送層32におけるPEDOTの分子32mの配列状態の違いは、正孔注入輸送層32が形成された後に、選択的にエチレングリコール系の有機溶剤が添加されたことによるものである。すなわち、PSSを含有するPEDOTにより正孔注入輸送層32が形成された時点では、PEDOTの分子32mは図4(b)に示す第2の部分32bにおける状態で配置されており、その後第1の部分32aに選択的にエチレングリコール系の有機溶剤が添加されたことにより、図4(a)に示す第1の部分32aにおいてPEDOTの分子32mが整列して配置されたものと考えられる。
一般に、分子配列に規則性を持たない場合に比べて、分子配列の規則性が高いと正孔または電子の移動度が大きくなる。したがって、正孔注入輸送層32において、PEDOTの分子32mが整列して配置されていると、整列して配置されていない場合に比べて導電性が高くなる。これにより、正孔注入輸送層32のうち第1の部分32aの比抵抗は、第2の部分32bの比抵抗よりも低くなる。
再び図2に戻って、発光層34は正孔注入輸送層32上に積層されている。発光層34の材料は、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOT等のポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等を用いることができる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いてもよい。
共通電極36は、隔壁28と有機機能層30とを覆うように形成されている。共通電極36は、例えば、カルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)との積層膜や、フッ化リチウム(LiF)とAlとの積層膜からなる。共通電極36上には、陰極保護層が形成されていてもよい。陰極保護層が形成されていると、製造工程中で共通電極36への酸素等の侵入を抑え、共通電極36が腐食されるのを防止することができる。
封止層38は、共通電極36を覆っている。封止層38は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、液状ガラス等からなり、さらにガラス、金属、樹脂フィルム、プラスチック、その他の封止部材が積層接着されていてもよい。
上述の通り、画素電極24と共通電極36と有機機能層30とによって有機EL素子8が構成される。有機EL装置100では、画素2において、有機EL素子8により発光が行われる。有機EL素子8において、発光層34から得られる発光色は単色であり、例えば赤(R)である。発光層34から得られる発光色は、緑(G)、青(B)や白色であってもよい。発光層34から基板10側に発した光は、基板10側に射出される。また、発光層34から共通電極36側に発した光は、共通電極36により反射されて、基板10側に射出される。
有機EL装置100において、正孔注入輸送層32のうち、比抵抗が低い第1の部分32aからは、発光層34に良好に正孔が注入される。一方、正孔注入輸送層32のうち、比抵抗が高い第2の部分32bからは、発光層34にほとんど正孔が注入されない。これにより、有機EL素子8では、発光層34のうち第1の部分32aに平面的に重なる部分が実質的に発光に寄与する。一方、発光層34のうち第2の部分32bに平面的に重なる部分は実質的に発光に寄与しない。この結果、有機EL装置100において、画素2の領域以外への駆動電流の流出による画素2間のクロストークを抑えることができる。
<有機EL装置の製造方法>
次に、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法について図を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するフローチャートである。図6および図7は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する図である。
図5に示すように、有機EL装置の製造方法は、回路層形成工程S10と、画素電極形成工程S20と、絶縁層形成工程S30と、隔壁形成工程S40と、有機機能層30を形成する正孔注入輸送層形成工程S50と溶剤配置工程S60と発光層形成工程S70と、共通電極形成工程S80と、封止層形成工程S90と、を含んでいる。
回路層形成工程S10では、基板10上に、TFT素子部20等を含む回路層22を形成する。続く画素電極形成工程S20では、回路層22上に複数の画素電極24を形成する。回路層22および画素電極24を形成する方法は、公知の方法を適用すればよい。画素電極24は、TFT素子部20に接続されるようにする。これにより、図6(a)に示すように、TFT素子部20を含む回路層22と、画素電極24とが形成される。
次に、絶縁層形成工程S30では、図6(b)に示すように、回路層22と画素電極24との上に絶縁層26を形成する。絶縁層26は、例えばスパッタリング法を用いて回路層22及び画素電極24を覆うように膜を形成した後、パターニングして画素2のそれぞれに対応する複数の開口部26aを設ける。これにより、開口部26aにおいて画素電極24が露出する。
次に、隔壁形成工程S40では、図6(c)に示すように、絶縁層26上に複数の画素電極24を囲むように隔壁28を形成する。隔壁28は、例えばスピンコート法を用いて絶縁層26及び開口部26aにおける画素電極24の露出部を覆うように膜を形成した後、パターニングして開口部28aを設ける。これにより、開口部28a内に、複数の開口部26aが配置される。なお、次の正孔注入輸送層形成工程S50に先立って、画素電極24と絶縁層26との表面にO2プラズマ処理等の親液化処理を施してもよい。また、隔壁28の表面にCF4プラズマ処理等の撥液化処理を施してもよい。
次に、正孔注入輸送層形成工程S50では、図6(d)に示すように、画素電極24上に正孔注入輸送層32を形成する。この工程は、正孔注入輸送層32の材料を含む機能液を配置する機能液配置工程と、配置された機能液を乾燥する乾燥工程と、を含んでいる。機能液配置工程では、例えば、液滴吐出法としてのインクジェット法により、開口部28a内、すなわち隔壁28によって囲まれた領域に機能液を吐出する。この機能液は、正孔注入輸送層32の形成材料として、例えばPEDOTとPSSとを含んでおり、溶媒として、例えばグリコールモノエーテル系の有機溶剤と水とを含んでいる。
グリコールモノエーテル系の有機溶剤としては、エチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、トリエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテル、トリプロピレングリコールモノエーテル等があげられる。これらの有機溶剤と水との混合溶媒を用いた場合、溶媒として水単独を用いた場合と比較して、形成される正孔注入輸送層32の抵抗値に大きな変化がない。有機溶剤の配合比は、溶媒全体に対して10wt%〜80wt%程度であることが好ましい。なお、機能液配置工程では、スピンコート法を適用してもよい。
乾燥工程では、配置された機能液を、例えば40℃〜200℃程度で加熱して機能液中の溶媒を蒸発させ、正孔注入輸送層32の形成材料を固化させる。乾燥処理の方法としては、大気圧以下、例えば10-4Pa〜10-6Pa程度の減圧雰囲気中に放置して、配置された機能液を蒸発させてもよい。これにより、複数の画素電極24上に共通に正孔注入輸送層32が形成される。このとき、隔壁28によって囲まれた領域に正孔注入輸送層32を形成することで、画素2の領域内における正孔注入輸送層32の層厚のムラが抑えられる。
次に、溶剤配置工程S60では、図7(a)に示すように、正孔注入輸送層32のうち画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する部分に、選択的に有機溶剤33を配置する。有機溶剤33を配置する方法は、例えば、インクジェット法を適用する。インクジェット法によれば、吐出する有機溶剤33の1滴当たりの重量を5ng〜10ng程度にできるので、正孔注入輸送層32のうち画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する部分に容易かつ的確に有機溶剤33を配置することができる。有機溶剤33を配置する方法は、ディスペンサ法やスリットコーター法を適用してもよい。ディスペンサ法によれば、塗布する有機溶剤33の1滴当たりの重量は、インクジェット法の場合の100倍程度か、またはそれ以上となる。スリットコーター法によれば、有機溶剤33は線状に塗布される。
有機溶剤33として、例えば、エチレングリコール系の溶剤を用いる。エチレングリコール系の溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル等があげられる。また、有機溶剤33として、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルスルホキシドを用いてもよい。
正孔注入輸送層32のうち選択的に有機溶剤33が配置された第1の部分32aでは、正孔注入輸送層32の形成材料が有機溶剤33により分散されることにより、PEDOTの分子32m(図4(a)参照)が整列して配置される。続いて、正孔注入輸送層形成工程S50における乾燥工程と同様にして、有機溶剤33を乾燥させる。これにより、図7(b)に示すように、正孔注入輸送層32において、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aの電気抵抗が低下し、第1の部分32aの比抵抗が第1の部分32a以外の第2の部分32bの比抵抗よりも低くなる。このように、正孔注入輸送層32のうち第1の部分32aに選択的に有機溶剤33を添加することで、第1の部分32aの導電性を選択的に向上させることができる。
次に、発光層形成工程S70では、図7(c)に示すように、正孔注入輸送層32上に発光層34を形成する。発光層形成工程S70では、機能液が正孔注入輸送層32の形成材料の代わりに発光層34の形成材料を含んでいる点が異なるが、それ以外は正孔注入輸送層形成工程S50と同様である。
発光層形成工程S70においても、正孔注入輸送層32と同様に、隔壁28の開口部28a内に発光層34を形成することで、発光層34の画素2間での膜厚ムラを抑えることができる。上述の正孔注入輸送層形成工程S50と発光層形成工程S70とにより、画素2のそれぞれの領域において膜厚ムラの少ない有機機能層30が形成される。
次の共通電極形成工程S80では、有機機能層30と隔壁28とを覆うように共通電極36を形成する。共通電極36を形成する方法は、例えば蒸着法を適用する。最後に、封止層形成工程S90では、共通電極36上に封止層38を形成する。以上により、図2に示すように、有機EL装置100を製造することができる。
上記第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)正孔注入輸送層32のうち、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aよりも第2の部分32bの方が比抵抗が高い。このため、発光層34のうち、第1の部分32aに平面的に重なる部分は発光するが、第2の部分32bに平面的に重なる部分は実質的に発光に寄与しない。この結果、有機EL装置100において、画素2の領域以外への駆動電流の流出による画素2間のクロストークを抑えることができる。
(2)正孔注入輸送層32のうち第1の部分32aに選択的に有機溶剤33を添加することで、第1の部分32aの導電性を選択的に向上させることができる。これにより、正孔注入輸送層32において、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aの比抵抗を、第2の部分32bの比抵抗よりも低くできる。
(3)隔壁28によって囲まれた領域に有機機能層30を形成することで、画素2の領域内における有機機能層30の層厚のムラが抑えられるので、画素2の領域内でより均一な発光が得られる。しかしながら、このように複数の画素2間に亘って有機機能層30が形成されていると、画素2の領域以外に駆動電流が流出して、画素2の領域以外の部分に位置する発光層34が発光してしまうクロストークが発生し易い。有機EL装置100では、このような複数の画素2間に亘って有機機能層30が形成された構成でありながら、画素2の領域以外への駆動電流の流出による画素2間のクロストークを抑えることができる。
(第2の実施形態)
<有機EL装置>
次に、第2の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)中のB部の拡大図である。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第2の実施形態に係る有機EL装置200は、第1の実施形態に係る有機EL装置100に対して、隔壁28が画素2の領域のそれぞれを個別に囲むように形成されている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
図8に示すように、有機EL装置200は、基板10と、TFT素子部20と、回路層22と、画素電極24と、絶縁層26と、隔壁28と、正孔注入輸送層32と、発光層34と、共通電極36と、封止層38と、を備えている。
隔壁28は、画素電極24を個別に囲むように形成されている。つまり、隔壁28の開口部28aのそれぞれに、絶縁層26の開口部26aのそれぞれが位置している。図示しないが、画素2の領域は、例えば四隅が丸い長方形状を有しており、基板10上に格子状に配置されている。開口部28aと開口部26aとは、画素2の領域と略同一の形状を有している。開口部28aは、開口部26aよりも一回り大きい。
画素2は、R、G、Bのいずれかの表示に寄与する画素2R,2G,2Bを有しており、R、G、Bのそれぞれに発光する有機EL素子8R,8G,8Bにより得られた光を表示光として出力するようになっている。発光層34は、R、G、Bのそれぞれに発光する発光層34R,34G,34Bを有しており、それぞれ有機EL素子8R,8G,8Bに対応している。有機EL装置200では、画素2R,2G,2Bから画素群4が構成され、画素群4において画素2R,2G,2Bのそれぞれの表示の輝度を適宜変えることで種々の色の表示を行うことができる。なお、対応する色について区別しない場合には、それぞれ単に画素2、有機EL素子8、発光層34と呼ぶ。
有機機能層30は、隔壁28の近傍まで形成されている。これにより、画素電極24と共通電極36との短絡を防止できる。正孔注入輸送層32は、第1の実施形態に係る有機EL装置100と同様に、画素電極24に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分32aの比抵抗は、第1の部分32a以外の部分である第2の部分32bの比抵抗よりも低くなっている。
このように、正孔注入輸送層32と発光層34とが隔壁28の近傍まで形成されている場合、正孔注入輸送層32において画素2の領域よりも広い範囲から発光層34に正孔が注入されて、発光層34が画素2の領域よりも広い範囲で発光する発光のにじみが発生することがある。しかしながら、有機EL装置200においては、第1の部分32aの比抵抗が第2の部分32bの比抵抗よりも低くなっているので、正孔注入輸送層32のうち第1の部分32aからは発光層34に正孔が注入されるが、第2の部分32bからは発光層34に正孔がほとんど注入されない。これにより、発光層34においては、第1の部分32aに平面的に重なる部分が実質的に発光に寄与し、第2の部分32bに平面的に重なる部分は実質的に発光に寄与しない。この結果、発光のにじみを抑えることができる。なお、有機EL装置200においては、画素2の領域のそれぞれが隔壁28で区画されているので、駆動電流の流出による画素2間のクロストークは発生しない。
第2の実施形態に係る有機EL装置200は、第1の実施形態に係る有機EL装置100の製造方法と同様の方法により製造することができる。
<電子機器>
上述した有機EL装置100,200は、例えば、図9に示すように、電子機器としての携帯電話機500に搭載して用いることができる。携帯電話機500は、表示部502に有機EL装置100,200を備えている。この構成により、表示部502を有する携帯電話機500は優れた表示品質を有している。
また、電子機器は、電子ブック、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置等であってもよい。さらに、有機EL装置100,200は、電子機器としての電子写真方式の画像形成装置等における露光手段として用いることも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態の有機EL装置において、正孔注入輸送層32の材料は、ドーパントとしてPSSを含有するPEDOTであったが、上記の形態に限定されない。正孔注入輸送層32は、その他のポリアルキルチオフェン誘導体やポリピロール誘導体を材料としてもよいし、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N、N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサンなどを高分子前駆体として形成した層であってもよい。
(変形例2)
上記実施形態の有機EL装置において、有機機能層30は、正孔注入輸送層32と発光層34とを備えた構成であったが、上記の形態に限定されない。有機機能層30は、正孔注入輸送層32と発光層34との間に、発光層34から正孔注入輸送層32への電子の移動を妨げるための中間層、または正孔注入輸送層32から発光層34への不純物イオンの拡散を防止するための中間層を備えた構成であってもよい。また、有機機能層30は、正孔注入輸送層32と発光層34とのほかに電子注入輸送層を備えた構成であってもよい。
(変形例3)
上記実施形態の有機EL装置は、有機機能層30から発した光が基板10側に射出されるボトムエミッション方式であったが、上記の形態に限定されない。有機EL装置は、有機機能層30から発した光が共通電極36側に射出されるトップエミッション方式であってもよい。有機EL装置がトップエミッション方式である場合は、基板10は透光性材料および不透光性材料のいずれを用いてもよい。また、TFT素子部20は、画素2の領域に重なっていてもよい。さらに、共通電極36には透光性を有する導電材料が用いられ、封止層38には透光性を有する材料が用いられる。
(変形例4)
上記実施形態の有機EL装置および有機EL装置の製造方法は、有機EL装置に限定されず、他の電子装置にも適用することができる。図10は、電子装置としての有機太陽電池の構成の一例を模式的に示す図である。詳しくは、図10(a)は有機太陽電池の平面模式図であり、図10(b)は図10(a)のC−C’線に沿った断面模式図である。
図10に示すように、有機太陽電池300は、基板60と、陽極62と、有機機能層64と、陰極68と、を備えている。基板60は、透光性を有する材料からなる。陽極62は、例えばITO等の透光性導電材料からなる。陰極68は、例えばAl等の導電材料からなる。図示しないが、陽極62および陰極68には、外部の回路に接続するための端子部が設けられている。
有機機能層64は、正孔輸送層65と電子輸送層66とを備えている。正孔輸送層65は、例えば、PSSを含有するPEDOTからなる。電子輸送層66は、例えば、フラーレン誘導体を含む高分子材料からなる。有機太陽電池300では、光吸収により生成された励起子が正孔輸送層65と電子輸送層66との界面で正孔と電子とに電荷分離され、正孔が正孔輸送層65により陽極62に移動し、電子が電子輸送層66により陰極68に移動する。これにより、陽極62と陰極68との間に電圧が生じ、有機太陽電池300の外部に電力として出力される。
ここで、正孔輸送層65のうち、陰極68に平面的に重なる第1の部分65aの比抵抗は、第1の部分65a以外の部分の比抵抗よりも低くなっている。この第1の部分65aは、正孔輸送層65を形成した後に、例えばエチレングリコール系の溶剤を正孔輸送層65のうち陰極68に平面的に重なる領域に選択的に配置することにより、この第1の部分65aにおけるPEDOTの分子が整列して配置されたことにより電気抵抗が低下したものである。
正孔輸送層65のうち、比抵抗が低い第1の部分65aでは正孔が良好に移動するが、第1の部分65a以外の部分では、第1の部分65aよりも比抵抗が高いので正孔がほとんど移動しない。このように、上記実施形態の有機EL装置の製造方法を適用することにより、正孔輸送層65において、所定の部分の導電性を選択的に高めることができる。
第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す平面図。 PEDOTの分子の配列状態を模式的に示す図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するフローチャート。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する図。 第2の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図。 本実施の形態における電子機器を示す図。 電子装置としての有機太陽電池の構成の一例を模式的に示す図。
符号の説明
2…画素、8…有機EL素子、10…基板、20…TFT素子部、22…回路層、24…画素電極、26…絶縁層、26a…開口部、28…隔壁、28a…開口部、30…有機機能層、32…正孔注入輸送層、32a…第1の部分、32b…第2の部分、32m…分子、33…有機溶剤、34…発光層、36…共通電極、38…封止層、100,200…有機EL装置、500…携帯電話機、502…表示部。

Claims (9)

  1. 複数の画素が配置された基板を有し、
    前記複数の画素のうちの1つの画素である第1の画素は、
    前記基板上に形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された正孔注入輸送層と、
    前記正孔注入輸送層上に積層された発光層と、
    前記発光層上に形成された第2の電極と、
    を備え、
    前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の電極に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分の比抵抗は、前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の部分以外の第2の部分の比抵抗よりも低いことを特徴とする有機EL装置。
  2. 請求項1に記載の有機EL装置であって、
    前記正孔注入輸送層は導電性ポリマーを含む材料で形成されており、
    前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の部分における前記導電性ポリマーの分子は、前記第2の部分における前記導電性ポリマーの分子よりも整列して配置されていることを特徴とする有機EL装置。
  3. 請求項2に記載の有機EL装置であって、
    前記導電性ポリマーを含む材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物を含んでいることを特徴とする有機EL装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL装置であって、
    隔壁をさらに備え、
    前記複数の画素は前記隔壁によって囲まれた領域内に配置され、
    前記正孔注入輸送層は、前記隔壁によって囲まれた領域に形成され、前記複数の画素に共通に設けられていることを特徴とする有機EL装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  6. 基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
    前記第1の電極上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程と、
    前記正孔注入輸送層のうち、前記第1の電極に平面的に重なる領域内に位置する第1の部分に選択的に有機溶剤を配置する溶剤配置工程と、
    前記正孔注入輸送層上に発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に第2の電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の有機EL装置の製造方法であって、
    前記正孔注入輸送層形成工程では、前記正孔注入輸送層の形成材料は導電性ポリマーを含み、
    前記溶剤配置工程では、前記有機溶剤としてエチレングリコール系の溶剤を用いることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  8. 請求項6または7に記載の有機EL装置の製造方法であって、
    前記溶剤配置工程では、液滴吐出法により前記有機溶剤を配置することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  9. 請求項6から8のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法であって、
    前記正孔注入輸送層形成工程の前に、前記基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程をさらに備え、
    前記第1の電極形成工程では、前記基板上に複数の前記第1の電極を形成し、
    前記隔壁形成工程では、前記複数の前記第1の電極を囲むように前記隔壁を形成し、
    前記正孔注入輸送層形成工程では、液滴吐出法により前記正孔注入輸送層の材料を前記隔壁によって囲まれた領域に選択的に配置し、前記複数の前記第1の電極上に共通に前記正孔注入輸送層を形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
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