JP2010035712A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 撮像途中での停止時に、傾斜磁場電源に印加される可能性のある仕様外の急峻な電流変化を無くし、傾斜磁場電源にダメージを与えることなく安全に停止できる磁気共鳴イメージング装置を実現する。
【解決手段】 CPUから傾斜磁場パルス部へゼロ出力命令を実行する。傾斜磁場パルス出力部では、現在の傾斜磁場パルス出力値を確認する。そして、傾斜磁場電源の仕様内に収まるように出力値をコントロールし、少しずつゼロ出力に近づけていく。この処理を繰り返すことで傾斜磁場パルス出力値がゼロになったとき、傾斜磁場電源にダメージを与えることなく、安全にスキャンを停止させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に係り、特にMRI装置の傾斜磁場電源の安全性向上技術に関する。
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を二次元的に或いは三次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、二次元又は三次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
このようなMRI装置では、傾斜磁場パルスを補正制御する傾斜磁場パルス補正コントローラが存在する。傾斜磁場パルス補正コントローラは、CPUやシーケンサからの命令に従って傾斜磁場パルスの補正制御や傾斜磁場電源の制御を行い、所望の傾斜磁場パルスを発生させることにより良好な画像を取得することが可能となる。また、撮像の途中で操作者が撮像中止をした場合などの傾斜磁場パルス制御においては、CPUがシーケンサを介して傾斜磁場パルスがゼロ出力となるタイミングを見つけ出し、シーケンスを止めるように従来している。
その理由は、傾斜磁場パルスを発生させる傾斜磁場電源は通常大電流出力が可能なため、急峻に変化する仕様外の電流が流れてしまうと、傾斜磁場電源がエラーを発生し、傾斜磁場電源内部のアンプにダメージを与え、容易に故障の原因となってしまい、仕様外の電流が流れないようにCPUで傾斜磁場パルスを把握し、制御を行う必要があるからである。また、傾斜磁場コイルが短絡した際に短絡箇所を特定して対応するスイッチング電源を停止させる従来技術として特許文献1がある。
特開平9-322887号公報
しかし、高速シーケンスや複雑な高機能シーケンスになると、CPUやシーケンサの処理が増大し、CPUで傾斜磁場パルスを把握し制御することが困難となり、途中で撮像を中止するときなど傾斜磁場電源の仕様内で制御することができず、不要な大電圧が傾斜磁場電源に瞬間的に印加されてしまうと、傾斜磁場電源が壊れてしまうおそれがあった。
本発明によれば、被検体に静磁場および傾斜磁場を与える磁場発生系と、前記被検体の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるための高周波磁場を照射する送信系と、この核磁気共鳴により放出される核磁気共鳴信号を検出する受信系と、前記受信系で検出された核磁気共鳴信号を用いて画像再構成演算をおこなう信号処理系と、装置全体の動作を制御する中央処理装置とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場パルスの補正を制御する傾斜磁場パルス補正コントローラを備え、前記傾斜磁場パルス補正コントローラは、
高速シーケンスや高機能シーケンス実行時、操作者が途中で撮像を中止したときにCPUから命令を受けることにより、緊急停止時に傾斜磁場電源に印加される可能性のある急峻な電流変化を低減することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
本発明の目的は、傾斜磁場パルス補正コントローラがCPUから命令を受けることにより、傾斜磁場パルスの出力を傾斜磁場電源の仕様内でゼロ出力になるように自動的に制御を行い、高速シーケンスや複雑な高機能シーケンスにおいても傾斜磁場電源にダメージを与えることなく安全にスキャンを停止させることである。
本発明によれば、更なる高速かつ高機能なシーケンスの実行時においても傾斜磁場パルス補正コントローラが傾斜磁場電源の仕様内でゼロ出力にし、安全で確実に停止することを可能としたMRI装置を実現することができるようになる。
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有し、受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
なお、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
次に、本発明の実施例1について図2を用いて説明する。
図2は、傾斜磁場パルス補正コントローラ26の概略構成図である。
図2において、傾斜磁場パルス補正コントローラ26は、傾斜磁場パルスの補正を行うための傾斜磁場パルス補正部27と、傾斜磁場パルス出力制御を行う傾斜磁場パルス出力部28とを備えている。傾斜磁場パルス補正部27は、CPU8によりシーケンサ4を介して傾斜磁場パルスデータを受け取り、傾斜磁場パルスの補正処理を行う。補正された傾斜磁場パルスデータは、傾斜磁場パルス出力部28へと送られ、傾斜磁場電源10へと出力される。ここで、CPU8から傾斜磁場パルス出力部28へゼロ出力命令が送信されると、傾斜磁場パルス出力部28でゼロ出力のための処理を行い、容易でかつ安全に傾斜磁場パルス出力を止めることが可能となる。
また、CPU8やシーケンサ4から送られてくる傾斜磁場パルスデータが何らかの要因により異常値であった場合、傾斜磁場パルス出力部28でエラー感知し、CPU8へエラー報告を行う。これにより、CPU8は緊急停止処理、傾斜磁場パルス出力部28はゼロ出力のための処理を行うことで、傾斜磁場電源10に異常値を出力することなく、図3の補正処理後のように安全に停止することが可能となる。
次に、実施例1の動作について図4を用いて説明する。
図4は、傾斜磁場パルスのゼロ出力動作のフローチャートである。
スキャンがスタートすると、CPU8は、シーケンサ4を介し、傾斜磁場パルスデータを傾斜磁場パルス補正コントローラ26に出力する。傾斜磁場パルス補正部27では任意の補正処理を行い、傾斜磁場パルス出力部28から傾斜磁場電源10へ傾斜磁場パルスデータが出力される。ここで、CPU8から傾斜磁場パルス出力部28へゼロ出力命令が発生した場合、傾斜磁場パルス出力部28では、現在の傾斜磁場パルス出力値を確認する。そして、傾斜磁場電源10の仕様内に収まるように出力値をコントロールし、少しずつゼロ出力に近づけていく。この処理を繰り返すことで傾斜磁場パルス出力値をゼロにすることができ、安全にスキャンは停止する。
図5は、スキャン実行中の異常値時緊急停止動作のフローチャートである。
スキャンがスタートすると上記と同様な処理をし、傾斜磁場パルス出力部28にて傾斜磁場電源10への出力データを準備する。ここで、何らかの要因により準備されたデータが傾斜磁場電源10の仕様外である異常値であったとする。傾斜磁場パルス出力部28は、CPU8にエラー報告をし、CPU8は緊急停止処理を開始する。傾斜磁場パルス出力部28では、上記と同様の処理を行い、少しずつゼロ出力に近づけていく。この処理を繰り返すことで傾斜磁場パルス出力値をゼロにすることができ、安全にスキャンは停止する。
本発明に係るMRI装置の一実施例における全体基本構成の斜視図。 傾斜磁場パルスの波形を示す図。 傾斜磁場パルス補正コントローラの概略構成図 傾斜磁場パルスのゼロ出力時動作のフローチャート スキャン実行中の異常値時緊急停止動作のフローチャート
符号の説明
26 傾斜磁場パルス補正コントローラ

Claims (2)

  1. 被検体に静磁場および傾斜磁場を与える磁場発生系と、前記被検体の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるための高周波磁場を照射する送信系と、この核磁気共鳴により放出される核磁気共鳴信号を検出する受信系と、前記受信系で検出された核磁気共鳴信号を用いて画像再構成演算をおこなう信号処理系と、装置全体の動作を制御する中央処理装置とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、
    前磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場パルスの補正を制御する傾斜磁場パルス補正コントローラを備え、前記傾斜磁場パルス補正コントローラは、
    高速シーケンスや高機能シーケンス実行時、操作者が途中で撮像を中止したときにCPUから命令を受けることにより、緊急停止時に傾斜磁場電源に印加される可能性のある急峻な電流変化を低減することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記傾斜磁場パルス補正コントローラは、CPUやシーケンサから傾斜磁場電源の仕様範囲を超える制御命令を受けたときに、傾斜磁場電源に印加される急峻な電流変化を低減することを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
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