JP2010035834A - 骨形成用キットおよび骨形成用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイドロキシアパタイトの前駆体であるOCPに代表される燐酸カルシウムとコラーゲンに代表される生分解性高分子との複合体を人工骨材料として用い、骨、特に歯科領域の歯槽骨や整形外科領域の長管骨等の皮質骨が達成できるようにする。
【解決手段】前記人工骨材料と、前記骨形成材料を囲繞するものであって、皮膚及び骨膜を縫合したとき、該縫合したことによる圧力を前記骨形成材料が受けない状態で骨形成ができるようにするための保護基材を設けた骨形成用キットを提供することにより、骨、特に歯科領域の歯槽骨や整形外科領域の長管骨等の皮質骨の形成を促す。
【選択図】図3
【解決手段】前記人工骨材料と、前記骨形成材料を囲繞するものであって、皮膚及び骨膜を縫合したとき、該縫合したことによる圧力を前記骨形成材料が受けない状態で骨形成ができるようにするための保護基材を設けた骨形成用キットを提供することにより、骨、特に歯科領域の歯槽骨や整形外科領域の長管骨等の皮質骨の形成を促す。
【選択図】図3
Description
本発明は、ハイドロキシアパタイトの前駆体である燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体を用いて歯科領域の歯槽骨や整形外科領域の長管骨等の皮質骨を形成することができる骨形成用キットおよび骨形成用治具の技術分野に属するものである。
今日、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2:以下「HA」と略記する)の前駆体である第8燐酸カルシウム(Ca8H2(PO4)6・5H2O:以下「OCP」と略記する)は、優れた骨伝導能を有すること(非特許文献1)、破骨細胞による吸収性を有すること(非特許文献2)、そして用量依存的に骨芽細胞の分化を促進すること(非特許文献3)が知られている。そしてOCPとコラーゲンとの複合体は、形態付与性を備えた歯槽骨形成材料(人工骨材料)であることが知られている(例えば特許文献1参照)。また、HAの前駆体である非晶質燐酸カルシウム(Ca3(PO4)2・nH2O:以下「ACP」と略記する)についてもOCPと同様の性質があることが報告されている(非特許文献1及び非特許文献4参照)。さらにまた、同じくHAの前駆体である第二燐酸カルシウム(第2燐酸カルシウム無水物(CaHPO4:以下「DCPA」と略記する)あるいは第2燐酸カルシウム2水和物(CaHPO4・2H2O:以下「DCPD」と略記する))についてもOCPと同様の性質があることが報告されている(特許文献2及び非特許文献1及び非特許文献5参照)。
特開2006−167445号公報
特許第2788721号公報
Suzuki O. et al.,Tohoku J.Eng.Med.,164:37−50,1991.
Imaizumi H. et al.,Calcif.Tissue Int.78:45−54,2006.
Anada T. et al.,Tissue Eng.,14:965−978,2008
Meyer JL,Eanes ED,CTI 1978
Eidelman N. et al.,Calcif Tissue Int.,41:18−26,1987
ところで、歯槽骨に関しては、同じ膜性骨に分類される頭頂骨が実験モデルとして利用されることは公知である。
ところが前記生成したOCPとコラーゲンとの複合体を、ラット頭部の皮膚及び骨膜を切開して作成した皮膚骨膜弁を減張した箇所に施した後、皮膚及び骨膜を縫合して行った実験では頭頂骨が形成されることはなく、このため実際の治療として用いることは未だできないという問題があり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
ところが前記生成したOCPとコラーゲンとの複合体を、ラット頭部の皮膚及び骨膜を切開して作成した皮膚骨膜弁を減張した箇所に施した後、皮膚及び骨膜を縫合して行った実験では頭頂骨が形成されることはなく、このため実際の治療として用いることは未だできないという問題があり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、人工骨材料と、前記人工骨材料を囲繞して患部に施され、かつ患部周囲の圧力から人工骨材料を保護するための保護基材とからなることを特徴とする骨形成用キットである。
請求項2の発明は、人工骨材料は、ハイドロキシアパタイトの前駆体である燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体であることを特徴とする請求項1記載の骨形成用キットである。
請求項3の発明は、保護基材は、生分解性高分子を素材として製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の骨形成用キットである。
請求項4の発明は、保護基材は、基材面に複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の骨形成用キットである。
請求項5の発明は、人工骨材料は、歯槽骨形成材料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の骨形成用キットである。
請求項6の発明は、人工骨材料を囲繞して患部に施され、かつ患部周囲の圧力から前記人工骨材料を保護するための保護基材であることを特徴とする骨形成用治具である。
請求項2の発明は、人工骨材料は、ハイドロキシアパタイトの前駆体である燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体であることを特徴とする請求項1記載の骨形成用キットである。
請求項3の発明は、保護基材は、生分解性高分子を素材として製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の骨形成用キットである。
請求項4の発明は、保護基材は、基材面に複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の骨形成用キットである。
請求項5の発明は、人工骨材料は、歯槽骨形成材料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の骨形成用キットである。
請求項6の発明は、人工骨材料を囲繞して患部に施され、かつ患部周囲の圧力から前記人工骨材料を保護するための保護基材であることを特徴とする骨形成用治具である。
請求項1または6の発明とすることで、患部に施した人工骨材料を圧力から保護できることになって良好な骨形成を図ることができる。
請求項2の発明とすることで、骨の良好な形成を図ることができる。
請求項3の発明とすることで、良好な骨形成を達成した後の保護基材の再取出しを不要にすることができる。
請求項4の発明とすることで、貫通孔を通して体液が骨形成材料に流れ込むことになって、骨形成速度を促進することができる。
請求項5の発明とすることで、歯槽骨や長管骨の形成を図ることができる。
請求項2の発明とすることで、骨の良好な形成を図ることができる。
請求項3の発明とすることで、良好な骨形成を達成した後の保護基材の再取出しを不要にすることができる。
請求項4の発明とすることで、貫通孔を通して体液が骨形成材料に流れ込むことになって、骨形成速度を促進することができる。
請求項5の発明とすることで、歯槽骨や長管骨の形成を図ることができる。
本発明の発明者等は、HAの前駆体である燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体を骨形成材料としてラットの頭蓋に盛り付けた後、皮膚及び骨膜を縫合して頭頂骨形成(歯槽骨形成のモデル実験系)を試みた場合、何故、頭頂骨形成がなされないかの原因について鋭意検討したところ、患部に施した人工骨材料は、患部周囲にある縫合または再生した皮膚や骨膜が盛り付けた人工骨材料に対して圧力となって押圧し、この押圧力によって人工骨材料が過度に吸収を受けたことが一因ではないかと推論した。そこで頭蓋に盛り付けた人工骨材料の周囲を、例えば、円筒状の保護基材で囲繞して圧力がかからないよう保護した状態で皮膚及び骨膜を縫合して頭頂骨が形成するか否かの実験をしたところ、見事に頭頂骨の形成が観測され、これによって前記推論が正しいことが確認され、本発明が完成するに至った。
本発明は、HAの前駆体であるOCPに代表され燐酸カルシウムについて、アルギン酸やコラーゲンに代表される高分子や多糖類の中から選択される少なくとも1種類の生分解性高分子と複合体を生成したものを好適な人工骨材料として用いることができる。
HAの前駆体である燐酸カルシウムとしては、前述したOCPに限定されず、ACP、DCPA、DCPDのように骨形成効果が認められるHAの前駆体である燐酸カルシウムであれば、本発明に用いることができる。
なお、本発明において骨の「形成」とは、欠損した部分に骨が再生するだけでなく、本来骨が存在しない箇所に骨を存在させるようにする、いわゆる骨の造成も含むものとする。
また、本発明においての「患部周囲」とは、例えば、患部が歯槽骨の欠損部である場合は、遊離歯肉、付着歯肉(歯肉上皮)であり、患部が頭頂骨の場合は、皮膚(頭皮)及び骨膜をいう。
HAの前駆体である燐酸カルシウムとしては、前述したOCPに限定されず、ACP、DCPA、DCPDのように骨形成効果が認められるHAの前駆体である燐酸カルシウムであれば、本発明に用いることができる。
なお、本発明において骨の「形成」とは、欠損した部分に骨が再生するだけでなく、本来骨が存在しない箇所に骨を存在させるようにする、いわゆる骨の造成も含むものとする。
また、本発明においての「患部周囲」とは、例えば、患部が歯槽骨の欠損部である場合は、遊離歯肉、付着歯肉(歯肉上皮)であり、患部が頭頂骨の場合は、皮膚(頭皮)及び骨膜をいう。
HAの前駆体である燐酸カルシウムの生成条件としては、当業者により適宜設定できるものであり、例えば、OCPの生成条件としては、Y. Honda et. al. Journal of Biomedical Materials Research Part B, DOP 10.1002/jbmb, page 281−289を参考にすることができる。
前記燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体の生成手法としては、例えば生分解性高分子の水溶液に燐酸カルシウムを分散させたり析出させたりして得ることができる。
生成される複合体の形態としては、前記生成した複合体を凍結乾燥して得られるスポンジ状のものや多孔質状のもの、乾燥して得られるフイルム状のもの、ゲル化剤(架橋剤)を添加して得られるゲル状のもの、乾燥後、粉砕して得られる粉末状のもの等、各種の形態を例示することができるが、形態付与性の観点からスポンジ状のものが好ましい。
ここで生分解性高分子としては、アルギン酸やコラーゲンに限定されず、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ε−カプロラクトン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸が例示される。
生成される複合体の形態としては、前記生成した複合体を凍結乾燥して得られるスポンジ状のものや多孔質状のもの、乾燥して得られるフイルム状のもの、ゲル化剤(架橋剤)を添加して得られるゲル状のもの、乾燥後、粉砕して得られる粉末状のもの等、各種の形態を例示することができるが、形態付与性の観点からスポンジ状のものが好ましい。
ここで生分解性高分子としては、アルギン酸やコラーゲンに限定されず、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ε−カプロラクトン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸が例示される。
保護基材の素材としては、生体に悪影響を与えないものであればよく、このようなものとして合成高分子、生分解性高分子を例示することができ、合成高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等を例示することができる。また生分解性高分子としては、アルギン酸、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ε−カプロラクトン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等を例示することができる。これら高分子を素材として製造された保護基材として、移植後、再取出しをしないですむという観点から生分解性高分子が好ましい。
保護基材の形状としては、欠損部(患部)に施した(埋め込んだ)前記人工骨材料が圧力を受けないように囲繞(被覆)するものであればその形状は特に限定されることはないが、板状、筒形状、屋根形状、箱形状等、各種の形状をあげることができる。
この場合に、保護基材としては、平面、湾曲面、球面、折れ面状を有したものとなるが、これら基材面には、図1、2に示す各実施の形態(保護基材を何れも円筒形状にしたものとして示す)のように、内外を貫通する貫通孔が複数開設されたものとすることができ、このように貫通孔を開設したものを採用した場合には、保護基材で囲繞した人工骨材料に対して、囲繞面を通して体液(血液)が浸入できることになって骨形成の速度が速まることになる。
なお、人工骨材料と保護基材は、個々に包装した態様であってもよく、また、予め人工骨材料を保護部材で囲繞した状態で包装した態様であってもよい。
この場合に、保護基材としては、平面、湾曲面、球面、折れ面状を有したものとなるが、これら基材面には、図1、2に示す各実施の形態(保護基材を何れも円筒形状にしたものとして示す)のように、内外を貫通する貫通孔が複数開設されたものとすることができ、このように貫通孔を開設したものを採用した場合には、保護基材で囲繞した人工骨材料に対して、囲繞面を通して体液(血液)が浸入できることになって骨形成の速度が速まることになる。
なお、人工骨材料と保護基材は、個々に包装した態様であってもよく、また、予め人工骨材料を保護部材で囲繞した状態で包装した態様であってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定して解釈してはならない。
<実施例1> 骨形成用キットの作成
(A)コラーゲン(3wt%)の水溶液を調製した。次いでこのコラーゲン水溶液に、前記公知の手法で製造したOCPをコラーゲン水溶液に対して10wt%となるように分散させた。そして、ポリプロピレン製の容器の中にOCPを分散させたコラーゲン水溶液を充填し、凍結乾燥を行った。次いで減圧下(1torr以下)、150℃、24時間の条件で熱脱水架橋反応を施した。このようにして、OCP/コラーゲンスポンジを製造した。
(B)一方、保護基材としては、ポリテトラフルオロエチレン製のリング(内径6mm、外径9mm、高さ3mm)を選択した。そして、このようにして(A)(B)からなるものを作製して実施例1の骨形成用キットとした。
(A)コラーゲン(3wt%)の水溶液を調製した。次いでこのコラーゲン水溶液に、前記公知の手法で製造したOCPをコラーゲン水溶液に対して10wt%となるように分散させた。そして、ポリプロピレン製の容器の中にOCPを分散させたコラーゲン水溶液を充填し、凍結乾燥を行った。次いで減圧下(1torr以下)、150℃、24時間の条件で熱脱水架橋反応を施した。このようにして、OCP/コラーゲンスポンジを製造した。
(B)一方、保護基材としては、ポリテトラフルオロエチレン製のリング(内径6mm、外径9mm、高さ3mm)を選択した。そして、このようにして(A)(B)からなるものを作製して実施例1の骨形成用キットとした。
<比較例1> 骨形成用キットの作製
実施例1の(A)の例に従って、厚さ3mmのOCP/コラーゲンスポンジ(A)を製造した。
一方、実施例1の保護基材(B)は用いないものとし、これによって比較例1の(A)だけの骨形成用キットを作製した。
実施例1の(A)の例に従って、厚さ3mmのOCP/コラーゲンスポンジ(A)を製造した。
一方、実施例1の保護基材(B)は用いないものとし、これによって比較例1の(A)だけの骨形成用キットを作製した。
<比較例2> 骨形成用キットの作製
(C)厚さ3mmのコラーゲンスポンジ(つまり、OCPを含まない)を製造した。
具体的には、コラーゲン(3wt%)の水溶液を調製した。そして、ポリプロピレン製の容器の中にコラーゲン水溶液を充填し、凍結乾燥を行った。次いで減圧下(1torr以下)、150℃、24時間の条件で熱脱水架橋反応を施した。このようにして、厚さ3mmのコラーゲンスポンジを製造した。
保護基材(B)は、実施例1と同様にポリテトラフルオロエチレン製のリング(内径6mm、外径9mm、高さ3mm)を選択した。そして保護基材(B)とコラーゲンスポンジ(C)とを備えた比較例2の骨形成用キットを作製した。
(C)厚さ3mmのコラーゲンスポンジ(つまり、OCPを含まない)を製造した。
具体的には、コラーゲン(3wt%)の水溶液を調製した。そして、ポリプロピレン製の容器の中にコラーゲン水溶液を充填し、凍結乾燥を行った。次いで減圧下(1torr以下)、150℃、24時間の条件で熱脱水架橋反応を施した。このようにして、厚さ3mmのコラーゲンスポンジを製造した。
保護基材(B)は、実施例1と同様にポリテトラフルオロエチレン製のリング(内径6mm、外径9mm、高さ3mm)を選択した。そして保護基材(B)とコラーゲンスポンジ(C)とを備えた比較例2の骨形成用キットを作製した。
<実験例> 頭頂骨の形成実験(歯槽骨形成のモデル実験系)
実施例1、比較例1及び2の骨形成用キットを用いて、歯槽骨の形成のモデル実験系として公知である、Wistar系ラット(オス、12週齢)の頭頂骨の形成実験を行った。
実施例1、比較例1及び2の骨形成用キットを用いて、歯槽骨の形成のモデル実験系として公知である、Wistar系ラット(オス、12週齢)の頭頂骨の形成実験を行った。
(1)実施例1の骨形成用キットを用いた頭頂骨の形成実験
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、内空にOCP/コラーゲンスポンジ(A)を囲繞した保護基材(B)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)及び保護基材(B)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、内空にOCP/コラーゲンスポンジ(A)を囲繞した保護基材(B)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)及び保護基材(B)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
(2)比較例1の骨形成用キットを用いた頭頂骨の形成実験
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、OCP/コラーゲンスポンジ(A)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
(3)比較例2の骨形成用キットを用いた頭頂骨の形成実験
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、内空にコラーゲンスポンジ(C)を囲繞した保護基材(B)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、コラーゲンスポンジ(C)及び保護基材(B)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
ジエチルエーテルおよびネンブタールにてラットに全身麻酔を施した。次に、頭蓋部皮膚を剃毛した後、メスにて皮膚及び骨膜を切開し、皮膚骨膜弁を作成した。十分な減張を行った後、生理食塩水にて洗浄し、内空にコラーゲンスポンジ(C)を囲繞した保護基材(B)を骨膜下に挿入した。皮膚骨膜弁を復位し、コラーゲンスポンジ(C)及び保護基材(B)を覆うようにして皮膚及び骨膜を縫合した。
(4)実験結果
上記(1)〜(3)のラットを、骨形成用キット埋植12週後に屠殺し、摘出した頭蓋骨を目視観察及び組織学的分析を行った。組織学的分析は、HE染色を用いて行った。
その結果、実施例1の骨形成用キットを用いた場合のみ、3mmの頭頂骨の形成が確認された。図3の(X)に保護基材(B)を取り外す前の頭頂骨の形成状態を映した図面代用写真を、(Y)に保護基材(B)を取り外した後の頭頂骨の形成状態を示す図面代用写真をそれぞれ示す。しかも、形成した骨は高密度であった。
一方、比較例1及び比較例2の骨形成用キットを用いた場合は、何れも頭頂骨の形成が確認できなかった。
上記(1)〜(3)のラットを、骨形成用キット埋植12週後に屠殺し、摘出した頭蓋骨を目視観察及び組織学的分析を行った。組織学的分析は、HE染色を用いて行った。
その結果、実施例1の骨形成用キットを用いた場合のみ、3mmの頭頂骨の形成が確認された。図3の(X)に保護基材(B)を取り外す前の頭頂骨の形成状態を映した図面代用写真を、(Y)に保護基材(B)を取り外した後の頭頂骨の形成状態を示す図面代用写真をそれぞれ示す。しかも、形成した骨は高密度であった。
一方、比較例1及び比較例2の骨形成用キットを用いた場合は、何れも頭頂骨の形成が確認できなかった。
Claims (6)
- 人工骨材料と、前記人工骨材料を囲繞して患部に施され、かつ患部周囲の圧力から人工骨材料を保護するための保護基材とからなることを特徴とする骨形成用キット。
- 人工骨材料は、ハイドロキシアパタイトの前駆体である燐酸カルシウムと生分解性高分子との複合体であることを特徴とする請求項1記載の骨形成用キット。
- 保護基材は、生分解性高分子を素材として製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の骨形成用キット。
- 保護基材は、基材面に複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の骨形成用キット。
- 前記人工骨材料は、歯槽骨形成材料または長管骨形成材料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の骨形成用キット。
- 人工骨材料を囲繞して患部に施され、かつ患部周囲の圧力から前記人工骨材料を保護するための保護基材であることを特徴とする骨形成用治具。
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2008
- 2008-08-06 JP JP2008202549A patent/JP2010035834A/ja active Pending
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7412700B2 (ja) | 2020-01-23 | 2024-01-15 | 東洋紡株式会社 | 多孔質複合体 |
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