JP2010040071A - 垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録媒体の製造方法、および磁気記憶装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録媒体の製造方法、および磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気ヘッドにより情報が記録される垂直磁気記録媒体とその製造方法や、垂直磁気記録媒体に対し情報を記録・再生する磁気記憶装置に関し、さらなる高記録密度化のために、磁気記録層の雑音を低減させ異方性磁界を適切な値に制御することを目的とする。
【解決手段】基板1上に形成される非磁性中間層2と、非磁性中間層上で基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する垂直磁気記録層4と、垂直磁気記録層上の保護膜5とを備え、垂直磁気記録層4は、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する複数の磁性粒子14aが、非磁性酸化物14bにより分断されたグラニュラ層の構造の第1の垂直磁化膜4-1と、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する複数の磁性粒子による連続膜の構造の第2の垂直磁化膜4-2とを有し、第2の垂直磁化膜内の磁性粒子は、CoCrPtB系合金であり、Crの組成比は14atomic %未満、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式の磁気ヘッドを用いて情報(データ)を記録するための垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体、当該垂直磁気記録媒体の製造方法、および、当該磁気ヘッドを移動させることで垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に情報を記録したり、磁気記録面の任意の位置に記録されている情報を再生したりするための磁気記憶装置に関する。
パーソナルコンピュータ(PC)に内蔵されるかまたは外部に取り付けられる磁気ディスク装置等の磁気記憶装置では、薄膜磁気ヘッド等の磁気ヘッドを用いて、磁気ディスク等の磁気記録媒体における磁気記録面の任意の位置にデータを記録することでデータの書き込み動作が実行され、当該磁気記録面の任意の位置に記録されているデータを再生することでデータの読み出し動作が実行される。
磁気記録媒体にデータを記録する際の磁気記録方式として、磁化容易軸に相当する磁化信号の向きが磁気記録媒体の磁気記録面の面内方向になっている長手磁気記録方式と、磁化信号の向きが磁気記録面に垂直な方向になっている垂直磁気記録方式とが挙げられる。近年の磁気記憶装置の記録容量の増大に伴い、磁気記憶装置に内蔵されている磁気記録媒体の磁気記録密度(例えば、面記録密度)は増加し続けている。前者の長手記録方式では、磁気ヘッドによる記録磁界(書き込み磁界)の上限や、磁気記録媒体の熱揺らぎによる記録ビット消失等の問題により高記録密度化に限界が見えてきている。その打開策として、原理的に高い磁気記録密度においても記録ビットの安定性が良好であるとされている後者の垂直磁気記録方式の開発が積極的に行われ、実用化の段階に入っている。
例えば面記録密度の増加に関していえば、垂直磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体においても、長手磁気記録方式で用いられる磁気記録媒体と同様に、雑音(ノイズ)を低減させること(すなわち、信号対雑音比(SN比)を向上させること)、および、磁気記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくくすることが要求される。このような雑音の低減化を実現するために、従来は、垂直磁気記録媒体の垂直磁気記録層の一部に、複数の磁性粒子が非磁性酸化物または非磁性窒化物により垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断された構造(いわゆるグラニュラ層の構造)を有する垂直磁化膜を形成することが提案されている。さらに、比較的高い面記録密度を有する垂直磁気記録媒体の熱揺らぎに対する安定性を実現するために、互いに分断されて孤立化している複数の磁性粒子の各々の異方性磁界Hkを比較的大きくして熱揺らぎの影響を受けにくくすることが望ましい。
しかしながら、一般に、磁気ヘッドにより発生させることができる記録磁界の大きさには上限が存在する。このため、複数の磁性粒子の各々の異方性磁界(Hk)をあまりにも大きくすると、記録磁界の上限に起因する磁気ヘッドの書き込み能力の限界によって、垂直磁気記録媒体の磁気記録面にデータを書き込むことができなくなる。
上記のような磁気記録媒体の熱揺らぎに対する安定性と、磁気ヘッドの書き込み能力の限界との両立を図るために、従来は、垂直磁気記録層の一部であるグラニュラ層を有する垂直磁化膜上に、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する補助的な垂直磁化膜を形成することも提案されている。一般に、補助的な垂直磁化膜の異方性磁界(Hk)は、グラニュラ層の構造を有する垂直磁化膜の異方性磁界よりも小さく、補助的な垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾き(α)は、グラニュラ層の構造を有する垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも大きい。ここでは、グラニュラ層の構造を有する垂直磁化膜と、連続膜の構造を有する補助的な垂直磁化膜との間で磁気的な結合を持たせることによって、垂直磁気記録媒体の熱揺らぎに対する安定性を損なわずに、垂直磁気記録媒体の異方性磁界を実質的に小さくして垂直磁気記録媒体の磁気記録面にデータを書き込むことができるようにしている。
現在、磁気記録媒体の面記録密度のさらなる増加が引き続き要求されており、熱揺らぎに対する安定性を図るために垂直磁気記録媒体の異方性磁界をより大きくすることが必要になってきている。また一方で、さらなるSN比の向上も引き続き要求されている。一般に、比較的小さな異方性磁界を有し、かつ、比較的大きな規格化された磁化曲線の傾きを有する補助的な垂直磁化膜として、コバルト・クロム(CoCr)系合金からなる連続膜の構造を有する垂直磁化膜が使用される。しかしながら、上記のような磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合、従来の垂直磁気記録媒体の垂直磁気記録層では、CoCr系合金からなる連続膜がグラニュラ層の直上に形成されるので、連続膜内で磁性原子が遷移する際に発生する雑音(すなわち、遷移ノイズ)が増大するという問題が生じてくる。さらに、CoCr系合金からなる連続膜をグラニュラ層の直上に形成しただけでは、垂直磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御することが難しくなるという問題も生じてくる。
ここで、参考のため、従来の技術に関連する下記の特許文献1〜6を先行技術文献として呈示する。
特許文献1では、非磁性基板上に、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が非磁性基板に対して垂直に配向された垂直磁性層と、保護層とが設けられた磁気記録媒体において、垂直磁性層は、2層以上の磁性層からなり、少なくとも1層がCoを主成分とすると共に白金(Pt)を含み、かつ、酸化物を含む層であり、他の少なくとも1層がCoを主成分とすると共にCrを含み、かつ、酸化物を含まない層からなる磁気記録媒体が開示されている。しかしながら、特許文献1では、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、2層以上の磁性層からなる垂直磁性層にて発生する雑音を低減させると共に垂直磁性層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
特許文献2では、非磁性基板上に、軟磁性裏打層と、非磁性基板の面に対し垂直異方性を有する磁気記録層とが積層された磁気記録媒体において、軟磁性裏打層は、その膜面内方向に磁界を印加して飽和磁化状態から逆向きの飽和磁化状態に磁化を反転させたときの磁化曲線の微分値が、2つのピークを有するか、あるいは、複数の軟磁性層間の各々に非磁性分断層を配置した多層構造をなし、一定の大きさ以下の外部磁界を印加したときに非磁性分断層を介して隣接する軟磁性層が互いに反強磁性的に結合し、一定の大きさ以上の外部磁界を印加したときに非磁性分断層を介して隣接する軟磁性層の磁化の向きが平行になる磁気記録媒体が開示されている。しかしながら、特許文献2では、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、磁気記録層にて発生する雑音を低減させると共に磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
特許文献3では、基板と、基板の表面に広がり、基板の表面に平行に規定されて面内方向に磁化容易軸を確立する軟磁性裏打層と、軟磁性裏打層上に重ね合わされて、相互に隣接する結晶粒で構成され、基板の表面に平行に規定されて面内方向に磁化容易軸を確立する磁性の第1配向制御層(シード層)と、第1配向制御層の表面に広がり、相互に隣接する結晶粒で構成される非磁性の第2配向制御層(非磁性下地層)と、第2配向制御層の表面に広がり、第2配向制御層の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成され、基板の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸を有する記録磁性層とを備える垂直磁気記録媒体が開示されている。しかしながら、特許文献3では、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、記録磁性層にて発生する雑音を低減させると共に磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
特許文献4では、基板と、基板上に形成された軟磁性裏打層と、軟磁性裏打層上に形成された非晶質材料からなるシード層と、シード層上に形成されたルテニウム(Ru)またはルテニウム合金(Ru合金)からなる2層以上の下地層と、下地層上に形成された磁気記録層とを備え、この磁気記録層は、基板面に対して垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、これらの磁性粒子を互いに離隔する非磁性の固溶相とからなり、また一方で、下地層の一部の層は、基板面に対して垂直方向に成長してなる結晶粒子と、これらの結晶粒子を互いに離隔する空隙部とからなる垂直磁気記録媒体が開示されている。しかしながら、特許文献4では、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、磁気記録層にて発生する雑音を低減させると共に磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
特許文献5では、基板と、基板上に形成された硬質磁性材料からなるピニング層と、ピニング層上に形成され、略面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性裏打層と、軟磁性裏打層上に形成され、基板の表面に対して垂直方向に磁化容易軸を有する磁気記録層とを備え、ピニング層によって軟磁性裏打層の磁化容易軸の方向を基板に対して正確に平行な方向に揃えるようにした磁気記録媒体が開示されている。しかしながら、特許文献5では、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、磁気記録層にて発生する雑音を低減させると共に磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
特許文献6では、面内方向に磁化容易軸を有する強磁性体からなる2層の軟磁性層(軟磁性裏打層)が、3d、4dおよび5d遷移金属の非磁性薄膜を介してサンドイッチ構造に形成されており、3d、4dおよび5d遷移金属を介して2層の軟磁性層間の間接的な磁気交換結合を行うことによって2層の軟磁性層の磁化を反強磁性的に結合させるようにした構造が開示されている。しかしながら、特許文献6では、磁気記録媒体の軟磁性裏打層の構造が記述されているにすぎず、磁気記録層にて発生する雑音を低減させると共に磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御するための具体的な手法に関しては一切言及していない。
したがって、特許文献1〜6のいずれによっても、磁気記録媒体の面記録密度をさらに増加させた場合に、従来の垂直磁気記録媒体の垂直磁気記録層にて発生する雑音が増大すると共に垂直磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御することが難しくなるといったような問題点に対処することはできない。
特開2004−310910号公報 特開2001−155321号公報 特許第3987532号公報 特開2005−353256号公報 IEEE Trans. Magn. Mag-33(1997)pp. 2983-2985 S. S. P. Parkin, Phy. Rev. Lett. 67, 3598(1991)
この出願は上記問題点に鑑みてなされたものであり、磁気記憶媒体のさらなる高記録密度化に対応するために、磁気記録層にて発生する雑音を低減させてSN比の向上を図ると共に、磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御して磁気記録媒体の熱揺らぎに対する安定性を図ることが可能な垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録媒体の製造方法、および磁気記憶装置を提供することを目的とするものである。
上記問題点を解決するために、この垂直磁気記録媒体は、基板と、上記基板上に形成される非磁性中間層と、上記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報(データ)が記録される垂直磁気記録層と、上記垂直磁気記録層上に形成され、上記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、上記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により上記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、上記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト(Co)、クロム(Cr)、白金(Pt)およびホウ素(B)を含む合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
好ましくは、この垂直磁気記録媒体において、上記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、上記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、上記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、上記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい。
さらに、好ましくは、この垂直磁気記録媒体において、上記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともCo、CrおよびPtを含む合金からなる。
さらに、好ましくは、この垂直磁気記録媒体において、上記非磁性中間層は、少なくとも1層の非磁性層を有しており、上記非磁性層の一部に、ルテニウム(Ru)を含む合金が使用されている。
さらに、好ましくは、この垂直磁気記録媒体において、上記基板と上記非磁性中間層との間に、上記磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層が形成される。
代替的な実施態様において、この垂直磁気記録媒体は、基板と、上記基板上に形成され、磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層と、上記軟磁性裏打層上に形成される非磁性中間層と、上記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層と、上記垂直磁気記録層上に形成され、上記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、上記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により上記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、上記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともCo、Cr、PtおよびBを含む合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
また一方で、開示の垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に、少なくとも非磁性中間層、垂直磁気記録層および保護膜が順次積層される際に、上記基板上に上記非磁性中間層を形成する工程と、上記非磁性中間層上に、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層を形成する工程と、上記垂直磁気記録層上に、上記垂直磁気記録層を保護する保護膜を形成する工程とを有しており、上記垂直磁気記録層を形成する工程は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により上記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜を形成し、さらに、上記第1の垂直磁化膜上に、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜を形成し、上記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともCo、Cr、PtおよびBを含む合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
また一方で、開示の磁気記憶装置は、基板上に形成される非磁性中間層と、上記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、上記第1の垂直磁化膜上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜と、上記第2の垂直磁化膜上に形成され、上記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを有する垂直磁気記録媒体と、上記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に磁気情報(データ)を記録する記録ヘッド部、および、上記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に記録されている磁気情報を再生する再生ヘッド部とを有する磁気ヘッドとを備え、上記垂直磁気記録媒体の磁気記録面上で上記磁気ヘッドを移動させて、上記垂直磁気記録媒体の上記任意の位置に磁気情報を記録する動作を行うと共に、上記垂直磁気記録媒体の上記任意の位置に記録されている磁気情報を再生する動作を行うように制御され、上記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともCo、Cr、PtおよびBを含む合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
要約すれば、開示の垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録媒体の製造方法、および磁気記憶装置では、垂直磁気記録媒体内の垂直磁気記録層が、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が連続して配置される連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とからなり、第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともCo、Cr、PtおよびBを含む合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下になるように制御される。
ここでは、Co、Cr、PtおよびBを含む合金からなる複数の微粒子の連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜において、偏析の効果を有するCrの添加量と、磁性粒子を均一化かつ微細化する機能を有するBの添加量とを適切な範囲に調整している。これによって、上記連続膜の面内方向の交換相互作用を制御することで上記連続膜を構成する磁性粒子の孤立化が適度に促進されるようになり、第2の垂直磁化膜内の連続膜で発生する雑音(例えば、遷移ノイズ)が低減されると共に垂直磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御することができる。
それゆえに、開示の垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録媒体の製造方法、および磁気記憶装置によれば、従来の垂直磁気記録媒体に比べて雑音が減少してSN比が向上すると共に、垂直磁気記録層の異方性磁界が適切な値に調整されて垂直磁気記録媒体の熱揺らぎに対する安定性が得られる。かくして、従来の垂直磁気記録媒体よりも良好な記録再生特性を有する磁気記憶装置を作製することができるようになり、磁気記憶媒体のさらなる高記録密度化に対応することができる垂直磁気記憶媒体を提供すると共に、より記録容量の大きな磁気記憶装置を提供することが可能になる。
以下、添付図面(図1〜図8)を参照しながら、本実施例に係る垂直磁気記録媒体および磁気記憶装置等を詳しく説明する。
図1は、本実施例に係る垂直磁気記録媒体の概略的構成を示す断面図、図2は、図1の軟磁性裏打層の詳細な構成を示す断面図、そして、図3は、図1の非磁性中間層および垂直磁気記録層の詳細な構成を示す断面図である。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号を付して表す。
本実施例にて使用される垂直磁気記録層4を含む垂直磁気記録媒体10の基本的な構造を図1に示す。図1に示すように、垂直磁気記録媒体10は、非磁性基板1上に、面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性裏打層2と、下地層として機能する非磁性中間層3と、グラニュラ垂直記録層4−1(第1の垂直磁化膜)および書き込み補助層4−2(第2の垂直磁化膜)からなる垂直磁気記録層4と、垂直磁気記録層4を保護する保護膜5とが順次形成された構造を有する。
ここで、垂直磁気記録層4の下層部に形成されるグラニュラ垂直記録層4−1は、非磁性基板4の面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子14aが、非磁性酸化物(または非磁性窒化物)14bにより垂直磁気記録層4の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する。また一方で、垂直磁気記録層4の上層部に形成される書き込み補助層4−2は、非磁性基板4の面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜(すなわち、垂直磁化連続膜14c)の構造を有する。グラニュラ垂直記録層4−1では、複数の磁性粒子14aが非磁性酸化物14bにより互いに離隔された状態になっているので、第1の垂直磁化膜の面内方向の磁性粒子の粒間相互作用が比較的小さい。これに対して、書き込み補助層4−2では、複数の磁性粒子が連続して配置される連続膜の構造を有しているので、第2の垂直磁化膜の面内方向の磁性粒子の粒間相互作用が比較的大きい。
本実施例にて使用される垂直磁気記録層4において、書き込み補助層4−2を構成する複数の磁性粒子14aは、コバルト・クロム・白金・ホウ素(CoCrPtB)系合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であるように予め調整されている。
図1の垂直磁気記録媒体10において、軟磁性裏打層2は必ずしも設ける必要はない。しかしながら、軟磁性裏打層2は、垂直磁気記録層4に対してデータの書き込み動作を行う際に磁気ヘッドの一部として機能するものであり、より大きな記録磁界および磁場勾配を得るためには設けるほうがよい。また一方で、非磁性基板1と軟磁性裏打層2との間に、軟磁性裏打層2の密着性向上や磁気異方性制御のためにシード層等を付与しても、本実施例の垂直磁気記録媒体による効果は変わらず発揮される。さらに、軟磁性裏打層2と非磁性中間層3との間や非磁性中間層3と垂直磁気記録層4との間に、結晶配向性や結晶粒径の制御を目的としてシード層等を付与しても、本実施例の垂直磁気記録媒体による効果は変わらず発揮される。さらに、保護膜5上に潤滑材を塗布してもよい。
さらに、図1の垂直磁気記録媒体10において、非磁性基板1としては、通常の磁気記録媒体に用いられるような、ニッケル・リン(NiP)メッキを施したアルミニウム(Al)合金基板、化学強化ガラス基板、結晶化ガラス基板、熱酸化シリコン(Si)基板、またはプラスチック基板等を用いることが可能である。
さらに、図1の垂直磁気記録媒体10において、軟磁性裏打層2は、当該軟磁性裏打層からの漏洩磁束を抑制するために磁区制御されていることがより望ましい。磁区制御に関する技術として、例えば前述の特許文献5(IEEE Trans. Magn. Mag-33(1997)pp. 2983-2985)に示されるような軟磁性裏打層の磁化方向を揃える方法や、例えば前述の特許文献2(特開2001−155321号公報)に示されるような極薄の非磁性分断層により分断された軟磁性裏打層を反強磁性的に結合させる方法が提案されている。本実施例では、前述の特許文献2に記述されている手法のように、図2に示されるような下部軟磁性層6、非磁性分断層7および上部軟磁性層8を非磁性基板1の側から順次堆積した構造を採用している。
図2の軟磁性裏打層2において、下部軟磁性層6として、0.5パスカル(Pa)のアルゴン(Ar)雰囲気中で1kWの投入電力にて、25nm(ナノメータ:10-9m)の膜厚の鉄・コバルト・ニオブ・ジルコニウム(FeCoNbZr)系合金をDC(直流)スパッタ法により堆積させている。軟磁性裏打層2の全膜厚は、軟磁性裏打層2の飽和磁化Bsが1テスラ(T)以上である場合に記録再生特性の見地から10nm以上であれば充分であるが、30nm以上であることがより好ましい。さらに、量産設備および製造コストの見地からすれば、軟磁性裏打層2の全膜厚を100nm以下にする必要がある。より好ましくは、軟磁性裏打層2の全膜厚を60nm以下にすることが必要である。さらに、これ以降の堆積方法として特に断らない限りDCスパッタ法を用いるが、各種の膜(層)の堆積方法として、DCスパッタ法に限らず、RF(高周波)スパッタ法、パルスDCスパッタ法、またはCVD法(化学的気相成長法)等により堆積させることも可能である。
図2に示される下部軟磁性層6として、FeCoNbZr系合金の他に、アモルファスまたは微結晶構造のコバルト・ジルコニウム・ニオブ(CoZrNb)、コバルト・ニオブ・タンタル(CoNbTa)、鉄・コバルト・ジルコニウム・ニオブ(FeCoZrNb)、鉄・コバルト・ジルコニウム・タンタル(FeCoZrTa)、鉄・コバルト・ホウ素(FeCoB)、鉄・コバルト・クロム・ホウ素(FeCoCrB)、ニッケル・鉄・シリコン・ホウ素(NiFeSiB)、鉄・アルミニウム・シリコン(FeAlSi)、鉄・タンタル・炭素(FeTaC)、鉄・ハフニウム・炭素(FeHfC)、またはパーマロイ(NiFe)等の軟磁性材料を用いることも可能である。軟磁性裏打層からの雑音を低減させるためには、アモルファスまたは微結晶構造を有する軟磁性材料を用いることがより好ましい。
換言すれば、下部軟磁性層6(および上部軟磁性層8)として、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)を主成分とし、かつ、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ホウ素(B)、ハフニウム(Hf)、炭素(C)およびタングステン(W)のうちの1種類以上の元素を含む軟磁性材料が使用される。
つぎに、FeCoNbZr系合金の下部軟磁性層6上に、非磁性分断層7として、0.5PaのAr雰囲気中で150Wの投入電力にて、0.5nmの膜厚のRuを堆積させている。Ruの非磁性分断層7の膜厚は、隣接する軟磁性層の磁化が反強磁性的に結合するように選定される。非磁性分断層7としてRuを用いた場合、一般的には0.5〜1nm程度の膜厚が適切である。非磁性分断層8の材料として、Ru以外に、前述の特許文献6(S. S. P. Parkin, Phy. Rev. Lett. 67, 3598(1991))に示されるような材料を用いることが可能である。
つぎに、Ruの非磁性分断層7上に、上部軟磁性層8として、0.5PaのAr雰囲気中で1kWの投入電力にて、25nmの膜厚のFeCoNbZr系合金をDCスパッタ法により堆積させている。
上記のように下部軟磁性層6、非磁性分断層7および上部軟磁性層8が積層された構造では、互いに反平行に配向された下部軟磁性層6および上部軟磁性層8の隣接する磁性原子MAが、非磁性分断層7を介して反強磁性的に結合される。それゆえに、軟磁性裏打層2内で生成される磁束MFが、軟磁性裏打層2の外部に漏れ出すことはない。
さらに、図3に示される非磁性中間層3として、軟磁性裏打層2上に、8PaのAr雰囲気中で250Wの投入電力にて、20nmの膜厚のRuを堆積させている。この非磁性中間層3は、Ruからなる複数の非磁性結晶粒子13aと、これらの非磁性結晶粒子13aを互いに離隔する空隙部13bとを有している。これらの非磁性結晶粒子13aによって、グラニュラ垂直記録層4−2の各々の磁性粒子14aの磁化方向が、非磁性基板1の面に垂直な方向に容易かつ確実に配向されるようになる。この非磁性中間層3は単層構造に限定されるものではなく、例えば前述の特許文献4(特開2005−353256号公報)に示されるように、2層以上の構造を有することも可能である。また一方で、前述の特許文献3(特許第3987532号公報)に示されるように、非磁性中間層3の結晶配向性向上および結晶粒径制御のために、軟磁性裏打層2と非磁性中間層3との間にシード層を設けてもよい。
つぎに、非磁性下地層3上に、図3に示される垂直磁気記録層4を堆積させている。この垂直記録層4は、前述のように、下層部に形成され、グラニュラ層の構造を有するグラニュラ垂直記録層4−1と、上層部に形成され、連続膜の構造を有する書き込み補助層4−2とにより構成される。
図3に示される垂直磁気記録層4において、下層部に形成されるグラニュラ垂直記録層4−1として、0.5PaのAr雰囲気中で300Wの投入電力300にて、8nmの膜厚のコバルト・クロム・白金−酸化チタン(CoCrPt−TiO)を堆積させている。より詳しく説明すると、グラニュラ垂直記録層4−1内の複数の磁性粒子14aは、非磁性基板1(図1参照)の面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有するコバルト・クロム・白金(CoCrPt)系合金からなり、グラニュラ垂直記録層4−1内の非磁性酸化物14bは、酸化チタン(TiO)からなる。ここでは、CoCrPt系合金の複数の磁性粒子14aは、酸化チタンの非磁性酸化物14bと固溶体を形成することなく、酸化チタンの非磁性酸化物14bにより均一化された状態で互いに分断されている。
さらに、図3に示される垂直磁気記録層4において、上層部に形成される書き込み補助層4−2として、0.5PaのAr雰囲気中で投入電力400Wの投入電力にて、7nmの膜厚のCoCrPtB系合金を堆積させている。このようにして形成された書き込み補助層4−2は、非磁性基板1(図1参照)の面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有するCoCrPtB系合金からなる複数の微粒子の連続膜の構造を有する。
このCoCrPtB系合金において、Crは、当該合金に対する偏析の効果を有しており、組成比が大きくなるにつれて、複数の微粒子の連続膜の孤立化が促進される。ただし、Crの組成比があまりに大きくなると、連続膜の孤立化の傾向が強くなって垂直磁気記録層の異方性磁界が大きくなる。これを防止するために、Crの組成比に対して上限値を設定しておく。また一方で、Bは、CoCrPtB系合金の磁性粒子を均一化かつ微細化する機能を有する。Crの組成比の上限値とBの組成比の範囲を適切な値に設定して、連続膜の面内方向の交換相互作用を制御することにより、上記連続膜を構成する磁性粒子の孤立化が適度に促進されるようになる。これによって、複数の微粒子の連続膜で発生する雑音(例えば、遷移ノイズ)が低減されてSN比が向上すると共に垂直磁気記録層の異方性磁界を適切な値に制御することができる。
より具体的には、CoCrPtB系合金からなる書き込み補助層において、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下になるように予め調整しておくことによって、比較的良好なSN比を有すると共に異方性磁界が適切な値に調整された垂直磁気記憶媒体が得られることが確認された。
ここで、図1に戻り、保護膜5の作製方法の具体例について説明する。垂直磁気記録層4上に、カーボンからなる保護膜5を、CVD法により4nmの膜厚で堆積することによって、保護膜5が作製される。つぎに、保護膜5上に潤滑材を1nmの膜厚で塗布し、研磨テープにより表面突起および異物を除去する。これによって、本実施例に係る垂直磁気記録媒体の製造工程が完了する。
図4は、本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用されるグラニュラ垂直記録層のMH曲線(磁化曲線)の一例を示す図であり、図5は、本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用される書き込み補助層のMH曲線(磁化曲線)の一例を示す図である。図4および図5において、横軸は、グラニュラ垂直記録層または書き込み補助層に印加される磁界H(任意単位)を表しており、縦軸は、グラニュラ垂直記録層または書き込み補助層が磁化されている状態を示す磁化M(任意単位)を表している。
図4の磁化曲線の例では、グラニュラ垂直記録層4−1(図3参照)の飽和磁界Hs1、規格化された磁化曲線の傾きα1、および保磁力Hc1が例示されており、図5のMH曲線の例では、書き込み補助層4−2(図3参照)の飽和磁界Hs2、規格化された磁化曲線の傾きα2、および保磁力Hc2が例示されている。一般に、飽和磁界が大きいほど、異方性磁界が大きくなる傾向にある。また一方で、規格化された磁化曲線の傾きが大きいほど、ヒステリシスループが角型に近くなる。
図4および図5の磁化曲線の例から明らかなように、グラニュラ垂直記録層4−1(図3参照)の異方性磁界(Hk1(図示されていない))は、書き込み補助層4−2(図3参照)の異方性磁界(Hk2(図示されていない))よりも大きく、かつ、グラニュラ垂直記録層の規格化された磁化曲線の傾き(α1)は、書き込み補助層の規格化された磁化曲線の傾き(α2)よりも小さい。また、グラニュラ垂直記録層4−1の保磁力Hc1と書き込み補助層4−2の保磁力Hc2との間には、Hc1>>Hc2の関係がある。
逆にいえば、グラニュラ垂直記録層に対するデータの書き込み動作の補助の効果を表すために、書き込み補助層の異方性磁界(Hk2)は、グラニュラ垂直記録層の異方性磁界(Hk1)よりも小さく、かつ、書き込み補助層の規格化された磁化曲線の傾き(α2)は、グラニュラ垂直記録層の規格化された磁化曲線の傾き(α1)よりも大きくなるように調整される。ここでは、グラニュラ層の構造を有するグラニュラ垂直記録層と、連続膜の構造を有する書き込み補助層との磁気的な結合をもたせることによって、垂直磁気記録層の異方性磁界を実質的に小さくして磁気ヘッドの書き込み能力を超えない適切な値に設定することができる。
図6は、本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用される書き込み補助層のBの組成変化とSN比との関係を示すグラフである。図6において、横軸は、Bの組成比(atomic %)を表しており、縦軸は、書き込み電流Iw=25mAでデータの書き込み動作を行った場合の垂直磁気記録媒体のSN比(デシベル(dB))を表している。
ここでは、本実施例に係る垂直磁気記録媒体の書き込み補助層として、CoCrPtB系合金の磁性粒子からなる連続膜を使用した場合に、Bの組成比を4atomic %〜14atomic %の範囲で変化させたサンプルを作製し、これらのサンプルのSN比を測定している。本実施例では、Bの添加による飽和磁化(Ms)の減少を防止するために、Bの組成比を増加させた分だけCrの組成比を減少させ、Bの組成比を減少させた分だけCrの組成比を増加させている(例えば、Crの組成比とBの組成比との合計を24atomic %一定にしている)。
図6のグラフに示すように、Bの組成比が8atomic %以上で14atomic %以下に調整されたサンプルを使用することによって、比較的良好なSN比を有する垂直磁気記憶媒体が得られることが確認された。因みに、Bの組成比が10atomic %〜11atomic %付近でSN比は最大となる。さらに、追試実験を行った結果、Crの組成比が14atomic %未満に調整されたサンプルを使用することによって、比較的良好なSN比を有する垂直磁気記憶媒体が得られることが確認された。
図7は、本実施例に係る垂直磁気記録媒体を含む磁気記憶装置の全体の概略的構成を示す平面図である。図7においては、薄膜磁気ヘッド20を移動させることにより、例えば図1に示したような垂直磁気記録媒体10の磁気記録面の任意の位置にデータを記録したり、磁気記録面の任意の位置に記録されているデータを再生したりするための磁気記憶装置50の概略的構成が例示されている。好ましくは、磁気記憶装置50は、ディスク等の垂直磁気記録媒体10を有する磁気ディスク装置により構成される。
図7の磁気記憶装置50内に設けられる垂直磁気記録媒体10は、前述の図1に示したような垂直磁気記録媒体と同様に、非磁性基板上に、面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性裏打層と、下地層として機能する非磁性中間層と、グラニュラ垂直記録層および書き込み補助層からなる垂直磁気記録層と、垂直磁気記録層を保護する保護膜とが順次形成された構造を有する。
さらに、前述の図1にて説明したように、垂直磁気記録層の下層部に形成されるグラニュラ垂直記録層は、非磁性基板の面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する。また一方で、垂直記録層の上層部に形成される書き込み補助層は、非磁性基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する。
さらに、前述の図1にて説明したように、本実施例にて使用される垂直磁気記録層において、書き込み補助層を構成する複数の磁性粒子は、CoCrPtB系合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。
図7に示す磁気記憶装置50は、大まかにいって、磁気ディスク等の垂直磁気記録媒体10、垂直磁気記録方式で用いられる薄膜磁気ヘッド20、スピンドルモータ16およびボイスコイルモータ(VCMモータ)30等を収納するためのディスクエンクロージャ60と、薄膜磁気ヘッド20により垂直磁気記録媒体10に対するデータ書き込み動作(データ記録動作)およびデータ読み出し動作(データ再生動作)等を制御する制御部(図示されていない)とにより構成される。上記のディスクエンクロージャ60には、スピンドル15に結合されるスピンドルモータ16によって回転駆動される単一または複数のディスク等の垂直磁気記録媒体10が同軸上に設けられている。スピンドルモータ16の動作は、制御部のサーボコントローラ(図示されていない)により制御されている。ディスク等の垂直磁気記録媒体10の表面における垂直磁気記録層の磁気記録面には、複数のトラック(または複数のシリンダ)が形成されており、このトラックの任意の位置のセクタに所定のデータに対応するデータパターン(磁化パターン)が書き込まれている。
ここで、「シリンダ」とは、複数のディスク等が積層されて配置されている場合に、各々のディスク上で複数の薄膜磁気ヘッドによって同時にアクセスすることが可能な垂直方向の複数のトラックの集合体(すなわち、シリンダ状の複数のトラック)を指し示す用語である。
さらに、図7の磁気記憶装置50内の薄膜磁気ヘッド10は、ヘッド支持用のアーム31の先端に実装されている。このアーム31は、サーボコントローラにより制御されるボイスコイルモータ30によって、ディスク等の垂直磁気記録媒体10の内周部(インナ側)の位置と外周部(アウタ側)の位置との間を往復移動するように駆動される。これによって、ディスク等の垂直磁気記録媒体10の磁気記録面でデータが書き込まれている全てのデータ領域のセクタに対するアクセスを行うことが可能になる。ここで、アーム31の往復移動がスムーズに行えるようにするために、ボイスコイルモータ30の中心部にピボットベアリング40が取り付けられている。
例えば、ボイスコイルモータ30によってアーム31が矢印Bの方向に回転することにより、薄膜磁気ヘッド20がディスク等の垂直磁気記録媒体10の半径方向に移動し、所望のトラックを走査することが可能になる。ボイスコイルモータ30およびアーム31を含む構成要素は、ヘッドアクチュエータとも呼ばれている。さらに、このヘッドアクチュエータにはフレキシブルプリント基板(通常、FPC(Flexible Printed Circuit)と略記される)41が取り付けられており、このフレキシブルプリント基板41を経由して、ボイスコイルモータ30および薄膜磁気ヘッド20の動作を制御するためのサーボ信号が供給される。
ディスク等の垂直磁気記録媒体10の外周部には、ランプ機構32が配置されており、アーム31の先端に係合して薄膜磁気ヘッド20を垂直磁気記録媒体10から離間させて保持するようになっている。
図8は、図7の磁気記憶装置に使用される薄膜磁気ヘッドの概略的構成を示す断面図である。ここでは、単磁極型の垂直磁気ヘッドを含むような薄膜磁気ヘッド20の構成例を一例として示す。
図8に示す薄膜磁気ヘッド10は、垂直磁気記録方式によりディスク等の垂直磁気記録媒体10の磁気記録面の任意の位置に磁気情報(データ)を記録するための(データ書き込み動作用の)記録ヘッド部17と、垂直磁気記録媒体10の磁気記録面の任意の位置に記録されている磁気情報を磁気信号として再生するための(データ読み出し動作用の)磁気抵抗効果型の再生ヘッド部18とが一体化された構造になっている。
より詳しく説明すると、図8の薄膜磁気ヘッド20は、単磁極型の垂直磁気ヘッドからなる記録ヘッド部17と、ディスク等の垂直磁気記録媒体10上の垂直磁気記録層の任意の位置に記録されている磁気情報を再生する再生ヘッド部18とを有する。ここで、垂直磁気記録媒体10は、前述の図1に示したような垂直磁気記録媒体と同様に、非磁性基板1上に、面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性裏打層2と、非磁性中間層3と、グラニュラ垂直記録層4−1および書き込み補助層4−2からなる垂直磁気記録層と、保護膜(図8では省略している)とが順次形成された構造を有する。さらに、前述の図1にて説明したように、垂直磁気記録層内の書き込み補助層4−2を構成する複数の磁性粒子は、CoCrPtB系合金からなり、Crの組成比は14atomic %未満であり、かつ、Bの組成比は8atomic %以上で14atomic %以下である。なお、図8では、垂直磁気記録媒体10の媒体対向面ABS(ヘッド浮上面(air bearing surface))に垂直な方向の断面図を示している。
図8の薄膜磁気ヘッド20において、記録ヘッド部17は、垂直磁気記録媒体10上の垂直磁気記録層の磁気記録面に垂直な方向の磁界を印加する単一の主磁極部21と、垂直記録媒体内の垂直磁気記録層および軟磁性裏打層2を通して外部に出てくる磁界を吸収する補助磁極部22と、主磁極部21および補助磁極部22を磁気的に接続するための磁性材料からなる接続部24とを有する。さらに、図8の記録ヘッド部17では、薄膜コイル25からの磁界を集束して主磁極部21に効率良く供給するための磁性材料からなるヨーク部26が、主磁極部21と接続部24との間に形成されている。さらに、図2の記録ヘッド部17では、薄膜磁気ヘッド20の外部からの浮遊磁界(浮遊磁場)が記録ヘッド部内に侵入するのを抑制するための磁性材料からなる記録ヘッド部シールド層23が、薄膜磁気ヘッド20の上部に配置されている。一般に、上記の記録ヘッド部17内の主磁極部21、補助磁極部22、接続部24、薄膜コイル25、ヨーク部26および記録ヘッド部シールド層23等の構成要素は、非磁性絶縁層により覆われているが、図8ではこの非磁性絶縁層の記載を省略する。
図8の薄膜磁気ヘッド20において、垂直磁気記録媒体上の磁気記録層に磁気情報を記録したい場合、主磁極部21の近傍の薄膜コイル25に電流を流して所定の磁界を生成する。この薄膜コイル25にて生成された磁界MPは、ヨーク部26を介して主磁極部21を通過し、回転するディスク(ここでは、左側から右側へ回転する)等の垂直磁気記録媒体10の磁気記録面に垂直な方向の記録磁界として垂直磁気記録層内の書き込み補助層4−2およびグラニュラ垂直記録層4−1に印加される。さらに、書き込み補助層4−2→グラニュラ垂直記録層4−1→軟磁性裏打層2→グラニュラ垂直記録層4−1→書き込み補助層4−2を経由して外部に出てくる磁界は、補助磁極部22に吸収される。上記のヨーク部26、主磁極部21、垂直磁気記録媒体10の垂直磁気記録層および軟磁性裏打層2、補助磁極部22、ならびに接続部24により磁気回路が形成される。この磁気回路を利用して、垂直磁気記録媒体の磁気記録面に垂直な方向の磁化(磁気情報)を垂直磁気記録層に記録することができる。
さらに、図8の薄膜磁気ヘッド20において、再生ヘッド部18は、アルチック(Al23・TiO)等のセラミック材料よりなる基板(図示されていない)上に成膜されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料からなる非磁性絶縁層(図示されていない)と、この非磁性絶縁層の上に形成された磁性材料からなる下部シールド層28−2と、この下部シールド層28−2の上に非磁性絶縁層(図示されていない)を介して形成された磁気抵抗効果素子(MR(Magnetoresistance effect)素子とも称する)27と、この磁気抵抗効果素子27の上に非磁性絶縁層(図示されていない)を介して形成された磁性材料からなる上部シールド層28−1とを有する。この磁気抵抗効果素子27は、垂直磁気記録媒体の磁気記録面に記録されている磁気情報により生成される磁界を検出する機能を有する。また一方で、上部シールド層28−1および下部シールド層28−2は、外部からの浮遊磁界が磁気抵抗効果素子内に侵入するのを抑制する機能を有しており、その厚みは、それぞれ例えば1〜2μm(ミクロンメータ:10-6m)である。
図8の磁気抵抗効果素子27として、異方性磁気抵抗効果素子(AMR(Anisotropic Magnetoresistance Effect)素子とも称する)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magnetoresistance Effect)素子とも呼ばれる)、またはトンネル磁気抵抗効果素子(TMR(Tunneling Magnetoresistance Effect)素子とも呼ばれる)等の磁気抵抗効果を示す感磁性膜を用いた素子を用いることができる。
さらに、再生ヘッド部18の上部シールド層28−1の上に非磁性絶縁層(図示されていない)が形成されており、この非磁性絶縁層の上に、記録ヘッド部18の補助磁極部22が形成されている。この補助磁極部22の上部には、前述のような薄膜コイル25、接続部24、ヨーク部26、主磁極部21および記録ヘッド部シールド層23が形成されている。
これまでに説明した実施例に関連して、下記に示すような付記を記載しておく。
(付記1) 基板と、
前記基板上に形成される非磁性中間層と、
前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層と、
前記垂直磁気記録層上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、
前記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、
前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記2) 前記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、前記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、前記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、前記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記3) 前記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロムおよび白金を含む合金からなる付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記4) 前記非磁性中間層が、少なくとも1層の非磁性層を有しており、前記非磁性層の一部に、ルテニウムを含む合金が使用されている付記1から3のいずれか一項に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記5) 前記基板と前記非磁性中間層との間に、前記磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層が形成される付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記6) 前記基板と前記非磁性中間層との間に形成される前記軟磁性裏打層が、コバルト、鉄およびニッケルを主成分とし、かつ、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ホウ素、タングステン、ハフニウムおよび炭素のうちの1種類以上の元素を含む付記5記載の垂直磁気記録媒体。
(付記7) 基板と、
前記基板上に形成され、磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層と、
前記軟磁性裏打層上に形成される非磁性中間層と、
前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層と、
前記垂直磁気記録層上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、
前記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、
前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記8) 前記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、前記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、前記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、前記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい付記7記載の垂直磁気記録媒体。
(付記9) 前記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロムおよび白金を含む合金からなる付記7記載の垂直磁気記録媒体。
(付記10) 前記非磁性中間層が、少なくとも1層の非磁性層を有しており、前記非磁性層の一部に、ルテニウムを含む合金が使用されている付記7から9のいずれか一項に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記11) 基板上に、少なくとも非磁性中間層、垂直磁気記録層および保護膜が順次積層される垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
前記基板上に前記非磁性中間層を形成する工程と、
前記非磁性中間層上に、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層を形成する工程と、
前記垂直磁気記録層上に、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜を形成する工程とを有し、
前記垂直磁気記録層を形成する工程は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜を形成し、さらに、前記第1の垂直磁化膜上に、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜を形成し、
前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記12) 前記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、前記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、前記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、前記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい付記11記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記13) 前記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロムおよび白金を含む合金からなる付記11記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記14) 前記非磁性中間層が、少なくとも1層の非磁性層を有しており、前記非磁性層の一部に、ルテニウムを含む合金が使用されている付記11から13のいずれか一項に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記15) 前記垂直磁気記録媒体の製造方法が、さらに、前記基板と前記非磁性中間層との間に、前記磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層を形成する工程を有する付記11記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記16) 前記基板と前記非磁性中間層との間に形成される前記軟磁性裏打層が、コバルト、鉄およびニッケルを主成分とし、かつ、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ホウ素、タングステン、ハフニウムおよび炭素のうちの1種類以上の元素を含む付記15記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記17) 基板上に形成される非磁性中間層と、前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、前記第1の垂直磁化膜上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜と、前記第2の垂直磁化膜上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを有する垂直磁気記録媒体と、
前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に磁気情報を記録する記録ヘッド部と、前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に記録されている磁気情報を再生する再生ヘッド部とを有する磁気ヘッドとを備え、
前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面上で前記磁気ヘッドを移動させて、前記垂直磁気記録媒体の前記任意の位置に磁気情報を記録する動作を行うと共に、前記垂直磁気記録媒体の前記任意の位置に記録されている磁気情報を再生する動作を行う磁気記憶装置において、
前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする磁気記憶装置。
(付記18) 前記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、前記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、前記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、前記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい付記17記載の磁気記憶装置。
(付記19) 前記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロムおよび白金を含む合金からなる付記17記載の磁気記憶装置。
(付記20) 前記再生ヘッド部が、前記磁気情報により生成される磁界を検出する磁気抵抗効果素子を含み、前記磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子、巨大磁気抵抗効果素子またはトンネル磁気抵抗効果素子である付記17記載の磁気記憶装置。
本発明は、垂直磁気記録方式の磁気ヘッドにより情報を記録するための2層構造のSN比の良好な垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置であって、より記録容量の大きな磁気ディスク装置等の磁気記憶装置に適用することが可能である。
本実施例に係る垂直磁気記録媒体の概略的構成を示す断面図である。 図1の軟磁性裏打層の詳細な構成を示す断面図である。 図1の非磁性中間層および垂直磁気記録層の詳細な構成を示す断面図である。 本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用されるグラニュラ垂直記録層のMH曲線の一例を示す図である。 本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用される書き込み補助層のMH曲線の一例を示す図である。 本実施例に係る垂直磁気記録媒体に使用される書き込み補助層のBの組成変化とSN比との関係を示すグラフである。 本実施例に係る垂直磁気記録媒体を含む磁気記憶装置の全体の概略的構成を示す平面図である。 図7の磁気記憶装置に使用される薄膜磁気ヘッドの概略的構成を示す断面図である。
符号の説明
1 非磁性基板
2 軟磁性裏打層
3 非磁性中間層
4 垂直磁気記録層
4−1 グラニュラ垂直記録層
4−2 書き込み補助層
5 保護膜
6 下部軟磁性層
7 非磁性分断層
8 上部軟磁性層
10 垂直磁気記録媒体
13a 非磁性結晶粒子
13b 空隙部
14a 磁性粒子
14b 非磁性酸化物
14c 垂直磁化連続膜
15 スピンドル
16 スピンドルモータ
17 記録ヘッド部
18 再生ヘッド部
20 薄膜磁気ヘッド
21 主磁極部
22 補助磁極部
23 記録ヘッド部シールド層
24 接続部
25 薄膜コイル
26 ヨーク部
27 磁気抵抗効果素子
28−1 上部シールド層
28−2 下部シールド層
30 ボイスコイルモータ(VCMモータ)
31 アーム
32 ランプ機構
40 ピボットベアリング
41 フレキシブルプリント基板
50 磁気記憶装置
60 ディスクエンクロージャ

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成される非磁性中間層と、
    前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層と、
    前記垂直磁気記録層上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、
    前記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、
    前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第1の垂直磁化膜の異方性磁界は、前記第2の垂直磁化膜の異方性磁界よりも大きく、かつ、前記第1の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きは、前記第2の垂直磁化膜の規格化された磁化曲線の傾きよりも小さい請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第1の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロムおよび白金を含む合金からなる請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記非磁性中間層が、少なくとも1層の非磁性層を有しており、前記非磁性層の一部に、ルテニウムを含む合金が使用されている請求項1から3のいずれか一項に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記基板と前記非磁性中間層との間に、前記磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層が形成される請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 基板と、
    前記基板上に形成され、磁気情報の書き込み時に磁気ヘッドの一部として機能する軟磁性裏打層と、
    前記軟磁性裏打層上に形成される非磁性中間層と、
    前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層と、
    前記垂直磁気記録層上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを備え、
    前記垂直磁気記録層は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜とを有しており、
    前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 基板上に、少なくとも非磁性中間層、垂直磁気記録層および保護膜が順次積層される垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記基板上に前記非磁性中間層を形成する工程と、
    前記非磁性中間層上に、基板面に垂直な方向の磁化容易軸を有する磁気情報が記録される垂直磁気記録層を形成する工程と、
    前記垂直磁気記録層上に、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜を形成する工程とを有し、
    前記垂直磁気記録層を形成する工程は、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により前記垂直磁気記録層の面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜を形成し、さらに、前記第1の垂直磁化膜上に、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜を形成し、
    前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  8. 基板上に形成される非磁性中間層と、前記非磁性中間層上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、非磁性酸化物により面内方向で互いに分断されたグラニュラ層の構造を有する第1の垂直磁化膜と、前記第1の垂直磁化膜上に形成され、基板面に垂直な方向に配向された磁化容易軸を有する複数の磁性粒子が、連続する磁性金属からなる連続膜の構造を有する第2の垂直磁化膜と、前記第2の垂直磁化膜上に形成され、前記垂直磁気記録層を保護する保護膜とを有する垂直磁気記録媒体と、
    前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に磁気情報を記録する記録ヘッド部と、前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面の任意の位置に記録されている磁気情報を再生する再生ヘッド部とを有する磁気ヘッドとを備え、
    前記垂直磁気記録媒体の磁気記録面上で前記磁気ヘッドを移動させて、前記垂直磁気記録媒体の前記任意の位置に磁気情報を記録する動作を行うと共に、前記垂直磁気記録媒体の前記任意の位置に記録されている磁気情報を再生する動作を行う磁気記憶装置において、
    前記第2の垂直磁化膜を構成する複数の磁性粒子は、少なくともコバルト、クロム、白金およびホウ素を含む合金からなり、クロムの組成比は14atomic %未満であり、かつ、ホウ素の組成比は8atomic %以上で14atomic %以下であることを特徴とする磁気記憶装置。
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