JP2010038722A - X線回折装置およびx線回折方法 - Google Patents

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Takeyoshi Taguchi
武慶 田口
Akira Tsukiyama
昭 築山
Masaru Kuribayashi
勝 栗林
Kazuyuki Matsushita
一之 松下
Takeo Tajima
武雄 田島
Takeshi Fujinawa
剛 藤縄
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Abstract

【課題】エネルギー分解能が良好な1次元の位置感応型X線検出器を用いることで、受光側にモノクロメータを配置することなく、蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減する。
【解決手段】入射X線28と回折X線30とのなす角度を変更しながら試料20からの回折X線30の強度をX線検出器10で検出する。X線検出器10はシリコン・ストリップ検出器であり、細長く延びる単位検出領域を複数個備えている1次元の位置感応型検出器である。この検出器は、受光したX線のうち、そのX線エネルギーが上限値と下限値の間にあるものだけを弁別する機能を備えている。CuKαにおけるエネルギー分解能は20%以下である。上述の上限値と下限値を適切に設定することで、蛍光X線の大半をカウントしないようにすることができて、本来の回折X線の強度をあまり下げずに、バックグラウンドを大幅に下げることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、受光側にモノクロメータを配置することなく蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減できるX線回折装置およびX線回折方法に関するものである。
CuKα線を用いて試料のX線回折測定を行うX線回折装置において、試料の中にFe(鉄)元素が含まれていると、Feの蛍光X線が励起されて、これが検出X線の中に紛れ込むという問題がある。この場合、測定データのバックグラウンドが高くなり、測定データの精度が悪くなる。
この種のバックグラウンドを低減する方法として、回折X線の経路の途中に(すなわち、試料とX線検出器の間に)モノクロメータを挿入することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平4−198745号公報
そのほかのバックグラウンド低減方法としては、冷却型の半導体検出器を使用することや、Feの蛍光X線を励起しないエネルギーのX線(例えば、CrターゲットのX線管から放出されるX線)を使うこと、などが知られている。
モノクロメータを使う方法は、モノクロメータを追加購入することや、モノクロメータの取付作業および調整作業が必要になる、という問題がある。また、モノクロメータを使うことにより本来の測定対象の回折X線の強度も減少してしまう、という問題もある。
冷却型の半導体検出器を使う方法は、高価であることのほかに、サイズが大きいので取付スペースについての物理的な制約があることや、数え落としが生じること、などの問題がある。
Feの蛍光X線を励起しないエネルギーのX線を使う方法は、新たにX線管球を購入しなければならず、また、管球交換作業とその調整作業の手間がかかる、という問題がある。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、受光側にモノクロメータを配置することなく、蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減できるX線回折装置およびX線回折方法を提供することにある。
本発明のX線回折装置は、(a)X線源と、(b)測定対象の試料を保持する試料台と、(c)X線検出器と、(d)前記X線源から前記試料に向かう入射X線と前記試料から前記X線検出器に向かう回折X線とのなす角度を変更できるように、前記X線源と前記試料台と前記X線検出器との相対位置関係を変更させるゴニオメータとを備えるものである。そして、次の特徴を備えている。(e)前記X線検出器は、細長く延びる単位検出領域を複数個備えていて、これらの単位検出領域が互いに平行に配置されていて、前記単位検出領域のそれぞれはX線の受光に応じて電気的な出力信号を出力できるものである。(f)前記X線検出器は、前記単位検出領域からの前記出力信号を処理する検出回路を備えていて、この検出回路は、前記単位検出領域が受光したX線のうち、そのX線エネルギーが上限値と下限値の間にあるものだけを弁別するエネルギー弁別機能を備えていて、かつ、前記上限値と前記下限値を設定する機能を備えている。(g)前記X線検出器のエネルギー分解能は、前記複数個の単位検出領域の全てにおいて、CuKαのX線エネルギーにおいて20%以下である。
本発明のX線回折方法は、X線源から試料に向かう入射X線と前記試料からX線検出器に向かう回折X線とのなす角度を変更しながら前記試料からの回折X線の強度を検出するものである。そして、次の特徴を備えている。前記X線検出器は、細長く延びる単位検出領域を複数個備えていて、これらの単位検出領域が互いに平行に配置されていて、前記単位検出領域のそれぞれはX線の受光に応じて電気的な出力信号を出力できるものである。前記X線検出器は、前記単位検出領域からの前記出力信号を処理する検出回路を備えていて、この検出回路は、前記単位検出領域が受光したX線のうち、そのX線エネルギーが上限値と下限値の間にあるものだけを弁別するエネルギー弁別機能を備えていて、かつ、前記上限値と前記下限値を設定する機能を備えている。前記X線検出器のエネルギー分解能は、前記複数個の単位検出領域の全てにおいて、CuKαのX線エネルギーにおいて20%以下である。
本発明のX線回折方法は、蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減することに用いると効果的である。すなわち、前記上限値と前記下限値を適切に設定することにより、前記回折X線の経路の途中にモノクロメータを配置することなく、前記試料に含まれる物質から発生する蛍光X線に起因するノイズ信号に対する、前記試料に含まれる測定対象物質の回折現象に基づく有効信号の比率を向上させることができる。この場合、「蛍光X線を発生する物質」と「測定対象の物質」は、同じものであってもよいし、違うものであってもよい。
本発明によれば、受光側にモノクロメータを配置することなく、X線検出器のエネルギー弁別の上限値と下限値を適切に設定することで、蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減できて、精度の高い測定データを得ることができる。エネルギー弁別の上限値と下限値を変えるためには、単に検出器の設定変更だけで済む。本発明を用いると、蛍光X線の除去のために、モノクロメータを取り付けたり、X線管球を交換したり、といった作業を必要としない利点がある。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。図1は本発明のX線回折装置で使用するX線検出器の概略の構成図である。このX線検出器10はシリコン・ストリップ検出器(Silicon Strip Detector: SSD)と呼ばれるものである。このX線検出器10は検出素子12と検出回路14からなる。検出素子12は複数の細長い単位検出領域16を備えている。単位検出領域16はX方向に細長く延びている。そのサイズは、例えば、長さLが約20mmで、幅Wが約0.1mmである。これらの単位検出領域16が互いに平行に配置されている。すなわち、複数の単位検出領域16がY方向(X方向に垂直な方向)に向かって隣り合わせに並んでいる。単位検出領域16の個数は約100個である。このX線検出器はY方向の検出位置を区別できる1次元の位置感応型検出器である。
それぞれの単位検出領域16は検出回路14に接続されている。単位検出領域16は、X線の光子をひとつずつ検出する機能があり、かつ、受光したX線のエネルギーに応じた電気信号を出力する。検出回路14は、エネルギー弁別機能により、単位検出領域16の出力信号のうち、所定の上限値と下限値の間のX線エネルギーに相当する信号だけを取り込む。すなわち、そのような信号だけをカウントする。X線エネルギーの上限値と下限値はオペレータが任意に設定することができる。この検出回路14は、この検出器専用に開発された集積回路を備えていて、その回路の優秀性が、エネルギー弁別機能における優れたエネルギー分解機能を発揮している。
図2は本発明のX線回折装置の概略の斜視図である。水平な試料台18の上には試料20を水平に載せることができる。ゴニオメータの回転中心線22は試料20の表面を通過していて水平に延びている。X線源24と発散スリット26は入射側のアーム(図示せず)に搭載されていて、この入射側のアームはゴニオメータの回転中心線22の周りを回転できる。X線源24は、Cuターゲットを備えるX線管のX線焦点である。使用したX線管は封入管であり、そのX線焦点のサイズは0.1mm×10mmで、ライン状のX線ビーム28を放出する。一方、X線検出器10は受光側のアーム(図示せず)に搭載されていて、この受光側のアームも回転中心線22の周りを回転できる。試料20のX線回折パターンを測定するには、X線源24を図2の時計方向にθ回転させ、これと同期して、X線検出器10を反時計方向にθ回転させて、回折角度2θに応じた回折X線強度をX線検出器10を用いて記録する。
このX線回折装置は集中法の光学系を採用している。回転中心線22からX線源24までの距離(ゴニオメータ半径)は285mmであり、回転中心線22からX線検出器10のY方向の中心位置までの距離も同様に285mmである。X線ビーム28(入射X線)は、発散スリット26によって所定の発散角となるように制限されて、試料20の表面に角度θで入射する。試料20の表面上の各領域で回折した回折X線30は、試料20の表面に対して角度θをなす方向において、X線検出器10のY方向の中心位置で集束する。X線検出器10はY方向(θ回転方向)の検出位置を区別できる1次元の位置感応型検出器であり、それゆえに、検出器の手前に受光スリットを設ける必要はない。
Y方向に位置感応型のX線検出器をY方向にスキャンしながら回折パターンを測定するときの測定原理を、図3を参照して説明する。説明を簡略化するために、検出素子12は4個の単位検出領域をY方向に並べてあるものと仮定する。すなわち、Y方向に4チャンネルに区分された1次元の位置感応型の検出器である。そして、回折角度2θについて40度から75度までの範囲をスキャンするものと仮定する。最初に、検出素子12の第1チャンネルc1が、ちょうど2θ=40.00度のところにくるように、ゴニオメータを調整する。測定開始時刻をt1とする。このt1の時刻から、所定の測定時間Δtだけ、検出素子12を用いてX線を検出する。第1チャンネルc1は2θ=40.00度のところにやってくる回折X線をカウントする。そして、このカウントデータは40.00度に対応するメモリ領域に保存される。第2チャンネルc2は2θ=39.98度の回折X線をカウントし、それはその角度に対応するメモリ領域に保存される。同様にして、第3チャンネルc3は2θ=39.96度の回折X線をカウントし、第3チャンネルc4は39.94度の回折X線をカウントする。
所定時間Δtが経過したら、検出素子12を2θ=0.02度に相当する距離だけ矢印31のようにY方向に移動させる。この移動は、図2においてX線検出器10を0.01度だけ反時計方向に回転させ、それと同期して、X線源24を時計方向に0.01度だけ回転させることに相当する。そして、時刻t2から所定時間Δtだけ回折X線を検出する。時刻t2では、時刻t1のときと比較して、検出素子12は2θ=0.02度だけY方向に進んでいるので、第1チャンネルc1は2θ=40.02度の回折X線をカウントする。そのデータは40.02度に対応するメモリ領域に保存される。第2チャンネルc2は2θ=40.00度の位置にあり、その測定データは、40.00度に対応するメモリ領域に保存される。したがって、40.00度のメモリ領域には、時刻t1のときの第1チャンネルc1の測定データと、時刻t2のときの第2チャンネルc2の測定データとが加算されて保存される。以下、同様にして、各時刻における4つのチャンネルの測定データが、そのチャンネルが位置する2θの角度に対応するメモリ領域に加算されていく。その結果、各メモリ領域に4個の測定データが加算されて保存される。例えば、2θ=40.00度に対応するメモリ領域には、時刻t1のときの第1チャンネルc1の測定データと、時刻t2のときの第2チャンネルc2の測定データと、時刻t3のときの第3チャンネルc3の測定データと、時刻t4のときの第4チャンネルc4の測定データとが加算されて保存される。実際の検出素子は例えば100チャンネルを備えているので、100個の測定データが加算されて保存されることになる。このように多チャンネルの測定データを加算して回折パターンを測定できるので、「位置感応型でないX線検出器を用いて受光スリットで絞って回折パターンを測定する場合」と比較すると、回折X線の検出強度を高めることができる。
上述の測定原理の説明では、ステップスキャンを例にして説明しているが、連続スキャンを採用しても同様に測定できる。すなわち、検出素子をY方向に連続的に動かしながら回折パターンを測定することもできる。その場合は、例えば、第1チャンネルc1の前端が2θ=40.00度に達した時点から、第1チャンネルc2の後端が2θ=40.00度に達した時点までに取り込んだ測定データを、40.00度での測定データとする、などの処理をすればよい。
次に、測定結果を説明する。図4は図2のX線回折装置を用いて、鉄板からなる試料2についてX線回折測定をしたときの回折パターンのグラフである。上方のパターン32は、X線検出器の検出回路のエネルギー弁別機能の波高値の下限値を35に、上限値を65に設定したときの回折パターンである。なお、下限値と上限値の「数値」は、実施例で用いたエネルギー弁別器を構成するD/A変換器に実際に設定される数値を表している。これらの数値はX線エネルギーに相当するものであるが、その数値とX線エネルギーとの関係についてはX線検出器に固有のものであって、検出器ごとに異なっている。下方のパターン34は、下限値を48に、上限値を65に設定したときの回折パターンである。どちらも、回折角度2θ=40〜75度の範囲を、毎分40度のスキャン速度で測定したものである。したがって、それぞれの回折パターンを測定するのに要した時間は1分未満である。回折X線の検出強度が大きいので、このように高速スキャンをしても、十分な強度の回折パターンを取得することができる。
上方のパターン32に含まれるものは、主として、CuKα線がFeの結晶によって回折したときの回折ピーク(X線のエネルギーとしてはCuKα線である)と、CuKα線によってFeが励起されて、そこから発生した蛍光X線(FeKα線とFeKβ線)に起因するバックグラウンドである。下方のパターン34にも同様の回折ピークとバックグラウンドが含まれる。二つのパターンを比較すると、上方のパターン32は、回折ピークの信号強度と比較してバックグラウンドが非常に大きくなっている。このパターンはシンチレーション検出器を使って測定した結果とほぼ等しい。これに対して、下方のパターン34は、回折ピークの信号強度と比較してバックグラウンドが相対的に小さくなっている。その理由は、下方のパターン34では、エネルギー弁別の下限値(48)が上方のパターン32と比較して高く設定されているので、Feの蛍光X線の大半が下限値によって遮断されてカウントされていないからである。本発明の実施例で使用したX線検出器はCuKαにおけるエネルギー分解能が13%のものである。
図5は図4に示した二つのパターン32,34について、2θ=40〜55度の範囲を拡大して示したグラフである。最大の回折ピークについて、ピーク強度(P)とバックグラウンド強度(B)の比率P/Bを求めてみると、図6に示すように、上方のパターンはP1/B1=0.66であり、これに対して、下方のパターンはP2/B2=7.3である。下方のパターンは、上方のパターンと比較して、P/B比が約11倍も向上している。このように、エネルギー弁別範囲を狭くすることで、蛍光X線に起因するバックグラウンドを低減できて、P/B比を大幅に向上させることができた。
次に、バックグラウンドに伴う誤差の伝播について説明する。測定されたX線の計数値(カウント数)をNとすると、この計数値はランダム現象に伴う分布をもち、その標準偏差はNの平方根で与えられる。これを統計誤差と呼んでいる。回折ピークのデータがバックグラウンドを伴っている場合、回折ピーク(バックグラウンドを含まない真の測定データ)の標準偏差σPは、誤差の伝播理論に基づいて、図11の(1)式で示される。すなわち、回折ピークの標準偏差は、バックグラウンドの標準偏差の影響を受ける。図5のグラフの回折ピークの裾の部分を拡大して示したグラフである図7を用いて説明すると、上方のパターン(バックグラウンドの大きいもの)の測定データの標準偏差σPは、下方のパターン(バックグラウンドの小さいもの)の測定データの標準偏差σPよりも小さくなる。回折パターンのプロファイルを見ても、上方のパターンと比較して、下方のパターンの方が滑らかであり、バックグラウンドに起因する検出強度のばらつきが小さくなっている。上方のパターンについて、バックグランドを演算処理によって引き算したとしても、バックグラウンドの標準偏差が測定データの標準偏差に影響を及ぼすことについては引き算前と同じである。これに対して、本発明のように、最初から小さいバックグラウンドとなるように測定をすれば、測定データの標準偏差は小さくなる。
ところで、受光側にモノクロメータを挿入しても蛍光X線に起因するバックグラウンドを大幅に低下させることができる。本発明のように複数の検出領域をもつX線検出器を用いる場合には、試料からの回折X線を測定する角度(θ)方向にX線ビームを回折する従来型のモノクロメータの設置は困難なので、他の方向に(例えば、90°異なる方向に)X線ビームを回折するようなモノクロメータが従来から使われている。しかし、この場合は、測定すべき回折X線の強度も約1/20に下がってしまう。これに対して、エネルギー弁別機能を用いて蛍光X線を除去すると、図6の下方のパターンの回折ピーク強度P2は、上方のパターンの回折ピーク強度P1の85%程度の低下にとどまっている。したがって、エネルギー弁別機能を用いて蛍光X線を除去することで、回折ピーク強度を保ちながら、バックグランドを大幅に下げることができる。
図8と図9はエネルギー弁別により蛍光X線を除去できることを説明するグラフである。図8のグラフの横軸はX線検出器のエネルギー値(波高値)であり、縦軸は検出器に入射するX線の強度である。曲線36はCuKα線(回折測定に使用したX線)のスペクトルである。曲線38はFeKα線、曲線40はFeKβ線のスペクトルであり、いずれも、妨害線となるFeの蛍光X線のスペクトルである。図10は図8のグラフについて波高値が30〜60の範囲を拡大して示したものである。図9に示すように、エネルギー弁別の波高値を35〜65の範囲に設定すると、図4の上方のパターンが得られて、このときは、図9から明らかなように、FeKα線とFeKβ線の大半も、X線検出器で検出されることになる。したがって、Feの蛍光X線の大半がバックグラウンドとして検出される。これに対して、エネルギー弁別の波高値を48〜65の範囲に設定すれば(すなわち、下限値を48に設定すれば)、図4の下方のパターンが得られて、このときは、図9から明らかなように、FeKα線とFeKβ線のかなりの部分がエネルギー弁別機能により遮断されて、カウントされないことになる。したがって、Feの蛍光X線に起因するバックグラウンドが小さくなる。
エネルギー弁別機能のあるシリコン・ストリップ検出器は、すでに市販されているが、そのエネルギー分解能は30%程度であり、蛍光X線に起因するバックグラウンドを信頼性良く低下させるには不十分である。これに対して、本発明のようにエネルギー分解能の良好なX線検出器を使うことで、バックグラウンドの影響が少ない優れた測定データを得ることができる。
本発明のX線回折装置で使用するX線検出器の概略の構成図である。 本発明のX線回折装置の概略の斜視図である。 測定原理の説明図である。 2種類の回折パターンのグラフである。 図4に示す回折パターンの一部を拡大したグラフである。 図5の回折パターンのP/B比を説明するグラフである。 図5の回折パターンのピークの裾の部分を拡大して示したグラフである。 エネルギー弁別により蛍光X線を除去できることを説明するグラフである。 エネルギー弁別により蛍光X線を除去できることを説明する別のグラフである。 図9のグラフの一部を拡大したグラフである。 バックグラウンドに伴う誤差の伝播に関する数式である。
符号の説明
10 X線検出器
12 検出素子
14 検出回路
16 単位検出領域
18 試料台
20 試料
22 ゴニオメータの回転中心線
24 X線源
26 発散スリット
28 X線ビーム(入射X線)
30 回折X線

Claims (3)

  1. (a)X線源と、
    (b)測定対象の試料を保持する試料台と、
    (c)X線検出器と、
    (d)前記X線源から前記試料に向かう入射X線と前記試料から前記X線検出器に向かう回折X線とのなす角度を変更できるように、前記X線源と前記試料台と前記X線検出器との相対位置関係を変更させるゴニオメータと、
    を備えるX線回折装置において、
    (e)前記X線検出器は、細長く延びる単位検出領域を複数個備えていて、これらの単位検出領域が互いに平行に配置されていて、前記単位検出領域のそれぞれはX線の受光に応じて電気的な出力信号を出力できるものであり、
    (f)前記X線検出器は、前記単位検出領域からの前記出力信号を処理する検出回路を備えていて、この検出回路は、前記単位検出領域が受光したX線のうち、そのX線エネルギーが上限値と下限値の間にあるものだけを弁別するエネルギー弁別機能を備えていて、かつ、前記上限値と前記下限値を設定する機能を備えており、
    (g)前記X線検出器のエネルギー分解能は、前記複数個の単位検出領域の全てにおいて、CuKαのX線エネルギーにおいて20%以下である、
    ことを特徴とするX線回折装置。
  2. X線源から試料に向かう入射X線と前記試料からX線検出器に向かう回折X線とのなす角度を変更しながら前記試料からの回折X線の強度を検出するX線回折方法において、
    前記X線検出器は、細長く延びる単位検出領域を複数個備えていて、これらの単位検出領域が互いに平行に配置されていて、前記単位検出領域のそれぞれはX線の受光に応じて電気的な出力信号を出力できるものであり、
    前記X線検出器は、前記単位検出領域からの前記出力信号を処理する検出回路を備えていて、この検出回路は、前記単位検出領域が受光したX線のうち、そのX線エネルギーが上限値と下限値の間にあるものだけを弁別するエネルギー弁別機能を備えていて、かつ、前記上限値と前記下限値を設定する機能を備えており、
    前記X線検出器のエネルギー分解能は、前記複数個の単位検出領域の全てにおいて、CuKαのX線エネルギーにおいて20%以下である、
    ことを特徴とするX線回折方法。
  3. 請求項2に記載のX線回折方法において、前記上限値と前記下限値を適切に設定することにより、前記回折X線の経路の途中にモノクロメータを配置することなく、前記試料に含まれる物質から発生する蛍光X線に起因するノイズ信号に対する、前記試料に含まれる測定対象物質の回折現象に基づく有効信号の比率を向上させることを特徴とするX線回折方法。
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