JP2010034058A - 面熱源 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、面熱源に関する。
【解決手段】本発明の面熱源は、基板と、該基板の表面に設置された加熱素子と、該加熱素子と電気的に接続された少なくとも二つの電極と、を含む。前記加熱素子が少なくとも一本のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該カーボンナノチューブ線状構造が複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブ線状構造が、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含み、単一の前記カーボンナノチューブワイヤが複数のカーボンナノチューブを含む。
【選択図】図12

Description

本発明は、面熱源及びその製造方法に関し、特にカーボンナノチューブを利用した面熱源に関するものである。
熱源は、人々の生活及び科学研究などの分野において重要な役割を果たす。例えば、電気加熱器、電気ストーブ及び赤外線治療器などに応用される。面熱源は、熱源の一種であり、二次元構造体である。面熱源は、加熱される物の各部分を同時に加熱することができ、加熱する面積が大きく、加熱の均一性がよく、効率が高い。
従来技術として、面熱源は、加熱素子及び少なくとも、二つの電極を含む。該少なくとも、二つの電極は、前記加熱素子の表面に設置され、該加熱素子に電気的に接続される。前記少なくとも二つの電極によって前記加熱素子に電流を流す場合、熱が該加熱素子から放出される。従来の面熱源は、金属のフィラメントを加熱素子として、電気エネルギーを熱エネルギーに転換するものである。
Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、"Spinning continuous carbon nanotube yarns"、Nature、2002年、第419巻、p.801
しかし、前記金属のフィラメントは、強度が低く、折れやすい。特に前記金属のフィラメントを所定の角度に曲げる場合には、該金属のフィラメントがより折れやすいという欠点がある。また、前記金属のフィラメントから放出された熱は、標準的な波長で外部に放射されるので、電気エネルギーを熱エネルギーに転換する効率が低く、エネルギーが浪費されるという欠点がある。該金属のフィラメントは、密度及び重量が大きいので、その利用が不便である。
従って、本発明は、電気エネルギーを熱エネルギーに転換する効率が高い面熱源を提供することを課題とする。
面熱源は、基板と、該基板の表面に設置された加熱素子と、該加熱素子と電気的に接続された少なくとも二つの電極と、を含む。前記加熱素子が少なくとも一本のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該カーボンナノチューブ線状構造が複数のカーボンナノチューブを含む。
前記加熱素子が一本のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該カーボンナノチューブ線状構造が所定の形状に湾曲され、前記基板の表面に設置される。
前記加熱素子が複数のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該複数のカーボンナノチューブ線状構造が平行し又は交差して、前記基板の表面に設置されている。
前記カーボンナノチューブ線状構造が、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含み、単一の前記カーボンナノチューブワイヤが複数のカーボンナノチューブを含む。
前記カーボンナノチューブ線状構造が、二本以上のカーボンナノチューブワイヤを含み、非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造又はねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造である。
前記基板が断熱材料であり、前記加熱素子から放出された熱を反射するために用いられる。
反射層をさらに含み、該反射層が前記基板と前記加熱素子との間又は前記基板の、前記加熱素子に面する表面とは反対側の表面に設置され、前記加熱素子から放出された熱を反射するために用いられる。
従来の面熱源と比べると、本発明の面熱源は、加熱素子がカーボンナノチューブ構造体を含み、該カーボンナノチューブ構造体が複数のカーボンナノチューブを含む。該複数のカーボンナノチューブが均一的に配列され、該加熱素子が均一な厚さ及び抵抗を有するので、該加熱素子は、均一的に熱を放出することができ、電気エネルギーを熱エネルギーに転換する効率が高く、前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積の熱容量は、2×10−4J/mK以下である。従って、前記面熱源は、昇温速度が速く、熱応答速度が速く、熱交換速度が速い。前記加熱素子おけるカーボンナノチューブは、優れた力学性能、優れた靭性及び優れた機械強度を有するので、該加熱素子は、優れた力学性能、優れた靭性と機械強度を有し、使用寿命が長くなる。更に、前記加熱素子を利用して、柔軟性の面熱源を製造することができる。前記加熱素子おけるカーボンナノチューブの直径が小さいので、該加熱素子は、厚さが小さい。従って、極めて小型の面熱源を製造することができ、該小型の面熱源を利用して、小型の加熱対象となる素子を加熱することができる。
前記基板が断熱材料であり、前記加熱素子から放出された熱が前記基板に反射され、単一方向から放出するので、前記面熱源は、単面から加熱対象を加熱することができる熱源であり、加熱効率が高くなる。また、該反射層が前記基板と前記加熱素子との間又は前記基板の、前記加熱素子に面する表面とは反対側の表面に設置され、前記加熱素子から放出された熱が前記反射層に反射され、単一方向から放出するので、前記面熱源は、単面から加熱対象を加熱することができる熱源であり、加熱効率が高くなる。
本発明の実施例1に係る面熱源の構造を示す図である。 本発明の実施例1に係る面熱源を図1に示すXIII−XIII線に沿って切る断面図である。 本発明の実施例に係る面熱源における、端と端が接続されたカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 カーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。 本発明の実施例に係る面熱源における、カーボンナノチューブが、長さが基本的に同じで、平行に配列されたカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例に係る面熱源における、カーボンナノチューブが等方的に配列されたカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例に係る面熱源における、カーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されたカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例に係る面熱源における、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの写真である。 本発明の実施例に係る面熱源における、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 ろ過された綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体の写真である。 異なる仕事率で、それぞれ異なる測量器具を利用して、本実施例1におけるカーボンナノチューブ構造体の表面温度を測量したグラフである。 本発明の実施例2に係る面熱源の構造を示す図である。 本発明の実施例に係る面熱源における、非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造のSEM写真である。 本発明の実施例に係る面熱源における、ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造のSEM写真である。 本発明の実施例に係る非ねじれ状のカーボンナノチューブのSEM写真である。 本発明の実施例に係るねじれ状ワイヤ構造のカーボンナノチューブのSEM写真である。 本発明の実施例3に係る面熱源の構造を示す図である。 本発明の実施例4に係る面熱源の構造を示す図である。 本発明の実施例5に係る面熱源の構造を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1と図2を参照すると、本発明の実施例1は、面熱源10を提供する。該面熱源10は、二次元構造体であり、即ち、二次元方向に沿って延長する構造体である。該面熱源10は、基板18、反射層17、加熱素子16、保護層15、第一電極12及び第二電極14を含む。
前記反射層17は、前記基板18の一つの表面に設置される。前記加熱素子16は、前記反射層17の、前記基板18に面する表面とは反対側の表面に設置される。前記第一電極12及び前記第二電極14は、前記加熱素子16に電気的に接続される。本実施例において、前記第一電極12及び前記第二電極14は、該加熱素子16に電気的に接続されるように、前記加熱素子16の表面に間隔を置いて設置される。前記第一電極12及び前記第二電極14により、該加熱素子16に電流を流す。前記保護層15は、前記加熱素子16の、前記反射層17に面する表面とは反対側の表面に設置される。前記保護層15は、前記第一電極12及び前記第二電極14を被覆し、ほこりが前記加熱素子16に付着することを防止できる。
前記基板18の形状及び寸法は、実際の応用に応じて選択することができる。例えば、前記基板18は方形、円形又は三角形である。該基板18は、平面又は曲面の表面を有し、前記加熱素子16及び前記反射層17を支持するために用いられる。該基板18の材料は、例えば、セラミックス、ガラス、樹脂、石英などの硬性材料であってもよく、柔軟性の繊維などの柔軟性の材料であってもよい。本実施例において、前記基板18は、厚さが1ミリメートルのセラミックス基板である。前記加熱素子16が自立構造を有する場合、前記面熱源10における基板18は、使用しなくてもよい。
前記反射層17は、前記加熱素子16から放出された熱を反射し、該熱を一つの方向に沿って放出させ、加熱効率を高めるために用いられる。該反射層17の材料は、例えば、金属酸化物、金属塩及びセラミックスなどの絶縁材料である。本実施例において、前記反射層17は、酸化アルミニウム膜であり、その厚さが100マイクロメートル〜0.5ミリメートルである。本実施例において、前記反射層17の厚さは、0.1ミリメートルである。勿論、前記反射層17は、前記基板18の、前記加熱素子16に面する表面とは反対側の表面に設置してもよい。即ち、前記基板18を、前記加熱素子16と前記反射層17との間に設置し、該反射層17により、熱を十分に反射させる。前記基板18が、例えば、発泡プラスチック、グラスウール、ロックウールなどの断熱材料である場合、前記反射層17を設置せず、即ち、前記加熱素子16を前記基板18の表面に直接設置することもできる。これによって、前記加熱素子16から放出された熱は前記基板18に反射され、該熱を一つの方向に沿って放出し、加熱対象を加熱する。従って、加熱する効率が高くなる。前記反射層17を設置せず、しかも、前記基板18が断熱材料ではない場合、前記面熱源10の加熱方向が制限されず、前記面熱源10は両面から熱を放出することができる。
前記加熱素子16は、カーボンナノチューブ構造体を含む。該カーボンナノチューブ構造体は、自立構造である。自立構造とは、支持体を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立的に利用するというものである。前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブを含み、該複数のカーボンナノチューブが分子間力で接続され、均一に分布される。前記カーボンナノチューブ構造体に、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種類に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。
前記カーボンナノチューブ構造体の熱応答速度は、該カーボンナノチューブ構造体の厚さと関係がある。前記カーボンナノチューブ構造体は、同じ表面積を有する場合、その厚さが厚ければ、熱応答速度が遅くなり、その厚さが薄ければ、熱応答速度が速くなる。前記カーボンナノチューブ構造体の純度が高く、該カーボンナノチューブ構造体は大きな比表面積(例えば、100m/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。前記カーボンナノチューブ構造体の熱容量が非常に低い場合、前記加熱素子16を速やかに加熱させることができる。前記カーボンナノチューブ構造体の密度が低く、1.35g/cm程度に達するので、前記カーボンナノチューブ構造体の光透過性が高い。
本発明のカーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(五)のものが挙げられる。
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、図3に示す、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム143aを含む。このカーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルム143aは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)から引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。図4を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの厚さが10μm以下である場合、該カーボンナノチューブフィルム143aの透光率が90%以上程度に達するため、透明熱源に用いられることも可能である。
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は次のステップを含む。
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。該カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)であり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供し、該基材はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、4インチのシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、前記基材の表面に、均一的に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイの高さは100マイクロメートル以上である。該カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に垂直するように生長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは、長さが長いため、部分的にカーボンナノチューブが互いに絡み合っている。生長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
本実施例から提供されたカーボンナノチューブアレイは、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもよい。
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で前記複数のカーボンナノチューブを引き出し、複数のカーボンナノチューブセグメントからなる連続するカーボンナノチューブフィルムを形成する。
前記複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、前記複数のカーボンナノチューブがそれぞれ前記基材から脱離すると、分子間力で前記カーボンナノチューブセグメントが端と端で接合され、連続するカーボンナノチューブフィルムが形成される。
(二)超長構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、図5に示す、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは超長構造カーボンナノチューブフィルム(ultra−long carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、ほぼ同じ長さを有する複数のカーボンナノチューブを含む。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、前記複数のカーボンナノチューブは、同じ方向に沿って、均一に並列されている。単一の前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、10nm〜100μmである。前記複数のカーボンナノチューブは、それぞれ前記複数のカーボンナノチューブフィルムの表面に平行に配列されている。隣接する前記カーボンナノチューブは所定の距離で分離して設置される。前記距離は0μm〜5μmである。前記距離が0μmである場合、隣接する前記カーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブフィルムにおける各々の前記カーボンナノチューブの長さは、前記カーボンナノチューブフィルムの長さと同じである。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、1cm以上であり、1cm〜30cmであることが好ましい。即ち、カーボンナノチューブの長さが超長である。さらに、各々の前記カーボンナノチューブ145に結節がない。本実施形態において、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは10μmである。単一の前記カーボンナノチューブ145の長さは10cmである。
前記カーボンナノチューブ構造体が、一枚の前記カーボンナノチューブフィルムのみを含む場合、該カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの両端は、それぞれ、前記第一電極及び前記第二電極に電気的に接続される。前記カーボンナノチューブ構造体が、少なくとも二枚の積層された複数のカーボンナノチューブフィルムを含む場合、隣接するカーボンナノチューブフィルム間におけるカーボンナノチューブ同士の成す角度αは、0°〜90°である。少なくとも一枚の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの両端は、それぞれ、前記第一電極及び前記第二電極に電気的に接続される。
(三)プレッシド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレッシド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルムは、図6又は図7に示される。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
図6を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される。該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブ構造体が平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
図7を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される。該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが1マイクロメートル〜1ミリメートルであることが好ましい。
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図8及び図9を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであると好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
ナイフのような工具で前記カーボンナノチューブを基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブ原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、10マイクロメートル以上であり、200マイクロメートル〜900マイクロメートルであることが好ましい。
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度攪拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法により、カーボンナノチューブを含む溶剤に対して10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成されている。
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図10を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となる。
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱し、或いは、該溶剤が自然に蒸発すると、図8と図9に示す綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
(五)カーボンナノチューブフィルムセグメント
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムセグメントを含む。前記カーボンナノチューブフィルムセグメントにおける全てのカーボンナノチューブは、相互に平行し、所定の方向に沿って並列されている。前記カーボンナノチューブフィルムセグメントにおいて、少なくとも一本のカーボンナノチューブの長さは、前記カーボンナノチューブフィルムセグメントの全長と同じである。従って、前記カーボンナノチューブフィルムセグメントの一つの寸法は、前記カーボンナノチューブの長さによって制限されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムセグメントを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムセグメントは、分子間力で結合されている。前記カーボンナノチューブフィルムセグメントの厚さは、0.5nm〜100μmである。
前記第一電極12及び前記第二電極14は、導電材料からなり、前記加熱素子16の同一表面、又はそれぞれ前記加熱素子16の対向する両表面に設置される。前記第一電極12及び前記第二電極14の形状は制限されない。前記第一電極12及び前記第二電極14は、極めて小型の面熱源に応用される時には、導電フィルムであり、該導電フィルムの厚さが0.5ナノメートル〜100マイクロメートルである。該導電フィルムの材料は、金属、合金、酸化インジウムスズ(ITO)フィルム、酸化アンチモンスズ(ATO)、銀ペースト、導電重合体又はカーボンナノチューブ構造体などである。前記金属は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、ネオジム、パラジウム又はセシウムなどである。前記合金は、前記金属の合金である。前記カーボンナノチューブ構造体は、上述の少なくとも一枚の図3に示すカーボンナノチューブフィルム又は少なくとも一枚の図5に示すカーボンナノチューブフィルムである。
前記加熱素子16における前記カーボンナノチューブ構造体は接着性を有するので、前記第一電極12及び前記第二電極14は、直接前記加熱素子16の表面に設置されることができる。或いは、前記第一電極12及び前記第二電極14は、導電接着剤で前記加熱素子16の表面に接着してもよい。該第一電極12及び前記第二電極14を前記加熱素子16に電気的に接続させると同時に、該加熱素子16の表面によく固定させる。前記導電接着剤は、銀ペーストである。
本実施例において、前記加熱素子16は、積層された百枚のカーボンナノチューブフィルムである。隣接するカーボンナノチューブフィルムは分子間力で緊密に接続される。図3と図4を参照すると、各々のカーボンナノチューブフィルム143aは、端と端で接続され、同じ方向に沿って配列されたカーボンナノチューブ145を含む。前記加熱素子16において、隣接するカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列された方向が垂直する。一部のカーボンナノチューブは、前記第一電極12から前記第二電極14への方向に配列される。前記加熱素子16は、面積が9平方センチメートルであり、長さが3センチメートルであり、幅が3センチメートルであり、厚さが500ナノメートルである。前記第一電極12及び前記第二電極14は、積層された複数の図3に示すようなカーボンナノチューブフィルムであり、隣接するカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、配列されている。
前記保護層15の材料は、例えば、プラスチック、ゴム及び樹脂などの絶縁材料である。前記保護層15の厚さが制限されず、実際の応用に応じて選択することができる。前記保護層15は、前記第一電極12、前記第二電極14及び前記加熱素子16に被覆され、前記面熱源10を絶縁状態で使用させ、ほこりが前記加熱素子16に付着することを防止できる。勿論、前記保護層15を設置しなくてもよい。本実施例において、前記保護層15は、材料がゴムであり、その厚さが0.5ミリメートル〜2ミリメートルであり、前記加熱素子26を保護するために用いられる。
前記面熱源10の第一電極12及び第二電極14を電源(図示せず)に電気的に接続させ、前記第一電極12及び第二電極14により前記加熱素子16に電圧を印加する場合、該面熱源10における加熱素子16のカーボンナノチューブ構造体は、所定の波長を有する電磁波を放出することができる。加熱対象が、前記面熱源10に直接接触し、又は、前記面熱源10と所定の距離を置いて設置されてもよい。前記カーボンナノチューブ構造体から放出された電磁波が、前記加熱対象を加熱する。前記加熱素子16の寸法及び該加熱素子16に印加された電圧を制御することにより、前記加熱素子16から放出された熱を制御することができる。前記電圧が一定である場合、前記加熱素子16の厚さを変更することにより、前記加熱素子16から放出された電磁波の波長を調整することができる。即ち、前記加熱素子16が厚くなるほど、前記加熱素子16から放出された電磁波の波長は短くなる。前記加熱素子16の厚さが一定である場合、前記加熱素子16に印加された電圧が大きくなるほど、記加熱素子16から放出された電磁波の波長は短くなる。従って、前記面熱源10は簡単に制御することができる。
本実施例の面熱源10を空気雰囲気下に置き、前記第一電極12及び第二電極14により、前記加熱素子16に10V〜30Vの電圧を印加すると、該面熱源10の温度は50℃〜500℃に上昇する。前記カーボンナノチューブ構造体の温度を200℃〜450℃まで上げる場合、前記加熱素子16は熱を放出する。前記加熱素子16は、熱輻射が安定し、熱放出の効率が高く、放出する熱量が大きいという優れた点がある。
図11は、異なる仕事率で、それぞれ異なる二つの測量器具を利用して、本実施例におけるカーボンナノチューブ構造体の表面温度を測量したグラフである。二つの測量器具は、それぞれ、赤外線温度計のRAYTEK RAYNER IP−M及び赤外線温度計のAZ−8859である。測量すると、加熱する仕事率が36ワットである場合、前記カーボンナノチューブ構造体の表面温度は、370℃に達することができることが分かる。該カーボンナノチューブ構造体は、電気エネルギーを熱エネルギーに転換する効率が高い。
本実施例の面熱源10を真空装置に置き、前記第一電極12及び第二電極14により、前記加熱素子16に80V〜150Vの電圧を印加すると、該面熱源10は、短い波長を有する電磁波を放出することができる。該面熱源10は、例えば、赤光及び黄光などの可視光線を放出し、通常の熱輻射を形成することができる。この場合、前記面熱源10の温度は、1500℃程度に達することができる。前記面熱源10に印加された電圧が十分に強い場合、前記面熱源10は、紫外光線を放出することができる。
前記面熱源10は、複数の第一電極12及び複数の第二電極14を含んでもよい。該複数の第一電極12及び複数の第二電極14は、間隔を置いて設置され、それぞれ、前記加熱素子16に電気的に接続される。
前記面熱源10の第一電極12及び第二電極14を電源に電気的に接続させる場合、該面熱源10における加熱素子16のカーボンナノチューブ構造体は、所定の波長を有する電磁波を放出することができる。加熱対象を前記面熱源10に直接接触してもよく、又は、加熱対象を前記面熱源10と所定の距離を置いて設置してもよい。前記カーボンナノチューブ構造体から放出された電磁波は、前記加熱対象を加熱する。
(実施例2)
図12を参照すると、本実施例は、面熱源20を提供する。本実施例の面熱源20は、基板28、反射層27、加熱素子26、保護層25、第一電極22及び第二電極24を含む。前記反射層27は、前記基板28の一つの表面に設置される。前記加熱素子26は、前記反射層27の、前記基板28に面する表面とは反対側の表面に設置される。前記第一電極22及び前記第二電極24は、前記加熱素子26に電気的に接続される。前記基板28が、例えば、発泡プラスチック、グラスウール、ロックウールなどの断熱材料である場合、前記反射層27を設置せず、即ち、前記加熱素子26を前記基板28の表面に直接設置することもできる。本実施例と実施例1との異なる点は、前記加熱素子26が複数のカーボンナノチューブ線状構造を含むカーボンナノチューブ構造体を含むことである。
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブ線状構造を含む。前記カーボンナノチューブ線状構造は、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、2×10−4J/cm・K以下であり、0(0は含まず)〜5×10−5J/cm・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmであり、1μm〜1cmであることが好ましい。該カーボンナノチューブ線状構造が二本以上のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、各々のカーボンナノチューブワイヤが平行に配列され、非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造を形成する(図13を参照)又は各々のカーボンナノチューブワイヤが、螺旋状に配列され、ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造を形成する(図14を参照)。即ち、図13を参照すると、前記非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造160におけるカーボンナノチューブワイヤ161は、前記カーボンナノチューブ線状構造160の長手方向に沿って、配列される。図14を参照すると、前記ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造170におけるカーボンナノチューブワイヤ171は、前記線状構造170の軸周りに、螺旋状に配列される。
前記非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造160におけるカーボンナノチューブワイヤ161及び、前記ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造170におけるカーボンナノチューブワイヤ171は、それぞれ非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図15を参照)又はねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図16を参照)である。
前記カーボンナノチューブ線状構造の直径は、20マイクロメートル〜2ミリメートルであり、該直径の大きさが前記カーボンナノチューブワイヤの数量及びその直径に関係がある。前記カーボンナノチューブワイヤの直径が大きいほど、数量が多いほど、前記カーボンナノチューブ線状構造の直径が大きくなる。これとは逆に、前記カーボンナノチューブワイヤの直径が小さいほど、数量が少ないほど、前記カーボンナノチューブ線状構造の直径が小さくなる。
図15を参照すると、前記非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、カーボンナノチューブアレイから引き出されたカーボンナノチューブフィルムを有機溶剤で処理して、得られたものである。該非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、その長手方向に沿って、配列し、端と端が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤの直径は、0.5nm〜100μmである。図16を参照すると、前記非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、0.5nm〜100μmである。
前記カーボンナノチューブワイヤにおけるカーボンナノチューブが配向して配列されるので、該カーボンナノチューブワイヤからなるカーボンナノチューブ線状構造におけるカーボンナノチューブが配向して配列される。
また、前記ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤを揮発性有機溶剤で処理してもよい。前記揮発性有機溶剤の表面力の作用で前記ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤにおける隣接するカーボンナノチューブが分子間力で緊密に接続されるので、該ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、直径及び比表面積が小さくなり、大きな密度、優れた機械強度及び優れた強靭性を有する。
前記カーボンナノチューブ構造体が、一つの前記カーボンナノチューブ線状構造を含む場合、該カーボンナノチューブ線状構造におけるカーボンナノチューブの両端は、それぞれ、前記第一電極22及び前記第二電極24に電気的に接続される。前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブ線状構造を含む場合、該複数のカーボンナノチューブ線状構造が平行に配列され、又は交差して配列される。前記平行に配列された隣接するカーボンナノチューブ線状構造の間の距離は、0マイクロメートル〜30マイクロメートルである。前記交差して配列されたカーボンナノチューブ線状構造の交差する角度は、制限されない。前記各々のカーボンナノチューブ線状構造の設置する方式が制限されず、均一な加熱素子16を形成することができることを確保してもよい。
本実施例において、前記加熱素子26が複数の図14に示すねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造170を含み、各々のねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造170が前記基板28に平行に配列し、二次元の加熱素子が形成される。該ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造170は、該線状構造170の軸周りに螺旋状に配列された複数のねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ171を含む。該ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ171は、該カーボンナノチューブワイヤ171の軸周りに、螺旋状に配列された複数のカーボンナノチューブを含む。
前記第一電極22及び第二電極24は前記カーボンナノチューブ線状構造を含むことができる。本実施例において、前記第一電極22及び第二電極24は一本の図13に示す前記カーボンナノチューブ線状構造160を含む。該カーボンナノチューブ線状構造160は、該線状構造160の長手方向に沿って平行に配列された複数の非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ161を含む。該非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ161は、その長手方向に沿って配列し、端と端が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。
勿論、実施例1の第一電極12及び第二電極14は前記カーボンナノチューブ線状構造を含むことができる。
(実施例3)
図17を参照すると、本発明の実施例3は、面熱源30を提供する。該面熱源30は、基板38、加熱素子36、第一電極32及び第二電極34を含む。前記加熱素子36は、前記基板38の表面に設置される。前記第一電極32及び前記第二電極34は、前記加熱素子36に電気的に接続される。前記基板38が、例えば、発泡プラスチック、グラスウール、ロックウールなどの断熱材料である場合、前記反射層を設置せず、即ち、前記加熱素子36を前記基板38の表面に直接設置する。前記加熱素子36が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む。一部の前記複数のカーボンナノチューブワイヤは平行に配列され、前記第一電極32及び前記第二電極34に電気的に接続される。他の一部の前記複数のカーボンナノチューブワイヤは、前記第一電極32及び前記第二電極34に電気的に接続された前記カーボンナノチューブワイヤに、垂直に配列される。前記カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図15を参照)であり、又はねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図16を参照)である。前記加熱素子36は、複数のカーボンナノチューブ線状構造からなってもよい。前記第一電極32及び前記第二電極34は、金属のパラジウムフィルムである。
(実施例4)
図18を参照すると、本発明の実施例4は、面熱源40を提供する。該面熱源40は、基板(図示せず)、加熱素子46、第一電極42及び第二電極44を含む。前記基板が、例えば、発泡プラスチック、グラスウール、ロックウールなどの断熱材料である場合、前記反射層を設置せず、即ち、前記加熱素子46を前記基板の表面に直接設置する。該加熱素子46は、複数のカーボンナノチューブワイヤを含む。各々のカーボンナノチューブワイヤが互いに編まれ、二次元の加熱素子を形成することである。該カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図15を参照)であり、又はねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図16を参照)である。前記加熱素子46は、複数のカーボンナノチューブ線状構造からなってもよい。前記第一電極42及び前記第二電極44は、金属のパラジウムフィルムである。
(実施例5)
図19を参照すると、本発明の実施例5は、面熱源50を提供する。該面熱源50と前記実施例3における面熱源30の構造とは、基本的に同じであり、該面熱源50は、基板58、加熱素子56、第一電極52及び第二電極54を含む。前記基板58が、例えば、発泡プラスチック、グラスウール、ロックウールなどの断熱材料である場合、前記反射層を設置せず、即ち、前記加熱素子56を前記基板58の表面に直接設置する。本実施例において、前記加熱素子56が一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。前記カーボンナノチューブワイヤは曲げられた二次元の加熱素子に形成される。該カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図15を参照)であり、又はねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ(図16を参照)である。前記加熱素子56は、カーボンナノチューブ線状構造からなってもよい。前記第一電極52及び前記第二電極54は、金属のパラジウムフィルムである。
前記面熱源において、加熱素子が少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含み、該カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが均一的に配列され、該加熱素子が均一な厚さ及び抵抗を有するので、該加熱素子は、均一的に熱を放出することができ、電気エネルギーを熱エネルギーに転換する効率が高く、前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積の熱容量は、2×10−4J/mK以下である。従って、前記面熱源は、昇温速度が速く、熱応答速度が速く、熱交換速度が速い。
前記加熱素子おけるカーボンナノチューブは、優れた力学性能、優れた靭性及び優れた機械強度を有するので、該加熱素子は、優れた力学性能、優れた靭性と機械強度を有し、使用寿命が長くなる。更に、前記加熱素子を利用して、柔軟性の面熱源を製造することができる。前記加熱素子おけるカーボンナノチューブの直径が小さいので、該加熱素子は、厚さが小さい。従って、極めて小型の面熱源を製造することができ、該小型の面熱源を利用して、小型の加熱対象となる素子を加熱することができる。
前記基板が断熱材料であり、前記加熱素子から放出された熱が前記基板に反射され、単一方向から放出するので、前記面熱源は、単一面から加熱対象を加熱することができる熱源であり、加熱効率が高くなる。また、該反射層が前記基板と前記加熱素子との間又は前記基板の、前記加熱素子に面する表面とは反対側の表面に設置され、前記加熱素子から放出された熱が前記反射層に反射され、単一方向から放出するので、前記面熱源は、単一面から加熱対象を加熱することができる熱源であり、加熱効率が高くなる。
本発明の実施例は、前記面熱源の製造方法を提供する。具体的には、下記のステップを含む。
第一ステップでは、カーボンナノチューブ構造体を提供する。
カーボンナノチューブ構造体の構造及びその製造方法は、上述のカーボンナノチューブ構造体の構造及びその製造方法と同様である。
第二ステップでは、第一電極及び第二電極を提供し、該第一電極及び第二電極を、前記カーボンナノチューブ構造体に電気的に接続させ、面熱源を形成する。
前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体に電気的に接続する方法は、制限されず、リード線により前記カーボンナノチューブ構造体に電気的に接続してもよく、又は、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に直接設置してもよい。前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体の同一表面又は異なる表面に設置してもよい。前記第一電極及び前記第二電極は、所定の距離を置いて設置され、該第一電極と該第二電極と間に所定の抵抗を生じ、該第一電極及び該第二電極のショートすることを防止できる。前記カーボンナノチューブ構造体自体が優れた接着性を有するので、該接着性を利用して、前記第一電極及び前記第二電極を前記カーボンナノチューブ構造体の表面に接着する。従って、前記第一電極及び前記第二電極と、前記カーボンナノチューブ構造体とがよく電気的に接続することができる。また、例えば銀ペーストなどの導電接着剤を利用して、前記第一電極及び前記第二電極を前記カーボンナノチューブ構造体の表面に接着してもよい。
10、20、30、40、50 面熱源
12、22、32、42、52 第一電極
14、24、34、44、54 第二電極
15、25 保護層
16、26、36,46、56 加熱素子
17、27 反射層
18、28、38、58 基板
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
160 非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造
170 ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造
161、171 カーボンナノチューブワイヤ

Claims (7)

  1. 基板と、該基板の表面に設置された加熱素子と、該加熱素子と電気的に接続された少なくとも二つの電極と、を含み、
    前記加熱素子が少なくとも一本のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該カーボンナノチューブ線状構造が複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする面熱源。
  2. 前記加熱素子が一本のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該カーボンナノチューブ線状構造が所定の形状に湾曲され、前記基板の表面に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の面熱源。
  3. 前記加熱素子が複数のカーボンナノチューブ線状構造を含み、該複数のカーボンナノチューブ線状構造が平行し又は交差して、前記基板の表面に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の面熱源。
  4. 前記カーボンナノチューブ線状構造が、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含み、単一の前記カーボンナノチューブワイヤが複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の面熱源。
  5. 前記カーボンナノチューブ線状構造が、二本以上のカーボンナノチューブワイヤを含み、非ねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造又はねじれ状のカーボンナノチューブ線状構造であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の面熱源。
  6. 前記基板が断熱材料であり、前記加熱素子から放出された熱を反射するために用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の面熱源。
  7. 反射層をさらに含み、該反射層が前記基板と前記加熱素子との間又は前記基板の、前記加熱素子に面する表面とは反対側の表面に設置され、前記加熱素子から放出された熱を反射するために用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の面熱源。
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