JP2010039069A - ホログラム作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より鮮明な再生像を再生し得る合成ホログラムを作成する。
【解決手段】本発明に係るホログラム作成方法は、(1) 高速フーリエ変換のための入力画像座標位置に対応する透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換を実行して第1出力画像を作成する第1ステップと、(2) 高速フーリエ変換のための入力画像座標位置に対して所定の偏差を有する位置に対応する透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換を実行して出力画像を作成し、この出力画像に対して所定の偏差に応じた補正を行って当該補正後の第2出力画像を作成する第2ステップと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の要素ホログラムが配列されて構成される合成ホログラムを作成する方法に関するものである。
非特許文献1〜3それぞれには、複数の要素ホログラムが配列されて構成される合成ホログラムを作成する方法が記載されている。合成ホログラムを構成する各要素ホログラムは一般に以下のようにして作成される。合成ホログラムが記録または呈示されるべきホログラム記録材料(例えば、感光材料、空間光変調器、など)において各要素ホログラムが記録されるべき局所領域の中心位置が仮想視点とされて、合成ホログラムにより再生されるべき目標再生像が透視変換され、これにより透視変換画像が作成される。そして、この透視変換画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換が実行されて物体光の波面が作成され、この物体光と参照光との干渉縞に基づいて要素ホログラムが作成される。
Toyohiko Yatagai, "Stereoscopic approach to 3-D display usingcomputer-generated holograms", Applied Optics, Vol.15, No.11, pp.2722-2729(1976). Masahiro Yamaguchi, et al, "Phase added stereogram: calculationof hologram using computer graphics technique", SPIE, Vol.1914, pp.25-31(1993). 小林義章、他、"補正PASによる計算機合成ホログラムの高画質化と高速生成"、3次元画像コンファレンス、Vol.15, pp.1-4 (2007),
高速フーリエ変換および高速逆フーリエ変換の何れも、入力画像上の(M×M)個のデータを処理して出力画像上の(M×M)個のデータを得るものである。M値が大きいほど、再生時に照明光が照射された各要素ホログラムから出力される再生光の光線密度が大きくなるので、再生像が鮮明に観察され得る。それ故、M値は大きいほど好ましい。しかし、一般に、各要素ホログラムから出力される再生光の光線の数は(M×M)個に制限される。また、Mは2の冪数であるという制限もある。したがって、M値を大きくすることができず、観察される再生像を鮮明にするにも限界がある。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、より鮮明な再生像を再生し得る合成ホログラムを作成することができる方法を提供することを目的とする。
本発明に係るホログラム作成方法は、合成ホログラムを構成する複数の要素ホログラムそれぞれが記録されるべき局所領域の中心位置を仮想視点として、合成ホログラムにより再生されるべき目標再生像を透視変換して透視変換画像を作成し、この透視変換画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して要素ホログラムを作成し、複数の要素ホログラムを配列して合成ホログラムを作成する方法である。
本発明に係るホログラム作成方法は、(1) 高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像座標位置に対応する透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して第1出力画像を作成する第1ステップと、(2) 高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像座標位置に対して所定の偏差を有する位置に対応する透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して出力画像を作成し、この出力画像に対して所定の偏差に応じた補正を行って当該補正後の第2出力画像を作成する第2ステップと、(3) 第1ステップで作成された第1出力画像と第2ステップで作成された第2出力画像との和を求め、この和により得られる画像に基づいて要素ホログラムを作成する第3ステップと、(4) 第3ステップで作成された複数の要素ホログラムを配列して合成ホログラムを作成する第4ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明に係るホログラム作成方法は、第2ステップにおいて、透視変換画像の原点を含む中央領域では座標位置の輝度情報の値を0とし、透視変換画像の中央領域の外側にある周辺領域では座標位置の輝度情報を非0として、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成するのが好適である。
本発明に係るホログラム作成方法は、第2ステップにおいて、複数の所定の偏差それぞれに対応して複数の第2出力画像を作成し、第3ステップにおいて、第1ステップで作成された第1出力画像と第2ステップで作成された複数の第2出力画像との和を求め、この和により得られる画像に基づいて要素ホログラムを作成するのが好適である。
本発明によれば、要素ホログラムから出力される再生光の光線の数を増加させることができて、より鮮明な再生像を再生し得る合成ホログラムを作成することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るホログラム作成方法により作成される合成ホログラムの説明図である。同図(a)は、ホログラム記録材料に記録または呈示される合成ホログラムを説明する図である。同図(b)は、合成ホログラムを構成する各要素ホログラムを説明する図である。合成ホログラムHが記録または呈示されるホログラム記録材料は、例えば、露光または電子ビーム照射により光学的特性(透過率、反射率または位相)が調整され得る感光材料や、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光学的特性(透過率、反射率または位相)が調整され得る空間光変調器である。
合成ホログラムHは、同図(a)に示されるように、(mmax×nmax)個の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)が配列されて構成される。(mmax×nmax)個の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)は、横方向(x軸方向)にmmax列に配列され、縦方向(y軸方向)にnmax行に配列されている。各要素ホログラムH(m,n)は、位置(m,n)に配置される。なお、各要素ホログラムが記録される局所領域は、隣にある他の要素ホログラムが記録される局所領域に対して、一部が重なっていてもよいし、異なっていてもよく、また、後者の場合には、離間していてもよいし、境界が接していてもよい。
各要素ホログラムH(m,n)は、同図(b)に示されるように、(M×M)個の光変調部P(0,0)〜P(M−1,M−1)が配列されて構成される。(M×M)個の光変調部P(0,0)〜P(M−1,M−1)は、横方向(x軸方向)にM列に一定間隔Λで配列され、縦方向(y軸方向)にM行に一定間隔Λで配列されている。各光変調部P(i,j)は、位置(i,j)に配置される。各光変調部P(i,j)は、入力した光に対して強度または位相を変調して透過または反射させて出力する。各光変調部P(i,j)は、例えば、ホログラム記録材料としての感光材料において光ビームまたは電子ビームが照射される単位領域に相当し、或いは、ホログラム記録材料としての空間光変調器の画素に相当する。以下では、各光変調部P(i,j)が入力光に対して強度を変調して透過させて出力するものとして説明する。
図2は、本実施形態に係るホログラム作成方法における透視変換画像の作成を説明する図である。観察者1からホログラム面10へ向う方向を+z方向とし、ホログラム面10の位置をz=0とする。ホログラム面10は、x軸およびy軸に平行であるとする。観察者1とホログラム面10との間に目標再生像21が再生され、或いは、ホログラム面10を挟んで観察者1と反対の側に目標再生像22が再生されるとする。目標再生像21,22は、計算機により作成されたポリゴンデータにより表現される。また、以降の処理も計算機により実行される。
ホログラム面10において各要素ホログラムが記録される局所領域は、共通の大きさを有する正方形であって、隣にある他の要素ホログラムが記録される局所領域に対して境界が接しているものとする。また、この正方形の局所領域は、観察者1の目の水平分解能に近い大きさを有しているのが好ましい。この正方形の各局所領域の中心位置に仮想視点Cが設定される(図1(b)参照)。
この仮想視点Cにより目標再生像21が透視変換されてスクリーン面31上に透視変換画像41が作成される。また、仮想視点Cにより目標再生像22が透視変換されてスクリーン面32上に透視変換画像42が作成される。仮想視点Cが四角錘の頂点となり、スクリーン面31,32が該四角錘の底面となり、該四角錘の底面であるスクリーン面31,32に透視変換画像41,42が作成される。透視変換画像は、正確には仮想視点C付近のクリップした四角錐台の上面に定義されるが、底面に透視変換画像を投影したスクリーン画面も同等であるから、以降では、スクリーン面31,32に透視変換画像41,42が生じるものとして説明する。
各要素ホログラムH(m,n)における各光変調部P(i,j)の配置のピッチをΛとし、ホログラム面10への物体光の入射角をθ,θとし、隣接する光変調部Pから生じる再生光の光路長差をD,Dとしたとき、図3に示される回折の関係から、下記(1)式の関係式が成り立つ。
Figure 2010039069
仮想視点Cとスクリーン面31,32との間の距離をLとし、スクリーン面31,32における画像幅をWとし、スクリーン面31,32における画素数を(N×N)とし、スクリーン面31,32上の画素位置を(N,N)とすると、下記(2)式の関係式が成り立つ。ここで、NおよびNそれぞれは−N/2からN/2−1までの整数値をとり得る。
Figure 2010039069
物体光および再生光の波長をλとする。各要素ホログラムH(m,n)における光変調部P(i,j)の個数を(M×M)とする。すなわち、以下で実行する高速フーリエ変換および高速逆フーリエ変換は、入力画像上の(M×M)個のデータを処理して出力画像上の(M×M)個のデータを得るものとする。高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換の入力画像において画素位置を(F,F)とする。ここで、FおよびFそれぞれは−M/2からM/2−1までの整数値をとり得る。このとき、下記(3)式の関係式が成り立つ。
Figure 2010039069
上記(1)式,(2)式および(3)式から、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換の入力画像における画素位置(F,F)とスクリーン面31,32上の画素位置(N,N)との関係を表す式として、下記(4)式が得られる。
Figure 2010039069
この(4)式が用いられて、図4に示されるように、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換の入力画像における各画素位置(F,F)に対応するスクリーン面31,32上の画素位置(N,N)が求められる。そして、そのスクリーン面31,32上の透視変換画像41,42の画素位置(N,N)の輝度情報が、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。
本実施形態に係るホログラム作成方法では、ここまで説明したように、合成ホログラムHを構成する複数の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)それぞれが記録されるべき局所領域の中心位置が仮想視点Cとされて、合成ホログラムHにより再生されるべき目標再生像21,22が透視変換されて透視変換画像41,42が作成され、この透視変換画像41,42に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換が実行されて要素ホログラムH(m,n)が作成され、複数の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)が配列されて合成ホログラムHが作成される。
本実施形態に係るホログラム作成方法は、以下に説明するような第1〜第4のステップを含む。以下では、透視変換画像の作成の為に仮想視点Cに配置されるグラフィックスカメラがMicrosoft社のDirectX(登録商標)の場合のように−z方向の透視変換を行うことができない場合について説明する。したがって、以下の第1ステップおよび第2ステップそれぞれの説明では、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21の場合と、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22の場合とに分ける。
先ず、本実施形態に係るホログラム作成方法の第1ステップについて説明する。第1ステップでは、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像の座標位置(F,F)に対応する透視変換画像41,42の座標位置(N,N)の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像が作成され、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換が実行されて第1出力画像が作成される。
第1ステップにおいて、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21に対する処理は以下のとおりである。z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21は、同じくz座標値が負の領域(z<0)にいる観察者1により、ホログラム面10から手前に浮き出して観察される。透視変換画像41の作成の際には、グラフィックスカメラは+z方向にセットされる。また、目標再生像21は仮想視点Cを中心とする点対称行列が作用されてz座標値が正の領域(z>0)に移動され、この移動後の目標再生像が透視変換される。
この透視変換の際の隠面消去としては、実際の観察者1に近いポリゴンデータが残され、遠いポリゴンデータが上書き消去される。そのために、ホログラム面10からポリゴンデータまでの距離を記憶するzバッファの比較モードは遠方モードとされる。これにより、点対称行列によりz座標値が正の領域に移動された目標再生像のうち、実際の観察者1に近いポリゴンデータ(すなわち、z値としては大きい遠方のポリゴンデータ)が優先して残される。また、透視変換されるポリゴン面は通常とは反対側の面となるので、そのポリゴン面のうち観察される側の面を示すカリングは反転モードとされる。
透視変換により得られた透視変換画像41は、保存され、後述する第1ステップにおけるz座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する処理の際にマスク画像として用いられる。また、透視変換画像41の中心位置を回転中心点とし180度回転させることで、OpenGL(登録商標)のようにグラフィックスカメラが−z方向に配置されて透視変換されて得られた透視変換画像と同一となる。
以上のようにして、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21に対する透視変換画像41が得られる。そして、上記(4)式が用いられて、高速逆フーリエ変換の入力画像における各画素位置(F,F)に対応するスクリーン面31上の画素位置(N,N)が求められる。さらに、そのスクリーン面31上の透視変換画像41の画素位置(N,N)の輝度情報が、高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。
この高速逆フーリエ変換の入力画像の各画素位置(F,F)の輝度情報は、実数成分Re(F,F)および虚数成分Im(F,F)を含み、或いは、振幅情報Am(F,F)および位相情報Ph(F,F)を含む。これらの間には下記(5)式の関係がある。これらのうち振幅情報Am(F,F)に上記入力画像情報が用いられる。また、位相情報Ph(F,F)については、全ての画素位置(F,F)の位相を値0としてもよいし、位相をランダムに分布させてもよいし、或いは、隣接画素位置の間の位相差をπ/4までに抑制して位相をランダムに分布させてもよい。
Figure 2010039069
この入力画像に基づいて高速逆フーリエ変換が実行されて出力画像が作成される。この出力画像は、目標再生像21に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表すもので、実数成分Re(F,F)および虚数成分Im(F,F)を含む。
また、この第1出力画像は、後述する第2ステップにおける処理の際の位相補正操作のために、下記(6)式のように振幅情報Am(F,F)および位相情報Ph(F,F)に変換される。
Figure 2010039069
第1ステップにおいて、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する処理は以下のとおりである。z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22は、z座標値が負の領域(z<0)にいる観察者1により、ホログラム面10より遠い位置に観察される。透視変換画像42の作成の際には、グラフィックスカメラは+z方向にセットされて、z座標値が正の領域(z>0)の透視変換が行われる。
この透視変換の際の隠面消去としては、実際の観察者1に近いポリゴンデータが残され、遠いポリゴンデータが上書き消去される。そのために、ホログラム面10からポリゴンデータまでの距離を記憶するzバッファの比較モードを近接モードとされる。これにより、z座標値が正の領域(z>0)に存在して観察者1に近いポリゴンデータ(すなわち、z値としては小さい近接のポリゴンデータ)が優先して残される。また、透視変換されるポリゴン面は観察者1を向く面となるので、そのポリゴン面のうち観察される側の面を示すカリングは通常モードとされる。
ただし、このままでは、ここで得られる透視変換画像42は、既に得られた透視変換画像41と重なる。そこで、既に得られた透視変換画像41がマスク画像として用いられて、今の場合の透視変換の際の座標位置において透視変換画像41の画素の存否が調べられ、透視変換画像41の画素が存在する場合には透視変換が中止され或いは透視変換画像42における画素値が0とされる。
以上のようにして、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する透視変換画像42が得られる。そして、上記(4)式が用いられて、高速フーリエ変換の入力画像における各画素位置(F,F)に対応するスクリーン面32上の画素位置(N,N)が求められる。さらに、そのスクリーン面32上の透視変換画像42の画素位置(N,N)の輝度情報が、高速フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。
この高速フーリエ変換の入力画像の各画素位置(F,F)の輝度情報は、実数成分Re(F,F)および虚数成分Im(F,F)を含み、或いは、振幅情報Am(F,F)および位相情報Ph(F,F)を含む。これらの間には上記(5)式の関係がある。これらのうち振幅情報Am(F,F)に上記入力画像情報が用いられる。また、位相情報Ph(F,F)については、全ての画素位置(F,F)の位相を値0としてもよいし、位相をランダムに分布させてもよいし、或いは、隣接画素位置の間の位相差をπ/4までに抑制して位相をランダムに分布させてもよい。
この入力画像に基づいて高速フーリエ変換が実行されて出力画像が作成される。この出力画像は、目標再生像22に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表すもので、実数成分Re(F,F)および虚数成分Im(F,F)を含む。
第1ステップでは、以上のようにして作成された目標再生像21,22それぞれに対応するホログラム面10上の物体光の波面が加算されて、第1出力画像が得られる。この第1出力画像は、目標再生像21および目標再生像22の双方に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表す。なお、目標再生像21および目標再生像22のうち一方のみが存在する場合には、その存在する目標再生像に対してのみ上記の処理が行われて第1出力画像が得られる。
次に、本実施形態に係るホログラム作成方法の第2ステップについて説明する。第2ステップでは、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像の座標位置(F,F)に対して所定の偏差θxh,θyhを有する位置に対応する透視変換画像41,42の座標位置(N,N)の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像が作成され、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換が実行されて出力画像が作成され、この出力画像に対して偏差θxh,θyhに応じた補正が行われて当該補正後の第2出力画像が作成される。
図5に示されるように、前の第1ステップでは、透視変換画像41,42のうち2次元格子状に配置された黒丸で示される座標位置Q(N,N)の輝度情報が用いられたが、この第2ステップでは、透視変換画像41,42のうち座標位置Qに対して所定の偏差θxh,θyhを有する位置にある白丸で示される位置Q(Nxh,Nyh)の輝度情報が用いられる。すなわち、前の第1ステップでは、上記(4)式に従って、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像の座標位置(F,F)に対応する透視変換画像41,42の座標位置Q(N,N)の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像が作成された。これに対して、この第2ステップでは、透視変換画像41,42のうち座標位置Qに対して偏差θxh,θyhを有する位置Q(Nxh,Nyh)の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像が作成される。
第2ステップにおいて、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21に対する処理は以下のとおりである。透視変換画像41において、第1ステップで用いられた座標位置Q(N,N)に対して偏差θxh,θyhを有する位置Q(Nxh,Nyh)が設定される。この第2ステップで用いられる位置Q(Nxh,Nyh)は、前の第1ステップで用いられた座標位置Q(N,N)に対応付けられ、さらに、上記(4)式により、高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)に対応付けられている。
透視変換画像41の位置Q(Nxh,Nyh)の輝度情報が、高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。そして、第1ステップと同様にして、この入力画像に基づいて高速逆フーリエ変換が実行されて出力画像が作成される。この出力画像は、目標再生像21に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表す。
ただし、上記のようにして得られる出力画像は、目標再生像21に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表すものではあるものの、その波面は、位置Q(Nxh,Nyh)へ向うものではなく、高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)に対応付けられる位置Q(N,N)へ向うものである。そこで、この出力画像に対して偏差θxh,θyhに応じた補正が行われて当該補正後の出力画像が作成される。この補正操作は、くさび形のガラス板で与えられる光線方向の偏向に例えられる。
この補正操作では、偏差θxh,θyhに対して下記(7)式で与えられる隣接光変調部間の位相差φxh,φyhが、各要素ホログラムH(m,n)の各光変調部P(i,j)に加えられる。すなわち、出力画像のうち光変調部P(0,0)の位相が基準とされたときに、その出力画像のうち光変調部P(i,j)の情報に対して、下記(8)式で表される位相が加えられる。このようにして、補正後の出力画像が得られる。
Figure 2010039069
Figure 2010039069
第2ステップにおいて、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する処理は以下のとおりである。透視変換画像42において、第1ステップで用いられた座標位置Q(N,N)に対して偏差θxh,θyhを有する位置Q(Nxh,Nyh)が設定される。この第2ステップで用いられる位置Q(Nxh,Nyh)は、前の第1ステップで用いられた座標位置Q(N,N)に対応付けられ、さらに、上記(4)式により、高速フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)に対応付けられている。
透視変換画像42の位置Q(Nxh,Nyh)の輝度情報が、高速フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。そして、第1ステップと同様にして、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換が実行されて出力画像が作成される。この出力画像は、目標再生像22に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表す。
ただし、上記のようにして得られる出力画像は、目標再生像22に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表すものではあるものの、その波面は、位置Q(Nxh,Nyh)へ向うものではなく、高速フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)に対応付けられる位置Q(N,N)へ向うものである。そこで、この出力画像に対して偏差θxh,θyhに応じた補正が行われて当該補正後の出力画像が作成される。この補正操作は、上記(7)式および(8)式による前述の補正操作と同様である。
第2ステップでは、以上のようにして偏差θxh,θyhに応じた補正がなされて作成された目標再生像21,22それぞれに対応するホログラム面10上の物体光の波面が加算されて、第2出力画像が得られる。この第2出力画像は、目標再生像21および目標再生像22の双方に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表す。なお、目標再生像21および目標再生像22のうち一方のみが存在する場合には、その存在する目標再生像に対してのみ上記の処理が行われて第2出力画像が得られる。この第2ステップの処理の後、第3ステップの処理が行われる。
なお、これまでの説明では、第1ステップ及び第2ステップにおいて、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21に対する処理と、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する処理とが別個に行われた。しかし、以下のようにすることで、より簡便に処理をすることが可能である。図6は、本実施形態に係るホログラム作成方法の第1ステップ及び第2ステップを説明する図である。
同図(a)に示されるように、ホログラム面10の前後に目標再生像(ポリゴンデータ)21,22が存在し、ホログラム面10の右側の領域(z座標値が負の領域)に観察者1が存在するものとする。同図(b)に示されるように、スクリーン面32における透視変換画像の情報が初期化され、zバッファ52の初期値が遠方値とされ、また、zバッファ52の比較モードが近接モードとされて、z値が小さいポリゴンデータが残され、z値が大きいポリゴンデータが上書き消去される。また、カリングは通常モードとされ、法線ベクトルが+z方向であるポリゴンデータは、背面となるので、透視変換されないようにされる。以上の設定の下で、z座標値が正の領域(z>0)に存在する目標再生像22に対する透視変換画像42が作成される。
続いて、同図(c)に示されるように、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21は、仮想視点Cを中心とする点対称行列が作用されてz座標値が正の領域(z>0)に移動され、この移動後のものが目標再生像21Aとされる。そして、同図(d)に示されるように、スクリーン面32における透視変換画像の情報が初期化されることなく、既に透視変換画像42が記録されたスクリーン面32に対して、目標再生像21Aが透視変換されて、目標再生像21Aに対する透視変換画像41が上書きされる。
この上書き透視変換の際の設定として、zバッファ52の初期値が最小値とされ、zバッファ52の比較モードが遠方モードとされ、カリングが反転モードとされる。これにより、本来、z座標値が負の領域(z<0)に存在する目標再生像21のうち観察者1に近いポリゴンデータが上書き透視変換され、観察者1の視点から観察した際に所定の隠面消去済みの透視変換画像が得られる。
このように目標再生像22に対する透視変換画像に対して目標再生像21Aに対する透視変換画像が上書きされて作成される新たな透視変換画像が用いられて、上記(4)式に従って高速逆フーリエ変換の入力画像における各画素位置(F,F)に対応する透視変換画像上の画素位置(N,N)が求められる。さらに、その透視変換画像の画素位置(N,N)の輝度情報が、高速逆フーリエ変換のための入力画像の画素位置(F,F)の輝度情報とされることで、この入力画像が作成される。
第1ステップでは、この入力画像に基づいて高速逆フーリエ変換が実行されて得られた出力画像が第1出力画像とされる。第2ステップでは、出力画像に対して偏差θxh,θyhに応じた補正がなされて第2出力画像とされる。これら第1出力画像および第2出力画像は、目標再生像21および目標再生像22の双方に対応するホログラム面10上の物体光の波面を表す。この後、第3ステップの処理が行われる。
次に、本実施形態に係るホログラム作成方法の第3ステップについて説明する。第3ステップでは、第1ステップで作成された第1出力画像と第2ステップで作成された第2出力画像との複素和が求められ、この複素和により得られる画像(物体光の波面)に基づいて要素ホログラムが作成される。以上のような第1〜第3のステップの各処理は、複数の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)それぞれについて行われる。
第3ステップでは、第1出力画像と第2出力画像との複素和により得られる画像(物体光の波面)に基づいて要素ホログラムが作成される際に、その物体光と参照光との干渉計算に替えて、物体光の出射角度に変化が与えられることで要素ホログラムが作成されてもよい。この場合について以下に説明する。
要素ホログラムの作成に際しては、ホログラム面10に入射角θxr,θyrを有する平面波の参照光として、ホログラム面10の隣接する光変調部の間の位相差φxr,φyrは下記(9)式で表される。この位相差φxr,φyrは、合成ホログラムHの全体に亘って考慮されなければならない。したがって、要素ホログラムH(0,0)の光変調部P(0,0)における参照光の位相が基準とされたとき、要素ホログラムH(m,n)の光変調部P(i,j)における参照光の位相は下記(10)式で与えられる。参照光の振幅を物体波面の振幅と等しいと仮定すると、要素ホログラムH(m,n)の光変調部P(i,j)のホログラムは下記(11)式で表される。
Figure 2010039069
Figure 2010039069
Figure 2010039069
そして、続く第4ステップでは、第3ステップで作成された複数の要素ホログラムH(0,0)〜H(mmax−1,nmax−1)が配列されて合成ホログラムHが作成される。このようにして作成された合成ホログラムHでは、各要素ホログラムから出力される再生光の光線の数を増加させることができて、より鮮明な再生像を再生し得る。
以上のようにして作成された合成ホログラムHは、ホログラム記録材料(例えば、感光材料、空間光変調器、など)に記録または呈示される。この提示または記録の際に、負の成分が表現できないので、ホログラム面10の全面の光変調部Pの全てについて振幅情報に適当な正定数を加えて、振幅情報を正の成分のみとする。さらに、ホログラム記録材料が2値化の表現をとる場合には、振幅情報が負である成分を0とし、振幅情報が正である成分を1としてもよい。
このような2値化は電子ビーム描画ホログラムに適している。電子ビーム描画ホログラムでは、走査型電子顕微鏡などと同様に磁場や静電場が用いられて、10nmオーダのサイズに電子ビームが収束され、かつ、精度よく電子ビームが偏向されて、毎秒1m程度の速度で電子ビーム描画が行われ得る。
電子ビームに露光するレジスト(例えば、膜厚300nmのPMMA)がガラス基板に塗布され、電子ビームによりホログラムが描画された後に、このガラス基板が温度23℃のMIBKの現像液に浸されることで、描画したパターンに応じた凹凸が形成される。なお、PMMAは、露光された部分が現像液で溶解するポジ型のものである。
ホログラムの大量生産に際しては、上記のような凹凸が形成されたガラス基板にニッケルメッキが施されて、これがマスターの型とされる。このマスターの型が用いられて、樹脂材料等に凹凸が写し取られ、さらに、この樹脂材料の凹凸形成面にアルミメッキが施され反射率が高められて完成品とされる。或いは、ガラス基板上のレジストへの露光が増加されることで、現像後の露光部が完全にレジストが除去された状態とされ、フッ化水素等でガラス基板に凹部が形成され、レジスト残留部は状態維持とされて凹凸形成が行われ、これによりホログラムが完成されるのも好適である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第2ステップにおいて、透視変換画像の原点を含む中央領域では座標位置の輝度情報の値が0とされ、透視変換画像の中央領域の外側にある周辺領域では座標位置の輝度情報が非0とされて、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像が作成されるのも好適である。これは、特に、各要素ホログラムH(m,n)における各光変調部P(i,j)の配置のピッチΛが波長λ程度以下である場合に、物体光の発散角が大きい領域では等角度間隔の発散角度は期待され得ない場合に有効である。
また、第2ステップにおいて、複数の所定の偏差それぞれに対応して複数の第2出力画像が作成され、第3ステップにおいて、第1ステップで作成された第1出力画像と第2ステップで作成された複数の第2出力画像との複素和が求められ、この複素和により得られる画像に基づいて要素ホログラムが作成されるのも好適である。この場合には、各要素ホログラムから出力される再生光の光線の数を更に増加させることができて、更に鮮明な再生像を再生し得る合成ホログラムを作成することができる。
本実施形態に係るホログラム作成方法により作成される合成ホログラムの説明図である。 本実施形態に係るホログラム作成方法における透視変換画像の作成を説明する図である。 回折現象を説明する図である。 本実施形態に係るホログラム作成方法における高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像の作成を説明する図である。 本実施形態に係るホログラム作成方法の第2ステップを説明する図である。 本実施形態に係るホログラム作成方法の第1ステップ及び第2ステップを説明する図である。
符号の説明
10…ホログラム面、21,22…目標再生像、31,32…スクリーン面、41,42…透視変換画像。

Claims (3)

  1. 合成ホログラムを構成する複数の要素ホログラムそれぞれが記録されるべき局所領域の中心位置を仮想視点として、前記合成ホログラムにより再生されるべき目標再生像を透視変換して透視変換画像を作成し、この透視変換画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して要素ホログラムを作成し、複数の要素ホログラムを配列して前記合成ホログラムを作成する方法であって、
    高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像座標位置に対応する前記透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して第1出力画像を作成する第1ステップと、
    高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像座標位置に対して所定の偏差を有する位置に対応する前記透視変換画像の座標位置の情報に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成し、この入力画像に基づいて高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換を実行して出力画像を作成し、この出力画像に対して前記所定の偏差に応じた補正を行って当該補正後の第2出力画像を作成する第2ステップと、
    前記第1ステップで作成された前記第1出力画像と前記第2ステップで作成された前記第2出力画像との和を求め、この和により得られる画像に基づいて要素ホログラムを作成する第3ステップと、
    前記第3ステップで作成された複数の要素ホログラムを配列して前記合成ホログラムを作成する第4ステップと、
    を備えることを特徴とするホログラム作成方法。
  2. 前記第2ステップにおいて、前記透視変換画像の原点を含む中央領域では座標位置の輝度情報の値を0とし、前記透視変換画像の前記中央領域の外側にある周辺領域では座標位置の輝度情報を非0として、高速フーリエ変換または高速逆フーリエ変換のための入力画像を作成する、ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
  3. 前記第2ステップにおいて、複数の前記所定の偏差それぞれに対応して複数の前記第2出力画像を作成し、
    前記第3ステップにおいて、前記第1ステップで作成された前記第1出力画像と前記第2ステップで作成された複数の前記第2出力画像との和を求め、この和により得られる画像に基づいて要素ホログラムを作成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
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